説明

物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔された不織布ウェブを製造する方法及びその不織布ウェブを含む吸収性物品

【課題】物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔された不織布ウェブを製造する方法及びその不織布ウェブを含む吸収性物品を提供する。
【解決手段】本発明の吸収性物品は、液体透過性の表面シートと、液体不透過性の背面シートと、前記表面シート及び前記背面シートの間に配置された、前記表面シートを透過した液体を吸収するための吸収体と、前記表面シート及び前記吸収体の間に配置された、前記表面シートを透過した液体を前記吸収体へ送達するためのサージ層とを含む。サージ層は、物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔された不織布ウェブを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔された不織布ウェブを製造する方法及びその不織布ウェブを含む吸収性物品に関する。より詳細には、本発明は、着用者の身体から排出された大量の液体を素早く捕捉できるようにすると共に吸収体への送達を容易にするために、物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔された不織布ウェブを含む、おむつ、女性用生理用ナプキンまたはライナなどの吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸収性物品の一例が図1に示されている。図1を参照すると、従来の吸収性物品10は、身体側の液体透過性の表面シート2と、外側の液体不透過性の背面シート4と、表面シート2及び背面シート4の間に配置される吸収体6と、表面シート2及び吸収体6の間に配置されるサージ層8とを含む。
【0003】
表面シート2は、着用者の皮膚と接触する。表面シート2は、吸収性物品10の着用中に着用者が快適に感じるように、柔らかさを提供する役割を果たす。吸収体6は、表面シート2を透過した、着用者の身体から排出された液体を吸収して保持する役割を果たす。吸収体6は、パルプ繊維か、あるいは高吸収性粒子と混合されたパルプ繊維から製造される。背面シート4は、吸収体6の下側に配置される。背面シート4は、吸収体6に保持された液体が外部に排出されないように、液体不透過性のフィルム材質から製造される。
【0004】
サージ層8は、液体を素早く吸収すると共に、吸収した液体を吸収体6に送達することによって、着用者の皮膚が湿った状態になるのを防止する役割を果たす。そのために、サージ層8は、低繊維密度かつ高バルク性の不織布ウェブから製造される。しかし、このようなサージ層8を製造するためには高坪量の材料が必要であるため、製造コストが高くなる。そのため、サージ層8は、製造コストを節減しながらも、性能の維持または向上を図るために、穿孔された不織布ウェブから構成される。
【0005】
このような従来の技術では、サージ層は、穿孔された不織布ウェブから構成される。そのような穿孔された不織布ウェブは、ボンディングされた繊維のシートの一部を切断装置(パンチなど)によって物理的に切り取ったり、ボンディングされた繊維のシートを加熱したピンによって穿孔したりすることによって製造される。他の例では、そのような不織布ウェブは、突起を有する第1のロールとそれに対応するように構成された第2のロールとの間を通過させることによって穿孔する。したがって、穿孔された不織布ウェブには、穿孔過程で加えられる物理的または熱的圧力によって変形が生じ得る。その結果、貫通孔の周囲の繊維密度が大きくなるだけでなく、不織布ウェブの密度が大きくなるという問題があった(その結果、バルク性が低くなる)。また、穿孔の過程で加えられる物理的または熱的圧力により、繊維の損傷及びサージ層のゴワゴワ感が生じるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであって、物理的または熱的圧力を加えることなく不織布ウェブを穿孔することによって、サージ層の柔らかさを向上させると共に、不織布ウェブの繊維密度の増加を防止し、繊維の損傷を減少させることができる不織布ウェブの製造方法を提供する。また、本発明はそのような不織布ウェブを含む吸収性物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例による物理的または熱的変形なしに穿孔された不織布は、繊維を混合する工程と、前記混合された繊維をオープニングする工程と、前記オープニングされた繊維をカーディングする工程と、前記カーディングされた繊維を物理的または熱的変形なしに穿孔する工程と、前記穿孔された繊維をボンディングする工程と、前記ボンディングされた繊維を仕上げる工程とを経て製造される。
【0008】
好ましくは、前記穿孔する工程は、一定の圧力を有する空気を前記カーディングされた繊維側に断続的に噴出して穿孔を形成し、前記カーディングされた繊維を前記穿孔の周りに押し出す工程を備えても良い。
【0009】
好ましくは、前記穿孔する工程は、前記カーディングする工程と同時に行われても良い。この場合に、前記オープニングされた繊維は、突起を有するコンベヤ上にカーディングされて穿孔された不織布を形成しても良い。また、前記ボンディングする工程は、前記不織布の上側及び/又は下側に一定の空気圧または可変性のある接触による圧力を加えても良い。
【0010】
本発明の他の様態において、一実施例による吸収製品は、液透過性表面シートと、液不透過性背面シートと、前記表面シートと前記背面シートとの間に配置されて、前記表面シートを透過した液体を吸収する吸収体と、前記表面シートと前記吸収体との間に配置されて、前記表面シートを透過した液体を吸収体に伝達するサージ層とを備える。前記サージ層は、物理的または熱的変形なしに穿孔された不織布を備える。
【0011】
本発明の他の実施例による吸収製品は、液透過性表面シートと、液不透過性背面シートと、前記表面シートと前記背面シートとの間に配置されて、前記表面シートを透過した液体を吸収する吸収体と、前記表面シートと前記吸収体との間に配置されて、前記表面シートを通じて透過した液体を吸収体に伝達するサージ層とを備える。前記表面シートは、物理的または熱的変形なしに穿孔された不織布からなる。
【0012】
本発明の他の実施例による吸収製品は、液透過性表面シートと、液不透過性背面シートと、前記表面シートと前記背面シートとの間に配置されて、前記表面シートを透過した液体を吸収する吸収体と、前記表面シートと前記吸収体との間に配置されて、前記表面シートを透過した液体を吸収体に伝達するサージ層とを備える。前記サージ層は、物理的または熱的変形なしに穿孔された不織布と、穿孔された不織布の上側及び/又は下側にラミネートされた穿孔されていない不織布とを備えるラミネートを備える。
【0013】
好ましくは、穿孔の総面積は、不織布の全面積の5〜80%の範囲内であっても良い。好ましくは、穿孔の直径は2〜30mmの範囲内であっても良い。より好ましくは、穿孔の直径は5〜10mmの範囲内であっても良い。好ましくは、穿孔された不織布の坪量は20〜400gsmの範囲内であっても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の不織布製造方法によれば、穿孔は物理的または熱的変形なしに不織布に形成されて、穿孔の周りの繊維密度の上昇を防止し、それによるゴワゴワ感を減少させることができる。よって、そのような不織布が着用者の皮膚に適用されたとき、着用者は柔らかさを感じることができる。
【0015】
また、不織布は、低い密度及び増加した空間体積を有するため、不織布は着用者の身体から排出された液体を素早く吸収体に伝達することができる。
【0016】
また、不織布は、少ない量の繊維を用いる場合にも、穿孔されていない不織布と同一の厚さを有するように製造され得る。即ち、不織布は、低坪量の資材を用いるにもかかわらず、穿孔されていない不織布と同一の厚さを有するように製造され、製造費を節減することができる。
【0017】
穿孔が十分な大きさのサイズを有するとき、表面シートは、穿孔の部分で窪むため、表面シートと着用者の皮膚との間に接触する面積を減少させることができる。また、表面シートと吸収体との間の距離が穿孔によって短くなる。よって、吸収体は、表面シートに含まれた水分を毛細管現象によって吸収することができる。その結果、表面シートと着用者の皮膚との間に接触する面積が減少するだけでなく、表面シートに含まれた水分が減少して、吸収製品の表面シートはサラサラ感を維持することができる。
【0018】
不織布に対する穿孔の比率が高い場合に、穿孔された不織布は、強度が低下し、穿孔の過程で変形され得る。この点から、穿孔されていない不織布とともに提供されても良い穿孔された不織布は、穿孔された不織布の上側または下側にラミネートされて、不織布の強度を低下させることなく、不織布に対する穿孔の高い比率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来の吸収性物品の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例による吸収性物品の一例を示す斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿った断面図である。
【図4】本発明の一実施例による吸収性物品に用いられる不織布ウェブを示す斜視図である。
【図5】カーディングステップ後に行われる穿孔ステップを概略的に示す図である。
【図6】図5における「A」部分の拡大図である。
【図7】オープニングされた繊維に対してカーディング及び穿孔を同時に行う場合を概略的に示す図である。
【図8】図7におけるVIII−VIII線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照して、本発明による、物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔された不織布ウェブを製造する方法及びその不織布ウェブを含む吸収性物品の実施例を説明する。
【0021】
図2は、本発明の一実施例による吸収性物品の一例を示す斜視図である。図3は、図2におけるIII−III線に沿った断面図である。図4は、本発明の一実施例による吸収性物品に用いられる不織布ウェブを示す斜視図である。
【0022】
図2及び図3を参照すると、本発明の一実施例によって構成される吸収性物品100は、着用者の身体から排出された液体または排出物を透過させる表面シート110と、表面シート110から透過した液体を保持する吸収体130と、吸収体130の下側に配置されれた、吸収体130に保持された液体の外部への漏出を防止するための背面シート140と、表面シート110及び吸収体130の間に配置された、表面シート110を透過した液体を吸収体130へ素早く送達するためのサージ層115とを含む。図2に示すように、吸収性物品100がおむつとして使用される場合、吸収性物品100は乳児の太ももに巻回させるための弾性体150と、乳児の腰に巻回させるためのウエストバンド160をさらに含み得る。
【0023】
表面シート110(「ライナ」とも呼ばれる)は、着用者の皮膚と直接的に接触する。表面シート110は、着用者の身体から排出された液体が、表面シート110を透過し、吸収体130へ素早く移動することを可能にする。よって、表面シート110は、湿潤性、親水性及び多孔性を有することが好適である。好ましくは、表面シート110は、密度が比較的低く、かつ体積が大きい不織布ウェブ材料から作製される。不織布ウェブ材料は、ポリエステルまたはポリプロピレンのような単一繊維から構成されるか、または、低融点成分及び高融点成分を有する2成分繊維または複合繊維から構成され得る。例えば、前記繊維には、ナイロン、ポリエステル、綿、アクリル繊維、またはそれらの組合わせが含まれ得る。前記2成分繊維は、ポリエステルのコア及びポリエチレンのシースから構成され得る。
【0024】
吸収体130は、表面シート110と背面シート140との間に配置され、液体を素早く吸収し保持する。一般に、吸収体130は、圧縮性及び柔軟性を有し、かつ、着用者の皮膚を刺激しないものである必要がある。例えば、吸収体130は、パルプ繊維か、あるいは高吸収性粒子と混合されたパルプ繊維から製造され得る。
【0025】
背面シート140は、吸収体130の下側に配置される。背面シート140は、吸収体130に保持されている液体が外部に排出して着用者の下着を汚さないように、液体不透過性のポリエチレンフィルムから製造され得る。
【0026】
サージ層115は、表面シート110と吸収体130との間に配置される。サージ層115は、表面シート110を透過した液体を素早く吸収すると共に、吸収した液体を吸収体130へ送達し、吸収された液体が着用者の皮膚に向かって染み出すことを防止する。サージ層115は、天然繊維または合成繊維から作製されたボンデッドカーデッドウェブ(bonded carded web)またはエアーレイドウェブ(air laid web)であり得る。ボンデッドカーデッドウェブは、例えば、パウダーボンデッドカーデッドウェブ(powder bonded carded web)、赤外線ボンデッドカーデッドウェブ(infrared bonded carded web)、または通気ボンデッドカーデッドウェブ(through air bonded carded web:TABCW)であり得る。
【0027】
サージ層115の吸収速度を増加させるため及びサージ層115の柔らかさを向上させるために、本発明の一実施例による物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔された不織布ウェブ120が、サージ層115として使用され得る。
【0028】
他の実施例では、本発明の一実施例による物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔された不織布ウェブ120は、表面シート110として使用され得る。
【0029】
さらに別の実施例では、本発明の一実施例による物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔された不織布ウェブ(有孔不織布ウェブ)120は、その上に無孔不織布ウェブ(穿孔していない不織布ウェブ)が積層された積層体の形態で、サージ層115として使用され得る。その場合、無孔不織布ウェブは、表面シート110と有孔不織布ウェブ120との間か、あるいは有孔不織布ウェブ120と吸収体130との間に配置され得る。無孔不織布ウェブには、スパンボンドウェブ(spun-bond web)、ボンデッドカーデッドウェブ、エアーレイドウェブなどが含まれ得る(ただし、これらに限定されない)。好ましくは、無孔不織布ウェブの坪量は10〜30gsmの範囲であり得る。
【0030】
表面シート110、不織布ウェブ120、吸収体130及び背面シート140は、当該技術分野で公知の通常の技術を用いて、様々な公知の形態の吸収性物品として製造され得る。例えば、上述の構成要素は、熱的または超音波ボンディング、高温溶融接着剤及びそれらの組合わせ、あるいは他の適切な接合手段を用いて互いに接合され得る。
【0031】
図4は、本発明の一実施例による、物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔された不織布ウェブを示す斜視図である。図4に示すように、不織布ウェブ120のシート121には複数の貫通孔122が形成されている。一実施例において、不織布ウェブ120は、繊維を混合するステップと、混合された繊維をオープニング(opening)するステップと、オープニングされた繊維をカーディング(carding)するステップと、カーディングされた繊維を物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔するステップと、穿孔された繊維をボンディング(bonding)するステップと、ボンディングされた繊維をフィニッシングする(finishing)ステップとを含む方法により製造される。
【0032】
混合するステップ、オープニングするステップ、カーディングするステップ、ボンディングするステップ、及びフィニッシングするステップは、当該技術分野で公知の通常の技術を用いて実施され得る。
【0033】
好ましくは、貫通孔の総面積は、有孔不織布ウェブの全面積の5〜80%の範囲であり得る。好ましくは、貫通孔の直径は2〜30mmの範囲であり得る。より好ましくは、特に吸収時間の観点からは、貫通孔の直径は5〜10mmの範囲であり得る。好ましくは、有孔不織布ウェブの坪量は、20〜400gsmの範囲であり得る。
【0034】
図5は、カーディングステップ後に行われる穿孔ステップを概略的に示す図である。図6は、図5における「A」部分の拡大図である。
【0035】
図5及び図6を参照すると、一実施例では、カーディングステップ後に、カーディングされた繊維に対して所定圧力の空気を噴射することによって、不織布ウェブ120に貫通孔が形成される。空気の噴射は、断続的にまたは連続的に所定時間行う。カーディングされた繊維121aを穿孔する一実施例では、エアーチューブ170を、カーディングされた繊維121aのシート121の表面に対して垂直に配置する。エアーチューブからカーディングされた繊維のシート121に向けて空気を噴射すると、シート121における空気の噴射を受けた部分が押し出されるかあるいは吹き飛ばされることによって、貫通孔または開口122aが形成される。このようにすることによって、ボンディングステップの前に、カーディングされた繊維121aのシート121に貫通孔または開口122aを形成することができる。その後、ボンディングステップを行うことによって、図4に示すような、貫通孔122を有する不織布ウェブが形成される。
【0036】
他の実施例では、図7及び図8に示すように、穿孔された不織布ウェブを製造すべく、カーディングするステップと穿孔するステップとを同時に行うこともできる。図7は、オープニングされた繊維に対してカーディング及び穿孔を同時に行う場合を概略的に示す図である。図8は、図7におけるVIII−VIII線に沿った断面図である。図7及び図8に示すように、オープニングされた繊維を、突起またはピン181を有するカーディングコンベヤ180上でカーディングすることによって、有孔不織布ウェブを製造することができる。前記突起またはピンは、円形または多角形の断面またはテーパ形状を有し得る。図8から明確に分かるように、オープニングされた繊維をカーディングコンベヤ180上でカーディングすると、カーディングコンベヤ180上に設けられた突起181で前記繊維を穿孔することによって、カーディングされた繊維121bのシートに、図6に示した貫通孔122aのような貫通孔を形成することができる。このようなカーディングステップの完了後、カーディングされた繊維121bのシートの表面及び/又は底面に対して所定の空気圧力または可変的な接触圧力を加えることにより、ボンディングステップが実施される。このようなボンディングステップによって、カーディングコンベヤ180の突起181に対応する形状及び大きさの貫通孔122(図4参照)が不織布ウェブ120に形成される。
【0037】
上述した穿孔工程によれば、不織布ウェブ120の製造時に、繊維の損失が生じない。また、物理的または熱的な圧力に起因する変形を引き起こさない。
【0038】
なお、穿孔工程についての上述の実施例は、例示のみを目的として提供されるものであり、本発明を上述の特定の工程に限定することを意図するものではない。不織布ウェブの穿孔は、物理的または熱的な圧力に起因する変形を引き起こさない他の様々な方法を用いて実施しても良い。
【0039】
下記の表1は、無孔不織布ウェブ及び本発明の一実施例による空気噴射により穿孔された有孔不織布ウェブの厚さの値及び密度の値を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
コードC:TABCW材料の不織布ウェブ(80gsm、穿孔されていない)
コードG:TABCW材料の不織布ウェブ(70gsm、穿孔されていない)
コードF:TABCW材料の不織布ウェブ(70gsm、空気噴射により穿孔された)
【0042】
表1に示すように、同一条件下の場合、不織布ウェブの坪量を減少させると(例えば、コードCとコードGとの比較)、密度が減少し、厚さも小さくなる。しかし、本発明による穿孔された不織布ウェブ(コードF)は、コードCよりも坪量が小さい材料を使用するにもかかわらず、コードCとほぼ同じ厚さ及びコードCよりも低い密度を有する。さらに、本発明による穿孔された不織布ウェブ(コードF)は、コードGと坪量が同一の材料を使用するにもかかわらず、コードGよりも厚さが大きく、かつコードGよりも密度が低い。したがって、本発明による穿孔された不織布ウェブ(コードF)は、コードC及びコードGよりも坪量が少ない材料を使用するにもかかわらず、厚さをより大きくすると共に密度をより低くすることができるので、原材料の使用量を節減することができる。
【0043】
下記の表2は、不織布ウェブ製のサージ層を含む吸収性物品の液体吸収速度及び水分蒸発量の実験結果を示す。前記吸収性物品は、サージ層のみが異なり、サージ層を除いた他の構成要素は同一である。
【0044】
【表2】

【0045】
コードC:TABCW材料(80gsm、穿孔されていない)のサージ層を含む吸収性物品
コードF:TABCW材料(70gsm、空気噴射により穿孔された)のサージ層を含む吸収性物品
【0046】
表2に示すように、穿孔された不織布ウェブを含む吸収性物品(コードF)の吸収時間は、コードCの吸収性物品の吸収時間よりも約10〜17%短い。また、穿孔された不織布ウェブを含む吸収性物品(コードF)の水分蒸発量は、コードCの吸収性物品の水分蒸発量よりも約15%高い。したがって、本発明による吸収性物品は、着用者の身体から排出された液体を素早く吸収することができると共に、1秒当りの水分蒸発量が高いので、サラサラ感を長時間維持することができる。
【0047】
以上で説明した本発明は前述した実施例及び添付の図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であるということが本発明の属する分野で通常の知識を有する者において明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔された不織布ウェブを製造する方法であって、
繊維を混合するステップと、
前記混合された繊維をオープニングするステップと、
前記オープニングされた繊維をカーディングするステップと、
前記カーディングされた繊維を物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔するステップと、
前記穿孔された繊維をボンディングするステップと、
前記ボンディングされた繊維をフィニッシングするステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記穿孔するステップが、所定圧力の空気を前記カーディングされた繊維に向かって断続的に噴射して、貫通孔を形成すると共に前記貫通孔の周囲の前記カーディングされた繊維を押し広げることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カーディングするステップ及び前記穿孔するステップが、前記オープニングされた繊維を突起を有するコンベヤ上でカーディングすることにより同時に行われ、
前記ボンディングするステップが、前記不織布ウェブの表面及び/又は底面に対して所定の空気圧力または可変的な圧力を加えることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の方法によって製造されることを特徴とする物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔して貫通孔を形成した不織布ウェブ。
【請求項5】
前記貫通孔の総面積が前記不織布ウェブの全面積の5〜80%の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の不織布ウェブ。
【請求項6】
前記貫通孔の直径が2〜30mmの範囲であることを特徴とする請求項4に記載の不織布ウェブ。
【請求項7】
前記貫通孔の直径が5〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項6に記載の不織布ウェブ。
【請求項8】
前記不織布ウェブの坪量が20〜400gsmの範囲であることを特徴とする請求項4に記載の不織布ウェブ。
【請求項9】
吸収性物品であって、
液体透過性の表面シートと、
液体不透過性の背面シートと、
前記表面シート及び前記背面シートの間に配置された、前記表面シートを透過した液体を吸収するための吸収体と、
前記表面シート及び前記吸収体の間に配置された、前記表面シートを透過した液体を前記吸収体へ送達するためのサージ層とを含み、
前記サージ層が、請求項4に記載の物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔して貫通孔を形成した不織布ウェブを含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
前記貫通孔の総面積が前記不織布ウェブの全面積の5〜80%の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記貫通孔の直径が2〜30mmの範囲であることを特徴とする請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記貫通孔の直径が5〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項11に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記不織布ウェブの坪量が20〜400gsmの範囲であることを特徴とする請求項9に記載の吸収性物品。
【請求項14】
吸収性物品であって、
液体透過性の表面シートと、
液体不透過性の背面シートと、
前記表面シート及び前記背面シートの間に配置された、前記表面シートを透過した液体を吸収するための吸収体と、
前記表面シート及び前記吸収体の間に配置された、前記表面シートを透過した液体を前記吸収体へ送達するためのサージ層とを含み、
前記サージ層が、請求項4に記載の物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔して貫通孔を形成した有孔不織布ウェブと、前記有孔不織布ウェブ上に積層させた無孔不織布ウェブとを含む積層体を含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項15】
前記貫通孔の総面積が前記有孔不織布ウェブの全面積の5〜80%の範囲であることを特徴とする請求項14に記載の吸収性物品。
【請求項16】
前記貫通孔の直径が2〜30mmの範囲であることを特徴とする請求項14に記載の吸収性物品。
【請求項17】
前記貫通孔の直径が5〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項16に記載の吸収性物品。
【請求項18】
前記有孔不織布ウェブの坪量が20〜400gsmの範囲であることを特徴とする請求項14に記載の吸収性物品。
【請求項19】
前記無孔不織布ウェブの坪量が10〜30gsmの範囲であることを特徴とする請求項14に記載の吸収性物品。
【請求項20】
吸収性物品であって、
液体透過性の表面シートと、
液体不透過性の背面シートと、
前記表面シート及び前記背面シートの間に配置された、前記表面シートを透過した液体を吸収するための吸収体と、
前記表面シート及び前記吸収体の間に配置された、前記表面シートを透過した液体を前記吸収体へ送達するためのサージ層とを含み、
前記表面シートが、請求項4に記載の物理的または熱的変形を生じさせることなく穿孔して貫通孔を形成した不織布ウェブを含むことを特徴とする吸収性物品。
【請求項21】
前記貫通孔の総面積が前記不織布ウェブの全面積の5〜80%の範囲であることを特徴とする請求項20に記載の吸収性物品。
【請求項22】
前記貫通孔の直径が2〜30mmの範囲であることを特徴とする請求項20に記載の吸収性物品。
【請求項23】
前記貫通孔の直径が5〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項22に記載の吸収性物品。
【請求項24】
前記不織布ウェブの坪量が20〜400gsmの範囲であることを特徴とする請求項20に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−503107(P2012−503107A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527742(P2011−527742)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005255
【国際公開番号】WO2010/032951
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(501451680)ユーハン−キンバリー リミテッド (7)
【Fターム(参考)】