説明

物品滞留防止装置

【課題】人手に頼ることなく、またシステムの構成を変更することなく確実に物品の滞留を防止しうる物品滞留防止装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、物品を保管するための傾斜させたフリーコンベヤ23a、23bを有し、当該フリーコンベヤ23a、23bのコンベヤローラ24を振動させるためのストライカー71を備えたことを特徴とする物品滞留防止装置である。フリーコンベヤ23a、23bは、上下方向に若干の可動域を有するように支持フレームに組み付けられ、フリーコンベヤ23a、23bに対しその可動方向にてストライカー71を下方から当接させることによりコンベヤローラ24に振動を与えるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入荷された物品をオーダー毎に仕分けて出荷するための仕分け設備に用いるフリーコンベヤに関し、特に、搬送保管する物品の滞留を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
傾斜したフリーコンベヤ(流動棚)に物品を保管することは安価にシステムを構築できるので広く行われているが、フリーコンベヤには駆動機構が存在しないため、物品の底面の形状や重量(軽さ)によっては物品がコンベヤ上で停止するという問題がある。
【0003】
この対策としては、
(1)流動棚の傾斜角度を大きくする。
(2)流動棚上の最後尾に重石等を入れた特殊ケースを配置することにより滞留を防止する。
(3)物品の滞留をセンサにて検出し、警報を発して滞留している物品を人手により掻き出す。
等が従来行われている。
【0004】
しかし、これらの従来技術にあっては、種々の課題がある。
例えば、流動棚の傾斜角度を大きくすると、物品の自走速度が大きくなり、流動棚先端のストッパに当接したときに物品に損傷を与えたり、流動棚から物品が飛び出す場合がある。
【0005】
一方、流動棚上の最後尾に重石等を入れた特殊ケースを配置すると、この特殊ケースを保管、回収するための設備が別途必要になる。
【0006】
また、物品の滞留をセンサにて検出し、警報を発して滞留している物品を人手により掻き出す手段の場合は、人手により対処するまでに時間がかかり、設備の運用効率を落とすという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたもので、人手に頼ることなく、またシステムの構成を変更することなく確実に物品の滞留を防止しうる物品滞留防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、物品を保管するための傾斜させたフリーコンベヤを有し、当該フリーコンベヤの物品搬送部分を振動させるための振動発生手段を備えたことを特徴とする物品滞留防止装置である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記フリーコンベヤが若干の可動域を有するように組み付けられ、当該フリーコンベヤに対しその可動方向にてストライカーを当接させることにより物品搬送部分に振動を与えるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、物品保管用の傾斜させたフリーコンベヤの物品搬送部分を振動させるための振動発生手段を備えたことから、人手に頼ることなく、またシステムの構成を変更することなく確実に物品の滞留を防止することができるので、取り出し装置の可動効率を向上させてシステムの効率的な運用を行うことができる。
【0010】
本発明において、フリーコンベヤが若干の可動域を有するように組み付けられ、当該フリーコンベヤに対しその可動方向にてストライカーを当接させることにより物品搬送部分に振動を与えるように構成されている場合には、簡素な構成で効果的に物品搬送部分に振動を与えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、人手に頼ることなく、またシステムの構成を変更することなく確実に物品の滞留を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る滞留防止装置の最良の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明を用いた仕分け設備の一例を示す斜視図、図2は、同仕分け設備の基本構成を示す平面図である。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の仕分け設備1は、複数の物品収納ケースを保管可能な保管部2を有し、この保管部の近傍に、後述する縦型仕分け装置3と、走行仕分け部4と、ケース取り出し装置5がそれぞれ配設されている。
【0013】
保管部2は、フローラック(流動棚)からなる多数の保管コンベヤ20が平行に並べられ多段状に組み付けられているもので、本実施の形態の場合は、第1及び第2の保管コンベヤ群21、22から構成されている。
【0014】
ここで、第1の保管コンベヤ群21は、それぞれの投入部21a、21bを対向させた状態で配置された一対の対向コンベヤ群21A、21Bから構成されている。
【0015】
また、第2の保管コンベヤ群22もまた、それぞれの投入部22a、22bを対向させた状態で配置された一対の対向コンベヤ群22A、22Bから構成されている。
【0016】
そして、これら第1及び第2の保管コンベヤ群21、22は隣接配置され、それぞれ対応する対向コンベヤ群21A、22A並びに対向コンベヤ群21B、22Bの投入部21a、22a並びに21b、22bが直線状に配列されるように構成されている。
【0017】
なお、本実施の形態の場合、第1及び第2の保管コンベヤ群21、22としては、同数の保管コンベヤ20を有し同一の構成を有するものが用いられている。
【0018】
保管部2の保管コンベヤ20は、例えば1日のオーダー数に対応させて設けられ、各保管コンベヤ20には各オーダーに対応した位置情報が付与されている。
【0019】
なお、各保管コンベヤ20には、所定のオーダー情報に基づいて所定数の物品収納ケース10を切り出す手段(図示せず)が設けられている。
【0020】
縦型仕分け装置3は、入庫コンベヤ6の搬送方向下流端部に設けられたタワー状の垂直仕分けコンベヤ30と、例えば保管部2の各段の保管コンベヤ20に対応する受け渡し部31とを有している。
【0021】
垂直仕分けコンベヤ30は、入庫コンベヤ6から導入された物品収納ケース10を、例えばチェーンに取り付けられた複数のフック(図示せず)によって上方に搬送し、所定の仕分けデータに従って所定の階の受け渡し部31に仕分けるように構成されている。
【0022】
そして、受け渡し部31には、仕分けられた各物品収納ケース10を、以下の走行仕分け部4に向って受け渡すためのステーション32がそれぞれ設けられている。
【0023】
本実施の形態の仕分け台車部4は、第1の保管コンベヤ群21の対向コンベヤ群21A、21Bの間と、第2の保管コンベヤ群22の対向コンベヤ群22A、22Bの間に沿って設けられており、この仕分け台車部4は、例えば保管部2の各段の保管コンベヤ20に対応する走行レーン40と、各走行レーン40に沿って往復移動可能な仕分け台車41とを有している。
【0024】
ここで、各走行レーン40は、各保管コンベヤ20の幅方向に延びるように水平に配設され、各段の投入部21a、21b、22a、22bとほぼ同じ高さになるように多段状に設けられている。
【0025】
走行台車41には、その走行方向に対して直交する方向に物品収納ケース10を仕分ける例えばクロスベルト方式の仕分け部42が設けられ、上記垂直仕分けコンベヤ30の受け渡し部31から受け渡された物品収納ケース10を、所定のオーダー情報に基づいて、第1及び第2の保管コンベヤ群21、22の各段の保管コンベヤ20の投入部21a、21b、22a、22bに投入するように構成されている。
【0026】
なお、上述した垂直仕分けコンベヤ30は、仕分け能力を向上させる観点から、走行仕分け部4の走行レーン40の端部ではなく、ほぼ中央部分付近に配置することが好ましい。
【0027】
一方、本実施の形態のケース取り出し装置5は、第1及び第2の保管コンベヤ群21、22の切り出し部21c、21d、22c、22dの近傍に設けられた第1及び第2のケース取り出し装置5A、5Bを有している。
【0028】
これら第1及び第2のケース取り出し装置5A、5Bは、各保管コンベヤ20に保管された物品収納ケース10を、第1及び第2の保管コンベヤ群21、22の切り出し部21c、21d、22c、22dから順次取り出して出庫コンベヤ7に出庫するように構成されている。
【0029】
図3は、本実施の形態の保管コンベヤ及び物品滞留防止装置の概略構成を示す斜視図、図4は、同物品滞留防止装置の動作を示す説明図である。
【0030】
図3に示すように、本実施の形態の保管コンベヤ20を構成するフローラック23は、下流先端部に固定ストッパ25を有する一対のフリーコンベヤ23(23a、23b)を有している。
【0031】
これら一対のフリーコンベヤ23a、23bは、物品収納ケース10の両側部をコンベヤローラ(物品搬送部分)24によって支持搬送するように所定の間隔をおいて配設されている。
【0032】
各フリーコンベヤ23a、23bは、例えばボルト(図示せず)を用いて支持フレーム上に取り付けられているが、本実施の形態の場合は、ボルトの締結に若干余裕を持たせ、これにより各フリーコンベヤ23a、23bが例えば上下方向に若干の可動域(例えば数mm程度)を有するように構成されている。
【0033】
図4及び図5に示すように、各フリーコンベヤ23a、23bの下方には、本実施の形態の物品滞留防止装置70が配設されている。
【0034】
この物品滞留防止装置70は、上下方向に回動するように取り付けられた棒状のストライカー(振動発生手段)71を有し、このストライカー71の側部を、図示しないアクチュエータによって駆動されるプッシャ72によってフリーコンベヤ23a、23bの例えば下面向って付勢するように構成されている。
【0035】
このような構成の下、本実施の形態においては、まず、入荷された物品について作業者がアイテム内容を確認した後、その物品を物品収納ケース10に例えば1個毎投入し、その後、物品収納ケース10のバーコードをバーコードリーダによって読み取らせ、各物品のアイテム情報とケースのID情報の関連付けを行う(図示せず)。
【0036】
そして、図1に示すように、各物品収納ケース10を、入庫コンベヤ6を介して縦型仕分け装置3の垂直仕分けコンベヤ30の投入手段37に搬送する。
【0037】
図4に示すように、投入コンベヤ38では、受け渡された各物品収納ケース10を、支持ブラケット36の上昇にタイミングを合わせて垂直仕分けコンベヤ30の支持ブラケット36に投入する。
【0038】
そして、昇降手段34を駆動して支持ブラケット36を上昇させることにより、物品収納ケース10を順次上方に搬送する。
【0039】
さらに、所定の仕分けデータに従い、押し出し手段39のプッシャ39aを支持ブラケット36の上昇にタイミングを合わせて動作させることにより、各支持ブラケット36上の物品収納ケース10を所定の段の受け渡し部31に仕分ける。
【0040】
受け渡し部31では、仕分けられた各物品収納ケース10を、ステーション32を介して対応する仕分け台車41に受け渡す。
【0041】
そして、仕分け台車41を、所定のオーダー情報に従い、レール40上を移動させ、例えば、各物品収納ケース10を所定の保管コンベヤ20に投入して入庫し、その後はオーダー単位で保管を行う。
【0042】
各保管コンベヤ20に保管された物品収納ケース10は、所定のシーケンスに従い、ケース切り出し装置5を介して順次出庫コンベヤ7に切り出す。
【0043】
一方、保管部2の保管コンベヤ20において物品収納ケース10の滞留が生じた場合には、図4(a)(b)に示すように、物品滞留防止装置70のアクチュエータを駆動することによってストライカー71をフリーコンベヤ23a、23bの下面に押し当てる。
【0044】
これにより、若干余裕を持って締結されたフリーコンベヤ23a、23bが上下方向に振動し、コンベヤローラ24に振動が与えられる結果、滞留している物品収納ケース10の自走が促されその搬送が開始するようになる。
【0045】
なお、本発明の場合、物品滞留防止装置を動作させるタイミングは特に限定されることなく、物品収納ケース10の滞留を認識した場合のみならず、例えば一定時間毎に動作させることも可能である。
【0046】
また、複数回連続してストライカー71をフリーコンベヤ23a、23bの下面に押し当てることも可能である。
【0047】
以上述べたように本実施の形態によれば、フリーコンベヤ23a、23bのコンベヤローラ24を振動させるためのストライカー71を備えたことから、人手に頼ることなく、またシステムの構成を変更することなく確実に物品の滞留を防止することができ、これにより取り出し装置の可動効率を向上させてシステムの効率的な運用を行うことができる。
【0048】
特に、本実施の形態の場合は、フリーコンベヤ23a、23bが若干の可動域を有するように組み付けられ、当該フリーコンベヤ23a、23bに対しその可動方向にてストライカー71を当接させてコンベヤローラ24に振動を与えるように構成されていることから、簡素な構成で効果的にコンベヤローラ24に振動を与えることができる。
【0049】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、上述の実施の形態では、各フリーコンベヤに物品滞留防止装置を設けるようにしたが、本発明はこれに限られず、所定のフリーコンベヤにのみ物品滞留防止装置を設けることも可能である。
【0050】
また、上記実施の形態ではフリーコンベヤに対しストライカーを当接させてコンベヤローラに振動を与えるようにしたが、例えばバイブレータ等によってフリーコンベヤのコンベヤローラに振動を与えることも可能である。
ただし、シンプル構造及び低コストのの観点からは、上述の実施の形態のように、フリーコンベヤに対しストライカーを当接させてコンベヤローラに振動を与えることが好ましい。
【0051】
また、本発明は、物品収納ケースのみならず種々の物品を保管・取り出す場合に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明を用いた仕分け設備の一例を示す斜視図である。
【図2】同仕分け設備の基本構成を示す平面図である。
【図3】本実施の形態の保管コンベヤ及び物品滞留防止装置の概略構成を示す斜視図である。
【図4】同物品滞留防止装置の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1…仕分け設備
2…保管部
3…縦型仕分け装置
4…走行仕分け部
5…ケース取り出し装置
10…物品収納ケース
20…保管コンベヤ
23(23a、23b)…フリーコンベヤ
24…コンベヤローラ
70…物品滞留防止装置
71…ストライカー
72…プッシャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保管するための傾斜させたフリーコンベヤを有し、当該フリーコンベヤの物品搬送部分を振動させるための振動発生手段を備えたことを特徴とする物品滞留防止装置。
【請求項2】
前記フリーコンベヤが若干の可動域を有するように組み付けられ、当該フリーコンベヤに対しその可動方向にてストライカーを当接させることにより物品搬送部分に振動を与えるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の物品滞留防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−103876(P2006−103876A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292575(P2004−292575)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(504045709)株式会社シーエックスカーゴ (5)
【出願人】(502380361)トーヨーカネツソリューションズ株式会社 (50)
【Fターム(参考)】