説明

物品搬送設備

【課題】収納容器内に物品を均平化させた状態で充填して搬送することが可能なものでありながら、搬送処理能力を向上させることが可能となる物品搬送設備を提供する。
【解決手段】上部開放型の収納容器Cに対する物品充填箇所Dにおいて、粒状又は前記収納容器よりも小型の形状である物品が落下供給される収納容器を搬送手段2によって搬送するように構成された物品搬送設備であって、搬送手段2による搬送経路中において、物品充填箇所Dにて物品が充填されて搬送手段2にて載置搬送される物品の収納容器Cからの突出高さが設定高さ以上である物品突出状態であるか否かを検出する突出状態検出手段11と、物品突出状態であることが検出されると、収納容器Cに均平用の力を付与して収納容器C内の物品を均平化させる均平化処理を実行する均平化処理装置12とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部開放型の収納容器に対する物品充填箇所において、粒状又は前記収納容器よりも小型の形状である物品が落下供給される前記収納容器を搬送手段によって搬送するように構成された物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記物品搬送設備は、物品充填箇所において、粒状の物品又はプレス成形品等の収納容器よりも小型の形状である物品を上部開放型の収納容器内に上方から落下供給して、その物品が充填された収納容器を搬送手段により搬送するものであるが、このような物品搬送設備において、従来では、物品充填箇所において、収納容器への物品の充填作業が行われる際に、収納容器内において一部分だけ盛り上がった状態で物品が不均一に充填されることを防止するために物品を均平化させる均平化処理を行うようにして、その後は、搬送手段により、収納容器内に物品をそのまま収納した状態で搬送手段にて次の処理行程に向けて搬送されるように構成したものがあった(例えば、特許文献1参照)。
前記均平化処理について説明を加えると、物品が落下供給される前記物品充填箇所において、収納容器を前後方向並びに左右方向夫々に位置を変更させて、収納容器に対する相対的な落下供給箇所を異ならせる状態で物品を充填させるように構成されていた。
【0003】
又、物品充填箇所において均平化処理を行う構成としては、特許文献1に記載されるように収納容器を前後方向並びに左右方向夫々に位置変更させて物品を落下供給させる構成とは異なる構成として、収納容器に車輪を備えて移動走行自在に構成し、且つ、収納容器を収納容器の移動方向に沿う幅よりも広幅の天秤式の荷台上に載置しておき、この荷台をシリンダ装置により傾動させて収納容器を移動走行させ、荷台の他端側の縦壁部に衝突させることを繰り返し行って収納容器内の物品を均すようにしたもの(特許文献2参照)や、収納容器に強制的な振動を付与して振動によって収納容器内の物品を均すようにしたもの(特許文献3参照)等がある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−81444号公報
【特許文献2】特開平6−183572号公報
【特許文献3】特開平9−255159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成においては、物品充填箇所において、収納容器への物品の充填作業が行われたのちは、収納容器内に物品をそのまま収納した状態で搬送手段にて搬送される構成となっているが、このような物品充填箇所における均平化処理だけでは充分な均平化を行うことができないおそれがある。
【0006】
説明を加えると、物品充填箇所において、上部開放型の収納容器に対して、粒状又は収納容器よりも小型の形状である物品が落下供給されるときに、収納容器に対する物品の落下位置や同時に落下する物品の個数が変化する等、収納容器に対する物品の落下供給状態は変化するおそれが大であるから、収納容器に対する物品の落下供給状態が一定でなく充分な均平化を行うことができないおそれがある。
【0007】
その結果、収納容器内において一部分だけ盛り上がった状態で物品が不均一に充填された状態で搬送され、例えば後の処理行程において収納容器から上方に突出している物品が他物に干渉する等の不都合が発生するおそれがある。
【0008】
そこで、このような不利を回避するためには、前記搬送手段による搬送経路中において、物品充填箇所における均平化処理とは異なる別の均平化処理を行うための別の均平化処理装置を備えて、収納容器に対して物品が充填作業が行われる毎に、その別の均平化処理を行うようにすることが考えられるが、そのように構成すると、収納容器に対して均平化処理を行う必要がない状態であっても常に別の均平化処理が行われるものであるから、その均平化処理を行うための処理時間が余計にかかることになり、物品を収納容器に充填して搬送するときの作業能率が低くなり、物品が充填された収納容器の搬送作業を連続的に行う場合において、物品搬送設備全体の搬送処理能力が低いものとなる不利がある。
【0009】
本発明の目的は、設備全体としての搬送処理能力を極力低下させることなく、収納容器内に物品を均平化した状態で充填させて搬送することが可能となる物品搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る物品搬送設備は、上部開放型の収納容器に対する物品充填箇所において、粒状又は前記収納容器よりも小型の形状である物品が落下供給される前記収納容器を搬送手段によって搬送するように構成されたものであって、その第1特徴構成は、前記搬送手段による搬送経路中において、前記物品充填箇所にて前記物品が充填されて前記搬送手段にて載置搬送される前記収納容器から上方に向けて前記物品が突出している又は前記物品の前記収納容器からの突出高さが設定高さ以上である物品突出状態であるか否かを検出する突出状態検出手段と、前記搬送経路中における前記突出状態検出手段よりも搬送下手側箇所に位置して、前記突出状態検出手段にて前記物品突出状態であることが検出されると、前記収納容器に均平用の力を付与して前記収納容器内の物品を均平化させる均平化処理を実行する均平化処理装置とが備えられている点にある。
【0011】
第1特徴構成によれば、物品充填箇所において上部開放型の収納容器に対して物品が落下供給されて物品が充填され、物品が充填された収納容器は搬送手段によって搬送されることになるが、その搬送手段による搬送経路中において、突出状態検出手段によって、収納容器から上方に向けて物品が突出している又は物品の収納容器からの突出高さが設定高さ以上である物品突出状態であるか否かが検出される。
【0012】
このとき、物品充填箇所において物品が落下供給されて収納容器に物品が充填されるときに、一部分だけ盛り上がるように収納容器内に偏った状態で物品が積載されるような場合には、突出状態検出手段にて物品突出状態であることが検出される。しかし、収納容器に対する物品の充填処理が良好に行われて均等又はほぼ均等に充填されているような場合には、突出状態検出手段にて物品突出状態であることが検出されないことになる。
【0013】
そして、突出状態検出手段にて物品突出状態であることが検出されると、搬送経路中における突出状態検出手段よりも搬送下手側箇所に位置する状態で設けられた均平化処理装置が、収納容器に均平用の力を付与して収納容器内の物品を均平化させる均平化処理を実行する。その均平化処理によって、収納容器内の物品が、収納容器内に物品を均平化させた状態で充填して搬送することが可能となる。
【0014】
前記突出状態検出手段にて前記物品突出状態であることが検出されていないときは、前記均平化処理装置が均平化処理を実行することなく収納容器はそのまま搬送手段によって搬送されることになるから、無駄な均平化処理が行われないので、それだけ搬送処理能力を低下させるおそれが少ないものになる。尚、このときは、収納容器内の物品はすでに均平化された状態になっている。
【0015】
従って、設備全体としての搬送処理能力を極力低下させることなく、収納容器内に物品を均平化した状態で充填させて搬送することが可能となる物品搬送設備を提供できるに至った。
【0016】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記突出状態検出手段にて前記物品突出状態であることが検出されると前記収納容器が前記均平化処理装置による均平化対象位置に位置する状態で搬送を停止させ、且つ、前記均平化処理装置による前記均平化処理が終了したのちに前記搬送手段の運転を再開するように、前記搬送手段の運転を制御する搬送制御手段が備えられ、
前記均平化処理装置が、
前記均平化対象位置に位置する前記収納容器の搬送方向上手側箇所、及び、前記収納容器の搬送方向下手側箇所を交互に下方側から突き上げて前記収納容器に前記均平用の力を付与して傾動させる突き上げ作動を実行する前後一対の突き上げ装置と、
前記均平化対象位置に位置する前記収納容器の前端部よりも搬送方向前方側箇所、及び、前記収納容器の後端部よりも搬送方向後方側箇所の夫々において、前記突き上げ装置により傾動する前記容器を受け止め支持する作用位置と前記搬送手段の搬送載置面よりも下方に引退する非作用位置とに切り換え自在な前後一対の受止め支持装置と、
前記各突き上げ装置及び前記各受止め支持装置の運転を制御する均平化制御手段とを備えて構成され、
前記均平化制御手段が、前記突出状態検出手段にて前記物品突出状態であることが検出されて前記収納容器が前記均平化対象位置に位置して搬送が停止されている状態で、前記前後一対の受止め支持装置を夫々作用位置に切り換えた状態で、前記前後一対の突き上げ装置にて交互に設定回数ずつ前記突き上げ作動を実行する前記均平化処理を実行し、且つ、前記均平化処理が終了したのちに前記前後一対の受止め支持装置を夫々非作用位置に切り換えるように運転を制御するよう構成されている点にある。
【0017】
第2特徴構成によれば、前記突出状態検出手段にて前記物品突出状態であることが検出されると、収納容器が均平化対象位置に位置するまで移動すると搬送手段による搬送が停止する。そこで、前後一対の受止め支持装置が夫々作用位置に切り換えられて、前後一対の突き上げ装置にて交互に設定回数ずつ突き上げ作動を実行する均平化処理を実行するのである。
【0018】
すなわち、前後一対の突き上げ装置のいずれか一方が収納容器を下方側から突き上げて均平用の力を付与して収納容器を傾動させる。このとき、その突き上げ装置による収納容器の傾動によって収納容器内に収納されている物品が揺り動かされて均されることになる。このような傾動による物品の均し動作が前後の突き上げ装置において交互に設定回数行われ、収納容器内の物品が十分に均平化されることになる。そして、収納容器が傾動するときに、前後一対の受止め支持装置によって必要以上の傾動が阻止されて、物品が外部に零れ落ちることを防止することができる。
前記均平化処理装置による均平化処理が終了したのちは、前後一対の受止め支持装置を夫々非作用位置に切り換えて、搬送手段が搬送を再開して収納容器を搬送する。
【0019】
このように、均平化処理装置は、均平化対象位置に位置している収納容器を下から突き上げて傾動させることで物品を均平化させるようにしたので、水平方向での移動量が極力少なくなりコンパクトな構成で、確実に物品を均平化させることが可能となる。
【0020】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記均平化処理装置よりも搬送方向下手側箇所に、前記収納容器から上方に向けて前記物品が突出していない又は前記物品の高さが設定高さ未満である物品均平化状態であるか否かを確認する均平化状態確認手段が備えられ、この均平化状態確認手段にて物品均平化状態であることが確認できないときは、前記収納容器を前記搬送手段による搬送経路から排除する容器排除手段が備えられている点にある。
【0021】
第3特徴構成によれば、前記均平化処理装置よりも搬送方向下手側箇所において、均平化状態確認手段によって収納容器から上方に向けて前記物品が突出していない又は前記物品の高さが設定高さ未満である物品均平化状態であるか否かが確認される。この均平化状態確認手段にて物品均平化状態であることが確認できるときは、そのまま搬送手段によって搬送されるが、均平化状態確認手段にて物品均平化状態であることが確認できないときは、容器排除手段によって収納容器を搬送手段による搬送経路から排除することになる。
【0022】
従って、前記均平化処理装置により均平化処理を行っても未だ前記物品均平化状態であることが確認できないときには、収納容器を搬送手段による搬送経路から排除するようにしたので、物品の均平化が行われていない状態で収納容器を誤って搬送手段にて搬送することに起因して物品搬送設備の処理能力を低下させる不利を回避することができる。
【0023】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成に加えて、前記均平化処理装置と前記均平化状態確認手段との間に、前記搬送手段により搬送されている前記収納容器から上方に向けて突出している又は設定高さ以上である物品に対して接当作用する均平具が設けられている点にある。
【0024】
第4特徴構成によれば、前記均平化処理装置よりも搬送方向下手側箇所において、前記均平具によって収納容器から上方に向けて突出している又は設定高さ以上である物品に対して接当作用することにより、物品の均平化処理が行われることになる。
【0025】
このように均平具にて物品に接当作用することで強制的に均平化させるようにしたので、均平化処理装置における突き上げによる傾動操作では均すことが出来なかった物品をより確実に均すことができる。
【0026】
本発明の第5特徴構成は、第4特徴構成に加えて、前記均平具が、接当作用位置から搬送方向下手側に向けて後退変位自在に、且つ、前記接当作用位置に復帰付勢する状態で設けられている点にある。
【0027】
第5特徴構成によれば、前記均平具は、搬送方向下手側に向けて後退変位自在に、且つ、接当作用位置に復帰付勢する状態で設けられるので、均平具が物品に接当作用するときに、無理な力がかかる場合には、均平具が弾性的に後退変位することになる。従って、均平具が物品に接当作用するときに、物品を無理に押し操作して物品に損傷を与えたり、物品が収納容器から外部に零れ落ちる等、無理に物品を押し操作することによる不都合を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、物品搬送設備の全体構成を示している。この物品搬送設備は、生産装置Aにおいて加工成形されることにより作製されたプレス成型品等の物品Bを上部が開放された収納容器としてのコンテナCに充填する状態で複数収納して搬送する構成となっている。
【0029】
すなわち、生産装置Aによって連続的に作製されてベルトコンベア1によって順次、載置搬送される物品を、物品充填箇所Dにおいて、収納容器の一例としてのコンテナCの内部に順次落下供給してコンテナC内に充填させるように構成され、物品Bが充填されたコンテナCを搬送手段としてのチェーンコンベヤ2によって載置搬送して、入庫用コンベヤ3を介して物品保管装置4に入庫されるように構成されている。前記チェーンコンベヤ2は、具体的には、後述するように駆動用モータ2Aにより一体的に回動駆動される左右一対の回動チェーンにてコンベヤCを載置搬送するように構成されている。尚、空のコンテナCは、例えば手作業により供給されて空コンテナ供給用コンベヤ5により前記物品充填箇所Dに供給される。
【0030】
前記物品保管装置4は、詳述はしないが、コンテナCを収納する複数の物品収納部6が上下方向並びに左右方向に多数並設された一対の収納棚7、及び、この一対の収納棚7の間に位置してコンテナCを搬送するスタッカークレーン8等を備えて構成され、スタッカークレーン8にて、いずれかの物品収納部6にコンテナCを搬入して保管させるようにしたり、いずれかの物品収納部6に保管されているコンテナCを搬出用コンベヤ9に搬出させることができるように構成されている。尚、搬出されるコンテナCに収納される物品は図示しない別の場所に搬送されて使用されることになる。
【0031】
そして、前記チェーンコンベヤ2の搬送経路中に、コンテナC内に充填されている物品の収納状態を安定化させる物品安定化装置10が設けられている。以下、この物品安定化装置10について説明する。
【0032】
前記物品安定化装置10は、チェーンコンベヤ2による搬送経路中において、前記物品充填箇所Dにて物品Bが充填されてチェーンコンベヤ2にて載置搬送される物品のコンテナCからの突出高さが設定高さ以上である物品突出状態であるか否かを検出する突出状態検出手段としての上手側荷高検出器11と、搬送経路中における上手側荷高検出器11よりも搬送下手側箇所に位置して、上手側荷高検出器11にて物品突出状態であることが検出されると、コンテナCに均平用の力を付与してコンテナC内の物品を均平化させる均平化処理を実行する均平化処理装置12とが備えて構成されている。
【0033】
又、前記上手側荷高検出器11にて前記物品突出状態であることが検出されるとコンテナCが均平化処理装置12による均平化対象位置Tに位置する状態で搬送を停止させ、且つ、均平化処理装置12による均平化処理が終了したのちにチェーンコンベヤ2の運転を再開するように、チェーンコンベヤ2の運転を制御する搬送制御手段100が備えられている。
【0034】
前記均平化処理装置12は、前記均平化対象位置Tに位置するコンテナCの搬送方向上手側箇所、及び、コンテナCの搬送方向下手側箇所を交互に下方側から突き上げてコンテナCに前記均平用の力を付与して傾動させる突き上げ作動を実行する前後一対の突き上げ装置13a,13bと、均平化対象位置Tに位置するコンテナCの前端部よりも搬送方向前方側箇所、及び、コンテナCの後端部よりも搬送方向後方側箇所の夫々において、突き上げ装置13a,13bにより傾動するコンテナCを受け止め支持する作用位置とチェーンコンベヤ2の搬送載置面よりも下方に引退する非作用位置とに切り換え自在な前後一対の受止め支持装置14a,14bと、各突き上げ装置13a,13b及び各受止め支持装置14a,14bの運転を制御する均平化制御手段200とを備えて構成され、前記均平化制御手段が、上手側荷高検出器11にて前記物品突出状態であることが検出されてコンテナCが前記均平化対象位置Tに位置して搬送が停止されている状態で、前後一対の受止め支持装置14a,14bを夫々作用位置に切り換えた状態で、前後一対の突き上げ装置13a,13bにて交互に設定回数ずつ突き上げ作動を実行する均平化処理を実行し、且つ、均平化処理が終了したのちに前後一対の受止め支持装置14a,14bを夫々非作用位置に切り換えように運転を制御するよう構成されている。
【0035】
以下、具体的な構成について説明する。
図2に示すように、チェーンコンベヤ2の搬送方向最上手側箇所には、そのチェーンコンベヤ2にて載置搬送されるコンテナCの高さよりも少し高い位置に検出高さが設定された前記突出状態検出手段としての上手側荷高検出器11が設けられている。この上手側荷高検出器11は、投光器15と受光器16からなる透過型の光電スイッチにて構成されている。つまり、図3に示すように、チェーンコンベヤ2の左右両側の支持フレーム17に固定されて上方に延設された左右の縦フレーム18の一方に投光器15が設けられ、他方に受光器16が設けられ、投光器15からの光が受光器16にて受光されているときは、前記物品突出状態でないこと、すなわち、物品BのコンテナCからの突出高さが設定高さ未満であることを検出し、投光器15からの光が途中で遮られて受光器16が光を受光しないときは、前記物品突出状態であること、すなわち、物品BのコンテナCからの突出高さが設定高さ以上であることを検出することになる。
【0036】
前記上手側荷高検出器11よりも搬送方向下手側であって、前記均平化対象位置Tに停止しているコンテナCに対して均平化処理を実行する均平化処理装置12が備えられている。この均平化処理装置12は、上記したような前後一対の突き上げ装置13a,13bと前後一対の受止め支持装置14a,14bとを備えて構成されている。説明を加えると、図4及び図5に示すように、前記各突き上げ装置13a,13bは、床面に対して受け止め支持された矩形状のベースフレーム19と、そのベースフレーム19に取り付け固定されるエアーシリンダ20とを備えて構成され、このエアーシリンダ20には、2本のスライド式の案内体21とシリンダロッド22の先端部とを連結する連結プレート23に搬送幅方向に少し離間させて一対のゴム製の接当部材24が備えられている。連結プレート23及び一対の接当部材24は、チェーンコンベヤ2における左右両側の回動チェーンの間を通して上下に移動することが可能な状態で設けられている。
【0037】
エアーシリンダ20のシリンダロッド22が縮退すると、接当部材24がチェーンコンベヤ2の載置搬送面Eよりも下方側に位置してチェーンコンベヤ2にてコンテナCを載置搬送させても搬送の支障のない非作用状態となり、エアーシリンダ20にエアーを供給してシリンダロッド22を伸長させると、接当部材24がチェーンコンベヤ2の載置搬送面Eよりも設定量だけ上方にスライドして、コンテナCの底部に接当してコンテナCを押し上げる作用状態に切り換わる構成となっている。
【0038】
又、前記各受止め支持装置14a,14bは、図6及び図7に示すように、チェーンコンベヤ2の左右両側の支持フレーム17の下部同士に亘って架設された載置支持台25に固定取り付けされたエアーシリンダ26が取り付け固定されており、このエアーシリンダ26には、2本のスライド式の案内体27とシリンダロッド28の先端部とを連結する連結プレート29に、コンテナCを受け止めるための受止め部材30が連結されている。
【0039】
前記エアーシリンダ26を縮退させると、受止め部材30はチェーンコンベヤ2の載置搬送面Eよりも下方側に位置してチェーンコンベヤ2にてコンテナCを載置搬送させても搬送の支障のない非作用状態となる。エアーシリンダ26にエアーを供給してシリンダロッド28を伸長させると、受止め部材30はチェーンコンベヤ2の載置搬送面Eよりも上方に位置するようにスライドして、前記突き上げ装置13a,13bの作動によって傾動したコンテナCを受け止めて必要以上に傾斜することを防止する作用状態に切り換わる構成となっている。
【0040】
尚、前記コンテナCが前記均平化対象位置Tに到達したか否かを検出する位置検出器40が備えられている。この位置検出器40は、詳細な説明は省略するが、上手側荷高検出器11と同様な光電スイッチにて構成され、コンテナCが均平化対象位置Tに到達すると光が遮断される構成となっている。
【0041】
前記均平化処理装置12よりも搬送方向下手側の箇所に、物品のコンテナCからの突出高さが設定高さ未満である物品均平化状態であるか否かを確認する均平化状態確認手段としての下手側荷高検出器31が設けられている。この下手側荷高検出器31は、上手側荷高検出器11と同様に、図3に示すように、左右の縦フレーム32に支持される投光器と受光器からなる透過型の光電スイッチにて構成されている。つまり、投光器33からの光が受光器34にて受光されているときは前記物品均平化状態であること、すなわち、物品BのコンテナCからの突出高さが設定高さ未満であることを検出し、投光器33からの光が途中で遮られて受光器34が光を受光しないときは前記物品均平化状態でないこと、すなわち、物品BのコンテナCからの突出高さが設定高さ以上であることを検出することになる。
【0042】
又、前記均平化処理装置12よりも搬送方向下手側箇所であって均平化処理装置12と下手側荷高検出器31との間に、チェーンコンベヤ2により搬送されているコンテナCからの突出高さが設定高さ以上である物品に対して接当作用する均平具35が設けられている。この均平具35は、接当作用位置から搬送方向下手側に向けて後退変位自在に、且つ、前記接当作用位置に復帰付勢する状態で設けられている。
【0043】
つまり、図8に示すように、均平具35は、横軸芯P周りで揺動自在に枠体36に垂下される状態で支持されており、引張りバネ37によって搬送方向上手側に向かうように揺動付勢され、且つ、接当作用位置としての下向き姿勢で位置保持されるように、規制具38により接当規制されて物品Bに接当作用する構成となっている。そして、物品に接当して作用するときに無理な力がかかると、引張りバネ37の付勢力に抗して搬送方向下手側に退避するように後退変位可能に構成されている。
【0044】
前記物品安定化装置10におけるチェーンコンベヤ2による搬送経路の左右両側部には、コンテナCの左右両側部を受け止め案内する案内部材38が設けられ、コンテナCが左右方向に位置ずれすることなく適正な載置状態を維持しながら載置搬送することができるように構成されている。
【0045】
又、前記物品安定化装置10には、図9に示すように、上手側荷高検出器11及び位置検出器40の検出結果に基づいて、チェーンコンベヤ2及び均平化処理装置12の夫々運転を制御するマイクロコンピュータからなる制御装置Hが備えられ、この制御装置Hを利用して、チェーンコンベヤ2の運転、具体的にはチェーンコンベヤ2を駆動する駆動用モータ2Aの運転を制御する搬送制御手段100及び各突き上げ装置13a,13b及び各受止め支持装置14a,14bの運転を制御する均平化制御手段200が構成されている。又、制御装置Hは、下手側荷高検出器31により前記物品均平化状態でないことを検出すると、コンテナCを物品保管装置4に搬送するのではなく、コンテナCをチェーンコンベヤ2による搬送経路から排除する容器排除手段としての待機用コンベヤ39に搬送するようにチェーンコンベヤ2の搬送状態並びに待機用コンベヤ39の搬送状態を制御するように構成されている。
【0046】
前記制御装置Hにおける物品安定化処理の具体的な制御動作について説明する。
図10に示すように、制御装置Hは、物品充填箇所Dに空のコンテナCを位置させて物品を充填させる充填処理が行われたのち、コンテナCをチェーンコンベヤ2の駆動用モータ2Aを制御して載置搬送する(ステップ1)。前記上手側荷高検出器11にて、前記物品突出状態でないこと、すなわち、物品のコンテナCからの突出高さが設定高さ未満であることが検出されると、そのままコンテナCを搬送方向下手側に向けて搬送を継続して、図11のラインL1に示すように、入庫用コンベヤ3を介して物品保管装置4へ搬送する(ステップ2、9)。その後は、物品保管装置4により、所定の物品収納部6に搬送されて保管されることになる。
【0047】
そして、上手側荷高検出器11にて、前記物品突出状態であること、すなわち、物品のコンテナCからの突出高さが設定高さ以上であることが検出されると、前記位置検出器40にてコンテナCが均平化処理装置12が作用する均平化対象位置Tにまで搬送されたことが検出されるとそこで搬送を停止させるように、チェーンコンベヤ2の駆動用モータ2Aを制御する(ステップ3)。そして、前記各受止め支持装置14a,14bを作用状態、つまり、エアーシリンダ26を伸長作動させて受止め部材30がチェーンコンベヤ2の載置搬送面Eよりも上方に位置する状態に切り換える(ステップ4)。
【0048】
次に、前記各突き上げ装置13a,13bを作動させる均平化処理を実行する(ステップ5)。具体的には、エアーシリンダ20を作動させて前記作用状態に切り換える突き上げ作動を行ったのちに前記非作用状態に戻すような作動を前記各突き上げ装置13a,13bについて交互に設定回数(例えば、4回ずつ合計8回)繰り返し実行する(図4(イ)、(ロ)参照)。このような突き上げ作動によって、エアーシリンダ20の駆動力により接当部材24がチェーンコンベヤ2の載置搬送面Eよりも設定量だけ上方にスライドしてコンテナCを押し上げてコンテナCを傾動させるので、そのときの振動によってコンテナC内の物品Bが揺り動かされて均平化されることになる。このようにコンテナCが傾動するとき、前記受止め支持装置14a,14bにおける受止め部材30によって必要以上の傾動が阻止されて、物品Bが外部に零れ落ちることを防止することができる。
【0049】
前記各突き上げ装置13a,13bによる均平化処理が終了すると、前記各受止め支持装置14a,14bを非作用状態に切り換えて、チェーンコンベヤ2によるコンテナCの搬送を再開する(ステップ6、7)。このとき、物品BのコンテナCからの突出高さが未だに設定高さ以上であるときは、その設定高さ以上に突出している物品Bが均平具35による押し操作によって強制的に均されることになる。但し、引張りバネ37による付勢力を越えるような無理な力がかかると、均平具35が弾性的に後退変位するので、物品Bを損傷したり、コンテナCから零れ落ちる等の不利のない状態で均し処理を行える。
【0050】
そして、前記下手側荷高検出器31により前記物品均平化状態であること、すなわち、物品BのコンテナCからの突出高さが設定高さ未満であることを検出すると、そのままコンテナCを搬送方向下手側に向けて搬送を継続して、図11のラインL1に示すように、入庫用コンベヤ3を介して物品保管装置4へ搬送する(ステップ8,9)。その後は、物品保管装置4において所定の物品収納部6に搬送されて保管される。
【0051】
前記下手側荷高検出器31により前記物品均平化状態でないこと、すなわち、物品のコンテナCからの突出高さが設定高さ以上であることを検出すると、コンテナCを物品保管装置4に搬送するのではなく、図11のラインL2に示すように、コンテナCをチェーンコンベヤ2による物品保管装置4への搬送経路から排除して待機用コンベヤ39に搬送するように、チェーンコンベヤ2の搬送状態並びに待機用コンベヤ39の搬送状態を制御する(ステップ10)。
【0052】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0053】
(1)上記実施形態では、前記均平化処理装置が、前記収納容器を下方側から突き上げて均平用の力を付与して傾動させる前後一対の突き上げ装置と、前後一対の受止め支持装置とを備えて構成されるものを例示したが、このような構成に限らず、例えば、収納容器を移動走行自在に構成して移動に伴って荷台の他端側に衝突させるによって収納容器内の物品を均すようにしたものや、収納容器に強制的な振動を付与して振動によって収納容器内の物品を均すようにしたもの等、各種の形態で物品を均平化させることが可能である。
【0054】
(2)上記実施形態では、前記搬送手段により搬送されているコンテナからの物品の突出高さが設定高さ以上である物品に対して接当作用する均平具が設けられる構成としたが、このような均平具を備えない構成としてもよい。
【0055】
(3)上記実施形態では、前記突出状態検出手段としての上手側荷高検出器が、光電スイッチにて構成され、且つ、物品のコンテナからの突出高さが設定高さ以上である物品突出状態であるか否かを検出する構成としたが、このような構成に代えて、コンテナの上端部から上方に向けて物品が突出しているか否かを検出する構成としてもよい。又、光電スイッチに代えて接触式のセンサ等、各種の形態のセンサを用いることができる。
【0056】
(4)上記実施形態では、前記均平化状態確認手段としての下手側荷高検出器が、光電スイッチにて構成され、且つ、物品の前記収納容器からの突出高さが設定高さ未満である物品均平化状態であるか否かを検出する構成としたが、このような構成に代えて、コンテナの上端部から上方に向けて物品が突出しているか否かを検出する構成としてもよい。又、光電スイッチに代えて接触式のセンサ等、各種の形態のセンサを用いることができる。
【0057】
(5)上記実施形態では、前記制御装置を利用して、前記搬送制御手段及び前記均平化制御手段を構成するものを例示したが、このような構成に代えて、搬送手段を制御する搬送用の制御装置と、均平化処理装置を制御する均平化処理専用の制御装置を各別に備える構成としてもよい。
【0058】
(6)上記実施形態では、物品充填箇所においては収納容器内の物品を均平化させるための処理を行わない構成としたが、このような構成に代えて、物品充填箇所にて均平化処理を実行する構成であってもよい。そのときの均平化処理としては、収納容器を左右方向並びに横方向に移動させて物品を均平化させる形態や収納容器に細かな振動を付与して物品を均平化させる等、種々の構成を適用することができる。
【0059】
(7)上記実施形態では、コンテナよりも小型の形状の物品としてプレス成型品を例示したが、プレス成型品に限らず種々の物品を対象とすることができ、粒状の物品であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】物品搬送設備の全体構成を示す平面図
【図2】物品安定化装置の側面図
【図3】荷高検出器の正面図
【図4】突き上げ装置の側面図
【図5】突き上げ装置の正面図
【図6】受止め支持装置の正面図
【図7】受止め支持装置の側面図
【図8】均平具配設部の側面図
【図9】制御ブロック図
【図10】制御動作のフローチャート
【図11】コンテナの搬送状態を示す図
【符号の説明】
【0061】
2 搬送手段
11 突出状態検出手段
12 均平化処理装置
13a,13b 突き上げ装置
14a,14b 受止め支持装置
31 均平化状態確認手段
35 均平具
39 容器排除手段
100 搬送制御手段
200 均平化制御手段
B 物品
C 収納容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開放型の収納容器に対する物品充填箇所において、粒状又は前記収納容器よりも小型の形状である物品が落下供給される前記収納容器を搬送手段によって搬送するように構成された物品搬送設備であって、
前記搬送手段による搬送経路中において、前記物品充填箇所にて前記物品が充填されて前記搬送手段にて載置搬送される前記収納容器から上方に向けて前記物品が突出している又は前記物品の前記収納容器からの突出高さが設定高さ以上である物品突出状態であるか否かを検出する突出状態検出手段と、
前記搬送経路中における前記突出状態検出手段よりも搬送下手側箇所に位置して、前記突出状態検出手段にて前記物品突出状態であることが検出されると、前記収納容器に均平用の力を付与して前記収納容器内の物品を均平化させる均平化処理を実行する均平化処理装置とが備えられている物品搬送設備。
【請求項2】
前記突出状態検出手段にて前記物品突出状態であることが検出されると前記収納容器が前記均平化処理装置による均平化対象位置に位置する状態で搬送を停止させ、且つ、前記均平化処理装置による前記均平化処理が終了したのちに前記搬送手段の運転を再開するように、前記搬送手段の運転を制御する搬送制御手段が備えられ、
前記均平化処理装置が、
前記均平化対象位置に位置する前記収納容器の搬送方向上手側箇所、及び、前記収納容器の搬送方向下手側箇所を交互に下方側から突き上げて前記収納容器に前記均平用の力を付与して傾動させる突き上げ作動を実行する前後一対の突き上げ装置と、
前記均平化対象位置に位置する前記収納容器の前端部よりも搬送方向前方側箇所、及び、前記収納容器の後端部よりも搬送方向後方側箇所の夫々において、前記突き上げ装置により傾動する前記容器を受け止め支持する作用位置と前記搬送手段の搬送載置面よりも下方に引退する非作用位置とに切り換え自在な前後一対の受止め支持装置と、
前記各突き上げ装置及び前記各受止め支持装置の運転を制御する均平化制御手段とを備えて構成され、
前記均平化制御手段が、前記突出状態検出手段にて前記物品突出状態であることが検出されて前記収納容器が前記均平化対象位置に位置して搬送が停止されている状態で、前記前後一対の受止め支持装置を夫々作用位置に切り換えた状態で、前記前後一対の突き上げ装置にて交互に設定回数ずつ前記突き上げ作動を実行する前記均平化処理を実行し、且つ、前記均平化処理が終了したのちに前記前後一対の受止め支持装置を夫々非作用位置に切り換えるように運転を制御するよう構成されている請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記均平化処理装置よりも搬送方向下手側箇所に、前記収納容器から上方に向けて前記物品が突出していない又は前記物品の前記収納容器からの突出高さが設定高さ未満である物品均平化状態であるか否かを確認する均平化状態確認手段が備えられ、
この均平化状態確認手段にて物品均平化状態であることが確認できないときは、前記収納容器を前記搬送手段による搬送経路から排除する容器排除手段が備えられている請求項1又は2記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記均平化処理装置と前記均平化状態確認手段との間に、前記搬送手段により搬送されている前記収納容器から上方に向けて突出している又は設定高さ以上である物品に対して接当作用する均平具が設けられている請求項3記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記均平具が、接当作用位置から搬送方向下手側に向けて後退変位自在に、且つ、前記接当作用位置に復帰付勢する状態で設けられている請求項4記載の物品搬送設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−269459(P2007−269459A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98155(P2006−98155)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】