説明

特定のシリコーンコポリマーと、1つまたは複数の液体の揮発性直鎖アルカンとを含む化粧用組成物

【課題】本発明の目的は、毛髪のコーティングに適した蒸発速度を有する溶媒を含む組成物に基づいた、均一なコーティングを開発することである。
【解決手段】本発明は、シリコーン樹脂および流体シリコーンに基づく1つまたは複数のコポリマーと、1つまたは複数の液体の揮発性直鎖アルカンとを含む、ケラチン線維をトリートメントするための組成物を提供する。
この種の組成物は、毛髪に均一なコーティングを生じ、組成物が顔料を含む場合、均一なコーティングおよび均一な染色を生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン線維、より詳しくはヒトのケラチン線維、例えば毛髪をトリートメントするための組成物、およびこの組成物を用いてケラチン線維をトリートメントする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪にコシ(body)、まとまり(mass)またはボリュームを与える、多数のスタイリング製品が存在する。一般にフィルムを形成するポリマーに基づいている、これらの製品に伴う1つの欠点は、これらは最初にシャンプーをしたときに化粧品の効果が消えるという事実にある。
【0003】
毛髪を、フィルムを形成するポリマー、例えば、シリコーン樹脂および流体シリコーンに基づく特定のシリコーンコポリマーでコートするための実用が知られており、このようなポリマーはBioPSAという名称でよりよく知られている。これらのコポリマーは、様々な化粧用用途、例えば毛髪、爪および皮膚への塗布のために、特に、特許出願WO 03/026596号、WO 2004/073626号、WO 2007/051505号およびWO 2007/051506号に記載されている。
【0004】
このタイプのポリマーは、長持ちするスタイリングを提供するために使用されることができる。これらのポリマーが揮発性溶媒中で毛髪に塗布される場合、個々の毛髪は均一にコートされ、残存して別々になり、得られたコーティングはシャンプーに対する耐久性がある。このコーティングは、長持ちする方法で毛髪にコシおよびまとまりを提供する。
【0005】
これらのポリマーが顔料との混合物において使用される場合、毛髪の初期の色とは関係なく、目に見える染色が一般的に得られる。さらに、これは毛髪を前もって漂白することなく達成される。これらの顔料、特に真珠光沢剤の存在は、毛髪に目に見える有彩色を生じさせる。得られたコーティングは、数回のシャンプーに対する耐久性がある。
【0006】
これらのコポリマーの使用は、より詳しくは、欧州特許第2016933号文書に開示されている。
【0007】
しかし、得られるコーティングの一部において、優れた化粧用および均一な特性にとって、組成物の蒸発速度が重要な工程である。蒸発速度は速すぎてはいけなく、さもなければ組成物は髪の房に沿ってよく広がらず、コーティングが均一に形成されず、これは特にブロー乾燥において困難が増すことが明らかな現象である。蒸発速度は遅すぎてはいけなく、さもなければ溶媒が乾燥工程後にコーティング内に閉じ込められたままになり、これはコーティングの化粧品の品質にとって有害である。一般的にシリコーン樹脂および流体シリコーンに基づくコポリマーと使用される揮発性油、例えばイソドデカンは、速すぎる乾燥速度を有する。さらに、さらなる促進された耐久性を生み出すコーティング組成物を得ることは、常に有益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 03/026596号
【特許文献2】WO 2004/073626号
【特許文献3】WO 2007/051505号
【特許文献4】WO 2007/051506号
【特許文献5】欧州特許第2016933号
【特許文献6】米国特許第5162410号
【特許文献7】加国特許第711756号
【特許文献8】WO 2007/068371号
【特許文献9】WO 2008/155059号
【特許文献10】仏国特許第2679771号
【特許文献11】欧州特許第1184426号
【特許文献12】米国特許第4578266号
【特許文献13】米国特許第5246694号
【特許文献14】WO 2005/075567号
【特許文献15】米国出願公開2004/0180011号
【特許文献16】米国特許第5266321号
【特許文献17】米国特許第4742142号
【特許文献18】米国特許第5654362号
【特許文献19】仏国出願公開第2864784号
【特許文献20】米国特許第4970252号
【特許文献21】米国特許第4987169号
【特許文献22】米国特許第5412004号
【特許文献23】米国特許第5760116号
【特許文献24】特開昭61-194009
【特許文献25】米国特許第5236986号
【特許文献26】米国特許第5837793号
【特許文献27】米国特許第5811487号
【特許文献28】米国特許第5538793号
【特許文献29】米国特許第4693935号
【特許文献30】米国特許第4728571号
【特許文献31】米国特許第4972037号
【特許文献32】欧州出願公開0412704号
【特許文献33】欧州出願公開0412707号
【特許文献34】欧州出願公開0640105号
【特許文献35】WO 95/00578号
【特許文献36】欧州出願公開1400234号
【特許文献37】欧州出願公開708114号
【特許文献38】WO 02/056847号
【特許文献39】WO 02/47619号
【特許文献40】米国出願公開5783657号
【特許文献41】欧州出願公開1266647号
【特許文献42】仏国出願公開0216039号
【特許文献43】WO 03/105788号
【特許文献44】米国出願公開2002/005562号
【特許文献45】米国特許第5221534号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Charles Zviak、「Sciences des traitements capillaires」、1988年、published by Masson、215および278頁
【非特許文献2】Sobieski and Tangney、「Silicone Pressure Sensitive Adhesive」、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology (D. Satas編)、Van Nostrand Reinhold、New York
【非特許文献3】Kirk-Othmer、encyclopaedia of chemical technology
【非特許文献4】Ullmann、encyclopaedia of industrial chemistry
【非特許文献5】Cosmetics and Toiletries、1990年2月、vol. 105、53〜64頁
【非特許文献6】「Mineralogie des argiles」[Clay Mineralogy]、S.Caillere、S.Henin、M.Rautureau、第2版、1982年、Masson
【非特許文献7】CTFA、第6版、1995年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、毛髪のコーティングに適した蒸発速度を有する溶媒を含む組成物に基づいた、均一なコーティングを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は本発明によって達成され、本発明は、ケラチン線維をトリートメントするための組成物を提供し、この組成物はシリコーン樹脂および流体シリコーンに基づく1つまたは複数のコポリマーと、9から15個の炭素原子を含む1つまたは複数の液体の揮発性直鎖アルカンとを含み、この液体の揮発性直鎖アルカンとシリコーン樹脂および流体シリコーンに基づくコポリマーとの間の質量比は2以上である。本発明はさらに、この組成物を使用してケラチン線維をトリートメントする方法を提供する。
【0012】
上記で記載された、液体の揮発性直鎖アルカンをシリコーンコポリマーと組み合わせて使用することは、蒸発速度を最適化することを可能にし、それにより組成物の塗布を容易にし、毛髪のコーティングの優れた均一性を確実にする。
【0013】
この方法は、1つまたは複数の顔料を含む組成物と一緒に用いられる場合、特に暗色のケラチン線維に対して、強いおよび/または有彩の色を有する均一なコーティングを生み出す。
【0014】
本発明の文脈において、暗色のケラチン線維または毛髪は、6(ダークブロンド(dark blonde))以下、好ましくは4(栗色(chestnut))以下の色調レベルを有する。
【0015】
「色調レベル」の概念は、自然の色合いの分類に基づいており、1つの色調は、それぞれの色合いをすぐ後または前の色調と分けている。この定義、および自然の色合いの分類は、スタイリングの専門家に良く知られており、Charles Zviakによる書籍「Sciences des traitements capillaires」、1988年、published by Masson、215および278頁に出版されている。
【0016】
色調レベルは1(黒色)から10(ライトライトブロンド(light light blonde))に及び、1つの単位は1つの色調に対応する; 数字が大きくなると、色合いが明るくなる。
【0017】
以下の文章において、他に示されていない限り、示された範囲の端点は本発明に含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(シリコーン樹脂および流体シリコーンに基づくコポリマー)
本発明によって定義されたシリコーンコポリマーは、シリコーン樹脂と流体シリコーンとの間の反応から得られる。
【0019】
このようなコポリマーは、例えば、「Silicone Pressure Sensitive Adhesive」、Sobieski and Tangney、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology (D. Satas編)、Van Nostrand Reinhold、New York、に記載されている。
【0020】
コポリマーの中で、シリコーン樹脂は45%から75%の間の割合(シリコーンの全質量に対して)で存在し、および流体シリコーンは25%から55%の間の割合で存在し、シリコーン樹脂および流体シリコーンの割合の合計は100に等しくなる。好ましくは、シリコーン樹脂は55%から65%の間の割合(シリコーンの全質量に対して)で存在し、および流体シリコーンは35%から45%の間の割合で存在し、シリコーン樹脂および流体シリコーンの割合の合計は100に等しくなる。
【0021】
好ましくは、本発明によるシリコーン樹脂は、SiO2基およびR3(SiO)1/2基(トリオルガノシリル)の縮合生成物であって、それぞれの基のRは、独立に、メチル、エチル、プロピルおよびビニル基から選択され、シリコーン樹脂のSiO2官能基とR3(SiO)1/2官能基の間の比は、0.6から0.9の範囲である。シリコーン樹脂を形成するために使用してもよいトリオルガノシリル基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メチルメチルプロピルシリルおよびジメチルビニルシリルユニット、およびこれらの混合物である。トリメチルシリル基が、本発明の文脈において好ましい。
【0022】
好ましくは、本発明による流体シリコーンは、OH末端官能基を有するジオルガノポリシロキサンであって、25℃で100から100000cStの間の粘度を有し、ジオルガノポリシロキサンの置換基は、独立に、メチル、エチル、プロピルおよびビニル基から選択される。ジオルガノポリシロキサンは、好ましくは直鎖のポリマーである。ジオルガノポリシロキサンの例は、これに制限されないが、ポリジメチルシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサンとメチルビニルシロキサンのコポリマー、およびOH末端基を含むこのようなポリマーまたはコポリマーの混合物である。好ましいジオルガノポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンである。
【0023】
このようなポリマーの合成例は、例えば、米国特許第5162410号または加国特許第711756号に記載されている。
【0024】
したがって、本発明によるコポリマーは、以下の混合物を加熱することによって調製されてもよい。
- 45質量%から75質量%のシリコーン樹脂であって、これはSiO2およびR3(SiO)1/2ユニットの縮合生成物であり、それぞれの基のRは、独立に、メチル、エチル、プロピルおよびビニル基から選択され、シリコーン樹脂のSiO2官能基とR3(SiO)1/2官能基の間の比は、0.6から0.9の範囲であるもの、
- 25質量%から55質量%の、OH末端官能基を含む流体ジオルガノポリシロキサンであって、25℃で100から100000cStの間の粘度を有し、ジオルガノポリシロキサンの置換基は、独立に、メチル、エチル、プロピルおよびビニル基から選択されるもの、
- 0.001%から5%の好適な触媒であって、好ましくは第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、上記で記載したアミンのカルボン酸塩および第4級アンモニウム塩から選択される、好ましくは有機脂肪族アミン化合物。
【0025】
混合物は80℃から160℃の間の温度に、得られるシリコーンコポリマーの粘着性が得られるまで加熱する。
【0026】
本発明による好ましいコポリマーは、Dow CorningによりBio-PSA(登録商標)の参照名で販売されており、これらのBio-PSA(登録商標)コポリマーは、場合によって2つの形態、標準またはアミン相溶性であり、様々な溶媒中に多くのシリコーン樹脂/流体シリコーンの比で提供される。例として、特に等級7-4400、7-4500および7-4600が挙げられる。本発明による特に好ましいBio-PSA(登録商標)は、等級7-4400である。
【0027】
本発明の特定の一実施形態によると、コポリマーの量は、組成物の全質量の1質量%を超える量である。
【0028】
コポリマーは、本発明による組成物中に、組成物の全質量に対して、1質量%より多く、最大80質量%の量で、好ましくは1.5質量%から40質量%の範囲で、および優先的には1.5質量%から20質量%の範囲で、特に存在する。
【0029】
(揮発性直鎖アルカン)
一実施形態において、本発明に適した揮発性直鎖アルカンは、30から120℃、およびより詳しくは40から100℃の範囲の引火点を有していてもよい。
【0030】
本発明に適した揮発性直鎖アルカンは、室温(約25℃)、大気圧(760mmHg)で、液体である。
【0031】
一実施形態において、本発明に適したアルカンは、9から15個の炭素原子、特には10から15個の炭素原子、およびより詳しくは11から14個の炭素原子を含む揮発性直鎖アルカンであってもよい。
【0032】
本発明に適した揮発性直鎖アルカンは、有利には、植物由来であってもよい。
【0033】
この種のアルカンは、直接または2つ以上の工程において、植物原材料、例えば油、バター、ワックスなどから得られてもよい。
【0034】
本発明に適したアルカンの例には、Cognis社による特許出願WO 2007/068371号、またはWO 2008/155059号に記載されたアルカン(少なくとも1つ炭素が異なる、異なるアルカンの混合物)が含まれる。これらのアルカンは、それ自体ココナッツ油またはパーム油から得られる脂肪アルコールから得られる。
【0035】
本発明に適した直鎖アルカンの例には、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)、n-ペンタデカン(C15)、およびこれらの混合物が含まれ、より詳しくは、Cognisの出願WO 2008/155059号の実施例1に記載されたn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)の混合物、およびSasolによりParafol 12-97ならびにParafol 14-97(それぞれ直鎖のドデカンならびに直鎖のテトラデカン)の名称で販売されているn-ドデカン(C12)とn-テトラデカン(C14)の混合物、およびこれらの混合物が含まれる。
【0036】
揮発性直鎖アルカン単独、またはお互い少なくとも1の炭素数が異なる、少なくとも2つの別々の揮発性アルカンの混合物を使用することが可能である。
【0037】
第一の実施形態によると、10から15個の炭素原子を含み、お互い少なくとも1の炭素数が異なる、少なくとも2つの別々の揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。例には、特に揮発性直鎖アルカンの混合物C10/C11、C11/C12、C12/C13、またはC14/C15が含まれる。
【0038】
別の実施形態によると、10から15個の炭素原子を含み、お互い少なくとも2の炭素数が異なる、少なくとも2つの別々の揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。例には、特に揮発性直鎖アルカンの混合物のC10/C12、またはC12/C14(偶数の炭素数n)、およびC11/C13、またはC13/C15(奇数の炭素数n)が含まれる。
【0039】
好ましい一実施形態によると、10から15個の炭素原子を含み、お互い少なくとも2の炭素数が異なる、少なくとも2つの別々の揮発性直鎖アルカンの混合物、より詳しくは、C11/C13の揮発性直鎖アルカンの混合物またはC12/C14の揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。
【0040】
本発明による2つ以上の揮発性直鎖アルカンを組み合わせた他の混合物、例えば9から15個の炭素原子を含み、お互い少なくとも1の炭素数が異なる、少なくとも3つの揮発性直鎖アルカンは、本発明の一部を形成するが、本発明による2つの揮発生直鎖アルカンの混合物が好ましく(2成分混合物)、好ましくは混合物中の揮発性直鎖アルカンの全量の95質量%より多く、より好ましくは99質量%より多い。
【0041】
本発明の特定の一実施形態によると、揮発性直鎖アルカンの混合物において、最小の炭素数を有する揮発性直鎖アルカンが、混合物において支配的である。
【0042】
本発明に適した混合物の例には、特に以下の混合物が含まれる。
前記混合物中のアルカンの全質量に対して、
- 50質量%から90質量%、好ましくは55質量%から80質量%、より好ましくは60質量%から75質量%のCn揮発性直鎖アルカン、
- 10質量%から50質量%、好ましくは20質量%から45質量%、好ましくは24質量%から40質量%のCn+x揮発性直鎖アルカンであって、xは1n以上、好ましくはx=1またはx=2であるもの。
【0043】
より詳しくは、本発明によるアルカンの前記混合物には、以下が含まれる。
- 2質量%未満、好ましくは1質量%未満の分岐アルカン、
- および/または2質量%未満、好ましくは1質量%未満の芳香族アルカン、
- および/または2質量%未満、好ましくは1質量%未満、および優先的には0.1質量%未満の混合物中の不飽和アルカン。
【0044】
より詳しくは、本発明に適した揮発性直鎖アルカンは、n-ウンデカン/n-トリデカンの混合物の形態で用いられてもよい。
【0045】
特に、以下を含む揮発性直鎖アルカンの混合物が用いられる。
- 前記混合物中のアルカンの全質量に対して、55質量%から80質量%、好ましくは60質量%から75質量%のC11揮発性直鎖アルカン(n-ウンデカン)、
-前記混合物中のアルカンの全質量に対して、20質量%から45質量%、好ましくは24質量%から40質量%のC13揮発性直鎖アルカン(n-トリデカン)。
【0046】
特定の一実施形態によると、アルカンの混合物は、n-ウンデカン/n-トリデカンの混合物である。このような混合物は、より詳しくは、WO 2008/155059号の実施例1または実施例2に従って得られてもよい。
【0047】
別の代替手段によると、本発明に適した揮発性直鎖アルカンは、n-ドデカン/n-テトラデカンの混合物の形態で用いられてもよい。
【0048】
本発明の組成物は、組成物の全質量に対して、0.5質量%から95質量%の揮発性直鎖アルカン、特には1質量%から90質量%の揮発性直鎖アルカン、およびより詳しくは5質量%から90質量%の揮発性直鎖アルカンを含んでもよい。
【0049】
液体の揮発性直鎖アルカンと、シリコーン樹脂および流体シリコーンに基づくコポリマーとの質量比は、2以上である。それは、好ましくは2から100の間であり、より好ましくは2.5から50の間である。
【0050】
(顔料)
本発明の組成物は、1つまたは複数の顔料をさらに含んでもよい。
【0051】
顔料によっては、ケラチン物質に着色を与える全ての顔料を意味する。25℃、大気圧(760mmHg)における、これらの水への溶解度は、0.05%未満、および好ましくは0.01%未満である。
【0052】
使用することができる顔料は、当技術分野で公知の有機顔料および/または無機顔料、特にKirk-Othmerのencyclopaedia of chemical technologyおよびUllmannのencyclopaedia of industrial chemistryに記載されたものから、特に選択される。
【0053】
これらの顔料は、顔料パウダーまたは顔料ペーストの形態であってもよい。それらはコートされていてもいなくてもよい。
【0054】
顔料は、例えば、無機顔料、有機顔料、レーキ、特別な効果を有する顔料、例えば真珠光沢剤、メタリック顔料またはフレーク(flakes)、およびこれらの混合物から選択されてもよい。
【0055】
顔料は、無機顔料であってもよい。無機顔料は、Ullmannのencyclopaediaの無機顔料の章における定義を満たすいずれかの顔料である。本発明において有用な無機顔料には、酸化鉄または酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物およびプルシアンブルー、および二酸化チタンが含まれる。
【0056】
顔料は、純粋な金属または80%を超える金属を含む金属の合金から構成されたメタリック粒子であってもよい。
【0057】
本発明の組成物において有用なメタリック粒子は、有利には、小板(platelets)の形態で存在する。小板によっては、最も長い寸法と最も短い寸法の間の比(形状因子(shape factor)と言及する)が5以上の粒子を意味する。
【0058】
寸法によっては、母集団の半分(D50と言及される)の統計的な粒子サイズ分布によって得られる寸法を意味する。メタリック粒子は、より詳しくは、8以上、特には10以上、および例えば15以上の形状因子を有する。
【0059】
メタリック粒子は、銀、アルミニウム、鉄、クロム、ニッケル、モリブデン、金、銅、亜鉛、スズ、マグネシウム、スチール、ブロンズ、チタンおよびこれらの金属の合金から選択されてもよい。メタリック粒子は、好ましくは、銅、亜鉛、アルミニウム、チタン、銀、金およびこれらの金属の合金から選択される。より好ましくは、メタリック粒子は、アルミニウム(有利には99%以上のアルミニウム含有量を有する)、銅(有利には95%以上の銅含有量を有する)、およびブロンズ(有利には70%から95%の銅含有量および5%から30%の亜鉛含有量を有する)から選択されるものが使用される。
【0060】
これらの最も長い寸法によると、メタリック粒子は、例えば、25μm以下、より詳しくは10μm以下の平均粒子サイズを有する。
【0061】
平均サイズによっては、D50として知られる母集団の半分の統計的な粒子サイズ分布によって得られる寸法を意味する。
【0062】
前記粒子は、一般的には、1μm以下、特には0.7μm以下、より詳しくは0.5μm以下の厚さを有する。
【0063】
本発明による組成物中に使用することができるメタリック粒子には、アルミニウム粒子、例えばSilberlineによりStarbrite 2100 EAC(登録商標)、およびEckartによりMetalure(登録商標)の名称で販売されているものが含まれる。ブロンズパウダーの例として、WolstenholmeによりPremier Super 8000の名称で、およびEckartによりRothoflex、Lithoflex、ならびにStandardの名称で販売されているもの、例えば、Standard Bronze Powder Offset 3000 Super Pale Gold (D50 3〜5μm)およびLithoflex XA 40-03 Rich Pale Gold (D50 3〜5μm)の参照名で販売されているものが挙げられる。金属合金の粒子の例として、EckartによりVisionaire Honey (サイズ5〜50μm)およびVisionaire Amber (サイズ5〜50μm)の名称で、ならびにDorolan 08/0 Pale Gold (D50 7〜9μm)の名称で販売されているシリカでコートされたブロンズパウダー、Visionaire Silver Sea (サイズ5〜50μm)の参照名で販売されているSiO2でコートされたアルミニウムパウダー、EckartによりVisionaire Cinnamon (サイズ5〜50μm)の参照名およびVisionaire Lava (サイズ5〜50μm)の参照名、ならびにDorolan 10/0 Copper (D50 9〜11μm)の名称で販売されているSiO2でコートされた銅パウダーが挙げられる。
【0064】
顔料は、有機顔料であってもよい。有機顔料によっては、UllmannのEncyclopaediaの有機顔料の章における定義を満たすいずれかの顔料を意味する。有機顔料は、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタンおよびキノフタロン化合物から特に選択されてもよい。
【0065】
特に、有機顔料は、カルミン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、参照名CI 42090、69800、69825、73000、74100および74160でColor Indexにおいてコードされている青色顔料、参照名CI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000および47005でColor Indexにおいてコードされている黄色顔料、参照名CI 61565、61570および74260でColor Indexにおいてコードされている緑色顔料、参照名CI 11725、15510、45370および71105でColor Indexにおいてコードされている橙色顔料、参照名CI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915および75470でColor Indexにおいてコードされている赤色顔料、ならびに仏国特許第2679771号に記載された、インドールまたはフェノール誘導体の酸化重合によって得られる顔料から選択されてもよい。
【0066】
本発明による顔料は、欧州特許第1184426号に記載された、複合顔料の形態であってもよい。これらの複合顔料は、特に、無機コア、有機顔料とコアとの連結を確実にするための少なくとも1つのバインダー、およびコアを少なくとも部分的に被覆する少なくとも1つの有機顔料を含む粒子の化合物であってもよい。
【0067】
有機顔料はまた、レーキであってもよい。「レーキ」によっては、不溶性粒子に吸着した染料を意味し、このようにして得られた組合せは、使用する間、溶解しないままである。
【0068】
染料が吸着している無機基材は、例えば、アルミナ、シリカ、カルシウムナトリウムボロシリケートまたはカルシウムアルミニウムボロシリケート、およびアルミニウムである。
【0069】
染料の中で、例として、コチニールカルミンが挙げられる。例として、以下の名称で知られている染料も挙げることができる: D&C Red 21 (CI 45 380)、D&C Orange 5 (CI 45 370)、D&C Red 27 (CI 45 410)、D&C Orange 10 (CI 45 425)、D&C Red 3 (CI 45 430)、D&C Red 4 (CI 15 510)、D&C Red 33 (CI 17 200)、D&C Yellow 5 (CI 19 140)、D&C Yellow 6 (CI 15 985)、D&C Green (CI 61 570)、D&C Yellow 1 O (CI 77 002)、D&C Green 3 (CI 42 053)、D&C Blue 1 (CI 42 090)。
【0070】
レーキの例として、以下の名称で知られている製品が挙げられる: D&C Red 7 (CI 15 850:1)。
【0071】
顔料はまた、特別な効果の顔料であってもよい。「特別な効果の顔料」によっては、一般的に、不均一な有色の外観(特定の色調、特定の鮮明度、および特定の明度によって特徴付けられる)を作り出す顔料を意味し、観察条件(光、温度、観察角度など)に応じて変化する。したがって、これらは、通常の均一で不透明、半透明または透明な色調を与える有色顔料とは対照をなしている。
【0072】
特別な効果を有する様々なタイプの顔料が存在し、低い屈折率を有するもの、例えば蛍光顔料、フォトクロミック顔料またはサーモクロミック顔料、および高い屈折率を有するもの、例えば真珠光沢剤またはフレークが存在する。
【0073】
特別な効果を有する顔料の例には、真珠光沢顔料(例えば二酸化チタンまたはオキシ塩化ビスマスでコートされたマイカ)、染色真珠光沢顔料(例えば二酸化チタンと酸化鉄でコートされたマイカ、酸化鉄でコートされたマイカ、二酸化チタンと、特にプルシアンブルーまたは酸化クロムとでコートされたマイカ、二酸化チタンと上記で定義された有機顔料でコートされたマイカ)、およびオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料が含まれる。これらの顔料は、表面に金属酸化物および/または有機着色物質の少なくとも2つの連続層が重なっているマイカ粒子であってよい。
【0074】
真珠光沢剤は、より詳しくは、黄、桃、赤、ブロンズ、橙、茶、金および/または銅などの輝きまたは色を有してもよい。
【0075】
本発明の文脈において用いることができる真珠光沢剤の例として、特にEngelhardによりGold 222C (Cloisonne)、Sparkle gold (Timica)、Gold 4504 (Chromalite)およびMonarch gold 233X(Cloisonne)の名称で販売されている金色の真珠光沢剤; 特にMerckによりBronze fine (17384) (Colorona)およびBronze (17353) (Colorona)の名称で、EckartによりPrestige BronzeおよびPrestige Soft Bronzeの名称で、ならびにEngelhardによりSuper Bronze (Cloisonne)の名称で販売されているブロンズ色真珠光沢剤; 特にEngelhardによりOrange 363C (Cloisonne)およびOrange MCR 101 (Cosmica)の名称で、ならびにMerckによりPassion orange (Colorona)およびMatte orange (17449) (Microna)の名称で販売されている橙色真珠光沢剤; 特にEngelhardによりN-antique copper 340XB (Cloisonne)およびBrown CL4509 (Chromalite)の名称で販売されている茶色の色合いの真珠光沢剤; 特にEngelhardによりCopper 340A (Timica)の名称で、EckartによりPrestige CopperおよびPrestige Soft Copperの名称で販売されている銅色の輝きのある真珠光沢剤; 特にMerckによりSienna fine (17386) (Colorona)の名称で販売されている赤色の輝きのある真珠光沢剤; 特にEngelhardによりYellow (4502) (Chromalite)の名称で販売されている黄色の輝きのある真珠光沢剤; 特にEngelhardによりSunstone G012 (Gemtone)の名称で販売されている金色の輝きのある赤色の色合いの真珠光沢剤; 特にEngelhardによりNu Antique Bronze 240 AB (Timica)の名称で販売されている金色の輝きのある黒色真珠光沢剤; 特にMerckによりMatte blue (17433) (Microna)、Dark Blue (117324) (Colorona)の名称で販売されている青色真珠光沢剤; 特にMerckによりXirona Silverの名称で販売されている銀色の輝きのある白色真珠光沢剤; ならびに特にMerckによりIndian Summer (Xirona)の名称で販売されている金緑桃橙色の真珠光沢剤; ならびにこれらの混合物が、特に挙げられる。
【0076】
マイカを支持体とする真珠光沢剤に加えて、合成基材、例えばアルミナ、シリカ、カルシウムナトリウムボロシリケートまたはカルシウムアルミニウムボロシリケート、およびアルミニウムに基づく多層顔料を想定することも可能である。
【0077】
基材に固定されていない干渉効果を有する顔料の例として、例えば液晶(WackerによるHelicones HC)、干渉ホログラフィックフレーク(SpectratekによるGeometric PigmentsまたはSpectra f/x)が挙げられる。特別な効果の顔料は、さらに、日光下で蛍光を発する基材であるか、あるいは紫外線蛍光を発する基材であるかにかかわらず、蛍光顔料、燐光顔料、フォトクロミック顔料、サーモクロミック顔料および量子ドット、例えばQuantum Dots Corporationにより販売されているものも含む。
【0078】
本発明において使用してもよい顔料の多様さは、豊かな色の幅、および特に光学的効果、例えばメタリック効果または干渉効果を得ることを可能にする。
【0079】
本発明による化粧用組成物において使用される顔料のサイズは、一般的に、10nmから200μmの間、好ましくは20nmから80μmの間、およびより優先的には30nmから50μmの間である。
【0080】
顔料は、分散剤によって分散されていてもよい。
【0081】
分散剤は、分散された粒子をその凝集(agglomeration)または軟凝集(flocculation)から保護する働きがある。この分散剤は、界面活性剤、オリゴマー、ポリマーまたはこれらの2つ以上の混合物であってもよく、分散される粒子の表面に対して強い親和性のある1つまたは複数の官能性を有する。特に、これらは、顔料の表面に物理的または化学的に連結することができる。これらの分散剤は、少なくとも1つの官能基が連続媒体と相容性または相溶性を示す。特に、12-ヒドロキシステアリン酸エステル、およびグリセロールまたはジグリセロールなどのポリオールのC8からC20脂肪酸エステル、例えば約750g/molの分子量をのポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート、例えばAvecia社によりSolsperse 21000の名称で販売されている製品、Henkel社によりDehymyls PGPHの参照名で販売されているポリグリセリル-2ジポリヒドロキシステアレート(CTFA名)、またはポリヒドロキシステアリン酸、例えばUniqema社によりArlacel P100の参照名で販売されている製品、ならびにこれらの混合物が使用される。
【0082】
本発明の組成物において使用してもよい他の分散剤として、重縮合された脂肪酸の第4級アンモニウム誘導体、例えばAvecia社により販売されているSolsperse 17000、およびポリジメチルシロキサン/オキシプロピレン混合物、例えばDow CorningによりDC2-5185およびDC2-5225 Cの参照名で販売されているものが挙げられる。
【0083】
本発明による化粧用組成物において使用される顔料は、有機薬剤で表面処理されてもよい。
【0084】
したがって、本発明の文脈において有用な、前もって表面処理された顔料は、本発明の組成物に分散する前に、有機薬剤、例えば特にCosmetics and Toiletries、1990年2月、vol. 105、53〜64頁に記載されたものによって、化学的、電気的、電気化学的、機械化学的または機械的性質の表面処理を完全にまたは部分的に受けている顔料である。これらの有機薬剤は、例えば、アミノ酸; ワックス、例えばカルナウバワックスおよびビーズワックス; 脂肪酸、脂肪アルコールおよびこれらの誘導体、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコール、ヒドロキシステアリルアルコールおよびラウリン酸ならびにこれらの誘導体; アニオン性界面活性剤; レシチン; 脂肪酸とナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、チタン、亜鉛またはアルミニウムとの塩、例えばステアリン酸アルミニウムまたはラウリン酸アルミニウム; 金属アルコキシド; 多糖類、例えばキトサン、セルロースおよびこれらの誘導体; ポリエチレン; (メタ)アクリルポリマー、例えばポリ(メチルメタクリレート); アクリレートユニットを含むポリマーおよびコポリマー; タンパク質; アルカノールアミン; シリコーン化合物、例えばシリコーン、ポリジメチルシロキサン、アルコキシシラン、アルキルシランおよびシロキシシリケート; フッ素化有機化合物、例えばパーフルオロアルキルエーテル; フルオロシリコーン化合物から選択されてもよい。
【0085】
本発明による化粧用組成物において有用な、表面処理された顔料は、これらの化合物の混合物で処理されていてもよく、および/またはいくつかの表面処理を受けていてもよい。
【0086】
本発明の文脈において有用な、表面処理された顔料は、当業者によく知られた表面処理法によって調製されてもよく、または必要な形態で商業的に入手可能なものでもよい。
【0087】
好ましくは、表面処理された顔料は、有機層でコートされている。
【0088】
顔料を処理する有機薬剤は、溶媒の蒸発、表面剤の分子間の化学反応、または表面剤と顔料の間の共有結合の形成によって顔料上に堆積されてもよい。
【0089】
したがって、表面処理は、例えば表面剤と顔料の表面との化学反応、および表面剤と顔料またはフィラーの間の共有結合の形成によって行われてもよい。この方法は、特に米国特許第4578266号に記載されている。
【0090】
顔料に共有結合する有機薬剤が、好ましくは使用される。
【0091】
表面処理のための薬剤は、表面処理された顔料の全質量に対して、0.1質量%から50質量%、好ましくは0.5質量%から30質量%、およびさらにより優先的には1質量%から10質量%で表されてもよい。
【0092】
それらが存在する場合、顔料の量は、一般的に、組成物の全質量の0.1質量%から40質量%、好ましくは0.5質量%から20質量%の間である。
【0093】
(他の揮発性溶媒)
本発明による組成物は、組成物の蒸発速度を変えるために、他の揮発性溶媒を含んでもよい。
【0094】
この揮発性溶媒は、非シリコーン有機溶媒、上記で定義された揮発性直鎖アルカン以外のシリコーン有機溶媒、またはこれらの混合物であってもよい。
【0095】
揮発性非シリコーン有機溶媒は、例として以下のものが挙げられる。
- 揮発性C1〜C4アルカノール、例えばエタノールまたはイソプロパノール;
- 揮発性非直鎖C5〜C7アルカン、例えば2,3-ジメチルブタン、2,2-ジメチルブタン、2-メチルペンタンまたは3-メチルペンタン;
- 液体のC1〜C20酸と揮発性C1〜C8アルコールとのエステル、例えば酢酸メチル、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソペンチルまたは3-エトキシプロピオン酸エチル; ネオペンタン酸イソヘキシルまたはネオペンタン酸イソデシルも挙げられる;
- 室温で液体かつ揮発性のケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンまたはアセトン;
- 揮発性ポリオール、例えばプロピレングリコール;
- 揮発性エーテル、例えばジメトキシメタン、ジエトキシエタンまたはジエチルエーテル;
- 揮発性グリコールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、ブチルジグリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテルまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;
- 揮発性非直鎖炭化水素油、例えば8から16個の炭素原子を含む揮発性分岐炭化水素油、およびこれらの混合物、特に分岐C8〜C16アルカン、例えばC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、イソドデカン、イソデカン、および例えばIsoparまたはPermethylの商品名で販売されている油、ならびにこれら混合物;
- 揮発性C4〜C10ペルフルオロアルカン、例えばドデカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサンまたはデカフルオロペンタン;
- 揮発性ペルフルオロシクロアルキル、例えばそれぞれF2 Chemicals社によりFlutec PC1(登録商標)、FlutecPC3(登録商標)およびFlutec PC6(登録商標)の名称で販売されている、ペルフルオロメチルシクロペンタン、1,3-ペルフルオロジメチルシクロヘキサンおよびペルフルオロデカリン、ならびにペルフルオロジメチルシクロブタンおよびペルフルオロモルホリン;
- 以下の式に対応する揮発性フルオロアルキルまたはヘテロフルオロアルキル化合物:
CH3-(CH2)n[Z]t-X-CF3
ここで、tは0または1; nは0、1、2または3; Xは2から5個の炭素原子を含む直鎖または分岐ペルフルオロアルキル基、およびZはO、SまたはNRを表し、Rは水素原子または-(CH2)n-CH3基または-(CF2)m-CF3基であり、mは2、3、4または5である。
【0096】
揮発性フルオロアルキルまたはヘテロフルオロアルキル化合物の中で、特に例として、3M社によりMSX 4518(登録商標)およびHFE-7100(登録商標)の名称で販売されているメトキシノナフルオロブタン、および3M社によりHFE-7200(登録商標)の名称で販売されているエトキシノナフルオロブタンが挙げられる。
【0097】
好ましくは、溶媒は沸点が200℃未満のものから選択される。
【0098】
特定の一実施形態によると、追加の非シリコーン有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、アセトン、および25℃、大気圧(760mmHg)で液体の非直鎖アルカン、例えばイソドデカンから選択される。
【0099】
揮発性シリコーン溶媒の例として、2から7個のケイ素原子を含む直鎖または環式シリコーンから選択される低粘度シリコーン化合物が含まれ、これらのシリコーンは、場合によって、1から10個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を含んでもよく、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルエチルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびドデカメチルテトラシロキサン、およびこれらの混合物である。特定の一実施形態によると、シリコーン化合物は、シクロペンタジメチルシロキサンおよびドデカメチルシクロヘキサシロキサンから選択される。
【0100】
特定の一実施形態によると、揮発性シリコーン溶媒は、50センチストークス未満の粘度を有する。
【0101】
好ましくは、揮発性シリコーンは、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびデカメチルテトラシロキサンから選択される。
【0102】
例として、Dow Corning社によりDC-245の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、Dow Corning社によりDC-246の名称で販売されているドデカメチルシクロヘキサシロキサン、Dow Corning社によりDC-200 Fluid 1 cStの名称で販売されているオクタメチルトリシロキサン、およびDow Corning社によりDC-200 Fluid 1.5 cStの名称で販売されているデカメチルテトラシロキサンが含まれる。
【0103】
本発明の特定の一実施形態において、揮発性溶媒は、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、イソドデカン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびデカメチルテトラシロキサン、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0104】
揮発性溶媒は、本発明の方法において使用することができる組成物中に、組成物の全質量に対して、0.1質量%から95質量%の範囲、好ましくは1質量%から90質量%の範囲、および優先的には5質量%から90質量%の範囲で存在してもよい。
【0105】
(追加の添加剤)
特定の一実施形態において、本発明の組成物は、100cStを超える、好ましくは300cStを超える粘度を有する、1つまたは複数のポリシロキサンを含んでもよい。これらのポリシロキサンの粘度は、ASTM規格D-445に準拠して測定することができる。このようなポリシロキサンは、シリコーン油、シリコーンガムまたはシリコーン樹脂、または架橋シリコーンであってもよい。
【0106】
100cStを超える粘度のポリシロキサンには、ポリジメチルシロキサン; アルキルジメチコーン; ポリフェニルメチルシロキサン、例えばフェニルジメチコーン、フェニルトリメチコーンおよびビニルメチルメチコーン; および場合によってフッ素化されていてもよい、脂肪族および/または芳香族基で、または官能基、例えばヒドロキシル、チオールおよび/またはアミン基で修飾されたシリコーンが特に含まれる。
【0107】
このようなポリシロキサンは、式(I)のシリコーンから選択されてもよい:
【0108】
【化1】

【0109】
ここで、R1、R2、R5およびR6は、一緒にまたは別々に、1から6個の炭素原子を含むアルキル基であり、R3およびR4は、一緒にまたは別々に、1から6個の炭素原子を含むアルキル基、ビニル基、アリール基、1から6個の炭素原子を含み、場合によって置換されていてもよいアミノアルキル基、ヒドロキシル基または1から6個の炭素原子を含むチオアルキル基であり、Xは、1から6個の炭素原子を含むアルキル基、ヒドロキシル基、ビニル基、1から6個の炭素原子を含み、場合によって置換されていてもよいアミノアルキル基、または1から6個の炭素原子を含むチオアルキル基であり、nおよびpは、300cstを超える粘度を得るように選択される整数である。
【0110】
例として、以下のポリジメチルシロキサンが挙げられる:
・置換基R1〜R6およびXがメチル基を表す、例えばGeneral Electric社によりBaysilicone TP 3898の名称で販売されている製品、およびWacker社によりAK 500000の名称で販売されている製品、
・置換基R1〜R6およびXがメチル基を表し、pおよびnは分子量が120000g/molとなるものである、例えばDow Corning社によりDow Corning 200 Fluid 60000 CSの名称で販売されている製品、
・置換基R1〜R6およびXがメチル基を表し、pおよびnは分子量が250000g/molとなるものである、例えばRhodia社によりMirasil DM 500.000の名称で販売されている製品、およびDow Corning社によりDow Corning 200 Fluid 500.000 cStの名称で販売されている製品、
・置換基R1〜R6がメチル基を表し、基Xがヒドロキシル基を表し、nおよびpは、ポリマーの分子量が600000g/molとなるものである、例えばDow Corning社によりSGM 36の名称で販売されている製品、
・(ポリジメチルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)タイプのジメチコーン、例えば、GE Bayer Siliconesにより販売されているSE63、ポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニル)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、およびこれらの混合物など。
【0111】
ポリシロキサンがフルオロ基を含む場合、以下の構造を有するコポリマーが選択されてもよい:
【0112】
【化2】

【0113】
ここで、Rは、1から6個の炭素原子を含む、2価の直鎖または分岐アルキル基、好ましくは、メチル、エチル、プロピルまたはブチル2価基を表し、Rfは、フルオロアルキル基、特に、1から12個の炭素原子、好ましくは1から9個の炭素原子を含むペルフルオロアルキル基を表し、R1は、互いに独立に、C1〜C20アルキル基、ヒドロキシル基またはフェニル基を表し、R2は、R1またはRfを表し、
mは、0から500、好ましくは0から200から選択され、かつnは、1から1000、好ましくは1から500から選択される。
【0114】
好ましくは、R1基は同一であり、メチル基を表す。
【0115】
このようなポリシロキサンは、特に、Shin Etsu社によりFL-5、FL-10、X22-821およびX22-822、またはFL-100の名称で、Dow Corning社によりFS-1265 Fluidの名称で、あるいはPhoenix Chemical社によりPecosil FSシリーズとして、Pecosil FSL-150、Pecosil FSL-300、Pecosil FSH-150、Pecosil FSH-300、Pecosil FSU-150およびPecosil FSU-300の名称で販売されているものである。
【0116】
ポリシロキサンの質量平均分子量は、1000から1500000g/molの間、特に20000から1000000g/molの間であってもよい。
【0117】
ポリシロキサンは樹脂の形態をとっていてもよい。「樹脂」によっては、架橋または非架橋の3次元構造を意味する。ポリシロキサン樹脂の例として、シルセスキオキサンおよびシロキシシリケートが挙げられる。
【0118】
シリコーン樹脂の命名は「MDTQ」として知られており、樹脂は、それが含む様々なシロキサンモノマーユニットの関数として記載され、「MDTQ」のそれぞれの文字は、ユニットの1つのタイプを特徴付けている。
【0119】
文字Mは、式(CH3)3SiO1/2の単官能性ユニットを表し、ケイ素原子はこのユニットを含むポリマーにおいて1個の酸素原子と結合している。
【0120】
文字Dは、2官能性の(CH3)2SiO2/2ユニットを意味し、ケイ素原子は2個の酸素原子と結合している。
【0121】
文字Tは、式(CH3)SiO3/2の3官能性ユニットを表す。
【0122】
上記に定義されたM、DおよびTユニットにおいて、メチル基のうち少なくとも1つは、メチル基とは異なる基R、例えば、2から10個の炭素原子を含む炭化水素ベースの(特にアルキル)基またはフェニル基、あるいは、それに代えてヒドロキシル基により置換されることができる。
【0123】
最後に、文字Qは、4官能性のSiO4/2ユニットを意味し、ケイ素原子は4個の水素原子と結合しており、これら自体、ポリマーの残りの部分と結合している。
【0124】
異なる特性を有する様々な樹脂がこれら様々なユニットから得ることができ、これらのポリマーの特性は、モノマー(またはユニット)のタイプ、置換基のタイプまたは数、ポリマー鎖の長さ、分岐の程度、およびペンダント鎖のサイズによって変化する。
【0125】
これらのシリコーン樹脂の例として、以下が挙げられる。
- シロキシシリケートであって、これは、xおよびyが50から80の範囲の整数である、式[(CH3)3SiO]x(SiO4/2)y(MQユニット)のトリメチルシロキシシリケートであり得るもの;
- 式(CH3SiO3/2)x(Tユニット)のポリシルセスキオキサンであって、メチル基のうちの少なくとも1つが、上記で定義された基Rで置換されていてもよいもの。好ましくは、シルセスキオキサンのTユニットの数xは500以下であり、50から500の間であることがより好ましい。それゆえ、本発明によるシリコーン樹脂の分子量は、好ましくは500から50000g/molの間、より好ましくは500から20000g/molの間、およびさらにより好ましくは500から10000g/molの間である;
- ポリメチルシルセスキオキサンであって、メチル基が別の基で全く置換されていないポリシルセスキオキサンであるもの。このようなポリメチルシルセスキオキサンは、米国特許第5246694号に記載されており、その内容は参照によって本明細書に援用されている;
- ポリプロピルシルセスキオキサンであって、メチル基がプロピル基によって置換されているもの。これらの化合物、およびその合成は、特に、特許出願WO 2005/075567号に記載されている;
- ポリフェニルシルセスキオキサンであって、メチル基がフェニル基によって置換されているもの。これらの化合物、およびその合成は、特に、米国出願公開2004/0180011号に記載されている。
【0126】
商業的に入手可能なポリメチルシルセスキオキサン樹脂の例として、以下の市販されているものが挙げられる。
- Wacker社による参照名Resin MK、例えばBelsil PMS MK: CH3SiO3/2ユニット(Tユニット)の繰返しを含むポリマーで、最大1質量%の(CH3)2SiO2/2ユニット(Dユニット)も含んでよく、かつ、約10000g/molの平均分子量を有する。このポリマーは、以下の図に示すように、「かご型」および「はしご型」立体配置であると考えられる。「かご型」立体配置におけるユニットの平均分子量は、536g/molと算出された。ポリマーの大部分は、末端にエトキシ基を有する「はしご型」立体配置である。これらのエトキシ基は、ポリマーの4.5質量%に相当する。これらの末端は水と反応することができるため、少量かつ様々な量のSiOH基が存在してもよい。
【0127】
【化3】

【0128】
- Shin-Etsu社による参照名KR-220Lであって、式CH3SiO3/2のTユニットから構成され、かつ、SiOH(シラノール)末端基を有するもの、KR-242Aの参照名で販売されているものであって、98%のTユニットおよび2%のジメチルユニットDを含み、SiOH末端基を有するもの、または、KR-251の参照名で販売されているものであって、88%のTユニットおよび12%のジメチルユニットDを含み、SiOH末端基を有するもの。
【0129】
商業的に入手可能なポリプロピルシルセスキオキサン樹脂の例として、以下の市販されているものが挙げられる。
- Dow Corning社による参照名Dow Corning 670 Fluidであって、D5で希釈したポリプロピルシルセスキオキサン。
【0130】
商業的に入手可能なポリフェニルシルセスキオキサン樹脂の例として、以下の市販されているものが挙げられる。
- Dow Corning社による参照名Dow Corning 217 Flake Resinであって、シラノール末端ポリフェニルシルセスキオキサン;
- Wacker社による参照名Belsil SPR 45 VP。
【0131】
シロキシシリケート樹脂として、場合によってパウダー形態であってもよい、トリメチルシロキシシリケート(TMS)樹脂が挙げられる。このような樹脂は、General Electric社によりSR1000の参照名で、またはWacker社によりTMS 803の参照名で市販されている。トリメチルシロキシシリケート樹脂の例として、Shin-Etsu社によりKF-7312Jの名称で、およびDow Corning社によりDC 749ならびにDC 593の名称で、シクロメチコーンなどの溶媒中で市販されているものが挙げられる。
【0132】
本発明によるシリコーン樹脂は、好ましくはフィルム形成性である。事実、全てのシルセスキオキサンがフィルム形成性とは限らず、例えば高重合性ポリメチルシルセスキオキサン、例えばToshibaによるTospearl TMまたはShin-EtsuによるKMP590は不溶性であり、フィルム形成性ではない。
【0133】
本発明の一実施形態において、シリコーン樹脂は、本発明の組成物中に相溶または分散性である。好ましくは、本発明によるシリコーン樹脂は、揮発性シリコーンおよび有機溶媒中に相溶である。一実施形態において、シリコーン樹脂は、25℃で固体である。
【0134】
本発明による好ましいシリコーン樹脂は、トリメチルシロキシシリケート樹脂、ポリメチルシルセスキノキサン樹脂およびポリプロピルシルセスキノキサン樹脂である。
【0135】
本発明の組成物には、架橋シリコーン、例えばフレキシブルな固体物質の粘弾特性を有し、3次元構造を有する高分子量シリコーン化合物である、架橋オルガノポリシロキサンエラストマーが含まれてもよい。したがって、これらのオルガノポリシロキサンは、パウダー状の乾燥形態、または膨潤した形態、溶媒中でもよく、得られる生成物は一般にゲルである。これらの製品は、水性溶媒中に分散された形態であってもよい。
【0136】
これらのオルガノポリシロキサンの合成は、以下の特許に記載されている:
- Kobayashi Koseによる米国特許第5266321号、
- Toray Siliconeによる米国特許第4742142号、
- Dow Corning Corp.による米国特許第5654362号、
- 仏国出願公開第2864784号。
【0137】
組成物中で使用されるオルガノポリシロキサンエラストマーは、部分的にまたは全体的に架橋されていてもよい。それらは、一般的に粒子の形態である。特に、オルガノポリシロキサンエラストマー粒子は、0.1から500μmの数平均サイズを有する。これらの粒子は任意の形状であってもよく、例えば球状、平状または不定形であってもよい。
【0138】
得られた架橋オルガノポリシロキサンは、非乳化化合物または乳化化合物であってもよい。用語「非乳化化合物」は、ポリオキシアルキレンユニットを含まない架橋オルガノポリシロキサンと定義する。用語「乳化化合物」は、少なくとも1つのポリオキシアルキレンユニット、特にポリオキシエチレンユニットまたはポリオキシプロピレンユニットを有する架橋オルガノポリシロキサン化合物を示す。
【0139】
架橋オルガノポリシロキサン粒子は、少なくとも1つの炭化水素ベースの油および/または1つのシリコーン油中に含まれる架橋オルガノポリシロキサンから構成されるゲルの形態で運ばれてもよい。これらのゲルにおいて、オルガノポリシロキサン粒子は、一般的に、非球状粒子である。架橋オルガノポリシロキサン粒子は、パウダーの形態、特に球状パウダーの形態であってもよい。
【0140】
非乳化架橋オルガノポリシロキサンは、特に、米国特許第4970252号、米国特許第4987169号、米国特許第5412004号、米国特許第5654362号および米国特許第5760116号、ならびに特開昭61-194009に記載されている。
【0141】
非乳化架橋オルガノポリシロキサンとして、Shin-Etsu社によりKSG-6、KSG-15、KSG-16、KSG-18、KSG-31、KSG-32、KSG-33、KSG-41、KSG-42、KSG-43、KSG-44およびUSG-103の名称で、Dow Corning社によりDC 9040、DC 9041、DC 9509、DC 9505、DC 9506およびDC 9045の名称で、Grant Industries社によりGransilの名称で、ならびにGeneral Electric社によりSFE 839の名称で販売されているものを使用してもよい。
【0142】
有利には、乳化架橋オルガノポリシロキサンは、ジビニル化合物、特にポリシロキサンのSi-H結合と反応する少なくとも2つのビニル基を有するポリシロキサンから形成される、ポリオキシアルキレン修飾オルガノポリシロキサンを含む。乳化架橋オルガノポリシロキサンは、特に、米国特許第5236986号、米国特許第5412004号、米国特許第5837793号、および米国特許第5811487号に記載されている。
【0143】
乳化架橋オルガノポリシロキサンとして、Shin Etsu社によりKSG-21、KSG-20およびKSG-30の名称で、ならびにDow Corning社によりDC 9010およびDC 9011の名称で市販されているものを使用してもよい。
【0144】
架橋オルガノポリシロキサンエラストマー粒子は、シリコーン樹脂、特に、例えば米国特許第5538793号に記載の、シルセスキオキサン樹脂によりコートされた架橋オルガノポリシロキサンエラストマーのパウダーの形態であってもよい。
【0145】
このようなエラストマーは、Shin Etsu社によりKSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104およびKSP-105の名称で販売されている。
【0146】
好ましくは、架橋オルガノポリシロキサンは、非乳化である。
【0147】
本発明の組成物は、グラフト化シリコーンポリマーを含んでもよい。本発明の文脈において、用語「グラフト化シリコーンポリマー」は、ポリシロキサン部分および非シリコーン有機鎖からなる部分を含み、2つの部分の一方がポリマーの主鎖を構成し、他方が前記主鎖にグラフトされているポリマーを意味することを意図している。
【0148】
本発明による化粧用組成物において使用されるグラフト化シリコーンポリマーは、好ましくは、ポリシロキサンを含むモノマーがグラフトした非シリコーン有機骨格を有するポリマー、非シリコーン有機モノマーがグラフトしたポリシロキサン骨格を有するポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0149】
グラフト化シリコーンポリマーの主鎖を構成する非シリコーン有機モノマーは、フリーラジカル重合性のエチレン性不飽和モノマー、重縮合-重合性モノマー、例えばポリアミド、ポリエステルまたはポリウレタンを形成するもの、および開環性モノマー、例えばオキサゾリンまたはカプロラクトンタイプのものから選択されてもよい。
【0150】
ポリシロキサンを含むモノマーがグラフトした非シリコーン有機骨格を有するポリマーは、本発明によると、米国特許第4693935号、米国特許第4728571号および米国特許第4972037号、ならびに欧州出願公開0412704号、欧州出願公開0412707号、欧州出願公開0640105号ならびに特許出願WO 95/00578号に記載のものから選択されてもよい。それらは、エチレン性不飽和モノマーおよび末端ビニル基を有するシリコーンマクロマーから出発するフリーラジカル重合によって得られるコポリマー、または官能基化された基を含むポリオレフィンと、前記官能基化された基と反応性のある末端官能基を有するポリシロキサンマクロマーとの反応によって得られるコポリマーである。
【0151】
ポリシロキサンを含むモノマーがグラフトした非シリコーン有機骨格を有するコポリマーは、例えば、以下の構造を有してもよい。
【0152】
【化4】

【0153】
このようなポリマーは、Shin EtsuによりKP 561の名称で市販されている。
【0154】
ポリシロキサンを含むモノマーがグラフトした非シリコーン有機骨格を有するコポリマーは、以下の構造を有してもよい。
【0155】
【化5】

【0156】
このようなポリマーは、3MによりSA70の名称で市販されている。
【0157】
ポリシロキサンを含むモノマーがグラフトした非シリコーン有機骨格を有する他のコポリマーは、Shin Etsuにより市販されているKP545、KP574およびKP575であってもよい。
【0158】
グラフト化シリコーン化合物として、Grant IndustriesによりGranacrysil BMASの名称で販売されている、イソブチルメタクリレート/ビス(ヒドロキシプロピル)ジメチコーンアクリレートコポリマーも挙げられる。
【0159】
本発明によると、非シリコーン有機モノマーがグラフトしたポリシロキサン骨格を有するグラフト化シリコーンポリマーは、シリコーン主鎖(すなわち、ポリシロキサン(≡Si-O-)n)を含み、この主鎖には、主鎖内および場合によってその末端の少なくとも1つに、シリコーンを含まない少なくとも1つの有機基がグラフトしている。
【0160】
この定義に対応するシリコーンポリマーの例は、特に、チオプロピレンタイプの連結鎖を介して、ポリ(メタ)アクリル酸タイプおよびポリ(アルキル(メタ)アクリレート)タイプの混合ポリマーユニットがグラフトした、ポリジメチルシロキサン(PDMSs)である。この定義に対応する化合物として、メチル3-(プロピルチオ)アクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸基を含むポリジメチルシロキサンまたはポリメチルシロキサン、あるいは、3M社によりVS80の名称で市販されているPolysilicone-8が挙げられる。
【0161】
シリコーンポリマーの他の例は、特に、チオプロピレンタイプの連結鎖を介して、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)タイプのポリマーユニットがグラフトした、ポリジメチルシロキサン(PDMSs)である。
【0162】
好ましくは、本発明の、非シリコーン有機モノマーがグラフトしたポリシロキサン骨格を有するシリコーンポリマーの数平均分子量は、約10000から約1000000、およびさらにより好ましくは、約10000から約100000の範囲である。
【0163】
好ましくは、グラフト化シリコーンポリマーは、ポリジメチルシロキサン-グラフト化アルキルメタクリレートコポリマー、イソブチルメタクリレート/アクリル酸/シリコーンマクロマーコポリマー、およびメチル3-(プロピルチオ)アクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸基を含むポリジメチルシロキサンまたはポリメチルシロキサンからなる群から選択される。
【0164】
好ましいシリコーン化合物は、シリコーン油、特に式(I)で記載されたもの、およびシリコーン樹脂である。
【0165】
それらが本発明による組成物中に存在する場合、追加のシリコーン化合物の量は、組成物の全質量に対して、0.1質量%から30質量%の間、好ましくは0.1質量%から20質量%の間、およびより好ましくは0.1質量%から10質量%の間である。
【0166】
本発明による組成物は、ポリマー増粘剤、無機増粘剤、およびこれらの混合物から選択される、1つまたは複数の増粘剤を含んでもよい。
【0167】
増粘剤は、無機であっても有機であってもよく、ポリマーであっても非ポリマーであってもよい。増粘剤は、場合に応じて、組成物の水性相または脂肪相を増粘するために選択されてもよい。
【0168】
用語「増粘剤」は、25℃、せん断速度1s-1における媒体の粘度を少なくとも100cps増加させることによって、それが組み込まれる媒体のレオロジーを変える化合物を意味することを意図している。この粘度は、コーン/プレート粘度計(Haake R600レオメータ、または同種のもの)を使用して測定することができる。
【0169】
水性媒体の増粘剤は、以下から選択されてもよい:
- 親水性クレイ、
- 親水性フュームドシリカ、
- 水溶性のセルロースベースの増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース。これらの中で、例として、特に、Amerchol社によりCellosize QP 4400 Hの名称で販売されているガムを挙げることができる、
- C1〜C6ヒドロキシアルキル基を含む非イオン性グアーガム。例として、ヒドロキシメチル、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシブチル基が挙げられる。このようなグアーガムは、特に、Meyhall社によりJaguar HP8、Jaguar HP60、Jaguar HP120およびJaguar HP105の商品名で、またはAqualon社によりGalactasol 40H4FD2の名称で販売されている、
- カラギーナン、
- ローカストビーンガム、スクレログルカンガム、ジェランガム、ラムザンガムまたはカラヤガム、
- アルギネート、マルトデキストリン、デンプンおよびその誘導体、ならびにヒアルロン酸およびその塩、
- Hispano Quimica社またはGuardian社によりHispagelまたはLubragelの名称で販売されているポリグリセリル(メタ)アクリレートポリマー、
- ポリビニルアルコール、
- 架橋アクリルアミドポリマーおよびコポリマー、例えば、Hoechst社によりPAS 5161またはBozepol Cの名称で、Seppic社によりSepigel 305の名称で販売されているもの、あるいは
- Allied Colloid社によりSalcare SC95の名称で販売されている架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマー、
- 会合性ポリマー、特に会合性ポリウレタン。
【0170】
このような増粘剤は、特に、欧州出願公開1400234号に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用される。
【0171】
油性媒体の増粘剤は、以下から選択されてもよい。
- 親有機性クレイ;
- 疎水性フュームドシリカ;
- アルキルグアーガム(C1〜C6アルキル基を有する)、例えば、欧州出願公開708114号に記載のもの;
- 油-ゲル化ポリマー、例えば、エチレン性基を含む少なくとも1つのモノマーの重合または共重合により得られるトリブロックポリマーまたは星型ポリマー、例えば、Kratonの名称で販売されているポリマー;
- 100000未満の質量平均分子量のポリマーであって、a) 少なくとも1個のヘテロ原子を含む炭化水素ベースの繰返しユニットを含むポリマー骨格と、場合によって、b) 少なくとも1つのペンダント脂肪鎖および/または少なくとも1つの末端脂肪鎖とを含むものであって、場合によって官能基化されてもよく、6から120個の炭素原子を含み、これら炭化水素ベースのユニットに連結しているものであって、内容が参照により援用される特許出願WO 02/056847号およびWO 02/47619号に記載のもの; 特に、ポリアミド樹脂(特に12から22個の炭素原子を含むアルキル基を含むもの)、例えば、その内容が参照により援用される米国出願公開5783657号に記載のもの;
- 欧州出願公開1266647号、およびその内容が参照により援用される仏国出願公開0216039号に記載のシリコーンベースのポリアミド樹脂。
【0172】
このような増粘剤は、特に欧州出願公開1400234号に記載されており、その内容は参照により援用される。
【0173】
増粘剤は、有機ゲル化剤、つまり、少なくとも1つの有機化合物を含む薬剤であってもよい。有機ゲル化剤は、その内容が参照により援用される特許出願WO 03/105788号に記載のものから選択されてもよい。
【0174】
より具体的には、本発明による組成物中に存在するポリマー増粘剤は、オレフィンの重合によって形成される非晶性ポリマーである。このオレフィンは、特に、エラストマー性のエチレン性不飽和モノマーであってもよい。
【0175】
オレフィンの例として、エチレン性カーバイドモノマー、特に、1つまたは2つのエチレン性不飽和を含み、かつ2から5個の炭素原子を含むもの、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエンまたはイソプレンが挙げられる。
【0176】
ポリマー増粘剤は、組成物を増粘またはゲル化することができる。「非晶性ポリマー」によっては、結晶形を有さないポリマーを意味する。ポリマー増粘剤は、フィルム形成性であってもよい。
【0177】
ポリマー増粘剤は、特に、ジブロック、トリブロック、マルチブロック、ラジアルまたは星型のコポリマー、あるいはこれらの混合物であってもよい。
【0178】
このようなポリマー増粘剤は、米国出願公開2002/005562号および米国特許第5221534号に記載されている。
【0179】
有利には、ポリマー増粘剤は、スチレンとオレフィンとの非晶性ブロックコポリマーである。
【0180】
ポリマー増粘剤は、モノマーの重合後に、エチレン性不飽和残基を減らすために、好ましくは水素化される。
【0181】
特に、ポリマー増粘剤は、スチレンブロックとエチレン/C3〜C4アルキレンブロックとを含む、場合によって水素化されてもよいコポリマーである。
【0182】
好ましくは水素化されたジブロックコポリマーとして、スチレン-エチレン/プロピレンコポリマー、およびスチレン-エチレン/ブタジエンコポリマーが挙げられる。ジブロックポリマーは、特に、Kraton Polymers社によりKraton(登録商標) G1701Eの名称で販売されている。
【0183】
好ましくは水素化されたトリブロックコポリマーとして、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、およびスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーが挙げられる。トリブロックポリマーは、特に、Kraton Polymers社によりKraton(登録商標) G1650、Kraton(登録商標) G1652、Kraton(登録商標) D1101、Kraton(登録商標) D1102およびKraton(登録商標) D1160の名称で販売されている。
【0184】
スチレン-ブチレン/エチレン-スチレントリブロック水素化コポリマーと、エチレン-プロピレン-スチレン水素化星型ポリマーとの混合物も使用してもよく、このような混合物は、特に、イソドデカン中に存在する。このような混合物は、例えば、Penreco社によりVersagel(登録商標) M5960およびVersagel(登録商標) M5670の商品名で販売されている。
【0185】
有利には、すでに記載したものなどのジブロックコポリマー、特に、スチレン-エチレン/プロピレンジブロックコポリマーが、ポリマー増粘剤として使用される。
【0186】
より具体的には、有機クレイは、クレイの膨潤を可能にする化学化合物で改質されたクレイである。
【0187】
クレイはそれ自体すでに知られている製品であり、例えば、書籍「Mineralogie des argiles」[Clay Mineralogy]、S.Caillere、S.Henin、M.Rautureau、第2版、1982年、Massonに記載されており、その教示は参照により本明細書に含まれる。
【0188】
クレイは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ナトリウム、カリウムおよびリチウムのカチオン、ならびにこれらの混合物から選択されてもよいカチオンを含むシリケートである。
【0189】
このような製品の例として、スメクタイトファミリー、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、バイデライトおよびサポナイト、ならびにバーミキュライト、スチーブンサイトおよびクロライトのファミリーのクレイが挙げられる。
【0190】
これらのクレイは、天然または合成由来のものであってもよい。好ましくは、美容上、ケラチン物質に適合し許容されるクレイが用いられる。
【0191】
親有機性クレイは、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイトおよびセピオライト、ならびにこれらの混合物から選択されてもよい。クレイは、好ましくは、ベントナイトまたはヘクトライトである。
【0192】
これらのクレイは、第4級アミン、第3級アミン、アミンアセテート、イミダゾリン、アミン石けん、脂肪サルフェート、アルキルアリールスルホネートおよびアミンオキシド、ならびにこれらの混合物から選択される化学化合物により改質されてもよい。
【0193】
親有機性クレイとして、クオタニウム-18ベントナイト、例えば、Rheox社によりBentone 3、Bentone 38およびBentone 38Vの名称で、United Catalyst社によりTixogel VPの名称で、Southern Clay社によりClaytone 34、Claytone 40およびClaytone XLの名称で販売されているもの; ステアラルコニウムベントナイト、例えば、Rheox社によりBentone 27の名称で、United Catalyst社によりTixogel LGの名称で、ならびにSouthern Clay社によりClaytone AFおよびClaytone APAの名称で販売されているもの; クオタニウム-18/ベンザルコニウムベントナイト、例えば、Southern Clay社によりClaytone HTおよびClaytone PSの名称で販売されているものが挙げられる。
【0194】
フュームドシリカは、微粉砕されたシリカを生成する、酸水素炎における揮発性ケイ素化合物の高温加水分解によって得られてもよい。この方法は、特に、その表面に多数のシラノール基を有する親水性シリカを得ることを可能にする。このような親水性シリカは、例えば、Degussa社によりAerosil 130(登録商標)、Aerosil 200(登録商標)、Aerosil 255(登録商標)、Aerosil 300(登録商標)およびAerosil 380(登録商標)の名称で、ならびにCabot社によりCab-O-Sil HS-5(登録商標)、Cab-O-Sil EH-5(登録商標)、Cab-O-Sil LM-130(登録商標)、Cab-O-Sil MS-55(登録商標)およびCab-O-Sil M-5(登録商標)の名称で市販されている。
【0195】
シラノール基の数の減少を起こす化学反応を介して、前記シリカの表面を化学的に改質することが可能である。特に、シラノール基を疎水性基で置換することが可能である; この場合、疎水性シリカが得られる。
【0196】
疎水性基は以下であってもよい。
- トリメチルシロキシ基、これは、特に、ヘキサメチルジシラザンの存在下でフュームドシリカを処理することによって得られる。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)によると、「silica silylate (シリカシリレート)」として知られている。それらは、例えば、Degussa社によりAerosil R812(登録商標)の参照名で、Cabot社によってCab-O-Sil TS-530(登録商標)の参照名で市販されている;
- ジメチルシリルオキシルまたはポリジメチルシロキサン基、これらは、特に、ポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下でフュームドシリカを処理することによって得られる。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)によると、「silica dimethyl silylate (シリカジメチルシリレート)」として知られている。それらは、例えば、Degussa社によりAerosil R972(登録商標)およびAerosil R974(登録商標)の参照名で、ならびに、Cabot社によってCab-O-Sil TS-610(登録商標)およびCab-O-Sil TS-720(登録商標)の参照名で市販されている。
【0197】
ヒュームドシリカは、好ましくは、ナノメートルからマイクロメートル、例えば、約5から200nmの範囲の粒子サイズを有していてもよい。
【0198】
有機変性ベントナイトまたはヘクトライトが、好ましくは、無機増粘剤として使用される。
【0199】
増粘剤は、組成物中に、組成物の全質量に対して、0.1質量%から10質量%の範囲、好ましくは0.5質量%から7質量%の範囲、およびより好ましくは0.5質量%から4質量%の範囲で存在してもよい。
【0200】
本発明による組成物は、化粧品に通常用いられる1つまたは複数の薬剤、例えば、還元剤、脂肪物質、可塑剤、柔軟剤、消泡剤、保湿剤、UV-遮蔽剤、無機コロイド、ペプタイザー、可溶化剤、香料、タンパク質、ビタミン、推進剤、オキシエチレン化または非オキシエチレン化ワックス、パラフィン、ステアリン酸またはラウリン酸などのC10〜C30脂肪酸、およびラウリン酸ジエタノールアミドなどのC10〜C30脂肪アミドから選択されるものを含んでもよい。
【0201】
上記添加剤は、一般的に、それらそれぞれが組成物の全質量に対して、0.01質量%から20質量%の間の量で存在する。
【0202】
当然のことながら、当業者であれば、本発明によるコーティングの形成に本来付随する有利な特性が、全くまたは実質的に損なわれることがないように、これら任意の添加剤を選択するよう注意を払うであろう。
【0203】
本発明による組成物は、特に、懸濁液の形態、分散液の形態、溶液の形態、ゲルの形態、エマルション、特に、水中油(O/W)または油中水(W/O)型エマルション、あるいは多重エマルション(W/O/Wまたはポリオール/O/WまたはO/W/O)の形態、クリームの形態、ムースの形態、スティックの形態、小胞(vesicles)、特に、イオン性または非イオン性の脂質の分散液の形態、2相または多相のローションの形態、スプレーの形態、パウダーの形態あるいはペーストの形態であってもよい。
【0204】
組成物は、無水の組成物、すなわち、2質量%未満の水、またはさらに0.5質量%未満の水を含む組成物、特に、水を含まない組成物であってもよく、水は、組成物の調製の間に添加されないが、混合される成分によって導入される残留水に相当する量の水を含む組成物であってもよい。
【0205】
上記に記載された組成物は、乾いたまたは湿った毛髪に使用されてもよい。上記に記載された添加剤は、存在する場合、本発明の組成物と同時に塗布されてもよく、別々に塗布されてもよい。組成物は、洗い流してもよく、流さなくてもよい。その後、毛髪の洗浄を行うことができるが、このような洗浄は必須ではない。
【0206】
加熱を伴う塗布方法を用いることもできる。特にこの実施形態によると、毛髪への塗布は、例えば、櫛、細かいブラシ、粗いブラシまたは指を用いて行ってもよい。
【0207】
組成物の塗布に続いて、40℃より高い温度での乾燥が行われる。特定の一実施形態において、この温度は45℃より高い。特に別の一実施形態において、この温度は45℃より高く、220℃より低い。
【0208】
乾燥は、塗布の後直ちに、または1分から30分の範囲であり得るリーブイン(leave-in)時間の後に、実施されてもよい。
【0209】
好ましくは、熱の供給に加え、毛髪を、空気の流れを用いて乾燥する。乾燥の間のこの空気の流れは、コーティングの1本ずつの独立性の向上を可能にする。
【0210】
乾燥する間、毛髪の房に機械的作用、例えば、櫛で梳かすこと、ブラシをかけること、または指で梳くことが加えられてもよい。
【0211】
本発明の方法の乾燥工程は、フード、ヘアドライヤー、ストレートナー(straightener)などにより行われてもよい。
【0212】
乾燥工程がフードまたはヘアドライヤーにより行われる場合、乾燥温度は40℃から110℃の間、好ましくは50℃から90℃の間である。
【0213】
乾燥工程がストレートナーにより行われる場合、乾燥温度は110℃から220℃、好ましくは140℃から200℃である。
【0214】
一度乾燥が完了すると、最終のリンスまたはシャンプー洗浄が場合によって実施されてもよい。
【0215】
本発明は、以下の実施例によってより詳しく説明されるが、これに制限されるものではない。
【実施例】
【0216】
(実施例1)
以下の組成物を調製する。
【0217】
【表1】

【0218】
0.3gの組成物Aを、1gの清浄で乾燥した色調レベル4の毛髪の房に塗布する。2分間の待ち時間の後、毛髪の房をヘアドライヤーで80℃の温度で2分間乾燥する。これにより得られた毛髪の房は、個々の毛髪が別々の状態であり、かつコシがあり、得られたボリュームはシャンプーに対して抵抗性がある。
【0219】
0.3gの組成物A’を、同じ条件下で、1gの清浄で乾燥した色調レベル4の毛髪の房に塗布する場合、毛髪の房のヘアドライヤーによる乾燥を行うことは、より困難であり、ブラシが毛髪を容易には通りにくい。
【0220】
(実施例2)
以下の組成物を調製する。
【0221】
【表2】

【0222】
0.3gの組成物を、1gの清浄で乾燥した色調レベル4の毛髪の房に塗布する。2分間の待ち時間の後、毛髪の房をヘアドライヤーで80℃の温度で2分間乾燥する。これにより得られた毛髪の房は、個々の毛髪が別々の状態であり、かつコシがあり、得られたボリュームはシャンプーに対して抵抗性がある。
【0223】
(実施例3)
以下の組成物を調製する。
【0224】
【表3】

【0225】
0.6gの組成物Bを、1gの清浄で乾燥した色調レベル4の毛髪の房に塗布する。2分間の待ち時間の後、毛髪の房をヘアドライヤーで80℃の温度で2分間乾燥する。これにより得られた染色された毛髪の房は、個々の毛髪が別々の状態であり、かつ色は非常に均一であり、シャンプーに対して抵抗性がある。
【0226】
0.6gの組成物B’を、同じ条件下で、1gの清浄で乾燥した色調レベル4の毛髪の房に塗布する場合、毛髪の房のヘアドライヤーによる乾燥を行うことは、より困難であり、ブラシが毛髪を容易には通りにくい。
【0227】
(実施例4)
以下の組成物を調製する。
【0228】
【表4】

【0229】
0.6gの組成物を、1gの清浄で乾燥した色調レベル4の毛髪の房に塗布する。2分間の待ち時間の後、毛髪の房をヘアドライヤーで80℃の温度で2分間乾燥する。これにより得られた染色された毛髪の房は、個々の毛髪が別々の状態であり、かつ色は非常に均一であり、シャンプーに対して抵抗性がある。
【0230】
(実施例5)
以下の組成物を調製する。
【0231】
【表5】

【0232】
0.6gの組成物を、1gの清浄で乾燥した色調レベル4の毛髪の房に塗布する。2分間の待ち時間の後、毛髪の房をヘアドライヤーで80℃の温度で2分間乾燥する。これにより得られた染色された毛髪の房は、個々の毛髪が別々の状態であり、かつ色は非常に均一であり、シャンプーに対して抵抗性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン線維をトリートメントするための組成物であって、シリコーン樹脂および流体シリコーンに基づく1つまたは複数のコポリマーと、9から15個の炭素原子を含む1つまたは複数の液体の揮発性直鎖アルカンとを含み、液体の揮発性直鎖アルカンとシリコーン樹脂および流体シリコーンに基づくコポリマーとの間の質量比が2以上である、組成物。
【請求項2】
前記コポリマーが、45%から75%の間の割合のシリコーン樹脂と、25から55%の間の割合の流体シリコーンとを含み、シリコーン樹脂と流体シリコーンの割合の合計が100に等しくなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記シリコーン樹脂が55%から65%の間の割合で存在し、かつ前記流体シリコーンが35から45%の間の割合で存在し、シリコーン樹脂と流体シリコーンの割合の合計が100に等しくなる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記コポリマーの量が、組成物の全質量の1質量%を超える、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記揮発性直鎖アルカンが、10から15個の炭素原子、およびより詳しくは11から13個の炭素原子を含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記揮発性直鎖アルカンが植物由来である、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記揮発性直鎖アルカンが、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、n-テトラデカン、およびこれらの混合物から選択される、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
お互い少なくとも1の炭素数nが異なる、およびより詳しくは、お互い1または2の炭素数が異なる、少なくとも2つの異なる揮発性直鎖アルカンを含む、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記混合物中のアルカンの全質量に対して、
混合物の50質量%から90質量%、好ましくは55質量%から80質量%、より好ましくは60質量%から75質量%のCn揮発性直鎖アルカン、および
混合物の10質量%から50質量%、好ましくは20質量%から45質量%、好ましくは24質量%から40質量%の、xが1以上、および好ましくはx=1またはx=2のCn+x揮発性直鎖アルカン
を含む、少なくとも2つの揮発性直鎖アルカンの混合物を含む、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記混合物中のアルカンの全質量に対して、55質量%から80質量%、好ましくは60質量%から75質量%のC11揮発性直鎖アルカン(n-ウンデカン)と、20質量%から45質量%、好ましくは24質量%から40質量%のC13揮発性直鎖アルカン(n-トリデカン)とを含む、n-ウンデカン/n-トリデカン(C11/C13)混合物を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記混合物中のアルカンの全質量に対して、65質量%から95質量%、好ましくは70質量%から90質量%のC12揮発性直鎖アルカン(n-ドデカン)と、5質量%から35質量%、好ましくは10質量%から30質量%のC14揮発性直鎖アルカン(n-テトラデカン)とを含む、n-ドデカン/n-テトラデカン(C12/C14)混合物を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物の全質量に対して、0.5質量%から90質量%、特には1質量%から90質量%、およびより詳しくは5質量%から90質量%の揮発性直鎖アルカンを含む、請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
液体の揮発性直鎖アルカンと、シリコーン樹脂および流体シリコーンに基づくコポリマーとの間の比が、2から100の間、および好ましくは2.5から50の間である、請求項1から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
100cStを超える粘度を有するポリシロキサンから選択される、好ましくはシリコーン油およびシリコーン樹脂から選択される、より詳しくはポリジメチルシロキサン油およびシリコーン樹脂から選択される、1つまたは複数の追加のシリコーン化合物を含む、請求項1から13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
1つまたは複数の顔料、好ましくは真珠光沢剤を含む、請求項1から14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
無水物の形態である、請求項1から15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の組成物を塗布することを含み、前記塗布に続いて、40℃を超える温度で乾燥することを可能にする、ケラチン線維をトリートメントする方法。

【公開番号】特開2011−37855(P2011−37855A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−180900(P2010−180900)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】