説明

牽引装置

【課題】牽引位における臥台の傾倒角度を任意の角度に設定して治療できるようにしたので、患者の状態に応じて頭部の高さを変えることができ、血液が上半身、特に頭部に集中しすぎないようにすることができる。
【解決手段】牽引治療前だけでなく牽引治療中にも着座部6と背もたれ部8のなす角度を任意に設定することのできる着座部背もたれ部角度設定手段と、着座部6と背もたれ部8のなす角度を検出する着座部背もたれ部角度検出手段とを設け、着座部6と背もたれ部8のなす角度を設定した角度にして牽引治療をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は牽引装置に関するものであり、特に、安全性と治療効果を向上させることを目的とする。
【背景技術】
【0002】
牽引療法は、主に、腰椎や頚椎を牽引し、各種の腰椎疾患や頚椎疾患を治療するもので、整形外科やリハビリテーションなどの分野で広く用いられている。
本発明の装置では頚椎牽引治療も可能であるが、主に腰椎の牽引に使用するので、以下、腰椎牽引について述べる。
【0003】
治療対象となる腰椎は、立位で、やや前方に彎曲(前湾という)しているが、仰臥位になると、腹部と大腿部を繋ぐ筋肉のため、前湾が増強される。腰痛の原因部位は脊柱後部にあることが多く、前湾が増強して患部の圧力が高くなると、疼痛が増悪する。このため、腰椎牽引治療は、図2のように、前湾を矯正した姿勢でおこなうのがよいとされている。
【0004】
従来の牽引装置の例を図3に示す。装置は、牽引器(図3の13)と牽引用ベッドから構成され、治療の補助として脇装具(図3の14)、腰装具(図3の11)及び脚台(図3では省略している)を使用する。脇装具は上体を固定し、腰装具は腰に固定して牽引装置に接続して牽引する。脚台は脚を乗せて図2に近い姿勢にして脊柱の前湾を矯正するのに用いる。
【0005】
治療前に、患者はベッドに乗り、仰臥位になり、ロープ状の脇装具14を脇に当ててその端部をベッドのフレームに固定し、腰装具(図3の11)を腰に装着して牽引装置のワイヤ12に接続し、図4には記載していないが、膝を曲げてその下に脚台を置く。
一方、治療前に、患者に適した牽引力や治療時間等の治療条件を設定する。これは、通常は、図には示していないが、装置に設けている操作パネルから入力しておこなう。この状態で牽引装置本体の治療開始スイッチを押すと、設定した治療条件に従って牽引をおこない、治療時間が終了すると装置は作動を停止するので、脚台を取り除き、腰装具と脇装具を取り外し、ベッドから降りて、終了する。
【0006】
牽引療法は効果的ではあるが、装置には問題も残っている。
前述の、治療前のベッドへの乗り降りや装具着脱などは非常に手間のかかる作業であり、患者だけでなく、介助者の手も煩わせていた。また、腰痛等の腰部疾患を有する患者にとっては肉体的に大きな苦痛であった。
【0007】
このような手間を省力化するために、脇装具を改良するもの(例えば特許文献1)がある。また、ベッドへの乗り降りを簡単にするもの(例えば特許文献2)などがある。
また、ベッドへの乗り降りや装具装着等を総合的に解決するもの(例えば特許文献3)もある。
本出願では、椅子状のベッドを臥台と記載する。
以下、図によりこれらの従来技術を説明する。
【特許文献1】特許第2528360号
【特許文献2】特開平6-233791
【特許文献3】特願2003-310339
【0008】
図5は特許文献1の図に示されている例である。脇アーム(図5の1)は、図の脇を支持した位置へワンタッチで移動できるようにしているため、脇装具の装着は非常に簡単になった。しかし、ベッドは平坦なままであり、ベッドへの乗り降り等の不都合は解決されていないし、腰装具は従来のままである。
【0009】
図6は特許文献2に示されている例で、ベッドを通常は同図左図のように椅子状にしておき、患者が乗り降りする。患者が座り、腰装具と脇装具を装着し、治療条件を設定して治療を開始すると、同図右図のように後方にリクライニングして牽引位になり、牽引治療をおこなうようにしている。このため、ベッドへの乗り降りは楽になっている。
リクライニングさせても椅子の形状は変わらないため、牽引位でも大腿関節を屈曲させたままであるため、腰椎の前湾は矯正されており、望ましいとされる図3のような姿勢で牽引をおこなうことができるため、脚台を使用する必要は無い。しかし、装具類は従来のままである。
【0010】
図7は特許文献3に示されている例で、図7(A)のように、特許文献2と同様に椅子状のベッドにして、乗り降りを楽にしている。治療を開始すると、椅子状のベッドを後方にリクライニングさせて牽引位にし、牽引をおこなうようにしている。この発明では、脇装具には特許文献1と同様に脇アームを用いて自動着脱も可能にしている。しかも、脇装具を自動装着する技術も開示している。また、腰装具は自動車のシートベルトのように、ワンタッチで着脱するようにしており、従来の課題を大部分、解決している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の牽引装置では、ベッドへの載り降り、装具の着脱、脚台の着脱などは、腰部に障害のある人にとって苦痛が大であり、しかも非常に手間のかかるものであった。
これらの課題のうち、脇装具装着の煩わしさを解決するのが特許文献1であり、ベッドへの乗り降りの問題を解決できるのが特許文献2であり、これらを総合的に解決しているのが特許文献3である。
【0012】
しかし、引用文献6や7のように、ベッドをリクライニングさせて牽引をおこなおうとすると、体内の血液分布が変化するため、生体に影響を及ぼすことがある。つまり、座位や立位では、重力の影響で、血液は下半身に分布しているが、臥位になると血液は上半身にも分布するようになり、図7(B)のように脚を高くしてほぼ水平までリクライニングさせると、さらに上半身の血液が多くなる。このような状態になっても通常の人では大きな影響は無いが、脳血管障害等のリスクのある人では脳出血等の問題が生じる可能性もある。特許文献2や特許文献3の牽引装置は、牽引位のベッド傾到角度は一定で、背もたれ部と着座部のなす角度も固定である。このため、この牽引装置で牽引を開始すると、牽引位に傾倒させたとき、頭部の血液が多くなり、脳血管障害等のリスクがある人には危険である。治療中に患者の状態が変化することもある。
このようなリスクを有する患者では、傾倒角度を、患者の状態に合わせて適した角度に調節することが求められる。また、脚の位置を調節することも重要である。
【0013】
また、特許文献2では従来と同様の腰及び脇装具を使用しているため、装着の煩わしさが残っていた。特許文献 3の牽引装置では、図7に示すように、ベルト状の腰装具14と脇アーム13を用いているため、装着はワンタッチ又は自動化しているので、装着の煩わしさは解決されている。しかし、腰装具はベルト状のため、腰の固定に少し甘さが残っていた。
本発明はこれらの問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
患者の状態に合わせて牽引位の角度を調節するために、請求項1記載の発明では、着座部6や背もたれ部8などからなる椅子状の臥台2を基台1に載置し、
傾動機構部3により臥台2を椅子状の着座位と所定角度背面側へ傾倒した牽引位までの間で傾動させることができるようにし、
牽引機構部10により着座部6と背もたれ部8の間隔を離開させるようにし、
腰装具で腰を固定し、脇装具で脇を支持し、
牽引力や治療時間、休止時間、持続時間などの牽引条件を入力して、
着座位で治療をスタートすると、傾動機構部3が作動して臥台2を牽引位に傾動させ、続いて、入力された牽引条件にしたがって間歇的な牽引又は持続的な牽引をおこない、治療が終了すると傾動機構部3が作動して臥台2を着座位に戻す、という一連の動きを自動的におこなうようにした牽引装置において、牽引位における臥台2の傾斜角度θを任意の角度に設定して牽引治療をおこなうことができるようにした
請求項2記載の発明では、請求項1記載の牽引装置において、牽引位における臥台2の傾斜角度θを、牽引治療中に、任意の角度に変更できるようにした。
請求項3記載の発明では、着座部6や背もたれ部8などからなる椅子状の臥台2を基台1に載置し、傾動機構部3により臥台2を椅子状の着座位と所定角度背面側へ傾倒した牽引位までの間で傾動させることができるようにし、
牽引機構部10により、着座部6と背もたれ部8の間隔を離開させるようにし、
腰装具で腰を固定し、脇装具で脇を支持するようにし、
牽引力や治療時間、休止時間、持続時間などの牽引条件を入力して、
着座位で治療をスタートすると、傾動機構部3が作動して臥台2を牽引位に傾動させ、続いて、入力された牽引条件にしたがって間歇的な牽引又は持続的な牽引をおこない、治療が終了すると傾動機構部3が作動して臥台2を着座位に戻す、という一連の動きを自動的におこなうようにした牽引装置において、着座部6と背もたれ部8のなす角度を任意の角度に設定して牽引治療をおこなうことができるようにした。
請求項4記載の発明では、請求項3記載の牽引装置において、着座部6と背もたれ部8のなす角度を、牽引治療中に、任意の角度に変更できるようにした。
請求項5記載の発明では、着座部6や背もたれ部8などからなる椅子状の臥台2を基台1に載置し、
傾動機構部3により、臥台2を椅子状の着座位と所定角度背面側へ傾倒した牽引位までの間で傾動させることができるようにし、
牽引機構部10により、着座部6と背もたれ部8の間隔を離開させるようにし、
腰装具で腰を固定し、脇装具で脇を支持するようにし、
牽引力や治療時間、休止時間、持続時間などの牽引条件を入力して、
着座位で治療をスタートすると、傾動機構部3が作動して臥台2を牽引位に傾動させ、続いて、入力された牽引条件にしたがって間歇的な牽引又は持続的な牽引をおこない、治療が終了すると傾動機構部3が作動して臥台2を着座位に戻す、という一連の動きを自動的におこなうようにした牽引装置において、臥台2の着座部6と背もたれ部7の境界近傍に腰用ベルト14を設け、腰用ベルト14にパッド17を設けて腰装具とし、パッド17ごとベルトで締めるようにして、患者を確実に臥台2に固定して牽引治療をおこなうようにした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明により、牽引位における臥台2の傾倒角度を任意の角度に設定して治療できるようにしたので、患者の状態に応じて頭部の高さを変えることができ、血液が上半身、特に頭部に集中しすぎないようにすることができる。このため、脳血管障害等のリスクを有する患者でも、安全に牽引治療をおこなうことができる。また、治療中にも傾斜角度を再調節できるようにすることもできるので、治療中に患者の状態が悪化しても、即座に、これに対応できる。
【0016】
請求項2記載の発明により、請求項1記載の牽引装置において、牽引位における臥台2の傾斜角度θを、牽引治療中に、任意の角度に変更できるようにしたので、治療中に頭部への血流が集中しても、臥台2の傾倒角度を変更して対処できる。
請求項3記載の発明により、着座部6と背もたれ部8のなす角度を変更できるようにしたので、脚の位置を低くして、血液が上半身、特に頭部に集中しすぎないようにすることができ、高血圧等のリスクを有する患者でも、安全に牽引治療をおこなうことができる。
請求項4記載の発明により、これも治療中に着座部6と背もたれ部8のなす角度を再調節をできるようにすることもできるので、治療中に患者の状態が悪化しても、即座に、これに対応できる。
請求項1から4の発明を組み合わせることで、より安全な牽引治療をおこなうことができる。
【0017】
請求項5記載の発明により、臥台2の着座部6と背もたれ部7の境界近傍に腰用ベルト14を設け、この腰ベルト14にパッド17を設けたので、腰ベルトを締めると、パッド17により患者を確実に臥台2に固定できるため、牽引治療効果をより高くすることができる。
図2のように、腰支持部7の形状を、腰部の形状に合わせて成形して柔らかい部材を用いると、腰支持部7とパッド17とを、ベルト16で締めつけることができるので、腰部の固定が確実になり、効果的な牽引を行うことができる。
【実施例1】
【0018】
図1に、本発明の牽引装置の実施例を示す。図1の1は基台、2は臥台、3は傾動機構部、4は臥台のフレーム、5は下腿を支持する下腿載部、6は患者が座る着座部、7は患者の腰を支持する腰支持部、8は背もたれ部、9は背もたれ部と着座部の角度を調節する着座駆動部、11は脇装具のアーム、12は脇を支持する脇装具の脇当て、13は脇装具、14は腰装具ある。
図には記載していないが、装置は全体を制御する制御部と、背もたれ部8と腰支持部7とを引き離して腰椎牽引力を発生させる牽引機構部等を有する。制御部には操作パネルが接続され、治療条件等の設定はこれでおこなう。
【0019】
請求項1記載の発明により、牽引位における背もたれ部8の角度を任意に設定にすることができる。具体的には、操作パネル(図には記載していない)等から適切な傾倒角度L又は牽引位の傾斜角度θを入力し、牽引開始時に、これに応じて傾動機構部3を制御し、別途設けた角度計等のセンサの情報を元に、牽引時の背もたれ部8の角度L又はθを所定の角度にするようにしている。
【0020】
請求項2記載の発明により、牽引中にも、患者の様子を見て、必要に応じて牽引位の角度を再調整できるようにすることができる。
具体的には、傾斜角度を増加又は減少する、座位まで起きる、水平位にする、等のスイッチを用意し、これを押すと、臥台2の傾斜角度が増減したり、座位に戻ったり、水平位になって貧血時に対応する等が可能になっている。
【0021】
通常は、牽引位の傾斜角度θをゼロにして、図3のような好ましいとされる姿位で牽引治療をおこなうことができるが、請求項1の発明により、脳血管障害等のリスクのある患者ではその状態に応じて傾斜角度θを設定して使用すれば、効果的で、且つ、安全な牽引治療をおこなうことができる。牽引治療中に牽引位の傾斜角度を再調節できるので、治療中に患者の容態が変化した場合、傾斜角度θを大きくしたり、貧血をおこした場合は水平又はそれ以下にする等の、必要な処置も可能で、このため安全な牽引治療が可能になる。
【0022】
請求項3記載の発明により、背もたれ部8と着座部6の角度(股関節の角度に相当し、相対的な脚の高さを決定する)を任意に変更できる。具体的には、背もたれ部8と着座部6の接合部に軸を設けて回転自在にしておき、着座部6に着座駆動部9を設け、操作パネル(図には記載していない)から適切な傾倒角度を入力し、又は傾倒角度をプリセットしておき、これに応じて着座部駆動機構部を制御して、別途設けた角度計等のセンサの情報を元に、背もたれ部8と着座部6の角度を設定値になるようにして、着座部駆動部を駆動することで、患者の脚の高さを変更できるようにしている。
請求項4記載の発明により、治療中にも背もたれ部8と着座部6の角度を変更できるので、より適切に患者の状態に対応できる。
本請求項記載の発明を用いると、上半身、特に頭部への過度の血流の集中を防止できるため、脳血管障害等のリスクを有する患者でも、安全に牽引治療をおこなうことができる。
【0023】
請求項1から4までの発明と組み合わせると、さらにうまく血流分布を制御することができるので、より安全な牽引治療をおこなうことができる。
また、太った患者では、図6(B)のような姿勢にすると、腹部が圧迫されて苦しいことがあるので、請求項1から4の発明により、楽に牽引治療をおこなうようにすることもできる。
【0024】
図2は請求項5記載の発明の腰装具14の例である。この例では、腰装具14は、臥台のフレーム4に固定したベルト15と16、及びベルト15の体側の設けたパッド17で構成しており、ベルト16をバックル金具18で折り返し、きつく締め、面ファスナ19で固定するようにしている。
患者Mが着座部6に腰を腰支持部7に当てて座り、ベルト16を締めると、パッド17で腹部を圧迫し、患者の腰部を確実に固定する。
治療中、脇は脇装具13で、腰は腰装具14で確実に固定して牽引するので、装具類の装着不良による牽引効果の低下もなく、確実な効果的な牽引治療をおこなうことができる。
【0025】
特許文献3に示されている腰用ベルトは、装置に着座してベルトを掛けて締めるだけで簡単に腰を固定できるので、従来の腰装具と比較すると、装具装着の手間を大幅に省力化することができる。
しかし、パッドが付いていなかったため、人体の固定が不充分であり、牽引中に体がずれて治療効果が低下することもあった。しかし、本請求項の発明により、ベルト14を締めると、パッド17が人体Mに密着するため、患者の腰は十分に固定されるため、確実な牽引治療をおこなうことができる。
【0026】
本発明の装置で治療する場合、請求項1の発明により、患者の状態に応じて、治療条件と牽引位の傾斜角度θ(又は傾動角度L)を設定し、請求項3の発明により着座部の角度を設定し、患者を臥台2の着座部6に座らせ、請求項3の発明により、腰装具14で簡単に腰を固定し、治療スタートスイッチを押すと、臥台2と着座部6は設定した角度まで傾動し、この間に脇装具13が自動的に装着され、患者に適した姿勢で、患者に適した牽引条件で、牽引治療をおこなうことができる。
また、治療中に請求項2によって牽引位の傾斜角度θを、請求項4によって着座部6の角度を変更できるので、治療中に容態の急変があっても即座に対応することができる。
【0027】
従来は、図3のように、ベッドに仰臥位になり、股関節を曲げた姿勢で牽引することが望ましいとされている。本発明の牽引装置を用いて、これと同じ姿勢で牽引することができる。
つまり、本発明の牽引装置を用いると、従来の牽引装置と比較して、より安全で効果的な牽引治療をおこなうことができる。
【実施例2】
【0028】
以上の説明では、請求項1では、背もたれ部8の角度は、操作パネルから入力して、この角度になるように制御する例を述べた。
臥台2の傾斜角度を入力する方法は、ある角度情報をプリセットしておいてこの中から選択する方法、カード等のメモリ媒体を用いて設定する方法、オンラインで外部から制御する方法等があるが、どのような方法であってもよい。
【0029】
角度の検出は、別途、センサを設置して、その情報をみながら設定角度になるようにする例を述べたが、図1(B)のように、傾動角度Lを機械的に制限する傾動角度制限機構部20を設け、これを調節して牽引意の傾斜角度を設定するようにしてもよい。これは一例であり、どのような手段を用いても良いし、電動・手動も問わない。
請求項3の発明でも同様に、図1(C)のように、機械的な制限部21を設けて図中Bのように長さを調節して着座部の角度を調節してもよい。着座駆動部9を用いないで、手動で着座部の角度調節をおこなうようにしてもよい。背もたれ部のフレーム4に対して、着座部6と下腿載部5を回転自在にしておいて、下腿載部を駆動するようにしてもよい。図1(C)は一例であり、どのような手段を用いても良いし、電動・手動も問わない。
【0030】
パッド17は、図2の例では左右のベルト15に2個、左右の腹部に当たるように設けているが、パッド17の数は1個でもよいし複数であってもよいし、この形状及び取り付け位置は問わない。
図2の腰支持部7のような形状に成形したパッドで腹部を固定するようにしてもよいし、パッドはベルトに取りつけなくても構わない。
パッドには気体や液体、ゲル等、柔軟な部材であれば何を用いてもよい。
【0031】
また、ベルト15は左右に2枚設けているが、一体にしてもよい。
ベルト16の固定法は、図2では、ベルト16をバックル金具18で折り返して締めつけ、面ファスナ19で固定するようにしているが、この固定法も問わない。車のシートベルト等、どのような方法を用いてもよい。要は、ベルト16をワンタッチで締めることができ、ベルト16を締めたときパッド17で腰を確実に固定できるようにすればよい。
【0032】
図2の例では、腰支持部7は腰を包むような形状をしており、しかも柔軟な部材でできているため、臥台2のフレームに取りつけられたベルト16を締めると、パッド17と共に、患者の腰Mを確実に固定することができる。
【0033】
図1では、ベルト式の腰装具とアーム式の脇アームを使用している例を示しているが、請求項1及び2の発明は臥台2及び着座部6角度を調節可能にするものであり、脇及び腰装具は、従来の装具を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例でである。
【図2】請求項5記載の発明の腰装具の例である。
【図3】好ましいとされる腰椎牽引の姿勢の図
【図4】従来の牽引装置の例である。
【図5】特許文献1の実施例の図である。
【図6】特許文献2の実施例の図である。
【図7】特許文献3の実施例の図である。
【符号の説明】
【0035】
1:基台
2:臥台
3:傾動機構部
4:臥台のフレーム
5:下腿載部
6:着座部
7:腰支持部
8:背もたれ部
9:着座駆動部
11:脇装具のアーム
12:脇当て
13:脇装具
14:腰装具
15、16:ベルト
17:パッド
18:ベルト折り返し用のバックル金具
19:面ファスナ
20:臥台の傾斜角度制限機構部
21:着座部傾斜角度制限機構部
L:傾動角度
θ:牽引位の角度
A:臥台の傾斜角度制限機構部の可動範囲
B:着座部傾斜角度制限機構部の可動範囲


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座部(6)や背もたれ部(8)などからなる椅子状の臥台(2)を基台(1)に載置し、傾動機構部(3)により臥台(2)を椅子状の着座位と所定角度背面側へ傾倒した牽引位までの間で傾動させることができるようにし、
牽引機構部(10)により、着座部(6)と背もたれ部(8)の間隔を離開させるようにし、
腰装具で腰を固定し、脇装具で脇を支持するようにし、
牽引力や治療時間、休止時間、持続時間などの牽引条件を入力して、
着座位で治療をスタートすると、傾動機構部(3)が作動して臥台(2)を牽引位に傾動させ、続いて、入力された牽引条件にしたがって間歇的な牽引又は持続的な牽引をおこない、治療が終了すると傾動機構部(3)が作動して臥台(2)を着座位に戻す、という一連の動きを自動的におこなうようにした牽引装置において、
牽引治療前だけでなく牽引治療中にも着座部(6)と背もたれ部(8)のなす角度を任意に設定することのできる着座部背もたれ部角度設定手段と、
着座部(6)と背もたれ部(8)のなす角度を検出する着座部背もたれ部角度検出手段と、
を設け、
着座部(6)と背もたれ部(8)のなす角度を設定した角度にして牽引治療をおこなうことができるようにしたことを特長とする牽引装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−279736(P2010−279736A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184374(P2010−184374)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【分割の表示】特願2004−335941(P2004−335941)の分割
【原出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000114190)ミナト医科学株式会社 (31)
【Fターム(参考)】