説明

物品所在管理システム、物品所在管理装置および物品所在管理方法

【課題】物品への付加コストが小さく、システム構築コストの増大を抑制可能な物品所在管理技術を提供する。
【解決手段】物品置場70は区画71に区分され、各区画71の中央辺りに区画タグ10が設けられる。物品30は遮蔽部301を有し、その上部に物品タグ20が貼付される。タグリーダ50は、所定の時間ごとにアンテナ40を介して物品置場70内に所在する区画タグ10および物品タグ20からその識別情報を一括して読み取る。物品30が区画71に載置されると、その区画71の区画タグ10は遮蔽部301により遮蔽されるので、その識別情報はタグリーダ50によって読み取られない。そこで、物品所在管理装置60は、タグリーダ50により取得した区画タグ10および物品タグ20識別情報を、前回取得したものと比較し、その差分情報に基づき、載置または除去された物品30を検知し、その所在区画71を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚や倉庫などの物品置場や、搬送装置のコンベアベルト上などに載置された物品の所在位置を検知し、管理する物品所在管理システム、物品所在管理装置および物品所在管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造工程における物品管理などの工業分野に限らず、商品管理、文書・図書管理などのサービス業分野に至るまで、様々な場面において、物品の所在位置を検知する需要が増加している。
【0003】
物品が広範囲に散在する場合、その物品の位置を検知する方法として、しばしば、GPS(Global Positioning System)が用いられる。GPSは、カーナビゲーションにおける車両位置の検知や携帯電話の所持者の位置検知などに広く応用されているが、GPSの場合、人工衛星から送信される電波を利用して位置計測を行うので、屋内での利用ができない、位置の分解能に限界がある、受信機が高価になる、などのデメリットがある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に示されているように、無線LAN(Local Area Network)などの複数の基地局からの電波に基づき、物品の位置を計測する技術が開発されている。その位置計測の基本原理は、GPSに類似するものであるが、基地局を屋内に設けることができるので、屋内での物品の位置計測が可能となる。また、その位置計測の分解能も向上する。しかしながら、物品側に無線LANの端末を付加する必要があるので、利用者にとっては、物品側に付加する端末のコストが負担になる。
【0005】
物品の位置計測に際し、物品側の付加コストを低減しようとする場合には、しばしば、RFID(Radio Frequency Identification)タグが用いられる。RFIDタグを利用する場合、物品側の付加コストは、1個数円ないし数10円程度で済むとされている。
【0006】
ちなみに、特許文献2には、位置検知対象エリアを所定の大きさの区画に区分し、その区分された各区画にRFIDタグのリーダ(以下、単に、タグリーダという)を設け、物品に付したRFIDタグがどの区画のタグリーダによって読み出されたかによって、その物品の位置を検知する例が示されている。ただし、この例の場合、物品側の付加コストを低減することはできるが、位置検知対象エリアに多数のタグリーダを設ける必要があるので、システム構築コストを低減することはできない。
【0007】
また、特許文献3や特許文献4などには、棚ごとにRFIDタグの送受信アンテナを設け、棚に載置されている物品に付されたRFIDタグを一括して読み取ることによって、棚に載置されている物品の管理を行うシステムの例が示されている。この例の場合、タグリーダを1つまたは少数で済ますことができるので、システム構築コストを低減することができる。しかしながら、物品の所在位置の分解能は、棚までであり、棚のどの位置にあるかは検知することができない。
【特許文献1】特開2004−101254号公報
【特許文献2】特開平7−56990号公報
【特許文献3】特開2006−124123号公報
【特許文献4】特開2007−72830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、従来においては、物品の所在位置を検知し、管理しようとするとき、物品側の付加コストを抑制しようとすると、そのシステム構築コストが増大するという問題があった。また、システム構築コストを抑制しようとすると、物品側の付加コストが増大するか、または、充分な位置分解能が得られないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明においては、物品側の付加コストを抑制することができ、システム構築コストの増大を抑制することができ、かつ、目的にかなった位置分解能を得ることが可能な物品所在管理システム、物品所在管理装置および物品所在管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明においては、物品の位置検知対象エリア(以下、物品置場または物品通路という)を所定の大きさの区画に区分し、その区分されたそれぞれの区画に区画識別用のRFIDタグを設ける。また、位置検知対象の物品には、物品識別用のRFIDタグを付すとともに、その物品が前記の物品置場または物品通路の区画に配置されたとき、その区画に設けられた区画識別用のRFIDタグを遮蔽するような遮蔽部を設ける。そして、管理装置は、所定の時間ごとに、タグリーダを介して、当該物品置場または物品通路内に所在する区画識別用のRFIDタグおよび物品識別用のRFIDタグから、その識別情報を一括して取得し、その取得した識別情報と前回取得した識別情報とに基づき、当該物品置場または物品通路内におけるRFIDタグの識別情報の新たな出現または消滅を検知し、その新たに出現または消滅した識別情報とその物品の前回の所在位置情報とに基づき、その物品の現在の所在位置を決定する。
【0011】
本発明によれば、ある物品を物品置場または物品通路のある区画に配置すると、その区画に配置された区画識別用のRFIDタグの識別情報は、物品の遮蔽部により遮蔽されるため、タグリーダによって読み出すことができなくなる。代りに、その区画に載置された物品に付された物品識別用のRFIDタグの識別情報が読み出されるようになる。また、逆に、ある区画に配置された物品が取り去られた場合には、その物品に付された物品識別用のRFIDタグの識別情報は読み出されなくなり、代りに、その区画に配置された区画識別用のRFIDタグの識別情報が読み出されるようになる。
【0012】
そこで、管理装置は、所定の時間間隔で物品置場または物品通路から一括して読み出されるRFIDタグの識別情報を監視しておけば、新たな識別情報の出現または消滅を検知することができる。すなわち、新たな識別情報が出現または消滅した場合には、物品が区画に配置されたり、区画から取り去られたりしたことを意味する。従って、管理装置は、そのとき出現または消滅した区画識別用のRFIDタグおよび物品識別用のRFIDタグの識別情報に基づき、出現または消滅した物品の位置を決定することができる。
【0013】
以上、本発明においては、安価なRFIDタグを多数使用するが、高価なタグリーダを多数使用することもなく、また、物品に無線LAN端末を付加する必要もない。従って、物品の付加コストの増加はわずかで済み、また、システム構築コストの増大も抑制することができる。さらに、位置検知の分解能は、物品置場または物品通路の区画の大きさで決まるので、その大きさは、位置検知の目的に応じて、適宜、決めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、物品側の付加コストを抑制することができ、システム構築コストの増大を抑制することができ、かつ、目的にかなった位置分解能を得ることが可能な物品所在管理システム、物品所在管理装置および物品所在管理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る物品所在管理システムの構成の例を示した図であり、(a)は、物品置場の横断面の模式図、および、物品所在管理装置のブロック構成の例を示し、(b)は、物品置場の上面の模式図の例を示している。
【0017】
図1に示すように、物品所在管理システム1は、複数の区画71に区分された物品置場70と、その物品置場70のそれぞれの区画71に載置される物品30と、タグリーダ50と、物品所在管理装置60と、を含んで構成される。
【0018】
ここで、物品置場70のそれぞれの区画71には、区画識別用のRFIDタグである区画タグ10がそれぞれ設けられている。すなわち、区画タグ10は、その区画71のほぼ中央部の床の表面部に、例えば、埋め込まれていたり、貼付されていたりする。また、所在管理対象の物品30には、物品識別用のRFIDタグである物品タグ20が付される。すなわち、物品タグ20は、物品30の上部などに貼付されたり、添付されたりする。
【0019】
物品30は、区画71に載置されたとき、その区画71に設けられた区画タグ10を遮蔽することが可能な遮蔽部301を有する。なお、物品30が導電性の金属などで構成されている場合には、それを遮蔽部301とみなすことができる。また、物品30が誘電体などで構成されていた場合には、その底部に導電性の金属箔などを貼り付け、それを遮蔽部301としてもよい。また、誘電体などで構成された物品30を導電性の金属などからなるトレイに載置するものとし、そのトレイを遮蔽部301としてもよい。
【0020】
物品置場70の上方には、タグリーダ50に接続されたアンテナ40が設置される。本実施形態では、タグリーダ50と区画タグ10および物品タグ20との間の通信には、UHF帯域(860〜960MHz)の電波を利用するものとする。この場合、その通信可能な距離は、5〜6mであるので、物品置場70として、例えば、5〜6m四方程度の広さを想定することができる。
【0021】
一般に、電波は、UHF帯域など短波長になると、直進性が強くなるので、物品30が存在しない区画71の区画タグ10であっても、アンテナ40の位置や、隣接する区画71に載置された物品30の大きさまたは高さなどによっては、その物品30の陰になり、その識別情報を読み出せない場合がある。そこで、図1(a)に示すように、1つのタグリーダ50に対して、複数のアンテナ40を接続するようにすれば、隣接する区画71の物品30の陰になる可能性を低減することができる。
【0022】
なお、このように1つのタグリーダ50に対して複数のアンテナ40を接続した場合には、タグリーダ50は、アンテナ40を時分割に、適宜、切替えながら使用することになる。また、アンテナ40を複数設けることにより、物品置場70、つまり、物品所在管理の対象エリアの拡大が可能になるのはいうまでもない。
【0023】
続いて、図1(a)の右半分に示すように、物品所在管理装置60は、タグ情報取得部61、タグ情報変化検知部62、所在位置決定部63、所在位置出力部64、所在位置履歴記憶部65、表示装置66などを含んで構成される。
【0024】
タグ情報取得部61は、所定の時間、例えば、0.1秒ごとに、タグリーダ50に対して、物品置場70に所在する区画タグ10および物品タグ20からその識別情報を一括して取得することを指示するとともに、その指示に応じてタグリーダ50が物品置場70に所在する区画タグ10および物品タグ20から読み出した識別情報を取得する。
【0025】
すなわち、タグ情報取得部61が、タグリーダ50に対し、識別情報の取得を指示すると、タグリーダ50は、所定の形式の信号電波をアンテナ40から物品置場70に所在する区画タグ10および物品タグ20へ送信(ブロードキャスト)する。その信号電波を受信した区画タグ10および物品タグ20は、自らの識別情報を含む情報をタグリーダ50へ返送する。このとき、物品30により遮蔽されている区画71の区画タグ10から識別情報が返送されることはない。タグリーダ50は、返送される識別情報を受信し、受信した識別情報をタグ情報取得部61へ送付する。
【0026】
タグ情報変化検知部62は、以上のようにしてタグ情報取得部61が取得した区画タグ10および物品タグ20の識別情報を、前回取得した区画タグ10および物品タグ20の識別情報と比較することにより、その変化を検知し、そのとき新たに出現または消滅した区画タグ10および物品タグ20を判定する。
【0027】
所在位置決定部63は、タグ情報変化検知部62により検知された新たに出現または消滅した区画タグ10および物品タグ20の識別情報と、所在位置履歴記憶部65に格納されている前回決定された物品30の所在位置情報とに基づき、物品30の現在の所在位置情報を決定し、その決定した所在位置情報を所在位置履歴記憶部65に格納する。
【0028】
所在位置出力部64は、所在位置決定部63により決定された物品30の現在の所在位置情報や所在位置履歴記憶部65に格納されている物品30の所在位置の履歴情報を、物品所在管理システム1の利用者の求めに応じて、適宜、表示装置66などに出力する。
【0029】
以上のような物品所在管理装置60は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)やハードディスク装置などの記憶装置と、を備えたパソコンなどによって構成される。その場合、物品所在管理装置60における機能ブロックであるタグ情報取得部61、タグ情報変化検知部62、所在位置決定部63および所在位置出力部64の機能は、CPUがRAMなどに格納された所定のプログラムを実行することによって実現される。
【0030】
図2は、第1の実施形態に係る所在位置履歴情報の構成の例を示した図である。図2に示すように、所在位置履歴情報は、時刻フィールドと、物品置場70の区画数と同じ数の区画フィールドとによって構成される。
【0031】
時刻フィールドには、タグ情報変化検知部62によりタグ情報の変化が検知された時刻が格納される。また、区画フィールドには、その区画フィールドに対応する区画71に付されている区画タグ10の識別情報、または、その区画71に載置された物品30に付されている物品タグ20の識別情報が格納される。なお、図2において、区画フィールドに記載の数字は、対応する区画71に設けられた区画タグ10の識別情報を表し、英文字は、対応する区画71に載置された物品30に付された物品タグ20の識別情報を表す。
【0032】
続いて、図2および図1を、適宜、参照して、第1の実施形態に係る物品30の所在位置検知の基本的な考え方について説明する。
【0033】
まず、図2において、初期時刻tには、物品置場70は初期状態にあり、このとき、物品30はいずれの区画71にも載置されていない。このとき、タグ情報取得部61は、識別情報{1,2,3,4,5,6,…}を取得する。この識別情報は、区画タグ10だけの識別情報からなる。
【0034】
そこで、例えば、作業者などが、時刻tのときに、識別情報が“2”の区画71に、識別情報が“A”の物品30を載置すると、タグ情報取得部61は、識別情報{A,1,3,4,5,6,…}を取得する。次に、タグ情報変化検知部62は、その取得した識別情報を前に取得した識別情報と比較し、識別情報“A”の出現および識別情報“2”の消滅を検知する。その結果に基づき、所在位置決定部63は、識別情報が“A”の物品30が、識別情報が“2”の区画71に載置されたことを認識し、その物品30の所在位置を定めることができる。
【0035】
すなわち、物品所在管理装置60は、タグリーダ50を介して、物品置場70内の区画タグ10および物品タグ20を一括して読み出すことにより、作業者などからの報告を受けることなく(つまり、作業者などが何ら入力作業を行うことなく)、識別情報が“A”の物品30が載置された区画位置の情報、つまり、所在位置の情報を取得することができる。
【0036】
続いて、作業者などが、時刻tのときに、識別情報が“4”の区画71に、識別情報が“B”の物品30を載置すると、タグ情報取得部61は、識別情報{A,B,1,3,5,6,…}を取得する。この場合、タグ情報変化検知部62は、識別情報“B”の出現および識別情報“4”の消滅を検知するので、所在位置決定部63は、識別情報が“B”の物品30が、識別情報が“4”の区画71に載置されたことを認識し、その物品30の所在位置を定めることができる。
【0037】
また、時刻tでは、識別情報“4”の出現および識別情報“B”の消滅が検知されるので、所在位置決定部63は、識別情報が“4”の区画71から識別情報が“B”の物品30が除去されたことを認識する。また、時刻tn+1では、識別情報“F”の出現および識別情報“6”の消滅が検知されるので、所在位置決定部63は、識別情報が“F”の物品30が、識別情報が“6”の区画71に載置されたことを認識し、その所在位置を識別情報が“6”の区画71に定める。
【0038】
なお、本実施形態では、タグ情報変化検知部62が、複数の物品30の識別情報の出現、および、それと同数の区画71の識別情報の消滅を、同時に検出した場合には、所在位置決定部63は、その出現した識別情報を有する物品30の所在位置を定めることができない。例えば、ある時刻tに、識別情報“C”および“D”の出現と、識別情報“3”および“5”の消滅を検知した場合には、識別情報が“C”(または“D”)の物品30の所在位置を、識別情報が“3”の区画71および識別情報が“5”の区画71のうち、どちらの区画71であるかを定めることができない。
【0039】
ただし、本実施形態では、タグ情報取得部61がタグリーダ50を介して物品置場70内の区画タグ10および物品タグ20を読み出す時間間隔は、作業者などが物品30を物品置場70に載置したり、物品置場70から取り出したりする頻度の時間間隔よりも充分に小さいものとする。従って、複数の物品30が同時に複数の区画71に載置されることはないものとする。
【0040】
図3は、第1の実施形態に係る物品所在管理装置60における物品所在位置決定処理の処理フローの例を示した図である。物品所在管理装置60のCPU(図1に図示せず)は、この物品所在位置決定処理を、所定の時間間隔で(例えば、0.1秒ごとに)繰り返し実行する。
【0041】
物品所在管理装置60のCPUは、まず、タグ情報取得部61の処理として、タグリーダ50を介して、物品置場70に所在する区画タグ10および物品タグ20からその識別情報を取得する(ステップS01)。このとき、物品30が載置された区画71の区画タグ10は、その物品30の遮蔽部301によって遮蔽されるので、その識別情報がステップS01の処理で取得されることはない。
【0042】
次に、CPUは、タグ情報変化検知部62の処理として、ステップS01で取得した識別情報を前回取得した識別情報と比較し(ステップS02)、識別情報に変化があった否かを判定する(ステップS03)。その判定の結果、識別情報に変化がなかったときには(ステップS03でNo)、物品30の物品置場70への出し入れがなかったことを意味するので、CPUは、物品所在位置決定処理を終了する。
【0043】
一方、識別情報が変化していたときには(ステップS03でYes)、物品30の物品置場70への出し入れがあったことを意味するので、CPUは、新たな物品30の識別情報が出現したのか、それまであった物品30の識別情報が消滅したのかを判定する(ステップS04)。
【0044】
すなわち、前回取得したタグ情報に対して、新たな物品30の識別情報が出現し、区画71の識別情報の1つが消滅していた場合には(ステップS04でYes)、CPUは、所在位置決定部63の処理として、新たに出現した識別情報を有する物品30が、消滅した識別情報を有する区画71に載置されたと判定する(ステップS05)。
【0045】
また、新たな区画71の識別情報が出現し、物品30の識別情報の1つが消滅していた場合には、CPUは、所在位置決定部63の処理として、消滅した識別情報を有する物品30が、新たに出現した識別情報を有する区画71から除去されたと判定する(ステップS06)。
【0046】
次に、CPUは、ステップS05で物品30が載置されたと判定された区画71、または、ステップS06で物品30が除去されたと判定された区画71について、所在位置履歴記憶部65に格納されている所在位置履歴情報の区画フィールドの情報を更新する(ステップS07)。
【0047】
以上のようにして、物品所在管理装置60は、タグリーダ50によって取得されるタグ情報の変化を検知することによって、物品置場70内に所在する物品30の所在位置を検知し、管理することができる。
【0048】
(第1の実施形態の変形例1)
図1に示した物品置場70は、倉庫の床などに区画71を設け、物品30をその床の上に載置することを想定しているが、ここでは、その実施形態の変形例として、図1(b)を物品棚の側面図、図1(a)物品棚の水平断面図とみなす。
【0049】
その場合には、区画タグ10は、例えば、物品棚の奥の壁面に設けられ、アンテナ40は、物品棚の前面の前方に設けられる。このとき、物品30の遮蔽部301は、物品30の側面に設けられ、物品30がその物品棚に載置されたとき、区画タグ10を遮蔽する。また、物品タグ20は、物品30の前面側に付される。
【0050】
以上のように、第1の実施形態を変形しても、第1の実施形態における所在位置検知方法は、そのまま適用することができ、物品所在管理装置60の構成および機能を特に変更する必要はない。
【0051】
(第1の実施形態の変形例2)
図4は、本発明の第1の実施形態の変形例に係る物品倉庫の例を示した図である。図4に示すように、物品倉庫80には、物品配置区画81が設けられ、さらに、物品倉庫80には、通路82が設けられている。このとき、各々の物品配置区画81には、図示しない区画タグ10が設けられているが、通路82には、区画タグ10は設けられていない。なお、図4において、物品配置区画81内に記載した番号は、その物品配置区画81に付される区画タグ10の識別情報の例である。また、情報処理上必要な場合には、通路82にも“5−X”のような仮想の識別情報を付してもよい。
【0052】
また、物品倉庫80の上部には図示しないアンテナ40が設けられており、タグリーダ50は、そのアンテナ40を介して、物品倉庫80内の物品配置区画81に設けられた区画タグ10、および、物品倉庫80内に持ち込まれた物品30に付されている物品タグ20の識別情報を一括して読み出す。
【0053】
このような物品倉庫80においては、アンテナ40から送信される電波が物品倉庫80内から漏れないようにするために、物品倉庫80の外壁は、通常、電波の遮蔽機能を備えている。しかしながら、物品30が物品倉庫80内に持ち込まれると、物品30が通路82にあるときであっても、タグリーダ50は、その物品30に付された物品タグ20の識別情報を読み出すことになる。この場合には、物品所在管理装置60は、図3に示した物品所在位置決定処理をそのまま使用することはできないが、次のように一部修正するだけで使用可能になる。
【0054】
まず、図2の所在位置履歴情報に通路82に対応する区画フィールド(以下、通路フィールドという)を用意しておく。この通路フィールドには、物品30が通路82にあるときだけ、その物品30に付された物品タグ20の識別情報が格納される。そして、ステップS04の分岐判断を次のように4つ分岐に変更する。
【0055】
すなわち、CPUは、識別情報の変化が、(1)区画71の識別情報が増減することなく、新たな物品30の識別情報が出現した場合、(2)区画71の識別情報が増減することなく、物品30の識別情報の1つが消滅した場合、(3)新たな物品30の識別情報が増減することなく、区画71の識別情報の1つが消滅した場合、(4)新たな物品30の識別情報が増減することなく、区画71の識別情報が出現した場合、のいずれに該当するかを判定する。
【0056】
その判定に結果、区画71の識別情報が増減することなく、新たな物品30の識別情報が出現した前記(1)の場合には、物品30が外から物品倉庫80の通路82に持ち込まれたことを意味するので、CPUは、その物品30の識別情報を所在位置履歴情報の通路フィールドに格納する。
【0057】
また、区画71の識別情報が増減することなく、物品30の識別情報の1つが消滅した前記(2)の場合には、物品30が通路82から物品倉庫80の外へ持ち出されたことを意味するので、CPUは、所在位置履歴情報の通路フィールドに格納されていた物品30の識別情報を消去する。
【0058】
また、新たな物品30の識別情報が増減することなく、区画71の識別情報の1つが消滅した前記(3)の場合には、通路82にあった物品30が物品配置区画81へ載置されたことを意味するので、CPUは、所在位置履歴情報において、通路フィールドに格納されていた物品30の識別情報を消去し、消滅した区画71に対応する区画フィールドにその消去した識別情報を格納する。
【0059】
また、新たな物品30の識別情報が増減することなく、区画71の識別情報が出現した前記(4)の場合には、物品30が物品配置区画81から通路82へ移されたことを意味するので、CPUは、所在位置履歴情報において、出現した区画71に対応する区画フィールドに格納されていた物品30の識別情報を消去し、その消去した識別情報を通路フィールドに格納する。
【0060】
なお、以上の説明において、通路82に複数の物品30が同時に存在することはないものとする。通路82に複数の物品30が同時に存在することを許容するには、例えば、複数のアンテナ40などにより、通路82上において物品30の位置を個別に識別する必要がある。
【0061】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態では、物品置場70がコンベアなどの搬送装置上に構成された場合について説明する。なお、以下の説明では、特に断らない限り、第1の実施形態の構成要素と同じ構成要素には、同じ用語および同じ符号を用い、その説明を省略する。
【0062】
図5は、本発明の第2の実施形態を適用する物品加工工程の例を示した図である。この物品加工工程においては、加工対象の物品30がコンベアベルト75上に載せられて搬送され、作業者77は、その搬送されている物品30の1つを、適宜、取り出し、自分の作業台76でその物品30に所定の加工を施し、加工した物品30をコンベアベルト75上に戻す。
【0063】
一般には、コンベアベルト75は、物品30が搬送される搬送路、つまり、物品通路としての役割を果たすが、図5のような物品加工工程においては、特に、作業者77にとっては、コンベアベルト75は、物品置場としての役割も果たしている。そこで、本明細書では、コンベアベルト75など物品通路上であっても、所定の大きさの区画に区分され、そのそれぞれの区画に区画タグ10が設けられた領域は、以下、物品置場70と呼ぶ。
【0064】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る物品所在管理システムの構成の例を示した図であり、(a)は、搬送装置上に構成された物品置場の横断面の模式図の例を示し、(b)は、物品置場の上面の模式図の例を示している。
【0065】
図6に示すように、第2の実施形態に係る物品所在管理システム1aにおいては、物品30は、搬送装置の被搬送部を構成するコンベアベルト75の上に載せられる。そして、コンベアベルト75は、所定のスピードで左から右へ移動する。このとき、コンベアベルト75の始点には、物品搬入部751が設けられ、コンベアベルト75の終点には、物品取出部752が設けられ、加工前の物品30が物品搬入部751から搬入され、加工後の物品30が物品取出部752から取り出される。
【0066】
また、コンベアベルト75の下方には、区画タグ設置台72が設けられており、その区画タグ設置台72は、所定の大きさの複数の区画71に区分され、各々の区画71には、区画タグ10が貼付されている。従って、本実施形態の場合、区画71は移動しないが、物品30は移動する。
【0067】
また、物品30は、第1の実施形態の場合と同様に、遮蔽部301を含んで構成され、その上部には、物品タグ20が貼付または添付される。
【0068】
また、コンベアベルト75の上方には、センタタグリーダ50aに接続された1つまたは複数のアンテナ40aが設けられている。そして、センタタグリーダ50aは、アンテナ40aを介して、コンベアベルト75上の物品30の物品タグ20および区画タグ設置台72上の区画タグ10との間で所定の通信を行う。すなわち、センタタグリーダ50aは、その通信により、コンベアベルト75上の物品30の物品タグ20および区画タグ設置台72上の区画タグ10のそれぞれのタグ情報(タグ情報は、識別情報を含んだ情報である)を一括して読み取ることができる。
【0069】
なお、区画71の上方に物品30がある場合には、その区画71の区画タグ10は、物品30の遮蔽部301によって遮蔽されるものとする。また、コンベアベルト75は、誘電体材料で構成され、区画タグ10を遮蔽しないものとする。
【0070】
また、物品搬入部751のすぐ上方には、入口タグリーダ50bに接続されたアンテナ40bが設けられている。そして、入口タグリーダ50bは、アンテナ40bを介して、物品搬入部751に搬入された物品30に付された物品タグ20との間で個別的な通信を行う。すなわち、入口タグリーダ50bは、その通信により、物品搬入部751に搬入された物品30に付された物品タグ20の識別情報を1つずつ個別的に読み取ることができる。
【0071】
同様に、物品取出部752のすぐ上方には、出口タグリーダ50cに接続されたアンテナ40cが設けられている。そして、出口タグリーダ50cは、アンテナ40cを介して、物品取出部752に搬出された物品30に付された物品タグ20との間で個別的な通信を行う。すなわち、出口タグリーダ50cは、その通信により、物品取出部752に搬出された物品30に付された物品タグ20の識別情報を1つずつ個別的に読み取ることができる。
【0072】
また、コンベアベルト75に載せられて搬送中の物品30は、加工作業などのために、作業者77によって、適宜、コンベアベルト75上から取り去られたり、コンベアベルト75上に返却されたりするが、物品30に付された物品タグ20は、コンベアベルト75上から取り去られたとき、センタタグリーダ50aから遮蔽されるものとする。
【0073】
なお、その遮蔽を行うには、例えば、作業台76をできるだけコンベアベルト75から離して配置し、作業台76の上方で、かつ、アンテナ40aの下方の位置に遮蔽板などを設けておくとよい。あるいは、アンテナ40aとして指向性のあるアンテナを用い、アンテナ40aから送信される電波が作業台76に届かないようにしておいてもよい。
【0074】
物品所在管理装置60の構成は、第1の実施形態の場合とほとんど同じ構成でよく、従って、物品所在管理装置60の図示しないCPUは、センタタグリーダ50a、入口タグリーダ50bおよび出口タグリーダ50cを介して読み取った物品タグ20および区画タグ10の識別情報に基づき、物品30の所在位置を検知し、管理する。なお、第1の実施形態の場合との相違部分については、後記する。
【0075】
図7は、第2の実施形態に係る所在位置履歴情報の構成の例を示した図である。図7に示すように、所在位置履歴情報は、時刻フィールド、入口タグリーダフィールド、コンベアベルト75上に構成された物品置場70の区画数と同じ数の区画フィールド、および、出口タグリーダフィールドによって構成される。
【0076】
ここで、入口タグリーダフィールドには、入口タグリーダ50bで読み出された物品タグ20の識別情報が格納され、出口タグリーダフィールドには、出口タグリーダ50cで読み出された物品タグ20の識別情報が格納され、また、区画フィールドには、その区画フィールドに対応する区画71に付されている区画タグ10の識別情報、または、その区画71に位置する物品30に付された物品タグ20の識別情報が格納される。
【0077】
図7に示した所在位置履歴情報において、各時刻における物品30の所在位置は、その物品30の識別情報がどの区画フィールドに記憶されているかによって表される。なお、本実施形態においては、センタタグリーダ50a、入口タグリーダ50bおよび出口タグリーダ50cによって読み出される物品タグ20および区画タグ10の識別情報の変化を検知することによって、物品30の所在位置を定める。
【0078】
ちなみに、図7において、初期状態の時刻tには、物品30は、コンベアベルト75上に載置されていない。次に、時刻tで、識別情報が“A”の物品30が物品搬入部751に搬入されると、その識別情報“A”が入口タグリーダ50bにより読み出される。次に、時刻tでは、センタタグリーダ50aにより読み出される識別情報において、物品30の識別情報“A”が出現し、区画タグ10の識別情報“1”が消滅している。これは、識別情報“A”の物品30が、識別情報“1”の区画71へ移動したことを意味している。
【0079】
続いて、時刻t’に、識別情報が“B”の物品30が物品搬入部751に搬入されると、その識別情報“B”が入口タグリーダ50bにより読み出される。次に、時刻tでは、センタタグリーダ50aにより読み出される識別情報において、物品30の識別情報“B”が新たに出現し、区画タグ10の識別情報“2”が消滅している。これは、識別情報“A”の物品30が、識別情報“2”の区画71へ移動し、識別情報“B”の物品30が、識別情報“1”の区画71へ移動したことを意味している。
【0080】
さらに、物品30が物品搬入部751に搬入されない場合にも、時刻tから所定の時間が経過し、時刻tになると、識別情報“A”の物品30は、識別情報が“3”の区画に移動し、識別情報が“B”の物品30は、識別情報が“2”の区画へ移動する。以下、時刻tまでは、物品30の所在位置は、同様にして移動する。
【0081】
一方、時刻t’では、センタタグリーダ50aにより読み出される識別情報において、区画タグ10の識別情報“4”が新たに出現し、物品30の識別情報“B”が消滅している。これにより、識別情報が“4”の区画71から識別情報が“B”の物品30が抜き取られたことが分かる。
【0082】
また、時刻t’では、センタタグリーダ50aにより読み出される識別情報において、物品30の識別情報“B”が新たに出現し、区画タグ10の識別情報が“3”が消滅しているので、識別情報が“B”の物品30が、識別情報が“3”の区画71へ戻されたことが分かる。
【0083】
以上に説明した例から分かるように、物品所在管理装置60のCPUは、第1の実施形態の場合と同様に、センタタグリーダ50a、入口タグリーダ50bおよび出口タグリーダ50cによって読み出される物品タグ20および区画タグ10の識別情報が変化した情報に基づき、物品30の所在位置を定めることができる。
【0084】
ただし、本実施形態の場合には、物品30がコンベアベルト75の移動とともに移動するので、図3の物品所在位置決定処理については、その一部を修正する必要がある。すなわち、CPUは、図3において、識別情報の変化が、作業者による物品30の抜き取りまたは返却のいずれかであることを判定する(ステップS04に相当)前に、コンベアベルト75の移動による変化であるか否かを判定する必要がある。
【0085】
ここでは、CPUは、次の条件のいずれかが成立したとき、コンベアベルト75の移動による変化であると判定する。(1)センタタグリーダ50aで読み出した識別情報において、物品30の識別情報は変化しなかったが、2つ以上の区画71の識別情報が変化した。(2)前回、入口タグリーダ50bで読み取った物品30の識別情報が、センタタグリーダ50aで読み出した識別情報の中に含まれていた。(3)センタタグリーダ50aで読み取った識別情報から消滅した物品30の識別番号が、出口タグリーダ50cで読み取った物品30の識別情報と同じであった。
【0086】
CPUは、これらの条件が成立したときには、物品30の所在位置を前回の所在位置から1区画移動した位置に定める。そして、CPUは、その所在位置の情報を所在位置履歴情報として、所在位置履歴記憶部65に格納する。
【0087】
以上、第2の実施形態によれば、物品所在管理システム1aは、所在位置管理対象の物品30がコンベアベルト75などの搬送装置の被搬送部などに載せられて移動する場合、その所在位置を検知し、管理することができる。
【0088】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態では、物品置場70がコンベアなどの搬送装置上に構成された場合について説明する。なお、特に断らない限り、第1の実施形態または第2の実施形態の構成要素と同じ構成要素には、同じ用語および同じ符号を用い、その説明を省略する。
【0089】
第2の実施形態では、その物品置場70の区画71は移動しないとしたが、第3の実施形態では、物品置場70の区画71が、その上に載置された物品30とともに移動する。
【0090】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る物品所在管理システムの構成の例を示した図であり、(a)は、搬送装置上に構成された物品置場の横断面の模式図の例を示し、(b)は、物品置場の上面の模式図の例を示している。
【0091】
図8に示すように、第3の実施形態に係る物品所在管理システム1bにおいては、物品置場70の区画71が搬送装置の被搬送部を構成するコンベアベルト75の上に構成される。すなわち、コンベアベルト75は、所定の大きさに区分され、その区分されたコンベアベルト75上のそれぞれの区画71には、その表面部に区画タグ10が貼付または埋め込まれている。
【0092】
また、物品30は、第1の実施形態の場合と同様に、遮蔽部301を含んで構成され、その上部には、物品タグ20が貼付または添付される。遮蔽部301は、物品30が区画71に載置されたときには、その区画71の区画タグ10を遮蔽する。
【0093】
コンベアベルト75は、所定のスピードで左から右へ移動する。このとき、コンベアベルト75の始点には、物品搬入部751が設けられ、コンベアベルト75の終点には、物品取出部752が設けられ、加工前の物品30が物品搬入部751から搬入され、加工後の物品30が物品取出部752から取り出される。
【0094】
また、物品搬入部751のすぐ上方には、入口タグリーダ50bに接続されたアンテナ40bが設けられている。そして、入口タグリーダ50bは、アンテナ40bを介して、物品搬入部751に搬入された物品30に付された物品タグ20、または、その区画71に設けられた区画タグ10との間で個別的な通信を行う。すなわち、入口タグリーダ50bは、その通信により、物品搬入部751に搬入された物品30に付された物品タグ20の識別情報、または、その区画71に設けられた区画タグ10の識別情報を1つずつ個別的に読み取ることができる。
【0095】
同様に、物品取出部752のすぐ上方には、出口タグリーダ50cに接続されたアンテナ40cが設けられている。そして、出口タグリーダ50cは、アンテナ40cを介して、物品取出部752に搬出された物品30に付された物品タグ20または、その区画71に設けられた区画タグ10との間で個別的な通信を行う。すなわち、出口タグリーダ50cは、その通信により、物品取出部752に搬出された物品30に付された物品タグ20の識別情報、または、その区画71に設けられた区画タグ10の識別情報を1つずつ個別的に読み取ることができる。
【0096】
また、本実施形態では、物品置場70の範囲を限定するための遮蔽板90が設けられ、センタタグリーダ50aが遮蔽板90で区画された物品置場70の範囲の外にある物品タグ20や区画タグ10の識別情報を読み取らないようにされている。
【0097】
物品所在管理装置60の構成は、第1の実施形態の場合とほとんど同じ構成でよく、従って、物品所在管理装置60の図示しないCPUは、センタタグリーダ50a、入口タグリーダ50bおよび出口タグリーダ50cを介して読み取った物品タグ20および区画タグ10の識別情報に基づき、物品30の所在位置を検知し、管理する。なお、第1の実施形態の場合との相違部分については、後記する
【0098】
図9は、第3の実施形態に係る所在位置履歴情報の構成の例を示した図である。図9に示すように、所在位置履歴情報は、時刻フィールド、入口タグリーダフィールド、コンベアベルト75上に構成された物品置場70の区画数と同じ数の区画フィールド、および、出口タグリーダフィールドによって構成される。
【0099】
ここで、入口タグリーダフィールドには、入口タグリーダ50bで読み出された物品タグ20の識別情報が格納され、出口タグリーダフィールドには、出口タグリーダ50cで読み出された物品タグ20の識別情報が格納され、また、区画フィールドには、その区画フィールドに対応する区画71に付されている区画タグ10の識別情報、または、その区画71に載置された物品30に付されている物品タグ20の識別情報が格納される。
【0100】
以上のような所在位置履歴情報の構成は、第2の実施形態の場合と同じであるが、格納される情報には相違がある。すなわち、第2の実施形態では、区画フィールドに格納される区画タグ10の識別情報は移動しなかったが、本実施形態では、区画フィールドに格納される区画タグ10の識別情報は移動する。つまり、本実施形態では、区画フィールドは、搬送装置の不動部位に固定された位置を表す区画(以下、不動区画という)に対応させているのに対し、コンベアベルト75など被搬送部位上に構成された区画71は、その被搬送部位(コンベアベルト75など)の移動とともに移動する。
【0101】
もっとも、作業者77やシステムの管理者にとっては、コンベアベルト75上に構成された区画71の識別情報が分かる必要はなく、物品30の不動区画での位置、つまり、物品30が所在位置履歴情報においてどの区画フィールドに記憶されているかが分かればよい。
【0102】
図9において、初期状態の時刻tには、物品30は、コンベアベルト75上のいずれの区画71にも配置されていない。このとき、センタタグリーダ50aにより、物品置場70の範囲内にある区画タグ10の識別情報が読み取られ、また、入口タグリーダ50bにより、物品搬入部751にある区画タグ10の識別情報“20”が読み取られる。
【0103】
次に、時刻tで、識別情報が“A”の物品30が物品搬入部751に搬入されると、その識別情報“A”が入口タグリーダ50bにより読み出される。これにより、識別情報が“20”の区画タグ10が付された区画71には、識別情報が“A”の物品30が載置されたことが分かる。
【0104】
次に、時刻tでは、センタタグリーダ50aにより読み出される識別情報において、物品30の識別情報“A”が出現し、区画タグ10の識別情報“6”が消滅している。一方で、出口タグリーダ50cは、識別情報“6”の区画タグ10を検知している。これは、コンベアベルト75上の区画71および物品30が、1区画分移動したことを示している。
【0105】
以下、時刻tまでは、コンベアベルト75上の区画71および物品30が、1区画分ずつ移動している。
【0106】
一方、時刻t’では、センタタグリーダ50aにより読み出される識別情報において、区画タグ10の識別情報“18”が新たに出現し、物品30の識別情報“B”が消滅しているので、識別情報“18”の区画71から識別情報“B”の物品30が抜き取られたことが分かる。
【0107】
また、時刻t’では、センタタグリーダ50aにより読み出される識別情報において、物品30の識別情報“B”が新たに出現し、区画タグ10の識別情報“14”が消滅しているので、識別情報“B”の物品30が、識別情報“14”の区画71へ戻されたことが分かる。
【0108】
以上に説明した例から分かるように、物品所在管理装置60のCPUは、第1の実施形態の場合と同様に、センタタグリーダ50a、入口タグリーダ50bおよび出口タグリーダ50cによって読み出される物品タグ20および区画タグ10の識別情報が変化した情報に基づき、物品30の所在位置を定めることができる。
【0109】
ただし、本実施形態の場合には、物品30および区画71がコンベアベルト75とともに移動するので、図3の物品所在位置決定処理の一部を修正する必要がある。すなわち、図3において、CPUは、識別情報の変化が、作業者による物品30の抜き取りまたは返却のいずれかであることを判定する(ステップS04に相当)前に、コンベアベルト75の移動による変化であることを判定する必要がある。
【0110】
このとき、CPUは、次の条件が成立したとき、コンベアベルト75の移動による変化であると判定する。(1)前回、入口タグリーダ50bで読み取った物品30の識別情報または区画71の識別情報が、センタタグリーダ50aで読み取った識別情報に含まれており、かつ、今回センタタグリーダ50aで読み取った識別情報において消滅した物品30の識別番号または区画71の識別情報が、出口タグリーダ50cで読み出した物品30の識別情報または区画71の識別情報と同じであった。
【0111】
CPUは、この条件が成立したときには、物品30の所在位置を前回の所在位置から1区画移動した位置に定める。そして、その定めた位置の情報を所在位置履歴情報として、所在位置履歴記憶部65に格納する。
【0112】
以上、第3の実施形態によれば、物品所在管理システム1bは、所在位置管理対象の物品30がコンベアベルト75などの搬送装置の被搬送部などに載せられて移動する場合について、その所在位置を検知し、管理することができる。
【0113】
(第3の実施形態の変形例)
図10は、第3の実施形態の変形例を説明する図である。第3の実施形態では、作業者77がコンベアベルト75上から抜き取った物品30に加工を施す作業台76の領域は、センタタグリーダ50aに接続されたアンテナ40aからの電波が遮蔽されているものとした。しかしながら、以下のような場合には、作業台76の領域を遮蔽しなくてもよい。
【0114】
まず、図10(a)に示すように、作業台76に取り出す物品30を1個だけに限定する場合には、作業台76の領域を遮蔽しなくてもよい。これは、作業者77が1人であるような工程での物品の所在管理に適用することができる。なお、この場合の例は、図4を用いて説明した第1の実施形態の変形例2に対応するもので、本実施形態における作業台76は、図4では、通路82に相当する。
【0115】
また、図10(b)に示すように、作業台76に1つ以上の区画タグ10を設けておき、作業者77がコンベアベルト75上から抜き取った物品30を、その区画タグ10のうちの1つの区画タグ10上に載置して、加工作業を行う。この場合には、作業台76の領域を遮蔽しないので、逆に、コンベアベルト75上から抜き取られた物品30の移動先の所在位置を管理することができるようになる。従って、この場合は、作業者77が複数であるような工程にも適用することができる。
【0116】
なお、図10(b)に示した状況における物品所在管理は、第1の実施形態のように物品置場70で区画71および物品30が静止している場合の物品所在管理と、第3の実施形態のように区画71および物品30が搬送装置の被搬送部に載って移動する場合の物品所在管理とが、混在したものということができる。
【0117】
<第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。図11は、第4の実施形態に係るコンベアベルト75上の物品置場70の構成の例を上面模式図として示した図である。
【0118】
図11に示すように、コンベアベルト75は、例えば、円縁上を平面的に循環する形式ものとし、そのコンベアベルト75上に物品置場70を構成する。すなわち、コンベアベルト75を所定の大きさに区分し、区画71を定め、各々の区画71に第1の区画タグ10および第2の区画タグ11を設ける。従って、本実施形態は、実質的には、図8に示した第3の実施形態の変形例であり、以下、第3の実施形態の構成要素と同じ構成要素については同じ用語および同じ符号を用いる。
【0119】
図11において、第1の区画タグ10(以下、単に、区画タグ10という)は、第3の実施形態の場合と同様に、区画71のほぼ中央部で、コンベアベルト75の表面部に埋め込まれたり、貼付されたりする。そして、物品30がその区画71に載置されたときには、アンテナ40aからの電波は、その遮蔽部301によって遮蔽される。
【0120】
一方、第2の区画タグ11は、区画71の端などに貼付され、物品30が区画71に載置されても、アンテナ40aからの電波が物品30の遮蔽部301によって遮蔽されることはないものとする。また、コンベアベルト75の少なくとも1区画分の上方には、少なくとも1つの第2の区画タグ11を遮蔽するだけの遮蔽板12を、コンベア装置など搬送装置の不動部分に固定して設けるものとする。なお、図11の例では、物品搬入部751の位置に遮蔽板12が設けられるとしている。
【0121】
この場合、センタタグリーダ50aにより、すべての区画71について、その区画タグ10および第2の区画タグ11、さらには、その区画71に載置された物品30の識別情報を取得することができる。ただし、遮蔽板12が設けられた部分にさしかかった区画71の第2の区画タグ11は、遮蔽板12によって遮蔽される。
【0122】
すなわち、物品所在管理装置60は、センタタグリーダ50aにより読み出されなかった第2の区画タグ11の識別情報を検知することにより、その読み出されなかった識別情報の第2の区画タグ11が設けられた区画71が、遮蔽板12が設けられた位置にあることを認識する。これにより、コンベアベルト75上に構成した各々の区画71を搬送装置の不動部位に固定した不動区画に対応付けることができる。
【0123】
このとき、物品所在管理装置60には、遮蔽板12が設けられた位置と、物品搬入部751および物品取出部752との相対的な位置関係の情報を設定しておくことができるので、物品所在管理装置60は、どの区画71が物品搬入部751または物品取出部752に相当するかを認識することができる。従って、その区画に物品30の出し入れがあった場合には、その物品30の識別情報をも取得することができる。そのため、第4の実施形態では、第3の実施形態でいう入口タグリーダ50bおよび出口タグリーダ50cが不要となる。
【0124】
なお、第4の実施形態においても、作業者などが、物品搬入部751および物品取出部752以外の区画71から、適宜、物品30を抜き取ったり、返却したりするが、抜き取った物品30は、センタタグリーダ50aのアンテナ40から送信される電波から遮蔽されるものとする。
【0125】
また、本実施形態は、図8のようなコンベアベルト75の場合であっても、適用が可能である。その場合には、物品置場70として使用される区画71の範囲を明確にするために、図8に示すように、その範囲以外の区画71を、遮蔽板90などによって遮蔽する必要がある。なお、図8では、物品搬入部751および物品取出部752が遮蔽板90の外側に含まれているが、この場合には、物品搬入部751および物品取出部752の部分が遮蔽板90の内側に含まれるように遮蔽板90を設けるものとする。
【0126】
こうすることにより、センタタグリーダ50aは、物品置場70として使用される区画71に設けられた区画タグ10、第2の区画タグ11および区画71に載置された物品30の識別情報を読み取ることができるようになる。
【0127】
また、この場合には、図11の遮蔽板12を設ける必要はない。遮蔽板90が遮蔽板12に相当する役割を果たしている。
【0128】
以上のように、第4の実施形態によれば、入口タグリーダ50bおよび出口タグリーダ50cが不要になるので、システムの構築コストを低減することができる。
【0129】
<補足>
図12は、複数の工程のコンベア上に物品置場70の区画71を構成した例を示した図である。以上に説明した、第2の実施形態、第3の実施形態および第4の実施形態は、1つの工程のコンベアに適用することができるだけではなく、複数の連続した工程のコンベアに対しても適用することができる。
【0130】
例えば、図12に示すように、1つのコンベア作業場に複数の工程、例えば、工程α、工程βおよび工程γが配置され、その工程の中に、工程αコンベア75a、工程βコンベア75bおよび工程γコンベア75cが設けられているとする。そして、それぞれのコンベア75a,75b,75cが同じスピードで移動し、工程αコンベア75aの区画α−6に届いた物品30は、必ず工程βコンベア75bの区画β−1へ移され、工程βコンベア75bの区画β−6に届いた物品30は、必ず工程γコンベア75cの区画γ−1へ移される場合には、それぞれのコンベア75a,75b,75cは、連続したコンベアとみなすことができるので、実質的に、第2の実施形態、第3の実施形態または第4の実施形態と同じになる。
【0131】
なお、このとき、センタタグリーダ50aは、状況にもよるが、1つで済ますことができる。また、センタタグリーダ50aに接続されるアンテナ40aは、必要に応じて、複数設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る物品所在管理システムの構成の例を示した図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る所在位置履歴情報の構成の例を示した図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る物品所在管理装置における物品所在位置決定処理の処理フローの例を示した図。
【図4】本発明の第1の実施形態の変形例に係る物品倉庫の例を示した図。
【図5】本発明の第2の実施形態を適用する物品加工工程の例を示した図。
【0133】
【図6】本発明の第2の実施形態に係る物品所在管理システムの構成の例を示した図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る所在位置履歴情報の構成の例を示した図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る物品所在管理システムの構成の例を示した図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る所在位置履歴情報の構成の例を示した図。
【図10】本発明の第3の実施形態の変形例を説明する図。
【0134】
【図11】本発明の第4の実施形態に係るコンベアベルト上の物品置場の構成の例を上面模式図として示した図。
【図12】複数の工程のコンベア上に物品置場の区画を構成した例を示した図。
【符号の説明】
【0135】
1,1b,1c 物品所在管理システム
10 区画タグ
11 第2の区画タグ
12 遮蔽板
20 物品タグ
30 物品
40,40a,40b,40c アンテナ
50 タグリーダ
50a センタタグリーダ
50b 入口タグリーダ
50c 出口タグリーダ
60 物品所在管理装置
61 タグ情報取得部
62 タグ情報変化検知部
63 所在位置決定部
64 所在位置出力部
65 所在位置履歴記憶部
66 表示装置
70 物品置場
71 区画
72 区画タグ設置台
75 コンベアベルト
76 作業台
77 作業者
80 物品倉庫
81 物品配置区画
82 通路
90 遮蔽板
301 遮蔽部
751 物品搬入部
752 物品取出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
区分されたそれぞれの区画に区画識別用のRFIDタグが付されて構成された物品置場または物品通路と、
前記区画識別用のRFIDタグを遮蔽する遮蔽部と物品識別用のRFIDタグとを備えた物品が、前記物品置場または前記物品通路の前記区画に、適宜、配置されているとき、前記区画識別用のRFIDタグおよび前記物品識別用のRFIDタグからその識別情報を一括して読み取るタグリーダと、
前記タグリーダにより読み取った前記RFIDタグの識別情報に基づき、前記物品の前記物品置場または前記物品通路における所在位置情報を管理する管理装置と、
を含んで構成された物品所在管理システムであって、
前記管理装置は、
所定の時間ごとに、前記タグリーダにより読み取られる前記物品置場または前記物品通路内に所在する前記RFIDタグの識別情報を、前記タグリーダから取得するタグ情報取得部と、
前記取得したRFIDタグの識別情報と前回取得したRFIDタグの識別情報とに基づき、前記RFIDタグの識別情報の新たな出現または消滅を検知するタグ情報変化検知部と、
前記RFIDタグの識別情報の新たな出現または消滅を検知したとき、前記新たに出現または消滅したRFIDタグの識別情報と前記物品の前回の所在位置情報とに基づき、前記物品の現在の所在位置情報を決定する所在位置決定部と、
前記決定した前記物品の所在位置情報を所在位置履歴情報として記憶する所在位置履歴記憶部と、
を備えること
を特徴とする物品所在管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物品所在管理システムであって、
前記物品置場または前記物品通路は、前記物品を搬送する搬送部を含んで構成され、
前記搬送部の始点には、前記搬送部へ搬入される物品に付された物品識別用のRFIDタグの識別情報を個別に読み取る入口タグリーダが設けられ、
前記搬送部の終点には、前記搬送部から搬出される物品に付された物品識別用のRFIDタグの識別情報を個別に読み取る出口タグリーダが設けられ、
前記管理装置の所在位置決定部は、
前記物品の現在の所在位置情報を決定するときには、前記新たに出現または消滅したRFIDタグの識別情報と前記物品の前回の所在位置情報とに基づくとともに、前記入口タグリーダおよび前記出口タグリーダを介して取得したRFIDタグの識別情報に基づき、前記物品の現在の所在位置情報を決定すること
を特徴とする物品所在管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の物品所在管理システムであって、
前記区画識別用のRFIDタグが前記搬送部の被搬送部位以外の部位に設けられ、前記物品置場または前記物品通路の区画が前記被搬送部位の動作に依存しないように設定されていること
を特徴とする物品所在管理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の物品所在管理システムであって、
前記区画識別用のRFIDタグが前記搬送部の被搬送部位上に設けられ、前記物品置場または前記物品通路の区画が前記被搬送部位上に設定されていること
を特徴とする物品所在管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の物品所在管理システムであって、
前記物品置場または前記物品通路は、前記物品を搬送する搬送部を含んで構成され、
前記区画が前記搬送部の被搬送部位上に設定され、その区画のそれぞれには、前記区画識別用のRFIDタグが設けられるとともに、その区画に置かれる物品によって遮蔽されることのないその区画を識別する第2の区画識別用のRFIDタグが設けられ、
前記区画に設けられた前記第2の区画識別用のRFIDタグの少なくとも1つを遮蔽する遮蔽部が、前記搬送部の被搬送部位以外の部位に設けられること
を特徴とする物品所在管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の物品所在管理システムであって、
前記物品が物品載置用トレイを含んで構成され、前記物品載置用トレイが前記遮蔽部を構成すること
を特徴とする物品所在管理システム。
【請求項7】
区分されたそれぞれの区画に区画識別用のRFIDタグが付されて構成された物品置場または物品通路と、
前記区画識別用のRFIDタグを遮蔽する遮蔽部と物品識別用のRFIDタグとを備えた物品が、前記物品置場または前記物品通路の前記区画に、適宜、配置されているとき、前記区画識別用のRFIDタグおよび前記物品識別用のRFIDタグからその識別情報を一括して読み取るタグリーダと、
前記タグリーダにより読み取った前記RFIDタグの識別情報に基づき、前記物品の前記物品置場または前記物品通路における所在位置情報を管理する管理装置と、
を含んで構成された物品所在管理システムに用いられる物品所在管理装置であって、
所定の時間ごとに、前記タグリーダにより読み取られる前記物品置場または前記物品通路内に所在する前記RFIDタグの識別情報を、前記タグリーダから取得するタグ情報取得部と、
前記取得したRFIDタグの識別情報と前回取得したRFIDタグの識別情報とに基づき、前記RFIDタグの識別情報の新たな出現または消滅を検知するタグ情報変化検知部と、
前記RFIDタグの識別情報の新たな出現または消滅を検知したとき、前記新たに出現または消滅したRFIDタグの識別情報と前記物品の前回の所在位置情報とに基づき、前記物品の現在の所在位置情報を決定する所在位置決定部と、
前記決定した前記物品の所在位置情報を所在位置履歴情報として記憶する所在位置履歴記憶部と、
を備えること
を特徴とする物品所在管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の物品所在管理装置であって、
前記物品置場または前記物品通路は、前記物品を搬送する搬送部を含んで構成され、
前記搬送部の始点には、前記搬送部へ搬入される物品に付された物品識別用のRFIDタグの識別情報を個別に読み取る入口タグリーダが設けられ、
前記搬送部の終点には、前記搬送部から搬出される物品に付された物品識別用のRFIDタグの識別情報を個別に読み取る出口タグリーダが設けられ、
前記管理装置の所在位置決定部は、
前記物品の現在の所在位置情報を決定するときには、前記新たに出現または消滅したRFIDタグの識別情報と前記物品の前回の所在位置情報とに基づくとともに、前記入口タグリーダおよび前記出口タグリーダを介して取得したRFIDタグの識別情報に基づき、前記物品の現在の所在位置情報を決定すること
を特徴とする物品所在管理装置。
【請求項9】
区分されたそれぞれの区画に区画識別用のRFIDタグが付されて構成された物品置場または前記物品通路と、
前記区画識別用のRFIDタグを遮蔽する遮蔽部と物品識別用のRFIDタグとを備えた物品が、前記物品置場または前記物品通路の前記区画に、適宜、配置されているとき、前記区画識別用のRFIDタグおよび前記物品識別用のRFIDタグからその識別情報を一括して読み取るタグリーダと、
前記タグリーダにより読み取った前記RFIDタグの識別情報に基づき、前記物品の前記物品置場または前記物品通路における所在位置情報を管理する管理装置と、
を含んで構成された物品所在管理システムにおける物品所在管理方法であって、
前記管理装置は、
所定の時間ごとに、前記タグリーダにより読み取られる前記物品置場または前記物品通路内に所在する前記RFIDタグの識別情報を、前記タグリーダから取得し、
前記取得したRFIDタグの識別情報と前回取得したRFIDタグの識別情報とに基づき、前記RFIDタグの識別情報の新たな出現または消滅を検知し、
前記RFIDタグの識別情報の新たな出現または消滅を検知したとき、前記新たに出現または消滅したRFIDタグの識別情報と前記物品の前回の所在位置情報とに基づき、前記物品の現在の所在位置情報を決定し、
前記決定した前記物品の所在位置情報を所在位置履歴情報として記憶装置に記憶すること
を特徴とする物品所在管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の物品所在管理方法であって、
前記物品置場または前記物品通路は、前記物品を搬送する搬送部を含んで構成され、
前記搬送部の始点には、前記搬送部へ搬入される物品に付された物品識別用のRFIDタグの識別情報を個別に読み取る入口タグリーダが設けられ、
前記搬送部の終点には、前記搬送部から搬出される物品に付された物品識別用のRFIDタグの識別情報を個別に読み取る出口タグリーダが設けられ、
前記管理装置は、
前記物品の現在の所在位置情報を決定するときには、前記新たに出現または消滅したRFIDタグの識別情報と前記物品の前回の所在位置情報とに基づくとともに、前記入口タグリーダおよび前記出口タグリーダを介して取得したRFIDタグの識別情報に基づき、前記物品の現在の所在位置情報を決定すること
を特徴とする物品所在管理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の物品所在管理方法であって、
前記区画識別用のRFIDタグが前記搬送部の被搬送部位以外の部位に設けられ、前記物品置場または前記物品通路の区画が前記被搬送部位の動作に依存しないように設定されていること
を特徴とする物品所在管理方法。
【請求項12】
請求項10に記載の物品所在管理方法であって、
前記区画識別用のRFIDタグが前記搬送部の被搬送部位上に設けられ、前記物品置場または前記物品通路の区画が前記被搬送部位上に設定されていること
を特徴とする物品所在管理方法。
【請求項13】
請求項9に記載の物品所在管理方法であって、
前記物品置場または前記物品通路は、
前記物品を搬送する搬送部を含んで構成され、
前記区画が前記搬送部の被搬送部位上に設定され、その区画のそれぞれには、前記区画識別用のRFIDタグが設けられるとともに、その区画に置かれる物品によって遮蔽されることのないその区画を識別する第2の区画識別用のRFIDタグが設けられ、
前記区画に設けられた前記第2の区画識別用のRFIDタグの少なくとも1つを遮蔽する遮蔽部が、前記搬送部の被搬送部位以外の部位に設けられること
を特徴とする物品所在管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−51582(P2009−51582A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217456(P2007−217456)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】