説明

特に金属製品を圧延する圧延スタンド

【解決手段】この発明は、一対として第一ローラを支持する第二ローラと接触される一対の第一ローラを有し、第一ローラ及び第二ローラが中心平面(4)に関して非対称的に形成された半径経過(CVC摩面)を備えている金属品を圧延する圧延スタンドに関する。第一ローラを支持する第二ローラの楔性を最適稼働条件が調整するように形成するために、この発明は、第二ローラの半径経過が三次或いは五次多項式により与えられ、係数間の関係(比)に特殊な関係(式)が与えられていることを企図する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に金属製品を圧延する圧延スタンドに関し、この圧延スタンドが一対の第一ローラを有し、一対の第一ローラを支持する第二ローラと接触されていて、第一ローラ並びに第二ローラが中心平面に関して非対称に形成された半径経過(CVC摩面)を備えていて、第一ローラの半径経過が第三或いは第五次多項式によって描かれている。
【背景技術】
【0002】
そのような圧延スタンドは欧州特許第1307302号明細書(特許文献1)から知られている。そこで、上記種類の多項式経過が半径経過として企図され、ローラ軸受の軸方向力を最小化させて、半径経過の適切な選択によって水平方向に作用するモーメントが追加費用なしに最小化され得る。CVCワークローラプロフィルの楔割合が特に重要である。ワークローラ摩面或いはワークローラプロフィルの楔度がトルク或いは軸方向力を回避するために最適化されるように敷設が行われる。このために、多項式(a1 )の直線割合が最適パラメータとして使用される。それによりローラの交差(クロッセン)が回避され、軸方向力がローラ軸受において最小化される。
【0003】
欧州特許第1307302号明細書(特許文献1)による上記解決策は、円筒状支持ローラと協働するワークローラのプロフィルから生じる。このプロフィルに、ワークローラの楔性が完全に合わせられる。ストリッププロフィル調整範囲を更に増加させるために、CVCシステムの調整範囲を拡大する試みが存在する。この場合には、ワークローラと支持ローラの間に高い面圧を回避するために、増大的にCVCワークローラが使用される。無論、最適条件が努められるときに、バックアップ(支持)ローラのCVC輪郭の楔性を最適化するために、ワークローラにおけるのと同じ敷設を使用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1307302号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故に、この発明の課題は、第一ローラを支持する第二ローラの楔性(少なくとも、しかし、独占的でない:ワークローラと協働するバックアップローラの楔性)は、最適稼働条件が調整するように実施される前記種類の圧延スタンドを形成させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明によるこの課題の解決策は、第一実施態様によると、前記種類の圧延スタンドの際に第一ローラの半径経過が設けられていて、式を満たす:

AW(x)=a0 +a1 ・x+a2 ・x2 +a3 ・x3
AW(x): 第一ローラの半径経過
x : バレン中心の原点(x=0)を備えるバレン縦方向の座標
0 : 第一ローラの実効半径
1 : 最適化パラメータ(楔要因)
2 ,a3 : 係数(CVCシステムの調整範囲)
を備える。
【0007】
この場合には、第二ローラの半径経過のために、機能が設けられている:

SW(x)=s0 +s1 ・x+s2 ・x2 +s3 ・x3 SW(x): 第二ローラの半径経過
x : バレン中心の原点(x=0)を備えるバレン縦方向の座標
0 : 第二ローラの実効半径
1 : 最適化パラメータ(楔要因)
2 ,s3 : 係数(CVCシステムの調整範囲)
を備える。

ここで、上記量の間に次の式が成り立つ:
1 =f1 ・[RSW/RAW・(b2 contAW−b2 contSW)・a3 +b2 contSW・s3
contAW: 両第一ローラの接触長さ
contSW: 第一と第二ローラ間の接触長さ或いは第二ローラの長さ
1 =−1/20〜−6/20
【0008】
第一ローラの半径経過の係数の間に特に: a1 =f1 ・a3 ・b2 contAW が成り立ち、 f1 =−1/20〜−6/20を備える。
【0009】
選択的解決策は、前記種類の圧延スタンドでは第一ローラの半径経過を企図し、その半径経過が式を満たす:

AW(x)=a0 +a1 ・x+a2 ・x2 +a3 ・x3 +a4 ・x4 +a5 ・x5
AW(x): 第一ローラの半径経過
x : バレン中心の原点(x=0)を備えるバレン縦方向の座標
0 : 第一ローラの実効半径
1 : 最適化パラメータ(楔要因)
2 〜a5 : 係数(CVCシステムの調整範囲)
を備える。
【0010】
この場合には、第二ローラの半径経過のために、機能が設けられている:

SW(x)=s0 +s1 ・x+s2 ・x2 +s3 ・x3 +s4 ・x4 +s5 ・x5
SW(x): 第二ローラの半径経過
x : バレン中心の原点(x=0)を備えるバレン縦方向の座標
0 : 第二ローラの実効半径
1 : 最適化パラメータ(楔要因)
2 〜s5 : 係数(CVCシステムの調整範囲)
を備える。

ここで、上記量の間に次の式が成り立つ:
1 =f1 ・[RSW/RAW・(b2 contAW−b2 contSW)・a3 +b2 contSW・s3 ] +f2 ・[RSW/RAW・(b4 contAW−b4 contSW)・a3 +b4 contSW・s5 ] bcontAW: 両第一ローラの接触長さ
contSW: 第一と第二ローラ間の接触長さ或いは第二ローラの長さ
1 =−1/20〜−6/20
2 =0〜−9/112
【0011】
この場合には、第一ローラの半径経過の係数の間に特に:

1 =f1 ・a3 ・b2 contAW+f2 ・a5 ・b4 contAW
が成り立ち、 f1 =−1/20〜−6/20を備える。
2 =0〜−9/112
【0012】
この場合には、第一ローラの半径経過の係数a4 とa5 は零であり得る。この場合に、更に第一ローラの半径の経過は三次多項式として表示される一方、第二ローラの半径の経過は五次多項式として表示される。
【0013】
逆に、第二ローラの半径経過係数s4 とs5 は零であることが可能である。第一ローラの半径の経過は五次多項式として表示される一方、第二ローラの半径の経過は三次多項式として表示される。
【0014】
そのようなものとして予め知られたように、特に、第一ローラの半径経過は、端直径とローラの凸状部分と接触する接線と、他の端直径とローラの凹状部分と接触する接線とが互いに平行に且つローラ軸線に対して楔角度だけ傾斜されて延びている。第二ローラの半径経過RSW(x)のために、類似に適用される。
【0015】
第一ローラは特にワークローラであり、第二ローラは特にバックアップローラである。
【0016】
しかし、圧延スタンドが6重スタンドであり、第一ローラが中間ローラであり、第二ローラがバックアップローラである。
【0017】
一般に、それぞれの一つの直線部分(楔部分)、接触長さと適切な隣接ローラの直径が考慮されることが適用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面には、この発明の実施例が図示されている。
【図1】圧延品が二つのバックアップローラにより支持される二つのワークローラにより圧延される圧延スタンドを概略的に示す。
【図2】バックアップローラにより支持されるワークローラを斜視図で示す。
【図3】圧延方向に見た圧延品を含めたワークローラを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図には、既に欧州特許第1307302号明細書(特許文献1)から知られていて、その点で表現的に関連される関係が図示されている。図1には、金属ブルームの形態の圧延品1が見られ、金属ブルームがワークローラの形態の二つの第一ローラ2により圧延される。第一ローラ2は第二ローラ3、即ちバックアップローラにより支持される。
【0020】
第一ローラ2と第二ローラ3は所謂CVC摩面を有し、即ち中心平面4に関してプロフィルが対象ではない。このための細部は上記欧州特許第1307302号明細書(特許文献1)に記載されている。それによりローラ2と3はバレン縦方向における座標xの上に、n次多項式から生じる機能的経過を有し、三次或いは五次多項式が特に例えば少なくとも足りる。
【0021】
ワークローラ2が互いに相対的に軸方向力に移動されるならば、ローラ隙間が適切に影響され得る。ワークローラ2と支持ローラ3の間の荷重が接触領域bcont(図2参照)の上に不均一に分布され、ワークローラの移動位置により変更される。
【0022】
圧延形状から生じる荷重と局部的正或いは負相対速度とは、図2に例示されるように、接触幅bcont上の異なった周辺力Qj を導く。圧延周辺力Qj の分布が圧延スタンドの中心にモーメントMを生じ、それはローラを交差(クロッセン)させ、それによりローラ軸受における軸方向力に導き得る。これは、ローラに適切な摩面が与えられるので、回避される。目下、これは、三次或いは五次多項式として与えられる半径経過により行われる。
【0023】
欧州特許第1307302号明細書(特許文献1)から、所謂楔要因、即ち直線式多項部分前の係数を最適化させることが知られていて、そのために適切な関係が提案される。
【0024】
図3に見られる如く、ワークローラ2の半径経過は、端直径6とワークローラ2の凸状部分とに接触する接線5と、他の端直径8とローラ2の凹状部分とに接触する接線7とが互いに平行に且つローラ軸線に対して楔角度αだけ傾斜されて延びている。バックアップローラ3の半径経過のために、類似に適用される。
【0025】
それに応じて、この概念は再度、要約される:
【0026】
ワークローラ輪郭の敷設と楔部分(多項式関数)の固定の規則は、既に予め知られた欧州特許第1307302号明細書(特許文献1)により、或いは非常に同様に生じる。係数a2 ,a3 ,a4 とa5 (五次多項式の場合には)はローラ隙間の所望の調整範囲或いは効果から生じる。欧州特許第1307302号明細書(特許文献1)に記載されるように、接触幅としてワークローラとバックアップローラの間の接触長さ或いは選択的にCVCワークローラの敷設と特に楔部分(a1 )用のワークローラ長さを与える。この規則が保持されるならば、ワークローラプロフィルと特にa1 係数(楔部分)が最適に敷設されている。
【0027】
同様に多項式関数によって記載され得るワークローラプロフィルの楔部分s1 のために、同様な関係が適用される(反復的にオフラインで算出され得る)。楔部分s1 の値はそれに付属するワークローラプロフィルと長さに依存して変更する。バックアップローラ形状がワークローラ形状に適合されなければならない。係数s2 ,s3 ,s4 とs5 (五次多項式によるバックアップローラプロフィルの表示の場合に)は所望調整範囲或いはワークローラS形状への適合から生じる。直線部分のために、ここで、バックアップローラプロフィルの敷設用の上記処置が適用される。
【0028】
三次多項式としての半径経過の表示では、バックアップローラがCVCプロフィルを有する特別な場合には、係数s3 が同じ零である。
【0029】
上記関係がS状プロフィルと同様であるプロフィルに、例えば所謂「スマートクラウン」関数(サイン関数)或いは連続点によって与えられ、上記多項式関数の一つと近似できるプロフィルに適用される。
【0030】
6重スタンドでは、処置が同じ形式に実施され得る。ここで、類似してワークローラが敷設される。中間ローラの楔性の敷設がバックアップローラにおけるように行われる。中間ローラが固定した後に、4重のバックアップローラの敷設に類似して6重のバックアップローラの敷設を実施する。一般に言うと、この場合には、適切な隣接ローラのそれぞれの直線部分、接触長さと直径が考慮される。
【0031】
特別な場合には、例えばワークローラプロフィルが五次多項式関数によって実施され、バックアップローラ或いは中間ローラが三次多項式関数によって或いは逆に実施され得る。ここで、ワークローラのために、上記規則性が適用される。バックアップローラと中間ローラのために、楔性が同様に上記処置により最適化される。
【0032】
上記実施例は、一度、三次多項式による半径プロフィルの近似に、一度、五次多項式に適用される。しかし、基本的には、高次の多項式を企図することが当然に可能である。少なくとも高次のまれな多項式では五次として適用される。
【符号の説明】
【0033】
1.....圧延品
2.....第一ローラ(ワークローラ)
3.....第二ローラ(バックアップローラ)
4.....中心平面
5.....接線
6.....端直径
7.....接線
8.....端直径

α.....楔角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ローラ(2)及び第二ローラ(3)が中心平面(4)に関して非対称的に形成された半径経過(CVC摩面)を備えていて、第一ローラ(2)の半径経過が関係を満たす:
AW(x)=a0 +a1 ・x+a2 ・x2 +a3 ・x3
AW(x): 第一ローラの半径経過
x : バレン中心の原点(x=0)を備えるバレン縦方向の座標
0 : 第一ローラの実効半径
1 : 最適化パラメータ(楔要因)
2 ,a3 : 係数(CVCシステムの調整範囲)

を備えて、一対として第一ローラを支持する第二ローラ(3)と接触される一対の第一ローラ(2)を有する金属品(1)を圧延する圧延スタンドにおいて、
第二ローラの半径経過が関係を満たす:

SW(x)=s0 +s1 ・x+s2 ・x2 +s3 ・x3 SW(x): 第二ローラの半径経過
x : バレン中心の原点(x=0)を備えるバレン縦方向の座標
0 : 第二ローラの実効半径
1 : 最適化パラメータ(楔要因)
2 ,s3 : 係数(CVCシステムの調整範囲)
を備えて、

ここで、次の式が上記量の間に成り立つ:
1 =f1 ・[RSW/RAW・(b2 contAW−b2 contSW)・a3 +b2 contSW・s3
contAW: 両第一ローラの接触長さ
contSW: 第一と第二ローラ間の接触長さ或いは第二ローラの長さ
1 =−1/20〜−6/20
であることを特徴とする圧延スタンド。
【請求項2】
第一ローラ(2)の半径経過の係数の間に特に:

1 =f1 ・a3 ・b2 contAW が成り立ち、
1 =−1/20〜−6/20 を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧延スタンド。
【請求項3】
第一ローラ(2)及び第二ローラ(3)が中心平面(4)に関して非対称的に形成された半径経過(CVC摩面)を備えていて、第一ローラ(2)の半径経過が関係を満たす:
AW(x)=a0 +a1 ・x+a2 ・x2 +a3 ・x3 +a4 ・x4 +a5 ・x5
AW(x): 第一ローラの半径経過
x : バレン中心の原点(x=0)を備えるバレン縦方向の座標
0 : 第一ローラの実効半径
1 : 最適化パラメータ(楔要因)
2 〜a5 : 係数(CVCシステムの調整範囲)
を備えて、一対として第一ローラを支持する第二ローラ(3)と接触される一対の第一ローラ(2)を有する金属品(1)を圧延する圧延スタンドにおいて、
第二ローラ(3)の半径経過が関係を満たす:

SW(x)=s0 +s1 ・x+s2 ・x2 +s3 ・x3 +s4 ・x4 +s5 ・x5
SW(x): 第二ローラの半径経過
x : バレン中心の原点(x=0)を備えるバレン縦方向の座標
0 : 第二ローラの実効半径
1 : 最適化パラメータ(楔要因)
2 〜s5 : 係数(CVCシステムの調整範囲)
を備えて、

ここで、次の式が上記量の間に成り立つ:
1 =f1 ・[RSW/RAW・(b2 contAW−b2 contSW)・a3 +b2 contSW・s3 ] +f2 ・[RSW/RAW・(b4 contAW−b4 contSW)・a3 +b4 contSW・s5 ] bcontAW: 両第一ローラの接触長さ
contSW: 第一と第二ローラ間の接触長さ或いは第二ローラの長さ
1 =−1/20〜−6/20
2 =0〜−9/112
であることを特徴とする圧延スタンド。
【請求項4】
第一ローラ(2)の半径経過の係数の間に特に:

1 =f1 ・a3 ・b2 contAW+f2 ・a5 ・b4 contAW

が成り立ち、 f1 =−1/20〜−6/20
2 =0〜−9/112
を備えることを特徴とする請求項3に記載の圧延スタンド。
【請求項5】
第一ローラ(2)の半径経過の係数a4 とa5 は零であることを特徴とする請求項3或いは4に記載の圧延スタンド。
【請求項6】
第二ローラ(3)の半径経過係数s4 とs5 は零であることを特徴とする請求項3或いは4に記載の圧延スタンド。
【請求項7】
第一ローラ(2)の半径経過RAW(x)或いは第二ローラ(3)の半径経過RSW(x)の少なくとも一方は、端直径(6)とローラ(2)の凸状部分と接触する接線(5)と、他の端直径(8)とローラ(2)の凹状部分と接触する接線(7)とが互いに平行に且つローラ軸線に対して楔角度(α)だけ傾斜されて延びているように、形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の圧延スタンド。
【請求項8】
第一ローラがワークローラ(2)であり、第二ローラがバックアップローラ(3)であることを特徴とする請求項1或いは3に記載の圧延スタンド。
【請求項9】
圧延スタンドが6重スタンドであり、第一ローラが中間ローラであり、第二ローラがバックアップローラであることを特徴とする請求項1或いは3に記載の圧延スタンド。
【請求項10】
一般に適切な隣接ローラのそれぞれの直線部分、接触長さと直径が係数の決定の際に考慮されていることを特徴とする複数のローラから成る請求項1乃至9のいずれか一項に記載の圧延スタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−511432(P2012−511432A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539964(P2011−539964)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008989
【国際公開番号】WO2010/075961
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・ジーマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)
【Fターム(参考)】