説明

物流管理システム及び情報記録消去装置

【課題】リライタブル表示媒体を物品に添付するタグとして用いる際に、複数の性質の異なるリライタブル表示媒体を、使用環境に応じて使い分ける物流管理システム及び情報記録消去装置を提供すること。
【解決手段】 管理サーバと接続され、前記管理サーバから前記物流情報を受信する通信手段と、当該工程と当該工程の次の工程との間の工程間環境、及び/又は、当該工程の次の工程の工程内環境に基づいて、互いに性質の異なる複数の可逆性表示記録媒体のうち、一の性質の可逆性表示記録媒体を選択する媒体選択手段と、前記媒体選択手段により選択された可逆性表示記録媒体に可視的に記録された情報を消去する消去手段と、前記消去手段により可視的に記録された情報が消去された可逆性表示記録媒体に前記物流情報を記録する記録手段と、情報記録消去装置を有する物流管理システム

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流管理システム及び情報記録消去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製造や物流の課程において、部品や製品等の在庫や発注の管理や、それらの部品や製品に対し、各工程で行われる作業の管理を容易にするために、物品等の情報や工程等の情報を目視可能に記録したタグを、工程間で流通する物品に添付させる物流管理システムがある。
【0003】
このようなタグは、従前は紙に印刷されたものが用いられていた。近年、目視可能な情報の記録及び消去動作を所定回数以上反復可能なリライタブル媒体が、タグとして用いられている。
【0004】
例えば、特許第3886713号公報(特許文献1参照。)には、目視可能な情報の記録及び消去動作を所定回数以上反復可能なリライト領域を有するデータキャリアをタグとし、そのタグに、物流情報を二次元コード化した状態で付加する物流管理システムが開示されている。
【0005】
また例えば、特開2002−87533号公報(特許文献2参照。)には、RFIDタグの表面に目視可能な情報の記録及び消去動作を所定回数以上反復可能なリライト領域を形成することにより、物流情報が、リライト領域に二次元コード化された状態と、RFIDタグの素子に格納した状態と、で記録されたタグが、物品に添付される物流管理システムが開示されている。
【0006】
ところで、物品に添付されるタグには、機械読み取り可能に情報が記録されることにより、物流情報の管理を容易にすることの他に、人間が判読可能な形態に情報が記録されることにより、工程における物品の管理等を容易にすることができる。
【0007】
そこで、リライタブル表示媒体付きのタグシートを用いる物流管理システムの技術がある。なお、「リライタブル表示媒体」とは、目視可能な情報の記録及び消去動作を所定回数以上反復可能な表示媒体である。リライタブル表示媒体は、熱可逆性記録層の発色及び消色特性が異なる複数の種類がある。さらに、それらの種類毎に、発色層の耐光性や、視認性等が異なっている。
【特許文献1】特許第3886713公報
【特許文献2】特開2002−87533号公報
【特許文献3】特開2001−180121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示の物流システム等の技術では、工程における環境や工程間の環境に応じて、複数の性質の異なるリライタブル表示媒体を使い分けることについては、考慮されていない。
【0009】
例えば、ロイコ染料と顕色材とを含む熱可逆性記録層は、白地に黒色が発色するため、視認性に優れている一方、加熱・急冷でロイコ染料と顕色剤が結合したまま凝集し、発色状態が固定され、加熱・徐冷により顕色剤が単独で結晶化し、相分離して消色する化学的変化を利用しているため、化学結合部の光励起によって記録部が消去不良になったり、光、特に太陽光に対してロイコ染料は光分解しやすいため、使用環境によって地肌が茶褐色になって視認しづらくなる問題を有している。一方、有機低分子物質粒子を樹脂マトリクス中に分散させた熱可逆性記録層は、記録層が白濁することにより発色を実現するため、基材の色を濃色にした場合でも、ロイコ染料による熱可逆性記録層よりも視認性が劣る一方、130℃以上に過熱し冷却すると、記録層の低分子物質とマトリクス樹脂間に空隙が発生することで光が散乱することで白く見え、100〜120℃の温度域で加熱すると空隙が消失し、光が透過するため透明に見える物理的変化を利用しているため、表示された情報に対する耐光性能は、ロイコ染料による熱可逆記録層よりも優れている。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みて、これらの問題を解消するために発明されたものであり、リライタブル表示媒体を物品に添付するタグとして用いる際に、複数の性質の異なるリライタブル表示媒体を、使用環境に応じて使い分ける物流管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の物流管理システムは次の如き構成を採用した。
【0012】
本発明の物流管理システムは、製造又は物流の工程間で流通する物品に係る情報及び/又は前記工程に係る情報を含む物流情報が可視的に記録される可逆性表示記録媒体が、前記物品に添付されて流通される物流管理システムであって、前記物流情報と前記可逆性表示記録媒体の識別情報とを対応づけて管理する管理サーバと、前記管理サーバと接続され、前記可逆性表示記録媒体に対して前記物流情報を可視的に記録し、前記可逆性表示記録媒体に可視的に記録された前記物流情報を消去する、第一の情報記録消去装置と、を有し、前記第一の情報記録消去装置は、前記管理サーバから前記物流情報を受信する通信手段と、当該工程と当該工程の次の工程との間の工程間環境、及び/又は、当該工程の次の工程の工程内環境に基づいて、互いに性質の異なる複数の可逆性表示記録媒体のうち、一の性質の可逆性表示記録媒体を選択する媒体選択手段と、前記媒体選択手段により選択された可逆性表示記録媒体に可視的に記録された情報を消去する消去手段と、前記消去手段により可視的に記録された情報が消去された可逆性表示記録媒体に前記物流情報を記録する記録手段と、を有する構成とすることができる。
【0013】
これにより、リライタブル表示媒体を物品に添付するタグとして用いる際に、複数の性質の異なるリライタブル表示媒体を、使用環境に応じて使い分ける物流管理システムを提供することができる。
【0014】
なお、上記課題を解決するため、本発明は、さらに、上記物流システムに設けられる情報記録消去装置としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の物流管理システム及び情報記録消去装置によれば、リライタブル表示媒体を物品に添付するタグとして用いる際に、複数の性質の異なるリライタブル表示媒体を、使用環境に応じて使い分ける物流管理システム及び情報記録消去装置を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施の形態は、主として製造業における工程内又は工程間で可逆性表示記録媒体を使用する例について説明するが、本発明は、物流業又はその他の業種において実施されてもよい。製造業とは、例えば、物作り業であり、物流業とは、例えば、配送業、倉庫業等をいう。
〔本発明の実施の形態〕
図1から図5は、本実施形態の物流管理システムで用いられる、可逆性表示記録媒体を説明する図である。なお、以下の実施の形態では、「可逆性表示記録媒体」を「リライタブル表示媒体」ともいう。
【0017】
(リライタブル表示媒体の断面の説明)
図1は、リライタブル表示媒体の断面を説明する図である。図1のリライタブル表示媒体は、保護層1、感熱層2、基板層3、バック層4の、少なくとも4層の構造を有する。感熱層2が、所定の条件による加熱と冷却により、発色及び消色を行い、リライタブル表示媒体上に文字等のイメージが表示される。なお、図2の例は、ロイコ染料と顕色材とを含む熱可逆性記録層、すなわちケミカルリライタブル(Chemical Rewitable)(以下、「CR」という。)フィルムの例である。
【0018】
(CRフィルムの発色と消色とのプロセスの説明)
図2は、CRフィルムの感熱層における発色と消色のプロセスを説明する図である。CRフィルムの感熱層は、ロイコ染料と顕色材とを有する。図2(A)は、消色しているロイコ染料と結晶状態の顕色材との構造を示すモデル図である。図2(A)では、感熱層は固体である。図2(A)の状態の感熱層を加熱することにより、図2(B)の状態に遷移する。
【0019】
図2(B)では、ロイコ染料に顕色材が結合することにより、発色状態になる。ここでは、感熱層は液体である。図2(B)の状態を、急冷することにより、図2(C)の状態に遷移する。図2(C)は、発色状態の固体である。図2(C)の状態は、リライタブル表示媒体上に文字等のイメージが形成されている。
【0020】
図2(C)の状態を、再び加熱することにより、図2(D)の状態に遷移する。図2(D)の状態は、ロイコ染料と顕色剤とが離れることにより、感熱層が消色する。消色した感熱層を徐冷することにより、再び、消色状態の結晶である図2(A)の状態に戻る。
【0021】
(リライタブル表示媒体の例)
本実施の形態では、リライタブル表示媒体として、CRフィルムの他に、例えば、次のリライタブル表示媒体が用いられるとよい。
・有機低分子物質粒子を樹脂マトリクス中に分散させた層を設けてなる透明・白濁という物理変化を利用した高分子タイプのPR(Physical Rewitable)(以下、「PR」という。)フィルム。例えば、特開2001−180121号公報を参照。
・CRフィルムと同じく、化学的変化を利用するタイプであって、例えば、顕色剤として没食子酸とフロログリシノールとを組み合わせたもの、フェノールフタレイン若しくはチモールフタレイン等を用いるもの、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルとの均質相溶体を記録層に含有させたもの、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いたもの、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸又は没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩とを用いるもの、顕色剤に長鎖脂肪族基を持つ電子供与性化合物を用いたもの等。
・コレステリック液晶化合物又はコレステリック液晶化合物の混合物からなる記録材料において、コレステリック液晶状態から急冷することにより、その反射色を常温で長期間保存でき、さらに、液晶状態に戻すことにより、繰り返し、表示記録が可能なもの、コレステリック液晶相を形成するサーモトロピック液晶化合物から成り、該サーモトロピック液晶性化合物を等方相又はコレステリック液晶相を示す温度まで加熱した後、所定の冷却速度で冷却することにより、コレステリック液晶相の螺旋状分子配列を固体化したコレステリックガラス相を形成させ、螺旋状分子配列に起因する選択反射色を示す感熱相を含むもの等。
・電気泳動素子による表示を行うもの等。
【0022】
(リライタブル表示媒体への記録消去を行う装置の例)
図3及び図4は、本実施形態の情報記録消去装置が有するリライタブル表示媒体への記録消去を行う装置の例を説明する図である。
【0023】
図3の装置は、セラミックヒータによって表示された情報の消去を行い、サーマルヘッドによって新たな情報の記録を行っている。
【0024】
一方、図4の装置は、レーザ光をスキャンさせることにより、情報の記録と消去とを行っている。図4(a)は、レーザ光によって文字が記録されることを説明する図である。図4(a)で、装置がリライタブル表示媒体に対して接触することなく、文字が記録されている。図4(b)は、レーザ光によってリライタブル表示媒体が加熱されていることを説明する図である。
【0025】
(RFIDが付加されたリライタブル表示媒体の例)
図5は、RFID(Radio Frequency Identification)タグが付加されたリライタブル表示媒体の例を説明する図である。図5(a)及び図5(b)のリライタブル表示媒体は、RFIDタグが、接着剤によって基板層とバック層との間に付加されている。図5(a)のリライタブル表示媒体は、RFIDタグが接着された範囲と、印刷範囲とが異なる場合の例であり、図5(b)のリライタブル表示媒体は、RFIDタグが接着された範囲と印刷範囲とが重なっている場合の例である。
【0026】
なお、本発明の実施の形態では、デジタル情報を保持する手段として、RFIDタグの他に、磁気メモリ、光メモリ、ホログラム、半導体メモリ等が用いられてよい。磁気メモリは、例えば、磁気テープ、磁気ストライプ、及び、磁気層等である。ホログラムは、書き換え可能なホログラムが好ましく、例えば、高分子アゾベンゼン液晶フィルムに干渉光を書き込んだもの等である。半導体メモリは、例えば、接触型ICメモリ、又は、非接触型ICメモリ等である。また本実施の形態におけるデジタル情報を保持する手段は、感熱層に設けられたバーコード等の符号を記録する欄でもよい。
【0027】
(本実施形態の物流管理システムの概略)
図6は、本実施形態の物流管理システムの概略を説明する図である。図6では、A社に対し、B社及びC社が部品を納入し、A社が、部品を組み込んだ製品を出荷している。A社では、部品(あ)、部品(い)、部品(う)が、それぞれ工程1から3において製品に組み込まれる。一方、B社及びC社では、それぞれ、A社からの発注に基づいて、部品(あ)及び部品(い)を製造し、A社に対して出荷する。
【0028】
A社内の各工程で用いられる部品に添付される物品票や、工程での作業の指示や確認に用いられる作業票は、リライタブル表示媒体が用いられている。また、B社及びC社から出荷される部品に添付される物品票にも、リライタブル表示媒体が用いられる。これらのリライタブル表示媒体に表示される情報は、管理サーバ100によって管理されている。なお、管理サーバ100は、A社が有する他に、A社の外に設けられてもよい。
【0029】
以下、A社からの発注に基づくB社からA社への納入のワークフローについて説明する。なお、C社からA社に対して納入されるワークフローも同様である。
【0030】
先ず、A社からB社に対する発注情報に基づいて、B社において部品(あ)が製造され、その部品(あ)の物品情報が、プリンタ200bによって、リライタブル表示媒体である媒体bに印刷され、さらに、媒体bが有するデジタル情報保持部に、媒体bの識別情報が記録される。プリンタ200bによって印刷され記録された情報は、管理サーバ100に送信される。
【0031】
さらに、媒体bが、部品(あ)に添付された後、B社から出荷される際に、通過するゲートGbにおいて、媒体bの識別情報がデジタル情報読取手段によって取得されることにより、部品(あ)の出荷の情報がA社に送信され、その情報が管理サーバ100に格納される。
【0032】
次に、部品(あ)と媒体bとが、A社のゲートGa1を通過する際に、媒体bの識別情報がデジタル情報読取手段によって取得されることにより、部品(あ)の受け入れの情報が、管理サーバによって取得される。
【0033】
なお、上記の実施の形態では、媒体bが有するデジタル情報保持部に、媒体bの識別情報が格納されている。管理サーバにおいて、媒体bの識別情報と物品情報とが対応づけられていることにより、媒体bが添付されている物品の状況を容易に知ることができる。この実施の形態は一例であり、例えば、媒体bが有するデジタル情報保持部に、部品(あ)の物品情報が格納される構成でもよい。
【0034】
次に、A社における製品を製造する際のワークフローについて説明する。プリンタ200aによって、製造の各工程における作業等の一覧が、リライタブル表示媒体である媒体aに印刷され、さらに、媒体aが有するデジタル情報保持部に、媒体aの識別情報が記録される。プリンタ200aによって印刷される情報は、管理サーバ100から取得されるものである。
【0035】
この媒体aが、工程1から工程3を通過する製品の仕掛かり品に添付され、各工程では、媒体aに表示されている内容に基づいて、作業が行われる。全ての工程が終了すると、完成した製品が出荷される。
【0036】
図6において、A社とB社との間、及び、A社とC社との間は、リライタブル表示媒体が添付された通函等の表面が、太陽光に暴露することが多い。一方、A社の中は、例えば、屋内環境であり、通函等の表面が、太陽光に暴露することが少ない。そこで、A社の中では視認性に優れたリライタブル表示媒体である媒体aが用いられ、A社とB社との間等では、耐光性に優れたリライタブル表示媒体である媒体bが用いられるとよい。
【0037】
CRフィルムは、PRフィルムに比して、耐光性は劣るものの白地に黒色が発色するため視認性に優れている。一方、PRフィルムは、透明と白濁とによって発色と消色を繰り返すため、CRフィルムに比して、視認性は劣るものの、耐光性には優れている。そこで、A社の中で用いられるリライタブル表示媒体である媒体aは、例えば、CRフィルムであり、A社とB社との間で用いられるリライタブル表示媒体である媒体bは、例えば、PRフィルムである。
【0038】
(B社からA社へ納入されるフローの詳細)
図7は、サプライヤであるB社から、納入先であるA社へ、部品が納入される際の処理の詳細を示す図である。図7では、A社が有する管理サーバ100の在庫管理データベース(以下、「DB」という。)110に管理されている在庫数量等に基づいて、B社が部品を出荷してA社がそれを検収する。
【0039】
図7のステップS101では、B社からA社に対し、出荷する部品に添付する媒体に印刷される物流情報が要求される。この要求は、例えば、B社の出荷を行う担当者が、A社の管理サーバに接続されているクライアント装置を操作することに基づいてよい。
【0040】
ステップS101に続いてステップS102に進み、A社が有する管理サーバから、在庫管理DBに記憶されている情報のうち、B社から出荷される部品に係る物流情報が、B社のクライアント装置に対して送信される。
【0041】
ステップS102に続いてステップS103に進み、B社が有するプリンタ200bが、複数の媒体bの感熱層に出荷する部品(あ)の物品情報を印刷する。さらに、媒体bが有するデジタル情報を保持する手段に、媒体毎の識別情報、及び/又は、部品(あ)の物品情報が書き込まれる。ステップS103に続いてステップS104に進み、ステップS103で物品情報が印刷された媒体bが、部品(あ)に添付され、出荷される。なお、図7の例では、媒体bが部品(あ)に添付されて出荷されているが、出荷の際に、媒体bが読み取られることにより、出荷に係る情報が取得され、管理サーバ100に送信されるとよい。
【0042】
ステップS104に続いてステップS105に進み、媒体bが添付された部品(あ)が、A社に納入される。A社では、先ず受け入れの処理が行われる。ステップS105では、媒体bが有するデジタル情報を保持する手段に格納されている情報が、ゲートを通過する際に読み取られる。例えば、デジタル情報を保持する手段として、RFIDタグが用いられる場合には、ゲートは、RFIDタグのリーダである。読み取られた情報は、管理サーバ100に送信される。
【0043】
ステップS105に続いてステップS106に進み、RFIDタグに、媒体の識別情報が格納されている場合には、管理サーバ100は、その識別情報に対応する物品情報から、部品(あ)が受け入れられたとして、部品(あ)の情報を更新する。また、RFIDタグに、部品(あ)の物品情報が格納されている場合には、管理サーバ100は、その物品情報に基づいて、部品(あ)の情報を更新する。
【0044】
媒体bが添付された部品(あ)は、受け入れ処理が終了されると、在庫払い出しまで保管される。
【0045】
(納入から在庫払い出しまでのフローの詳細)
図8は、A社に納入された部品が保管され、さらに、製品に組み込まれる「在庫払い出し」までの処理の詳細を説明する図である。図8では、管理サーバ100が有する在庫管理DB110及び作業進捗管理DB120によって管理されている内容に基づいて、作業が行われる。
【0046】
図8のステップS201では、管理サーバ100からプリンタ200a―1に対し、受け入れられた部品の物品情報が送信される。この物品情報は、在庫管理DB110に管理されている。
【0047】
ステップS201に続いてステップS202に進み、プリンタ200a―1が、複数の媒体aの感熱層に受け入れた部品(あ)の物品情報を印刷する。さらに、プリンタ200a―1が、媒体aのデジタル情報を保持する手段に対し、媒体aの識別情報及び/又は部品(あ)の物品情報を記録する。
【0048】
ステップS202に続いてステップS203に進み、媒体aが添付された部品(あ)がゲートを通過することにより、媒体aが有するデジタル情報を保持する手段によって保持されている情報が読み取られ、管理サーバ100が有する在庫管理DB110に部品(あ)の物品情報が登録される。
【0049】
より詳細には、デジタル情報を保持する手段によって媒体aの識別情報が保持されている場合には、その識別情報が読み取られて管理サーバ100に送信されることにより、管理サーバ100が、媒体の識別情報に対応する部品(あ)の物流情報を更新する。また例えば、デジタル情報を保持する手段によって媒体aが添付された部品(あ)の物品情報が保持されている場合には、その物品情報が読み取られて管理サーバ100に送信されることにより、管理サーバ100が在庫管理DB110に管理されている部品(あ)の物品情報を更新する。
【0050】
ステップS203に続いてステップS204に進み、ゲートを通過した部品(あ)と媒体aとは、在庫払い出しまで、所定の場所に保管される。保管場所では、媒体aのデジタル情報を保持する手段に記録されている情報が読み取られ、保管場所の情報とともに管理サーバ100に送信されることにより、管理サーバ100が、部品(あ)のロケーション登録を行う。
【0051】
ステップS204に続いてステップS205に進み、保管場所に保管されている部品(あ)は、在庫払い出しの際に、再びゲートを通過する。このゲートを通過することにより、ステップS203と同様に、媒体aが有するデジタル情報を保持する手段によって保持されている情報が読み取られ、管理サーバ100に送信される。管理サーバ100では、部品(あ)が在庫払い出しされた旨の情報により、在庫管理DB110の内容を更新する。
【0052】
ステップS205に続いてステップS206に進み、管理サーバ100からプリンタ200a―2に対し、作業指示情報が送信される。ステップS206に続いてステップS207に進み、プリンタ200a―2が、作業指示情報を媒体aの感熱層に表示させ、その媒体aが、部品(あ)に添付される。ここでは、さらに、媒体aのデジタル情報を保持する手段に、媒体aの識別情報及び/又は作業指示情報が記録される。
【0053】
(在庫払い出しから製品組み立てまでのフローの詳細)
図9は、図8のフローに続いて行われる在庫払い出しから製品組み立てまでのフローを説明する図である。図9では、図8のステップS207により物品情報が表示された媒体aが添付された部品(あ)が、製品の仕掛かり品に組み込まれる。
【0054】
図9のステップS301では、管理サーバ100が有する作業進捗管理DB120からプリンタ200a−3に対し、作業指示情報が送信される。ステップS301に続いてステップS302に進み、プリンタ200a−3が、作業指示書を媒体aの感熱層に表示させ、その媒体aが、製品の仕掛かり品に添付される。なお、ステップS302では、媒体aが有するデジタル情報を保持する手段に、媒体aの識別情報及び/又は作業指示書の内容が書き込まれるとよい。
【0055】
ステップS302に続いてステップS303に進み、図8のステップS207で作業指示情報が表示された媒体aが添付された部品(あ)が、製品の仕掛かり品に組み込まれる。これにより、仕掛かり品には、ステップS207で添付された媒体aと、ステップS302で添付された媒体aとが添付されている。
【0056】
ステップS303に続いてステップS304に進み、仕掛かり品がゲートを通過する際に、仕掛かり品に添付された媒体aと、部品(あ)に添付された媒体aとの識別情報等が読み取られる。これにより、仕掛かり品に部品(あ)が組み込まれた旨の情報が取得される。
【0057】
ステップS304に続いてステップS305に進み、ステップS304で読み取られた情報が、管理サーバ100に送信され作業進捗管理DB120によって管理されている作業実績の情報が更新される。
【0058】
(本実施形態の物流管理システムにおけるプリンタの説明)
図7から図9では、プリンタによって媒体a又は媒体bの感熱層に情報が表示される。図7では、例えば、媒体bの感熱層に対して好適な記録消去条件により情報が可視的に表示される。一方、図8及び図9では、媒体aの感熱層に対して好適な記録消去条件により情報が可視的に表示される。
【0059】
本実施形態の物流管理システムにおけるプリンタは、例えば、媒体a及び媒体bの何れの感熱層に対しても、好適な記録消去条件により、情報を可視的に表示させ、また、可視的に表示された情報を消去することができるとよい。例えば、媒体が有するデジタル情報を保持する手段にその媒体の記録消去条件が格納されている場合には、デジタル情報を保持する手段から、その記録消去条件を読み出して、感熱層に対する消去及び記録を行う。
【0060】
また例えば、媒体の形状、媒体の基材の色等により、その媒体の感熱層に対する記録消去条件が識別されている場合には、それらの識別情報を取得して、対応する記録消去条件を取得してもよい。またさらに、複数の性質の異なる媒体の記録消去条件が、予め保持されており、操作者によって選択の入力がなされることにより、その記録消去条件の一が選択され、媒体に対する記録消去が行われてもよい。
【0061】
(本実施形態における物流管理システムの機能構成)
図10は、本実施形態における物流管理システムの機能構成の例を説明する図である。図10の物流管理システムは、プリンタ200と管理サーバ100とが接続されている。プリンタ200は、リライタブル表示媒体300の感熱層に対して可視的な情報の表示と消去とを行う。
【0062】
プリンタ200は、例えば、通信手段210、媒体選択手段220、リライタブル記録消去手段230、デジタル情報アクセス手段240、環境情報入力手段250、記録消去条件取得部260、及び、記憶手段290を有する。
【0063】
通信手段210は、例えば、ネットワークを介して接続された管理サーバ100との通信を行う。通信手段210によって、物品情報、作業指示情報、媒体の識別情報等が取得され、またさらに、作業実績情報、物品のロケーション情報、媒体の識別情報等が送信される。
【0064】
媒体選択手段220は、例えば、媒体が使用される環境の情報に基づいて、複数の性質の異なるリライタブル表示媒体のうち、一の性質のリライタブル表示媒体を選択する。媒体選択手段220は、例えば、その媒体が使用される工程が太陽光に暴露することの多い環境である場合には、PRフィルムを選択し、その媒体が使用される工程が太陽光に暴露することの少ない環境である場合には、CRフィルムを選択する。なお、媒体が用いられる環境とは、工程の環境の他に、工程と工程との間の環境も含むとよい。
【0065】
媒体選択手段220は、またさらに、次以降の工程でその媒体に対する表示記録が行われる場合には、次以降の工程で用いられるプリンタの仕様に基づいて、媒体を選択するとよい。より詳細には、次以降の工程で用いられるプリンタが、CRフィルムにのみに対応している場合には、CRフィルムを選択し、次以降の工程で用いられるプリンタが、PRフィルムのみに対応している場合には、PRフィルムを選択するとよい。
【0066】
リライタブル記録消去手段230は、例えば、消去手段231と記録手段233とを有する。消去手段231は、媒体の性質毎に異なる消去条件に基づいて、リライタブル表示媒体300に可視的に記録された情報を消去する。記録手段233は、媒体の性質毎に異なる記録条件に基づいて、リライタブル表示媒体300に可視的に情報を記録する。なお、消去手段231と記録手段233とは、例えば、一の加熱装置として構成されてよい。
【0067】
デジタル情報アクセス手段240は、例えば、識別情報取得手段241と識別情報更新手段243とを有する。識別情報取得手段241は、リライタブル表示媒体300が有する識別情報保持部から、リライタブル表示媒体300の識別情報を読み取って取得する。識別情報更新手段243は、リライタブル表示媒体300が有する識別情報保持部に記録されている識別情報を更新する。
【0068】
更新する際の識別情報は、例えば、管理サーバ100によって発行され、通信手段210によって受信されたものでもよく、プリンタ200によって発行された後、通信手段210によって管理サーバ100に送信されてもよい。
【0069】
デジタル情報アクセス手段240は、例えば、RFIDタグのリーダ・ライタでもよく、2次元に構成されるバーコードのリーダ・ライタでもよい。
【0070】
環境情報入力手段250は、プリンタ200によって情報を表示されるリライタブル表示媒体が、使用される環境の情報が入力される手段である。環境情報入力手段250は、例えば、媒体が使用される環境が、太陽光に対する暴露が多いか否かの情報が入力されるといよい。
【0071】
記録消去条件取得部260は、性質の異なるリライタブル表示媒体毎に対応する記録消去条件を取得する。記録消去条件取得部260は、例えば、条件入力手段261又は条件識別情報取得手段263を有する。
【0072】
条件入力手段261は、例えば、性質の異なるリライタブル表示媒体毎に対応する記録消去条件が入力される。条件識別情報取得手段263は、例えば、リライタブル表示媒体が、性質毎に対応する識別形態を有する場合に、その形態を識別して、対応する記録消去条件を取得する。識別形態とは、例えば、媒体の形状、媒体の基材の色等位である。条件識別情報取得手段263は、また例えば、リライタブル表示媒体が有するデジタル情報を保持する手段に、媒体の記録消去条件の情報又はその識別情報が記録されている場合には、その情報を取得してもよい。
【0073】
記憶手段290は、例えば、性質の異なるリライタブル表示媒体毎の記録消去条件の情報を保持するとよい。これにより、条件識別情報取得手段263によって記録消去条件を識別する情報が取得された場合に、リライタブル記録消去手段が、その識別情報に対応する記録消去条件を参照して処理を行うことができる。
【0074】
管理サーバ100は、物品に係る情報、及び/又は、工程に係る情報を管理する。管理サーバ100は、在庫管理DB110と作業進捗管理DB120とを有する。在庫管理DB110は、例えば、部品、仕掛かり品、製品等の在庫数量を管理する。在庫管理DB110は、またさらに、それらの保管ロケーションを管理するとよい。在庫管理DB110によって管理されている情報が参照されることにより、例えば、サプライヤが部品を製造する際に、数量等をリアルタイムに管理することができる。
【0075】
作業進捗管理DB120は、工程に係る情報のうち、作業指示書に記載される工程毎の作業内容と、それらの作業の進捗状況とを管理する。作業進捗管理DB120によって管理される工程毎の作業の内容により、プリンタ200が作業指示書を発行することができる。また、所定の工程毎に、作業実績の情報が登録されることにより、作業の進捗を管理することが容易になる。
【0076】
リライタブル表示媒体300は、例えば、可逆性表示記録部310、識別情報保持部320、及び、条件識別情報保持部330を有する。可逆性表示記録部310は、例えば、感熱層であり、加熱と冷却とにより、発色と消色を繰り返すことにより、情報の表示と消去とがおこなわれる。識別情報保持部320は、例えば、デジタル情報を保持する手段であり、RFIDタグ等の他に、可逆性表示記録部310に設けられたバーコード等を表示する欄でもよい。
【0077】
条件識別情報保持部330は、リライタブル表示媒体300の記録消去条件を識別する情報が保持される。条件識別情報保持部330は、例えば、媒体の切り欠き等の形状、媒体の基材の色等により、記録消去条件の識別情報が保持されるとよい。条件識別情報保持部330は、またさらに、デジタル情報を記録する手段として構成されてもよい。
【0078】
(工程内環境、工程間環境に基づいて、リライタブル表示媒体が選択される処理)
図11及び図12は、工程内環境及び/又は工程間環境に基づいて、リライタブル表示媒体が選択される処理を示すフロー図である。図11は、リライタブル表示媒体が選択されて、情報が表示される処理の例であり、図12は、リライタブル表示媒体が選択される処理の詳細の例である。図11及び図12の処理は、例えば、媒体選択手段220によって行われる。
【0079】
図11のステップS401では、通信手段210により管理サーバ100から物流情報が取得される。ステップS401に続いてステップS402に進み、媒体選択手段220が、リライタブル表示媒体が使用される工程の工程内環境又は工程間の環境に基づいて、複数の性質の異なるリライタブル表示媒体の中から、一の性質のリライタブル表示媒体を選択する。
【0080】
ステップS402に続いてステップS403に進み、記録消去条件取得部260が、媒体の記録消去条件を取得する。ステップS403に続いてステップS404に進み、リライタブル記録消去手段230が、ステップS403で取得された記録消去条件に基づいて、リライタブル表示媒体上に表示されている情報の表示を消去する。
【0081】
ステップS404に続いてステップS405に進み、リライタブル記録消去手段230が、ステップS403で取得された記録消去条件に基づいて、リライタブル表示媒体上に、ステップS401で取得された物流情報を表示させる。
【0082】
ステップS405に続いてステップS406に進み、識別情報取得手段241が、リライタブル表示媒体が有するデジタル情報を保持する手段から、その媒体の識別情報を取得する。ステップS406に続いてステップS407に進み、通信手段210がステップS406で取得された識別情報を、管理サーバ100に対して送信する。
【0083】
なお、図11の例では、リライタブル表示媒体が予め保持する識別情報が取得され、管理サーバに送信されるが、本発明の実施の形態はこの例に限らない。例えば、ステップS401において、管理サーバ100によって発行される識別情報が、物流情報とともに受信され、その識別情報が、ステップS406等において、識別情報更新手段243によりリライタブル表示媒体が有するデジタル情報を保持する手段に更新されることにより保持されてもよい。
【0084】
(工程内環境、工程間環境に基づいて、リライタブル表示媒体が選択される処理の詳細)
図12は、工程内環境、工程間環境に基づいて、リライタブル表示媒体が選択される処理の詳細を説明する図であって、PRフィルムとCRフィルムとの何れか一を選択する処理の例である。図12の処理は、媒体選択手段220によって実行される。
【0085】
図12のステップS501では、次以降のリライタブル表示媒体が用いられる工程では、プリンタ等の装置がPRフィルムにのみ対応しているか否かの判断がなされる。PRフィルムのみに対応している場合には、ステップS505に進み、PRフィルムとCRフィルムとに対応している場合には、ステップS502に進む。
【0086】
ステップS501に続いてステップS502に進み、次の工程との間において、リライタブル表示媒体が、太陽光に暴露することが多いか否かの判断がなされる。太陽光に暴露することが多い場合には、ステップS505に進み、太陽光に暴露することが多くない場合には、ステップS503に進む。
【0087】
ステップS502に続いてステップS503に進み、次の工程において、リライタブル表示媒体が、太陽光に暴露することが多いか否かの判断がなされる。太陽光に暴露することが多い場合には、ステップS505に進み、太陽光に暴露することが多くない場合には、ステップS504に進む。
【0088】
ステップS504では、CRフィルムが選択される。一方、ステップS505では、PRフィルムが選択される。
【0089】
(消去条件の例)
図13は、CRフィルムとPRフィルムとで、好適な消去条件の例を示す図である。図13(A)は、CRフィルムの例であり、図13(B)は、PRフィルムの例である。図13(A)より、CRフィルムに好適な消去条件は、消去速度が毎秒10インチ以下かつ消去温度が摂氏130度ないし180度が好ましく、消去速度が毎秒8インチ以下かつ消去温度が摂氏140度ないし170度がより好ましく、消去速度が毎秒5インチ以下かつ消去温度が摂氏150度ないし160度がさらに好ましい。
【0090】
また、図13(B)より、PRフィルムに好適な消去条件は、消去速度が毎秒2インチ以下かつ消去温度が摂氏80度ないし120度が好ましく、消去速度が毎秒1.5インチ以下かつ消去温度が摂氏90度ないし110度がより好ましく、消去速度が毎秒1.5インチ以下かつ消去温度が摂氏90度ないし100度がさらに好ましい。
【0091】
なお、図13は、セラミックヒータによる消去の例である。本発明の実施の形態は、図13の例に限らず、同等のエネルギーをリライタブル表示媒体に印加するものであればよい。
【0092】
以上、発明を実施するための最良の形態について説明を行ったが、本発明は、この最良の形態で述べた実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】リライタブル表示媒体の断面を説明する図。
【図2】CRフィルムの感熱層における発色と消色のプロセスを説明する図。
【図3】セラミックヒータで消去しサーマルヘッドで記録を行うリライタブル表示媒体のプリンタの例を示す図。
【図4】レーザ光で記録と消去とを行うリライタブル表示媒体のプリンタの例を示す図。
【図5】RFIDタグが付加されたリライタブル表示媒体の例を説明する図。
【図6】本実施形態の物流管理システムの概略を説明する図。
【図7】サプライヤから納入先へ部品が納入される際の処理の詳細を示す図。
【図8】納入から在庫払い出しまでのフローの詳細を示す図。
【図9】在庫払い出しから製品組み立てまでのフローの詳細を示す図。
【図10】本実施形態における物流管理システムの機能構成の例の図。
【図11】環境に基づいて、リライタブル表示媒体が選択される処理の例を示すフロー図。
【図12】間環境に基づいて、リライタブル表示媒体が選択される処理の詳細を示すフロー図。
【図13】消去条件の例を示す図。
【符号の説明】
【0094】
100 管理サーバ
110 在庫管理DB
120 作業進捗管理DB
200 プリンタ
210 通信手段
220 媒体選択手段
230 リライタブル記録消去手段
231 消去手段
233 記録手段
240 デジタル情報アクセス手段
241 識別情報取得手段
243 識別情報更新手段
250 環境情報入力手段
260 記録消去条件取得部
261 条件入力手段
263 条件識別情報取得手段
290 記憶手段
300 リライタブル表示媒体
310 可逆性表示記録部
320 識別情報保持部
330 条件識別情報保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造又は物流の工程間で流通する物品に係る情報及び/又は前記工程に係る情報を含む物流情報が可視的に記録される可逆性表示記録媒体が、前記物品に添付されて流通される物流管理システムであって、
前記物流情報と前記可逆性表示記録媒体の識別情報とを対応づけて管理する管理サーバと、
前記管理サーバと接続され、前記可逆性表示記録媒体に対して前記物流情報を可視的に記録し、前記可逆性表示記録媒体に可視的に記録された前記物流情報を消去する、第一の情報記録消去装置と、
を有し、
前記第一の情報記録消去装置は、
前記管理サーバから前記物流情報を受信する通信手段と、
当該工程と当該工程の次の工程との間の工程間環境、及び/又は、当該工程の次の工程の工程内環境に基づいて、互いに性質の異なる複数の可逆性表示記録媒体のうち、一の性質の可逆性表示記録媒体を選択する媒体選択手段と、
前記媒体選択手段により選択された可逆性表示記録媒体に可視的に記録された情報を消去する消去手段と、
前記消去手段により可視的に記録された情報が消去された可逆性表示記録媒体に前記物流情報を記録する記録手段と、
を有する物流管理システム。
【請求項2】
前記互いに性質の異なる複数の可逆性表示記録媒体は、該可逆性表示記録媒体を識別する識別情報を保持する識別情報保持部を有し、
前記第一の情報記録消去装置は、さらに、
前記識別情報保持部から、前記可逆性表示記録媒体の識別情報を取得する識別情報取得手段を有し、
前記通信手段は、さらに、前記識別情報を前記管理サーバに対して送信する請求項1記載の物流管理システム。
【請求項3】
前記第一の情報記録消去装置は、さらに、
前記識別情報保持部に保持されている、前記可逆性表示記録媒体の識別情報を更新する識別情報更新手段を有し、
前記通信手段は、さらに、前記管理サーバから前記識別情報を受信する請求項2記載の物流管理システム。
【請求項4】
前記識別情報保持部は、
前記可逆性表示記録媒体上に設けられた、前記識別情報の符号を記録する欄、又は、前記可逆性表示記録媒体と一体化されたデジタル情報記録媒体、である請求項2又は3記載の物流管理システム。
【請求項5】
前記互いに性質の異なる複数の可逆性表示記録媒体は、
ロイコ染料と顕色材とを含む記録層を有する第一の可逆性表示記録媒体、及び、有機低分子物質粒子を樹脂マトリクス中に分散させた記録層を有する第二の可逆性表示記録媒体、である請求項1ないし4何れか一項に記載の物流管理システム。
【請求項6】
前記第一の可逆性表示記録媒体が選択される場合は、前記第二の可逆性表示記録媒体が選択される場合に比して、前記工程間環境、及び/又は、前記工程内環境における、当該可逆性表示記録媒体に対する太陽光の暴露が少ない請求項5記載の物流管理システム。
【請求項7】
当該工程の次の工程において、当該工程とは異なる第二の情報記録消去装置が用いられる場合に、
前記媒体選択手段は、前記複数の可逆性表示記録媒体のうち、前記第二の情報記録消去装置の仕様に対応する可逆性表示記録媒体を選択して前記記録手段に提供する請求項1ないし6何れか一項に記載の物流管理システム。
【請求項8】
前記第一の情報記録消去装置は、さらに、
前記工程間環境、及び/又は、前記工程内環境に係る情報を入力する環境情報入力手段を有する請求項1ないし7何れか一項に記載の物流管理システム。
【請求項9】
前記第一の情報記録消去装置は、さらに、
可視的に記録される情報の記録及び消去を行う際のエネルギー条件を入力する条件入力手段を有し、
前記記録手段は、前記エネルギー条件により、前記可逆性表示記録媒体に前記物流情報を記録し、
前記消去手段は、前記エネルギー条件により、前記可逆性表示記録媒体に可視的に記録された情報を消去する請求項1ないし8何れか一項に記載の物流管理システム。
【請求項10】
前記互いに性質の異なる複数の可逆性表示記録媒体は、該可逆性表示記録媒体のエネルギー条件を識別する情報を保持する条件識別情報保持部を有し、
前記第一の情報記録消去装置は、さらに、
前記条件識別情報保持部から前記エネルギー条件を識別する情報を取得する条件識別情報取得手段を有し、
前記記録手段は、前記エネルギー条件を識別する情報に基づいて、前記可逆性表示記録媒体に前記物流情報を記録し、
前記消去手段は、前記エネルギー条件を識別する情報に基づいて、前記可逆性表示記録媒体に可視的に記録された情報を消去する請求項1ないし8何れか一項に記載の物流管理システム。
【請求項11】
製造又は物流の工程間で流通する物品に係る情報及び/又は前記工程に係る情報を含む物流情報が可視的に記録される可逆性表示記録媒体が、前記物品に添付されて流通される物流管理システムにおける、前記物流情報と前記可逆性表示記録媒体の識別情報とを対応づけて管理する管理サーバと接続され、前記可逆性表示記録媒体に対して前記物流情報を可視的に記録し、前記可逆性表示記録媒体に可視的に記録された前記物流情報を消去する、情報記録消去装置であって、
前記管理サーバから前記物流情報を受信する通信手段と、
当該工程と当該工程の次の工程との間の工程間環境、及び/又は、当該工程の次の工程の工程内環境に基づいて、互いに性質の異なる複数の可逆性表示記録媒体のうち、一の性質の可逆性表示記録媒体を選択する媒体選択手段と、
前記媒体選択手段により選択された可逆性表示記録媒体に可視的に記録された情報を消去する消去手段と、
前記消去手段により可視的に記録された情報を消去された可逆性表示記録媒体に前記物流情報を記録する記録手段と、
を有する情報記録消去装置。
【請求項12】
前記互いに性質の異なる複数の可逆性表示記録媒体は、
ロイコ染料と顕色材とを含む記録層を有する第一の可逆性表示記録媒体、及び、有機低分子物質粒子を樹脂マトリクス中に分散させた記録層を有する第二の可逆性表示記録媒体、である請求項11記載の情報記録消去装置。
【請求項13】
前記第一の可逆性表示記録媒体の消去条件は、消去速度が10インチ毎秒以下、消去温度が摂氏130度ないし180度であり、
前記第二の可逆性表示記録媒体の消去条件は、消去速度が2インチ毎秒以下、消去温度が摂氏80度ないし120度である請求項12記載の情報記録消去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−161295(P2009−161295A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340885(P2007−340885)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】