説明

物品収納容器

【課題】 開封状況を容易に確認することができる物品収納容器において、開封方法がわかりやすく、開封作業が容易であって、製作コストを縮減できる物品収納容器を提供する。
【解決手段】 第一から第四側壁と、前記第一側壁から第四側壁のうち少なくともいずれかに連接された底壁と、前記第一側壁の上端側辺に連接された頂壁と、を有し、前記第一側壁から第四側壁の上端側辺によって隔成された容器開口部を前記頂壁によって閉塞する箱形の物品収納容器であって、前記第二側壁の上端側辺には、この上端側辺に沿ったスリットが形成され、前記頂壁の前記第二側壁と係合する側辺には、前記スリットから容器の内側に挿入されて係止可能な係止片が形成され、前記頂壁には、頂壁を複数に分断可能なミシン目が設けられ、前記ミシン目の端部は、前記頂壁の四側辺のうち少なくとも二側辺の近傍に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、雑貨等を収納する物品収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品、雑貨等の物品に用いる箱型の収納容器は、品質を保持するため以下のような容器を用いて容器の開封状況を確認できるように構成されていた。第一の容器は、収納容器本体の外周をフィルムで包んだ容器である。第一の容器によれば、容器を開封する際はフィルムを破かなければならず、容器を開封したか否かを一目で確認することができた。
【0003】
第二の容器は、矩形の六側面と、任意の一側面の側辺に連接され前記六側面間の一の隙間に挿入し、容器本体の開口部を塞ぐ止弁と、前記止弁が挿入された一の隙間に付着されるシール部材と、を備えた容器である。この第二の容器によれば、容器を開封する際は、前記シール部材を剥がさなければならず、容器が開封されたか否かを一目で確認することができた。
【0004】
しかし、前記第一及び第二の容器は、容器本体と別個にフィルム又はシール部材を設けなければならず、部品点数が多くなり、コスト及び製造工程が増えるという問題点を有していた。
【0005】
このような問題に鑑みてなされた第三の容器は、図12に示すように、略矩形の頂底面102,103と、頂底面102,103の両端辺に連結されてそれら頂底面102,103間に延びる前後面104,105と、頂底面102,103間に延びていて前後面104,105のいずれか一方の両側辺104a,104bに連接されて側部開口を開閉可能な左右側面106,107とを備えた六面体の包装用容器101である。
【0006】
この容器101は、前後面104,105のうちいずれか一方の両側辺104a,104bが、互いの離間距離の拡大と縮小とを繰り返すように曲折して延び、左右側面106,107が、曲折して延びている両側辺104a,104bに連接されている。
【0007】
前記左右側辺106,107には、側面フラップ106F,107Fが連接され、側面フラップ106F,107Fの中央部には、切り込み106b,107bが形成されている。前記後面105は、切り込み106b,107bに差し込むための係止片105dが形成されている。
【0008】
この容器101は、左右側面106,107が前面104に対してほぼ直交するように、左右側面106,107を前面104の左右側辺104a,104bにおいて折曲し、一対の側面フラップ106F,107Fを後面の内側に摺接させて差し込むことで、側部開口を塞ぐことができる。このとき、後面105の係止片105dを左右側面106,107の切り込み106b,107bに差し入れる。係止片105dと切り込み106b,107bとが係わり合うことで、側部開口の閉塞状態が簡単に解除されることがない。すなわち、この容器101によれば、容器を容易に開封できず、密封性を保持することができた(特許文献1)。
【0009】
前記容器101は、容器を開封する際に、前記係止片105dと切り込み106b,107bとの係合を解除する必要があるが、前述のように前記係合の解除は容易ではなく、開封作業が困難になるという問題点を有していた。
【0010】
このような問題に鑑みて、第四の容器が提案されていた。この第四の容器は、図13に示すように、第1から第4の側壁202,203,204,205と、第一側壁202の上端側辺に連接された頂壁206と、底部開口を閉じる底壁207と、を有する六面体の物品収納容器201である。前記頂壁206が、自由端縁213と、自由端縁213に連接された係止片214とを有し、第2側壁203が、その上端側辺215近傍に形成されたスリット218を有し、係止片214をスリット218から容器201の内側へ挿入する係止片214の先端部が容器201の内側に係合して、容器の開口部を閉塞することができる。
【0011】
また、容器の頂壁206には、係止片214が連接された部分を囲むように略半円形状のミシン目220が形成されている。容器を開封する際は、前記ミシン目220を破いて係止片214が連接された部分を分断して、容器の上面を開口する。
【0012】
前記第四の容器201によれば、前記ミシン目220によって前記係止片214が連接された頂壁部分を容易に切り離して、容器の上部を開口することができるため、開封作業を容易に行うことができた。しかし、前記容器201は、ミシン目220が係止片214の周縁に設けられておりその形状は小さいため、視認しにくく開封方法がわかりにくいという問題点を有していた。また、前記略半円形状の分離部は、その端部が前記係止片214に隣接して配置されているため、端部を把持できず、ミシン目220部分を押圧して開けなければならず、開封作業がしにくいという問題点を有していた。
【特許文献1】特開2000−229620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記種々の問題に鑑みてなされたものであり、開封状況を容易に確認することができる物品収納容器において、開封方法がわかりやすく、開封作業が容易であって、製作コストの縮減を図ることができる物品収納容器を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記技術的課題を解決するために以下のように構成されている。すなわち、本発明は、互いに対向して配置される略矩形の第一及び第二側壁と、前記第一側壁と第二側壁に連接され、互いに対向して配置される第三側壁と第四側壁と、前記第一から第四側壁のうち少なくともいずれか一の側壁に連接された底壁と、前記第一側壁の上端側辺に連接され、第一側壁の上端側辺から第二側壁の上端側辺に向かって上下方向に旋回可能な頂壁と、を有し、前記第一から第四側壁の上端側辺によって隔成された容器開口部を前記頂壁によって開閉する箱形の物品収納容器であって、前記フラップと連接された第二側壁の上端側辺には、この上端側辺に沿ったスリットが形成されており、前記頂壁の前記第二側壁と係合する側辺には、前記スリットから容器の内側に挿入されて係止可能な係止片が形成されており、前記頂壁には、頂壁を分離可能なミシン目が設けられており、前記ミシン目の端部は、前記頂壁の四側辺のうち少なくとも二側辺の近傍に配置されていることを特徴とする物品収納容器である。
【0015】
本発明は、前記頂壁によって容器開口部を覆い、前記係止片をスリットから容器の内側に挿入することにより、係止片とスリットが係合し、容器開口部を頂壁によって塞ぐことができる。また、前記係合片は、スリットに挿入されて係合するため、一旦係合片をスリットに挿入すると、係合片とスリットとの係合を解除することが難しい。
【0016】
容器を開封する際は、前記ミシン目によって頂壁を複数に分断し、頂壁の係止片が設けられた部分を分離して、容器開口部を開放することができる。このミシン目によって頂壁を分断する際は、ミシン目の端部が頂壁の側面に配置されているため、ミシン目の周縁の
頂壁を手で容易に把持することができ、開封作業を容易に行うことができる。さらに、容器を開封する際は、容器の頂壁のミシン目を分離するため、開封後はミシン目が分離されており、開封状況を容易に確認することが可能である。加えて、開封状況を判別するために、フィルム又はシール部材等を設ける必要がないため、部品点数を少なくして、製作コストの縮減を図ることが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る物品収納容器は、前記ミシン目の両端部が頂壁の二側面の近傍に配置されており、すなわち、ミシン目が頂壁の二側面を繋いで形成されている。このようにミシン目が形成されていることにより、ミシン目が視認しやすくなり、開封位置を容易に認識することが可能となる。
【0018】
さらに、本発明に係る物品収納容器は、前記ミシン目の端部が前記頂壁の四側辺のうち対向する二側辺の近傍に配置されていることを特徴とすることが望ましい。前記頂壁の側面のうち対向する二側面に近傍に前記ミシン目の端部を配置することにより、ミシン目の長さは、頂壁の側面と略同長以上になるため、更にミシン目を視認しやすくすることができる。
【0019】
加えて、本発明に係る物品収納容器は、前記ミシン目の端部は、前記頂壁の四側辺のうち隣接する二側辺の近傍に配置されていることを特徴としてもよい。隣接する二側辺の近傍に配置することにより、ミシン目を箱の外形に対して斜めに配置する等、種々のデザインに適応させることが可能となる。また、ミシン目によって隣り合う二側辺において頂壁を分離することができ、開封作業の効率を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る物品収納容器は、前記頂壁が前記ミシン目によって分断されることにより、係止部が形成され容器本体と分離する分離部と、前記第一側壁に連通した連通部と、に分離可能であり、前記分離部は、頂壁全体の略半分以上の面積を有することを特徴とすることが望ましい。
【0021】
前記頂壁の分離部は、ミシン目を分離することにより、容器本体と分断する部分である。この分離部が、頂壁全体の略半分以上の面積を有することにより、ミシン目を分離した際、容器開口部を広く開放することができる。従って、容器を開封した際、収納された物品を取り出しやすくなる。
【0022】
さらに、本発明に係る物品収納容器は、前記ミシン目が前記頂壁に連接する第一側壁、第三側壁及び第四側壁のうち少なくもいずれか一の側壁に連なって形成されていることを特徴としてもよい。
【0023】
前記ミシン目を頂壁だけでなく、頂壁に連接するいずれかの側壁に連ねて形成することにより、容器を開封した際に開放される容器開口部の面積を大きくすることができ、物品の取り出し易さ、及び開封されたことの視認しやすさを高めることができる。
【0024】
加えて、本発明に係る物品収納容器は、前記ミシン目の端部に、頂壁の側辺に向かって拡開した切り欠きが形成されていることを特徴とすることが望ましい。前述のように本発明に係る物品収納容器を開封する際は、ミシン目を分離することにより行う。このミシン目を分離する際は、ミシン目の周縁の頂壁を手等で把持して行う。ミシン目の端部に前記切り欠きを形成することにより、把持すべきミシン目の端部を視認しやすくなるとともに、頂壁の下方に指を挿入しやすくなり、開封作業を容易ならしめることができる。
【0025】
また、本発明に係る物品収納容器は、互いに対向して配置される略矩形の第一及び第二側壁と、前記第一側壁と第二側壁に連接され、互いに対向して配置される第三側壁と第四
側壁と、前記第一から第四側壁のうち少なくともいずれか一の側壁に連接された底壁と、前記第一側壁の上端側辺に連接され、第一側壁の上端側辺から第二側壁の上端側辺に向かって上下方向に旋回可能な頂壁と、を有し、前記第一から第四側壁の上端側辺によって隔成された容器開口部を前記頂壁によって開閉する箱形の物品収納容器であって、前記第二側壁と前記フラップとが接合する接合部の中央部には、スリットが形成され、前記頂壁の前記第二側壁と係合する一側辺には、前記スリットから容器の内側に挿入して係止可能な係止片が形成されており、前記第一の側壁から第四の側壁のうち少なくとも一の側壁には、分離可能なミシン目が設けられており、前記ミシン目の端部は、連接する側壁との間に配置されていることを特徴としてもよい。
【0026】
本発明は、前記頂壁によって容器開口部を覆い、前記係止片をスリットから容器の内側に挿入することにより、容器開口部を頂壁によって塞ぐことができる。また、前記係合片は、スリットに挿入されて係合するため、また、前記係合片は、スリットから挿入されて係合するため、一旦係合片をスリットから容器の内部に挿入すると、係合片とスリットとの係合を解除することが難しい。
【0027】
容器を開封する際は、前記ミシン目によって側壁を分断し、側壁に開口部を形成し、内部に収納された物品を出し入れすることができる。容器を開封する際は、側壁に形成されたミシン目を分離するため、開封後は、側壁のミシン目が分離されており、容易に開封されたか否かを容易に確認することができる。また、前記ミシン目の端部は、隣接する側壁との間に配置されている。本発明に係る物品収納容器は、箱形であり、側壁間は略90度に交わっている。このように略90度に交わった側壁間にミシン目の端部を配置することにより、ミシンの端部の側壁を把持し易くなり、開封作業を容易に行うことができる。
【0028】
また、本発明に係る物品収納容器は、前記ミシン目を隣接する二の側面に連ねて形成することが望ましい。前記構成により、ミシン目によって分断する側壁の面積を大きくすることが可能となり、容器開口部を大きく形成することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る物品収納容器によれば、係止片とスリットとを係合させることにより容器開口部を閉塞して、容器を開封する際にはミシン目を分離させることにより、開封するため、開封されたか否かを容易に確認することができる。また、容器を開封口となるミシン目を頂壁の測辺又は側壁の測辺に配置するため、開封口が視認しやすく、開封方法をわかりやすくすることができる。さらに、ミシン目を分離することにより、物品を出し入れする容器開口部を形成することができ、開封作業を容易に行うことができる。加えて、開封状況を判別するために、フィルム、シール部材を設ける必要がないため、部品点数を少なくし、製作コストの縮減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施の形態に係る物品収納容器の斜視図、図2は物品収納容器の展開図である。
【0031】
本実施の形態に係る物品収納容器10は、互いに対向して配置される略矩形の第一及び第二側壁1,2と、この第一及び第二側壁1,2に連接され、互いに対向して配置される第三及び第四側壁3,4と、前記第一側壁の上端側辺に連接された頂壁5と、第二側壁から第4側壁の上端側辺に各々連接されたフラップ2A,3A,4Aと、第一側壁から第4側壁の下端縁に各々連接された底壁1B,2B,3B,4Bと、が実質的に直交して箱形を呈する。
【0032】
前記第二側壁のフラップ2Aと連接した側辺の中央部には、フラップ側に折曲した突部7aと、当該突部7aから第二側壁2の上端側辺に沿って延出した直線部7bと、からなるスリット7が形成されている。
【0033】
頂壁5の第二側壁2と係合する側辺には、前記スリット7に挿入されて係止可能な係止片6が設けられている。この係止片6は、前記スリット7の突部7aと略同幅の軸部6aと、この軸部より幅が長く前記スリット7の突部7aと掛かり合う係止部6bと、を有する。
【0034】
このように構成された係止片6をスリット7から容器の内側に挿入すると、係止片6とスリット7とが係合して、頂壁5によって容器開口部を塞ぐことができる。係止片6とスリット7とが係合した状態で、頂壁5を第一側壁1との連接部を中心に旋回させて、容器開口部を開放しようとしても、係止片6の係止部6bがスリット7の突部7aに引っ掛かり、頂壁5と第二側壁2との係合は解除されない。
【0035】
前記頂壁5には、第一側壁1と連接する側辺と略平行な二本のミシン目8A,8Bが形成されており、ミシン目8A,8Bの端部には、拡開した切り欠き9A,9Bが形成されている。容器を開封する際は、ミシン目8A,8Bの端部周辺の頂壁5を指で把持し、二本のミシン目8A,8B間の頂壁5を引き上げる。ミシン目8A,8Bを分離することにより、頂壁5は複数に分断される。
【0036】
頂壁5は、ミシン目8A,8Bの分離によって、第一側壁1と連接した第一頂壁5Aと、第二側壁2と連接した第二頂壁5Cと、前記二本のミシン目8A,8B間の第三頂壁5Bと、に分断される。従って、前記ミシン目8A,8Bを分離した後、第一頂壁5Aと第二頂壁5Cをそれぞれ側壁との連接部を中心に上方に旋回させることにより、容器開口部を開放することができる。
【0037】
前記第三頂壁5Bは、前記ミシン目8A,8Bに沿った方向において、前記第一頂壁5A及び第二頂壁5Cより短く形成されている。第三の頂壁5Bを短く形成することにより、容器の開封口となるミシン目8A,8Bの端部を視認しやすくすることが可能となる。また、ミシン目8A,8Bの端部に切り欠き9A,9Bが形成されていることにより、隣接する第一頂壁5A、第二頂壁5Cと、第三頂壁5Bとを区別しやすくなるとともに、第三頂壁5Bが把持しやすくなる。
【0038】
次いで、図2に示す展開図から図1に示す物品収納容器10を組み立てる手順を説明する。連接する第一側壁1と第三側壁3とを略90度に折曲させ、互いの底壁1B,3Bとが重合する部分を固着する。同様に、第二側壁2と第四側壁4とを略90度に折曲させ、互いの底壁2B,4Bが重合部分を固着する。
【0039】
第一側壁1と第四側壁4とを互いの底壁1B,4Bが掛かり合うように略90度に折曲させて、箱型の形状にする。このとき、第二側壁2の側辺から延出したつば部2Dと第三側壁3とを固着する。これにより、物品収納容器10は、底面及び側面が形成され、上端の容器開口部のみ開放された状態となる。
【0040】
次いで、第二側壁2から第四側壁4の上端側辺に連接されたフラップ2A,3A,4Aを側壁との連接部を中心にして、下方に旋回させる。容器開口部を覆うように各フラップ2A,3A,4Aを略90度折曲すると、互いに一部が重なり合う。
【0041】
各フラップと同様にして、第一側壁1に連接された頂壁5を第一側壁1との連接部を中心にして下方に旋回させる。頂壁5を略90度折曲した後、頂壁5に設けられた係止片6
を前記スリット7から容器の内側に挿入する。
【0042】
スリット7から挿入された係止片6は、係止部6bがスリット7の突部7aの幅より長く形成されているため、互いに引っ掛かる。従って、頂壁5を上方に旋回させようとしても係止片6とスリット7との係合は解除されず、頂壁5によって容器開口部を塞ぐことができる。以上の手順により、物品収納容器10を組み立てることができる。
【0043】
一方、このように組み立てられた物品収納容器10を開封する際は、頂壁5のミシン目8A,8Bを分離する。具体的には、二本のミシン目8A,8B間の第三頂壁5Bを手で把持し、第三頂壁5Bを上方に引き上げることで、ミシン目8A,8Bは分離し、第三頂壁5Bは、隣接する第一頂壁5A及び第二頂壁5Cと分断する(図3参照)。これにより、頂壁5による容器開口部の閉塞は解除され、容器開口部を覆う各フラップを上方に旋回させることにより、容器開口部を開放することができる。
【0044】
以上のように、本実施の形態1に係る物品収納容器10によれば、係止片6とスリット7との係合によって、頂壁5で容器開口部を閉塞することができる。一方、頂壁5のミシン目8A,8Bを分離させることにより、頂壁5を複数に分断して、容器開口部を開放することができる。ミシン目8A,8Bは、視認しやすい頂壁5に設けられているため、開封口を目立たせることができる。さらに、一旦容器が開封されるとミシン目8A,8Bが分離されているため、容器の開封状況を容易に確認することができる。加えて、開封状況を判別するためにフィルム、シール部材を設ける必要がないため、部品点数を少なくして、製作コストの縮減を図ることが可能となる。
【0045】
前記物品収納容器10は、頂壁5に2本のミシン目を略平行に形成したが、前記ミシン目の配置及び長さ等は適宜に変更することが可能である。以下、ミシン目の配置を異ならせた実施形態を例示的に示す。
【0046】
図4は、他の実施形態を示した物品収納容器20である。図5は、図4に示す物品収納容器20の展開図である。物品収納容器20は、前記物品収納容器20と頂壁5の構成を異ならせた容器である。物品収納容器20において、前記物品収納容器10と同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。
【0047】
物品収納容器20は、第一側壁から第四側壁1,2,3,4と、前記側壁1,2、3,4の各下端縁に連接された底壁1B,2B,3B,4Bと、第一側壁1の上端側辺に連接された頂壁25と、第二側壁から第四側壁2,3,4の上端側辺に連接されたフラップ2A,3A,4Aと、前記頂壁25に形成された係止片6と、第二側壁2とフラップ2Aとの連接部に形成されたスリット7と、を備えている。
【0048】
物品収納容器20の頂壁25と第一側壁1とが連接する側辺の中央部には、開口スリット25dが形成されており、この開口スリット25dの両端部から各々拡開するようにミシン目28A,28Bが形成されている。前記開口スリット25dとミシン目28A,28Bとがなす角度は45度である。開口スリット25dが設けられていることにより、ミシン目28A,28Bを分離する際に、開口スリット25dから頂壁25の下方に指を挿入し、頂壁25を把持することができる。
【0049】
物品収納容器20は、前記物品収納容器10と同様に、第一から第四側壁の上端側辺によって隔成された容器開口部を頂壁25によって閉塞する容器である。頂壁25と第二側壁2との係合は、前記係止片6とスリット7との係合である。容器開口部を開放する際は、前記開口スリット25dから指を挿入し、手で頂壁25を把持し、頂壁25を上方に引き上げる。
【0050】
頂壁25を上方に引き上げることにより、ミシン目28A,28Bは分離して、頂壁25は、係止片6が設けられた第一頂壁25Aと、その両端に位置する第二及び第三頂壁25B,25Cと、に分断される。ミシン目28A,28Bが分離した状態で、第二頂壁25Bと第三頂壁25Cは、第一側壁1と連通しているが、第一頂壁25Aは第一側壁1と分断しており、第二側壁2とのみ接合している。従って、第一頂壁25Aを第二側壁2との連通部を中心にして上方に旋回させることにより、容器開口部を開放することができる。
【0051】
このように物品収納容器20によっても、係止片6とスリット7との係合により容器開口部を閉塞する一方、頂壁25のミシン目28A,28Bを分離することによって頂壁25を複数に分断して、容器開口部を形成することできる。また、前記物品収納容器10では、ミシン目を分離した後、第一頂壁5Aと第二頂壁5Bを各々上方に旋回させて容器開口部を開放していたが、物品収納容器20は、ミシン目を分離した後、第一頂壁25Aのみ上方に旋回させて容器開口部を開放すれば良く、前記物品収納容器10と比較して、容器の開封作業が簡易にすることができる。
【0052】
また、図6は、他の実施形態を示した物品収納容器30である。図7は、図6に示す物品収納容器30の展開図である。物品収納容器30は、前記物品収納容器10,20と頂壁5の構成を異ならせたものである。物品収納容器30において、前記物品収納容器10と同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。
【0053】
物品収納容器30は、前記物品収納容器10,20と同様に、第一側壁から第四側壁1,2,3,4と、前記側壁1,2、3,4の各下端縁に連接された底壁1B,2B,3B,4Bと、第一側壁1の上端側辺に連接された頂壁35と、第二側壁から第四側壁2,3,4の上端側辺に連接されたフラップ2A,3A,4Aと、前記頂壁35に形成された係止片6と、第二側壁2とフラップ2Aとの連接部に形成されたスリット7と、を備えている。
【0054】
物品収納容器30の頂壁35には、第一側壁1及び第二側壁2と連通する側壁と略平行なミシン目38が形成されている。前記ミシン目38の端部には、隣接する第四側壁4及び第三側壁3側に向かって拡開した切り欠き39A,39Bが形成されている。前記第四側壁4側の切り欠き9Aは、第三側壁3側の切り欠き39Bより大きく形成されており、ミシン目38を分離する際の把持部を視認しやすく構成されている。
【0055】
容器を開封する際は、前記頂壁35のミシン目38の端部から頂壁35の下方に指を挿入し、ミシン目38を分離する。ミシン目38を分離することにより、頂壁35は、第一側壁1と連通した第一頂壁35Aと、第二側壁2と連通した第二頂壁35Bと、に分断される。そして、第一頂壁35Aと第二頂壁35Bとを互いに、側壁との連通部を中心にして上方に旋回させることにより、容器開口部を形成することができる。
【0056】
このように物品収納容器30によっても、容器を開封する際は頂壁35のミシン目38を分離するため、開封状況を容易に確認することができる。また、物品収納容器30は、頂壁35に形成されるミシン目が1本であるため、ミシン目が2本の前記物品収納容器10,20と比較して加工作業を容易にすることができる。
<実施の形態2>
本実施の形態2に係る物品収納容器40は、互いに対向して配置される略矩形の第一及び第二側壁41,42と、この第一及び第二側壁41,42に連接され、互いに対向して配置される第三及び第四側壁43,44と、前記第一側壁41の上端側辺に連接された頂壁45と、第二側壁から第4側壁の上端側辺に各々連接されたフラップ42A,43A,
44Aと、第一側壁から第4側壁の下端縁に各々連接された底壁41B,42B,43B,44Bと、が実質的に直交して箱形を呈する。
【0057】
前記第二側壁42とフラップ42Aとの連接部の中央部には、フラップ42A側に突出した突部47aと、当該突部47aから第二側壁42の上端側辺に沿って延出した直線部47bと、からなるスリット47が形成されている。
【0058】
頂壁45の第二側壁42と係合する側辺には、前記スリット47から容器の内側に挿入されて係止可能な係止片46が設けられている。この係止片46は、前記スリット47の突部47aと略同幅の軸部46aと、この軸部46より幅が長く前記スリット47の突部47aと掛かり合う係止部6bと、を有する。
【0059】
このように構成された係止片46をスリット47から容器の内側に挿入すると、係止片46とスリット47とが係合して、頂壁45によって容器開口部を閉塞することができる。この係止片46とスリット47が係合した状態で頂壁45を第一側壁41との連接部を中心に上方に旋回させて容器開口部を開放しようとしても、係止片46の係止部46bがスリット47の突部47aに引っ掛かり、頂壁45と第二側壁42の接合が容易に解除できないように構成されている。
【0060】
以上の構成は、前記実施の形態1に係る物品収納容器10と同様であり、その組み立て方も同様である。以下は異なる構成であり、実施の形態1に係る物品収納容器10は頂壁5を分断して容器開口部を設けたが、本実施の形態2に係る物品収納容器40は、側壁にミシン目を形成して、側壁に容器開口部を設けた。
【0061】
前記第二側壁42と第四側壁44には、2本のミシン目48A,48Bが形成されている。ミシン目48A,48Bの端部は、第二側壁42と第四側壁44とが連接する連接部と、第一側壁41と第四側壁44とが連接する連接部と、に位置しており、ミシン目48A,48Bは、第一側壁41と第四側壁44とに連なって形成されている。
【0062】
第二側壁42と第四側壁44との連通部におけるミシン目端部の間には、開口スリット44dが形成されている。開口スリット44dは、容器を開封する際の開封口になる部分であり、指が挿入できる長さで形成されている。本実施の形態2に係る物品収納容器40では、開口スリット44dの長さを7mm以上とした。
【0063】
ミシン目48A,48Bは、第四側壁44において、前記開口スリット44dの両端部から第四側壁44の上端側辺及び下端測辺と略平行に延びており、その先は、互いのミシン目48A,48Bが離間するように第二側壁42の上端側辺及び下端測辺に近接するように延出している。この第四側壁44のミシン目48A,48Bと連なる第一側壁41のミシン目48A,48Bは、第一側壁41の上端側辺及び下端測辺と略平行である。
【0064】
容器を開封する際は、前記開口スリット44dから第四側壁44の下方に指を挿入し、第四側壁44から第一側壁41に向かって第四側壁44と第一側壁41を容器本体から引き離す。ミシン目48A,48Bを分離することにより、ミシン目48A,48Bの間の側壁(図9において斜線で囲んだ部分)を分断して、容器開口部を形成することができる。
【0065】
前記物品収納容器40によれば、第一側壁41と、この第一側壁41と隣接する第四側壁44に連通する容器開口部を形成することができる。容器開口部を形成した後、すなわち、容器を開封した後は、ミシン目48A,48Bが分離されているため、容器が開封されたか否かを容易に確認することができる。
【0066】
また、本実施の形態2に係る物品収納容器40は、実施の形態1に係る物品収納容器10において容器上面に設けられていた容器開口部を、側壁に設けたため、容器開口部を大きく形成することが可能となる。
【0067】
次いで、本実施の形態2に係る物品収納容器の他の実施形態を説明する。図10は、他の実施形態を示す物品収納容器50の斜視図であり、図11は、図10の物品収納容器50の展開図である。物品収納容器50は、前記物品収納容器40とミシン目の形状及び開口スリット44dの位置が異なり、他の構成は同様であるため、同符号を用いて説明を省略する。
【0068】
物品収納容器50は、前記物品収納容器40におけるミシン目48A,48Bの形状及び開口スリット44dの位置を異ならせたものである。物品収納容器50は、前記物品収納容器40において第二側壁42と第四側壁44の連接部の略中央に設けていた開口スリット44dを前記連接部の中央部より上方に配置している。
【0069】
前記開口スリット44dの両端部から形成されたミシン目58A,58Bは、第四側壁44の上端側辺及び下端測辺と略平行に延び、その先は、曲線状(R形状)であり、第四側壁44の上端側辺及び下端測辺に近接するように、互いに離間しつつ形成されている。前記ミシン目58A,58Bを曲線状に形成することにより、ミシン目を分離しやすくすることができる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施形態を例示的に説明したが、本発明に係る物品収納容器は、これらに限られず、可能な限りこれらの組み合わせも含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施の形態1に係る物品収納容器10の斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る物品収納容器10の展開図である。
【図3】実施の形態1に係る物品収納容器10の斜視図である(ミシン目分離時)。
【図4】実施の形態1に係る物品収納容器20の斜視図である。
【図5】実施の形態1に係る物品収納容器20の展開図である。
【図6】実施の形態1に係る物品収納容器30の斜視図である。
【図7】実施の形態1に係る物品収納容器30の展開図である。
【図8】実施の形態2に係る物品収納容器40の斜視図である。
【図9】実施の形態2に係る物品収納容器40の展開図である。
【図10】実施の形態2に係る物品収納容器50の斜視図である。
【図11】実施の形態2に係る物品収納容器50の展開図である。
【図12】従来の物品収納容器101の斜視図である。
【図13】従来の物品収納容器201の斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
10,20,30,40,50 物品収納容器
1,41 第一側壁
2,42 第二側壁
3,43 第三側壁
4,44 第四側壁
2A,3A,4A,42A,43A,44A フラップ
1B,2B,3B,4B,41B,42B,43B,44B 底壁
5,25,35,45 頂壁
5A,25A,35A 第一頂壁
5B,25B,35B 第二頂壁
5C,25C 第三頂壁
25d,44d, 開口スリット
6,46 係止片
6a,46a 軸部
6b,46b 係止部
7,47 スリット
7a,47a 突部
7b,47b 直線部
8A,8B,28A,28B,38,48A,48B,58A,58B ミシン目
9A,9B,39A,39B 切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して配置される略矩形の第一及び第二側壁と、前記第一側壁と第二側壁に連接され、互いに対向して配置される第三側壁と第四側壁と、前記第一側壁から第四側壁のうち少なくともいずれか一の側壁に連接された底壁と、前記第一側壁の上端側辺に連接され、第一側壁の上端側辺から第二側壁の上端側辺に向かって上下方向に旋回可能な頂壁と、を有し、前記第一側壁から第四側壁の上端側辺によって隔成された容器開口部を前記頂壁によって閉塞する箱形の物品収納容器であって、
前記第二側壁の上端側辺には、この上端側辺に沿ったスリットが形成されており、
前記頂壁の前記第二側壁と係合する側辺には、前記スリットから容器の内側に挿入されて係止可能な係止片が形成されており、
前記頂壁には、頂壁を複数に分断可能なミシン目が設けられており、
前記ミシン目の端部は、前記頂壁の四側辺のうち少なくとも二側辺の近傍に配置されていることを特徴とする物品収納容器。
【請求項2】
前記ミシン目の端部は、前記頂壁の四側辺のうち対向する二側辺の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の物品収納容器。
【請求項3】
前記ミシン目の端部は、前記頂壁の四側辺のうち隣接する二側辺の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の物品収納容器。
【請求項4】
前記頂壁は、前記ミシン目によって分断されることにより、係止部が形成され、容器本体と分離する分離部と、前記第一側壁に連通した連通部と、に分離可能であり、
前記分離部は、頂壁全体の略半分以上の面積を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の物品収納容器。
【請求項5】
前記ミシン目は、前記頂壁に連接する第一側壁、第三側壁及び第四側壁のうち少なくもいずれか一の側壁に連なって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の物品収納容器。
【請求項6】
前記ミシン目の端部には、頂壁の側辺に向かって拡開した切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の物品収納容器。
【請求項7】
互いに対向して配置される略矩形の第一及び第二側壁と、前記第一側壁と第二側壁に連接され、互いに対向して配置される第三側壁と第四側壁と、前記第一から第四側壁のうち少なくともいずれか一の側壁に連接された底壁と、前記第一側壁の上端側辺に連接され、第一側壁の上端側辺から第二側壁の上端側辺に向かって上下方向に旋回可能な頂壁と、を有し、前記第一から第四側壁の上端側辺によって隔成された容器開口部を前記頂壁によって閉塞する箱形の物品収納容器であって、
前記第二側壁の上端側辺には、この上端側辺に沿ったスリットが形成されており、
前記頂壁の前記第二側壁と係合する側辺には、前記スリットから容器の内側に挿入されて係止可能な係止片が形成されており、
前記第一側壁から第四側壁のうち少なくともうちいずれかの側壁には、側壁を複数に分断可能なミシン目が設けられており、
前記ミシン目の端部は、連接する側壁との間に配置されていることを特徴とする物品収納容器。
【請求項8】
前記ミシン目は、隣接する二の側壁に連なって形成されていることを特徴とする請求項7に記載の物品収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−290428(P2006−290428A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115452(P2005−115452)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【出願人】(391018743)トーイン株式会社 (8)
【Fターム(参考)】