説明

物品管理方法

【課題】製品鋼板等の物品を倉庫内や工場内等で保管する際の管理を正確に行うことができる物品管理方法を提供する。
【解決手段】製品鋼板11毎に少なくとも当該製品鋼板11の重量を含む情報を記録したRFIDタグ12を添付するとともに、クレーン10にRFIDリーダー24を設置しておき、搬送指示に基づいて、製品鋼板11Aをクレーン10で置場に搬送したり、置場から搬送したりする際に、当該製品鋼板11Aに添付されているRFIDタグ12に記録された製品鋼板11Aの情報をRFIDリーダー24で読み取ることによって、当該製品鋼板11Aの搬送を認識する場合に、クレーン10に設置しておいた秤量機25による搬送製品鋼板11Aの重量測定結果とRFIDリーダー24で読み取った搬送製品鋼板11Aの重量情報とを照合することによって、搬送指示の整合性の確認を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品鋼板等の物品を倉庫内や工場内等で保管する際の物品管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製鉄所において製造された製品鋼板を倉庫に入庫する作業や倉庫から出庫する作業においては、クレーンのオペレータが倉庫管理コンピュータからの入庫指示に従って製品鋼板を倉庫内の所定の置場に搬入し、倉庫管理コンピュータからの出庫指示に従って製品鋼板を倉庫内の所定の置場から搬出する。その際、オペレータはクレーンに取り付けたリフマグにより1枚又は複数枚の製品鋼板を吸着させて搬送する(例えば、特許文献1参照)。そして、オペレータは製品鋼板の搬送が完了した時に、その搬送枚数を目視で確認して倉庫管理コンピュータに登録することにより、倉庫管理コンピュータ内の置場管理情報に反映される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−320844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような製品鋼板の管理方法は以下のような問題点がある。
【0005】
製品鋼板の搬送枚数の認識はオペレータの目視に頼らざるを得ないため、省力化が困難で、且つマニュアル作業であるため、搬送枚数の確認ミスや置場管理コンピュータへの登録ミスの懸念がある。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、製品鋼板等の物品を倉庫内や工場内等で保管する際の管理を正確に行うことができる物品管理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有している。
【0008】
[1]物品を倉庫内や工場内等で保管する際の物品管理方法であって、物品毎に少なくとも当該物品重量を含む物品情報を記録したRFIDタグを添付するとともに、クレーンにRFIDリーダーを設置しておき、搬送指示に基づき、一つ以上の物品をクレーンで置場に搬送したり、一つ以上の物品を置場から搬送したりする際に、当該物品に添付されているRFIDタグに記録された物品情報を前記RFIDリーダーで読み取ることによって、当該物品の搬送を認識する場合に、前記クレーンに搬送物品の重量を測定する秤量機を設置しておき、前記秤量機による搬送物品の重量測定結果と前記RFIDリーダーで読み取った搬送物品の重量情報とを照合することによって、搬送指示の整合性の確認を行うことを特徴とする物品管理方法。
【0009】
[2]クレーンに設置された秤量機による搬送物品の重量測定結果と、RFIDリーダーで読み取った搬送物品の重量との比較を行い、秤量機による搬送物品の重量とRFIDリーダーで読み取った搬送物品の重量が一致しない場合には、当該クレーンの運用を一時停止して、搬送物品の確認を行い、搬送指示の不整合を解消した後、当該クレーンの運用を再開することを特徴とする前記[1]に記載の物品管理方法。
【0010】
[3]RFIDタグに記録された物品情報に、搬送物品の実際の重量が、当該搬送物品に添付されているRFIDタグに記録されている重量情報と異なることを示す情報が含まれている場合には、前記重量情報を補正してから、搬送指示の整合性の確認を行うことを特徴とする前記[1]または[2]に記載の物品管理方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、製品鋼板等の物品を倉庫内や工場内等で保管する際の管理を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態における製品鋼板管理方法を示す立面図である。
【図2】本発明の一実施形態における製品鋼板管理方法のフロー図である。
【図3】本発明の一実施形態において搬送鋼板が耳付き鋼板である場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態について、製鉄所で製造された製品鋼板を倉庫内で保管する場合を例にして述べる。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態における倉庫内での製品鋼板管理方法を示す立面図である。図1に示すように、この実施形態においては、製鉄所で製造された製品鋼板11を倉庫10に入庫する場合は、クレーン21が倉庫管理コンピュータからの入庫指示に従って製品鋼板11を倉庫10内の所定の置場に搬入し、製品鋼板11を倉庫10から出庫する場合は、クレーン21が倉庫管理コンピュータからの出庫指示に従って製品鋼板11を倉庫10内の所定の置場から搬出する。
【0015】
その際に、この実施形態においては、製品鋼板11毎に製品情報(例えば、板番、規格、需要家、サイズ(厚さ、幅、長さ、質量)を収録したRFID(Radio Frequency IDentification)タグ12を添付するとともに、クレーン21の吊りビーム22にRFID(Radio Frequency IDentification)リーダー24を設置しておき、そのRFIDリーダー24で、搬送している製品鋼板(1枚又は複数)11Aの製品情報を読み取ることにより、製品鋼板11Aの搬送を倉庫管理コンピュータに認識させる。
【0016】
その場合に、クレーン21に搬送製品鋼板11Aの重量を測定する秤量機(ロードセル)25を設置しておき、秤量機25による当該製品鋼板11Aの重量測定結果と読み取ったRFIDタグ12に収録されている当該製品鋼板11Aの重量情報とを照合することによって、当該製品鋼板11Aが搬送すべき製品鋼板であることの整合性の確認を行う。
【0017】
その具体的な手順について、図2に示したフロー図を用いて説明する。
【0018】
(S1)クレーン21のリフマグ23に吸着させて製品鋼板11A(ここでは、3枚)を吊り上げる。
【0019】
(S2)そして、秤量機25で測定した3枚の製品鋼板11Aの合計重量である搬送物品の重量測定結果(実貫合計重量)と、製品鋼板11Aに添付されているRFIDタグ12から読み取った3枚の製品鋼板11Aの合計重量である搬送物品の重量(RFID合計重量)とを照合チェックする。
【0020】
(S3)その結果、実貫合計重量とRFID合計重量が一致している場合(OKの場合)は、そのまま操業を継続する。
【0021】
(S4)一方、実貫合計重量とRFID合計重量が一致していない場合(NGの場合)は、当該クレーン21の運用を一時停止する。そして、搬送中の製品鋼板11Aの確認を行い、不整合を発生させた原因を調査するとともに、当該製品鋼板11Aは保留扱いとする。原因が判明し、倉庫管理コンピュータ上での搬送指示である入庫指示および/または出庫指示の上記不整合の解消を確認した上で保留扱いを解除して、当該クレーン21の運用を再開する。
【0022】
ここで、実貫合計重量とRFID合計重量が一致しているか否かの判断は、秤量機の測定誤差等を考慮して、ある閾値を設定し、その閾値以上の差が生じた場合に一致していないと判断するようにしてもよい。
【0023】
これらに基づいて、倉庫管理コンピュータは、読み取ったRFIDタグ12から得られるどのような製品鋼板11Aを搬送したかという情報(搬送製品鋼板情報)と、どの位置にどのような製品鋼板11があるのかという情報(置場情報)とを照合して、正確な置場情報を維持する。
【0024】
これにより、この実施形態においては、上記(S4)の作業以外はクレーンオペレータが介入すること無く、正確な置場情報を維持することが可能となる。その結果、製品鋼板の搬送枚数の確認ミスや誤出庫等を完全に防止することができる。また、製品鋼板の搬送枚数をクレーンオペレータの目視に頼らず認識できるため、クレーンオペレータの省力化が可能となる。
【0025】
なお、上記において、クレーン21が複数の製品鋼板11Aを同時に搬送する場合には、1基のRFIDリーダー24で、搬送中の複数の製品鋼板11Aに設置したRFIDタグ12に記録された物品情報を読み取る。そして、読み取った複数の製品鋼板11A毎の物品重量を合計して搬送物品の重量として、秤量機25による搬送物品の重量測定結果と比較する。
【0026】
ちなみに、上記においては、クレーン21で搬送する鋼板(搬送対象鋼板)は、製品寸法に切断されて矩形になった製品鋼板11Aであったが、場合によっては、搬送対象鋼板が、図3に示すような、製品寸法に切断されていない耳付鋼板15(矩形部(製品部)15a、耳部15b)であることもある。
【0027】
このように、搬送対象鋼板が耳付鋼板15である場合、RFIDタグ12に収録されている当該耳付鋼板15の重量情報は、矩形部(製品部)15aのみの重量であり、耳部15bの重量は含まれていない。そのため、前記(S2)において、秤量機25で測定した実貫合計重量とRFIDタグ12から読み取ったRFID合計重量とを照合チェックした際に、耳部15bの重量分が差異となって、照合チェックNGとなり、クレーン21の運用の一時停止(操業停止)となる可能性が高まる。
【0028】
そこで、その問題に対応するために、搬送対象鋼板が耳付鋼板15である場合は、耳付鋼板15のRFIDタグ12に収録されている重量(オーダー重量)を下記の補正重量に補正した上で、前記(S2)における照合チェックを実施する。ここで、搬送対象鋼板が、前述の製品鋼板11Aであるか耳付鋼板15であるかの情報は、規格情報としてRFIDタグ12に収録されている。
【0029】
(a)幅方向で1枚の製品を取る場合、つまり、矩形部15aの幅方向両側に耳部15bがある場合
補正重量=オーダー重量+{(圧延幅−製品幅)×製品厚×製品長×比重×形状補正係数}
(b)幅方向で2枚の製品を取る場合、つまり、矩形部15aの幅方向片側にのみ耳部15bがある場合(上記(a)を長手方向に2分割した場合)
補正重量=オーダー重量+{(圧延幅−当該鋼板製品幅−対向鋼板製品幅)/2×製品厚×製品長×比重×形状補正係数}
ここで、
圧延幅:最終パスサイドガイド測定値
形状補正係数:下表1に示す当該耳付鋼板の圧延条件(幅出比)別に設定する係数
【0030】
【表1】

【0031】
これによって、前記(S2)における照合チェックの際の重量データの精度が向上する。その結果、照合チェックにおけるNG率が削減されて、クレーン稼働率向上やオペレータ負荷軽減を図ることができる。
【0032】
例えば、厚板工場において、製品倉庫の製品搬送用クレーン10基に本発明を適用した結果、クレーンの稼動率が従来の85%から90%に向上した。
【符号の説明】
【0033】
10 倉庫
11 製品鋼板
11A 搬送する製品鋼板(搬送製品鋼板)
12 RFIDタグ
15 耳付鋼板
15a 矩形部(製品部)
15b 耳部
21 クレーン
22 吊りビーム
23 リフマグ
24 RFIDリーダー
25 秤量機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を倉庫内や工場内等で保管する際の物品管理方法であって、物品毎に少なくとも当該物品重量を含む物品情報を記録したRFIDタグを添付するとともに、クレーンにRFIDリーダーを設置しておき、搬送指示に基づき、一つ以上の物品をクレーンで置場に搬送したり、一つ以上の物品を置場から搬送したりする際に、当該物品に添付されているRFIDタグに記録された物品情報を前記RFIDリーダーで読み取ることによって、当該物品の搬送を認識する場合に、前記クレーンに搬送物品の重量を測定する秤量機を設置しておき、前記秤量機による搬送物品の重量測定結果と前記RFIDリーダーで読み取った搬送物品の重量情報とを照合することによって、搬送指示の整合性の確認を行うことを特徴とする物品管理方法。
【請求項2】
クレーンに設置された秤量機による搬送物品の重量測定結果と、RFIDリーダーで読み取った搬送物品の重量との比較を行い、秤量機による搬送物品の重量とRFIDリーダーで読み取った搬送物品の重量が一致しない場合には、当該クレーンの運用を一時停止して、搬送物品の確認を行い、搬送指示の不整合を解消した後、当該クレーンの運用を再開することを特徴とする請求項1に記載の物品管理方法。
【請求項3】
RFIDタグに記録された物品情報に、搬送物品の実際の重量が、当該搬送物品に添付されているRFIDタグに記録されている重量情報と異なることを示す情報が含まれている場合には、前記重量情報を補正してから、搬送指示の整合性の確認を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の物品管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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