説明

物品搬送装置

【課題】走行台車の重量の増加を抑制しながら、より高い位置であっても物品を搬送できる物品搬送装置の提供。
【解決手段】複数の柱材17及び柱材17同士を連結する複数の斜材18を備えたメイン昇降案内マスト19と、メイン昇降案内マスト19よりも横断面の面積が小さいサブ昇降案内マスト20とを設け、昇降台12には、メイン昇降案内マスト19に当接する状態で案内されて走行台車の前後方向での昇降台12の移動を規制する前後方向被案内体25と、メイン昇降案内マスト19に当接する状態で案内されて走行台車の横幅方向での昇降台12の移動を規制するメイン用横幅方向被案内体22と、サブ昇降案内マスト20に当接する状態で案内されて走行台車の横幅方向での昇降台12の移動を規制するサブ用横幅方向被案内体23とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行レールに沿って走行自在な走行台車と、その走行台車の前後方向に間隔を隔てて前記走行台車に立設されて上端部が上部フレームにて連結された前後一対の昇降案内マストと、それら前後一対の昇降案内マストに案内されて昇降自在な昇降台と、その昇降台に備えられた物品移載手段とが設けられた物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品搬送装置は、例えば、自動倉庫等に用いられ、走行台車を走行させ且つ昇降台を昇降させて物品収納棚における複数の収納部のいずれかに物品を収納する又はその収納部から物品を取り出すものである。そして、物品搬送装置は、搬入される物品を物品収納棚における複数の収納部のいずれかに入庫する入庫作業や、複数の収納部のいずれかに収納されている物品を出庫する出庫作業を行うようにしている。
【0003】
従来の物品搬送装置では、走行台車の長手方向の両端部の夫々に昇降案内マストが立設され、前後一対の昇降案内マストの夫々が柱材(例えば、断面形状が矩形状に形成された柱材)にて構成され、昇降台の両端部に連結されて昇降台を吊り下げ支持する複数の索状体が設けられ、昇降台が前後一対の昇降案内マストに案内されて昇降自在に設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−59190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の物品搬送装置では、走行台車を走行レールに沿って走行させるだけでなく、昇降案内マストに案内させて昇降台を昇降させることにより、上下左右に並ぶ複数の収納部に対して物品を搬送できる。物品収納棚は、設置スペースの制限等から、上下方向により多くの収納部を並べた高さの高いものもあり、物品搬送装置としては、より高い位置(例えば、40m程度)であっても物品を搬送できるものが求められる。
【0006】
より高い位置にも物品を搬送するためには、昇降案内マストの高さをより高くしなければならない。しかしながら、昇降案内マストの高さを高くすると、昇降案内マストの強度を強固にしなければ、昇降台を適正に支持できなくなる。
そこで、昇降案内マストにおける柱材をより太いものとする又は柱材の肉厚を厚くする等により、昇降案内マストの強度を強化することが考えられるが、昇降案内マストの強度を強化すれば昇降案内マストの重量が増加する。その結果、前後一対の昇降案内マストの夫々について、同じように強度を強化すると、走行台車の重量が増大する。走行台車の重量が増大すると、走行台車の走行速度が低下する又は走行台車を走行させる駆動手段がより大きな能力を必要とする等の問題を生じることになる。
【0007】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、走行台車の重量の増加を抑制しながら、より高い位置であっても物品を搬送できる物品搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る物品搬送装置の第1特徴構成は、走行レールに沿って走行自在な走行台車と、その走行台車の前後方向に間隔を隔てて前記走行台車に立設されて上端部が上部フレームにて連結された前後一対の昇降案内マストと、それら前後一対の昇降案内マストに案内されて昇降自在な昇降台と、その昇降台に備えられた物品移載手段とが設けられた物品搬送装置であって、
前記前後一対の昇降案内マストの一方は、間隔を隔てて立設された複数の柱材及び隣接する柱材同士を連結する複数の斜材を備えたメイン昇降案内マストであり、且つ、前記前後一対の昇降案内マストの他方は、前記メイン昇降案内マストよりも横断面の面積が小さいサブ昇降案内マストであり、前記昇降台には、前記メイン昇降案内マストに当接する状態で案内されて前記走行台車の前後方向の一方側及び他方側への前記昇降台の移動を規制する前後方向被案内体と、前記メイン昇降案内マストに当接する状態で案内されて前記走行台車の横幅方向の一方側及び他方側への前記昇降台の移動を規制するメイン用横幅方向被案内体と、前記サブ昇降案内マストに当接する状態で案内されて前記走行台車の横幅方向の一方側及び他方側への前記昇降台の移動を規制するサブ用横幅方向被案内体とが設けられている点にある。
【0009】
すなわち、前後一対の昇降案内マストの夫々について、同じように強度を強化するのではなく、メイン昇降案内マストをその横断面の面積がサブ昇降案内マストよりも大きくすることにより、メイン昇降案内マストをサブ昇降案内マストよりも強度を強固にしながら、前後一対の昇降案内マストの夫々について強度を強化することができる。
そして、メイン昇降案内マストについては、複数の柱材が間隔を隔てて立設され且つ隣接する柱材同士が複数の斜材にて連結されているので、その強度を強固にできる。しかも、間隔を隔てて立設した複数の柱材のうち、隣接する柱材同士を複数の斜材にて連結する構造であるので、例えば、昇降案内マストとしての柱材を太くする又は肉厚を厚くする等により強度を強固にするものと比べて、重量の増加を極力抑えながら、強度を強固にできる。また、サブ昇降案内マストについては、例えば、その横断面の面積がメイン昇降案内マストよりも小さくなる範囲内で、昇降マストとしての柱材をより太いものとする又は柱材の肉厚を厚くする等によって、強度を強化できながら、重量の増加を極力抑えることができる。
【0010】
上述の如く、メイン昇降案内マストをサブ昇降案内マストよりも強度を強くすると、走行台車の走行時における昇降案内マストの揺れ度合い等、走行台車の前後方向における動的変化がメイン昇降案内マストとサブ昇降案内マストとで相違する。したがって、走行台車の前後方向での昇降台の移動を規制するに当り、メイン昇降案内マストに当接する状態で案内されるように設けたメイン用の部材とサブ昇降案内マストに当接する状態で案内されるように設けたサブ用の部材とを設けた場合には、メイン昇降案内マストとサブ昇降案内マストとの間での走行台車の前後方向における動的変化の違いによって、メイン用の部材がメイン昇降案内マストに当接しても、サブ用の部材がサブ昇降案内マストに当接しない状態又はその逆の状態となることがある。その結果、走行台車の前後方向の一方側及び他方側への昇降台の移動を規制できない虞がある。
【0011】
そこで、本発明では、走行台車の前後方向での昇降台の移動を規制するに当り、前後方向被案内体をメイン昇降案内マストに当接する状態で案内されるように設け、前後方向被案内体とメイン昇降案内マストとの間での当接によって、走行台車の前後方向の一方側及び他方側への昇降台の移動を規制する。これにより、メイン昇降案内マストとサブ昇降案内マストとの間での走行台車の前後方向における動的変化の違いにかかわらず、前後方向被案内体をメイン昇降案内マストに当接させることができ、走行台車の前後方向の一方側及び他方側への昇降台の移動を規制できる。しかも、昇降台の移動を規制するための力をメイン昇降案内マストにて受けることになるが、メイン昇降案内マストはサブ昇降案内マストよりも強度が強いので、その力に十分耐えることができ、走行台車の前後方向での昇降台の移動を確実に規制できる。
【0012】
また、走行台車の横幅方向での昇降台の移動の規制については、メイン用横幅方向被案内体をメイン昇降案内マストに当接する状態で案内されるように設け、サブ用横幅方向被案内体をサブ昇降案内マストに当接する状態で案内されるように設けることによって、走行台車の横幅方向での昇降台の移動を規制する。これにより、昇降台の移動を規制するための力をメイン昇降案内マストとサブ昇降案内マストとで分散する状態で受けることができ、単に、走行台車の横幅方向での昇降台の揺れを規制するだけでなく、上下軸心周りでの昇降台の回転をも規制することができる。よって、走行台車の横幅方向での昇降台の移動も確実に規制することができる。
【0013】
以上のことから、走行台車の重量の増加を抑制しつつ、より高い位置であっても物品を搬送できる物品搬送装置でありながら、走行台車の前後方向及び横幅方向での昇降台の移動を確実に規制できるものとなった。
【0014】
本発明に係る物品搬送装置の第2特徴構成は、前記複数の柱材は、前記走行台車の前後方向に間隔を隔てて立設され、且つ、前記走行台車の前後方向において前記サブ昇降案内マストが位置する側の第1の柱材の方が前記メインサブ昇降案内マストが位置する側の第2の柱材よりも横断面の面積が大きくなるように構成され、前記前後方向被案内体は、前記複数の柱材のうち前記第1の柱材との当接により案内されるように設けられている点にある。
【0015】
すなわち、第1の柱材を第2の柱材よりも強度を強くすることができ、その強度の強い第1の柱材に前後方向被案内体が当接して案内される。これにより、前後方向被案内体と当接する柱材として十分な強度を確保することができ、走行台車の前後方向での昇降台の移動をより確実に規制できる。
【0016】
本発明に係る物品搬送装置の第3特徴構成は、前記第1の柱材は、横断面形状が前記走行台車の前後方向に互いに対向する面を有する矩形状に形成され、前記前後方向被案内体は、前記第1の柱材に対して前記走行台車の前後方向に互いに対向する面の夫々の外側面に当接して前記第1の柱材を前記走行台車の前後方向で挟み込む状態で設けられている点にある。
【0017】
すなわち、第1の柱材は、横断面形状を単純な形状である矩形状としているので、第1の柱材を簡易な形状とすることができる。前後方向被案内体は、第1の柱材を走行台車の前後方向で挟み込む状態で設けられているので、走行台車の前後方向の一方側又は他方側へ昇降台が移動しようとしても、前後方向被案内体が走行台車の前後方向に互いに対向する面の何れか一方に当接して昇降台の移動が規制される。これにより、前後方向被案内体と当接するための部材を第1の柱材にあらたに設けなくても、第1の柱材の外側面をそのまま用いながら、走行台車の前後方向での昇降台の移動を規制でき、構成の簡素化を図ることができる。
【0018】
本発明に係る物品搬送装置の第4特徴構成は、前記斜材は、前記第1の柱材と前記第2の柱材とを連結するように設けられている点にある。
【0019】
すなわち、斜材は走行台車の前後方向に隣接する第1の柱材と第2の柱材とを連結するので、走行台車の前後方向にかかる力に対して強度を強固にできる。そして、走行台車の加速及び減速等により昇降案内マストが揺れて走行台車の前後方向に力がかかるので、その力がかかる方向に対応させた状態で昇降案内マストの強度を強固にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る物品搬送装置を自動倉庫に適応した実施形態を図面に基づいて説明する。
この自動倉庫は、図1及び図2に示すように、物品出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置した2つの物品収納棚1と、2つの物品収納棚1同士の間に形成した移動通路2を自動走行する物品搬送装置としてのスタッカークレーン3とを設けて構成されている。
【0021】
各物品収納棚1は、前後一対の支柱1aが水平方向に間隔を隔てて複数立設され、前後一対の支柱1aの夫々には、水平方向に延びる載置支持部1bが上下方向に間隔を隔てて複数配設されている。
そして、物品収納棚1における収納部4は、載置支持部1bにて物品9を載置支持する形態で物品9を収納するように構成され、その収納部4が上下方向及び水平方向に複数並ぶように設けられている。
【0022】
移動通路2には、その床側に走行レール5が移動通路2の長手方向に沿って設置され、その上方側に上方側ガイドレール6が移動通路2の長手方向に沿って設置されている。
そして、走行レール5の一端側には、スタッカークレーン3の運転を管理する地上側コントローラ7と、走行レール5を挟んで一対の荷載置台8とが設けられている。
【0023】
スタッカークレーン3は、図3に示すように、走行レール5に沿って走行自在な走行台車10と、その走行台車10に立設された前後一対の昇降案内マスト11と、それら前後一対の昇降案内マスト11に案内されて昇降自在な昇降台12と、その昇降台12に備えられた物品移載装置13(例えば、フォーク式の物品移載装置)とを備えて構成されている。
【0024】
昇降案内マスト11は、走行台車10の前後方向において、走行台車10の前端部と後端部の夫々に1つずつ立設されている。前後一対の昇降案内マスト11は、その上端部が上部フレーム14により連結されている。前後一対の昇降マスト11は、その長手方向の中間部が中間フレーム15により連結されている。
上部フレーム14には、ガイドローラ16が上方側ガイドレール6と当接することにより上方側ガイドレール6にて案内されるように設けられている。
【0025】
図4〜図6に示すように、前後一対の昇降案内マスト11の一方は、間隔を隔てて立設された複数の柱材17及び隣接する柱材17同士を連結する複数の斜材18を備えたメイン昇降案内マスト19であり、且つ、前後一対の昇降案内マスト11の他方は、メイン昇降案内マスト19よりも横断面の面積が小さいサブ昇降案内マスト20である。サブ昇降案内マスト20は、その横断面形状が矩形状の角パイプにて構成されている。
【0026】
メイン昇降案内マスト19は、走行台車10の前後方向及び横幅方向に間隔を隔てて柱材17を4隅に配置して横断面の形状を矩形状に形成している。複数の柱材17の夫々は、その横断面形状が正方形状の角パイプにて構成されている。複数の柱材17として、走行台車10の前後方向においてサブ昇降案内マスト20が位置する側に立設された2本の第1の柱材17aと、走行台車10の前後方向においてメイン昇降案内マスト19が位置する側に立設された2本の第2の柱材17bとが設けられている。2本の第1の柱材17a及び2本の第2の柱材17bは、第1の柱材17aと第2の柱材17bとの間の間隔が第1の柱材17a同士及び第2の柱材17b同士の間隔よりも大きくなるように配設されている。第1の柱材17aは、その横断面の面積が第2の柱材17bよりも大きくなるように構成されている。
【0027】
複数の斜材18は、走行台車10の前後方向に間隔を隔てて立設された第1の柱材17aと第2の柱材17bとの間を連結するように設けられている。複数の斜材18は、上下方向に隣接するもの同士が交差する状態で上下方向に連続して位置させるように配設されている。ちなみに、メイン昇降案内マスト19の下端部は、第1の柱材17aと第2の柱材17bとを連結する板状の連結体が設けられている。
走行台車10の横幅方向に間隔を隔てて立設された第1の柱材17a同士及び第2の柱材17b同士の間は、複数の斜材18の夫々における端部に対応して位置させた水平材21にて連結されている。
複数の斜材18及び複数の水平材21の夫々は、溶接によりその端部が柱材17に連結されている。
【0028】
上述の如く、メイン昇降案内マスト19は、間隔を隔てた柱材17同士を複数の斜材18にて連結する構造であるので、重量の増加を極力抑えながら、強度を強固にできる。しかも、斜材18は、走行台車10の前後方向に間隔を隔てた第1の柱材17aと第2の柱材17bとを連結するので、走行台車10の加速及び減速等によりメイン昇降案内マスト19が走行台車10の前後方向に揺れても、その揺れによる力を受けることができるようにメイン昇降案内マストの強度を強固にできる。サブ昇降案内マスト20は、その横断面の面積がメイン昇降案内マスト19よりも小さくなる範囲内で、柱材をより太いものとすることによって、強度を強化できながら、重量の増加を極力抑えることができる。このようにして、前後一対の昇降案内マスト11の高さをより高いものとしても、走行台車の重量の増加を抑制しながら、より高い位置の物品9を搬送できることになる。
【0029】
昇降台12には、図5〜図7に示すように、メイン昇降案内マスト19に当接する状態で案内されて走行台車10の横幅方向の一方側及び他方側への昇降台12の移動を規制するメイン用横幅方向被案内体としてのメイン用横幅方向被案内ローラ22と、サブ昇降案内マスト20に当接する状態で案内されて走行台車10の横幅方向の一方側及び他方側への昇降台12の移動を規制するサブ用横幅方向被案内体としてのサブ用横幅方向被案内ローラ23とが設けられている。
【0030】
メイン用横幅方向被案内ローラ22は、合計4つ設けられており、走行台車10の横幅方向においてメイン昇降案内マスト19を挟み込むように設けられた一対を上下方向に間隔を隔てて配設している。各メイン用横幅方向被案内ローラ22は、昇降台12に回転自在に支持された回転支持体24に固定されており、第1の柱材17aの走行台車10の横幅方向の外側面に当接するように設けられている。
サブ用横幅方向被案内ローラ23は、メイン用横幅方向被案内ローラ22と同様に、合計4つ設けられており、各サブ用横幅方向被案内ローラ23も、サブ昇降案内マスト20の走行台車10の横幅方向の外側面に当接するように設けられている。
【0031】
このように、メイン用横幅方向被案内ローラ22をメイン昇降案内マスト19に当接する状態で案内されるように設け、サブ用横幅方向被案内ローラ23をサブ昇降案内マスト20に当接する状態で案内されるように設けることによって、走行台車10の横幅方向での昇降台12の移動を規制する。これにより、昇降台12の移動を規制するための力をメイン昇降案内マスト19とサブ昇降案内マスト20とで分散する状態で受けることができ、単に、走行台車10の横幅方向での昇降台12の揺れを規制するだけでなく、上下軸心周りでの昇降台12の回転をも規制することができる。よって、走行台車10の横幅方向での昇降台12の移動を確実に規制することができながら、昇降台12を昇降させることができる。
【0032】
昇降台12には、上述のメイン用横幅方向被案内ローラ22及びサブ用横幅方向被案内ローラ23に加えて、メイン昇降案内マスト19に当接する状態で案内されて走行台車10の前後方向の一方側及び他方側への昇降台12の移動を規制する前後方向被案内体としての前後方向被案内ローラ25が設けられている。これにより、走行台車10の前後方向の一方側及び他方側への昇降台12の移動を規制するためには、前後方向被案内ローラ25とメイン昇降案内マスト19との間で当接するだけよい。したがって、メイン昇降案内マスト20をサブ昇降案内マスト19よりも強度を強くすることによって、走行台車10の走行時における昇降案内マスト11の揺れ度合い等、メイン昇降案内マスト19とサブ昇降案内マスト20との間での走行台車10の前後方向における動的変化に違いが生じても、前後方向被案内ローラ25とメイン昇降案内マスト19との当接により走行台車10の前後方向の一方側及び他方側への昇降台12の移動を規制できる。このとき、昇降台12の移動を規制するための力をメイン昇降案内マスト19にて受けることになるが、メイン昇降案内マスト19はサブ昇降案内マスト20よりも強度が強いので、その力に十分耐えることができ、走行台車10の前後方向での昇降台12の移動を確実に規制できる。
【0033】
前後方向被案内ローラ25は、2本の第1の柱材17aの一方と当接して案内されるように設けられている。前後方向被案内ローラ25は、第1の柱材17aに対して走行台車10の前後方向に互いに対向する面の夫々の外側面に当接して第1の柱材17aを走行台車10の前後方向に挟み込む状態で設けられている。これにより、前後方向被案内ローラ25と当接する柱材を、第2の柱材17bよりも強度の強い第1の柱材17aとすることができ、前後方向被案内ローラ25と当接する柱材として十分な強度を確保できる。しかも、前後方向被案内ローラ25が当接する面を、矩形状に形成された第1の柱材17aの外側面をそのまま用いることができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0034】
前後方向被案内ローラ25は、合計4つ設けられており、走行台車10の前後方向において第1の柱材17aを挟み込むように設けられた一対を上下方向に間隔を隔てて配設されている。走行台車10の前後方向において、一対の前後方向被案内ローラ25の一方は、昇降台12の端部に回転自在に支持され、他方は、昇降台12の端部から水平方向に延びるように固定された支持体26の先端部に回転自在に支持されている。このように、走行台車10の前後方向においてメイン昇降案内マスト19とサブ昇降案内マスト20との間に昇降台12を配置させているので、第1の柱材17aが第2の柱材17bよりも昇降台に接近する側に位置する。よって、前後方向被案内ローラ25を第1の柱材17aに当接するように支持する支持構成として、単に、昇降台12の端部から水平方向に延びるように固定された支持体26を設けるだけでよく、簡易な構成とすることができる。
【0035】
図3に示すように、昇降台12を吊り下げ支持する昇降用ワイヤ27が設けられている。この昇降用ワイヤ27は、一端部が昇降台12に連結され且つ他端部がカウンターウエイト28に連結されている。昇降用ワイヤ27は4本設けられ、2本の昇降用ワイヤ27が、走行台車10の前後方向において昇降台12の一端側に連結され、他の2本の昇降用ワイヤ27が、走行台車10の前後方向において昇降台12の他端側に連結されている。このようにして、4本の昇降用ワイヤ27が、昇降台12の複数箇所に連結されている。
4本の昇降用ワイヤ27は、上部フレーム14に設けられた複数の第1案内シーブ29に巻き掛けられてまとめられ、昇降用電動モータ30にて回転駆動される駆動用回転体31に巻き掛けられている。昇降用ワイヤ27は、昇降用電動モータ30にて駆動用回転体31を正逆に回転駆動することによりをその長手方向に移動操作されて昇降台12を昇降させる。このようにして、昇降用電動モータ30は、複数の昇降用ワイヤ27をまとめて駆動用回転体31に巻回した状態で昇降台12を昇降させるように構成されている。
【0036】
また、昇降用ワイヤ27は、駆動用回転体31に巻き掛けられたのち上部フレーム14に設けられた第2案内シーブ32に巻き掛けられ、昇降台12に連結した一端側とは他端側がカウンターウエイト28に連結されている。このようにして、カウンターウエイト28は、昇降台12とは逆方向に昇降するように設けられている。
【0037】
カウンターウエイト28は、図3、図5及び図6に示すように、メイン昇降案内マスト19の内部を昇降自在に配設されている。メイン昇降案内マスト19は、その横断面形状が矩形状に形成されているので、カウンターウエイト28も、その横断面形状が矩形状に形成されている。
メイン昇降案内マスト19の内面部は、カウンターウエイト28に備えられた複数のウエイト用ガイドローラ33と当接してカウンターウエイト28を昇降案内するように構成されている。ウエイト用ガイドローラ33は、走行台車10の前後方向でのカウンターウエイト28の移動を規制するものと走行台車10の横幅方向でのカウンターウエイト28の移動を規制するものとの2種類が設けられている。2種類のウエイト用ガイドローラ33は、平面視におけるカウンターウエイト28の4隅の夫々において上下一対設けられている。このようにして、横断面形状が矩形状に形成されたメイン昇降案内マスト19の内面部を利用しながら、カウンターウエイト28を昇降案内して、メイン昇降案内マスト19の内部であってもカウンターウエイト28を適正に昇降させることができる。
【0038】
走行台車10には、図3に示すように、昇降台12の昇降経路上における昇降台12の昇降位置を検出する昇降用測距計34が設けられている。昇降用測距計34は、昇降台12に設置された昇降用反射板34aに向けて昇降台12の昇降方向に沿って測距用のビーム光を投射して、昇降用反射板34aにて反射される光を受光することにより、昇降台12までの距離を検出して昇降台12の昇降位置を検出するように構成されている。
【0039】
走行台車10には、走行レール5上を走行自在な前後一対の走行車輪35が設けられている。前後一対の走行車輪35の一方(メイン昇降案内マスト19側)は、走行用電動モータ36にて回転駆動される駆動用の走行車輪35aとして構成され、前後一対の走行車輪35の他方(サブ昇降案内マスト20側)が、遊転自在な従動用の走行車輪35bとして構成されている。
そして、走行台車10は、走行用電動モータ36の作動により駆動用の走行車輪35aを回転駆動させて走行レール5に沿って走行するように構成されている。
【0040】
走行台車10には、走行レール5上における走行台車10の走行位置を検出する走行用測距計37が設けられている。走行用測距計37は、走行レール5の一端部に設置された走行用反射板37aに向けて走行レール5の長手方向に沿って測距用のビーム光を投射して、走行用反射板37aにて反射される光を受光することにより、走行用反射板37aまでの距離を検出して走行台車12の走行位置を検出するように構成されている。
【0041】
このスタッカークレーン3には、図8に示すように、地上側コントローラ7からの指令に基づいて、スタッカークレーン3の運転を制御するクレーン制御装置38が設けられている。このクレーン制御装置38は、収納部4又は荷載置台8に対する物品移載用停止位置に物品移載装置13を移動させるべく、走行台車10の走行作動及び昇降台12の昇降作動を制御し、且つ、物品移載装置13を物品移載用停止位置に停止させた状態において収納部4又は荷載置台8に支持された物品9を取り出す或いは収納部4又は荷載置台8に物品9を卸すべく、物品移載装置13の移載作動を制御するように構成されている。
【0042】
クレーン制御装置38は、走行用測距計37の検出情報に基づいて、走行台車10の前後方向における物品移載用停止位置に物品移載装置13を移動させるべく、走行台車10の走行作動を制御する走行制御部38a、昇降用測距計34の検出情報に基づいて、昇降台12の昇降方向における物品移載用停止位置に物品移載装置13を移動させるべく、昇降台12の昇降作動を制御する昇降制御部38b、収納部4又は荷載置台8に支持された物品9を取り出す或いは収納部4又は荷載置台8に物品9を卸すべく、物品移載装置13の移載作動を制御する移載制御部38cから構成されている。
【0043】
走行制御部38aは、走行用電動モータ36を作動させて走行台車10を走行作動させ、走行用測距計37にて検出される走行台車10の走行位置が走行台車10の前後方向における物品移載用停止位置になると、走行用電動モータ36を作動停止させて走行台車10の前後方向における物品移載用停止位置に物品移載装置13を位置させる。
昇降制御部38bは、昇降用電動モータ30を作動させて昇降台12を昇降作動させ、昇降用測距計34にて検出される昇降台12の昇降位置が昇降台12の昇降方向における物品移載用停止位置になると、昇降用電動モータ30を作動停止させて昇降台12の昇降方向における物品移載用停止位置に物品移載装置13を位置させる。
【0044】
収納部4又は荷載置台8に支持された物品9を取り出すときには、移載制御部38cが、フォーク式の物品移載装置13を突出作動させた後、昇降制御部38bにて設定距離だけ昇降台12を上昇させることにより、収納部4又は荷載置台8に支持された物品9を物品移載装置13に載置支持させる。その後、移載制御部38cは、フォーク式の物品移載装置13を引退作動させる。
ちなみに、収納部4又は荷載置台8に物品4を卸すときには、フォーク式の物品移載装置13を突出作動させた後において、昇降制御部38bにて設定距離だけ昇降台12を下降させる動作だけが異なり、その他の動作については、収納部4又は荷載置台8に支持された物品9を取り出すときと同様の動作である。
【0045】
このようにして、クレーン制御装置38が、地上側コントローラ7からの指令に基づいて、スタッカークレーン3の運転を制御することにより、荷載置台8に支持された物品9を取り出してその物品9を収納部4に卸す入庫作業や、収納部4に支持された物品9を取り出してその物品9を荷載置台9に卸す出庫作業等を行うように構成されている。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第1の柱材17aを第2の柱材17bよりも横断面の面積が大きくなるようにしているが、例えば、第1の柱材17aと第2の柱材17bとで横断面の面積を同じにすることもできる。
【0047】
(2)上記実施形態では、メイン昇降案内マスト19において、複数の斜材18を走行台車10の前後方向に隣接する柱材17同士を連結するように設けているが、斜材18にてどの方向に隣接する柱材17同士を連結するかは適宜変更が可能である。例えば、走行台車10の前後方向に隣接する柱材17同士及び走行台車10の横幅方向に隣接する柱材17同士を連結するように斜材18を設けることができる。
【0048】
(3)上記実施形態では、サブ昇降案内マスト20を断面形状が矩形状の角パイプにて構成しているが、横断面の面積がメイン昇降案内マスト19よりも小さければ、サブ昇降案内マスト20をどのように構成するか適宜変更が可能である。例えば、メイン昇降案内マスト19と同様に、間隔を隔てて立設された複数の柱材及び隣接する柱材同士を連結する複数の斜材を備えて構成することもできる。
【0049】
(4)上記実施形態では、メイン昇降案内マスト19の断面形状を柱材17を4隅に配置した矩形状に形成しているが、メイン昇降案内マスト19の断面形状をどのような形状とするかは適宜変更が可能である。例えば、柱材17を各角部に配置した三角形状や五画形状とすることができる。
【0050】
(5)上記実施形態では、走行用測距計37により走行台車10の走行位置を検出するようにしているが、走行台車10の走行位置を検出する検出手段については適宜変更が可能である。例えば、走行レール5の基準位置からの走行距離を検出するロータリエンコーダを走行台車10に設け、このロータリエンコーダにて走行台車10の走行位置を検出することもできる。
また、昇降台12の昇降位置を検出する検出手段についても、昇降用測距計34に限らず、適宜変更が可能である。
【0051】
(6)上記実施形態では、地上側コントローラ7からの指令に基づいて、スタッカークレーン3の運転を制御するクレーン制御装置38をスタッカークレーン3に装備しているが、例えば、クレーン制御装置38をスタッカークレーン3に装備せずに、地上側コントローラ7、昇降用電動モータ30におけるインバータ、走行用電動モータ36におけるインバータ、及び、物品移載装置13の間で通信ネットワークを構成し、地上側コントローラ7が、昇降用電動モータ30におけるインバータ、走行用電動モータ36におけるインバータ、及び、物品移載装置13に対して、作動開始及び作動停止などの各種情報を通信ネットワークを介して指令することにより、スタッカークレーン3の運転を制御することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】自動倉庫の平面図
【図2】自動倉庫の縦断面図
【図3】スタッカークレーンの側面図
【図4】左右一対の昇降案内マストの斜視図
【図5】左右一対の昇降案内マスト及び昇降台の平面図
【図6】左右一対の昇降案内マスト及び昇降台の側面図
【図7】図5の要部拡大図
【図8】自動倉庫の制御ブロック図
【符号の説明】
【0053】
5 走行レール
10 走行台車
11 昇降案内マスト
12 昇降台
13 物品移載手段
14 上部フレーム
17 柱材
17a 第1の柱材
17b 第2の柱材
18 斜材
19 メイン昇降案内マスト
20 サブ昇降案内マスト
22 メイン用横幅方向被案内体
23 サブ用横幅方向被案内体
25 前後方向被案内体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行レールに沿って走行自在な走行台車と、その走行台車の前後方向に間隔を隔てて前記走行台車に立設されて上端部が上部フレームにて連結された前後一対の昇降案内マストと、それら前後一対の昇降案内マストに案内されて昇降自在な昇降台と、その昇降台に備えられた物品移載手段とが設けられた物品搬送装置であって、
前記前後一対の昇降案内マストの一方は、間隔を隔てて立設された複数の柱材及び隣接する柱材同士を連結する複数の斜材を備えたメイン昇降案内マストであり、且つ、前記前後一対の昇降案内マストの他方は、前記メイン昇降案内マストよりも横断面の面積が小さいサブ昇降案内マストであり、
前記昇降台には、前記メイン昇降案内マストに当接する状態で案内されて前記走行台車の前後方向の一方側及び他方側への前記昇降台の移動を規制する前後方向被案内体と、前記メイン昇降案内マストに当接する状態で案内されて前記走行台車の横幅方向の一方側及び他方側への前記昇降台の移動を規制するメイン用横幅方向被案内体と、前記サブ昇降案内マストに当接する状態で案内されて前記走行台車の横幅方向の一方側及び他方側への前記昇降台の移動を規制するサブ用横幅方向被案内体とが設けられている物品搬送装置。
【請求項2】
前記複数の柱材は、前記走行台車の前後方向に間隔を隔てて立設され、且つ、前記走行台車の前後方向において前記サブ昇降案内マストが位置する側の第1の柱材の方が前記メインサブ昇降案内マストが位置する側の第2の柱材よりも横断面の面積が大きくなるように構成され、
前記前後方向被案内体は、前記複数の柱材のうち前記第1の柱材との当接により案内されるように設けられている請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記第1の柱材は、横断面形状が前記走行台車の前後方向に互いに対向する面を有する矩形状に形成され、
前記前後方向被案内体は、前記第1の柱材に対して前記走行台車の前後方向に互いに対向する面の夫々の外側面に当接して前記第1の柱材を前記走行台車の前後方向で挟み込む状態で設けられている請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記斜材は、前記第1の柱材と前記第2の柱材とを連結するように設けられている請求項2又は3に記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−113907(P2009−113907A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287494(P2007−287494)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】