説明

特に単筒式ショックアブソーバのロッドのための密封式案内ユニット、及び該密封式案内ユニットのための環状シール組立体

【課題】非常に低い動作温度(−40℃〜+200℃)に容易に耐え、特にショックアブソーバのロッドの往復運動方向において小さな大きさを有し、製造及び取付が容易であると共に費用効率が高い、単筒式ショックアブソーバのロッドのための密封式案内ユニット、及び密封式案内ユニットのためのシール組立体を提供すること。
【解決手段】シール組立体8は、弾性材料から作られているシールリング12であって、ロッド2と接触状態で協働するためにカップ状シート9内部に環状シールリップ13を有しているシールリング12と、ブッシュ6の端部に配置されているフランジ状部分15とスリーブ状部分16とを有していると共に、シールリング12内に埋設されている金属製の補剛構造部14と、シールリング12の弾性材料より高剛性な低摩擦材料から作られている補剛リング18とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単筒式ショックアブソーバのロッドのための密封式案内ユニットに、及び該密封式案内ユニットに設けられる環状シール組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
液圧で動作する単筒式ショックアブソーバは、自動車両及び他の産業の分野において広く利用されており、平均が約20barでありピークが100barに到達する比較的高い液圧の下で動作するようになっている。このような高い動作圧力を考慮すると、利用時におけるショックアブソーバ本体自体のピストンの往復運動と対称を為す、ショックアブソーバに内蔵されている加圧されたオイルに対する密封は、ショックアブソーバのロッドの案内と同様に、密封式案内ユニットによって為される。このような密封式案内ユニットは、
− ロッドによって完全に係合されていると共に、ショックアブソーバのショックアブソーバ本体内に液密に取り付けられているブッシュと、
− 特許文献1に開示されるタイプのブッシュを有しているシール組立体と、
を備えている。
【0003】
従来技術のこのようなシール組立体は、独立して装着される多くの要素を備えている。このことが、比較的扱いにくくし、取り付けを複雑にし、温度が低下すると性能劣化する傾向にある。特に、特許文献1の主シール要素を構成するゴム製リングが、FKMとして知られている合成フッ化弾性材料から作られている。シール組立体の最小動作温度は、摂氏−15℃よりも低くなく、そうでない場合であっても、現行の分野は、摂氏−40℃の最小動作温度を要求している。
【0004】
ショックアブソーバのロッドのためのシール組立体とシール組立体の案内ユニットとは、疲労応力に耐え、これにより比較的長時間に亘り有効性を維持するに適している。このことは、特許文献2及び特許文献3から知られている。しかしながら、特許文献2に開示されるシール組立体は、単筒式ショックアブソーバにおける利用に適合されておらず、特許文献3におけるシール組立体と同様に、特許文献1のアキシアル方向の大きさよりも小さなアキシアル方向の大きさを有しているが、同一の動作ストロークを維持しているショックアブソーバの全体的な大きさ及び重量を低減させることを目的として依然として比較的高かった。さらに、シール組立体の弾性部品のスライディングリップの経年的な性能をさらに改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国実用新案登録出願第8201327号明細書
【特許文献2】欧州特許第1074760号明細書
【特許文献3】欧州特許出願第06425875号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、先行技術の欠点を解消する、特に単筒式ショックアブソーバでの利用に適合され、非常に低い動作温度、より一般的には例えば−40℃〜+200℃の温度範囲の動作温度に容易に耐え、特にアキシアル方向、すなわちショックアブソーバのロッドの往復運動方向において小さな大きさを有し、製造及び取付が容易であると共に費用効率が高く、多数の機能が統合されている、単筒式ショックアブソーバのロッドのための密封式案内ユニット、及び該密封式案内ユニットのためのシール組立体を提供することである。
【0007】
本発明では、密封式案内ユニットは、請求項1に規定するように、特に単筒式ショックアブソーバのために、このように提供される。このような密封式案内ユニットのためのシール組立体が、請求項9に規定するようにさらに提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このシール組立体の形状及び本発明における案内ユニットそれぞれの形状によって、利用時にシールリップのラジアル方向における最大変形を制限することができるので、極めて高い圧力ピークが存在しても、温度低下に伴う既知の性能劣化を回避する一方で改善された密封状態の持続時間を徐々に伸ばすという相乗効果を得ることができ、同時に密封式案内ユニットのアキシアル方向における全体的な大きさを低減することができる。
【0009】
さらに、構造及び組立を多様に単純化することができるので、経済的に大きな利点を得ることができる。そして、より小型なロッドの案内機構が提供されるので、同一の動作ストロークを維持しているショックアブソーバの全長及び重量を低減することができる。
【0010】
最後に、本発明における密封式案内ユニットは事前に組立可能とされ、これにより単一操作で密封式案内ユニットをショックアブソーバ本体に結合することができる。ブッシュ−シール組立体に存在するユニットのアキシアル方向の大きさをさらに著しく低減させることができる。
【0011】
本発明は、非限定的な実施例を表わす添付図面を参照しつつ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明における密封式案内ユニットを備えているショックアブソーバの一部分の、ラジアル方向における縦断面である。
【図2】図1に表わす密封式案内ユニットに設けられたシール組立体の、ラジアル方向における拡大された縦断面図である。
【図3】図1に表わす動作状態における、図2に表わすシール組立体の有限要素シミュレーションの結果を表わす。本発明では、シールリップに負荷されると共に補剛リングの作用によってシールリングを囲んでいる領域によって部分的に吸収される、応力分散を改善することによって、シールリップの摩擦及び磨耗を劇的に低減可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図3を参照すると、参照符号1は、利用時にオイルが充填され且つピストン(図示しない)が通過すると共に内側壁5によってその境界が形成されている、ショックアブソーバ本体4を有している単筒式ショックアブソーバ3のロッド2のための密封式案内ユニット1全体図を示すが、単純化のために部分的にのみ表わし、その他の部分に関しては既知である。密封式案内ユニット1は、ショックアブソーバ本体4を閉塞するように、内側壁5に接触して密液状態で組み込まれ、ロッド2が滑動するアキシアル方向の対称軸線に相当する対称軸線Aを有している。
【0014】
密封式案内ユニット1は、既知の構成配置に従えば、
− 利用時にショックアブソーバ2のショックアブソーバ本体4の内側壁5に液密状態で固定されていると共に、利用時に対称軸線Aに関して対称とされ、ロッド2によって完全に係合されているロッド案内用環状ブッシュ6と、
− 対称軸線Aに関して対称とされ、利用時に、ショックアブソーバ本体4の内側に面している環状ブッシュ6の第1の端部10に形成されているカップ状シート9内部に組み込まれ、特に、ショックアブソーバ本体4の内側に向かって面している第1の端部10の面11の前方に形成されているシール組立体8と、
を備えている。
【0015】
従って、図2も表わすように、シール組立体8は、弾性材料から作られていると共に環状シールリップ13を有しているシールリング12を備えている。該環状シールリップは、利用時にロッド2と滑動可能に協働するために、カップ状シート9内においてラジアル方向及びアキシアル方向に突出している。
【0016】
シール組立体は、例えば金属製の補剛構造部14をさらに備えているが、該補剛構造部は、如何なる場合においても、シールリング12の弾性材料よりも遙かに高剛性な弾性変形可能な材料から作られている。補剛構造部14は、
− 環状ブッシュの第1の端部10と当接状態で協働するフランジ状部分15と、
− 環状シールリップ13も傾斜して突出している方向の反対方向において、対称軸線Aに対して傾斜した状態でカップ状シート9内部に突出しているスリーブ状部分16と、
を有している。
【0017】
スリーブ状部分16が、環状シールリップ13自体の根元部分17の側面において少なくとも部分的に環状シールリップ13の側方に位置するように、シールリング12内に埋設されている。
【0018】
本発明の一の実施態様では、シール組立体8は、環状シールリップ13の対称軸線Aに向かって突出している方向の反対方向に設けられている、シールリング12の環状シート19内に嵌め込み式で取り付けられている補剛リング18をさらに備えている。補剛リング18は、カップ状シート9の底部壁20に対してアキシアル方向においてロックされた状態で配置されているように、底部壁20と環状ブッシュ6に面している環状シールリップ13の根元部分17の第1のフランク21との間に挿置されている。
【0019】
補剛リング18は、利用時に、ロッド2によって完全に係合され(図1参照)、本発明の一の実施態様では、摩擦係数が低いがシールリング12の弾性材料よりも高剛性な材料から作られており、補剛構造部14の反対側において、補剛構造部14のスリーブ状部分16の少なくとも1つの末端部22の側方に位置するまでカップ状シート9内部に向かってアキシアル方向に延在している。
【0020】
環状ブッシュ6の存在を考慮しないでシール組立体8単独に注目すると(図2参照)、環状シールリップ13は、対称軸線Aに対して傾斜している第1の傾斜方向において該環状シールリップの対称軸線Aに向かってラジアル方向及びアキシアル方向に突出している。補剛構造部14は、フランジ状部分15によって形成されているアセンブリ部分を備えている。スリーブ状部分16が、環状シールリップ13自体が対称軸線Aに向かって突出している方向の反対方向において、該フランジ状部分からオーバーハング状態で延在しており、該フランジ状部分が、対称軸線Aに向かって傾斜して突出している。
【0021】
上述のように、補剛構造部14のスリーブ状部分16は、シールリング12の根元部分17の側面において少なくとも部分的に環状シールリップ13の側方に位置するように、シールリング12内に埋設されており、補剛リング18は、環状シールリップ13の対称軸線Aに向かって突出している方向の反対方向に設けられている、環状シート19内に嵌め込み式で取り付けられており、これにより補剛リング18が、補剛構造部のスリーブ状部分16の末端部22に面している環状シールリップ13の根元部分17の側面21に当接して配置されている。
【0022】
スリーブ状部分16が、フランジ状部分15から、特に対称軸線Aに面している該フランジ状部分のラジアル方向内側縁部23から、環状シールリップ13の反対側からオーバーハング状態で延在している一方、該フランジ状部分は、ラジアル方向断面において、根元部分17からオーバーハング状態でスリーブ状部分16と共に鈍角を形成する方向に延在している(図2参照)。
【0023】
シールリング12は、根元部分17のフランク22の反対側に、補剛構造部14のフランジ状部分15と略同一平面上に配置されていると共にラジアル方向内側縁部23に内接している前方の環状溝24を有している。スリーブ状部分16は、ラジアル方向内側縁部23から離隔している。
【0024】
特に環状溝24は、シールリング12内において、環状シールリップ13のシールリップ25の反対側における環状シールリップ13の少なくとも一部分と補剛構造部14のスリーブ状部分16の少なくとも一部分との間に所定のラジアル方向間隙を形成する、アキシアル方向深さに沿って延在している。これにより、環状シールリップ13は、利用時に(図3参照)、補剛構造部14に向かって変形可能とされるが、スリーブ状部分16によって支持されている。スリーブ状部分16は、本発明のさらなる実施態様では、少なくとも部分的に弾性変形可能され、その結果として利用時にカップ状シート9の側壁に向かって屈曲可能なように形成されている。
【0025】
本発明の他の実施態様では、補剛リング18のラジアル方向断面が略L字状とされる。該補剛リングが、アキシアル方向においてシールリング12の環状シート19の入口開口部27に収容されているフランジ状部分26と、スリーブ状部分28の自由端において環状シールリップ13の根元部分17の第1のフランク21と接触状態で協働するスリーブ状部分28とを備えているためである。
【0026】
さらに、組み合わせて、補剛構造部14のスリーブ状部分16の末端部22が、シールリング12内において、所定の長さに沿って補剛リング18のスリーブ状部分28が延在しているアキシアル方向の反対方向に延在しており、これによりシールリップ12の根元部分17が、その両側で補剛リング18とスリーブ状部分16との間において容器を密封して挟み込んだ状態を維持することができる。スリーブ状部分16は、弾性的であるが、如何なる場合においても環状シールリップ13よりも高剛性である。
【0027】
特に補剛リング18のスリーブ状部分は、入口開口部27と第1のフランク21との間においてシールリング12の環状シート19内に、環状シールリップ13の根元部分17の第1のフランクと、環状歯29の形状と噛み合う形状を有していると共にシールリング12に一体に形成されている環状相手歯30と、の間に係合されているラジアル方向環状歯29を有している。補剛構造部14のスリーブ状部分16の末端部22は、環状歯29近傍の内部に延在している。
【0028】
本発明の第2の実施態様でない実施態様では、シールリング12は、NBR(ニトリルゴム)、HNBR(水素化ニトリルゴム)、及びFMK(フッ素ゴム;FMKの特徴は、ASTM D1418によって策定されている。記号FMKは、フッ化物の含有率において互いに相違し、且つ、例えばTFEとして知られているテトラフルオロエチレンやHFPとして知られているヘキサフルオロプロピレンのような他の成分に加えて、主にフッ化ビニリデンから成る、フッ素エラストマのファミリーを示す。)の中から選択される弾性材料から作られている。
【0029】
このような材料の選択と組み合わせて、利用時にロッド2によって滑動するように係合されている補剛リング18が、銅、グラファイト、ガラス繊維材料、及びこれら材料の組み合わせの中から選択された材料が充填されているPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPA(ポリアミド)の中から選択された材料から作られている。特にグラファイトは摩擦の低減に貢献する一方、銅は磨耗の低減に貢献する。
【0030】
本発明の他の実施態様では、ロッド案内用ブッシュ6のカップ状シート9の底部壁20と補剛リング18との間には、比較的高剛性な金属材料又は合成プラスチック材料から作られている平坦なリング31が配置されている。リング31は、カップ状シート9の底部壁20の伸長部分の略全体の上にラジアル方向に延在しており、カップ状シート9の底部壁20と環状シールリップ13の反対側に位置するシールリング12の末端部32との間に挿置されており、補剛構造部から自由になっており、補剛構造部14のスリーブ状部分16の末端部22に直接隣り合って配置されている。
【0031】
密封式案内ユニット1の一体性を高めるために、シールユニット12は、フランジ状部分33を有している。フランジ状部分33は、ロッド案内用ブッシュ6の第1の端部10の面11全体を覆うためにラジアル方向に延在しており、フランジ状部分33と第1の端部10との間に挿置されている補剛構造部14のフランジ状部分15によって少なくとも部分的に支持されている。さらに、フランジ状部分33は、ラジアル方向外側が薄肉とされると共に無変形状態において略トロイダル状の周縁部34を有している(図2参照)。周縁部34は、環状ブッシュ10の端部の周縁部36において環状溝35と嵌め込み式で係合し、利用時にはショックアブソーバ本体4の側壁5との締り嵌めを介して、該側壁の静的密封作用をショックアブソーバ本体4に内蔵されたオイルに対して作用させるように協働する。
【0032】
最後に図3を参照すると、上述の構造によって、効果的な液体密封を得るために必要な接触圧力を低減することなく、環状シールリップ13に作用する負荷を低減させるように、負荷が分散されることは明らかである。このような状況が、驚くべきことに寿命(time)を引き延ばし、マイナス40℃という非常に低い温度においても発生するので、一般にはこのような温度では完全に効果を発揮させることができないが、例えば標準的なFKMのような材料との効果的な液体密封を得ることができる。さらに、極めて小型で全体的に一体化された密封式案内ユニットを得ることができる。本発明における密封式案内ユニット1は、例えば環状ブッシュ6内に完全に挿入されていると共にロッド2のための摩擦係数が低い案内スリーブ37、第1の端部10の反対側において環状ブッシュ6の外側に取り付けられているダストブーツ38のような、通常のアクセサリと一体化可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0033】
1 密封式案内ユニット
2 ロッド
3 ショックアブソーバ
4 ショックアブソーバ本体
5 内側壁
6 環状ブッシュ
8 シール組立体
9 カップ状シート
10 第1の端部
11 面
12 シールリング
13 環状シールリップ
14 補剛構造部
15 フランジ状部分
16 スリーブ状部分
17 根元部分
18 補剛リング
19 環状シート
20 底部壁
21 第1のフランク
22 末端部
23 ラジアル方向内側縁部
24 環状溝
25 シールリップ
26 フランジ状部分
27 入口開口部
28 スリーブ状部分
29 環状歯
30 環状相手歯
31 リング
33 フランジ状部分
34 周縁部
35 環状溝
36 周縁部
37 案内スリーブ
38 ダストブーツ
A 対称軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単筒式ショックアブソーバ(3)のロッド(2)のための密封式案内ユニット(1)であって、
− 利用時に前記単筒式ショックアブソーバ(3)の本体(4)の内側壁(5)に液密に固定されていると共に、前記ロッド(2)によって完全に係合されているロッドを案内するための環状ブッシュ(6)と、
− 利用時に前記本体(4)の内側に面している前記ブッシュの第1の端部(10)に形成されているカップ状シート(9)内部に組み込まれているシール組立体(8)と、
− 弾性材料から作られているシールリング(12)であって、利用時に前記ロッド(2)と滑動可能に協働するために前記カップ状シート(9)内部においてラジアル方向及びアキシアル方向に突出している、環状シールリップ(13)を有している前記シールリング(12)と、
− 前記ブッシュの前記第1の端部(10)と当接状態で協働するフランジ状部分(15)と、前記カップ状シート(9)内部において、前記環状シールリップ(13)が突出している方向の反対方向に傾斜して突出しているスリーブ状部分(16)であって、前記環状シールリップ(13)自体の根元部分(17)の側面において前記環状シールリップ(13)の側方に少なくとも部分的に位置するように、前記シールリング(12)内に埋設されている前記スリーブ状部分(16)とを有している例えば金属製の補剛構造部(14)と、
を備えている前記密封式案内ユニット(1)において、
前記密封式案内ユニット(1)が、補剛リング(18)が前記カップ状シート(9)の底部壁(20)に対してアキシアル方向にロックされた状態で配置されるように、前記シールリップ(13)が突出している方向の反対方向に設けられている前記シールリング(12)の環状シート(19)内に嵌め込み式で取り付けられている前記補剛リング(18)であって、前記ブッシュ(6)に面している前記根元部分(17)の前記底部壁(20)と第1のフランク(21)との間に挿置されている前記補剛リング(18)を備えており、
前記補剛リング(18)が、利用時に前記ロッド(2)によって貫通状態で係合されており、前記シールリング(12)の弾性材料より高剛性な低摩擦材料から作られており、前記補剛構造部(14)の前記スリーブ状部分(16)の少なくとも1つの末端部(22)の側方に位置するまで、前記カップ状シート(9)内において且つ前記補剛構造部と反対側の側面においてアキシアル方向に延在していることを特徴とする密封式案内ユニット。
【請求項2】
前記スリーブ状部分(16)が、前記環状シールリップ(13)と反対側の側面において前記フランジ状部分(15)からオーバーハング状態で延在している一方、前記環状シールリップ(13)が、ラジアル方向において前記スリーブ状部分(16)と鈍角を形成する方向において前記根元部分(17)からオーバーハング状態で延在しており、
前記シールリング(12)が、前記根元部分(17)の前記第1のフランク(21)の反対側の側面に、前記フランジ状部分(15)と略同一平面上に配置されていると共に前記フランジ状部分(15)のラジアル方向内側縁部(23)に内接している前方の環状溝(24)を有しており、
前記スリーブ状部分(16)が、前記フランジ状部分(15)から離隔していることを特徴とする請求項1に記載の密封式案内ユニット。
【請求項3】
前記環状溝(24)が、前記環状シールリップ(13)のシールリップ(25)の反対側の側面において前記環状シールリップ(13)の少なくとも一部分と前記スリーブ状部分(16)の少なくとも一部分との間における所定のラジアル方向間隙を規定するように、アキシアル方向深さの近傍において前記シールリング内において延在していることを特徴とする請求項2に記載に密封式案内ユニット。
【請求項4】
前記補剛リング(18)のラジアル方向断面が、略L字状とされ、
前記補剛リング(18)が、
− 前記環状シールリングの前記環状シートの入口開口部(27)内にアキシアル方向において収容されているフランジ状部分(26)と、
− スリーブ状部分(28)の自由端において、前記根元部分(17)の前記第1のフランク(21)と接触状態で協働している前記スリーブ状部分(28)と、
を備えており、
前記補剛構造部の前記スリーブ状部分の前記末端部(22)が、前記シールリング(12)内部において、前記根元部分(17)が両側で前記補剛構造部の前記補剛リング(18)と前記スリーブ状部分(16)との間に挟み込まれた状態を維持する長さで、前記補剛リングの前記スリーブ状部分(28)が延在しているアキシアル方向の反対方向に延在しており、
前記補剛構造部が、少なくとも部分的に弾性変形可能とされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の密封式案内ユニット。
【請求項5】
前記補剛リングの前記スリーブ状部分(28)が、前記シールリップの前記根元部分の前記第1のフランク(21)と係合形態を有している環状相手歯(30)との間に係合されている、ラジアル方向の環状歯(29)を有しており、
前記環状歯(29)が、環状シート(19)内部において且つ前記入口開口部(27)と前記シールリップの前記根元部分の前記第1のフランク(21)との間において前記シールリング(12)に一体形成されており、
前記補剛構造部の前記スリーブ状部分(22)の前記末端部が、ラジアル方向の環状歯(28)の近傍に至るまで延在していることを特徴とする請求項4に記載の密封式案内ユニット。
【請求項6】
前記シールリング(12)が、NBR、HNBR、及びFMKのうちいずれかの弾性材料から作られており、
前記補剛リング(18)が、銅、グラファイト、グラスファイバ、及びこれらの組み合わせのうちいずれかの材料が充填された、PTFE又はPAから作られていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の密封式案内ユニット。
【請求項7】
比較的高剛性な合成プラスチック材料から作られているリング(31)が、前記カップ状シート(9)の前記底部壁(20)と前記補剛リング(18)との間に配置されており、
前記リング(31)が、前記カップ状シートの前記底部壁の延在部分の略全体にラジアル方向に延在しており、前記カップ状シートと、前記環状シールリップ(13)の反対側に配置されると共に前記補剛構造部から自由とされる末端部(32)との間に挿置されており、前記補剛構造部の前記スリーブ状部分の前記末端部(22)に直接隣り合って配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の密封式案内ユニット。
【請求項8】
前記シールリング(12)が、利用時に前記ショックアブソーバの前記本体の内側に面している前記ブッシュの前記第1の端部(10)の面(11)全体を覆うようにラジアル方向に延在していると共に、前記補剛構造部の前記フランジ状部分(15)によって少なくとも部分的に支持されている、フランジ状部分(33)を有しており、
前記フランジ状部分(15)が、前記シールリングの前記フランジ状部分(33)と前記ブッシュの前記第1の端部(10)との間に挿置されており、
前記シールリングの前記フランジ状部分が、ラジアル方向内側において薄肉になっている周縁部(34)を有しており、
前記周縁部(34)が、無変形状態において略トロイダル状の形態とされ、前記ブッシュの前記第1の端部の周縁部(36)に形成された環状溝(35)に嵌め込み式で係合し、利用時に前記ショックアブソーバの前記本体の前記内側壁(5)と締り嵌めすることによって静的シール効果を発揮させるように協働することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の密封式案内ユニット。
【請求項9】
特に単筒式ショックアブソーバ(3)のロッド(2)のためのシール組立体(8)であって、
弾性材料から作られているシールリング(12)であって、対称軸線(A)に関する第1の斜め方向において環状シールリップ(13)の対称軸線(A)に向かってラジアル方向及びアキシアル方向に突出している、前記環状シールリップ(13)を有している前記シールリング(12)と、
フランジ状部分(15)と、前記環状シールリップ(13)が突出している方向の反対方向において前記対称軸線(A)に向かって傾斜して突出しているスリーブ状部分(16)であって、前記環状シールリップ(13)自体の根元部分(17)の側面において前記環状シールリップ(13)の側方に少なくとも部分的に位置するように、前記シールリング(12)内に埋設されている前記スリーブ状部分(16)と、を有している例えば金属製の補剛構造部(14)と、
を備えている前記シール組立体(8)において、
前記シール組立体(8)が、補剛リング(18)が前記スリーブ状部分(16)の末端部(22)の側面に面している前記根元部分(17)の第1のフランク(21)に対して配置されるように、前記環状シールリップ(13)が突出している方向の反対側に設けられている前記シールリングの環状シート(19)内に嵌め込み式で取り付けられており、
前記補剛リング(18)が、利用時に前記ロッド(2)によって貫通状態で係合されるように適合されており、前記シールリングの弾性材料より高剛性な低摩擦材料から作られており、少なくとも1つの前記末端部(22)の側方に位置するまで、前記補剛構造部と反対側の側面においてアキシアル方向に延在していることを特徴とするシール組立体。
【請求項10】
前記補剛リング(18)が、ラジアル方向において略L字状とされ、
前記補剛リング(18)が、
− 前記環状シールリングの前記環状シートの入口開口部内にアキシアル方向において収容されているフランジ状部分(26)と、
− さらなるスリーブ状部分(28)の自由端において、前記根元部分(17)の前記第1のフランク(21)と接触状態で協働している前記さらなるスリーブ状部分(28)と、
を備えており、
前記補剛構造部の前記さらなるスリーブ状部分の前記末端部(22)が、前記シールリング(12)内部において、前記シールリップ(12)の前記根元部分(17)が両側で前記補剛リング(18)と前記補剛構造部の前記スリーブ状部分(16)との間に挟み込まれている所定長さの近傍で、前記さらなるスリーブ状部分(28)が延在しているアキシアル方向の反対方向に延在しており、
前記補剛構造部が、少なくとも部分的に弾性変形可能とされることを特徴とする請求項9に記載のシール組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−52659(P2012−52659A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−171828(P2011−171828)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(508282993)アクティエボラゲット・エスコーエッフ (42)
【Fターム(参考)】