説明

物品搬送装置

【課題】搬送面上で物品を任意の方向に搬送させることができる物品搬送装置を提供する。
【解決手段】可動台6が振動することで物品9を搬送する物品搬送装置1であって、基体4に対して中間台51を水平方向に支持する第1の弾性支持手段52と、中間台51に対して可動台6を垂直方向に支持する第2の弾性支持手段53とを備え、第1の弾性支持手段52が鉛直方向に延設された4本の棒状バネ部材からなり、それらの側面の互いに直交する取付面に第1および第2の圧電素子71、72が貼設され、第2の弾性支持手段53が水平方向に配設された板状バネ部材からなり、それらの少なくとも片面に第3の圧電素子73が貼設され、第1〜第3の圧電素子71、72、73に位相差を設けつつ同一周波数の正弦電圧を付与することでこれらに直交する成分を有する合成振動を前記可動台6に生じさせるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動により物品を搬送することが可能な物品搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品の搬送ライン上で任意に搬送方向を変えることのできる装置として、種々のタイプのものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1のように、物品の搬送面上に静電アクチュエータを格子状に多数配置したタイプのものがある。これは、搬送面上に多数の升形の固定子を設け、その中で搬送子をバネ部材を介して懸架しておき、固定子内の底面及び側面に設けた吸引電極を操作することによって、搬送子の動作を制御することで、搬送子の上の物品を移動させるものである。
【0004】
また、特許文献2では、物品の搬送面上に回転軸が搬送面と平行になるように小型のローラを多数配置し、それらのローラの回転と向きを制御することによって、それらに載せる物品の搬送方向を制御する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3では、搬送面上に互いに直交する回転軸を有するローラを、交互に配置し、これらのローラの回転を制御することで、物品の搬送方向を制御するものが開示されている。
【0006】
さらに、特許文献4では、物品搬送用の軌道を有する可動体に対して、垂直および水平方向の同一周波数の振動を加えることで楕円振動を生じさせ、摩擦係数に応じてそれぞれの方向の振動の位相差を設定することで、搬送方向を異ならせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−116683号公報
【特許文献2】特開2004−75387号公報
【特許文献3】特開2008−168956号公報
【特許文献4】特開2005−255351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1〜3の先行技術に係る物品搬送装置は、静電アクチュエータや小型ローラなど多数の機器から構成され、それらを同時に駆動する必要があるため、構成が複雑になるとともに制御方式も複雑なものとなる。そのため、製造コストやメンテナンス費用が高くなる上に、機器の不具合も生じやすくなる。また、こうした構成では、物品が接触する搬送面に凹凸が生じるため、当該凹凸に対して物品が小さくなるほど搬送することが難しくなる。よって、一個の物品搬送装置で小型のものから大型のものまで幅広い大きさの物品を搬送可能とすることは困難である。
【0009】
他方、特許文献4の先行技術に係る物品搬送装置は、装置も制御システムも簡単に構成でき、搬送面も平面上に構成できるため多様な形状・大きさの物品を搬送可能となる。しかしながら、この物品搬送装置は2方向の振動の位相差を異ならせることで可動体に楕円振動を生じさせ、これを利用して物品の搬送を行うものであるため、生じさせる楕円振動の方向が限定されることから物品を搬送させる方向の自由度が低い。
【0010】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には簡単な構成でかつ複雑な制御を要することなく、物品を搬送面上で任意の方向に搬送させることができるとともに、様々な大きさの物品を搬送可能な物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0012】
すなわち、本発明の物品搬送装置は、基体と、当該基体に対して水平方向に振動する中間台と、当該中間台に対して垂直方向に振動する可動台とを具備し、当該可動台が振動することで可動台上に載せられた物品を搬送する物品搬送装置であって、前記基体に対して前記中間台を水平方向に弾性支持する第1の弾性支持手段と、前記中間台に対して前記可動台を垂直方向に弾性支持する第2の弾性支持手段とを備え、前記第1の弾性支持手段が鉛直方向に延設された少なくとも3本の棒状バネ部材からなり、それら各々の棒状バネ部材は側面に互いに略直交する取付面を有し、当該取付面に第1および第2の圧電素子が貼設されており、前記第2の弾性支持手段が水平面と平行に配設された板状バネ部材からなり、それら板状バネ部材の少なくとも片面に第3の圧電素子が貼設されており、前記第1〜第3の圧電素子に位相差を設けつつ同一周波数の正弦電圧を同時に付与することで周期的な伸びを生じさせ、前記第1〜第3の圧電素子に直交する成分を有する合成振動を前記可動台に生じさせることを特徴とする。
【0013】
このように構成すると、中間台は基体に対して水平面内の2つの直線方向に弾性支持され、当該中間台に対して可動台は垂直方向に弾性支持されるため、簡単な構成でもって可動台は基体に対して3つの軸方向に弾性支持されることになる。さらに、それぞれの弾性支持手段であるバネ部材に対して、直接圧電素子を貼設してたわみを制御することによって可動台に付与する振動を制御することができるため、複雑な制御を要することなく振動を付与することができ、駆動装置を小型にすることもできる。また、圧電素子を駆動源に用いることで加振力を十分に与えることができるとともに電圧を制御することで振動形態を詳細に制御することが可能となるため、本発明で三次元の振動軌跡と称する鉛直平面および水平面に対して傾いた平面内の楕円の軌跡あるいは平面外の立体的な軌跡を有する振動を可動台に対して生じさせるとともに、当該三次元の振動軌跡の大きさおよび方向を簡単かつ精度良く制御し、物品の移動方向や速度を細かく変更することが可能となる。さらに、可動台の上側の搬送面は平面に構成することができるため、小型のものから大型のものまで様々な大きさ・形状の物品に対応することができる。
【0014】
さらに、上記の各方向の振動を効率良く発生させるためには、前記第1〜第3の圧電素子が、それぞれ前記棒状バネ部材または前記板状バネ部材の一端部から長手方向の中央までの間に貼設されているように構成することがより好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した本発明によれば、簡単な装置構成で複雑な制御を要することなく、搬送面の三次元的振動を生成し、その振動軌跡を自由に変更することができるため、搬送面上の物品を任意の方向に搬送したり種々の態様で分別することに利用できるとともに、様々な大きさの物品に対応可能な物品搬送装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る物品搬送装置のシステム構成図。
【図2】同物品搬送装置の機械装置部の斜視図。
【図3】同物品搬送装置の機械装置部の正面図。
【図4】同物品搬送装置の第1バネ部材の断面を示す図3のA−A断面図。
【図5】同物品搬送装置の機械装置部の水平方向への動作を示す正面図。
【図6】同物品搬送装置の機械装置部の垂直方向への動作を示す正面図。
【図7】同物品搬送装置の加振方向を示す概念図。
【図8】同物品搬送装置における各方向への周期的加振力間の位相差と物品の搬送速度との関係を示す図。
【図9】同物品搬送装置における各方向への周期的加振力間の位相差と物品の搬送速度と摩擦係数との関係を示す図。
【図10】同物品搬送装置における水平方向への周期的加振力の振幅と物品の搬送速度との関係を示す図。
【図11】同物品搬送装置を用いて物品を搬送した場合の搬送軌跡を例示した上面図。
【図12】図1とは別の実施形態に係る物品搬送装置のシステム構成図。
【図13】図1および図12とは別の実施形態に係る物品搬送装置のシステム構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
この実施形態の物品搬送装置1は、図1に示すように、大きくは機械装置部2と制御システム部3とから構成される。この制御システム部3は、後述するように機械装置部2に組み込まれた圧電素子71、72、73の制御を行うことで、機械装置部2にX、Y、Zの各方向の周期的加振力を与えて振動を生じさせるように構成している。
【0019】
なお、X、Y、Zの各方向は図中左下に示した座標軸に示したとおりに定義することとし、以下においてもこの座標軸に沿って説明を進めていく。
【0020】
機械装置部2は、図2および図3に示すように、大きくは床面に固定した基体4と、基体4に対して水平方向に弾性支持した中間台51と、当該中間台51に対して垂直方向に弾性支持した可動台6とから構成しており、可動台6は基体4に対して振動することでその上面の搬送面61に載せた物品9を搬送する。
【0021】
基体4はX方向に長辺を向けた長方形の平板形状をしており、その上面4aにはY方向に長辺を向けた直方体状の取付ブロック41が2個X方向に間隔を空けて平行に固設してある。基体4の下に、図示しない防振ゴム等のバネ定数の小さい弾性体を取り付ければ、設置する床に対する反力を低減させることができて好適である。
【0022】
中間台51は、断面が四角形の棒状バネである第1の弾性支持手段としての4本の第1バネ部材52によって基体4と連結しており、基体4の上方で弾性的に支持してある。Y方向に平行に配置された一対の第1バネ部材52は、それぞれ平板状に構成した下端部52bで上記取付ブロック41のX軸と直交する側面のうち外側の側面41aに連結しており、当該下端部52bより鉛直上方(Z方向)に向かって延出する形状としている。そして、合計4本の第1バネ部材52がそれぞれ基体4の外縁をなす長方形の四隅のやや内側より起立するように配置してあり、上端部52aによって中間台51の一部を構成する上側ブロック51aを側面から支持するように連結している。第1バネ部材52のうち上端部52aと下端部52bの間の中間部52cは、断面が四角形となるように構成してあり、それぞれの側面がX軸、Y軸に直交する平面となるようにしている。このように4本の第1バネ部材52によって支持することによって、中間台51は水平方向に弾性的に支持され、X、Y方向に変位が生じる際にもほぼ水平状態を維持することができる。
【0023】
中間台51は、4枚の平板状の側板51dを縦横に組んだ矩形状の枠を構成し、これをX方向に一対配置した上側ブロック51aで吊り下げるような形で固定するように構成している。上述したように、上側ブロック51aは4本の第1バネ部材52によって支持しているため、中間台51は全体として空中で水平方向に弾性的に支持される。
【0024】
さらに、当該中間台51に対して4枚の板状バネである第2の弾性支持手段としての第2バネ部材53を介して可動台6を連結し、垂直方向に弾性支持してある。中間台51の側板51dの内側には、4枚の板状バネである第2バネ部材53を、2枚を一組としてX方向に直列にかつ水平面に平行となるように配置し、これを上下2段として取付けている。側板51dは、第2バネ部材53に対して十分な強度を有しているために、強度メンバとして第2バネ部材53のねじれ方向の変形を抑制するとともに、第1バネ部材52が等しく変形するように変形方向を拘束するように機能する。上記の4枚の第2バネ部材53は、それぞれ片端側を上記上側ブロック51aと中間ブロック51b、あるいは中間ブロック51bと下側ブロック51cによって上下に挟みこむようにして固定している。そして、他端側を可動台6の下部に設けられた支持ブロック上部62aと支持ブロック中間部62b、あるいは支持ブロック中間部62bと支持ブロック下部62cとによって上下に挟みこむようにして固定している。このように構成することで、可動台6は中間台51に対して垂直方向に弾性的に支持され、Z方向に変位が生じる際にも水平状態を維持することが可能となっている。
【0025】
可動台6は下側に、上述したような支持ブロック上部62aと支持ブロック中間部62bと支持ブロック下部62cを備えており、一体として動作を行う。そして、上面は搬送面61として、平面状に構成してあり物品9を積載することが可能となっている。上述したように中間台51は、基体4に対して同一の4本の第1バネ部材52で連結されることによって水平方向に弾性支持されており、さらに可動台6は中間台51に対して第2バネ部材53で連結されることによって垂直方向に弾性支持されている。その結果、可動台6は、基体4に対してX、Y、Zの各方向に弾性的に支持されるように構成されており、X、Y、Zの各方向に変位が生じた場合でも可動台6の上面はほぼ水平の状態を維持することが可能となっている。
【0026】
そして、この可動台6をX、Y、Zの各方向に振動させるための駆動部として、以下のように圧電素子71、72、73を設けている。
【0027】
まず、X方向の振動を付与する第1の水平加振手段として、第1バネ部材52の中間部52cの長手方向中央以下の側面でX軸に直交する面に、直方体状の第1圧電素子71を貼りつけてある。また、Y方向の振動を付与する第2の水平加振手段としてとして、第1バネ部材52の中間部52cの長手方向中央以下の側面でY軸に直交する面に、直方体状の第2圧電素子72を貼りつけてある。これらの圧電素子71、72は電圧を付与することにより全長に伸びを生じさせることができるため、これに伴って圧電素子71、72を貼りつけた第1バネ部材52を図5に示すようにたわませ、可動台6に水平方向の変位を生じさせることが可能となっている。
【0028】
本実施形態においては、図4(a)に示すように、それぞれの第1バネ部材52に対して第1圧電素子71a、71bと第2圧電素子72a、72bとをそれぞれ対向する面に一対ずつ設けたバイモルフ型として構成した。本実施形態のように圧電素子の伸びを利用してバネ部材にたわみを生じさせようとする場合、対向面に設けた圧電素子の片方を伸び側に設定するときには他方を縮み側に設定する必要があるため、片方を伸び側とした際に、他方が縮み側になるように電圧印加及び貼り付け方向を設定してある。以下、圧電素子に対して付与する電圧に関しては、単純にX方向制御電圧、Y方向制御電圧として説明を行い、X方向およびY方向に正の制御電圧を付与するということは、それぞれ可動台6をX、Yの正方向に移動させる向きに第1バネ部材52に曲げを生じさせるように、第1圧電素子71、第2圧電素子72を伸び縮みさせる電圧を付与することを意味するものする。
【0029】
4箇所に設けられた第1バネ部材52は、それぞれ同じように第1圧電素子71、第2圧電素子72が貼りつけられ同時にたわみが制御されるため、常時同じ方向に同じ量の変形を行う。そのため、これらによって四隅を支持した中間台51は、水平を維持しながらX方向、Y方向に並進移動するようになっている。
【0030】
また、第1バネ部材52は変形を行う場合、図5に示すように中間部52cの長手方向中央を境に、一つの面内の上下で伸び側と縮み側が逆転する。よって、第1圧電素子71、第2圧電素子72を長手方向中央付近を超えて広い範囲に貼りつけることは、却って変形を阻害することになり好ましくない。そのため、本実施形態のように長手方向中央付近より片端部側に寄せた位置に貼りつけることが効率的である。
【0031】
次に、Z方向の振動を付与する垂直加振手段として、図3に示すように、板状バネである第2バネ部材53の長手方向中央より外側となる位置の裏表に第3圧電素子73を貼りつけてある。なお、図中では4枚の第2バネ部材53のうち上段の2枚にのみ第3圧電素子73を貼りつけてあるが、これに代わって下段の第2バネ部材53に対して第3圧電素子73を取り付けても良いし、双方ともに第3圧電素子73を取り付けても良い。ただし、第1バネ部材52に貼りつけたある第1圧電素子71、第2圧電素子72と同様に、第2バネ部材53の長手方向中央付近にまたがって貼りつけることは却って効率を損ない不適当である。当該圧電素子73に電圧を付与することによって、伸び縮みを生じさせ、第2バネ部材53をたわませ、可動台6を垂直方向に移動させることができる。
【0032】
第2バネ部材53の変形は、図6に示すような形で生じ、表裏に貼られた第3圧電素子73、73はそれぞれ伸びと縮みが逆転する。そのため、これを駆動する電圧は具体的に表裏に加える電圧を区別することなく、X、Y方向の制御電圧と同様に、単に可動台6をZ軸の正方向に移動させるものを正の制御電圧として表すことにする。
【0033】
第2バネ部材53および第3圧電素子73は、可動台6に対して左右対称に設けられているため、可動台6は搬送面61を水平に保ったままで、垂直方向に移動することになる。
【0034】
このようにして構成した機械装置部2に対して制御システム部3は、第1圧電素子71、第2圧電素子72および第3圧電素子73に各々正弦波状の制御電圧を付与することによって、X、Y、Zの各方向の振動を発生させるための周期的加振力を生じさせる。
【0035】
そのため、制御システム部3は、図1に示すように、正弦電圧を生じさせる発振機34を備えており、この正弦電圧をアンプ35により増幅した上で、各圧電素子71、72、73に出力する。さらに、上記制御システム部3はX、Y、Zの各方向の制御電圧を詳細に調整するための振動制御手段31を有している。なお、発振機34により生じさせる振動の周波数は、X、Y、Z方向のいずれかの振動系と共振する周波数とすることで、振動を増幅して省電力化を図るようにしてある。なお、全ての方向の振動系の振動が干渉することを避けるためには、各方向の固有振動数を離してもよい。この時、各方向の固有振動数は例えば−10%〜+10%程度離すようにする。
【0036】
振動制御手段31は大きくは、X、Y、Zの各方向の制御電圧の振幅を調整する振幅調整回路31aと、それぞれの位相差を調整するための位相調整回路31bとからなる。本実施形態では、X、Y、Zの各制御電圧にそれぞれ対応した振幅調整回路31aを有するとともに、Z方向の制御電圧の位相を基準として、これと所定の位相差となるように制御電圧の位相を調整する位相調整回路31bをX、Yの制御電圧についてそれぞれ設けるように構成している。
【0037】
そして、制御システム部3は、搬送する物品9に応じた搬送経路および搬送速度を決定するための搬送経路決定手段33と、当該搬送経路と搬送速度が得られるように各振幅調整回路31aおよび各位相調整回路31bに具体的な制御値を変更するための命令を出す振動切替手段32とを有している。
【0038】
そして、搬送経路決定手段33は、搬送する物品9に応じた搬送経路と搬送速度のデータを内部に複数保存しており、その中から図示しない外部からの指示によって搬送経路と搬送速度を選択した上で、そこで選択した搬送経路および搬送速度に合わせて振動形態を切り替えるように振動切替手段32に対して命令を与える。
【0039】
さらに、振動切替手段32では搬送経路や搬送速度が命令された目標値となるように、各振幅調整回路31aおよび各位相調整回路31bのそれぞれの具体的な制御値を決定して当該制御値に切り替えるよう命令を出力する。
【0040】
上記のように構成した物品搬送装置1は、具体的には次のように動作し、可動台6に載せた物品9の搬送や分別などを行う。
【0041】
ここで、図7の模式図に示すように簡略化して、可動台6が基体4に対してX、Y、Zの各方向に弾性体54、55、56により弾性的に支持するとともに、各方向の加振手段74、75、76を設けている場合を想定する。このように構成することで、X、Y、Zの三方向に設けた加振手段74、75、76によって可動台6を三方向に動作させることが可能とされている。図7の模式図における弾性体54、55は、図2における第1バネ部材52に該当するとともに、弾性体56は第2バネ部材53に該当する。また、図7の模式図における加振手段74、75、76はそれぞれ第1の水平加振手段71、第2の水平加振手段72、垂直加振手段73に該当する。
【0042】
図7に示すモデルの可動台6に対して、Z方向にZ=Z×sinωtで表される周期的な振動変位を与える。ここで、ZはZ方向の振幅を、ωは角周波数を、tは時間を示す。さらに、X、Y方向にもそれぞれZ方向と同一周波数の振動を、X=X×sin(wt+φx)、Y=Y×sin(wt+φy)の式のように与えることとする。ここで、X、YはそれぞれX方向、Yの振幅を、φx、φyはそれぞれX方向、Z方向の振動のZ方向の振動に対する位相差を示す。
【0043】
このように、X、Y、Zの各方向に正弦波状の周期的な振動変位を加えることにより、可動台6にはこれらが合成された三次元的な振動を生じさせることができる。例えば、図7に示すように、Z方向の振動成分に対してφx、φyの位相差を持たせてX、Y方向の振動を生じさせたとき、二次元的にはXZ平面上で右側を上にした楕円軌道を有する振動が生じ、YZ平面上で右側を下にした楕円軌道を有する振動が生じる。そして、さらにこの2つを合成することで、図中右下に示すように三次元空間上での楕円軌道が生じる。
【0044】
そして、各方向の振動変位の振幅および位相を変えることにより、XZ平面、YZ平面内の二次元の楕円軌道の大きさや向きを変更することができ、対応して三次元空間上の楕円軌道の大きさや向きを自由に変更することができる。なお、このように各方向への周期的な振動変位を付与するために、制御上は各方向への周期的加振力を付与することで対応を行っている。
【0045】
以上のように、可動台6が楕円軌道を描きつつ振動することによって、可動台6の上に載せられた物品9は移動を行う。そして、この移動のうちX方向への移動速度成分は上記XZ平面内の楕円軌道によって制御でき、Y方向への移動速度成分は上記YZ平面内の楕円軌道によって制御できる。すなわち、Z方向への振動成分を基準としてX方向、Y方向のそれぞれの振動の振幅と位相差を変化させることで、X、Y方向への移動速度成分を変化させ、任意の方向に搬送させることが可能となる。
【0046】
具体的には移動速度の変更は次のようにして行う。
【0047】
発明者らの知見によれば、図7を参照しつつ図8を用いて説明すると、位相差φx(φy)によって物品9の移動速度Vx(Yy)は正弦波に類似したカーブを描くように変化する。そのため、Z方向の振動成分に対するX方向の振動成分の位相差を図8におけるφ2に設定したときにはXが正となる方向に物品9は搬送されていく。また、位相差をφ4に設定したときには、Xが負となる方向に物品9は搬送されていく。これらに対して、位相差をφ1、φ3と設定したときには、移動速度Vxは0になって、物品9はX方向に静止した状態となる。さらに、φ1〜φ3の間またはφ3〜π(-π)〜φ1の間で位相差を変化させることによって、それぞれ正の方向、負の方向に対する速度を増減させることができる。こうした関係は、X方向だけでなくY方向にも成り立ち、同様にZ方向の振動成分に対する位相差を設定することで移動方向と移動速度を変化させることができる。
【0048】
また、発明者らの知見によれば、図7を参照しつつ図10を用いて説明すると、位相差φx(φy)と物品9の移動速度Vx(Yy)との関係は、振幅X(Y)を変えることによっても変化する。すなわち、位相差φx(φy)に対する物品9の移動速度Vx(Yy)である正弦波類似のカーブは、概ね振動変位の振幅X(Y)に比例して変化する。このことから、物品9の移動速度Vx(Yy)を2倍にしたい場合には、概ねX(Y)方向の振動変位の振幅を2倍にすればよい。そのためには、それに応じた加振力を与えるべく制御電圧の振幅を変化させればよい。
【0049】
このように、X、Y各方向の振動成分の振幅X、Yと、Z方向振動成分に対する位相差φx、φyとを変化させることによって、X、Y方向への移動速度Vx、Vyを変化さることができる。
【0050】
さらに、発明者らの知見によれば、図1を参照しつつ説明すると、図8で示した位相差と物品9の移動速度Vx(Yy)との関係を示すカーブは、物品9と可動台6との摩擦係数によって変化し、図9に示す関係となる。すなわち、2種類の物品W1、W2と可動台6との間の摩擦係数をそれぞれμ1、μ2としてμ1<μ2の関係があるとき、W2の時の移動速度のグラフは、W1の時の移動速度のカーブを位相差が正となる方向にずらした形状になる。そのため、楕円振動を行う可動台6の上に同時に摩擦係数の異なる物品9を置いた場合には、移動速度及び移動方向が異なることになる。
【0051】
具体的には、図9に示す位相差φ1に設定している場合にはW1は移動することなく、W2が負の方向に移動することになる。また、位相差をφ1からφ2の間に設定した場合には、W1を正の方向に、W2を負の方向に移動させることができる。そして、φ3に設定すると、W2を移動させずに、W1のみを正の方向に移動させることができる。また、φ2からφ4の間に設定すると、W1、W2ともに正の方向に移動させることができるが、φ3を境にW1とW2の速度の大小を入れ替えることができる。さらに、φ2からφ4の範囲で位相差を細かく変更すれば、W1とW2の速度比も変更することができる。
【0052】
そして、位相差をφ4とすれば、W1を移動させずに、W2のみを正方向に移動させることができる。さらに、位相差をφ4からφ5の間に設定すれば、W2を正方向に、W1を負の方向に移動させることができる。位相差をφ5と設定すれば、W2を移動させずにW1のみを負の方向に移動させることができる。そして、位相差をφ5からπの範囲にしたときは、w1とw2の双方とも負の方向に移動させることができ、この範囲で位相差を変えることで両者の移動速度の比を変更することもできる。
【0053】
さらに、発明者らの知見によれば、図7を参照しつつ図10を用いて説明すると、位相差φx(φy)と物品9の移動速度Vx(Yy)との関係は、振幅X(Y)を変えることによっても変化する。すなわち、位相差φx(φy)に対する物品9の移動速度Vx(Yy)である正弦波類似のカーブは、概ね振動変位の振幅X(Y)に比例して変化する。このことから、物品9の移動速度Vx(Yy)を2倍にしたい場合には、概ねX(Y)方向の振動変位の振幅を2倍にすればよい。そのためには、それに応じた加振力を与えるべく、制御電圧の振幅を変化させればよい。
【0054】
このようにして、摩擦係数の異なる2種の物品9をX(Y)方向に搬送する場合においては、Z方向の振動に対するX(Y)方向の振動の位相差φx(φy)を変更することで、2種の物品のうちどちらかのみを移動させることや、移動方向を変えつつ速度比を変えることが可能となり、さらにX(Y)方向の振動の振幅を変えることで、移動速度の絶対値を制御することができる。これらを組み合わせることで、片方の速度を維持したままで、他方の速度を変更することや搬送の向きを変更することも可能となる。
【0055】
以上のような、一方向への搬送速度および向きの制御を、二方向に展開することで、XY平面内で自由に移動させることが可能となる。すなわち、水平方向の振動をX、Yの2方向にして、Z方向の振動とそれぞれ組み合わせることで、XZ平面内の楕円振動、YZ平面内の楕円振動をそれぞれ作り出し、これらを合成した三次元的な楕円振動を発生させ、この楕円振動の向きや大きさを三次元的に切り替えることで、より詳細に物品9の移動方向や移動速度を制御できる。そして、Z方向の制御電圧によって生じる周期的加振力を基準として、X方向、Y方向の制御電圧によって生じる周期的加振力の振幅や位相をそれぞれ変更することによって、XZ平面内の楕円振動成分とYZ平面内の楕円振動成分をそれぞれ変更すれば、上述の図8〜10の関係に従ってそれぞれX方向、Y方向の移動速度成分を物品9に与えることが可能となる。
【0056】
このことから、具体的には次のようにして物品9の搬送を行わせることが可能となる。以下、図1を参照しつつ、図11(a)〜(f)の各物品の搬送形態を例示した上面図に従って説明を行う。
【0057】
まず、物品9が一種だけである場合には、図11(a)に示すように、物品9を初期(T)の時点よりX方向に移動させ、ある時点(T)よりY方向の移動速度成分も追加して方向を変えて移動させることができる。こうした場合には、物品9の種類に応じて搬送先を変更する場合や、別に設けたカメラによる検査データに基づいて当該物品9を不良品と判断してライン外に搬送する場合がある。このような形態の搬送を行うため、図1における搬送経路決定手段33は、外部より被搬送物関連データとして搬送する物品9の種類を入力され、あらかじめ内部に保存されたデータに基づいて物品9に応じた搬送経路と搬送速度を選択し、あるいは被搬送物関連データとしての検査データに基づいて搬送方向と搬送速度を決定して振動切替手段32に出力する。当該振動切替手段32においては、その搬送方向と搬送速度に対応して各方向の振動形態の切替の要否を判断するとともに、切替が必要な場合には各方向の周期的加振力の振幅と位相を調整するため各振幅調整回路31aおよび位相調整回路31bに具体的な制御値を命令する。
【0058】
そして、こうした搬送経路変更の判断を随時行い、振動切替手段32によって振幅、位相を調整していくと、図11(b)に示すようにXY方向に自在な軌跡を描かせつつ物品9を移動させることが可能となる。搬送経路変更の判断は、あらかじめ設定したタイミングによるものであっても、外部からの信号に応じて行うものであっても良い。
【0059】
また、図11(c)に示したように、物品9a、9bが摩擦係数の異なる二種のものである場合には初期段階(T)は一方向に同速度で搬送しておき、ある時点(T)より異なる方向に分岐させて移動させることも可能である。この場合には初期段階(T)では、X方向には図9における位相差φ3で振動させ、Y方向には振動を生じさせずにおき、Tの時点からY方向にも振動を生じさせZ方向との振動位相差をφ1とφ2の間またはφ4とφ5の間に切り替えたものである。同時にX方向の速度においてもZ方向に対する振動の位相差をφ3よりずらすことで、物品9a、9bの間にX方向の速度差を持たせるように切り替えている。この振動の切り替えにあたっても、図1における搬送経路決定手段33が、設定されたタイミングに応じて、または外部から入力された被搬送物関連データに基づいて適切な搬送経路と搬送速度を決定し、それに基づいて振動切替手段32に搬送方向および搬送速度の変更命令を出す。そして、当該振動切替手段32においては、命令された搬送方向および搬送速度に対応した各方向の振幅、位相の具体的制御値を決定し、各振幅調整回路31a、位相調整回路31bに当該制御値に変更するように命令を出す。
【0060】
また、同様の制御を行うことによって、図11(d)のように物品9a、9bのうち、片方のみを動かすことや、両者に速度差を設けることも可能である。さらに、図11(e)のように、任意の方向を選択した上で、その方向に沿って互いに逆向きに移動させることも可能である。
【0061】
さらに、このような搬送経路および速度の変更を連続して行うことで、図11(f)のように物品9a、9bの搬送経路と搬送速度をXY平面内で、それぞれ独立させて同時に制御することが可能となる。
【0062】
また、上記のように摩擦係数の異なる物品9を異なる搬送方向に搬送させるように制御することによって、厳密には摩擦係数が同じものであっても表面形状が異なるなど、見かけ上摩擦係数が異なっているようにとらえられるものについても搬送方向を異ならせることもできる。例えば、同一部材の表面と裏面であっても、面の凹凸が異なり可動台6との接触面積が大きく異なるような場合が該当する。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る物品搬送装置1は、基体4と、当該基体4に対して水平方向に振動する中間台51と、当該中間台51に対して垂直方向に振動する可動台6とを具備し、当該可動台6が振動することで可動台6上に載せられた物品9を搬送する物品搬送装置であって、前記基体4に対して前記中間台51を水平方向に弾性支持する第1の弾性支持手段52と、前記中間台51に対して前記可動台6を垂直方向に弾性支持する第2の弾性支持手段53とを備え、前記第1の弾性支持手段52が鉛直方向に延設された4本の棒状バネ部材からなり、それら各々の棒状バネ部材52は側面に互いに直交する取付面を有し、当該取付面に第1および第2の圧電素子71、72が貼設されており、前記第2の弾性支持手段53が水平面と平行に配設された板状バネ部材からなり、それら板状バネ部材53の少なくとも片面に第3の圧電素子73が貼設されており、前記第1〜第3の圧電素子に位相差を設けつつ同一周波数の正弦電圧を同時に付与することで周期的な伸びを生じさせ、前記第1〜第3の圧電素子71、72、73に直交する成分を有する合成振動を前記可動台6に生じさせるように構成したものである。
【0064】
このように構成しているため、可動台6を基体4に対して3つの軸方向に弾性支持することができるとともに、それぞれの弾性支持手段であるバネ部材52、53に対して直接圧電素子71、72、73を貼設してたわみを制御することによって可動台6に付与する振動を制御することができるため、装置全体を簡単な構成でかつ小型化することができる。また、圧電素子71、72、73を駆動源に用いることで加振力を十分に与えることができるとともに電圧を制御することで振動形態を詳細に制御することが可能となるため、可動台6に生じさせる三次元の振動軌跡を複雑な制御を要することなく精度良く発生させ、物品9の移動方向や速度を細かく変更することが可能となる。さらに、可動台6の上側の搬送面61は平面に構成することができるため、小型のものから大型のものまで様々な大きさ・形状の物品に対応することができる。
【0065】
さらに、第1〜第3の圧電素子をそれぞれ棒状バネ部材52または板状バネ部材53の一端部から長手方向の中央までの間に貼設されているように構成することで、それぞれの方向の振動を効率よく発生させることができ、上記の効果をさらに高めることができる。
【0066】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0067】
例えば、上述の実施形態においては、各方向への加振手段71、72、73をそれぞれX、Y、Zの互いに直交する方向に加振力を与えるように構成したが、可動台6に三元的に合成した振動軌跡を生成・変更できるかぎり必ずしも直交させることは必要でなく、単にそれぞれの方向を交差させるだけでよい。また、各加振手段71、72、73は厳密に垂直、水平方向に設定することも必要ではないし、基体4を傾けて設置する等の種々の利用の態様も可能である。
【0068】
また、上述の実施形態においては、第1バネ部材52の側面に貼りつける第1圧電素子71と第2圧電素子72とは裏表に貼りつけた2個を一組としたバイモルフ型としていたが、図4(b)のようにそれぞれを1個ずつとしたユニモルフ型とすることも可能である。
【0069】
また、本実施形態においては、図2および図3に示すように、第1圧電素子71および第2圧電素子72は第1バネ部材52の下側半分に貼りつけてあるが、これを上側半分に貼りつける構成とすることも可能であるし、上側半分と下側半分のそれぞれに設けるように構成することも可能である。同様に、第3圧電素子73を第2バネ部材53の外側半分ではなく内側半分に設けることも、内側と外側の双方に設けることも可能である。
【0070】
また、第1バネ部材52は断面を四角形としていたが、これは第1および第2圧電素子71、72の貼り付けを容易にするために側面を平面で構成することを意図するものであり、これら圧電素子71、72の取付面のみを平面にして他の部分を円形断面にするなどの構成とすることも差し支えない。また、第2バネ部材53についても同様である。
【0071】
また、上述の実施形態では、第1バネ部材52を4本設ける構成としていたが、中間台の水平を維持できる限り4本とすることは必要ではなく、少なくとも3本以上として構成することで足りる。
【0072】
さらに、本実施形態では第2バネ部材53を合計4枚設けてあり、一対の第2バネ部材53を直列に配置したものを上下の二段として設けているが、直列に配置した2枚を連続した1枚の板状バネとして形成し、これを上下段に配置することにより合計2枚で構成することも可能である。本実施形態のように4枚構成とする場合には、組立が容易となり精度が向上するという利点があるとともに、2枚構成とした場合には部品点数が削減できて管理が容易になるという利点がある。
【0073】
また、上述の実施形態では、Z方向の周期的加振力の位相を基準として、X方向の周期的加振力とY方向の周期的加振力の位相を調整するような制御回路としていたが、Z方向の周期的加振力とX方向及びY方向の各周期的加振力との間の位相差を所定の値とすることができる限り、どの方向の周期的加振力の位相を変更するように構成しても良い。例えば、図12に示すように、X方向の周期的加振力の位相を基準として、これに対する位相差が所定のものになるように、Z方向、Y方向の各周期的加振力の位相を変更するように制御システム部3を構成しても良い。
【0074】
また、上述したように加振周波数を可動台6の共振周波数近くに設定することも好適であるが、分別する物品9が載った状態では共振周波数がずれる場合があるため、実際の加振台6の振動の振幅を検知しながら、加振周波数の補正を行うことも好適である。そのためには、図13に示すように、可動台6の下部に張り出した支持ブロック下部62cのX、Y、Z方向の振幅を検知するため、各方向に対応した変位センサ81、82、83をそれぞれブラケット81a、82a、83aと、変位センサ台42を介して基体4上に固定し、これらより得られる検知データを基にして発振機37からの周波数信号を共振点追尾制御回路31eや、定振幅制御回路31cを用いて周波数及び振幅を適切に変換するようにして制御することで、安定した振動を得ることができる。
【0075】
また、上述の実施形態では、各方向の振動成分として正弦波状の加振力を付与しているため可動台6上には同一平面内の楕円の振動軌跡が生成されるが、正弦波の波形と変えることで楕円とは異なる振動軌跡を生じさせることも可能であり、この場合においても上記の考えに基づいて物品9の搬送や分別を任意に行うように構成することが可能である。
【0076】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0077】
4…基体
6…可動台
9…物品
31…振動制御手段
32…振動切替手段
33…搬送経路決定手段
51…中間台
52…第1バネ部材
53…第2バネ部材
71…第1圧電素子(第1の水平加振手段)
72…第2圧電素子(第2の水平加振手段)
73…第3圧電素子(垂直加振手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、当該基体に対して水平方向に振動する中間台と、当該中間台に対して垂直方向に振動する可動台とを具備し、当該可動台が振動することで可動台上に載せられた物品を搬送する物品搬送装置であって、前記基体に対して前記中間台を水平方向に弾性支持する第1の弾性支持手段と、前記中間台に対して前記可動台を垂直方向に弾性支持する第2の弾性支持手段とを備え、前記第1の弾性支持手段が鉛直方向に延設された少なくとも3本の棒状バネ部材からなり、それら各々の棒状バネ部材は側面に互いに略直交する取付面を有し、当該取付面に第1および第2の圧電素子が貼設されており、前記第2の弾性支持手段が水平面と平行に配設された板状バネ部材からなり、それら板状バネ部材の少なくとも片面に第3の圧電素子が貼設されており、前記第1〜第3の圧電素子に位相差を設けつつ同一周波数の正弦電圧を同時に付与することで周期的な伸びを生じさせ、前記第1〜第3の圧電素子に直交する成分を有する合成振動を前記可動台に生じさせることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記第1〜第3の圧電素子が、それぞれ前記棒状バネ部材または前記板状バネ部材の一端部から長手方向の中央までの間に貼設されていることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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