説明

物品排除装置

【課題】
エアーを吹きつけて物品を生産ライン上から排除する構成であっても、適切に物品を排除することができる物品排除装置を提供する。
【解決手段】
本発明に係る物品排除装置100は、物品Aを一定方向に搬送するラインコンベア1と、エアーを吹きつけて物品Aをラインコンベア1から排除するエアージェット装置2と、物品Aの搬送状態を検出する搬送状態検出装置3と、エアージェット装置2を制御する制御部5と、を備えている。そして、制御部5は、搬送状態検出装置3で検出した物品Aの搬送状態に応じて、エアージェット装置2による吹きつけを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ラインで流れている特定の物品を生産ラインから排除する物品排除装置に関し、特にエアーを吹きつけて物品を排除する物品排除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生産ラインでは、製品自体に異常がある場合だけでなく、製品に異常が無い場合であってもその製品を排除することがある。例えば、最終工程で箱詰め装置によって箱詰めを行う場合があるが、箱詰め装置は製品が搬送方向に対して大きく傾いて搬送されたり、前後の製品が接触して搬送されたりすると、うまく製品を箱詰めすることができない。そのため、搬送されている製品が搬送方向に対して大きく傾いたり、前後で接触したりしているような場合は、製品自体に異常が無くとも、それらの製品を排除する必要がある。また、箱詰め装置が故障するなどの異常がある場合にも、箱詰め装置に製品が搬入される前に製品を排除する必要がある。
【0003】
生産ラインから製品を排除する手法はいくつかあるが、比較的容易に設置できるなどの理由から、エアーを吹きつけて製品を排除する物品排除装置が使用される場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−301310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エアーを吹きつけて物品を排除する物品排除装置は、上述のように比較的容易に設置できるなどの利点があるものの、排除の対象がスナック菓子の袋など比較的軽く、底面が平坦でないような場合には、製品にエアーで吹きつけると製品が回転してしまい、うまく排除できない場合がある。たとえ排除できたとしても、排除される際に前後の製品に接触して前後の製品が傾いてしまい、箱詰め作業ができない場合も生じてしまう。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明は、エアーを吹きつけて物品を生産ライン上から排除する構成であっても、適切に物品を排除することができる物品排除装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る物品排出装置は、物品を一定方向に搬送するラインコンベアと、エアーを吹きつけて前記物品のうち特定の物品を前記ラインコンベアから排除するエアージェット装置と、前記物品の搬送状態を検出する搬送状態検出装置と、前記エアージェット装置を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記搬送状態検出装置で検出した前記物品の搬送状態に応じて、前記エアージェット装置による吹きつけを制御する。かかる構成によれば、各物品の搬送状態に応じて物品に対してエアーを吹きつけることができるため、適切に物品を排除することができる。
【0008】
また、上記物品排除装置において、前記制御部は、前記搬送状態検出装置で検出した前記特定の物品の搬送状態に基づいて、前記特定の物品の重心位置を推測し、その推測した前記特定の物品の重心位置に向けてエアーが吹きつけられるようにエアージェット装置を制御するようにしてもよい。なお、上記で「推測」としたのは、物品によっては算出した重心位置が厳密な意味での重心位置でない場合もあるからである。かかる構成によれば、排除される物品がエアーの吹きつけによって回転等するのを抑えることができるため、排除の際に前後の物品に影響を与えるのを防ぐことができる。
【0009】
また、上記物品排除装置において、前記搬送状態検出装置は、前記物品の搬送路に光軸が交差する検出光の遮断を検出するよう構成された遮光センサであって、前記制御部は、前記検出光が前記物品によって遮られた時間に基づいて前記物品の搬送方向に対する傾きの程度を算出し、算出された前記特定の物品の搬送方向に対する傾きの程度に基づいて、前記特定の物品の重心位置を推測するようにしてもよい。かかる構成によれば、搬送状態検出装置として比較的安価な遮光センサを用いたとしても、物品の搬送方向に対する傾きの程度を算出することで、物品の重心位置を推測することができる。
【0010】
また、上記物品排除装置において、前記制御部は、前記検出光が前記物品によって遮られた時間に基づいて前記物品の搬送方向に対する傾きの程度を算出し、前記物品のうち搬送方向に対する傾きの程度が一定以上である物品に対して、エアーを吹きつけて前記ラインコンベアから排除するよう前記エアージェット装置を制御するようにしてもよい。かかる構成によれば、物品排除装置からは搬送方向に対して傾きが大きい物品が搬出されないため、下流側に箱詰め装置が設置されたような生産ラインでは、箱詰め装置が正常に作動でき有効である。
【0011】
また、上記物品排除装置において、前記制御部は、前記搬送状態検出装置で検出した前記物品の搬送状態に基づいて相前後する前記物品の間の距離を算出し、前後で接する両物品に対しては、前記両物品の全体にエアーを吹きつけて前記両物品を前記ラインコンベアから排除するように前記エアージェット装置を制御するようにしてもよい。かかる構成の場合も、物品排除装置からは前後で接する物品が搬出されないため、下流側に箱詰め装置が設置されたような生産ラインでは、箱詰め装置が正常に作動でき有効である。
【0012】
また、上記物品排除装置において、前記搬送状態検出装置は、前記物品の搬送路に光軸が交差する検出光の遮断を検出するよう配置された遮光センサであって、前記制御部は、遮光センサの検出光が前記物品によって遮られた時間に基づいて相前後する前記物品の間の距離を算出するようにしてもよい。かかる構成によれば、搬送状態検出装置として比較的安価な遮光センサを用いることで、物品排除装置自体のコストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エアーを吹きつけて物品を生産ライン上から排除する構成であっても、適切に物品を排除することができる物品排除装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一の実施形態に係る物品排除装置の概略斜視図である。
【図2】本発明の一の実施形態に係る物品排除装置の作動を示したフローチャートである。
【図3】本発明の一の実施形態に係る物品排除装置の入力表示部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について図を参照して説明する。以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0016】
(実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る物品排除装置100の構成について説明する。図1は本実施形態に係る物品排除装置100の概略斜視図である。図1に示すように、物品排除装置100は、上流側の排出コンベア200と、下流側の箱詰め装置300の間に配置されており、排出コンベア200から物品Aを受け取って、箱詰め装置300へと搬送する。なお、物品排除装置100は、排出コンベア200との間にわずかに隙間が生じるように配置されている。
【0017】
また、図1に示すように、本実施形態に係る物品排除装置100は、ラインコンベア1と、エアージェット装置2と、搬送状態検出装置3と、入力表示部4と、制御部5と、から主に構成されている。なお、本実施形態では、入力表示部4と制御部5は、箱詰め装置300と共用する構成品となっているが、物品排除装置100専用に設けるようにしてもよい。以下、各構成について順に説明する。
【0018】
ラインコンベア1は、物品Aを一定方向に搬送する機能を有している。図1において左から右へと物品Aを搬送する。ラインコンベア1は、環状に形成された幅広のベルト6と、このベルト6を回転させる一対のプーリ(ローラ)及びモータ(図示せず)とから構成されている。モータは制御部5によって制御されている。つまり、ラインコンベア1による物品Aの搬送速度は制御部5によって制御されている。本実施形態では、物品Aの搬送速度が一定になるようにモータが制御されている。
【0019】
エアージェット装置2は、エアーを吹きつけて物品Aをラインコンベア1から排除する機能を有している。エアージェット装置2は、エアーノズル2aと、エアーバルブ2bとを有している。エアーノズル2aの排出口は、水平方向に長い形状を有しており、また、ラインコンベア1の上方に向かって開口している。そのため、エアーノズル2aからエアーが放出されると、そのエアーはラインコンベア1上を物品Aの搬送方向と直角の方向へまっすぐに吹き抜けることになる。エアーバルブ2bは、いわゆる電磁バルブであって、その開閉は制御部5によって制御されている。エアーバルブ2bが開くと、エアーノズル2aから圧縮空気が排出される。なお、必要により、物品Aの搬送路の下方からエアーを排出して物品Aを浮かせ、物品Aを排除しやすいようにしてもよい。
【0020】
搬送状態検出装置3は、物品Aの搬送状態を検出する機能を有している。本実施形態では、搬送状態検出装置3として投光部3aと受光部3bから構成される遮光センサを用いている。投光部3aは搬出コンベア200とラインコンベア1の隙間の上方に配設され、受光部3bは投光部3aに対向するようにして搬出コンベア200とラインコンベア1の隙間の下方に配設されている。なお、投光部3a及び受光部3bは、いずれも搬送方向に直角な方向(以下、「幅方向」という)において、ラインコンベア1の中央付近に位置している。投光部3aから投光された光(以下、「検出光」という)は、搬出コンベア200とラインコンベア1の間を抜けて投光部3bに受光される。つまり、物品Aの搬送路と搬送状態検出装置3の光軸とは交差している。受光部3bが投光部3aの投光した検出光を受光していない場合には、投光部3aと受光部3bの間に物品Aが介在していると判断される。
【0021】
入力表示部4は、物品排除装置100と作業者をつなぐインタフェースであって、物品排除装置100の運転条件を入力することができ、また、物品Aの搬送状態を表示する機能を有している。本実施形態に係る入力表示部4は、タッチパネルを採用している。なお、入力表示部4における具体的な表示内容については後述する。
【0022】
制御部5は、マイクロコンピュータ等からなり、エアージェット装置2を制御し、また、搬送状態検出装置3から物品Aの搬送状態に関する信号を受信する機能を有している。さらに、制御部5は入力表示部4から入力されたデータを処理および記憶し、かつ、入力表示部4に所要の表示を行うよう信号を送信する。本実施形態では、制御部5は、箱詰め装置300のラック内部に設置されている。また、制御部5には、外部から排除信号が入力される。ここでいう「排除信号」とは、下流の箱詰め装置300に異常があった場合など、外部の装置の事情等により物品Aの排出が必要となった場合に外部の装置から発信される信号である。なお、図1では、制御部5と他の構成要素とは電気的に接続されているが、その配線は省略してある。以上が、本実施形態に係る物品排除装置100の概略構成である。
【0023】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る物品排除装置100の作動について説明する。図2は、物品排除装置100の作動を示したフローチャートである。この作動は、制御部5の制御によって遂行される。
【0024】
まず、搬送中の物品による遮光時間(投光部3aと受光部3bの間を通る検出光が遮られている時間)を計測する(ステップS1)。具体的には、搬出コンベア200から物品排出装置100のラインコンベア1へ物品Aが搬送される際、物品Aは投光部3aと受光部3bの間を通過し、投光部3aから投光された検出光を遮る。投光部3aからの検出光が遮られて受光部3bが検出光を受光できなくなると、搬送状態検出装置3は、受光部3bが検出光を受光していないという信号を制御部5に送る。制御部5は、その信号を受信している時間を計測することで、物品Aによる遮光時間を計測することができる。
【0025】
続いて、前後の物品Aが接触しているか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、ステップS1で計測した遮光時間と物品A単体による最大遮光時間と対比する。ここでいう「物品A単体による最大遮光時間」とは、物品Aが最大限遮光できる時間であって、例えば物品Aが平面視において長方形であれば、そのうち一の角とこれに対向する他の角(対角)をつなぐ部分で検出光を遮ったときの遮光時間である。なお、物品A単体での最大遮光時間は、作業前に作業者が入力表示部4から予め入力しておく。一般的に、前後の物品Aが接触している場合は、遮光時間が物品A単体での最大遮光時間よりも長くなる。そのため、制御部5は、計測した遮光時間が物品A単体での最大遮光時間よりも長い場合は、前後の物品Aが接触していると判定し、計測した遮光時間が物品A単体での最大遮光時間よりも短い場合は、前後の物品Aが接触していないと判定する。
【0026】
ステップS2において、前後の物品Aが接触していると判定した場合には(ステップS2でYES)、相前後する両物品Aにエアーを吹きつけて、両物品Aをラインコンベア1から排除する(ステップS3)。本実施形態において、制御部5は、両物品Aのうち検出光を遮った部分全体にエアーを吹きつけるように、エアージェット装置2を制御する。より具体的には、前後で接触する物品Aがラインコンベア1で箱詰め装置300の方向へ搬送され、前方側にあたる物品Aの検出光を遮った部分の先端がエアージェット装置2のエアーノズル2aの正面にさしかかると、制御部5はエアーバルブ2bを開放してエアーを放出する。そして、制御部5は、そのままエアーバルブ2bを開放してエアーノズル2aの正面を通過する両物品Aにエアーを放出し続け、後方側にあたる物品Aの検出光を遮った部分の後端がエアーノズル2aの正面を通過するとエアーバルブ2bを閉鎖してエアーの放出を停止する。
【0027】
一方、ステップS2において、前後の物品Aが接触していないと判定した場合には(ステップS2でNO)、物品Aの搬送方向に対する傾きの程度を算出する(ステップS4)。具体的には、ステップS1で計測した遮光時間と物品Aが搬送方向に対して傾いていない場合(正常時)の遮光時間との差を算出する。なお、正常時の遮光時間は、作業前に作業者が入力表示部4から入力する。物品Aが搬送方向に対して傾いている場合の遮光時間は、その傾きの程度が大きければ、その分正常時の遮光時間よりも大きくなる。そのため、計測した遮光時間と正常時の遮光時間との差を求めることで、その物品Aの搬送方向に対する傾きの程度を算出することができる。
【0028】
続いて、物品Aの傾きが許容範囲外であるか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、ステップS4で計測した遮光時間と正常時の遮光時間との差を算出したが、この差が所定範囲外であるか否かを判定する。例えば箱詰め装置300は物品Aが搬送方向に対して15度以上傾いていると箱詰めできないとする。そすると、正常時の遮光時間が0.60秒である場合、これをcos15°で割った約0.62秒よりも遮光時間が長い(つまり、計測した遮光時間と正常時の遮光時間との差が0.02秒を超える)ような物品Aは、箱詰め装置300で箱詰めできないことになる。この原理を利用して、本ステップでは、計測した遮光時間と正常時の遮光時間との差の許容範囲を決定し(上記の例では0.02秒)、その差が所定範囲外であれば、物品の傾きが許容範囲外であると判定する。なお、この許容範囲は、作業前に作業者が入力表示部4から入力する。
【0029】
ステップS5で許容範囲外であると判定した場合には(ステップS5でYES)、ステップS6に進み、許容範囲内であると判定した場合には(ステップS5でNO)、ステップS8へ進む。ステップS6に進んだ場合は、物品Aの重心位置を推測する。具体的には、物品Aの遮光しはじめた部分と遮光し終わった部分の中間位置を、その物品Aの重心位置であると推測する。ここで「推測する」としたのは、外観形状から物品Aの重心位置を算出しても、その算出した重心位置が必ずしも厳密な重心位置でない場合があるからである。例えば、物品Aの内容物が移動するような場合は外観形状だけでは、厳密な意味での重心位置を算出することができない。
【0030】
その後、ステップS6で推測した物品Aの重心位置に向かってエアーを排出する(ステップS7)。具体的には、推測した物品Aの重心位置がエアーノズル2aの正面に来たときにエアージェット装置2のエアーバルブ2bを開放してエアーを物品Aに吹きつける。これにより、物品Aはラインコンベア1から排除される。なお、推測した物品Aの重心位置がエアーノズル2aの正面に来るタイミングは、検出光の光軸からエアーノズル2aの正面までの距離と、搬送速度(モータの回転速度)とに基づいて算出される。このように、物品Aの重心位置を狙ってエアーを吹きつけることにより、エアーの吹きつけによる物品Aの回転やズレを抑えて的確に物品Aをラインコンベア1から排除することができる。
【0031】
なお、ステップS5で許容範囲内であると判定した場合(ステップS5でNO)、制御部5は排除信号を受信したか否かを判定する(ステップS8)。上述したように、外部装置の故障などにより物品Aをラインコンベア1から排除する必要がある場合は、制御部5には外部から排除信号が送信される。本ステップでは、その排除信号を受信したか否かを判定している。
【0032】
ステップS8において、排除信号を受信していると判定した場合は(ステップS8でYES)、ステップS6及びステップS7へと順に進む。つまり、制御部5は、物品Aの重心位置を推測して(ステップS6)、推測した物品Aの重心位置に向けてエアーを排出する(ステップS7)。一方、ステップS8において、排除信号を受信していないと判定した場合は(ステップS8でNO)、終了する。つまり、搬出コンベア200から受け取った物品Aをそのまま箱詰め装置300へ搬出する。
【0033】
以上が、物品排除装置100の動作の説明である。このように、本実施形態の物品排除装置100によれば、前後の物品Aの距離や物品Aの搬送方向に対する傾きなどの物品Aの搬送状態を検知して、物品Aに対するエアーの吹きつけ位置が決定されるため、物品を適切に生産ラインから排除することができる。
【0034】
以上では、本実施形態に係る物品排除装置100の主な機能について詳述したが、物品排除装置100はこれら以外の機能も有している。それらの機能について、図3を用いて説明する。図3は、入力表示部4を示した図である。なお、図3中、「有効」という文字が枠で囲まれた部分は、これに触れることで「有効」と「無効」を切り替えることができ、「使用」という文字が枠で囲まれた部分は、これに触れることで「使用」と「不使用」を切り替えることができる。また、数字が枠で囲まれた部分に触れると、テンキーがポップアップされ、その数字キーに触れることで数値を変更することができる。以下、図3に示す各設定(表示)項目について、既に説明した内容も含め簡単に説明する。
【0035】
「商品方向検知」の項目21は、設定を「有効」にすることで、異なった方向で(横になった状態で)搬送されてきた商品(物品A)は、エアーが吹きつけられラインコンベア1から排除される。例えば、平面視において、物品Aの搬送方向(縦方向)の寸法が、幅方向の寸法よりも大きい場合、測定した遮光時間が正常時の遮光時間(縦方向での遮光時間)よりも短ければ、異なった方向で搬送されていると判定することができる。
【0036】
「商品供給間隔検知」の項目22は、設定を「有効」にすることで、物品Aの前後間隔が箱詰め装置300で処理できないほど狭い場合は、物品Aはラインコンベア1から排除される。本実施形態に係る搬送状態検出装置3によれば、遮光が終わってから遮光が始まるまでの時間を測定すれば、物品Aの前後間隔を計測することができる。
【0037】
「エラー及び停止中」の項目23は、設定を「有効」にすることで、箱詰め装置300がエラー状態のとき、または運転停止中のとき、つまり制御部5が箱詰め装置300からの排除信号を受信したときは、エアーを吹きつけることにより搬送されている物品Aをラインコンベア1から排除する。
【0038】
「外部NG」の項目24は、設定を「有効」にすることで、制御部5が箱詰め装置300以外の装置からNG信号(排除信号)を受信した場合、エアーを吹きつけることにより搬送されている物品Aをラインコンベア1から排除する。
【0039】
「商品検知時間」の項目25は、搬送方向に対して傾きのない物品Aが遮光する時間(正常時の遮光時間)が例えば0.60秒である場合には、運転前に作業者がこの項目に「0.60」と入力する。上述したように、制御部5はこの数値を基に物品Aの搬送状態を把握することができる。
【0040】
「商品検知時間参考値」の項目26には、物品Aが遮光した時間の実測値が表示される。物品Aが搬送状態検出装置3の投光部3aと受光部3bとの間を通過する度にこの値は更新される。
【0041】
「範囲」の項目27は、遮光時間の許容誤差範囲を表示する。上述の例の場合、正常時の遮光時間が0.60秒で、最大許容範囲の角度で搬送される物品Aの遮光時間が0.62秒であるから、運転前に作業者がこの項目に「0.02」と入力する。
【0042】
「能力過多」の項目28は、箱詰め装置300で処理可能な物品Aの前後間隔を表示する。例えば「0.30」と入力すると、前方の物品による遮光が終わった後、その後方の物品による遮光が始まるまでが0.30秒よりも短い場合は、エアーを吹きつけて前後の物品のいずれか又は両方をラインコンベア1から排除する。前後の物品Aが接している場合だけでなく、前後の物品間距離が一定以上近づいている場合にも、箱詰め装置300が能力過多となり箱詰めが正常に行われない可能性があるからである。
【0043】
「能力過多参考値」の項目29は、前方の物品Aによる遮光が終わった後、その後方の物品Aによる遮光が始まる時間の実測値が表示される。物品Aが搬送状態検出装置3の投光部3aと受光部3bとの間を通過する度にこの値は更新されていく。
【0044】
「排出時間」(商品方向異常時)の項目30は、エアーの吹きつけ時間を示している。例えば、「1.00」と表示されている場合は、物品Aをラインコンベア1から排除する際に1.00秒間エアーが吹きつけられる。エアーの吹きつけ時間は、作業者が直接設定するようにしてもよく、また、物品Aの搬送状態に応じて制御部5が設定するようにしてもよい。なお、排出時間は、物品Aの傾きが大きい場合と小さい場合とで設定を変えることができる。ここでは、物品Aの搬送方向に対する傾きが大きい場合についての設定値が表示されている。
【0045】
「遅延時間」(商品方向異常時)の項目31は、物品Aの傾きの程度を検知してからエアーによる吹きつけが開始されるまでの時間を示している。つまり、エアーを吹きつけるタイミングを表示している。例えば、「0.30」と表示されている場合は、商品の傾きの程度を検知してから0.30秒後にエアーが吹きつけられる。この値は、物品Aの搬送状態に基づいて(物品Aの傾きの程度に応じて)、その物品Aの重心位置にエアーが吹きつけられるように制御部5によって設定される。ただし、作業者が値を直接設定することも可能である。ここでは、物品Aの搬送方向に対する傾きが大きい場合についての設定値が表示されている。
【0046】
「排出時間」(商品方向正常時)の項目32は、エアーの吹きつけ時間を示している。上述の「排出時間」(商品方向異常時)の項目30と基本的に同じである。ただし、ここでは、物品Aの搬送方向に対する傾きが小さい場合についての設定値が表示されている。つまり、物品Aの搬送方向に対する傾きが小さいが、制御部5が外部から排出信号を受けた場合にエアーを吹きつける際の設定が表示されている。
【0047】
「遅延時間」(商品方向正常時)の項目33は、物品Aの傾きの程度を検知してからエアーによる吹きつけが開始されるまでの時間を示している。上述の「遅延時間」(商品方向異常時)の項目31と基本的に同じである。ただし、ここでは、物品Aが搬送方向に対する傾きの小さい場合についての設定値が表示されている。つまり、物品Aの搬送方向に対する傾きが小さいが、制御部5が外部から排出信号を受けた場合にエアーを吹きつける際の設定が表示されている。
【0048】
「商品連続検出時間」の項目34は、前後の商品が接触していると判断される遮光時間が表示されている。例えば「0.80」と設定されている場合は、遮光時間が0.80秒よりも長い場合には、制御部5は前後の商品が接触していると判断する。この値も、運転前に作業者が設定する。
【0049】
「商品連続検出時遅延時間」の項目35は、前後の商品Aが接触していることを検出してから、エアーを吹きつけるまでの時間を示している。
【0050】
「外部NG検出光電管」の項目36は、設定を「使用」にすると制御部5が外部から排出信号を受けたときに遮光中であった物品Aが排除され、設定を「未使用」にすると遮光中である商品の1つ前の物品Aが排除される。以上が、入力表示部4に表示される各設定(表示)項目についての説明である。
【0051】
以上、本発明に係る実施形態について図を参照して説明したが、具体的な構成はこれらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、以上ではエアージェット装置が1個所に設置されている場合について説明したが、エアージェット装置を複数設けるようにしてもよい。この場合、排除対象となる物品の重心位置にエアーを吹きつけるのではなく、物品の前後両端にエアーを吹きつけるようにしてもよい。さらに、物品自体に異常がある場合に作動するエアージェット装置と、物品に異常はないが排除しなければならない場合に作動するエアージェット装置とに分け、排除する目的に応じて物品の排除方向(排除先)を変えるようにしてもよい。
【0052】
また、以上ではエアージェット装置がエアーを物品の搬送方向に対して直角の方向に吹きつける場合について説明したが、エアージェット装置をエアーの排出方向を変更できるような構成とし、制御部が物品の搬送状態に応じてエアーの排出方向を変えるようにエアージェット装置を制御してもよい。さらに、物品の搬送状態に応じて時間あたりの排出量を変えるようにしてもよい。
【0053】
また、以上では搬送状態検出装置として遮光センサを用いたが、これに代えて小型カメラを用いて、制御部が画像データに基づいて物品の傾きや重心位置などの搬送状態を検出するようにしてもよい。かかる構成によれば、より正確に物品の搬送状態を検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、エアーを吹きつけて物品を生産ライン上から排除する構成であっても、適切に物品を排除することができる物品排除装置を提供することができる。よって、物品排除装置の技術分野において有益である。
【符号の説明】
【0055】
100 物品排除装置
1 ラインコンベア
2 エアージェット装置
3 搬送状態検出装置
4 入力表示部
5 制御部
A 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を一定方向に搬送するラインコンベアと、
エアーを吹きつけて前記物品のうち特定の物品を前記ラインコンベアから排除するエアージェット装置と、
前記物品の搬送状態を検出する搬送状態検出装置と、
前記エアージェット装置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記搬送状態検出装置で検出した前記物品の搬送状態に応じて、前記エアージェット装置による吹きつけを制御する、物品排除装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記搬送状態検出装置で検出した前記特定の物品の搬送状態に基づいて、前記特定の物品の重心位置を推測し、その推測した前記特定の物品の重心位置に向けてエアーが吹きつけられるようにエアージェット装置を制御する、請求項1に記載の物品排除装置。
【請求項3】
前記搬送状態検出装置は、前記物品の搬送路に光軸が交差する検出光の遮断を検出するよう構成された遮光センサであって、
前記制御部は、前記検出光が前記物品によって遮られた時間に基づいて前記物品の搬送方向に対する傾きの程度を算出し、算出された前記特定の物品の搬送方向に対する傾きの程度に基づいて、前記特定の物品の重心位置を推測する、請求項2に記載の物品排除装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出光が前記物品によって遮られた時間に基づいて前記物品の搬送方向に対する傾きの程度を算出し、前記物品のうち搬送方向に対する傾きの程度が一定以上である物品に対して、エアーを吹きつけて前記ラインコンベアから排除するよう前記エアージェット装置を制御する、請求項3に記載の物品排除装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記搬送状態検出装置で検出した前記物品の搬送状態に基づいて相前後する前記物品の間の距離を算出し、前後で接する両物品に対しては、前記両物品の全体にエアーを吹きつけて前記両物品を前記ラインコンベアから排除するように前記エアージェット装置を制御する、請求項1に記載の物品排除装置。
【請求項6】
前記搬送状態検出装置は、前記物品の搬送路に光軸が交差する検出光の遮断を検出するよう配置された遮光センサであって、
前記制御部は、遮光センサの検出光が前記物品によって遮られた時間に基づいて相前後する前記物品の間の距離を算出する、請求項5に記載の物品排除装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−179969(P2010−179969A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22081(P2009−22081)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】