説明

物品管理装置、物品運搬装置、物品処理システム及び方法

【課題】 所定の領域(例えば、カートにおける籠の中)にある物品を管理する精度を向上させる。
【解決手段】 本発明は、所定の領域内の物品を管理する物品管理装置に関する。そして、本発明の物品管理装置は、上記領域に入る物品及び上記領域から出る物品を撮影して、撮影画像データを取得する撮影手段と、物品ごとの画像に係る物品画像情報を保持する物品画像情報保持手段と、少なくとも撮影手段が取得した撮影画像データと、物品画像情報保持手段が保持している情報とを利用して、上記領域内の物品を管理する物品管理手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品管理装置、物品運搬装置、物品処理システム及び方法に関し、例えば、店舗等における商品の精算処理に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗等でセルフチェックする際には、セルフチェック可能なレジがある場所で、商品を1つ1つ読取装置にて確認してから金額を精算していたが、セルフチェックする際には購入者が自分で作業するので不慣れなため、1人分の処理時間が長くなってしまい、逆にレジでの効率が悪くなってしまうといった問題点があった。
【0003】
このような問題点を解決するために、特許文献1に記載されたカートや、特許文献2に記載されたシステムにおけるカートがある。
【0004】
特許文献1、2に記載されたカートでは、カートの籠に顧客が商品を入れる際には、カートに搭載されたバーコード読取り装置にバーコードを読取らせ、さらに、籠の中の商品の変動を電子秤により検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−298216号公報
【特許文献2】特開H07−73380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載のカートでは、顧客の操作に応じて読込まれたバーコードからの情報や、商品の重さだけで、カートの籠内の商品を管理しているため、野菜等重さに個体差がある商品や、紙等の極端に軽い商品、同じ重量でも種類の異なる食品の管理が困難であるという問題がある。
【0007】
そのため、所定の領域(例えば、カートにおける籠の中)にある物品を管理する精度を向上させることができる物品管理装置、物品運搬装置、物品処理システム及び方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明の物品管理装置は、(1)所定の領域内の物品を管理する物品管理装置において、(2)上記領域に入る物品及び上記領域から出る物品を撮影して、撮影画像データを取得する撮影手段と、(3)物品ごとの画像に係る物品画像情報を保持する物品画像情報保持手段と、(4)少なくとも上記撮影手段が取得した撮影画像データと、上記物品画像情報保持手段が保持している情報とを利用して、上記領域内の物品を管理する物品管理手段とを有することを特徴とする。
【0009】
第2の本発明の物品運搬装置は、(1)物品を収容する物品収容部と、上記物品収容部内の物品を管理する物品管理装置とを有する物品運搬装置において、(2)上記物品管理装置として第1の本発明の物品管理装置を適用したことを特徴とする。
【0010】
第3の本発明の物品処理システムは、(1)物品を収容する物品収容部と、上記物品収容部内の物品を管理する物品管理装置とを有する物品運搬装置と、上記物品運搬装置から上記収容物品の一覧が与えられると、上記収容物品に係る所定の処理を行う物品処理手段を有する物品処理装置とを備える物品処理システムにおいて、(2)上記物品管理装置として第1の本発明の物品管理装置を適用したことを特徴とする。
【0011】
第4の本発明の物品処理方法は、(1) 物品を収容する物品収容部と、上記物品収容部内の物品を管理する物品管理装置とを有する物品運搬装置と、上記物品運搬装置から上記収容物品の一覧が与えられると、上記収容物品に係る所定の処理を行う物品処理手段を有する物品処理装置とを備える物品処理システムにおける物品処理方法において、(2)撮影手段、物品画像情報保持手段、物品管理手段を有し、(3)上記撮影手段は、上記領域に入る物品及び上記領域から出る物品を撮影して、撮影画像データを取得し、(4)上記物品画像情報保持手段は、物品ごとの画像に係る物品画像情報を保持し、(5)上記物品管理手段は、少なくとも上記撮影手段が取得した撮影画像データと、上記物品画像情報保持手段が保持している情報とに基づいて、上記領域内の物品を管理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所定の領域(例えば、カートにおける籠の中)にある物品を管理する精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係るカート(物品運搬装置)に搭載された物品管理装置40の機能的構成を示したブロック図である。
【図2】実施形態に係る商品精算処理システム(物品処理システム)の例について示した説明図である。
【図3】実施形態に係る管理商品リストの内容の例について示した説明図である。
【図4】実施形態に係る出力部(ディスプレイ)における出力内容の例について示した説明図である。
【図5】実施形態に係る物品管理装置において、籠に商品が追加される際の動作について説明したフローチャートである。
【図6】実施形態に係る物品管理装置において、籠に商品が追加される様子について示した説明図である。
【図7】実施形態に係る物品管理装置において、籠から商品が取出される際の動作について説明したフローチャートである。
【図8】実施形態に係る物品管理装置において、籠から商品が取出される様子について示した説明図である。
【図9】実施形態に係る物品管理装置において、精算用ゲートとの間で行われる精算処理に係る動作について説明したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による物品管理装置、物品運搬装置、物品処理システム及び方法の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、この実施形態における物品運搬装置はカート、物品処理システム及び方法は、商品精算処理システム及び方法である。
【0015】
(A−1)実施形態の構成
図2は、この実施形態の商品精算処理システム1の例について示した説明図である。
【0016】
商品精算処理システム1には、図2に示すように、少なくとも、カート10及び精算用ゲート50を有している。カート10は、スーパーマーケットや量販店などの小売店で、購入する商品を顧客が運搬するのに用いるカート(ショッピングカート)であるものとして説明する。
【0017】
精算用ゲート50は、顧客がカート10に入った商品を精算するための装置である。
【0018】
図1は、この実施形態のカート10に搭載された物品管理装置40の機能的構成を示したブロック図である。
【0019】
図2に示すように、カート10は、籠20、台車30を有しており、さらに、図1に示す物品管理装置40を有している。
【0020】
籠20及び台車30は、既存のスーパーマーケットや量販店などの小売店で用いられるショッピングカートにおける籠(バスケット)、台車(カート)を用いるようにしても良い。
【0021】
なお、図1において、籠20には、4つの商品100(100−1〜100−4)が既に入っている状態を示しているが、籠20に入れられる商品100の数は限定されないものである。
【0022】
物品管理装置40は、籠20に投入される商品に係る管理を行うものであり、制御部41、通信部42、カメラ43、計量センサ44、画像解析部45、商品情報DB46、出力部47を有している。
【0023】
通信部42は、制御部41の制御に応じて、外部装置(例えば、精算用ゲート50等)と通信する機能を担っている。通信部42と外部装置との通信は、無線通信、Bluetooth(登録商標)やIrDA(Infrared Data Association)等を利用した近距離通信を用いるようにしても良いが、通信方式は限定されないものである。
【0024】
商品情報DB46は、管理対象となる可能性のある商品100(例えば、カート10を使用する店舗で販売している商品100)ごとに、識別情報、重量、値段、名称などの関連情報(以下、「商品関連情報」という)登録しているデータベースである。図1においては、商品情報DB46は、物品管理装置40の内部に搭載されている構成について示しているが、物品管理装置40の外部にデータベースサーバとして配置して通信により接続するようにしても良い。また、商品情報DB46には、商品関連情報として商品100の外観の画像に係る情報(以下、「商品画像情報」という)も登録されているものとする。商品画像情報の詳細について後述する。
【0025】
計量センサ44は、籠20の重量(入っている商品100も含む)を計量し、その計量結果を、制御部41に通知するものである。計量センサ44は、定期又は不定期の間隔で籠20の重量を計測してその計測結果を、制御部41に通知するようにしても良いし、籠20の重量に所定以上の変動が発生した場合にのみ籠20の重量を通知するようにしても良く、通知するタイミングは限定されないものである。なお、計量センサ44が制御部41に通知する計量結果は、上述のように、籠20の重量を含んだ重量であっても良いし、籠20の重量を予め減算した重量であっても良い。また、計量センサ44としては、既存の計量センサを適用することができる。
【0026】
図2において、カメラ43は、籠20を出入りする商品100を撮影できるように、籠20の入り口部分を撮影するように配置されており、撮影した画像を定期又は不定期の間隔で、画像解析部45に与える。カメラ43自体は、既存のCCDカメラなどのカメラを適用するようにしても良い。なお、図1、図2においては、カメラ43は、一つとして記載しているが複数配置するようにしても良い。
【0027】
画像解析部45は、カメラ43から与えられた画像において、例えば、バーコード等の少なくとも商品100に係る識別情報(以下、「商品識別情報」という)が表示された媒体が近づけられた画像が与えられると、その商品識別情報を読取って、制御部41に通知する。商品識別情報が表示された媒体としては、例えば、商品100に貼り付けられたバーコードや文字情報などの媒体が挙げられるが、この実施形態においては、商品識別情報が表示された媒体はバーコードであるものとして説明する。
【0028】
画像解析部45において、商品100に付けられたバーコード等の媒体の情報を読取る方法としては、既存のバーコードリーダやOCR(Optical Character Reader)などにおける画像解析と同じものを適用することができる。
【0029】
また、画像解析部45は、カメラ43から、籠20に入れられる商品100、又は、取出される商品100を撮影した画像が与えられると、形状や色に基づいて、その商品100の識別を行い、その処理結果を、制御部41に通知する。
【0030】
画像解析部45は、カメラ43が撮影した商品100の画像と、管理商品リスト41a又は商品情報DB46に保持された商品画像情報とをマッチングすることにより、カメラ43が撮影した商品100を特定する。
【0031】
管理商品リスト41a又は商品情報DB46に登録される商品画像情報としては、例えば、商品100を様々な角度から撮影した画像や、その画像を加工した情報(例えば、色、大きさ等の特徴量)が挙げられる。
【0032】
また、商品情報DB46において、例えば、商品画像情報を、商品100の色や大きさ等の特徴に基づいて分類して検索できるように保存しておくようにしても良い。そして、カメラ43が撮影した商品100の画像から、色や大きさ等の特徴量を抽出し、撮影画像の特徴と近い特徴を有する商品画像情報を候補として抽出し、その候補の商品画像情報と撮影画像をマッチングすることにより、商品100を特定するようにしても良い。このように、商品情報DB46において、予め商品画像情報を、特徴に基づいて分類しておくことにより、検索速度を向上させることができる。
【0033】
なお、画像解析部45における、商品100を特定する画像解析手段としては、上述の例以外にも、既存の方法や装置(例えば、特開平07−287753号公報に記載の物品識別システム)を適用するようにしても良く、具体的な手段は限定されないものである。
【0034】
なお、物品管理装置40においては、商品100のバーコード(識別情報)の読取りと、籠20内の商品100の外観を撮影とを一つのカメラ43で兼用しているが、バーコードの読取りと籠20内の撮影を別々のカメラやスキャナを用いるようにしても良い。
【0035】
制御部41は、物品管理装置40の各部の動作を制御する機能を担っている。また、制御部41では、画像解析部45及び計量センサ44から与えられる情報に基づいて、籠20に入っている商品100を管理する機能も担っており、管理商品記憶部41aを有している。
【0036】
管理商品リスト41aには、物品管理装置40において管理対象となる商品100のリストが記憶されており、制御部41は、この管理商品リスト41aを用いて、籠20内の商品100を管理する。管理商品リスト41aには、例えば、商品100に係る上述の識別情報の一覧が登録されているものとする。また、管理商品リスト41aにおいて、管理対象の商品100について、識別情報と共に、その商品100の重量、値段、名称などの関連情報(以下、「商品関連情報」という)を登録するようにしても良い。
【0037】
図3は、管理商品リスト41aの内容の例について示した説明図である。
【0038】
管理商品リスト41aには、図3に示すように、例えば、商品の識別情報や、重量、価格、商品画像情報等が記憶されている。図3においては説明を簡易にするために商品画像情報の内容として「X」、「Y」、「Z」などの表記をしているが、実際には、商品画像情報そのものを登録したり、対応する商品画像情報へのリンク情報が登録したりするようにしても良く、管理商品リスト41aにおいて商品画像情報を登録する態様は限定されないものである。
【0039】
制御部41は、管理商品リスト41aの内容を管理する。そして、この実施形態において、制御部41は、管理対象となる商品100に係る商品関連情報について、画像解析部45から与えられるバーコードの読取り結果(商品100の識別情報)をキーとして、商品情報DB46に記憶されている情報から検索して保持するものとする。なお、管理対象となる商品100に係る商品関連情報について、商品画像情報をキーとして検索するようにしても良い。すなわち、画像解析部45によって、カメラ43が撮影した商品100の画像から、色や大きさ等の特徴量を抽出し、撮影画像の特徴と近い特徴を有する商品画像情報を商品情報DB46から検索するようにしても良い。
【0040】
制御部41は、画像解析部45及び計量センサ44からの通知内容に応じて、管理商品リスト41aの内容を更新する。制御部41における、籠20内の商品100の管理方法の詳細については後述する動作説明において説明する。
【0041】
出力部47は、物品管理装置40における管理状況に係る情報を出力する機能を担っており、主に顧客に対して、現在籠20に入っている(と管理されている)商品100に関する情報を出力するものである。出力部47における出力は、例えば、ディスプレイ等の表示装置に表示出力させたり、ディスク装置等の記憶装置に記憶させたり、プリンタ等の印刷装置に印刷出力させたりする構成としてもよく、その出力方法は問われないものであるが、この実施形態においては、出力部47は、ディスプレイ47aを備え、現在の物品管理装置40における管理状況に係る情報を表示するものとして説明する。
【0042】
図4は、出力部47(ディスプレイ47a)における出力内容の例について示した説明図である。
【0043】
ディスプレイ47aには、図4に示すように、籠20に入れた商品100の情報(価格や詳細情報など)を表示するようにしても良い。また、ディスプレイ47aには、その他に、籠20に入れた商品100のリストや合計金額などを表示するようにしても良いし、タッチパネル等の入力手段を別途備えて、メニュー操作により顧客が見たい情報を表示するようにしても良い。
【0044】
図2に示すように、物品管理装置40を搭載したカート10の籠20に入った商品100に関する精算処理は、精算用ゲート50により行われる。
【0045】
精算用ゲート50は、カート10の籠20に入っている商品100に係る精算処理を行うもの(例えば、いわゆるセルフレジ装置の機能を担っているもの)であり、物品管理装置40と通信するための通信部51を有している。
【0046】
既存のセルフレジ装置では、通常例えば、顧客が商品に付けられたバーコードやICタグに記録された情報をセルフレジに読込ませて、購入商品をセルフレジ装置に認識させるが、本発明における精算用ゲート50では、物品管理装置40から管理対象となっている商品100の一覧の情報を受信して、顧客の購入しようとする商品100を認識する。なお、精算用ゲート50としては、例えば、特許文献2に記載されている「精算装置」を適用することができる。なお、精算用ゲート50は、図示しないホスト装置との間のトランザクション処理なども用いて精算処理を行うようにしても良い。
【0047】
物品管理装置40では、管理商品リスト41aにより、籠20に入っている商品の一覧を保持しているので、管理商品リスト41aが保持している情報を、通信部42により、精算用ゲート50(通信部51)に送信することにより、精算用ゲート50との間で精算に係る処理を行う。そして、顧客が、精算用ゲート50に対して、代金を投入することにより、精算が行われる。
【0048】
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態の商品精算処理システム1の動作(実施形態の商品精算処理方法(物品処理方法))を説明する。
【0049】
(A−2−1)商品追加の動作
ここでは、まず、物品管理装置40において、籠20に商品100が追加される動作について説明する。
【0050】
図5は、籠20に商品100が追加される際の物品管理装置40の動作について説明したフローチャートである。
【0051】
図6は、籠20に商品100が追加される様子について示した説明図である。
【0052】
ここでは、図6に示すように、2つの商品100−1、100−2が籠20に入っており、管理商品リスト41aでも2つの商品100−1、100−2が管理対象の商品100として登録されている状態において、商品100−3が追加される動作を例として説明する。
【0053】
まず、商品100−3に付けられているバーコードが、顧客により、カメラ43に向けられ、画像解析部45によりそのバーコードから識別情報が読取られたものとする(S101)。
【0054】
画像解析部45においてバーコードの識別情報が読取られると、制御部41では、その識別情報をキーとして、商品情報DB46から商品100−3の商品関連情報を保持する(S102)。
【0055】
そして、顧客により、商品100−3が、籠20に入れられると、追加された商品100(商品100−3)の画像がカメラ43により撮影され、さらに、計量センサ44が検知した重量の変更に基づいて、追加された商品100(商品100−3)の重量が検知される(S103)。
【0056】
次に、制御部41では、上述のステップS103において追加を検知した商品100が、上述のステップS102においてバーコードの識別情報を読取った商品100(すなわち、商品100−3)と一致する商品100であるか否かが、商品100−3の商品関連情報との比較に基づいて判定され(S104)一致する商品100と判定された場合には、後述するステップS105から動作し、一致しないと判定された場合には、後述するステップS106から動作する。
【0057】
ここでは、籠20に入れられた商品100は商品100−3であるため、上述のステップS104において、制御部41では、一致する商品100と判定されるため、正しい商品100が籠20に追加されたものとして、管理商品リスト41aに商品100−3の情報が追加登録されて(S105)商品追加の動作が終了する。
【0058】
一方、上述のステップS105において、籠20に入れられた商品100が商品100−3でないと判定された場合(例えば、顧客がバーコードの読み取りを行った商品100とは違う商品100を不正に入れた場合)には、一致しないと判定され、出力部47により、顧客に対して警告が出力(例えば、エラーメッセージの音声出力や、ディスプレイへの出力)される(S106)。
【0059】
上述のステップS104において、籠20に入れられた商品100が商品100−3でないと判定された場合には、例えば、一致しないと判定された追加した商品100が除去されるまで出力部47により、顧客に警告を出し続け、商品除去を検知した後に、上述のステップS103から動作するものとしても良いが、その他にも、顧客に籠20の中の商品100を全て除去させた後に、顧客に正規の手順(上述のステップS101〜S105の動作)により、一つずつ商品100を追加させるようにしても良い。
【0060】
(A−2−2)商品取出しの動作
次に、物品管理装置40において、籠20から商品100が取出される動作について説明する。
【0061】
図7は、籠20に商品100から商品100が取出される際の物品管理装置40の動作について説明したフローチャートである。
【0062】
図8は、籠20から商品100が取出される様子について示した説明図である。
【0063】
ここでは、図8に示すように、2つの商品100−1、100−2が籠20に入っており、管理商品リスト41aでも2つの商品100−1、100−2が管理対象の商品100として登録されている状態において、商品100−2が取出される場合の動作を例として説明する。
【0064】
顧客により、商品100−2が、籠20から取出されると、取出された商品100(商品100−2)の画像がカメラ43により撮影され、さらに、計量センサ44が検知した重量の変化により、取出された商品100(商品100−2)の重量が検知される(S201)。
【0065】
次に、取出された商品100(商品100−2)に付けられているバーコードが、顧客によりカメラ43に向けられ、画像解析部45によりそのバーコードから識別情報が読取られたものとする(S202)。
【0066】
次に、制御部41では、上述のステップS201において取出しを検知した商品100が、管理商品リスト41aにおいて管理対象となっている商品100であり、かつ、上述のステップS202においてバーコードの識別情報を読取った商品100(すなわち、商品100−2)と一致する商品100であり、正しい商品100の取出しであるか否かが、商品100−2の商品関連情報との比較に基づいて判定され(S203)正しい商品100の取出しと判定された場合には、後述するステップS204から動作し、正しい商品100の取出しでないと判定された場合には、後述するステップS205から動作する。
【0067】
ここでは、籠20から取出された商品100は商品100−2であるため、上述のステップS203において、制御部41では、正しい商品100の取出しであると判定されるため、管理商品リスト41aから商品100−2の情報が削除されて(S204)商品取出しの動作が終了する。
【0068】
一方、上述のステップS203において、籠20から取出された商品100とは異なる商品100のバーコードが読み取られたと判定した場合(例えば、顧客が取出した商品100とは異なる商品100のバーコードの読み取りを行った場合)には、正しい商品100の取出しでないと判定され、出力部47により、顧客に対して警告が出力(例えば、エラーメッセージの音声出力や、ディスプレイへの出力)される(S205)。
【0069】
そして、上述のステップS204において、正しい商品100の取出しでないと判定された場合には、例えば、図5に示すように、上述のステップS202の処理に戻って動作するようにしても良い。
【0070】
(A−2−3)精算処理の動作
次に、物品管理装置40を搭載したカート10において、精算用ゲート50との間で行われる、籠20に入った商品100の精算処理に係る動作について説明する。
【0071】
図9は、物品管理装置40と精算用ゲート50との間で行われる精算処理に係る動作について説明したフローチャートである。
【0072】
物品管理装置40と精算用ゲート50との間で精算処理が開始され、図9のフローチャートに示す処理が開始される契機は限定されないものであるが、例えば、物品管理装置40が精算用ゲート50と通信可能な範囲に入った場合や、物品管理装置40が所定の領域内(例えば、ゲートの開閉機前の領域に入った)に入った場合等、限定されないものである。物品管理装置40と精算用ゲート50との間の通信が、例えば、IrDAやBluetooth等、狭い範囲でしか通信できない方式が採用している場合には、物品管理装置40が精算用ゲート50と通信可能な範囲に入った場合に精算処理を開始するようにしても、他の装置との混同を軽減することができる。
【0073】
物品管理装置40と精算用ゲート50との間で精算処理が開始されると、物品管理装置40は、管理商品リスト41aが保持している情報を集計して精算用ゲート50に送信するデータを作成し(S301)、その作成したデータを精算用ゲート50に送信する(S302)ことにより、精算用ゲート50側では、籠20に入った商品100が把握される。
【0074】
そして、顧客が、精算用ゲート50に対して、代金を投入するなどの会計処理が完了すると(S303)精算処理が完了し、籠20に入った商品は顧客により購入済の商品となる。
【0075】
(A−3)実施形態の効果
物品管理装置40では、画像解析部45を用いて、商品100の外観を撮影した画像を利用して、籠20内の商品100を管理しているため、野菜等重さに個体差がある商品や、紙等の極端に軽い商品、同じ重量でも種類の異なる食品の管理も行うことができ、籠20内の商品100を管理する精度を向上させることができる。
【0076】
また、出力部47では、籠20内の商品100の情報を出力したり、不正に籠20に入れた商品があった場合に警告(例えば、上述の図5におけるステップS106を参照)することにより、購入者に価格や商品情報を伝えることができると共に、誤って商品をかごに入れたり、意図して不正をしようとする行為を防止することができる。
【0077】
さらに、物品管理装置40が管理している籠20内の商品100の情報(管理商品リスト41aの情報)を精算用ゲート50に送信することにより、顧客が精算時に商品を再度かごから出すことなく短時間で代金支払いを終えることが出来、代金支払い時の時間を短縮することができる。
【0078】
さらにまた、物品管理装置40では、画像解析部45に加えて計量センサ44を搭載することにより、籠20内の商品100の重量の変動も監視しているので、例えば、籠20内で複数の商品100が重なった状態でカメラ43からは一つの商品にしか見られない場合や、顧客がカメラ43から隠して商品100を籠20に投入しようとした場合等でも、籠20内の商品100の内容を監視することができるので、物品管理装置40における籠20内の商品100を管理する精度を向上させることができる。
【0079】
また、上述の図5におけるステップS101に示すように、顧客に籠20に商品を出し入れする際に、その商品100のバーコードを物品管理装置40に読込ませる操作をさせているため、画像解析部45は、バーコードを読込んだ商品100に対応する商品画像情報と、カメラ43が撮影した画像とのマッチングを行うだけでも、籠20内の商品100を管理することができるので、商品情報DB46に登録されている全ての商品画像情報から検索しなくても良く、画像解析部45における処理量を低減することができる。
【0080】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0081】
(B−1)上記の実施形態では、カート10には自走装置(電気モータ等の駆動装置)を備えていないが、自走装置を備えることで、顧客の負担を減らすことができる。
【0082】
(B−2)上記の実施形態では、顧客が精算用ゲート50に代金を投入等することにより精算していたが、例えば、ETC(Electronic Toll Collection system)のようにカート10にカードリーダを搭載して、通信により代金支払い処理が可能なカードを挿入しておくことで、代金支払い時にカートが精算用ゲート50を通るだけで自動的に代金が支払われるようにするようにしても良い。
【0083】
(B−3)上記の実施形態においては、本発明の物品管理システムを商品精算処理システムに適用した例について説明したが、本発明の物品処理システムにおいて処理対象となる物品、及び、本発明の物品管理装置において管理対象となる物品は、店舗等における商品だけでなく、例えば、図書館における貸し出し用の書籍等他の物品であっても良い。管理・処理対象の物品が、例えば、図書館における貸出用の書籍である場合には、本発明の物品処理システムでは、その書籍(物品)に係る処理は、「貸出処理」(例えば、ユーザ(利用者)に貸出の許可を行う手続き)に置き換わることになる。このように、本発明の物品処理システムにおいて処理対象となる物品、及び、本発明の物品管理装置において管理対象となる物品や、物品の処理内容は限定されないものである。
【0084】
(B−4)上記の実施形態においては、本発明の物品運搬装置をカートに適用した例について説明したが、カート以外の物品を運搬する装置に適用するようにしても良い。例えば、単に籠に本発明の物品管理装置を搭載して、本発明の物品運搬装置を構築するようにしても良い。
【0085】
(B−5)上記の実施形態において、物品管理装置40では、籠20に商品を出し入れする商品100のバーコードの読取り操作を顧客にさせていたが、この工程を省略して、画像解析部45による商品100の外観(バーコードは商品100に付けられていなくても良い)の解析結果と、計量センサ44の測定結果とに基づいて、籠20内の商品100の管理を行うようにしても良い。
【0086】
例えば、ある商品100がカメラ43により撮影された後に、計量センサ44が測定する重量が増えた場合には、その商品100は籠20に入れられた商品と判別し、計量センサ44が測定する重量が減ってからカメラ43により撮影された商品100は、籠20から取出された商品と判別するようにしても良い。その際に、画像解析部45の解析結果と、出し入れされた商品100の重量とを照合することにより、物品管理装置40において、籠20内の商品100を管理する精度を向上させるようにしても良い。
【0087】
物品管理装置40において、籠20に商品を出し入れする際に、商品100のバーコードの読取りを省略することにより、顧客への操作負担を低減したり、バーコードが付いていない商品の管理もすることができる等の効果を奏する。
【0088】
(B−6)物品管理装置40において、計量センサ44を省略するようにしても良いし、計量センサ44に加えて商品100のバーコードの読取りも省略するようにしても良い。すなわち、物品管理装置40では、少なくとも画像解析部45による商品100の外観の解析結果を用いて、籠20内の商品100の管理を行うようにしても良い。
【0089】
例えば、画像解析部45において、撮影画像から商品100を検知すると共に、商品100の移動する方向も検知する手段も備え、図6に示すように上方向から籠20の方向に商品100が移動した場合には、その商品100は籠20に入った商品とみなし、図8に示すように、籠20の方向から上方向に商品100が移動した場合には、商品100は籠20から取出された商品とみなす用にしても良い。
【0090】
画像解析部45において、撮影画像から、商品100の移動する方向も検知する手段としては、例えば、撮影画像から検知した商品100の位置を定期的に監視し、その位置の履歴から商品100の移動する方向を検知するようにしても良い。
【符号の説明】
【0091】
10…カート、20…籠、30…台車、40…物品管理装置、41…制御部、41a…管理商品リスト、42…通信部、43…カメラ、44…計量センサ、45…画像解析部、46…商品情報DB、47…出力部、47a…ディスプレイ、50…精算用ゲート、51…通信部、100、100−1〜100−4…商品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域内の物品を管理する物品管理装置において、
上記領域に入る物品及び上記領域から出る物品を撮影して、撮影画像データを取得する撮影手段と、
物品ごとの画像に係る物品画像情報を保持する物品画像情報保持手段と、
少なくとも上記撮影手段が取得した撮影画像データと、上記物品画像情報保持手段が保持している情報とを利用して、上記領域内の物品を管理する物品管理手段と
を有することを特徴とする物品管理装置。
【請求項2】
上記領域内の全ての物品の合計重量を検知する重量検知手段をさらに有し、
上記物品管理手段は、上記重量検知手段が検知した合計重量をさらに利用して、上記領域内の物品を管理することを特徴とする
請求項1に記載の物品管理装置。
【請求項3】
物品を収容する物品収容部と、上記物品収容部内の物品を管理する物品管理装置とを有する物品運搬装置において、
上記物品管理装置として請求項1又は2に記載の物品管理装置を適用したこと
を特徴とする物品運搬装置。
【請求項4】
物品を収容する物品収容部と、上記物品収容部内の物品を管理する物品管理装置とを有する物品運搬装置と、上記物品運搬装置から上記収容物品の一覧が与えられると、上記収容物品に係る所定の処理を行う物品処理手段を有する物品処理装置とを備える物品処理システムにおいて、
上記物品管理装置として請求項1又は2に記載の物品管理装置を適用したこと
を特徴とする物品処理システム。
【請求項5】
物品を収容する物品収容部と、上記物品収容部内の物品を管理する物品管理装置とを有する物品運搬装置と、上記物品運搬装置から上記収容物品の一覧が与えられると、上記収容物品に係る所定の処理を行う物品処理手段を有する物品処理装置とを備える物品処理システムにおける物品処理方法において、
撮影手段、物品画像情報保持手段、物品管理手段を有し、
上記撮影手段は、上記領域に入る物品及び上記領域から出る物品を撮影して、撮影画像データを取得し、
上記物品画像情報保持手段は、物品ごとの画像に係る物品画像情報を保持し、
上記物品管理手段は、少なくとも上記撮影手段が取得した撮影画像データと、上記物品画像情報保持手段が保持している情報とに基づいて、上記領域内の物品を管理する
ことを特徴とする物品処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−280468(P2010−280468A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134203(P2009−134203)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】