説明

物品搬送撮影装置

【解決手段】 第1色の搬送面20aを有する第1搬送コンベヤ20と、第2色の搬送面30aを有する第2搬送コンベヤ30とは直列に配置されており、物品11は第1搬送コンベヤ20から受け渡し部12を介して第2搬送コンベヤ30に搬送されるようになっている。上記受け渡し部12は移動手段13によって物品の搬送方向に往復動されるようになっており、受け渡し部が撮影手段40よりも搬送方向下流側に移動されると、該撮影手段によって撮影される搬送面は第1搬送コンベヤの第1色の搬送面20aとなる。他方、受け渡し部が撮影手段よりも搬送方向上流側に移動されると、撮影手段によって撮影される搬送面は第2搬送コンベヤの第2色の搬送面30aとなる。
【効果】 受け渡し部を撮影手段よりも搬送方向下流側に移動させるか、上流側に移動させるかによって、撮影手段によって撮影される搬送面を第1色と第2色とに切換えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベヤによって搬送される物品を撮影する物品搬送撮影装置に関し、より詳しくは、搬送コンベヤの搬送面上に載置されて搬送される物品を搬送面ごと撮影する物品搬送撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送コンベヤの搬送面上に載置されて搬送される物品を搬送面ごと撮影する物品搬送撮影装置は周知である。
ところで、撮影手段によって物品を撮影する場合、物品が例えば白色の場合には、搬送コンベヤの搬送面が白色だと良好な映像を得ることができないので、この場合には搬送コンベヤの搬送面が黒色であることが好ましい。しかしながら搬送コンベヤの搬送面を黒色に設定すると、黒色の物品については良好な映像を得ることが困難となる。
このため従来、搬送コンベヤをバケットコンベヤとし、各バケット毎にプレート部材を反転可能に設け、該プレート部材の一方の面を白色、他方の面を黒色としたものが提案されている(特許文献1)
この物品搬送撮影装置においては、物品が白色である場合には、上記プレート部材の黒色の面を載置面側である表面側として該黒色のプレート部材上に白色の物品を載置し、その状態で撮影を行うようにしている。他方、物品が黒色である場合には、上記プレート部材を反転させて白色の面を載置面とし、該白色のプレート部材上に黒色の物品を載置するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−7153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の物品搬送撮影装置においては、搬送コンベヤはバケットコンベヤとして構成されているので、予め物品を各バケット内に供給しなければならず、物品をランダムの状態で搬送することはできなかった。
また物品の色に応じて載置面を変更する際には、全てのバケット内のプレート部材を反転させなければならず、その作業が煩雑であった。
本発明はそのような事情に鑑み、撮影手段で撮影する載置面の色を極めて容易に変更することができ、しかも物品をランダムの状態で搬送することが可能な物品搬送撮影装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、第1色の搬送面を有する第1搬送コンベヤと第2色の搬送面を有する第2搬送コンベヤとを直列に配置して、物品を上記第1搬送コンベヤの搬送面から第2搬送コンベヤの搬送面へ受け渡すようにし、また上記第1搬送コンベヤと第2搬送コンベヤとの相互に隣接する物品の受け渡し部を搬送方向に沿って往復移動させる移動手段を設けて、上記第1搬送コンベヤの搬送面の長さと第2搬送コンベヤの搬送面の長さとをそれぞれ伸縮可能とし、さらに上記搬送コンベヤの搬送面上に載置されて搬送される物品を搬送面ごと撮影する撮影手段を設け、
上記移動手段は、上記受け渡し部を上記撮影手段よりも搬送方向下流側に移動させることにより該撮影手段によって撮影される搬送面を第1搬送コンベヤの第1色の搬送面に設定し、また上記受け渡し部を上記撮影手段よりも搬送方向上流側に移動させることにより該撮影手段によって撮影される搬送面を第2搬送コンベヤの第2色の搬送面に設定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、物品は第1搬送コンベヤから物品の受け渡し部を介して第2搬送コンベヤへ受け渡されて搬送されるようになるので、バケットコンベヤのように各バケット内に物品を収容して搬送する必要がなく、したがって各物品をランダムの状態で搬送することが可能となる。
そして物品が第2色、例えば白色の場合には、上記移動手段により、上記受け渡し部を上記撮影手段よりも搬送方向下流側に移動させて、該撮影手段によって撮影される搬送面を第1搬送コンベヤの第1色の搬送面、例えば黒色の搬送面に設定すればよい。これにより黒色の搬送面上に白色の物品を載置した状態で撮影手段によって当該物品を撮影することができるので、良好な映像を得ることができる。
他方、物品が第1色の場合、すなわち上述した黒色の場合には、上記移動手段により、上記受け渡し部を上記撮影手段よりも搬送方向上流側に移動させて、該撮影手段によって撮影される搬送面を第2搬送コンベヤの第2色の搬送面に、すなわち白色に設定すればよい。この場合には、白色の搬送面上に黒色の物品を載置した状態で撮影手段によって当該物品を撮影することができるので、やはり良好な映像を得ることができる。
したがって、移動手段により受け渡し部を上記撮影手段よりも搬送方向下流側に移動させるか、上流側に移動させるかによって、撮影手段によって撮影される搬送面を第1色と第2色とに切換えることができ、その切換作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例を示す側面図。
【図2】図1と異なる状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、供給コンベヤ10によってランダムの状態で搬送されてきた白色の物品11は、第1色の搬送面、例えば黒色の搬送面20aを有する第1搬送コンベヤ20に供給されて、該第1搬送コンベヤ20によって下流側に搬送されるようになっている。
上記第1搬送コンベヤ20の下流側には、第2色の搬送面、例えば白色の搬送面30aを有する第2搬送コンベヤ30を直列に配置してあり、上記第1搬送コンベヤ20からの物品11は、該第1搬送コンベヤ20の搬送面20aから物品の受け渡し部12を介して、第2搬送コンベヤ30の搬送面30aに受け渡されるようになっている。
これら第1搬送コンベヤ20と第2搬送コンベヤ30とは、図示しない駆動手段によって同速で駆動されるようになっている。
【0009】
上記第1搬送コンベヤ20は、少なくとも5つのローラ21〜25を備えており、第1搬送コンベヤ20を構成する無端状のベルト26はそれら複数のローラ21〜25に掛け渡されて循環走行されるようになっている。
上記5つのローラのうち、供給コンベヤ10に隣接するローラ21と、その下方に位置するローラ22、および該ローラ22の右側に位置するローラ23は、それぞれ図示しない固定フレームに回転自在に軸支してある。
他方、上記供給コンベヤ10に隣接するローラ21の右方に位置するローラ24と、2つの上述した右側のローラ23、24より左側の中間高さ位置にあるテンションローラ25とは、物品11の搬送方向に沿って進退動自在に設けた移動フレーム13に、回転自在に軸支してある。
【0010】
上記1搬送コンベヤ20のベルト26は、上方の2つのローラ21、24間に水平に掛け渡してあり、さらにローラ24から折返してテンションローラ25、ローラ23、ローラ22およびローラ21の順に、無端状に掛け渡してある。このとき、上方の右側に位置するローラ24は上記受け渡し部12を構成しており、このローラ24を介して物品11を下流側の第2搬送コンベヤ30に受け渡すことができるようになっている。
【0011】
そして上記ベルト26は、上記ローラ24から折返されてテンションローラ25に掛け渡され、さらにこのテンションローラ25からローラ23に掛け渡されることによりその部分でV字状に形成されている。
上記テンションローラ25はローラ23と24との高さ方向中央位置に設けてあり、それによって、移動フレーム13が左方に移動されて、この移動フレーム13に設けたローラ24と固定フレームに設けたローラ21との間の間隔が縮小された際には、上記移動フレーム13に設けた他のテンションローラ25と固定フレームに設けたローラ23との間の間隔が同量だけ拡大されるようになっている(図2参照)。
他方、移動フレーム13が右方に移動されて、上記ローラ24とローラ21との間の間隔が拡大された際には、テンションローラ25とローラ23との間の間隔が同量だけ縮小されるようになっている。
【0012】
このようにして、移動フレーム13を移動させても、5つのローラ21〜25間の合計の間隔(距離)は常に一定となるようにしてあり、それによって無端状のベルト26が弛んだり引き伸ばされることなく、上記受け渡し部12のローラ24を物品の搬送方向に進退動させることができるようにしてある。
そして受け渡し部12のローラ24を物品の搬送方向前方に移動させることにより、上方の2つのローラ21、24間に掛け渡された第1搬送コンベヤ20の搬送面20aの長さを伸長させることができ、またローラ24を物品の搬送方向後方に移動させることにより、上方の2つのローラ21、24間に掛け渡された第1搬送コンベヤ20の搬送面20aの長さを縮小させることができるようにしてある。
【0013】
上記第2搬送コンベヤ30も、上述した第1搬送コンベヤ20と同様に構成してある。
すなわち第2搬送コンベヤ30は少なくとも5つのローラ31〜35を備えており、第2搬送コンベヤ30を構成する無端状のベルト36はそれら複数のローラ31〜35に掛け渡されて循環走行されるようになっている。
上記第2搬送コンベヤ30の5つのローラ31〜35は、第1搬送コンベヤ20の5つのローラ21〜35と対称となるように設けてある。すなわち上記5つのローラ31〜35のうち、物品11の搬送方向下流側の上方に位置するローラ31と、その下方に位置するローラ32と、および該ローラ32の左側に位置するローラ33とは、それぞれ図示しない固定フレームに回転自在に軸支してある。
【0014】
これに対し、上記ローラ31の左方に位置するローラ34と、2つの上述した左側のローラ33、34より右側の中間高さ位置にあるテンションローラ35とは、上述した移動フレーム13に回転自在に軸支してある。
そして上記2搬送コンベヤ30のベルト36は、上方の2つのローラ31、34間に水平に掛け渡してあり、さらにローラ34から折返してテンションローラ35、ローラ33、ローラ32およびローラ31の順に、無端状に掛け渡してある。
このとき上記ベルト36は、第1搬送コンベヤ20のベルト26と同様に、上記ローラ34から折返されてテンションローラ35に掛け渡され、さらにこのテンションローラ35からローラ33に掛け渡されることによりその部分でV字状に形成されている。
【0015】
上述した2つのローラ24、34は相互に隣接させて移動フレーム13に配置してあり、これら隣接する2つのローラ24、34によって、第1搬送コンベヤ20の搬送面20aから第2搬送コンベヤ30の搬送面30aへ上記物品11を受け渡すための受け渡し部12を構成してある。
このようにして上記移動フレーム13を物品11の搬送方向に進退動させることにより、上記受け渡し部12を同方向に進退動させることができるようにしてある。図1は、上記移動フレーム13を搬送方向下流側となる第1位置Aに位置させた状態を示しており、また図2は、移動フレーム13を搬送方向上流側となる第2位置Bに位置させた状態を示している。
なお図示しないが、上記移動フレーム13は、例えばボールナット手段やシリンダユニットなどの駆動手段によって、進退動させることができるようにしてある。
【0016】
上記2つの搬送コンベヤ20、30の上方には、これら搬送コンベヤ20、30によって搬送させる物品11を撮影するための撮影手段40を設けてあり、また該撮影手段40の下流側に、所要の間隔をあけて、ロボットなどからなる物品保持手段41を設けてある。
上記物品保持手段41は図示しない制御装置によってその作動が制御されるようになっており、該制御装置は、上記撮影手段40によって撮影された物品11の映像を入力したら、その映像から当該物品11の姿勢などを解析し、さらに上記物品保持手段41をその解析結果に基づいて作動させて上記物品11を保持させるようになっている。このような技術は従来既に周知であるので、その詳細な説明は省略する。
【0017】
そして、上記撮影手段40と物品保持手段41とは、図1に示すように、上記移動フレーム13を搬送方向下流側となる第1位置Aに位置させた状態では、いずれも第1搬送コンベヤ20の搬送面20a上に位置するようになっている。この状態では、撮影手段40は搬送面20a上の物品11を該搬送面20aごと撮影することができる。
他方、図2に示すように、上記移動フレーム13を搬送方向上流側となる第2位置Bに位置させた状態では、上記撮影手段40と物品保持手段41とはいずれも第2搬送コンベヤ30の搬送面30a上に位置するようになっている。この状態では、撮影手段40は搬送面30a上の物品11を該搬送面30aごと撮影することができる。
【0018】
以上の構成において、白色(第2色)の物品11が用いられる場合には、図1に示すように、移動フレーム13は搬送方向下流側となる第1位置Aに移動される。
上記移動フレーム13が第1位置Aに向けて下流側に移動されると、上記受け渡し部12を構成するローラ24、34も下流側に移動されるようになり、それによって第1搬送コンベヤ20の搬送面20aが下流側に伸長されるとともに、第2搬送コンベヤ30の搬送面30aが収縮されるようになる。
そして上記受け渡し部12が下流側の第1位置Aに位置された状態では、第1搬送コンベヤ20の搬送面20aは撮影手段40と物品保持手段41を越えた下流側位置まで伸長されている。
この状態では、第1搬送コンベヤ20の搬送面20aは黒色(第1色)となっているので、上記撮影手段40によって白色(第2色)の物品11を撮影した際には、黒色の搬送面20a上にある白色の物品11を撮影することになるので、良好な映像を得ることができる。
【0019】
他方、黒色(第1色)の物品11が用いられる場合には、図2に示すように、移動フレーム13は搬送方向上流側となる第2位置Bに移動される。
上記移動フレーム13が第2位置Bに向けて上流側に移動されると、上記受け渡し部12のローラ24、34も上流側に移動されるようになり、それによって第1搬送コンベヤ20の搬送面20aが収縮されるとともに、第2搬送コンベヤ30の搬送面30aが上流側に伸長されるようになる。
そして上記受け渡し部12が上流側の第2位置Bに位置された状態では、第2搬送コンベヤ30の搬送面30aは撮影手段40と物品保持手段41を越えた上流側位置まで伸長されている。
この状態では、第2搬送コンベヤ30の搬送面30aは白色(第2色)となっているので、上記撮影手段40によって黒色(第1色)の物品11を撮影した際には、白色の搬送面30a上にある黒色の物品11を撮影することになるので、良好な映像を得ることができる。
【0020】
上記物品保持手段41は、撮影手段40によって撮影された映像に基づいて物品11を保持することになるが、その際、受け渡し部12は撮影手段40と物品保持手段41との間には存在しないので、搬送面に対する物品11の位置ずれが無い状態で当該物品11を保持することができるようになる。
つまり、上記受け渡し部12が撮影手段40と物品保持手段41との間にある場合には、物品11が受け渡し部12を通過する際に位置ずれを起こす危険性があり、高精度な保持を必要とするような場合には、その位置ずれによって物品保持手段41による物品11の保持が不良となる危険性がある。
本実施例においては、上記受け渡し部12が撮影手段40と物品保持手段41との間に無いので、物品保持手段41による物品11の保持を確実に行うことが可能となる。そして物品保持手段41によって保持された物品11は、第1搬送コンベヤ20又は第2搬送コンベヤ30上から他の箇所に搬送されるようになる。
【0021】
なお、物品11が受け渡し部12を通過する際に位置ずれを起こしても、物品保持手段41による物品11の保持が不良となる危険性がない場合には、上記受け渡し部12は、単に撮影手段40に対してその上流側か下流側かにあればよい。
つまり、上記受け渡し部12を撮影手段40よりも上流側に位置させれば、該撮影手段40によって撮影される搬送面30aを第2色とすることができ、また撮影手段40よりも下流側に位置させれば、該撮影手段40によって撮影される搬送面20aを第1色とすることができるので、それら搬送面の色の切換を極めて容易に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0022】
11 物品 12 受け渡し部
13 移動フレーム 20 第1搬送コンベヤ
20a、30a 搬送面 21〜25、31〜35 ローラ
26、36 ベルト 30 第2搬送コンベヤ
40 撮影手段 41 物品保持手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1色の搬送面を有する第1搬送コンベヤと第2色の搬送面を有する第2搬送コンベヤとを直列に配置して、物品を上記第1搬送コンベヤの搬送面から第2搬送コンベヤの搬送面へ受け渡すようにし、また上記第1搬送コンベヤと第2搬送コンベヤとの相互に隣接する物品の受け渡し部を搬送方向に沿って往復移動させる移動手段を設けて、上記第1搬送コンベヤの搬送面の長さと第2搬送コンベヤの搬送面の長さとをそれぞれ伸縮可能とし、さらに上記搬送コンベヤの搬送面上に載置されて搬送される物品を搬送面ごと撮影する撮影手段を設け、
上記移動手段は、上記受け渡し部を上記撮影手段よりも搬送方向下流側に移動させることにより該撮影手段によって撮影される搬送面を第1搬送コンベヤの第1色の搬送面に設定し、また上記受け渡し部を上記撮影手段よりも搬送方向上流側に移動させることにより該撮影手段によって撮影される搬送面を第2搬送コンベヤの第2色の搬送面に設定することを特徴とする物品搬送撮影装置。
【請求項2】
上記撮影手段よりも下流側に、上記物品を保持する物品保持手段が設けられており、上記受け渡し部が下流側に移動された際には、物品保持手段は、第1搬送コンベヤの搬送面上の物品を保持することを特徴とする請求項1の物品搬送撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−23316(P2013−23316A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158246(P2011−158246)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】