説明

物品排出装置

【課題】簡単な構成にてコンベヤ装置上の不良品を損傷させることなく確実に排出する。
【解決手段】鉛直に回転する回転体2,2間にチェーン3を掛けた循環装置1と、コンベヤ装置4上へ出没する排出ロッド7を備えてチェーン3に等間隔に取り付けた排出装置本体8と、各排出ロッド7に取り付けた案内輪と、チェーン3の一方の直線移動部で案内輪に当接し排出ロッド7をコンベヤ装置4側に押し出すよう傾斜配置した押出レール14と、案内輪が押出レール14の上流端14aより循環装置1側にある待機位置に排出ロッド7を引き止めておき、排出作動時に案内輪を押出レール14の上流端14aよりコンベヤ装置4側の中間位置へ移動させる送出装置と、押出レール14により押し出された排出ロッド7の案内輪に当接し排出ロッド7を循環装置1側に引込めて待機位置に復帰させるよう傾斜配置した引込レール21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤ装置により搬送される物品のうちの不良品を、簡単な構成にて不良品を損傷させることなく確実に排出できるようにした物品排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
あらゆる産業において、ビン、缶、合成樹脂等の多種多様の容器が用いられており、これらの容器には液状、固形状或いはガス状等の種々の収容物が充填されて種々の物品(製品)として市場に供給されている。
【0003】
このような物品は、容器の製造段階は勿論のこと、ラベルの貼着、収容物の充填、包装等の各種工程において非常に多数回の物品検査を行っており、物品に不良品が検出されると、物品を搬送しているコンベヤ装置上から不良品をライン外に排出するようにしている。
【0004】
近年では、生産性を上げるために、コンベヤ装置による搬送が非常に高速化しており、物品の搬送速度が例えば毎分800個以上、或いは1200個以上のような高速のコンベヤ装置においては、不良品の排出は非常に困難となっている。
【0005】
即ち、払出しプレートを用いてコンベヤ装置上の不良品を押し出すようにした場合には、コンベヤ装置が高速化すると、排出する不良品の前後に位置する良品の物品に払出しプレートが干渉して良品を排出させてしまう可能性があり、このために、払出しプレートはエアシリンダ等を用いて非常に高速で作動させる必要がある。
【0006】
しかし、このように払出しプレートをエアシリンダにより高速で作動させると、払出しプレートの衝突によって不良品が弾き飛ばされて傷ついたり、変形したり、割れたりする問題が生じる。更に、払出しプレートの突出作動による衝撃と突出の繰り返し作動によってエアシリンダが短期間で損耗し、従ってメンテナンスのためにラインを止める頻度が増加し、生産性が著しく低下するという問題がある。
【0007】
また、前記払出しプレートによって不良品を排出する方法以外に、圧縮空気を吹き付けて不良品を除去する方法も考えられるが、この場合においても同様に、不良品が圧縮空気によって弾き飛ばされて傷ついたり、変形したり、割れたりする問題が生じる。
【0008】
このため、不良品を傷付けずに排出するための装置としては、特許文献1に示すものがある。この装置では、コンベアベルトの側方位置において同じ速度で循環走行するチェーンをコンベヤベルトに斜めに接近するように配置し、このチェーンの等間隔位置に起倒可能に取り付けられた複数のリジェクトアームと、チェーンの循環走行路の途中に配置されてサーボモータによって回転されるプッシュバーと、ガイドレールとを備え、サーボモータによってプッシュバーが回転されてリジェクトアームが傾倒された後、このアームの先端部の押出板が、チェーンの走行にともなってコンベアベルトに張り出していって搬送されてきた不良品をコンベアベルトの反対側の側部方向に押し出し、この後、ガイドレールの傾斜部上を摺動することによって、アームが直立状態に復帰されるようにしてある。
【特許文献1】特開平11−227936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に示される装置は、コンベアベルトの側方位置において同じ速度で循環走行するチェーンをコンベヤベルトに斜めに接近するように配置した構成であるため、チェーンに等間隔で備えるリジェクトアームを起倒する構成とし、不良品に対応する位置のリジェクトアームを傾倒させることで、前記チェーンの傾きによって不良品をコンベアベルト上から側部方向に押し出すようにしている。このように、リジェクトアームはヒンジによって起倒する構造を有していて拘束されていないために、チェーンの高速移動による振動によってリジェクトアームが飛び跳ね、このために不良品を確実に押し出すことが困難になる問題がある。また、チェーンの高速移動によりリジェクトアームが振動して損耗等の故障の原因になり易いと共に、騒音を発する問題がある。
【0010】
更に、コンベヤベルトに対してチェーンが傾斜しているために、リジェクトアームが不良品を斜めから押すことになり、このために不良品が回転して転倒する可能性を有していた。
【0011】
また、リジェクトアームによる不良品の押し出しストロークを変える場合には、各リジェクトアームの長さを変更し、且つコンベヤベルトに対するチェーンの傾き角を変更する必要があり、非常に面倒で実用的に利用し難いものであった。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みてなしたもので、簡単な構成にてコンベヤ装置上の不良品を損傷させることなく確実に排出できるようにした物品排出装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、間隔を隔てて鉛直に回転する回転体間に掛けられて循環移動し一方の直線移動部がコンベヤ装置の近傍を同方向に移動するチェーンを備えた循環装置と、
前記コンベヤ装置上へ出没が可能な排出ロッドを備えて前記チェーンに等間隔に取り付けた排出装置本体と、
前記各排出ロッドに取り付けた案内輪と、
前記チェーンの一方の直線移動部に対応して配置され、前記案内輪に当接して前記排出ロッドをコンベヤ装置側に押し出すようチェーン移動方向の上流端より下流端がコンベヤ装置に近付く方向へ傾斜配置した押出レールと、
前記案内輪が押出レールの上流端より循環装置側にある待機位置に前記排出ロッドを引き止めておき、排出作動時に前記案内輪が押出レールの上流端よりコンベヤ装置側となる中間位置に排出ロッドを移動させるよう前記排出装置本体に備えた送出装置と、
前記チェーンの他方の直線移動部に対応して設置され、前記押出レールによって押し出された排出ロッドの案内輪に当接して当該排出ロッドを循環装置側に引込めて前記待機位置に復帰させるようチェーン移動方向の上流端より下流端がコンベヤ装置から離反する方向へ傾斜配置した引込レールと、
を備えたことを特徴とする物品排出装置、に係るものである。
【0014】
請求項2の発明は、間隔を隔てて水平に回転する回転体間に掛けられて循環移動し一方の直線移動部がコンベヤ装置の近傍を同方向に移動するチェーンを備えた循環装置と
前記コンベヤ装置上へ出没が可能な排出ロッドを備えて前記チェーンに等間隔に取り付けた排出装置本体と、
前記各排出ロッドに取り付けた案内輪と、
前記チェーンの一方の直線移動部に対応して配置され、前記案内輪に当接して前記排出ロッドをコンベヤ装置側に押し出すようチェーン移動方向の上流端より下流端がコンベヤ装置に近付く方向へ傾斜配置した押出レールと、
前記案内輪が押出レールの上流端より循環装置側にある待機位置に前記排出ロッドを引き止めておき、排出作動時に前記案内輪が押出レールの上流端よりコンベヤ装置側となる中間位置に排出ロッドを移動させるよう前記排出装置本体に備えた送出装置と、
前記チェーンの他方の直線移動部に対応して設置され、前記押出レールによって押し出された排出ロッドの案内輪に当接して当該排出ロッドをコンベヤ装置側に引込めて前記待機位置に復帰させるようチェーン移動方向の上流端より下流端がコンベヤ装置に近付く方向へ傾斜配置した引込レールと、
を備えたことを特徴とする物品排出装置、に係るものである。
【0015】
請求項3の発明は、前記送出装置は、排出装置本体に回動可能に備えられ係合バネにより付勢されて係合用ロッドに設けた係止溝に係合するトリガと、該トリガに作用して係合用ロッドの係合溝との係合を離脱するストライカと、前記排出装置本体に備えて排出ロッドをコンベヤ装置側へ押し出すよう付勢された押しバネと、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の物品排出装置、に係るものである。
【0016】
請求項4の発明は、前記排出装置本体は、前記排出ロッドを循環装置側へ引戻すよう付勢された引っ張りバネを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の物品排出装置、に係るものである。
【0017】
請求項5の発明は、前記コンベヤ装置における前記循環装置よりも上流側に配置して搬送される物品中の不良品を検出する検査装置と、
前記コンベヤ装置の搬送速度を検出する速度検出器と、
該速度検出器からの搬送速度信号を入力し前記コンベヤ装置の搬送速度に同期して前記チェーンの移動を制御する制御器と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の物品排出装置、に係るものである。
【0018】
請求項6の発明は、前記コンベヤ装置を挟んで循環装置とは反対側に、不良品受取装置を備えたことを特徴とする請求項5記載の物品排出装置、に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1〜6記載の物品排出装置によれば、不良品に対応する排出ロッドのブロックに備えた案内輪を傾斜配置した押出レールに沿って押し出し、これにより前記排出ロッドを介して不良品をコンベヤ装置からゆっくり排出するようにしたので、簡単な構成によってコンベヤ装置上の不良品を損傷させることなく確実に排出できる効果がある。
【0020】
また、循環装置はコンベヤ装置4と平行に設けられるために占有スペースが小さく、よって狭いスペースへの設置も可能になる効果がある。
【0021】
更に、押出レールの長さと傾斜角度を選定することによって、不良品の押し出し速度とコンベヤ装置側への押出し距離とを任意に設定することができる。従って、コンベヤ装置による物品の搬送速度が高速になっても、不良品をゆっくりした速度で押し出すことができ、よって、不良品が排出ロッドにより弾き飛ばされて傷ついたり、変形したり、割れたりする問題を防止できる効果がある。
【0022】
更に、前記物品排出装置は、排出ロッドを安定して確実に移動させることができるので、衝突によって騒音が発生したり装置の寿命が短縮されるといった問題を防止できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1〜図4は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図1は本発明の物品排出装置の一例を示す全体平面図、図2は図1のII−II方向矢視図、図3は物品排出装置による物品の排出作用を示す概略平面図、図4は物品排出装置における排出装置本体の切断正面図である。
【0025】
図1〜図4において、1は所要の間隔を隔てて配置して鉛直に回転する一対の回転体2,2間にチェーン3を循環移動可能に架け渡して、チェーン3が鉛直循環するようにした循環装置であり、該循環装置1は、チェーン3の下方の直線移動部3aが、水平移動するコンベヤ装置4の上面より少し高い位置の近傍をコンベヤ装置4と同方向に移動するよう平行に配置している。図1、図2では前記回転体2,2をダブルで備え、該ダブルの回転体2,2間に架け渡した二本のチェーン3を備えた場合を示している。前記回転体2,2は固定マスト5に回転可能に支持されており、一方の固定マスト5には前記回転体2,2の回転を駆動するためのサーボモータ6が設けられている。
【0026】
循環移動するチェーン3の外側面には、排出装置本体8が等間隔で複数個取り付けられており、該排出装置本体8には、チェーン3の移動方向と直交してコンベヤ装置4上へ出没が可能な排出ロッド7が備えられている。
【0027】
図4はチェーン3の下方の直線移動部3aに位置する排出装置本体8を示したもので、排出装置本体8は、長手方向(前後方向)両端部の上面が前記チェーン3に固定されており、且つ前記排出装置本体8の下面には下方が開放された刳り貫き部9が形成されている。そして、前記排出ロッド7は、前記刳り貫き部9を通って前記排出装置本体8の両端部に設けたリニヤブッシュ10により出没可能に支持されている。
【0028】
前記刳り貫き部9の位置における排出ロッド7にはブロック11が固定してあり、該ブロック11はガイドローラ12或いは図示しないガイド溝により前記刳り貫き部9に沿って排出装置本体8内を長手方向に安定して移動できるようになっている。前記ブロック11の下面には鉛直軸を中心に水平回転自在なカムフォロワ等の案内輪13が取り付けられている。
【0029】
更に、前記チェーン3の一方(下側の送り側)の直線移動部3aに対応する位置には、前記案内輪13に当接して前記排出ロッド7をコンベヤ装置4側へ押し出すよう図1に示す如く、チェーン3移動方向の上流端14aより下流端14bがコンベヤ装置4に近付く方向へ傾斜配置した押出レール14を設けている。
【0030】
一方、前記排出装置本体8には、前記案内輪13が押出レール14の上流端14aより循環装置1内側となる待機位置Aに前記排出ロッド7を引き止めておき、排出作動時に前記案内輪13が押出レール14の上流端14aよりコンベヤ装置4側となる中間位置B(図5参照)へ排出ロッド7を送り出すようにした送出装置15を備えている。
【0031】
送出装置15は、前記ブロック11の上面に備えた係止溝16と、排出装置本体8の上面に回動可能に備えられ係合バネ17により付勢されて前記係止溝16に係合することによりブロック11及び排出ロッド7を待機位置Aに保持するトリガ18と、前記排出装置本体8に備えて前記排出ロッド7をコンベヤ装置4側の中間位置B(図5参照)まで押し出すように付勢された押しバネ20とを有する。図中19は、前記トリガ18を回動させて係止溝16との係合を離脱させるストライカであり、該トリガ18は、図1、図4〜図6に示す如く、チェーン3の下側の送り側の直線移動部3aにおける上流側位置に設けられている。
【0032】
前記チェーン3の他方(上側の戻り側)の直線移動部3bに対応する位置には、前記押出レール14によって押し出された排出ロッド7の案内輪13に当接して当該排出ロッド7を排出装置本体8内側に引込めて前記待機位置Aに復帰させるための引込レール21が設けてあり、該引込レール21は、図1に示す如く、チェーン3移動方向の上流端21aより下流端21bがコンベヤ装置4から離反する方向へ傾斜配置している。従って、押出レール14と引込レール21は平面的に見て重なる傾斜状態に配置される。
【0033】
更に、前記排出装置本体8には、前記排出ロッド7を排出装置本体8内側に引戻すよう付勢する引っ張りバネ22を設けている。
【0034】
図1、図2に示す如く、物品23を搬送するコンベヤ装置4を挟んで循環装置1の反対側には、前記排出ロッド7によって押し出された不良品23’を受け取る不良品受取装置24を設けている。図示の不良品受取装置24は、前記コンベヤ装置4の側部に沿うように同じ高さで且つコンベヤ装置4と同速度で移動する不良品受取コンベヤ24aを配置した場合を示している。尚、前記不良品受取コンベヤ24aに代えて不良品受取シュート等を備えるようにしても良い。
【0035】
更に、図1に示す如く、コンベヤ装置4における前記循環装置1よりも上流側の位置には、コンベヤ装置4上を搬送されてくる物品23をカメラ撮影して映像処理する等の方法によって不良品を検出する検査装置25を設けると共に、各物品23の位置を光電管、近接センサ或いはその他の方法によって検出する位置検出器26を設ける。また、前記コンベヤ装置4の駆動装置27に備えて前記コンベヤ装置4による物品23の搬送速度を検出する速度検出器28を設ける。上記において、検査装置25と位置検出器26は、図1の如くコンベヤ装置4の別の位置に設けてもよく、或いは同一の位置に設けてもよい。
【0036】
図1において29は制御器であり、該制御器29は、前記速度検出器28からの搬送速度信号を入力してサーボモータ6の回転を制御し、これによりコンベヤ装置4による搬送速度に同期して前記循環装置1によるチェーン3の移動速度を制御するようにしている。更に、前記制御器29は、前記検査装置25が検出した不良品信号と前記位置検出器26による不良品の位置信号とを入力し、不良品23’の位置と同期した位置の排出ロッド7を図4の待機位置Aから図5の中間位置Bに移動させるように送出装置15のストライカ19を駆動するようになっている。
【0037】
上記の構成において、物品23の移動と排出ロッド7の移動とが完全に一致している場合には不良品23’は排出ロッド7によって確実に排出することができる。しかし、前記コンベヤ装置4上に不揃いの間隔で物品23が搬送されてくる場合があり、この場合には、前記制御器29は、検査装置25で不良品23’が検出されてその不良品23’の位置が位置検出器26で検出されると、不良品23’の検出位置からの移動と排出ロッド7の移動とが同期するように前記サーボモータ6の回転を補正制御することが好ましい。また、前記排出装置本体8及び排出ロッド7の移動方向幅を前記物品23の幅に対して2分の1以下の小さいピッチ構成にすれば、前記した補正は行うことなしに、不良品23’に対応した位置の排出ロッド7を伸長させることによって不良品23’を確実に押し出すことができる。
【0038】
次に、図示した形態例の作動を説明する。
【0039】
前記循環装置1は、通常時はコンベヤ装置4の搬送速度し同期した速度でチェーン3を移動している。また、通常時に循環装置1の移動を停止、或いは低速の一定速度で移動させることもできるが、この場合には不良品23’が検出された際には、直ちにコンベヤ装置4の搬送速度と同期した速度になるようにチェーン3を移動させるようにする。チェーン3の移動をコンベヤ装置4の搬送速度に同期させる操作は、速度検出器28の搬送速度信号が制御器29に入力されているので、該制御器29の制御信号によってサーボモータ6の駆動速度を制御することで行われる。
【0040】
前記チェーン3が移動すると、該チェーン3の他方(図8における上側の戻り側)の直線移動部3bに対応して設けた引込レール21により、案内輪13がコンベヤ装置4から離反する方向に押しバネ20を圧縮しながら押し戻されてトリガ18がブロック11の係止溝16に係合し、これにより全てのブロック11及び排出ロッド7は待機位置Aに保持されて循環する。従って、検査装置25によって不良品が検出されず良品のみの物品23が搬送される場合には、コンベヤ装置4上の物品23は循環装置1の前を通過する。
【0041】
一方、前記検査装置25によって物品23に不良品が検出されると、不良品信号が制御器29に入力されると共に、位置検出器26による不良品23’の位置信号が制御器29に入力される。これにより制御器29は、不良品23’の移動と同期してサーボモータ6を駆動することにより不良品23’の移動とチェーン3及び排出ロッド7の移動とを同期させた状態において、不良品23’の移動と同期して図1、図4のストライカ19に信号を送り、図5に示す如く前記不良品23’に対応した排出装置本体8の送出装置15のトリガ18をストライカ19で叩いてトリガ18を回動させる。すると、トリガ18はブロック11の係止溝16から外れ、これによりブロック11は押しバネ20によって待機位置Aから中間位置Bまで押し出される。
【0042】
ブロック11が中間位置Bに押し出されると、ブロック11の案内輪13が押出レール14の上流端14aよりコンベヤ装置4側となる。これにより、チェーン3の移動により前記案内輪13は傾斜配置された押出レール14に当接し、ブロック11と排出ロッド7をコンベヤ装置4側に徐々に押し出し、これによって図1に示す如くコンベヤ装置4上の不良品23’はチェーンの移動に伴ってゆっくりした速度で不良品受取装置24の不良品受取コンベヤ24a上に押し出される。
【0043】
図3に示すように、不良品23’は押出レール14の傾きに沿って転動する案内輪13により排出ロッド7が押し出されることによって押し出されるので、前記押出レール14の長さと傾斜角度を選定することにより、押出し速度とコンベヤ装置4側への押し出し距離とを任意に調整することができる。図3において良品の物品23に対応する排出ロッド7のブロック11に備えた案内輪13は二点鎖線で示すように押出レール14の外側(図3では下側)を通り抜ける。
【0044】
上記の如く不良品23’の押し出しを行った排出ロッド7は、前記したように、図7に示すチェーン3の上側の戻り側における直線移動部3bに移動して引込レール21に案内輪13が当接し、これにより案内輪13がコンベヤ装置4から離反する方向に押しバネ20を圧縮しながら押し戻されてトリガ18がブロック11の係止溝16に係合し、これによりブロック11及び排出ロッド7は再び待機位置Aに保持される。
【0045】
図9、図10は、本発明を実施する形態の他の例を示すもので、この形態では、前記図1の形態が鉛直に回転する一対の回転体2,2間にチェーン3を循環移動可能に架け渡した循環装置1としているのに対し、図9、図10の形態では、所要の間隔で配置して水平に回転する回転体30,30間にチェーン31を架け渡した循環装置32の場合を示している。前記回転体30,30の一方はサーボモータ6で駆動されるようになっている。
【0046】
この形態では、図10に示すように水平循環するチェーン31の上面に排出装置本体8を固定しており、更に、排出装置本体8に固定したチェーン31は下部のチェーンガイド33に案内されたガイドチェーン31’と一体となっていて、チェーン31とガイドチェーン31’の間の連結具34に回転体30が係合して水平回転駆動されるようになっており、また、チェーン31のコンベヤ装置4に近い一方の直線移動部31aに対応する位置には、前記形態と同様に案内輪13に当接して前記排出ロッド7をコンベヤ装置4側へ押し出すようチェーン31の移動方向の上流端35aより下流端35bがコンベヤ装置4に近付く方向へ傾斜配置した押出レール35を設け、他方、チェーン31のコンベヤ装置4から遠い他方の直線移動部31bに対応する位置には、案内輪13に当接して前記排出ロッド7をコンベヤ装置4側へ押し戻して待機位置Aに保持させるようチェーン31の移動方向の上流端36aより下流端36bがコンベヤ装置4に近付く方向へ傾斜配置した引込レール36を設けており、その他の構成は前記形態と同様となっている。
【0047】
図9、図10に示すように、チェーン31が水平循環する形態においても、前記図1、図2に示した形態と同様の作用を奏することができる。
【0048】
上記した如く、本発明の物品排出装置では、不良品23’に対応する排出ロッド7のブロック11に備えた案内輪13を傾斜配置した押出レール14,35に沿って押し出し、これにより前記排出ロッド7を介して不良品23’をコンベヤ装置4からゆっくり排出するようにしたので、簡単な構成によってコンベヤ装置4上の不良品23’を損傷させることなく確実に不良品受取装置24上に排出することができる。
【0049】
また、循環装置1,32はコンベヤ装置4と平行に設けられるために占有スペースが小さく、よって狭いスペースへの設置も可能になる。
【0050】
更に、押出レール14,35の長さと傾斜角度を選定することによって、不良品23’の押し出し速度とコンベヤ装置4側への押出し距離とを任意に設定することができる。従って、コンベヤ装置4による物品23の搬送速度が高速になっても、不良品23’をゆっくりした速度で押し出すことができ、よって、不良品23’が排出ロッド7により弾き飛ばされて傷ついたり、変形したり、割れたりする問題を防止でき、不良品23’を不良品受取装置24上に起立させたままの状態で優しく押し出すこともできる。
【0051】
更に、前記物品排出装置は、排出ロッド7を安定して確実に移動させることができるので、衝突によって騒音が発生したり装置の寿命が短縮されるといった問題も防止できる。
【0052】
なお、本発明の物品排出装置は、ビン、缶、合成樹脂等の種々の物品の搬送を行う種々のコンベヤ装置に適用できること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の物品排出装置の一例を示す全体平面図である。
【図2】図1のII−II方向矢視図である。
【図3】図1の物品排出装置による物品の排出作用を示す概略平面図である。
【図4】図1の物品排出装置における排出装置本体の断面図で、排出ロッドが待機位置にある状態の作動図である。
【図5】排出装置本体の排出ロッドが中間位置にある状態の作動図である。
【図6】排出装置本体の排出ロッドが押出レールによって押し出される状態の作動図である。
【図7】排出装置本体の排出ロッドが引込レールによって引込まれる状態の作動図である。
【図8】排出装置本体の排出ロッドが待機位置に復帰する状態の作動図である。
【図9】本発明の物品排出装置の他の例を示す全体平面図である。
【図10】図9の物品排出装置における排出装置本体の断面図で、排出ロッドが待機位置にある状態の作動図である。
【符号の説明】
【0054】
1 循環装置
2,2 回転体
3 チェーン
3a 一方の直線移動部
3b 他方の直線移動部
4 コンベヤ装置
6 サーボモータ
7 排出ロッド
8 排出装置本体
13 案内輪
14 押出レール
14a 上流端
14b 下流端
15 送出装置
16 係止溝
17 係合バネ
18 トリガ
19 ストライカ
20 押しバネ
21 引込レール
21a 上流端
21b 下流端
22 引っ張りバネ
24 不良品受取装置
25 検査装置
28 速度検出器
29 制御器
30,30 回転体
31 チェーン
31a 直線移動部
31b 直線移動部
32 循環装置
35 押出レール
35a 上流端
35b 下流端
36 引込レール
36a 上流端
36b 下流端
A 待機位置
B 中間位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を隔てて鉛直に回転する回転体間に掛けられて循環移動し一方の直線移動部がコンベヤ装置の近傍を同方向に移動するチェーンを備えた循環装置と、
前記コンベヤ装置上へ出没が可能な排出ロッドを備えて前記チェーンに等間隔に取り付けた排出装置本体と、
前記各排出ロッドに取り付けた案内輪と、
前記チェーンの一方の直線移動部に対応して配置され、前記案内輪に当接して前記排出ロッドをコンベヤ装置側に押し出すようチェーン移動方向の上流端より下流端がコンベヤ装置に近付く方向へ傾斜配置した押出レールと、
前記案内輪が押出レールの上流端より循環装置側にある待機位置に前記排出ロッドを引き止めておき、排出作動時に前記案内輪が押出レールの上流端よりコンベヤ装置側となる中間位置に排出ロッドを移動させるよう前記排出装置本体に備えた送出装置と、
前記チェーンの他方の直線移動部に対応して設置され、前記押出レールによって押し出された排出ロッドの案内輪に当接して当該排出ロッドを循環装置側に引込めて前記待機位置に復帰させるようチェーン移動方向の上流端より下流端がコンベヤ装置から離反する方向へ傾斜配置した引込レールと、
を備えたことを特徴とする物品排出装置。
【請求項2】
間隔を隔てて水平に回転する回転体間に掛けられて循環移動し一方の直線移動部がコンベヤ装置の近傍を同方向に移動するチェーンを備えた循環装置と、
前記コンベヤ装置上へ出没が可能な排出ロッドを備えて前記チェーンに等間隔に取り付けた排出装置本体と、
前記各排出ロッドに取り付けた案内輪と、
前記チェーンの一方の直線移動部に対応して配置され、前記案内輪に当接して前記排出ロッドをコンベヤ装置側に押し出すようチェーン移動方向の上流端より下流端がコンベヤ装置に近付く方向へ傾斜配置した押出レールと、
前記案内輪が押出レールの上流端より循環装置側にある待機位置に前記排出ロッドを引き止めておき、排出作動時に前記案内輪が押出レールの上流端よりコンベヤ装置側となる中間位置に排出ロッドを移動させるよう前記排出装置本体に備えた送出装置と、
前記チェーンの他方の直線移動部に対応して設置され、前記押出レールによって押し出された排出ロッドの案内輪に当接して当該排出ロッドをコンベヤ装置側に引込めて前記待機位置に復帰させるようチェーン移動方向の上流端より下流端がコンベヤ装置に近付く方向へ傾斜配置した引込レールと、
を備えたことを特徴とする物品排出装置。
【請求項3】
前記送出装置は、排出装置本体に回動可能に備えられ係合バネにより付勢されて係合用ロッドに設けた係止溝に係合するトリガと、該トリガに作用して係合用ロッドの係合溝との係合を離脱するストライカと、前記排出装置本体に備えて排出ロッドをコンベヤ装置側へ押し出すよう付勢された押しバネと、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の物品排出装置。
【請求項4】
前記排出装置本体は、前記排出ロッドを循環装置側へ引戻すよう付勢された引っ張りバネを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の物品排出装置。
【請求項5】
前記コンベヤ装置における前記循環装置よりも上流側に配置して搬送される物品中の不良品を検出する検査装置と、
前記コンベヤ装置の搬送速度を検出する速度検出器と、
該速度検出器からの搬送速度信号を入力し前記コンベヤ装置の搬送速度に同期して前記チェーンの移動を制御する制御器と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の物品排出装置。
【請求項6】
前記コンベヤ装置を挟んで循環装置とは反対側に、不良品受取装置を備えたことを特徴とする請求項5記載の物品排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−256838(P2006−256838A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79513(P2005−79513)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000198318)石川島検査計測株式会社 (132)
【Fターム(参考)】