物品収容庫管理システム
【課題】物品収容庫に物品を収容するユーザに対し、あらかじめ定められた取り決めに従って物品を収容することを促す技術を提供する。
【解決手段】ゴミ収集庫P1の一側壁には出入り口15が設けられ、その出入り口15に扉体16が設けられている。ゴミ収集庫P1において扉体16の周囲の壁面には、操作盤20、人検知センサ30及び標示ラベルセンサ40が設けられており、扉体16には扉ロック装置50が設けられている。操作盤20に設けられた制御部は、登録ユーザであるか否かの確認を行い、登録ユーザである旨確認された場合に、当該登録ユーザの識別情報を含んでなりかつゴミ袋Gに対して取り付け可能とされる標示ラベルL1を発行する。
【解決手段】ゴミ収集庫P1の一側壁には出入り口15が設けられ、その出入り口15に扉体16が設けられている。ゴミ収集庫P1において扉体16の周囲の壁面には、操作盤20、人検知センサ30及び標示ラベルセンサ40が設けられており、扉体16には扉ロック装置50が設けられている。操作盤20に設けられた制御部は、登録ユーザであるか否かの確認を行い、登録ユーザである旨確認された場合に、当該登録ユーザの識別情報を含んでなりかつゴミ袋Gに対して取り付け可能とされる標示ラベルL1を発行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収容庫における物品収容についてあらかじめ定められた取り決め通りに物品が収容されることを促す技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ゴミ収集庫であれば曜日によって可燃ゴミや不燃ゴミ等の収集可能なゴミの種類が定められている場合があり、薬品等の保管庫であればそれぞれの棚に保管可能な薬品等の種類が定められている場合があり、輸送物倉庫であれば区画によって保管可能な輸送物種類が定められている場合がある。これらのように、物品を収容する収容庫には、それぞれ時間や収容庫内の場所等によって収容可能な物品種類が定められていることがある。
【0003】
そこで、あらかじめ定められた物品種類をユーザに誤りなく収容させるようにした技術が提案されている。例えば、特許文献1では、ゴミ袋表面にゴミ分別方法及びゴミ種類に応じた収集日に関する情報を含んだ二次元コードを付して、ゴミ収集に関する情報をユーザが簡易に得られる技術が開示されている。この技術によれば、ユーザは収集日に対応した種類のゴミをゴミ収集庫等に搬入することが促される。
【特許文献1】特開2006−225095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術のように物品収容庫に収容可能な物品種類等についての取り決めに関する情報が提供されても、その情報を活用せずに取り決めから外れた物品搬入を行ってしまうユーザが存在する事態も想定される。
【0005】
本発明は、物品収容庫に物品を収容するユーザに対し、あらかじめ定められた取り決めに従って物品を収容することを促す技術を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
手段1.あらかじめ登録された登録ユーザによって物品(ゴミ袋G等)が収容される収容庫(ゴミ収集庫P1等)を管理する物品収容庫管理システムであって、登録ユーザであるか否かの確認を行う確認手段(制御部22)と、前記確認手段により登録ユーザである旨確認された場合に、当該登録ユーザの識別情報を含んでなりかつ前記物品に対して取り付け可能とされる標示片(標示ラベルL1等)を発行する標示片発行手段(制御部22、標示ラベル発行部26)と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、ユーザ(登録ユーザ)がゴミ袋等の物品を収容庫に収容しようとする場合に、ユーザ個別の標示片が発行される。そして、その標示片がユーザにより物品に対して取り付けられる。かかる場合、物品に取り付けられた標示片によって、その物品の所有者が誰であるかが容易に特定できる。したがって、例えば、あらかじめ定められた取り決めに反して、許可されていない物品が収容庫内に収容された場合には、その標示片によってその違反行為を見つけることが可能となる。また、登録ユーザの確認後に標示片が発行されるため、登録ユーザに関する情報を標示片に正しく盛り込むことができる。以上により、物品収容庫に物品を収容するユーザに対し、あらかじめ定められた取り決めに従って物品を収容することを促すことができる。
【0009】
収容庫は、複数の登録ユーザ共同で使用されるものであり、例えば、ゴミ収集庫や、薬品保管庫、物流倉庫として具体化される。標示片としては、例えば、粘着部を有する構成(すなわち、シール片)であればよく、その粘着部により標示片が物品に貼り付けられる。また、糸紐や針金等の紐状体を有する構成であれば、その紐状体により標示片が物品に括り付けられる。ユーザの識別情報としては、例えば、ユーザ氏名、住所(集合住宅であれば部屋番号)等が含まれる。
【0010】
手段2.前記標示片には、当該標示片の視認のみではユーザを特定することができない形態で前記識別情報が付与され、管理者側でユーザの特定が可能となっている。この場合、収容庫内において、物品にユーザ個別の標示片が付されていても、その物品の所有者(登録ユーザ)を特定することができない。そのため、収容庫内のゴミ袋等がどのユーザのものかが他のユーザに分かり、それによりプライバシーが侵されるといった不都合が回避できる。なお、標示片には、ユーザ識別情報として、登録ユーザごとに対応づけられた識別コード等が付与され、その識別コードが管理者側(例えば、集合住宅の管理者側)で読みとられることにより、物品の所有者が特定できるようになっている。
【0011】
手段3.前記標示片発行手段は、背景色、背景模様及び外形形状の少なくともいずれかが異なる複数タイプの標示片を発行可能であり、その時々で収容が許可される物品の種類に応じて、発行する標示片のタイプを変更することを特徴とする。この場合、標示片を一見しただけで、本来収容すべき物品の種類が分かるため、ユーザにとっては誤り無く物品を収容しようとすることの手助けとなる。また、管理者にとってはルール違反(種別誤り)を一見して見つけることができる。
【0012】
手段4.前記収容庫の入り口部(出入り口15等)を通じて前記物品が入庫されたことを判定する入庫判定手段(制御部22及び人検知センサ30)と、前記標示片発行手段により発行された標示片が、前記入り口部を通過したことを判定する標示片通過判定手段(制御部22及び標示ラベルセンサ40)と、前記入庫判定手段により前記物品の入庫が判定され、かつその入庫に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定されなかった場合に警告を行う警告手段(制御部22及び表示部27)と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
要するに、本発明の物品収容庫管理システムでは、上述のとおり物品に対して標示片が取り付けられた状態で物品の収容(保管)が行われるが、ユーザの過失又は故意等により、標示片が取り付けられずに物品が収容されることも考えられる。この点、手段4によれば、物品が入庫される際、標示片が収容庫内に持ち込まれなければ警告(例えば、画像表示や音声等による警告)が行われるため、標示片を収容庫外に放置したままとする等の違反行為が抑制できる。
【0014】
ここで、標示片通過判定手段として具体的には、磁気素子や発信器等よりなる被検知素子を標示片に備え付けておき、収容庫の入り口部に設けた検知装置(標示ラベルセンサ40)により被検知素子の通過を検知するとよい。
【0015】
手段5.前記入庫判定手段は、前記物品を持ち込むユーザの前記収容庫内への進入を判定するものであり、前記警告手段は、前記入庫判定手段によりユーザの収容庫内への進入が判定され、かつその進入に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定されなかった場合に警告を行うことを特徴とする。
【0016】
手段5によれば、例えばゴミ収集庫にユーザがゴミ袋を持ち込む場合において、収容庫の管理を好適に行うことができる。つまり、ユーザが収容庫内に進入する際、標示片が収容庫内に持ち込まれなければ警告が行われるため、標示片を収容庫外に放置したままとする等の違反行為が抑制できる。
【0017】
また、物品と共に標示片を収容庫内に持ち込んだが、物品には貼り付けずにそのまま標示片を持ち帰ることも考えられる。その対策としては次の手段6が有効である。
【0018】
手段6.ユーザの前記収容庫からの退出を判定する手段をさらに備え、前記警告手段は、ユーザの前記収容庫からの退出が判定され、かつその退出に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定された場合に警告を行うことを特徴とする。
【0019】
この場合、ユーザが収容庫から退出する際、標示片が収容庫内に持ち出されれば警告が行われるため、標示片を物品に取り付けずにそのまま収容庫外に持ち出す等の違反行為が抑制できる。これにより、物品に標示片を取り付けるといった行為が大いに促されることとなる。
【0020】
手段7.前記入り口部に扉体(扉体16等)が設けられるとともにその扉体に施錠装置(扉ロック装置50)が設けられ、その施錠装置が解錠可能となる時間帯があらかじめ定められる物品収容庫管理システムであって、前記施錠装置が解錠可能となる時間帯において前記確認手段により登録ユーザである旨確認された場合に、前記収容庫内への物品収容を許可すべく前記施錠装置を解錠することを特徴とする。
【0021】
手段7によれば、あらかじめ定められた時間ルールに則って、登録ユーザのみにより物品の収容が行われる。したがって、収容庫内への物品の収容を適正に管理することができる。
【0022】
手段8.前記警告が行われた際、その警告に関する履歴データを逐次記憶することを特徴とする。この場合、どのユーザが、取り決めとおりに物品を収容しているか、又は取り決め違反をしているかなどが容易に把握できるようになる。
【0023】
手段9.前記履歴データとして、前記警告に関するもの以外に、前記収容庫内における違反行為の形跡に基づき管理者により入力される違反データを記憶することを特徴とする。この場合、収容庫にユーザが出入りする際の判定だけでは把握しきれない違反行為についても、履歴データとして残すことが可能となる。
【0024】
例えば、収容庫に収容される物品の種類があらかじめ指定されている場合には、その指定物品以外の物品が収容された際に違反データの記憶が行われる。また、収容庫内において物品の収容区画があらかじめ指定されている場合には、その指定区画ではない区画に物品が収容された際に違反データの記憶が行われる。
【0025】
ここで、例えば、何度も繰り返し警告を受けてきたユーザに対しては、ペナルティ等を科す必要がある。そこで、前記警告の履歴データに基づき、物品収容に関して過去の違反行為の状況を把握し、その違反状況に応じて解錠手段(制御部22)による施錠装置の解錠を禁止するとよい(手段10)。つまりこれにより、違反の多いユーザに対して、収容庫への物品の収容を禁じる措置をとることができる。
【0026】
本発明の物品収容庫管理システムは、ゴミ収集庫の管理システムとして好適に実現される。すなわち、前記収容庫は、前記物品として複数の登録ユーザから持ち込まれるゴミ袋を収容するゴミ収集庫(ゴミ収集庫P1)であり、あらかじめ定められたゴミ出し時間帯にゴミ袋の持ち込みが許可されるものであるとよい(手段11)。かかる場合、ゴミ収集庫内に、ゴミ回収業者により回収されないゴミ袋(ルール違反のゴミ等)が残されても、その未回収のゴミ袋を出したユーザに対して撤去や是正等の指示を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下に、本発明を具現化した管理システムの第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、マンションやアパート等の集合住宅に設けられたゴミ収集庫に本発明を適用したゴミ収集庫管理システムである。
【0028】
図1は、ゴミ収集庫P1の概略図であり、図2は管理システムの電気的構成を示す概略ブロック図である。図1の丸囲い部(EL)は操作盤20の拡大図である。ゴミ収集庫P1は、周囲が四方の側壁に囲まれるとともにその上部に天井が設けられた箱状設備であり、人が立ち入ることができる大きさを有している。ゴミ収集庫P1の一側壁には出入り口(開口部)15が設けられ、その出入り口15に扉体16が設けられている。扉体16を開放することにより、出入り口15を通じて集合住宅の住人が収集庫P1に対して出入りできるようになっている。なお、ゴミ収集庫P1には、扉体16が設けられている側壁以外の側壁に、ゴミ回収業者がゴミ回収のために出入りするゴミ回収口(図示略)が設けられている。
【0029】
ゴミ収集庫P1において扉体16の周囲の壁面には、操作盤20、人検知センサ30及び標示ラベルセンサ40が設けられており、扉体16には扉ロック装置50が設けられている。また、ゴミ収集庫P1内には監視カメラ60が設けられている。
【0030】
電子キー10は集合住宅の各戸の玄関ドアを施解錠するためのものであり、各世帯の居住者(すなわち、あらかじめ登録された登録ユーザ、以下単にユーザと称する)に所持される。電子キー10は、操作盤20と相互に通信可能となっている。なお、各ユーザは世帯ごとに固有の電子キー10をそれぞれ所持しており、例えばユーザAは電子キー10Aを所持し、ユーザBは電子キー10Bを所持しているが、各電子キーは同様の構成であるため図1及び図2では電子キー10で代表する。操作盤20と監視カメラ60とには、集合住宅の管理室に設置された管理コンピュータ70が接続されている。標示ラベルL1はゴミ収集庫P1持ち込まれるゴミ袋G(ゴミ類が入れられ開口が縛られたゴミ袋、以下同じ)に貼付されるものであり、操作盤20によってゴミ袋Gごとに発行される。標示ラベルL1は、標示ラベルセンサ40と相互に通信可能となっている。
【0031】
<電子キー10>
電子キー10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13を備えている。電子キー10の通信部11は、アンテナ11aを備え、操作盤20から送信されるリクエスト信号を受信し、それに対してID信号を送信する。記憶部13には、固有のIDコードがあらかじめ記憶されている。制御部12は、通信部11からリクエスト信号が入力された場合に、IDコードを含む送信信号(ID信号)を、通信部11のアンテナ11aを介して送信する。
【0032】
<操作盤20>
操作盤20は、通信部21と、制御部22と、記憶部23と、カレンダ・タイマ24と、入力操作部25と、標示ラベル発行部26と、表示部27とを備えている。操作盤20の通信部21は、各種外部装置と有線又は無線により通信を行うためのものである。通信部21は、アンテナ21aを備え、電子キー10に対するリクエスト信号を、操作盤20周辺の所定領域に常時発信し、当該所定範囲に進入してリクエスト信号を受信した電子キー10から送信されるID信号を受信する。また、通信部21は、人検知センサ30と標示ラベルセンサ40とに接続されており、各センサからの検知信号を受信する。さらに、通信部21は扉ロック装置50に接続され、扉ロック装置50に制御信号を送信し、また管理コンピュータ70にも接続されており、各種情報を送受信する。
【0033】
記憶部23は、各ユーザが所持する電子キー10に付与されたIDコードと、各IDコードに対応するパスワードを記憶している。図3の例示では、IDコード「00110」(電子キー10AのIDコード)に対応するパスワードが「1・・・・」であり、IDコード「11010」(電子キー10BのIDコード)に対応するパスワードが「・・2・・」である等、各ユーザが所持する電子キー10のIDコード及び対応するパスワードが記憶されている。記憶部23はまた、標示ラベル発行部26が標示ラベルL1を発行した場合において、その発行日及び発行番号と、ユーザが所持する電子キー10のIDコードとを対応付けて記憶している。図4の例示では、例えば最上段に示される2006年1月・・日発行の番号「JH4567」の標示ラベルL1は、IDコード「00110」の電子キー10Aを所持するユーザAに発行されたことがわかる。記憶部23はその他にも各種情報を記憶しており、そのうちゴミ収集可能日時の情報はカレンダ・タイマ24の日時情報と共に参照され、現時点がゴミ収集可能日時か否かが把握される。なお、本実施形態でのゴミ収集可能日時は、可燃ゴミについて毎週月曜日・水曜日の6:00〜8:30及びこれら曜日の前日の19:00〜20:00であり、不燃ゴミについて毎週水曜日の6:00〜8:30及び前日の19:00〜20:00であり、資源ゴミについて毎月第2金曜日の6:00〜8:30及び前日の19:00〜20:00とされている。
【0034】
通信部21が電子キー10からID信号を受信すると、そのID信号は制御部22に入力される。制御部22は、記憶部23から該当IDコードを検索し、検索できた場合は対応するパスワードを取得する。そして、入力操作部25からユーザが入力したパスワードが、前記取得したパスワードと一致するか否かの認証を行う。認証が行われた場合は、標示ラベル発行部26が標示ラベルL1を発行する。
【0035】
表示部27は、ユーザに伝達すべき情報を表示するものであり、例えば記憶部23に記憶されたゴミ収集日時の情報や、制御部22での判定結果(例えば扉体16を解錠できない旨の情報)等が表示される。また表示部27は、音声発生も可能な構成とされている。
【0036】
<標示ラベルL1>
図5(a)に示すように、標示ラベルL1の表面には発行日及び発行番号がプリント(印字)される。各発行番号は操作盤20の制御部22によりランダムに決定され、発行番号だけではゴミ袋Gを持ち込んだユーザを特定できないようになっている。また、図5(b)に示すように、裏面にはICチップt1とアンテナa1が付されている。ICチップt1には、操作盤20の標示ラベル発行部26によって発行日及び発行番号のデータが書き込まれており、アンテナa1を介して電波を発信する。標示ラベルL1の裏面は粘着剤が塗布されたシール面となっており、そのシール面によりゴミ袋Gに貼付されるようになっている。標示ラベルL1は、操作盤20の標示ラベル発行部26によって発行された後、ユーザによってゴミ袋Gに貼付される。
【0037】
<人検知センサ30、標示ラベルセンサ40>
人検知センサ30は例えば光検知式のセンサであり、扉体16(出入り口15)の両脇に設けられた一対のセンサ素子(発光素子及び受光素子)により構成されている。人検知センサ30によって、出入り口15を通じてゴミ収集庫P1に出入りするユーザが検知される。なお、ユーザがゴミ収集庫P1に出入りする場合には、ゴミ収集庫P1に対してゴミ袋Gの搬入(入庫)が行われると考えられる。この意味からすれば、人検知センサ30によってゴミ袋Gの搬入(入庫)が間接的に検知されることとなる。
【0038】
人検知センサ30に、検知対象の大きさを判別する機能を付加してもよく、この大きさ判定機能を付加した構成によれば、被検知物がユーザ(人間)である場合のみ正常な検知が行われる。
【0039】
標示ラベルセンサ40は、標示ラベルL1との間で信号の送受信を行うことで、出入り口15を通過する標示ラベルL1を検知するものである。標示ラベルセンサ40は、標示ラベルL1に対するリクエスト信号を出入り口15に常時発信し、標示ラベルL1が出入り口15を通過する際(例えばゴミ袋に貼付された状態で通過する際)に、リクエスト信号を受信した標示ラベルL1のICチップt1から返信されてくる電波を受信することで標示ラベルL1の通過を検知する。これら人検知センサ30及び標示ラベルセンサ40の検知信号は操作盤20に送信される。
【0040】
<扉ロック装置50、監視カメラ60>
扉ロック装置50は、操作盤20から送信される制御信号に基づき、ゴミ収集庫P1の扉体16を自動で施錠及び解錠する。また、扉ロック装置50は、操作盤20からの制御信号以外に、管理コンピュータ70から送信される制御信号によっても扉体16を自動で施錠及び解錠する。なお本システムでは、手動で施解錠可能なキーも用意されており、例えば緊急時には管理人等によって施解錠することができる。
【0041】
監視カメラ60は、ゴミ収集庫P1内の状態を常時撮影しており、その情報は管理コンピュータ70に送信される。
【0042】
<管理コンピュータ70>
管理コンピュータ70には、ゴミ収集に関する各ユーザの情報が記憶されている。図7には記憶済みのデータが例示されており、各ユーザA,B,・・・について、あらかじめ登録された固有データ(最上段に示す)と、ゴミ出しに関する過去の履歴データ(二段目以降に示す)とが記憶されている。具体的には、例えばユーザAについては、固有データとして、電子キー10AのIDコード「00110」と、操作盤20で入力するパスワード「1・・・・」と、区画「S1、S5」とが記憶されている。なお、ここでいう区画とは、ゴミ収集庫P1内で各ユーザ(各世帯)に割当てられた区画である。図6に示すように、ゴミ収集庫P1内には、例えば8つの区画S1〜S8が設けられており、ユーザAの場合、可燃ゴミについては区画S1が割当てられ、不燃ゴミについては区画S5が割当てられている。
【0043】
また、同じくユーザAについては、履歴データとして、ユーザAがゴミ袋Gを持ち込んだ日付及びゴミ袋Gの個数(すなわち、標示ラベルL1の発行日及びその枚数)と、標示ラベルL1の発行番号とが記憶されている。さらに、持ち込んだゴミの種類が正当か否かの記録(例えば、可燃ゴミの収集日に可燃ゴミを持ち込んだ場合は「OK」と記録され、不燃ゴミを持ち込んだ場合は「NG」と記録される)と、ゴミ袋Gを置いた区画が正当か否かの記録(例えば、割当てられた区画に該当する種類のゴミを置いた場合は「OK」と記録され、区画以外の区画に置いたり、可燃ごみの収集日に不燃ゴミに割当てられた区画に置いたりした場合は「NG」と記録される)とが記憶されている。これらゴミ種類に関する記録及び区画に関する記録は、監視カメラ60で撮影される映像を管理コンピュータ70で解析してその解析結果を記憶すること、又はゴミ収集庫P1内を実際に視認した結果を管理者が管理コンピュータ70に入力することで蓄積される。
【0044】
なお、ゴミ種類又は区画に関する「NG」の記録が1回でもなされると、そのユーザに関しては「違反歴あり」という情報が付される。また、新たに「NG」の記録がなされた場合には、管理コンピュータ70から操作盤20に対して警告指令が発せられたり、管理会社に警告情報が送信されたりする。これにより、管理人や管理会社等から該当ユーザに対して是正勧告が伝えられることとなる。
【0045】
<管理システムの動作>
次に、管理システムの動作を説明する。本管理システムでは、扉ロック解錠処理及び入出庫監視処理が行われる。扉ロック解錠処理によって扉体16が解錠されることで、各ユーザはゴミ袋をゴミ収集庫P1内に持ち込むことができる。また、入出庫監視処理によってゴミ収集庫P1の監視が行われることで、各ユーザのゴミ処理が規則通りに行われたか否かを監視することができる。以下、それぞれの処理について説明する。
【0046】
(1)扉ロック解錠処理
図8は、ゴミ収集庫P1の扉ロック装置50を解錠するための処理手順を示すフローチャートであり、本処理は操作盤20の制御部22によって実行される。
【0047】
当該処理において、最初に制御部22は、電子キー10から送信されるID信号の受信があるまで待機する(ステップS11)。電子キー10がリクエスト信号の送信領域に進入し、通信部21でID信号が受信されると(ステップS11でYES)、制御部22は、記憶部23に該当IDコードが記憶されているか否かを検索する(ステップS12)。該当IDコードが検索できない場合は(ステップS12でNO)、ステップS24に移行して、扉ロック装置50が解錠されないことを表示部27に表示する。例えば、正規の電子キーでない場合や、許可無く改造等がなされた電子キーである場合には、扉ロック装置50が解錠されないことが表示される。一方、ステップS12において該当IDコードが検索できた場合は(ステップS12でYES)、ステップS13に移行する。以下では、電子キー10AのIDコード「00110」(図3を参照)が検索された例によって説明する。
【0048】
次いでステップS13では、制御部22は、記憶部23に記憶されているゴミ収集日時の情報及びカレンダ・タイマ24の日時情報を参照し、現時点がゴミ収集可能日時か否か、すなわち扉ロック装置50の解錠が可能な時間か否かを判定する。解錠可能時間でない場合は(ステップS13でNO)、ステップS24に移行して、扉ロック装置50が解錠されないことを表示部27に表示する。これにより、ゴミ収集可能日時以外においてゴミ収集庫P1内にゴミ袋を持ち込むことが不可能となる。一方、ステップS13において解錠可能時間と判定された場合は(ステップS13でYES)、ステップS14に移行する。
【0049】
ステップS14では、表示部27でパスワード入力を要求する表示を行い、入力操作部25から入力があるまで待機する(ステップS15)。パスワード入力がなされると(ステップS15でYES)、制御部22は、記憶部23に記憶されているパスワードと一致するか否かを認証する(ステップS16)。図3において、例えば電子キー10AのIDコード「00110」に対応するパスワードは「1・・・・」であるため、このパスワードが入力されていなければ(ステップS17でNO)、ステップS21に移行して、今回の入力がM回数以上か否かを判定する(なお、許可される入力回数は「M−1」で、あらかじめ決定されている)。M回数以上であれば、ステップS24に移行して、扉ロック装置50が解錠されないことを表示部27に表示する。これにより、電子キー10の他人の不正使用等が防止される。一方、今回の入力が初回等でM回数に達していない場合は(ステップS21でNO)、ステップS14に戻り一連のステップを繰り返す。
【0050】
ステップS17で認証可能となった場合(ステップS17でYES)、ユーザに違反歴があるか否かを確認する(ステップS18)。管理コンピュータ70にアクセスして検索した結果、過去に1回も「NG」の記録がなく「違反歴あり」とされていない場合は、標示ラベル発行部26が標示ラベルL1を発行し(ステップS19)、制御部22が扉ロック装置50を解錠する(ステップS20)。一方、例えばユーザAの場合、図7における区画の欄で「NG」の記録があるが、このように「違反歴あり」とされている場合は、ステップS22に移行して、違反回数がN以下か否かを判定する(なお、許容される違反回数はNで、あらかじめ決定されている)。違反回数がN以下であれば(ステップS22でYES)、表示部27で“あとX回違反すると解錠されないので注意”等の注意表示を行い(ステップS23)、標示ラベルL1の発行及び扉ロック装置50の解錠を行う(ステップS19、ステップS20)。一方、違反回数がNを超えていると(ステップS22でNO)、ステップS24に移行して、扉ロック装置50が解錠されないことを表示部27に表示する。なおこの場合、ユーザは管理人に扉ロック装置50の解錠を依頼する等の方策を取ることができる。
【0051】
(2)入出庫監視処理
次いで、入出庫監視処理について説明する。図9は入出庫監視処理の処理手順を示すフローチャートであり、本処理は、上記扉ロック解錠処理に継続して操作盤20の制御部22によって実行される。
【0052】
まず、操作盤20の制御部22は、扉ロック装置50が解錠状態か否かを確認する(ステップS31)。例えば、ユーザが一旦開放された扉体16を誤って閉めた場合等は(ステップS31でNO)、ステップS37に移行して、扉ロック解錠処理に戻る。一方、通常であれば扉ロック装置50が解錠状態であることが確認できるので(ステップS31でYES)、人検知センサ30からユーザ検知信号(すなわち、ゴミ収集庫P1にユーザが進入したことを表す信号)が入力されたか否かを確認する(ステップS32)。
【0053】
ユーザの検知(ゴミ収集庫P1への進入)が確認されると(ステップS32でYES)、制御部22は、標示ラベルセンサ40から標示ラベルL1の検知信号が入力されたか否かを確認する(ステップS33)。当該検知信号の入力が確認されない場合は(ステップS33でNO)、ゴミ袋Gに標示ラベルL1が貼付されないまま持ち込まれたか、あるいは標示ラベルL1付きのゴミ袋Gが持ち込まれてないとみなし、表示部27により画像表示や警告音による警告を行うと共に、その警告の内容を管理コンピュータ70に報告する(ステップS38)。これにより、管理室の管理人に対して監視カメラ60の映像確認が促される。
【0054】
一方、ステップS33で標示ラベルL1が確認された(ステップS33でYES)後は、人検知センサ30からユーザ検知信号(すなわち、ゴミ収集庫P1からのユーザが退出したことを表す信号)が入力されたか否かを確認する(ステップS34)。ユーザの検知(ゴミ収集庫P1からの退出)が確認されると(ステップS34でYES)、制御部22は、標示ラベルセンサ40から標示ラベルL1の検知信号が入力されたか否かを確認する(ステップS35)。当該検知信号の入力が確認された場合は(ステップS35でNO)、標示ラベルL1がゴミ袋Gに貼付されずにそのまま持ち出されたとみなし、表示部27により画像表示や警告音による警告を行うと共に、その警告の内容を管理コンピュータ70に報告する(ステップS38)。
【0055】
ステップS35において標示ラベルL1が確認されたかった(ステップS35でYES)後は、制御部22が扉ロック装置50を施錠して(ステップS36)、扉ロック解錠処理へ戻る(ステップS37)。
【0056】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0057】
ゴミ収集庫P1へのゴミ出しに際し、ユーザ個別に標示ラベルL1が発行される。この場合、その標示ラベルL1がゴミ袋Gに貼付されてゴミ出しが行われることで、ゴミ袋Gの所有者が誰であるかが容易に特定できる。したがって、例えば、あらかじめ定められた取り決め(時間ルールや種別ルール)に反してゴミ出しが行われた場合には、標示ラベルL1によってその違反行為を見つけることが可能となる。また、ユーザ認証後に標示ラベルL1が発行されるため、ユーザに関する情報を標示ラベルL1に正しく盛り込むことができる。仮に、ゴミ収集庫P1内に、ゴミ回収業者により回収されないゴミ(ルール違反のゴミ等)が残されても、その未回収のゴミを出したユーザに対して撤去又は是正の指示を容易に行うことができる。
【0058】
標示ラベルL1には、当該ラベルL1の視認のみではユーザを特定することができない形態でユーザ情報が付与され、管理者側でユーザの特定が可能となっている。これにより、ゴミ袋Gがどのユーザのものなのかが他のユーザに分かってしまうといった不都合(プライバシー上の不都合)が回避できる。
【0059】
ゴミ収集庫P1へのゴミ袋Gの持ち込み(ユーザの入室)が判定され、かつ出入り口15における標示ラベルL1の通過が判定されなかった場合に警告を行う構成としたため、ユーザの過失又は故意等により、標示ラベルL1が貼り付けられずにゴミ袋Gが持ち込まれるといった違反行為を適正に監視できる。警告を行うことにより、ゴミ袋Gへの標示ラベルL1の貼付行為を促すことができる。
【0060】
また、ユーザの退出が判定され、かつ出入り口15における標示ラベルL1の通過が判定された場合に警告を行う構成としたため、ユーザの過失又は故意等により、標示ラベルL1をゴミ袋Gに取り付けずにそのままゴミ収集庫P1外に持ち出すといった違反行為を適正に監視できる。
【0061】
ゴミ収集可能日時にのみ扉ロック装置50が解錠されるため、指定時間外におけるゴミ袋Gの放置を防止することができる。
【0062】
各ユーザが電子キー10を所持し、かつ暗証番号を正確に入力したユーザのみが入庫を許可されるため、集合住宅の居住者以外の者によるゴミ投棄が防止される。
【0063】
標示ラベルL1の貼付違反に伴う警告が行われた際、その警告に関する履歴データが管理コンピュータ70に逐次記憶される。また、ゴミ収集庫P1内における違反行為の形跡からルール違反が確認された場合には、その履歴データが管理コンピュータ70に逐次記憶される。これにより、どのユーザが取り決めとおりに物品を収容しているか、又は取り決め違反をしているかなどが容易に把握できるようになる。
【0064】
違反行為を繰り返すユーザに対しては、ペナルティとしてゴミ収集庫P1の扉体16を自動解錠しない構成としたため、違反行為が繰り返されることに対して抑止力が期待できる。
【0065】
なお、以上の第1実施形態は、集合住宅に設けられたゴミ収集庫に本発明のシステムを適用していたが、例えば複数の戸建住宅が集合する住宅地において複数世帯で共用されるゴミ収集庫に同システムを適用してもよい。この場合、ゴミ収集庫にゲートが設けられていれば、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
また、扉体16の解錠が許容される違反回数に関して、種類違反と区画違反とを区別していなかったが、例えば種類に関する許容違反回数を区画に関する許容違反回数より少なくする等、両者を区別してもよい。
【0067】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。第2実施形態は薬品保管庫にシステムを適用した薬品保管庫管理システムである。なお、以下では、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付すこととして説明を省略する。
【0068】
図10は、収容庫としての薬品保管庫P2の概略図である。薬品保管庫P2は、前面側のみ開放された直方体状の保管庫本体81と、その保管庫本体81内に上下方向に多段に設けられた収容棚82と、保管庫本体81の前面側に設けられた両開きタイプの二枚の開き戸83とを有している。そして、開き戸83を開放した状態で、保管庫本体81の前面開口部81a(「入り口部」に相当)を通じて物品としての薬品容器Yが出し入れされるようになっている。なお、各収容棚82にそれぞれ引き出しを設け、それら各引き出しに薬品容器Yを収容する構成とすることも可能である。
【0069】
薬品保管庫P2において、開き戸83には操作盤20及び扉ロック装置50が設けられている。また、保管庫本体81には、標示ラベルセンサ40が設けられると共に、収容棚82ごとに薬品容器検知センサ85が設けられている。標示ラベルセンサ40は、保管庫本体81において前面開口部81a付近の上下2カ所に設けられている。保管庫本体81内は、各収容棚82により複数に区分されてそれぞれが区画S21,S22,S23,・・・となっており、それらの区画ごとにあらかじめ定められた薬品容器Yが収容されるようになっている。
【0070】
電子キー10は薬品取扱を許可された者(以下、保管庫ユーザと称する)に所持されるものであり、複数の保管庫ユーザがそれぞれ電子キー10を所持している。各保管庫ユーザの所持する電子キー10には、IDコードに対応する暗証番号があらかじめ付与されており、薬品保管庫P2の扉ロック装置50を解錠するためには操作盤20で暗証番号を入力する必要がある。なお、図示しない管理コンピュータ70は、薬品保管庫P2が配置されている部屋とは別の管理室等に設置されている。
【0071】
薬品容器検知センサ85は、薬品保管庫P2(各収容棚82)に対して出し入れされる薬品容器Yを検知する。本実施形態では、薬品容器検知センサ85と操作盤20の制御部22とにより入庫判定手段が構成されている。
【0072】
標示ラベルL2は、上記第1実施形態で説明した標示ラベルL1と同様の構成を有しており、図11に示すように、保管される薬品容器Yごとに発行されて各薬品容器Yに貼付される。ただし本実施形態の標示ラベルL2は、標示ラベルL1とは異なり、所有者が目視確認できる構成であっても構わない。つまり、標示ラベルL2に所有者名などが印字されていてもよい。標示ラベルセンサ40は、薬品容器Yの出し入れ(入庫及び出庫)に際して前面開口部81a(入り口部)を標示ラベルL2が通過する場合に、その標示ラベルL2の通過を検知する。
【0073】
本実施形態でも、薬品保管庫P2を自動で施解錠可能な日時(時間帯)があらかじめ定められている。したがって、それ以外の日時には自動施解錠されることはなく、薬品保管P2の所有者の営業日以外の不正な収容・持出しなどを防止することができる。また、区画S21,S22,S23,・・・に収容された薬品種類について違反行為があった場合には、その履歴が管理コンピュータ70に逐次記憶される。
【0074】
本実施形態の管理システムでは、上述したとおり、制御部22によって図8の扉ロック解錠処理が実行される。また、図9のフローチャートに示す入出庫監視処理において、ステップS32で、薬品容器検知センサ85により収容棚82への薬品容器Yの入庫が検知され、かつステップS33で、標示ラベルセンサ40により標示ラベルL2の通過が検知されなかった場合に、薬品容器Yに標示ラベルL2が貼付されないまま持ち込まれたとみなし、表示部27による警告と管理コンピュータ70への報告が行われる(ステップS38)。なお、本実施形態の場合には、ステップS34,S35の処理は省略される。そして、薬品容器Yの収容が完了した時点で、扉ロック装置50による施錠が行われる。
【0075】
以上の第2実施形態の構成によれば、薬品保管庫P2への容器収容に際し、ユーザ個別に標示ラベルL2が発行され、その標示ラベルL2が貼付された後、薬品容器Yが薬品保管庫P2に収容される。これにより、薬品容器Yの所有者が誰であるかが容易に特定でき、例えば、あらかじめ定められた取り決め(時間ルールや種別ルール)に反して薬品の出し入れが行われた場合には、標示ラベルL2によってその違反行為を見つけることが可能となる。
【0076】
また、薬品保管庫P2に持ち込まれる薬品容器Yに標示ラベルL2が貼付されているかどうかを判定し、ラベル未貼付の違反行為に対して警告を行うこととしたため、薬品容器Yへの標示ラベルL2の貼付行為を促すことができる。
【0077】
その他、上記第1実施形態と同様に、あらかじめ定めた時間帯であり、かつ正規ユーザであることを条件に物品の収容を許可する構成としたため、薬品保管庫P2の適正な管理が実現できる。
【0078】
[別の実施形態]
以上説明した実施の形態に限らず、例えば以下に別例として示した形態で実施することもできる。
【0079】
・上記実施形態では、標示片として、裏面側に粘着部(シール面)を有するシール片を用い、シール面により物品(ゴミ袋G等)に貼付する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、糸紐や針金等の紐状体を設け、その紐状体を物品(ゴミ袋G等)に括り付けることにより、標示片を物品(ゴミ袋G等)に取り付ける構成としてもよい。
【0080】
・上記実施形態では、標示片(標示ラベル)として、ICチップ及びアンテナを有する構成を開示したが、これを変更し、これらICチップ及びアンテナを有していない構成であってもよい。例えば、標示片(標示ラベル)を、磁気式の被検知素子を有する構成とする。この場合、標示ラベルセンサ40では、標示ラベルの通過を磁気検知する。又は、標示片(標示ラベル)にユーザ情報(登録ユーザの識別情報)に関する印字のみを行った構成であってもよい。
【0081】
・標示片(標示ラベル)として、背景色、背景模様及び外形形状の少なくともいずれかが異なる複数タイプの標示片を発行することも可能である。例えば、背景色を変える場合には、白色、黒色、赤色、青色等の標示ラベルを発行する。背景模様を変える場合には、背景が無地、ドット、斜線、格子等となる標示ラベルを発行する。また、外形形状を変える場合には、外形形状が真円形、楕円形、長方形、三角形等となる標示ラベルを発行する。この場合、標示ラベル発行部26が、その時々で収容が許可される物品の種類(ゴミの種類等)に応じて、発行する標示片のタイプを変更する。本構成によれば、標示片を一見しただけで、本来収容すべき物品の種類(ゴミの種類等)が分かるため、ユーザにとっては誤り無く物品を収容しようとすることの手助けとなる。また、管理者にとってはルール違反(種別誤り)を一見して見つけることができる。
【0082】
・上記第1実施形態では、ユーザがゴミ収集庫P1に出入りする場合にはゴミ収集庫P1に対してゴミ袋Gの搬入(入庫)が行われるであろうことを前提に、人検知センサ30によってゴミ袋Gの搬入(入庫)を間接的に検知したが、この構成を変更し、ゴミ袋Gの搬入(入庫)を直接的に検知するようにしてもよい。例えば、ゴミ類を入れるためのゴミ袋として、ゴミ収集庫P1への入庫が磁気等により検知可能な袋体を用い、その袋体の通過を検出する構成を採用する。
【0083】
・上記実施形態では、IDコードの認証及びパスワード認証の双方によって扉ロック装置50を解錠する構成としたが、IDコード又はパスワードのいずれかの認証によって解錠する構成としてもよい。
【0084】
・上記実施形態では、ゴミ収集庫P1等に設けた操作盤20との間で通信可能な電子キー10を用い、それら双方間の通信と操作盤20へのパスワード入力とによってユーザ認証及び扉ロック解除を行ったが、これを他の構成に変更する。例えば、操作盤20へのパスワード入力のみによって、ユーザ認証及び扉ロック解除を行う構成でもよい。
【0085】
・上記実施形態では、種類及び区画に関する違反を、監視カメラ60の撮影映像又は視認によって確認していたが、例えば画像センサを設けてどの種類のものがどの区画に保管されているかを自動認識する構成等としてもよい。
【0086】
・上記各実施形態では、本発明をゴミ収集庫管理システム及び薬品保管庫管理システムとして具体化したが、その他、輸送物倉庫管理システムなどとしても具体化できる。すなわち、輸送物倉庫管理システムでは、物流品が輸送物倉庫に搬入される場合に、操作盤の標示ラベル発行部によって標示ラベルが発行され、その標示ラベルがユーザ(作業者)貼付された後、輸送物倉庫内に収容される。本構成においても上記の通り適正な物品管理が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】ゴミ収集庫の概略図。
【図2】管理システムの電気的構成を示す概略ブロック図。
【図3】IDコードとパスワードの対応関係を例示する図。
【図4】標示ラベルの発行日及び発行番号とIDコードの対応関係を例示する図。
【図5】標示ラベルの構成を例示する図。
【図6】ゴミ収集庫の区画を例示する図。
【図7】ゴミ収集に関する各ユーザの情報を例示する図。
【図8】扉ロック解錠処理を説明するフローチャート。
【図9】入出庫監視処理を説明するフローチャート。
【図10】薬品保管庫の概略図。
【図11】薬品容器に貼付された標示ラベルを例示する図。
【符号の説明】
【0088】
10…電子キー、15…出入り口(入り口部)、16…扉体、20…操作盤、22…制御部(確認手段、標示片発行手段、入庫判定手段、標示片通過判定手段、警告手段、解錠手段)、26…標示ラベル発行部(標示片発行手段)、27…表示部(警告手段)、30…人検知センサ(入庫判定手段)、40…標示ラベルセンサ(標示片通過判定手段)、50…扉ロック装置(施錠装置)、70…管理コンピュータ、81a…前面開口部(入り口部)、83…開き戸(扉体)、85…薬品容器検知センサ(入庫判定手段)L1,L2…標示ラベル(標示片)、G…ゴミ袋(物品)、Y…薬品容器(物品)、P1…ゴミ収集庫(収容庫)、P2…薬品保管庫(収容庫)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品収容庫における物品収容についてあらかじめ定められた取り決め通りに物品が収容されることを促す技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ゴミ収集庫であれば曜日によって可燃ゴミや不燃ゴミ等の収集可能なゴミの種類が定められている場合があり、薬品等の保管庫であればそれぞれの棚に保管可能な薬品等の種類が定められている場合があり、輸送物倉庫であれば区画によって保管可能な輸送物種類が定められている場合がある。これらのように、物品を収容する収容庫には、それぞれ時間や収容庫内の場所等によって収容可能な物品種類が定められていることがある。
【0003】
そこで、あらかじめ定められた物品種類をユーザに誤りなく収容させるようにした技術が提案されている。例えば、特許文献1では、ゴミ袋表面にゴミ分別方法及びゴミ種類に応じた収集日に関する情報を含んだ二次元コードを付して、ゴミ収集に関する情報をユーザが簡易に得られる技術が開示されている。この技術によれば、ユーザは収集日に対応した種類のゴミをゴミ収集庫等に搬入することが促される。
【特許文献1】特開2006−225095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術のように物品収容庫に収容可能な物品種類等についての取り決めに関する情報が提供されても、その情報を活用せずに取り決めから外れた物品搬入を行ってしまうユーザが存在する事態も想定される。
【0005】
本発明は、物品収容庫に物品を収容するユーザに対し、あらかじめ定められた取り決めに従って物品を収容することを促す技術を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施の形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
手段1.あらかじめ登録された登録ユーザによって物品(ゴミ袋G等)が収容される収容庫(ゴミ収集庫P1等)を管理する物品収容庫管理システムであって、登録ユーザであるか否かの確認を行う確認手段(制御部22)と、前記確認手段により登録ユーザである旨確認された場合に、当該登録ユーザの識別情報を含んでなりかつ前記物品に対して取り付け可能とされる標示片(標示ラベルL1等)を発行する標示片発行手段(制御部22、標示ラベル発行部26)と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、ユーザ(登録ユーザ)がゴミ袋等の物品を収容庫に収容しようとする場合に、ユーザ個別の標示片が発行される。そして、その標示片がユーザにより物品に対して取り付けられる。かかる場合、物品に取り付けられた標示片によって、その物品の所有者が誰であるかが容易に特定できる。したがって、例えば、あらかじめ定められた取り決めに反して、許可されていない物品が収容庫内に収容された場合には、その標示片によってその違反行為を見つけることが可能となる。また、登録ユーザの確認後に標示片が発行されるため、登録ユーザに関する情報を標示片に正しく盛り込むことができる。以上により、物品収容庫に物品を収容するユーザに対し、あらかじめ定められた取り決めに従って物品を収容することを促すことができる。
【0009】
収容庫は、複数の登録ユーザ共同で使用されるものであり、例えば、ゴミ収集庫や、薬品保管庫、物流倉庫として具体化される。標示片としては、例えば、粘着部を有する構成(すなわち、シール片)であればよく、その粘着部により標示片が物品に貼り付けられる。また、糸紐や針金等の紐状体を有する構成であれば、その紐状体により標示片が物品に括り付けられる。ユーザの識別情報としては、例えば、ユーザ氏名、住所(集合住宅であれば部屋番号)等が含まれる。
【0010】
手段2.前記標示片には、当該標示片の視認のみではユーザを特定することができない形態で前記識別情報が付与され、管理者側でユーザの特定が可能となっている。この場合、収容庫内において、物品にユーザ個別の標示片が付されていても、その物品の所有者(登録ユーザ)を特定することができない。そのため、収容庫内のゴミ袋等がどのユーザのものかが他のユーザに分かり、それによりプライバシーが侵されるといった不都合が回避できる。なお、標示片には、ユーザ識別情報として、登録ユーザごとに対応づけられた識別コード等が付与され、その識別コードが管理者側(例えば、集合住宅の管理者側)で読みとられることにより、物品の所有者が特定できるようになっている。
【0011】
手段3.前記標示片発行手段は、背景色、背景模様及び外形形状の少なくともいずれかが異なる複数タイプの標示片を発行可能であり、その時々で収容が許可される物品の種類に応じて、発行する標示片のタイプを変更することを特徴とする。この場合、標示片を一見しただけで、本来収容すべき物品の種類が分かるため、ユーザにとっては誤り無く物品を収容しようとすることの手助けとなる。また、管理者にとってはルール違反(種別誤り)を一見して見つけることができる。
【0012】
手段4.前記収容庫の入り口部(出入り口15等)を通じて前記物品が入庫されたことを判定する入庫判定手段(制御部22及び人検知センサ30)と、前記標示片発行手段により発行された標示片が、前記入り口部を通過したことを判定する標示片通過判定手段(制御部22及び標示ラベルセンサ40)と、前記入庫判定手段により前記物品の入庫が判定され、かつその入庫に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定されなかった場合に警告を行う警告手段(制御部22及び表示部27)と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
要するに、本発明の物品収容庫管理システムでは、上述のとおり物品に対して標示片が取り付けられた状態で物品の収容(保管)が行われるが、ユーザの過失又は故意等により、標示片が取り付けられずに物品が収容されることも考えられる。この点、手段4によれば、物品が入庫される際、標示片が収容庫内に持ち込まれなければ警告(例えば、画像表示や音声等による警告)が行われるため、標示片を収容庫外に放置したままとする等の違反行為が抑制できる。
【0014】
ここで、標示片通過判定手段として具体的には、磁気素子や発信器等よりなる被検知素子を標示片に備え付けておき、収容庫の入り口部に設けた検知装置(標示ラベルセンサ40)により被検知素子の通過を検知するとよい。
【0015】
手段5.前記入庫判定手段は、前記物品を持ち込むユーザの前記収容庫内への進入を判定するものであり、前記警告手段は、前記入庫判定手段によりユーザの収容庫内への進入が判定され、かつその進入に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定されなかった場合に警告を行うことを特徴とする。
【0016】
手段5によれば、例えばゴミ収集庫にユーザがゴミ袋を持ち込む場合において、収容庫の管理を好適に行うことができる。つまり、ユーザが収容庫内に進入する際、標示片が収容庫内に持ち込まれなければ警告が行われるため、標示片を収容庫外に放置したままとする等の違反行為が抑制できる。
【0017】
また、物品と共に標示片を収容庫内に持ち込んだが、物品には貼り付けずにそのまま標示片を持ち帰ることも考えられる。その対策としては次の手段6が有効である。
【0018】
手段6.ユーザの前記収容庫からの退出を判定する手段をさらに備え、前記警告手段は、ユーザの前記収容庫からの退出が判定され、かつその退出に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定された場合に警告を行うことを特徴とする。
【0019】
この場合、ユーザが収容庫から退出する際、標示片が収容庫内に持ち出されれば警告が行われるため、標示片を物品に取り付けずにそのまま収容庫外に持ち出す等の違反行為が抑制できる。これにより、物品に標示片を取り付けるといった行為が大いに促されることとなる。
【0020】
手段7.前記入り口部に扉体(扉体16等)が設けられるとともにその扉体に施錠装置(扉ロック装置50)が設けられ、その施錠装置が解錠可能となる時間帯があらかじめ定められる物品収容庫管理システムであって、前記施錠装置が解錠可能となる時間帯において前記確認手段により登録ユーザである旨確認された場合に、前記収容庫内への物品収容を許可すべく前記施錠装置を解錠することを特徴とする。
【0021】
手段7によれば、あらかじめ定められた時間ルールに則って、登録ユーザのみにより物品の収容が行われる。したがって、収容庫内への物品の収容を適正に管理することができる。
【0022】
手段8.前記警告が行われた際、その警告に関する履歴データを逐次記憶することを特徴とする。この場合、どのユーザが、取り決めとおりに物品を収容しているか、又は取り決め違反をしているかなどが容易に把握できるようになる。
【0023】
手段9.前記履歴データとして、前記警告に関するもの以外に、前記収容庫内における違反行為の形跡に基づき管理者により入力される違反データを記憶することを特徴とする。この場合、収容庫にユーザが出入りする際の判定だけでは把握しきれない違反行為についても、履歴データとして残すことが可能となる。
【0024】
例えば、収容庫に収容される物品の種類があらかじめ指定されている場合には、その指定物品以外の物品が収容された際に違反データの記憶が行われる。また、収容庫内において物品の収容区画があらかじめ指定されている場合には、その指定区画ではない区画に物品が収容された際に違反データの記憶が行われる。
【0025】
ここで、例えば、何度も繰り返し警告を受けてきたユーザに対しては、ペナルティ等を科す必要がある。そこで、前記警告の履歴データに基づき、物品収容に関して過去の違反行為の状況を把握し、その違反状況に応じて解錠手段(制御部22)による施錠装置の解錠を禁止するとよい(手段10)。つまりこれにより、違反の多いユーザに対して、収容庫への物品の収容を禁じる措置をとることができる。
【0026】
本発明の物品収容庫管理システムは、ゴミ収集庫の管理システムとして好適に実現される。すなわち、前記収容庫は、前記物品として複数の登録ユーザから持ち込まれるゴミ袋を収容するゴミ収集庫(ゴミ収集庫P1)であり、あらかじめ定められたゴミ出し時間帯にゴミ袋の持ち込みが許可されるものであるとよい(手段11)。かかる場合、ゴミ収集庫内に、ゴミ回収業者により回収されないゴミ袋(ルール違反のゴミ等)が残されても、その未回収のゴミ袋を出したユーザに対して撤去や是正等の指示を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下に、本発明を具現化した管理システムの第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、マンションやアパート等の集合住宅に設けられたゴミ収集庫に本発明を適用したゴミ収集庫管理システムである。
【0028】
図1は、ゴミ収集庫P1の概略図であり、図2は管理システムの電気的構成を示す概略ブロック図である。図1の丸囲い部(EL)は操作盤20の拡大図である。ゴミ収集庫P1は、周囲が四方の側壁に囲まれるとともにその上部に天井が設けられた箱状設備であり、人が立ち入ることができる大きさを有している。ゴミ収集庫P1の一側壁には出入り口(開口部)15が設けられ、その出入り口15に扉体16が設けられている。扉体16を開放することにより、出入り口15を通じて集合住宅の住人が収集庫P1に対して出入りできるようになっている。なお、ゴミ収集庫P1には、扉体16が設けられている側壁以外の側壁に、ゴミ回収業者がゴミ回収のために出入りするゴミ回収口(図示略)が設けられている。
【0029】
ゴミ収集庫P1において扉体16の周囲の壁面には、操作盤20、人検知センサ30及び標示ラベルセンサ40が設けられており、扉体16には扉ロック装置50が設けられている。また、ゴミ収集庫P1内には監視カメラ60が設けられている。
【0030】
電子キー10は集合住宅の各戸の玄関ドアを施解錠するためのものであり、各世帯の居住者(すなわち、あらかじめ登録された登録ユーザ、以下単にユーザと称する)に所持される。電子キー10は、操作盤20と相互に通信可能となっている。なお、各ユーザは世帯ごとに固有の電子キー10をそれぞれ所持しており、例えばユーザAは電子キー10Aを所持し、ユーザBは電子キー10Bを所持しているが、各電子キーは同様の構成であるため図1及び図2では電子キー10で代表する。操作盤20と監視カメラ60とには、集合住宅の管理室に設置された管理コンピュータ70が接続されている。標示ラベルL1はゴミ収集庫P1持ち込まれるゴミ袋G(ゴミ類が入れられ開口が縛られたゴミ袋、以下同じ)に貼付されるものであり、操作盤20によってゴミ袋Gごとに発行される。標示ラベルL1は、標示ラベルセンサ40と相互に通信可能となっている。
【0031】
<電子キー10>
電子キー10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13を備えている。電子キー10の通信部11は、アンテナ11aを備え、操作盤20から送信されるリクエスト信号を受信し、それに対してID信号を送信する。記憶部13には、固有のIDコードがあらかじめ記憶されている。制御部12は、通信部11からリクエスト信号が入力された場合に、IDコードを含む送信信号(ID信号)を、通信部11のアンテナ11aを介して送信する。
【0032】
<操作盤20>
操作盤20は、通信部21と、制御部22と、記憶部23と、カレンダ・タイマ24と、入力操作部25と、標示ラベル発行部26と、表示部27とを備えている。操作盤20の通信部21は、各種外部装置と有線又は無線により通信を行うためのものである。通信部21は、アンテナ21aを備え、電子キー10に対するリクエスト信号を、操作盤20周辺の所定領域に常時発信し、当該所定範囲に進入してリクエスト信号を受信した電子キー10から送信されるID信号を受信する。また、通信部21は、人検知センサ30と標示ラベルセンサ40とに接続されており、各センサからの検知信号を受信する。さらに、通信部21は扉ロック装置50に接続され、扉ロック装置50に制御信号を送信し、また管理コンピュータ70にも接続されており、各種情報を送受信する。
【0033】
記憶部23は、各ユーザが所持する電子キー10に付与されたIDコードと、各IDコードに対応するパスワードを記憶している。図3の例示では、IDコード「00110」(電子キー10AのIDコード)に対応するパスワードが「1・・・・」であり、IDコード「11010」(電子キー10BのIDコード)に対応するパスワードが「・・2・・」である等、各ユーザが所持する電子キー10のIDコード及び対応するパスワードが記憶されている。記憶部23はまた、標示ラベル発行部26が標示ラベルL1を発行した場合において、その発行日及び発行番号と、ユーザが所持する電子キー10のIDコードとを対応付けて記憶している。図4の例示では、例えば最上段に示される2006年1月・・日発行の番号「JH4567」の標示ラベルL1は、IDコード「00110」の電子キー10Aを所持するユーザAに発行されたことがわかる。記憶部23はその他にも各種情報を記憶しており、そのうちゴミ収集可能日時の情報はカレンダ・タイマ24の日時情報と共に参照され、現時点がゴミ収集可能日時か否かが把握される。なお、本実施形態でのゴミ収集可能日時は、可燃ゴミについて毎週月曜日・水曜日の6:00〜8:30及びこれら曜日の前日の19:00〜20:00であり、不燃ゴミについて毎週水曜日の6:00〜8:30及び前日の19:00〜20:00であり、資源ゴミについて毎月第2金曜日の6:00〜8:30及び前日の19:00〜20:00とされている。
【0034】
通信部21が電子キー10からID信号を受信すると、そのID信号は制御部22に入力される。制御部22は、記憶部23から該当IDコードを検索し、検索できた場合は対応するパスワードを取得する。そして、入力操作部25からユーザが入力したパスワードが、前記取得したパスワードと一致するか否かの認証を行う。認証が行われた場合は、標示ラベル発行部26が標示ラベルL1を発行する。
【0035】
表示部27は、ユーザに伝達すべき情報を表示するものであり、例えば記憶部23に記憶されたゴミ収集日時の情報や、制御部22での判定結果(例えば扉体16を解錠できない旨の情報)等が表示される。また表示部27は、音声発生も可能な構成とされている。
【0036】
<標示ラベルL1>
図5(a)に示すように、標示ラベルL1の表面には発行日及び発行番号がプリント(印字)される。各発行番号は操作盤20の制御部22によりランダムに決定され、発行番号だけではゴミ袋Gを持ち込んだユーザを特定できないようになっている。また、図5(b)に示すように、裏面にはICチップt1とアンテナa1が付されている。ICチップt1には、操作盤20の標示ラベル発行部26によって発行日及び発行番号のデータが書き込まれており、アンテナa1を介して電波を発信する。標示ラベルL1の裏面は粘着剤が塗布されたシール面となっており、そのシール面によりゴミ袋Gに貼付されるようになっている。標示ラベルL1は、操作盤20の標示ラベル発行部26によって発行された後、ユーザによってゴミ袋Gに貼付される。
【0037】
<人検知センサ30、標示ラベルセンサ40>
人検知センサ30は例えば光検知式のセンサであり、扉体16(出入り口15)の両脇に設けられた一対のセンサ素子(発光素子及び受光素子)により構成されている。人検知センサ30によって、出入り口15を通じてゴミ収集庫P1に出入りするユーザが検知される。なお、ユーザがゴミ収集庫P1に出入りする場合には、ゴミ収集庫P1に対してゴミ袋Gの搬入(入庫)が行われると考えられる。この意味からすれば、人検知センサ30によってゴミ袋Gの搬入(入庫)が間接的に検知されることとなる。
【0038】
人検知センサ30に、検知対象の大きさを判別する機能を付加してもよく、この大きさ判定機能を付加した構成によれば、被検知物がユーザ(人間)である場合のみ正常な検知が行われる。
【0039】
標示ラベルセンサ40は、標示ラベルL1との間で信号の送受信を行うことで、出入り口15を通過する標示ラベルL1を検知するものである。標示ラベルセンサ40は、標示ラベルL1に対するリクエスト信号を出入り口15に常時発信し、標示ラベルL1が出入り口15を通過する際(例えばゴミ袋に貼付された状態で通過する際)に、リクエスト信号を受信した標示ラベルL1のICチップt1から返信されてくる電波を受信することで標示ラベルL1の通過を検知する。これら人検知センサ30及び標示ラベルセンサ40の検知信号は操作盤20に送信される。
【0040】
<扉ロック装置50、監視カメラ60>
扉ロック装置50は、操作盤20から送信される制御信号に基づき、ゴミ収集庫P1の扉体16を自動で施錠及び解錠する。また、扉ロック装置50は、操作盤20からの制御信号以外に、管理コンピュータ70から送信される制御信号によっても扉体16を自動で施錠及び解錠する。なお本システムでは、手動で施解錠可能なキーも用意されており、例えば緊急時には管理人等によって施解錠することができる。
【0041】
監視カメラ60は、ゴミ収集庫P1内の状態を常時撮影しており、その情報は管理コンピュータ70に送信される。
【0042】
<管理コンピュータ70>
管理コンピュータ70には、ゴミ収集に関する各ユーザの情報が記憶されている。図7には記憶済みのデータが例示されており、各ユーザA,B,・・・について、あらかじめ登録された固有データ(最上段に示す)と、ゴミ出しに関する過去の履歴データ(二段目以降に示す)とが記憶されている。具体的には、例えばユーザAについては、固有データとして、電子キー10AのIDコード「00110」と、操作盤20で入力するパスワード「1・・・・」と、区画「S1、S5」とが記憶されている。なお、ここでいう区画とは、ゴミ収集庫P1内で各ユーザ(各世帯)に割当てられた区画である。図6に示すように、ゴミ収集庫P1内には、例えば8つの区画S1〜S8が設けられており、ユーザAの場合、可燃ゴミについては区画S1が割当てられ、不燃ゴミについては区画S5が割当てられている。
【0043】
また、同じくユーザAについては、履歴データとして、ユーザAがゴミ袋Gを持ち込んだ日付及びゴミ袋Gの個数(すなわち、標示ラベルL1の発行日及びその枚数)と、標示ラベルL1の発行番号とが記憶されている。さらに、持ち込んだゴミの種類が正当か否かの記録(例えば、可燃ゴミの収集日に可燃ゴミを持ち込んだ場合は「OK」と記録され、不燃ゴミを持ち込んだ場合は「NG」と記録される)と、ゴミ袋Gを置いた区画が正当か否かの記録(例えば、割当てられた区画に該当する種類のゴミを置いた場合は「OK」と記録され、区画以外の区画に置いたり、可燃ごみの収集日に不燃ゴミに割当てられた区画に置いたりした場合は「NG」と記録される)とが記憶されている。これらゴミ種類に関する記録及び区画に関する記録は、監視カメラ60で撮影される映像を管理コンピュータ70で解析してその解析結果を記憶すること、又はゴミ収集庫P1内を実際に視認した結果を管理者が管理コンピュータ70に入力することで蓄積される。
【0044】
なお、ゴミ種類又は区画に関する「NG」の記録が1回でもなされると、そのユーザに関しては「違反歴あり」という情報が付される。また、新たに「NG」の記録がなされた場合には、管理コンピュータ70から操作盤20に対して警告指令が発せられたり、管理会社に警告情報が送信されたりする。これにより、管理人や管理会社等から該当ユーザに対して是正勧告が伝えられることとなる。
【0045】
<管理システムの動作>
次に、管理システムの動作を説明する。本管理システムでは、扉ロック解錠処理及び入出庫監視処理が行われる。扉ロック解錠処理によって扉体16が解錠されることで、各ユーザはゴミ袋をゴミ収集庫P1内に持ち込むことができる。また、入出庫監視処理によってゴミ収集庫P1の監視が行われることで、各ユーザのゴミ処理が規則通りに行われたか否かを監視することができる。以下、それぞれの処理について説明する。
【0046】
(1)扉ロック解錠処理
図8は、ゴミ収集庫P1の扉ロック装置50を解錠するための処理手順を示すフローチャートであり、本処理は操作盤20の制御部22によって実行される。
【0047】
当該処理において、最初に制御部22は、電子キー10から送信されるID信号の受信があるまで待機する(ステップS11)。電子キー10がリクエスト信号の送信領域に進入し、通信部21でID信号が受信されると(ステップS11でYES)、制御部22は、記憶部23に該当IDコードが記憶されているか否かを検索する(ステップS12)。該当IDコードが検索できない場合は(ステップS12でNO)、ステップS24に移行して、扉ロック装置50が解錠されないことを表示部27に表示する。例えば、正規の電子キーでない場合や、許可無く改造等がなされた電子キーである場合には、扉ロック装置50が解錠されないことが表示される。一方、ステップS12において該当IDコードが検索できた場合は(ステップS12でYES)、ステップS13に移行する。以下では、電子キー10AのIDコード「00110」(図3を参照)が検索された例によって説明する。
【0048】
次いでステップS13では、制御部22は、記憶部23に記憶されているゴミ収集日時の情報及びカレンダ・タイマ24の日時情報を参照し、現時点がゴミ収集可能日時か否か、すなわち扉ロック装置50の解錠が可能な時間か否かを判定する。解錠可能時間でない場合は(ステップS13でNO)、ステップS24に移行して、扉ロック装置50が解錠されないことを表示部27に表示する。これにより、ゴミ収集可能日時以外においてゴミ収集庫P1内にゴミ袋を持ち込むことが不可能となる。一方、ステップS13において解錠可能時間と判定された場合は(ステップS13でYES)、ステップS14に移行する。
【0049】
ステップS14では、表示部27でパスワード入力を要求する表示を行い、入力操作部25から入力があるまで待機する(ステップS15)。パスワード入力がなされると(ステップS15でYES)、制御部22は、記憶部23に記憶されているパスワードと一致するか否かを認証する(ステップS16)。図3において、例えば電子キー10AのIDコード「00110」に対応するパスワードは「1・・・・」であるため、このパスワードが入力されていなければ(ステップS17でNO)、ステップS21に移行して、今回の入力がM回数以上か否かを判定する(なお、許可される入力回数は「M−1」で、あらかじめ決定されている)。M回数以上であれば、ステップS24に移行して、扉ロック装置50が解錠されないことを表示部27に表示する。これにより、電子キー10の他人の不正使用等が防止される。一方、今回の入力が初回等でM回数に達していない場合は(ステップS21でNO)、ステップS14に戻り一連のステップを繰り返す。
【0050】
ステップS17で認証可能となった場合(ステップS17でYES)、ユーザに違反歴があるか否かを確認する(ステップS18)。管理コンピュータ70にアクセスして検索した結果、過去に1回も「NG」の記録がなく「違反歴あり」とされていない場合は、標示ラベル発行部26が標示ラベルL1を発行し(ステップS19)、制御部22が扉ロック装置50を解錠する(ステップS20)。一方、例えばユーザAの場合、図7における区画の欄で「NG」の記録があるが、このように「違反歴あり」とされている場合は、ステップS22に移行して、違反回数がN以下か否かを判定する(なお、許容される違反回数はNで、あらかじめ決定されている)。違反回数がN以下であれば(ステップS22でYES)、表示部27で“あとX回違反すると解錠されないので注意”等の注意表示を行い(ステップS23)、標示ラベルL1の発行及び扉ロック装置50の解錠を行う(ステップS19、ステップS20)。一方、違反回数がNを超えていると(ステップS22でNO)、ステップS24に移行して、扉ロック装置50が解錠されないことを表示部27に表示する。なおこの場合、ユーザは管理人に扉ロック装置50の解錠を依頼する等の方策を取ることができる。
【0051】
(2)入出庫監視処理
次いで、入出庫監視処理について説明する。図9は入出庫監視処理の処理手順を示すフローチャートであり、本処理は、上記扉ロック解錠処理に継続して操作盤20の制御部22によって実行される。
【0052】
まず、操作盤20の制御部22は、扉ロック装置50が解錠状態か否かを確認する(ステップS31)。例えば、ユーザが一旦開放された扉体16を誤って閉めた場合等は(ステップS31でNO)、ステップS37に移行して、扉ロック解錠処理に戻る。一方、通常であれば扉ロック装置50が解錠状態であることが確認できるので(ステップS31でYES)、人検知センサ30からユーザ検知信号(すなわち、ゴミ収集庫P1にユーザが進入したことを表す信号)が入力されたか否かを確認する(ステップS32)。
【0053】
ユーザの検知(ゴミ収集庫P1への進入)が確認されると(ステップS32でYES)、制御部22は、標示ラベルセンサ40から標示ラベルL1の検知信号が入力されたか否かを確認する(ステップS33)。当該検知信号の入力が確認されない場合は(ステップS33でNO)、ゴミ袋Gに標示ラベルL1が貼付されないまま持ち込まれたか、あるいは標示ラベルL1付きのゴミ袋Gが持ち込まれてないとみなし、表示部27により画像表示や警告音による警告を行うと共に、その警告の内容を管理コンピュータ70に報告する(ステップS38)。これにより、管理室の管理人に対して監視カメラ60の映像確認が促される。
【0054】
一方、ステップS33で標示ラベルL1が確認された(ステップS33でYES)後は、人検知センサ30からユーザ検知信号(すなわち、ゴミ収集庫P1からのユーザが退出したことを表す信号)が入力されたか否かを確認する(ステップS34)。ユーザの検知(ゴミ収集庫P1からの退出)が確認されると(ステップS34でYES)、制御部22は、標示ラベルセンサ40から標示ラベルL1の検知信号が入力されたか否かを確認する(ステップS35)。当該検知信号の入力が確認された場合は(ステップS35でNO)、標示ラベルL1がゴミ袋Gに貼付されずにそのまま持ち出されたとみなし、表示部27により画像表示や警告音による警告を行うと共に、その警告の内容を管理コンピュータ70に報告する(ステップS38)。
【0055】
ステップS35において標示ラベルL1が確認されたかった(ステップS35でYES)後は、制御部22が扉ロック装置50を施錠して(ステップS36)、扉ロック解錠処理へ戻る(ステップS37)。
【0056】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0057】
ゴミ収集庫P1へのゴミ出しに際し、ユーザ個別に標示ラベルL1が発行される。この場合、その標示ラベルL1がゴミ袋Gに貼付されてゴミ出しが行われることで、ゴミ袋Gの所有者が誰であるかが容易に特定できる。したがって、例えば、あらかじめ定められた取り決め(時間ルールや種別ルール)に反してゴミ出しが行われた場合には、標示ラベルL1によってその違反行為を見つけることが可能となる。また、ユーザ認証後に標示ラベルL1が発行されるため、ユーザに関する情報を標示ラベルL1に正しく盛り込むことができる。仮に、ゴミ収集庫P1内に、ゴミ回収業者により回収されないゴミ(ルール違反のゴミ等)が残されても、その未回収のゴミを出したユーザに対して撤去又は是正の指示を容易に行うことができる。
【0058】
標示ラベルL1には、当該ラベルL1の視認のみではユーザを特定することができない形態でユーザ情報が付与され、管理者側でユーザの特定が可能となっている。これにより、ゴミ袋Gがどのユーザのものなのかが他のユーザに分かってしまうといった不都合(プライバシー上の不都合)が回避できる。
【0059】
ゴミ収集庫P1へのゴミ袋Gの持ち込み(ユーザの入室)が判定され、かつ出入り口15における標示ラベルL1の通過が判定されなかった場合に警告を行う構成としたため、ユーザの過失又は故意等により、標示ラベルL1が貼り付けられずにゴミ袋Gが持ち込まれるといった違反行為を適正に監視できる。警告を行うことにより、ゴミ袋Gへの標示ラベルL1の貼付行為を促すことができる。
【0060】
また、ユーザの退出が判定され、かつ出入り口15における標示ラベルL1の通過が判定された場合に警告を行う構成としたため、ユーザの過失又は故意等により、標示ラベルL1をゴミ袋Gに取り付けずにそのままゴミ収集庫P1外に持ち出すといった違反行為を適正に監視できる。
【0061】
ゴミ収集可能日時にのみ扉ロック装置50が解錠されるため、指定時間外におけるゴミ袋Gの放置を防止することができる。
【0062】
各ユーザが電子キー10を所持し、かつ暗証番号を正確に入力したユーザのみが入庫を許可されるため、集合住宅の居住者以外の者によるゴミ投棄が防止される。
【0063】
標示ラベルL1の貼付違反に伴う警告が行われた際、その警告に関する履歴データが管理コンピュータ70に逐次記憶される。また、ゴミ収集庫P1内における違反行為の形跡からルール違反が確認された場合には、その履歴データが管理コンピュータ70に逐次記憶される。これにより、どのユーザが取り決めとおりに物品を収容しているか、又は取り決め違反をしているかなどが容易に把握できるようになる。
【0064】
違反行為を繰り返すユーザに対しては、ペナルティとしてゴミ収集庫P1の扉体16を自動解錠しない構成としたため、違反行為が繰り返されることに対して抑止力が期待できる。
【0065】
なお、以上の第1実施形態は、集合住宅に設けられたゴミ収集庫に本発明のシステムを適用していたが、例えば複数の戸建住宅が集合する住宅地において複数世帯で共用されるゴミ収集庫に同システムを適用してもよい。この場合、ゴミ収集庫にゲートが設けられていれば、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0066】
また、扉体16の解錠が許容される違反回数に関して、種類違反と区画違反とを区別していなかったが、例えば種類に関する許容違反回数を区画に関する許容違反回数より少なくする等、両者を区別してもよい。
【0067】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。第2実施形態は薬品保管庫にシステムを適用した薬品保管庫管理システムである。なお、以下では、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付すこととして説明を省略する。
【0068】
図10は、収容庫としての薬品保管庫P2の概略図である。薬品保管庫P2は、前面側のみ開放された直方体状の保管庫本体81と、その保管庫本体81内に上下方向に多段に設けられた収容棚82と、保管庫本体81の前面側に設けられた両開きタイプの二枚の開き戸83とを有している。そして、開き戸83を開放した状態で、保管庫本体81の前面開口部81a(「入り口部」に相当)を通じて物品としての薬品容器Yが出し入れされるようになっている。なお、各収容棚82にそれぞれ引き出しを設け、それら各引き出しに薬品容器Yを収容する構成とすることも可能である。
【0069】
薬品保管庫P2において、開き戸83には操作盤20及び扉ロック装置50が設けられている。また、保管庫本体81には、標示ラベルセンサ40が設けられると共に、収容棚82ごとに薬品容器検知センサ85が設けられている。標示ラベルセンサ40は、保管庫本体81において前面開口部81a付近の上下2カ所に設けられている。保管庫本体81内は、各収容棚82により複数に区分されてそれぞれが区画S21,S22,S23,・・・となっており、それらの区画ごとにあらかじめ定められた薬品容器Yが収容されるようになっている。
【0070】
電子キー10は薬品取扱を許可された者(以下、保管庫ユーザと称する)に所持されるものであり、複数の保管庫ユーザがそれぞれ電子キー10を所持している。各保管庫ユーザの所持する電子キー10には、IDコードに対応する暗証番号があらかじめ付与されており、薬品保管庫P2の扉ロック装置50を解錠するためには操作盤20で暗証番号を入力する必要がある。なお、図示しない管理コンピュータ70は、薬品保管庫P2が配置されている部屋とは別の管理室等に設置されている。
【0071】
薬品容器検知センサ85は、薬品保管庫P2(各収容棚82)に対して出し入れされる薬品容器Yを検知する。本実施形態では、薬品容器検知センサ85と操作盤20の制御部22とにより入庫判定手段が構成されている。
【0072】
標示ラベルL2は、上記第1実施形態で説明した標示ラベルL1と同様の構成を有しており、図11に示すように、保管される薬品容器Yごとに発行されて各薬品容器Yに貼付される。ただし本実施形態の標示ラベルL2は、標示ラベルL1とは異なり、所有者が目視確認できる構成であっても構わない。つまり、標示ラベルL2に所有者名などが印字されていてもよい。標示ラベルセンサ40は、薬品容器Yの出し入れ(入庫及び出庫)に際して前面開口部81a(入り口部)を標示ラベルL2が通過する場合に、その標示ラベルL2の通過を検知する。
【0073】
本実施形態でも、薬品保管庫P2を自動で施解錠可能な日時(時間帯)があらかじめ定められている。したがって、それ以外の日時には自動施解錠されることはなく、薬品保管P2の所有者の営業日以外の不正な収容・持出しなどを防止することができる。また、区画S21,S22,S23,・・・に収容された薬品種類について違反行為があった場合には、その履歴が管理コンピュータ70に逐次記憶される。
【0074】
本実施形態の管理システムでは、上述したとおり、制御部22によって図8の扉ロック解錠処理が実行される。また、図9のフローチャートに示す入出庫監視処理において、ステップS32で、薬品容器検知センサ85により収容棚82への薬品容器Yの入庫が検知され、かつステップS33で、標示ラベルセンサ40により標示ラベルL2の通過が検知されなかった場合に、薬品容器Yに標示ラベルL2が貼付されないまま持ち込まれたとみなし、表示部27による警告と管理コンピュータ70への報告が行われる(ステップS38)。なお、本実施形態の場合には、ステップS34,S35の処理は省略される。そして、薬品容器Yの収容が完了した時点で、扉ロック装置50による施錠が行われる。
【0075】
以上の第2実施形態の構成によれば、薬品保管庫P2への容器収容に際し、ユーザ個別に標示ラベルL2が発行され、その標示ラベルL2が貼付された後、薬品容器Yが薬品保管庫P2に収容される。これにより、薬品容器Yの所有者が誰であるかが容易に特定でき、例えば、あらかじめ定められた取り決め(時間ルールや種別ルール)に反して薬品の出し入れが行われた場合には、標示ラベルL2によってその違反行為を見つけることが可能となる。
【0076】
また、薬品保管庫P2に持ち込まれる薬品容器Yに標示ラベルL2が貼付されているかどうかを判定し、ラベル未貼付の違反行為に対して警告を行うこととしたため、薬品容器Yへの標示ラベルL2の貼付行為を促すことができる。
【0077】
その他、上記第1実施形態と同様に、あらかじめ定めた時間帯であり、かつ正規ユーザであることを条件に物品の収容を許可する構成としたため、薬品保管庫P2の適正な管理が実現できる。
【0078】
[別の実施形態]
以上説明した実施の形態に限らず、例えば以下に別例として示した形態で実施することもできる。
【0079】
・上記実施形態では、標示片として、裏面側に粘着部(シール面)を有するシール片を用い、シール面により物品(ゴミ袋G等)に貼付する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、糸紐や針金等の紐状体を設け、その紐状体を物品(ゴミ袋G等)に括り付けることにより、標示片を物品(ゴミ袋G等)に取り付ける構成としてもよい。
【0080】
・上記実施形態では、標示片(標示ラベル)として、ICチップ及びアンテナを有する構成を開示したが、これを変更し、これらICチップ及びアンテナを有していない構成であってもよい。例えば、標示片(標示ラベル)を、磁気式の被検知素子を有する構成とする。この場合、標示ラベルセンサ40では、標示ラベルの通過を磁気検知する。又は、標示片(標示ラベル)にユーザ情報(登録ユーザの識別情報)に関する印字のみを行った構成であってもよい。
【0081】
・標示片(標示ラベル)として、背景色、背景模様及び外形形状の少なくともいずれかが異なる複数タイプの標示片を発行することも可能である。例えば、背景色を変える場合には、白色、黒色、赤色、青色等の標示ラベルを発行する。背景模様を変える場合には、背景が無地、ドット、斜線、格子等となる標示ラベルを発行する。また、外形形状を変える場合には、外形形状が真円形、楕円形、長方形、三角形等となる標示ラベルを発行する。この場合、標示ラベル発行部26が、その時々で収容が許可される物品の種類(ゴミの種類等)に応じて、発行する標示片のタイプを変更する。本構成によれば、標示片を一見しただけで、本来収容すべき物品の種類(ゴミの種類等)が分かるため、ユーザにとっては誤り無く物品を収容しようとすることの手助けとなる。また、管理者にとってはルール違反(種別誤り)を一見して見つけることができる。
【0082】
・上記第1実施形態では、ユーザがゴミ収集庫P1に出入りする場合にはゴミ収集庫P1に対してゴミ袋Gの搬入(入庫)が行われるであろうことを前提に、人検知センサ30によってゴミ袋Gの搬入(入庫)を間接的に検知したが、この構成を変更し、ゴミ袋Gの搬入(入庫)を直接的に検知するようにしてもよい。例えば、ゴミ類を入れるためのゴミ袋として、ゴミ収集庫P1への入庫が磁気等により検知可能な袋体を用い、その袋体の通過を検出する構成を採用する。
【0083】
・上記実施形態では、IDコードの認証及びパスワード認証の双方によって扉ロック装置50を解錠する構成としたが、IDコード又はパスワードのいずれかの認証によって解錠する構成としてもよい。
【0084】
・上記実施形態では、ゴミ収集庫P1等に設けた操作盤20との間で通信可能な電子キー10を用い、それら双方間の通信と操作盤20へのパスワード入力とによってユーザ認証及び扉ロック解除を行ったが、これを他の構成に変更する。例えば、操作盤20へのパスワード入力のみによって、ユーザ認証及び扉ロック解除を行う構成でもよい。
【0085】
・上記実施形態では、種類及び区画に関する違反を、監視カメラ60の撮影映像又は視認によって確認していたが、例えば画像センサを設けてどの種類のものがどの区画に保管されているかを自動認識する構成等としてもよい。
【0086】
・上記各実施形態では、本発明をゴミ収集庫管理システム及び薬品保管庫管理システムとして具体化したが、その他、輸送物倉庫管理システムなどとしても具体化できる。すなわち、輸送物倉庫管理システムでは、物流品が輸送物倉庫に搬入される場合に、操作盤の標示ラベル発行部によって標示ラベルが発行され、その標示ラベルがユーザ(作業者)貼付された後、輸送物倉庫内に収容される。本構成においても上記の通り適正な物品管理が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】ゴミ収集庫の概略図。
【図2】管理システムの電気的構成を示す概略ブロック図。
【図3】IDコードとパスワードの対応関係を例示する図。
【図4】標示ラベルの発行日及び発行番号とIDコードの対応関係を例示する図。
【図5】標示ラベルの構成を例示する図。
【図6】ゴミ収集庫の区画を例示する図。
【図7】ゴミ収集に関する各ユーザの情報を例示する図。
【図8】扉ロック解錠処理を説明するフローチャート。
【図9】入出庫監視処理を説明するフローチャート。
【図10】薬品保管庫の概略図。
【図11】薬品容器に貼付された標示ラベルを例示する図。
【符号の説明】
【0088】
10…電子キー、15…出入り口(入り口部)、16…扉体、20…操作盤、22…制御部(確認手段、標示片発行手段、入庫判定手段、標示片通過判定手段、警告手段、解錠手段)、26…標示ラベル発行部(標示片発行手段)、27…表示部(警告手段)、30…人検知センサ(入庫判定手段)、40…標示ラベルセンサ(標示片通過判定手段)、50…扉ロック装置(施錠装置)、70…管理コンピュータ、81a…前面開口部(入り口部)、83…開き戸(扉体)、85…薬品容器検知センサ(入庫判定手段)L1,L2…標示ラベル(標示片)、G…ゴミ袋(物品)、Y…薬品容器(物品)、P1…ゴミ収集庫(収容庫)、P2…薬品保管庫(収容庫)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ登録された登録ユーザによって物品が収容される収容庫を管理する物品収容庫管理システムであって、
登録ユーザであるか否かの確認を行う確認手段と、
前記確認手段により登録ユーザである旨確認された場合に、当該登録ユーザの識別情報を含んでなりかつ前記物品に対して取り付け可能とされる標示片を発行する標示片発行手段と、
を備えたことを特徴とする物品収容庫管理システム。
【請求項2】
前記標示片には、当該標示片の視認のみではユーザを特定することができない形態で前記識別情報が付与され、管理者側でユーザの特定が可能となっている請求項1に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項3】
前記標示片発行手段は、背景色、背景模様及び外形形状の少なくともいずれかが異なる複数タイプの標示片を発行可能であり、その時々で収容が許可される物品の種類に応じて、発行する標示片のタイプを変更する請求項1又は2に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項4】
前記収容庫の入り口部を通じて前記物品が入庫されたことを判定する入庫判定手段と、
前記標示片発行手段により発行された標示片が、前記入り口部を通過したことを判定する標示片通過判定手段と、
前記入庫判定手段により前記物品の入庫が判定され、かつその入庫に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定されなかった場合に警告を行う警告手段と、
をさらに備えた請求項1乃至3のいずれか一項に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項5】
前記入庫判定手段は、前記物品を持ち込むユーザの前記収容庫内への進入を判定するものであり、
前記警告手段は、前記入庫判定手段によりユーザの収容庫内への進入が判定され、かつその進入に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定されなかった場合に警告を行う請求項4に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項6】
ユーザの前記収容庫からの退出を判定する手段をさらに備え、
前記警告手段は、ユーザの前記収容庫からの退出が判定され、かつその退出に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定された場合に警告を行う請求項5に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項7】
前記収容庫の入り口部に扉体が設けられるとともにその扉体に施錠装置が設けられ、その施錠装置が解錠可能となる時間帯があらかじめ定められる物品収容庫管理システムであって、
前記施錠装置が解錠可能となる時間帯において前記確認手段により登録ユーザである旨確認された場合に、前記収容庫内への物品収容を許可すべく前記施錠装置を解錠する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項8】
前記警告が行われた際、その警告に関する履歴データを逐次記憶する請求項4乃至6のいずれか一項に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項9】
前記履歴データとして、前記警告に関するもの以外に、前記収容庫内における違反行為の形跡に基づき管理者により入力される違反データを記憶する請求項8に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項10】
前記入り口部に扉体が設けられるとともにその扉体に施錠装置が設けられ、その施錠装置が解錠可能となる時間帯があらかじめ定められる物品収容庫管理システムであって、
前記施錠装置が解錠可能となる時間帯において前記確認手段により登録ユーザである旨確認された場合に、前記収容庫内への物品収容を許可すべく前記施錠装置を解錠する解錠手段と、
前記警告の履歴データに基づき、物品収容に関して過去の違反行為の状況を把握し、その違反状況に応じて前記解錠手段による施錠装置の解錠を禁止する解錠禁止手段と、
を備えた請求項9に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項11】
前記収容庫は、前記物品として複数の登録ユーザから持ち込まれるゴミ袋を収容するゴミ収集庫であり、あらかじめ定められたゴミ出し時間帯にゴミ袋の持ち込みが許可される請求項1乃至10のいずれか一項に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項1】
あらかじめ登録された登録ユーザによって物品が収容される収容庫を管理する物品収容庫管理システムであって、
登録ユーザであるか否かの確認を行う確認手段と、
前記確認手段により登録ユーザである旨確認された場合に、当該登録ユーザの識別情報を含んでなりかつ前記物品に対して取り付け可能とされる標示片を発行する標示片発行手段と、
を備えたことを特徴とする物品収容庫管理システム。
【請求項2】
前記標示片には、当該標示片の視認のみではユーザを特定することができない形態で前記識別情報が付与され、管理者側でユーザの特定が可能となっている請求項1に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項3】
前記標示片発行手段は、背景色、背景模様及び外形形状の少なくともいずれかが異なる複数タイプの標示片を発行可能であり、その時々で収容が許可される物品の種類に応じて、発行する標示片のタイプを変更する請求項1又は2に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項4】
前記収容庫の入り口部を通じて前記物品が入庫されたことを判定する入庫判定手段と、
前記標示片発行手段により発行された標示片が、前記入り口部を通過したことを判定する標示片通過判定手段と、
前記入庫判定手段により前記物品の入庫が判定され、かつその入庫に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定されなかった場合に警告を行う警告手段と、
をさらに備えた請求項1乃至3のいずれか一項に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項5】
前記入庫判定手段は、前記物品を持ち込むユーザの前記収容庫内への進入を判定するものであり、
前記警告手段は、前記入庫判定手段によりユーザの収容庫内への進入が判定され、かつその進入に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定されなかった場合に警告を行う請求項4に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項6】
ユーザの前記収容庫からの退出を判定する手段をさらに備え、
前記警告手段は、ユーザの前記収容庫からの退出が判定され、かつその退出に際し前記標示片通過判定手段により入り口部における標示片の通過が判定された場合に警告を行う請求項5に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項7】
前記収容庫の入り口部に扉体が設けられるとともにその扉体に施錠装置が設けられ、その施錠装置が解錠可能となる時間帯があらかじめ定められる物品収容庫管理システムであって、
前記施錠装置が解錠可能となる時間帯において前記確認手段により登録ユーザである旨確認された場合に、前記収容庫内への物品収容を許可すべく前記施錠装置を解錠する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項8】
前記警告が行われた際、その警告に関する履歴データを逐次記憶する請求項4乃至6のいずれか一項に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項9】
前記履歴データとして、前記警告に関するもの以外に、前記収容庫内における違反行為の形跡に基づき管理者により入力される違反データを記憶する請求項8に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項10】
前記入り口部に扉体が設けられるとともにその扉体に施錠装置が設けられ、その施錠装置が解錠可能となる時間帯があらかじめ定められる物品収容庫管理システムであって、
前記施錠装置が解錠可能となる時間帯において前記確認手段により登録ユーザである旨確認された場合に、前記収容庫内への物品収容を許可すべく前記施錠装置を解錠する解錠手段と、
前記警告の履歴データに基づき、物品収容に関して過去の違反行為の状況を把握し、その違反状況に応じて前記解錠手段による施錠装置の解錠を禁止する解錠禁止手段と、
を備えた請求項9に記載の物品収容庫管理システム。
【請求項11】
前記収容庫は、前記物品として複数の登録ユーザから持ち込まれるゴミ袋を収容するゴミ収集庫であり、あらかじめ定められたゴミ出し時間帯にゴミ袋の持ち込みが許可される請求項1乃至10のいずれか一項に記載の物品収容庫管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−174325(P2008−174325A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7373(P2007−7373)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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