説明

物品収納設備

【課題】 停電時に移動させることができ且つ構成簡単な消火用装置を備えた物品収納設備を提供する。
【解決手段】 収納棚1に発生した火災を消火する消火用装置4を、供給源から供給される水又は消火剤を収納棚に向けて噴出する噴出部35を上下方向に並ぶように複数備えた装置本体33と、収納棚の前方側の収納棚横幅方向に沿う作業用通路2の上方に位置させる状態でその作業用通路2の長手方向に沿うように設けた案内レール34とを備え、装置本体33を案内レール34にその長手方向に沿って移動自在に吊り下げ支持して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納部を上下左右に並べて備えている収納棚と、前記収納棚に発生した火災を消火する消火用装置とが設けられている物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品収納設備は、収納棚に発生した火災を消火用装置にて消火するように構成されたものである。
このような物品収納設備において、従来では、消火用装置が収納棚に対して物品を出し入れするスタッカークレーンを利用して構成されている。具体的には、供給源から供給される水又は消火剤を収納棚に向けて噴出する噴出部をスタッカークレーンの支柱に上下方向に並ぶように複数備えさせて消火用装置が構成されており、収納棚に発生した火災を検出する火災検知手段の検出情報に基づいて、スタッカークレーンの作動を制御する制御手段が、火災が発生した箇所にスタッカークレーンを走行させ、そして消火用装置にて収納棚に発生した火災を消火するように構成されている。この従来例では、スタッカークレーンにバッテリー電源等の非常用電源を備えさせて、停電時でも非常用電源からの給電によりスタッカークレーンを火災が発生した箇所に走行させることができるようにして、消火用装置にて収納棚に発生した火災を消火できるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−226909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の物品収納設備では、収納棚に火災が発生した際に停電が生じても、非常用電源の電力にてスタッカークレーンを火災が発生した箇所に走行させて火災を消火できるように構成されているが、非常用電源を設けてスタッカークレーンに給電する構成であるため、消火用装置の構成が複雑になってしまうものであり、また、非常用電源の電力をスタッカークレーンに給電する給電線が断線する等により、スタッカークレーンを走行させることができないために収納棚に発生した火災を消火することができない等、火災を適確に消火することができない可能性があった。
ちなみに、スタッカークレーンを電力にて走行させることができないときには、消火作業者が、スタッカークレーンを押し操作させることが考えられるが、重量が大きなスタッカークレーンを押し操作させるには大きな操作力が必要となるものであり、消火作業を良好に行ない難い不具合がある。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、収納棚に発生した火災を適確に消火することができ且つ構成が簡素な消火用装置を備えた物品収納設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品収納設備は、収納部を上下左右に並べて備えている収納棚と、前記収納棚に発生した火災を消火する消火用装置とが設けられているものであって、
その第1特徴構成は、前記消火用装置が、供給源から供給される水又は消火剤を前記収納棚に向けて噴出する噴出部を上下方向に並ぶように複数備えた装置本体と、前記収納棚の前方側の収納棚横幅方向に沿う作業用通路の上方に位置させる状態でその作業用通路の長手方向に沿うように設けた案内レールとを備え、前記装置本体を前記案内レールにその長手方向に沿って移動自在に吊り下げ支持して構成されている点にある。
【0007】
すなわち、収納棚に火災が発生した際には、装置本体を火災が発生した箇所に人為的に移動させ、噴出部から水又は消火剤を噴出させて火災を消火することになる。
装置本体は案内レールにその長手方向に沿って移動自在に吊り下げ支持されているので、消火作業者は小さな操作力にて軽快に装置本体を移動させることができ、また、装置本体には噴出部を上下方向に並ぶように複数備えているから、収納棚に発生した火災が収納棚の上下方向に広範囲に又は上下方向に分散して発生した場合でも、火災を適確に消火することができる。
【0008】
従って、装置本体を案内レールに沿って移動自在に吊り下げ支持して人為操作にて移動させるようにする簡素な構成にて、火災を適確に消火することができるのであり、もって、収納棚に発生した火災を適確に消火することができ且つ構成が簡素な消火用装置を備えた物品収納設備を提供することができるに至った。
【0009】
本発明にかかる物品収納設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記装置本体が、前記噴出部を複数備えた供給体と、この供給体を縦軸心周りに回転自在に支持し且つ前記案内レールにその長手方向に沿って移動自在に吊り下げ支持された移動体とを備えて構成されている点にある。
【0010】
すなわち、移動体に対して供給体を回転させて噴出部から噴出される水又は消火剤の噴出方向を変更することができるため、装置本体を火災が発生した箇所に移動させた状態において移動体に対して供給体を回転させることにより、移動体を案内レールに沿って移動させることなく収納棚の横幅方向に沿って水又は消火剤を噴きつける位置を変更しながら消火作業を行なうことができるので、移動体の移動操作を少なくしながら良好に消火作業を行うことができる。
従って、第1特徴構成の効果に加えて、収納棚に発生した火災を消火させる際の移動体の移動操作を少なくすることができながらも良好に消火作業を行うことができる消火用装置を備えた物品収納設備を提供することができるに至った。
【0011】
本発明にかかる物品収納設備の第3特徴構成は、第2特徴構成において、前記移動体に対する前記供給体の回転操作並びに前記移動体の前記案内レールの長手方向に沿う移動操作を行うための人為操作用のハンドルが、前記供給体の下部に設けられている点にある。
【0012】
すなわち、消火作業者は、供給体の下部に設けられた人為操作用のハンドルを操作することにより、移動体に対する供給体の回転操作や移動体の案内レールの長手方向に沿う移動操作を行うことになる。このように人為操作用のハンドルが設けられているから、扱い易くなって、移動体の移動操作及び供給体の回転操作を良好に行うことができる。
従って、第2特徴構成の効果に加えて、操作がし易くなって良好に消火活動を行うことができる消火用装置を備えた物品収納設備を提供することができるに至った。
【0013】
本発明にかかる物品収納設備の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれか1つにおいて、前記作業用通路を走行して前記収納棚に対して物品を出し入れするスタッカークレーンが設けられ、前記装置本体が、前記作業用通路の長手方向に沿って水又は消火剤を噴出する補助噴出部を備えて構成されている点にある。
【0014】
すなわち、スタッカークレーンに火災が発生した際には、装置本体をスタッカークレーンに隣接する箇所に移動させ、補助噴出部から噴出される水又は消火剤をスタッカークレーンに噴きつけて、スタッカークレーンに発生した火災を消火することができる。
従って、第1〜第3特徴構成のいずれかの構成による効果に加えて、スタッカークレーンに発生した火災も適切に消火することができる消火用装置を備えた物品収納設備を提供することができるに至った。
【0015】
本発明にかかる物品収納設備の第5特徴構成は、第4特徴構成において、前記スタッカークレーンの上部を案内する上部用レールが前記案内レールに兼用されている点にある。
【0016】
すなわち、消火用装置における装置本体を、スタッカークレーンを案内するために設けられた上部用レールを利用して吊り下げ支持することにより、装置本体を吊り下げ支持する専用の案内レールを設けないようにして、消火用装置の構成の簡素化を図ることができる。
従って、第4特徴構成による効果に加えて、構成の簡素化を図ることができる消火用装置を備えた物品収納設備を提供することができるに至った。
【0017】
本発明にかかる物品収納設備の第6特徴構成は、第1〜第5特徴構成のいずれか1つにおいて、前記収納棚が、前記作業用通路の両側に設けられ、前記噴出部が、前記作業用通路の横幅方向の両側に向けて水又は消火剤を噴出するように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、噴出部が作業用通路の両側に向けて水又は消火剤を噴出するように構成されているため、作業用通路の両側に設けられた収納棚で同時に火災が発生したとしても、その両側の収納棚に向けて噴出部から水又は消火剤を噴出して両側の収納棚の火災を消火させることができる。
従って、第1〜第5特徴構成のいずれかの構成による効果に加えて、収納棚に発生した火災を良好に消火することができる消火用装置を備えた物品収納設備を提供することができるに至った。
【0019】
本発明にかかる物品収納設備の第7特徴構成は、第1〜第6特徴構成のいずれか1つにおいて、前記装置本体が、非使用時において前記作業用通路の長手方向における一端部と他端部との待機箇所に保管する形態で一対設けられている点にある。
【0020】
すなわち、スタッカークレーンを間に挟むように作業用通路の長手方向における一端側と他端側との両方に装置本体が保管されているので、停電等により作業用通路の途中で装置本体の移動を妨げるようにスタッカークレーンが停止してしまった場合でも、作業用通路におけるスタッカークレーンが停止する箇所よりも一端側では、その一端側の装置本体を移動させて収納棚に発生した火災を消火することができ、また、作業用通路におけるスタッカークレーンが停止する箇所よりも他端側では、その他端側の装置本体を移動させて収納棚に発生した火災を消火することができ、スタッカークレーンを移動させることなく収納棚に発生した火災を消火することができる。
従って、第1〜第6特徴構成のいずれかの構成による効果に加えて、スタッカークレーンを移動させることなく収納棚に発生した火災を良好に消火することができる消火用装置を備えた物品収納設備を提供することができるに至った。
【0021】
本発明にかかる物品収納設備の第8特徴構成は、第1〜第7特徴構成のいずれか1つにおいて、前記収納棚に発生した火災を検出する火災検知手段と、外部から前記作業用通路に通じる入出用通路の扉設置箇所に設けられたロック可能な開閉扉と、前記火災検知手段が火災を検出するに伴って前記開閉扉のロックを解除するロック解除手段とが備えられている点にある。
【0022】
すなわち、開閉扉がロックされていても、火災発生により開閉扉のロックが解除されるため、消火作業者は、火災発生時に開閉扉のロックを解除することなく作業用通路に侵入することができるので迅速に消火活動を行うことができる。
従って、第1〜第7特徴構成のいずれかの構成による効果に加えて、消火作業者が迅速に消火活動を行うことができる消火用装置を備えた物品収納設備を提供することができるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品収納設備は、物品を収納する収納部を上下左右に並べて備えている収納棚1と、この収納棚1の前方側の収納棚横幅方向に沿う作業用通路2を走行して前記収納棚1に対して物品を出し入れするスタッカークレーン3と、前記収納棚1に発生した火災を消火する消火用装置4とを倉庫内に設けて構成されており、例示図においては、収納棚1は、2本の作業用通路2夫々の両側に位置する状態で4個設けられている。
【0024】
倉庫の側壁には、入出庫コンベア6を設けるためのコンベア用開口部7が形成されており、入出庫コンベア6にてコンベア用開口部7を通して倉庫内に入庫された物品はスタッカークレーン3にて収納棚1に搬入され、スタッカークレーン3にて収納棚1から搬出された物品は入出庫コンベア6にてコンベア用開口部7を通して倉庫外に出庫されるように構成されている。そして、コンベア用開口部7には開閉自在なシャッター装置8が設けられており、図7に示すように、入出庫コンベア6におけるコンベア用開口部7が位置する設定範囲内に物品が存在するか否かを検出する存否センサ9の検出情報に基づいて、シャッター装置8を開閉制御する制御手段Hが備えられている。
【0025】
また、図1に示すように、外部から前記作業用通路2に通じる入出用通路12が、倉庫の側壁を通過する状態に設けられ、消火作業者は入出用通路12を通って作業用通路2まで進入可能に構成されている。そして、入出用通路12の扉接地箇所には、ロック装置51(図7参照)にてロック可能な開閉扉13が設けられている。
【0026】
次に、スタッカークレーン3について説明する。図2に示すように、スタッカークレーン3は、下部用レール15に沿って走行自在な走行台車16と、この走行台車16に立設された前後一対の支柱18に沿って昇降自在で且つフォーク装置17を設けた昇降台19とを備えて構成されている。そして、前後一対の支柱18の上端部は、上部フレーム21にて連結されている。さらに、支柱18は、上部用レール20に案内されるようになっている。
【0027】
また、スタッカークレーン3には、走行台車16に設けられた走行車輪22を駆動回転させる走行用モータと走行車輪22を制動させるブレーキ装置とを備えた駆動装置23、昇降台19を昇降移動させる昇降用モータ25、及び、フォーク装置17の出退移動させる出退用モータ26の作動を制御する制御装置(図示せず)が設けられており、上位コントローラからの入出庫指令に基づいて、制御装置が駆動装置23、昇降用モータ25、出退用モータ26の作動を制御するように構成されている。尚、駆動装置23におけるブレーキ装置は、非通電時に走行車輪22を制動するようにネガティブブレーキにて構成されている。
【0028】
次に消火用装置4について説明する。
図2及び図3に示すように、消火用装置4は、供給源としての自立型の放水口31(図1参照)から供給される水を前記収納棚1に向けて噴出する噴出部35を上下方向に並ぶように複数備えた装置本体33と、前記作業用通路2の上方に位置させる状態でその作業用通路2の長手方向に沿うように設けた案内レール34とを備え、前記装置本体33を前記案内レール34にその長手方向に沿って移動自在に吊り下げ支持して構成されており、収納棚に火災が発生した際には、装置本体33を火災が発生した箇所に人為的に移動させて、噴出部35から噴出する水にて収納棚1に発生した火災を消火するように構成されている。
また、装置本体33は、前記作業用通路2の長手方向に沿って水を噴出する補助噴出部36を備えて構成されており、スタッカークレーン3に火災が発生した際には、装置本体33をスタッカークレーン3に隣接する箇所に人為的に移動させて、補助噴出部36から噴出する水にてスタッカークレーン3に発生した火災を消火するように構成されている。
そして、前記スタッカークレーン3の上部を案内する上部用レール20は、前記案内レール34に兼用されている。
【0029】
前記装置本体33は、前記噴出部35を複数備えた供給体37と、この供給体37を縦軸心周りに回転自在に支持し且つ前記上部用レール20にその長手方向に沿って移動自在に吊り下げ支持された移動体38とを備えて構成されている。
移動体38の吊り下げ支持について説明を加えると、図4に示すように、移動体38における枠体40の上端部には回転自在な支持用車輪41が設けられており、この支持用車輪41が上部用レール20に載置支持されることによって、移動体38が上部用レール20にその長手方向に沿って移動自在に吊り下げ支持されている。
また、供給体37の支持について説明を加えると、図4に示すように、供給体37の上端部には、移動体38の平板部分40aに形成された挿通孔に挿通される棒状部材42が設けられ、この棒状部材42の上端部に、挿通孔より大型で平板部分40a上をスライド移動自在な支持部材43が設けられており、これら棒状部材42と支持部材43とによって供給体37が移動体38に縦軸芯周りに回転自在に支持されている。
そして、供給体37における支持部材43の回転は図外の規制部材にて設定角度以上の回転が規制されており、供給体37は、図5に示すように噴出部35の噴出方向が作業用通路2の横幅方向に沿う方向となる基本姿勢や、図6に示すように移動体38に対して基本姿勢から正逆方向に夫々45°程度の範囲で回転させた傾斜姿勢に変更可能に構成されている。
【0030】
図3、図5及び図6に示すように、供給体37は、上下方向に沿う姿勢の一対の送水管47を、作業用通路2の横幅方向に並ぶ形態で一体状態に接続して構成されているものであり、一対の送水管47夫々に、上下方向に並ぶように7つ噴出ヘッド48を設けられている。そして、一方の送水管47の下から6つの噴出ヘッド48は、作業用通路2の横幅方向における一方の収納棚1が存在する側に向けて水を噴出するように設けられ、他方の送水管47の下から6つの噴出ヘッド48は、作業用通路2の横幅方向における他方の収納棚1が存在する側に向けて噴出するように設けられている。また、夫々の送水管47の最上の噴出ヘッド48は、作業用通路2の長手方向におけるスタッカークレーン3が存在する方向に向けて水を噴出するように設けられている。
そして、作業用通路2の横幅方向に噴出する噴出ヘッド48における同高さに設けられた一対の噴出ヘッド48にて、前記作業用通路2の横幅方向の両側に向けて水を噴出する噴出部35が構成され、また、作業用通路2の長手方向に噴出する一対の噴出ヘッド48にて、前記作業用通路2の長手方向に沿って水を噴出する補助噴出部36が構成されており、装置本体33には、6つの噴出部35と1つの補助噴出部36とが備えられている。
尚、上記送水管47の並び方向や噴出部35及び補助噴出部36の水の噴出方向は、前記基本姿勢における方向である。
【0031】
図3に示すように、前記供給体37の下部には、前記移動体38に対する前記供給体37の回転操作並びに前記移動体38の前記案内レール34の長手方向に沿う移動操作を行うための人為操作用のハンドル39が設けられている。このハンドル39は、供給体37から作業用通路2の横幅方向の両側に突出するように設けられており、供給体37を間に挟んだ状態で2人の消火作業者にて装置本体33を操作できるように構成されている。
また、供給体37における送水管47の夫々は、ハンドル39が設けられた箇所よりも下方の部分において、下端部が水平状態又は略水平状態となるように屈曲されており、その先端にホース49が接続されるように構成されている。そして、ホース49の他端側は放水口31に接続されており、放水口31からの水がホース49を介して供給体37に供給されるように構成されている。
さらに、供給体37には、この供給体37の先端部に落下物が直接に当たらないように先端部の上方を覆う防護屋根50が取り付けられている。
【0032】
図1に示すように、前記装置本体33は、非使用時において前記作業用通路2の長手方向における一端部と他端部との待機箇所に保管する形態で一対設けられている。
つまり、作業用通路2においてスタッカークレーン3の一端側と他端側との両側に装置本体33が保管されているので、停電等により作業用通路2の途中でスタッカークレーン3が停止してしまった場合でも、作業用通路2におけるスタッカークレーン3が停止する箇所よりも一端側では、その一端側の装置本体33を移動させて収納棚1に発生した火災を消火することができ、また、作業用通路2におけるスタッカークレーン3が停止する箇所よりも他端側では、その他端側の装置本体33を移動させて収納棚1に発生した火災を消火することができる。
【0033】
図7に示すように、物品収納設備には、前記収納棚1に発生した火災を検出する火災検知手段Sと、火災検知手段Sが火災を検出するに伴って前記開閉扉13のロックを解除するロック解除手段としての制御手段Hとが備えられている。
また、物品収納設備には、開閉扉13をロック状態並びに非ロック状態に切り換え可能なロック装置51や火災検知手段Sが火災を検出するに伴って警報を発する警報装置52が備えられている。
そして、火災検知手段Sは、収納部に収納した物品やパレットに発生した火災等の収納棚1に発生した火災を検出する収納棚用火災検知センサ53と、搬送途中の荷やパレットに発生した火災等のスタッカークレーン3に発生した火災を検出するクレーン用火災検知センサ54とを備えて構成されており、収納棚1に発生した火災とともにスタッカークレーン3に発生した火災も検出するように構成されている。
制御手段Hは、火災検知手段Sから検出情報が入力されると、警報装置52を作動させるとともに、ロック装置51がロック状態であればロック装置51をロック解除状態に切り換えるように構成されている。
従って、消火作業者は、収納棚1やスタッカークレーン3に火災の発生が発生すると警報装置52にて警報が発せられることにより火災が発生したことを知ることができ、また、開閉扉13のロックが解除されているので作業用通路2内に進入して消火用装置4の装置本体33を移動させて収納棚1やスタッカークレーン3に発生した火災を消火することができる。
また、消火用装置4は、スタッカークレーン3とは別体で人為操作によって移動させるように構成されており、火災検知手段Sの検出結果に基づいて収納棚1に発生した火災を消火すべくスタッカークレーン3の作動を制御するような制御を行う必要がないので、スタッカークレーン3に備える制御装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0034】
〔別実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、移動体38に供給体37を縦軸芯周りに回転自在に支持したが、移動体38に対して供給体37が縦軸芯周りに回転しないように移動体38と供給体を一体的に構成してもよい。この場合、人為操作用のハンドル39にて、移動体38の案内レール34の長手方向に沿う移動操作のみを行う。
【0035】
(2) 上記実施の形態では、上部用レール20を前記案内レール34に兼用し、1つのレールにてスタッカークレーン3の上部の案内と消火用装置4における装置本体33の案内支持とを行うように構成したが、スタッカークレーン3の上部を案内する上部用レール20と消火用装置4における装置本体33を案内支持する案内レール34とを夫々個別に設けてもよい。このように、上部用レール20と案内レール34とを夫々個別に設けることにより、スタッカークレーン3の移動経路と装置本体33の移動経路とが重複しないように構成することができる。
【0036】
(3) 上記実施の形態では、装置本体33を、噴出部35と補助噴出部36とを備えて構成したが、補助噴出部36を備えずに噴出部35だけを備えて構成してもよい。
このように補助噴出部36を備えなくても、供給体37の移動体38に対する回転角度を大きくすることによって、噴出部35から作業用通路2の長手方向に沿って噴出される水又は消火剤にてスタッカークレーン3に発生した火災を消火することができる。
また、噴出部35の一部又は全部を、作業用通路2の長手方向に沿っても水又は消火剤を噴出することができるように構成して、収納棚1に発生した火災とスタッカークレーン3に発生した火災とを同時に消火できるように構成してもよい。
【0037】
(4) 上記実施の形態では、噴出部35を作業用通路2の横幅方向の両側に向けて水又は消火剤を噴出するように構成したが、噴出部35を作業用通路2の横幅方向に片側に向けて水又は消火剤を噴出するように構成してもよい。
このように噴出部35を作業用通路2の横幅方向に片側に向けて水又は消火剤を噴出するように構成しても、供給体37の移動体38に対する回転角度を大きくすることによって、作業用通路2の横幅方向の両側に設けた収納棚1に発生した火災を消火することができる。尚、収納棚1を作業用通路2の両側に設けたが、収納棚1を作業用通路2の片側にだけ設けても良い。
【0038】
(5) 上記実施の形態では、消火用装置4に装置本体33を一対設けたが、消火用装置4に装置本体33を1つだけ設けてもよい。この場合、スタッカークレーン3の移動軌跡と重複しないように装置本体33を設けることによって、スタッカークレーン3が作業用通路2の途中で停止してしまっても、収納棚1の収納棚横幅方向の全幅に亘って消火活動を行うことができる。
【0039】
(6) 上記実施の形態では、火災検知手段Sが火災を検出するに伴って開閉扉13のロックを解除するロック解除手段Hを備えて、火災が発生したら開閉扉13のロックを自動的に解除するように構成したが、開閉扉13を外部からの給水ホースの水圧にてロック解除される水圧解除扉で構成してもよい。
【0040】
(7) 上記実施の形態では、倉庫内に放水口31を設けて倉庫外にある送水口から供給される水を利用するように構成したが、倉庫内に採水口を設けて防火水槽等に貯蔵された水を利用するように構成してもよい。
【0041】
(8) 上記実施の形態では、噴出部35から水を噴出するように構成したが、噴出部35から二酸化炭素やハロゲン化物等の消火剤を噴出するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】物品収納設備の平面図
【図2】スタッカークレーンと消火用装置との側面図
【図3】消火用装置の斜視図
【図4】装置本体の上部を示す図
【図5】消火用装置の水の噴出状態を示す図
【図6】装置本体の回転状態を示す図
【図7】制御ブロック図
【符号の説明】
【0043】
1 収納棚
2 作業用通路
3 スタッカークレーン
4 消火用装置
13 開閉扉
20 上部用レール
31 供給源
33 装置本体
34 案内レール
35 噴出部
36 補助噴出部
37 供給体
38 移動体
39 ハンドル
S 火災検知手段
H ロック解除手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部を上下左右に並べて備えている収納棚と、前記収納棚に発生した火災を消火する消火用装置とが設けられている物品収納設備であって、
前記消火用装置が、供給源から供給される水又は消火剤を前記収納棚に向けて噴出する噴出部を上下方向に並ぶように複数備えた装置本体と、前記収納棚の前方側の収納棚横幅方向に沿う作業用通路の上方に位置させる状態でその作業用通路の長手方向に沿うように設けた案内レールとを備え、前記装置本体を前記案内レールにその長手方向に沿って移動自在に吊り下げ支持して構成されている物品収納設備。
【請求項2】
前記装置本体が、前記噴出部を複数備えた供給体と、この供給体を縦軸心周りに回転自在に支持し且つ前記案内レールにその長手方向に沿って移動自在に吊り下げ支持された移動体とを備えて構成されている請求項1記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記移動体に対する前記供給体の回転操作並びに前記移動体の前記案内レールの長手方向に沿う移動操作を行うための人為操作用のハンドルが、前記供給体の下部に設けられている請求項2記載の物品収納設備。
【請求項4】
前記作業用通路を走行して前記収納棚に対して物品を出し入れするスタッカークレーンが設けられ、
前記装置本体が、前記作業用通路の長手方向に沿って水又は消火剤を噴出する補助噴出部を備えて構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品収納設備。
【請求項5】
前記スタッカークレーンの上部を案内する上部用レールが前記案内レールに兼用されている請求項4記載の物品収納設備。
【請求項6】
前記収納棚が、前記作業用通路の両側に設けられ、
前記噴出部が、前記作業用通路の横幅方向の両側に向けて水又は消火剤を噴出するように構成されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品収納設備。
【請求項7】
前記装置本体が、非使用時において前記作業用通路の長手方向における一端部と他端部との待機箇所に保管する形態で一対設けられている請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品収納設備。
【請求項8】
前記収納棚に発生した火災を検出する火災検知手段と、
外部から前記作業用通路に通じる入出用通路の扉設置箇所に設けられたロック可能な開閉扉と、
前記火災検知手段が火災を検出するに伴って前記開閉扉のロックを解除するロック解除手段とが備えられている請求項1〜7のいずれか一項に記載の物品収納設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate