説明

物品取扱装置

【課題】取り出し(ピッキング)作業をするため、或は、投入(仕分け)作業をするために、各間口の取扱作業の指示を強く認識させ、できるだけ作業の誤りを低減することができ、取扱作業の信頼性を向上すること。
【解決手段】複数の間口2からそれぞれ各物品をピッキングするため、或は、複数の間口に各物品を仕分けするための物品取扱装置であって、各間口2には、間口正面に向けて間口周囲に沿ってチューブライト7Aが配置され、各間口2のチューブライト7Aを選択的に発光することで物品取扱い作業を指示する物品取扱装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各物品を複数の間口からそれぞれ取り出し(ピッキング)するため、或は、各物品を複数の間口にそれぞれ投入(仕分け)するための物品取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各物品を複数の間口からそれぞれ取り出し(ピッキング)したり、或は、各物品を複数の間口にそれぞれ投入(仕分け)したりするものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、その図2に示すように、各棚部分の夫々には上下4段の荷載置棚が備えられ、各荷載置棚の夫々には横方向に3種類の物品を収納する3個の棚間口が形成され、上下左右合わせて12種類の物品を収納する複数の物品載置部としての棚間口が構成されている。各棚間口の下端位置には、その上側の棚間口の物品が取出すべき物品であることを指示する矢印型の取出し物品指示用ランプとその取出し数量を表示する取出し数量表示器とが設けられている。
また、同文献1中の図3と図4に示すように、台車には、機台フレームの車体後方側及び前方側位置夫々に左右一対の後部側ポスト及び前部側ポストが立設され、上下2段に構成されたフレーム状の棚が、後部側ポスト及び前部側ポストに支持されている。各棚上には、物品収納部としての収納箱が車体前後方向及び車体横幅方向に各2個並べた状態で載置され、各収納箱の位置に対応する各棚の車体横幅方向の両端部には、各収納箱に対する物品収納情報を表示する表示器が、その上方側の収納箱が棚側から取出した物品を収納すべき収納箱であることを示す矢印型等の表示ランプや、その収納数量を表示する数量表示器等を備えて設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−133429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この従来技術では、棚間口側において、棚間口にある物品が取出すべき物品であることを指示する矢印型の取出し物品指示用ランプをいちいち確認する必要があった。そのため、作業者は取り出し作業に慣れてくるとその確認を見落として、他の棚間口にある物品を取出す等のうっかりミスをしていた。さらには、台車側において、棚間口から取出した物品を収納すべき収納箱であることを示す矢印型等の表示ランプやその収納数量を表示する数量表示器等を確認する必要があった。そのため、作業者は投入作業に慣れてくるとその確認を見落として、他の収納箱に投入する等のうっかりミスをしていた。
【0006】
本発明は、取り出し(ピッキング)作業や投入(仕分け)作業に際し、各間口での物品取扱い作業の指示を強く認識させ、できるだけ作業の誤りを低減することができ、物品取扱い作業の信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の間口からそれぞれ各物品をピッキングするため、或は、複数の間口にそれぞれ各物品を仕分けするための物品取扱装置であって、各間口には、間口正面に向けて間口周囲に沿って光素子が配置され、各間口の光素子を選択的に発光することで物品取扱い作業を指示することを特徴としている。
従って、各間口での物品取扱い作業の指示を強く認識させることができるため、できるだけ作業の誤りを低減することができ、物品取扱い作業の信頼性を向上することができる。
【0008】
また、各間口には物品取扱数量を表示する間口表示器が設けられており、間口と間口表示器を共に囲うように光素子が配置されることを特徴としている。
従って、さらに明確に各間口での物品取扱い作業の指示を認識することができる。
【0009】
また、光素子は可とう性のある素材で覆われて屈曲可能な帯状を構成し、間口の上下のフレームに係止されることを特徴としている。
従って、光素子は可とう性のある素材で覆われて屈曲可能な帯状をもって構成され、しかも、間口の左右のフレームがなくても係止可能とし得るので、物品取扱い作業の際に左右のフレームで手を損傷する等のケガをなくすことができる。
【0010】
また、間口は上下方向に複数段で配置され、各段毎で光素子を異なる色に発光させることを特徴としている。
従って、物品取扱い作業の指示を受けた間口を色にても認識可能となり、当該作業の慣れに伴って作業の誤りを低減する手助けができる。
【発明の効果】
【0011】
第1発明の特徴構成によれば、各間口の物品取扱い作業の指示を強く認識させることができるため、できるだけ作業の誤りを低減することができ、物品取扱い作業の信頼性を向上することができる。
第2発明の特徴構成によれば、さらに明確に各間口での物品取扱い作業の指示を認識することができる。
第3発明の特徴構成によれば、光素子は可とう性のある素材で覆われて屈曲可能な帯状をもって構成され、しかも、左右のフレームがないため、物品取扱い作業の際に左右のフレームで手を損傷する等のケガをなくすことができる。
第4発明の特徴構成によれば、物品取扱い作業の指示を受けた間口を色にても認識可能となり、当該作業の慣れに伴って作業の誤りを低減する手助けができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の物品取扱装置の要部斜視図である。
【図2】本実施形態の物品取扱装置の制御構成図である。
【図3】本実施形態の光素子を含むチューブライトの構造である。
【図4】本実施形態の物品取扱装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例を図1〜図4に基づいて説明する。
図1に示すように、作業棚(物品取扱装置の一例)1は3段12列(図1では3段3列のみを抜粋して示す。)の間口2を1ゾーンとして、複数のゾーンが作業に必要な間隔をもって平行に配置されている。作業棚1は、前後左右の支柱8に上下3段の棚部3が取り付けられ、各棚部3は前方のフレーム4Aと後方のフレーム4Bの間に棚板3Aが設けられている。
作業棚1の脇にはコンピュータからなるコントローラが設けられ、図2に示すように、コントローラには表示装置5Aと物品のバーコードのスキャン機能を備えた固定式のバーコードリーダ5Bとプリンタ5Cがそれぞれ設けられている。
【0014】
また、作業棚1には各間口2に物品取扱数量を表示する間口表示器6が設けられ、間口表示器6とのインターフェイスを行う表示コントローラ9が設けられている。表示コントローラ9には36台×ゾーン数分の間口表示器6がコネクタ6aにより並列に接続されている。
作業棚1の各間口2には、各物品が棚部3の背面側から品種別に棚板3A上に収納される。各間口毎にそれぞれ、特有の間口番号が設定され、その正面前方のフレーム4Aに間口表示器6が設けられている。
各間口表示器6は、図1に示すように、各間口2にある物品の取り出し作業(物品取扱い作業の一例)をするために物品の数量を示す3桁の表示部6Aと、取り出し作業があることを示すランプと作業が完了したことを指示するボタンスイッチを兼ねた完了ボタン6Bから構成される。
間口表示器6は、信号ラインに接続される入出力インターフェイス部を介してコントローラにより表示コントローラ9との間で、各間口表示器6に割り当てられた間口番号に基づいて信号の授受と確認が行われ、表示部への数量表示信号、完了ボタンのランプ表示信号と作業完了指示の押し操作信号が受け渡しされる。
取り出し作業に際して、表示コントローラ9からの指示による間口表示器6の完了ランプのランプ表示により、間口2における取り出し作業の有りが表示され、表示部6Aへ取り出し作業する物品の数量が表示される。取り出し作業を実行して、取り出しした物品を、図4に示す作業用台車11へ投入し、物品の投入作業が終了すると、完了ランプを押し操作してその間口における取り出し作業が終了する。
【0015】
さらに、図1で示すように、各間口2には、間口正面に向けて間口周囲に沿ってチューブライト7Aが配置され、このチューブライト7Aは図3で示すように、発光ダイオード(LED)である光素子7、7、7‥‥が電源線コード7d、7dで複数等間隔に配置され、それらの外周は可とう性のあるプラスチック素材で覆われて自由に屈曲可能な透明性のある帯状を構成し、間口の上下のフレーム4Aの開口孔(図示せず)に係止されるようにその四隅を係止具(図示ぜず)で締結するように屈曲して取り付けられている。
また、チューブライト7Aは、図1に示すように、間口2と間口表示器6を共に囲うように配置される。
チューブライト7Aは、表示コントローラ9によって信号ラインと電源ラインによる電気的配線類を設けることで点灯制御される。図2に示すように、信号ラインと電源ラインを形成するケーブルが敷設され、光素子は接続コネクタ7bにより各間口表示器6に接続され、ケーブルの一端に表示コントローラ9が接続される。
チューブライト7Aは、図3に示すように、電源コード7aの一端の接続コネクタ7bがチューブライト7Aのキャップ口7cに接続されて、電源コードの他端の電源プラグが間口表示器の電源ケーブルを介して接続されている。
【0016】
上記構成の取り出し作業の動作を説明する。
まず、表示コントローラ9は通常、光素子を消灯させている。上位コンピュータより物品取扱い作業の指示が出されたとき、間口表示器の表示部の数量表示と完了ランプのランプ表示と共に、光素子を点灯させる。
物品を取り出すべき間口の表示部の数量表示と完了ランプのランプ表示と光素子の点灯を選択的に、あるいは同時に発光することで取り出し作業を指示する。
表示部にその数量を表示させ、且つ完了ボタンのランプを点灯し、光素子を点灯させ、作業完了時に完了ボタンの押し操作信号を表示コントローラ9へ出力するとともに、この押し操作信号により表示部の表示を消去してランプを消灯し、さらに光素子を消灯する。
このような物品取扱い作業の指示を繰り返し実行することで作業は終了する。
【0017】
なお、上下方向に複数段で配置される間口の最下段である1段目の光素子は赤色に発光させ、中段である2段目の光素子は青色に発光させ、最上段である3段目の光素子は緑色に発光させ、各段毎で異なる色に発光させる。
【0018】
さらに、前記取り出し作業の終了後、取り出した物品を図4で示すように、特定のゾーン内にある所定の作業用台車11の各間口へ投入(物品取扱い作業の一例)作業することができる。
【0019】
作業用台車(物品取扱装置の一例)11は3段3列の間口12を配置している。作業用台車11は、前後左右の支柱18に上下3段の棚部13が取り付けられ、各棚部13は前方のフレーム14Aと後方のフレーム14Bの間に棚板13Aが設けられている。また、各支柱18の下端には移動して作業するための走行用車輪20が設けられている。
作業用台車11には、コンピュータからなる表示コントローラ19が設けられ、表示コントローラにはデータ通信装置21を介して表示装置15Aが設けられている。
【0020】
また、作業用台車11には各間口12に間口表示器16が設けられ、間口表示器16とのインターフェイスを行う表示コントローラ19が設けられている。表示コントローラ19には7個の間口表示器16がコネクタ16aにより接続されている。
各間口12はそれぞれ、特有の間口番号が設定され、その正面前方のフレーム14Aに間口表示器16が設けられている。
各間口表示器16は、各間口12へ物品を投入作業(物品取扱い作業の一例)するために物品の数量を示す3桁の表示部16Aと、投入作業があることを示すランプと作業が完了したことを指示するボタンスイッチを兼ねた完了ボタン16Bから構成される。
間口表示器16は、信号ラインに接続される入出力インターフェイス部を介してコントローラにより表示コントローラ19との間で、各間口表示器16に割り当てられた間口番号に基づいて信号の授受と確認が行われ、表示部への数量表示信号、完了ボタンのランプ表示信号、作業完了指示の押し操作信号が受け渡しされる。
投入作業に際して、表示コントローラ19からの指示による間口表示器16の完了ランプのランプ表示により、間口における投入作業の有りが表示され、表示部16Aへ投入作業する物品の数量が表示される。投入作業を実行して終了すると、完了ランプを押し操作して間口における投入作業が終了する。
【0021】
さらに、作業棚1と同様に、図4で示すように、各間口12には、間口正面に向けて間口周囲に沿ってチューブライト17Aが配置され、このチューブライト17Aは図3で示すように、発光ダイオード(LED)である光素子17、17、17‥‥が電源線コード17d、17dで複数等間隔に配置され、それらの外周は可とう性のあるプラスチック素材で覆われて自由に屈曲可能な透明性のある帯状を構成し、間口の上下のフレーム14Aの開口孔(図示せず)に係止されるようにその四隅を係止具(図示ぜず)で締結するように屈曲して取り付けられている。
また、チューブライト17Aは、図4に示すように、間口12と間口表示器16を共に囲うように配置される。
チューブライト17Aは、表示コントローラ19によって信号ラインと電源ラインによる電気的配線類を設けることで点灯制御される。図2に示すように、信号ラインと電源ラインを形成するケーブルが敷設され、コネクタ16aにより各間口表示器に接続され、ケーブルの一端に表示コントローラ19が接続される。
チューブライト17Aは、図3に示すように、電源コード17aの一端の接続コネクタ17bがチューブライト17のキャップ口17cに接続されて、電源コードの他端の電源プラグが間口表示器の電源ケーブルを介して接続されている。
【0022】
上記構成の投入作業の動作を説明する。
まず、表示コントローラ19は通常、光素子を消灯させている。上位コンピュータより物品取扱い作業の指示が発生したとき、間口表示器の表示部の数量表示と完了ランプのランプ表示と共に、光素子を点灯させる。
物品を投入すべき間口の表示部への数量表示と完了ランプのランプ表示と光素子の点灯を選択的に、あるいは同時に発光することで投入作業を指示する。
表示部にその数量を表示させ、且つ完了ボタンのランプを点灯し、光素子を点灯させ、作業完了時に完了ボタンの押し操作信号を表示コントローラ19へ出力するとともに、この押し操作信号により表示部の表示を消去してランプを消灯し、さらに光素子を消灯する。
このような物品取扱い作業の指示を繰り返し、同様の操作を行い、全ての操作が終了して、次の種類の物品の投入作業を待つ。
【0023】
上下方向に複数段で配置される間口の最下段である1段目の光素子は赤色に発光させ、中段である2段目の光素子は青色に発光させ、上段である3段目の光素子は緑色に発光させ、各段毎で異なる色に発光させる。最上段には作業用台車本体の補強のための天板22が設けられている。
【0024】
なお、本実施形態では、作業棚として流動棚を使用しているが、物品が移動しない一般棚を使用することもできる。
また、本実施形態では、作業棚から取り出した物品を作業用台車へ投入するが、作業棚から取り出した物品を作業棚の脇にあるコンベヤ上の作業用容器へ投入するシステムであってもよい。
また、光素子として、発光ダイオード(LED)を使用しているが、これに限らず電球であってもよい。また、光素子は可とう性のある素材で覆われて屈曲可能な帯状を構成しているが、単に各光素子を1本の直管蛍光灯とすることも可能である。
また、ピッキング作業があることを示すランプと作業が完了したことを指示するボタンスイッチを兼ねた完了ボタンから構成しているが、これらランプとボタンスイッチは別々に設けた構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、各物品を複数の間口からそれぞれ取り出し(ピッキング)するため、或は、各間口を複数の間口にそれぞれ投入(仕分け)するための物品取扱装置に好適であるが、組立ラインの部品棚から物品を取り出して組立するシステムで利用することもできる。
【符号の説明】
【0026】
1 作業棚
2 間口
3 棚部
3A 棚板
4A 前方のフレーム
4B 後方のフレーム
5A 表示装置
5B バーコードリーダ
5C プリンタ
6 間口表示器
6A 表示部
6B 完了ボタン
6a コネクタ
7 光素子
7A チューブライト
7a 電源コード
7b 接続コネクタ
7c キャップ口
7d 電源線コード
8 支柱
9 表示コントローラ
11 作業用台車
12 間口
13 棚部
13A 棚板
14A 前方のフレーム
14B 後方のフレーム
15A 表示装置
16 間口表示器
16A 表示部
16B 完了ボタン
16a コネクタ
17 光素子
17A チューブライト
17a 電源コード
17b 接続コネクタ
17c キャップ口
17d 電源線コード
18 支柱
19 表示コントローラ
20 走行用車輪
21 データ通信装置
22 天板



























【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の間口から各物品をそれぞれピッキングするため、或は、複数の間口に各物品をそれぞれ仕分けするための物品取扱装置であって、
各間口には、間口正面に向けて間口周囲に沿って光素子が配置され、各間口の光素子を選択的に発光することで物品取扱い作業を指示することを特徴とする物品取扱装置。
【請求項2】
各間口には物品取扱数量を表示する間口表示器が設けられており、間口と間口表示器を共に囲うように光素子が配置されることを特徴とする請求項1に記載の物品取扱装置。
【請求項3】
光素子は可とう性のある素材で覆われて屈曲可能な帯状を構成し、間口の上下のフレームに係止されることを特徴とする請求項1に記載の物品取扱装置。
【請求項4】
間口は上下方向に複数段で配置され、各段毎で光素子を異なる色に発光させることを特徴とする請求項1に記載の物品取扱装置。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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