説明

犬の頚部腹側減圧術および該頚部腹側減圧術において使用するインプラント

【課題】犬の頚部腹側減圧術において、椎間板物質の摘出後の椎間部を確実に固定して安定化し、術後の合併症の発生を防止するとともに、手術時間を短縮し、手術侵襲を小さくする。
【解決手段】頚部椎間板突出・逸脱症を有する犬の頸腹部正中を、対象となる椎間を中心に所定の長さにわたって切開して、椎間を挟んで前後に位置する一対の椎体を露出させ、一対の椎体に、椎間を横切って体軸方向にのびる所定の幅および長さのベントラルスロットを形成し、ベントラルスロットおよび椎間から椎間板物質を摘出し、一対の椎間を固定する伸延固定処置を施し、切開部を縫合する犬の頚部腹側減圧術において、伸延固定処置が、椎間板物質の摘出の結果、ベントラルスロットおよび椎間空隙から形成された、腹側から脊髄に向かってのびる十字形断面の縦孔に、十字形断面を有し、縦孔に適合する形状のインプラントを打ち込むことからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬の頚部椎間板突出・逸脱症に対する外科的治療法として用いられる頚部腹側減圧術および当該頚部腹側減圧術において使用するインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
犬の頚部椎間板突出・逸脱症には、主としてダックスフント、ビーグル種等の軟骨異栄養性犬種や小型犬種に発生する頚椎椎間板疾患によるものと、ウォブラー(Wobbler)症候群と呼ばれる、ドーベルマン、グレート・デーン等の大型犬種の下位頚椎領域に発生する脊髄損傷性疾患によるものとがある。
【0003】
頚部椎間板突出・逸脱症では、変性した髄核物質が、線維輪の背側の完全断裂により脊柱管に流れ出ること(逸脱)、あるいは椎間板の変性によって線維輪背側はドーム状に膨隆すること(突出)によって脊髄神経が圧迫され、脊髄障害を生じる。
【0004】
よって、頚部椎間板突出・逸脱症の治療においては、脊髄神経を圧迫している椎間板物質を外科的に摘出して脊髄を減圧することが重要であり、このため、背側減圧術(例えば、背側椎弓切除術)および腹側減圧術(例えば、頚部腹側減圧術)等の外科的治療法がこれまでに提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
これらの減圧術においては、減圧処置を単独で施した場合には、椎間板物質の摘出によって椎間に空隙が残され、それによって、術後に椎骨間の不安定性が増大し、新たな脊髄障害が発生する等の合併症が発生する危険性がある。
【0006】
したがって、減圧処置と同時に、椎間板物質摘出後の椎間部を固定して安定化させるための伸延固定処置が施される。この伸延固定処置としては、例えば、空隙となった椎間の前後の椎骨にそれぞれピンを刺入し、ピン同士を骨セメントによって結合させる方法や、空隙となった椎間に、インプラントとして、自家海綿骨、メタクリル酸メチル骨セメントまたはステンレス製のワッシャーを挿入した後、ピンおよび骨セメントによって固定する方法等が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、犬の脊髄に加わる荷重は想像以上に大きく、これらの従来の伸延固定処置では、術後、この脊髄に加わる大きな荷重によって次第に固定部に弛みが生じ、その結果、椎間部が不安定化し、極端な場合には椎骨が崩壊する等の、治療の難しい合併症が生じる危険性があった。
また、従来の椎間部安定化処置には長時間を要し、減圧術も含めた手術全体の時間が長くなり、手術侵襲も大きいという問題があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】泉澤康晴、外2名、「頚部腹側減圧術」、株式会社インターズー、1999年7月1日、第3巻、第4号、p.18−p.24
【非特許文献2】原康、「Wobbler症候群」、株式会社インターズー、2005年9月1日、第9巻、第5号、p.33−p.48
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、犬の頚部腹側減圧術において、椎間板物質の摘出後の椎間部を確実に固定して安定化し、術後の合併症の発生を防止するとともに、手術時間を短縮し、手術侵襲を小さくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明によれば、頚部椎間板突出・逸脱症を有する犬の頸腹部正中を、対象となる椎間を中心に所定の長さにわたって切開して、前記椎間を挟んで前後に位置する一対の椎体を露出させ、前記一対の椎体に、前記椎間を横切って体軸方向にのびる所定の幅および長さのベントラルスロットを形成し、前記ベントラルスロットおよび前記椎間から椎間板物質を摘出し、前記一対の椎間を固定する伸延固定処置を施し、切開部を縫合する犬の頚部腹側減圧術において、前記伸延固定処置が、前記椎間板物質の摘出の結果、前記ベントラルスロットおよび椎間空隙から形成された、腹側から脊髄に向かってのびる十字形断面の縦孔に、十字形断面を有し、前記縦孔に適合する形状のインプラントを打ち込むことからなることを特徴とする犬の頚部腹側減圧術が提供される。
【0011】
この場合、前記伸延固定処置において、異なる寸法の前記インプラントを2個以上予め準備し、前記縦孔に前記インプラントを打ち込むとき、前記インプラントを1個ずつ前記縦孔に対して出し入れして、その都度前記インプラントの前記縦孔に対する適合性をCT画像によってチェックし、前記縦孔に最も適合する前記インプラントを決定し、前記決定したインプラントを前記縦孔に打ち込むようにしてもよい。
【0012】
上記課題を解決するため、また、本発明によれば、生体活性処理された、一定の長さを有する十字形断面のチタン製またはチタン合金製の単体からなり、前記ベントラルスロットの内部空間に対応する形状の縦方向部分と、前記縦方向部分の中央部を横切ってのびる、前記椎間空隙の内部空間に対応する形状の横方向部分とを有し、十字形の一端面が前記脊髄に対向し、十字形の他端面が頚部腹側に露出するように前記十字形断面の縦孔に打ち込まれるものであることを特徴とするインプラントが提供される。
この場合、前記生体活性処理は、例えば、アルカリ処理および加熱処理を順次実行すること、または酸処理および加熱処理を順次実行することからなっている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、犬の頚部腹側減圧術において、椎間板物質の摘出後、対象となる椎間を横切って体軸に沿ってのびるベントラルスロットおよび椎間空隙から形成された、腹側から脊髄に向かってのびる縦孔に、当該縦孔に適合した十字形断面のインプラントを打ち込み、椎間部を固定するので、椎間板欠損部がインプラントによって充填されるとともに、椎間の前後の椎体が十字形断面のインプラントによって体軸方向およびそれに直交する方向にずれることなく接合される。その結果、術後の椎間部に大きな荷重が加わっても、椎間部は確実に固定され、術後の合併症の発生が防止される。
【0014】
また、本発明によれば、椎間板物質の摘出後に残された十字形断面の縦孔にインプラントを打ち込むだけで伸延固定処置が完了するので、従来法よりも手術時間が大幅に短縮され、手術侵襲も小さくなる。
さらに、生体活性処理されたインプラントを使用すれば、このインプラントは、アパタイト形成能に優れているので、その前後に隣接する椎体(生体骨)と強固に結合し、それによって、椎間板欠損部が速やかに修復され、椎間部が確実に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による犬の頚部腹側減圧術のフロー図である。
【図2】本発明による犬の頚部腹側減圧術の一連の手順を説明する図である。
【図3】椎間前後の椎体に形成されたベントラルスロットを示す平面図である。
【図4】インプラントの形状を示す図であり、Aは、背面側から見た斜視図であり、Bは、正面側から見た斜視図であり、Cは、背面図である。
【図5】椎間部にインプラントが打ち込まれた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例について説明する。図1は、本発明による犬の頚部腹側減圧術のフロー図であり、図2は、本発明による犬の頚部腹側減圧術の一連の手順を説明する図である。図2A〜Gのそれぞれにおいて、図面の左側を頭側とし、右側を尾側としている。
なお、本発明による犬の頚部腹側減圧術は、椎間物質の摘出後に椎間部を固定する伸延固定処置の構成以外は、従来の犬の頚部腹側減圧術と同じ構成を有している。
【0017】
図1および図2を参照して、本発明の術式によれば、まず、頚部椎間板突出・逸脱症を有する犬に対して麻酔をし、図2Aに示すように、この犬2を、手術用ベッド1上に仰臥位で寝かせるとともに、前肢3a、3bを尾側へ牽引し、術中に左右のローリングがないように保定する(図1のS1)。その際、頚部3cにはマット4を敷いて頚部3cを伸展させ、下顎を粘着テープ5によって手術用ベッド1に固定する。
【0018】
次に、図2Bに示すように、その犬の頚腹部正中を、目的とする椎間を中心に所定の長さ(5〜10cm)にわたって皮下切開する(図1のS2)。この皮下切開は、左右一対の胸骨舌骨筋6と胸骨乳突筋7が現われるまで進める。
そして、図2Cに示すように、胸骨舌骨筋6と胸骨乳突筋7の中央部の筋膜を切開分離し、気管8を露出させ(図1のS3)、さらに、図2Dに示すように、胸骨舌骨筋6と胸骨乳突筋7の中央に開創器10を挿入して左右に広げる(図1のS4)。このとき、気管8の両側には、その背側に反回神経を付着している頸動脈鞘12があり、背側には食道9が位置する。そして、図2Eに示すように、気管8と右側頸動脈鞘13の間を鈍性分離し、レイクリトラクター14等によって気管8および食道9を偏位させる(図1のS5)。
【0019】
次に、図2Fに示すように、頚長筋中央を触診して頚椎の腹結節15を触知し、目的とする椎間を確認した後、前位頚椎腹結節直後で頚長筋の腱にわずかな横切開を加え、鋭曲のメッツェンバウム剪刀16等を用いて頚椎に付着する頚長筋繊維を剥離する(図1のS6)。
その後、図2Gに示すように、腹結節17に付着する頚長筋11の腱性起始は頚長筋11を左右に鈍性分離し、その間にゲルピー開創器を配置して開創する(図1のS7)。この場合、ベントラルスロットを形成するために、椎間板19の前後の椎体20、21を広く露出させる。
【0020】
そして、頭側の頚椎腹結節をロンジュールで切除し、椎間板19の腹側線維輪を外科刀で切離し、さらに、ラウンドバーを用いて、椎間を挟んで前後の椎体20、21にのびる長方形断面のベントラルスロット22を形成する(図1のS8)。この状況を図3に示した。
この場合、ベントラルスロット22の中心は、基本的には椎体20、21の正中で、椎間よりもやや頭側になるように形成する。これは、頚椎椎間が腹側から背側に向かって頭側に傾斜しているためである。また、脊柱管腹側を通る椎体静脈洞や、腹側静脈洞の損傷を未然に回避するため、ベントラルスロット22の幅および長さは、それぞれ椎体20、21の幅および長さの1/3を超えないようにする。
【0021】
ベントラルスロット22の形成後、眼科鋏や外科刀等を用いて、背側線維輪、および必要に応じて背側縦靱帯を切除する。その後、神経根エレベータ等によって椎間板物質を牽引し、細かく分断し、小口径のフレザー吸引管によって椎間板物質を吸引し、あるいは小型鉗子等によって椎間板物質を除去することにより、椎間板物質を摘出する(図1のS9)。
【0022】
椎間板物質の摘出後、椎間部を固定するための伸延固定処置を行う。本発明によれば、この伸延固定処置は、椎間板物質の摘出の結果、ベントラルスロット22および椎間空隙19’から形成された、腹側から脊髄に向かってのびる十字形断面の縦孔23に、十字形断面を有し、当該縦孔23に適合する形状のインプラントを打ち込むことからなっている(図1のS10)。
【0023】
図4は、インプラントの形状を示す図であり、図4Aは、背面側から見た斜視図であり、図4Bは、正面側から見た斜視図であり、図4Cは、背面図である。
図4を参照して、インプラント24は、生体活性処理された、一定の長さを有する十字形断面のチタン製またはチタン合金製の単体からなり、ベントラルスロット22の内部空間に対応する形状の縦方向部分25と、縦方向部分25の中央部を横切ってのびる、椎間空隙19’の内部空間に対応する形状の横方向部分26とを有している。
【0024】
インプラントは、手術対象となる犬毎に、施術前に患部を撮影したCT画像に基づいて設計、製作した、カスタムメイドのものを使用してもよいし、例えば、犬種および体格毎に予め設計、製作した汎用のものを使用してもよい。後者の場合には、異なる寸法のインプラントを2個以上予め準備し、インプラントを1個ずつ縦孔に対して出し入れして、その都度インプラントの縦孔に対する適合性をCT画像によってチェックし、縦孔に最も適合するインプラントを決定し、決定したインプラントを縦孔に打ち込むようにすることが好ましい。
【0025】
生体活性処理の1つの方法として、アルカリ処理および加熱処理を順次実行する方法が挙げられる。この方法によれば、例えば、図4に示す形状の純チタン製のインプラントを2‐プロパノールおよび超純水で洗浄した後、5M苛性ソーダ水溶液の入った容器中に浸漬し、60℃のオイルバスに入れて120ストローク/分で振動させながら、24時間保持する。そして、そのインプラントを超純水で洗浄した後、40℃で乾燥させる。次に、そのインプラントを0.5mM塩酸水溶液に24時間浸漬した後、超純水で洗浄し、40℃で乾燥する。さらに、そのインプラントを加熱炉に入れ、大気中において5℃/分の速度で昇温し、600℃で1時間保持した後、加熱炉内で自然冷却し、生体活性処理を終了する。
この実施例では、さらに、生体活性処理の有効性を調べるべく、この方法で処理したインプラントを、36.5℃の擬似体液に1日浸漬した後取り出し、走査型電子顕微鏡を用いてインプラント表面を観察することにより、インプラント表面がアパタイト粒子で覆われていることを確認した。
【0026】
また、生体活性処理の別の方法として、酸処理および加熱処理を順次実行する方法が挙げられる。この方法によれば、図4に示す形状の純チタン製のインプラントを2‐プロパノールおよび超純水で洗浄した後、濃度66.3%の硫酸と濃度10.6%の塩酸を1対1の比で混合した溶液の入った容器中に浸漬し、70℃のオイルバスに入れて120ストローク/分で振動させながら、1時間保持する。そして、そのインプラントを超純水で洗浄した後、40℃で乾燥させる。次に、そのインプラントを加熱炉に入れ、大気中において5℃/分の速度で昇温し、600℃で1時間保持した後、加熱炉内で自然冷却し、生体活性処理を終了する。
この実施例では、さらに、生体活性処理の有効性を調べるべく、この方法で処理したインプラントを、36.5℃の擬似体液に1日浸漬した後取り出し、走査型電子顕微鏡を用いてインプラント表面を観察することにより、インプラント表面がアパタイト粒子で覆われていることを確認した。
【0027】
インプラント24は、図5に示すように、その一方の十字形の端面(前面)27aが脊髄に対向し、他方の十字形の端面(背面)27bが頚部腹側に露出するように、椎間部に設けられた十字形断面の縦孔23に打ち込まれる。この場合、インプラント24に予めスクリュー用貫通穴を1つ設けておき、インプラント24を縦孔23に打ち込んだ後、この貫通穴を通してスクリューを後側の椎体21に刺入することによって、インプラント24を後側の椎体21に固定するようにしてもよい。
インプラント24の打ち込みの完了後、切開部を縫合する(図1のS11)。
【0028】
本発明による犬の頚部腹側減圧術においては、椎間板物質の摘出後、対象となる椎間を横切って体軸に沿ってのびるベントラルスロットおよび椎間空隙から形成された、腹側から脊髄に向かってのびる縦孔に、当該縦孔に適合した十字形断面のインプラントを打ち込み、椎間部を固定する。したがって、椎間板欠損部がインプラントによって充填されるとともに、椎間の前後の椎体が十字形断面のインプラントによって体軸方向およびそれに直交する方向にずれることなく接合され、その結果、術後の椎間部に大きな荷重が加わっても、椎間部は確実に固定され、術後の合併症の発生が防止される。
【0029】
また、本発明の頚部腹側減圧術によれば、椎間板物質の摘出後に残された十字形断面の縦孔にインプラントを打ち込むだけで伸延固定処置が完了するので、従来の術式の場合よりも手術時間が大幅に短縮され、手術侵襲も小さくなる。
加えて、使用するインプラントは、生体活性処理がなされ、アパタイト形成能に優れているので、その前後に隣接する椎体(生体骨)と強固に結合し、それによって、椎間板欠損部が速やかに修復され、椎間部が確実に固定される。
【符号の説明】
【0030】
1 手術用ベッド
2 犬
3a、3b 前肢
3c 頚部
4 マット
5 粘着テープ
6 胸骨舌骨筋
7 胸骨乳突筋
8 気管
9 食道
10 開創器
11 頚長筋
12 頸動脈鞘
13 右側頸動脈鞘
14 レイクリトラクター
15 腹結節
16 メッツェンバウム剪刀
17 腹結節
19 椎間板
19’ 椎間空隙
20、21 椎体
22 ベントラルスロット
23 縦孔
24 インプラント
25 縦方向部分
26 横方向部分
27a 十字形の端面(前面)
27b 十字形の端面(背面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頚部椎間板突出・逸脱症を有する犬の頸腹部正中を、対象となる椎間を中心に所定の長さにわたって切開して、前記椎間を挟んで前後に位置する一対の椎体を露出させ、前記一対の椎体に、前記椎間を横切って体軸方向にのびる所定の幅および長さのベントラルスロットを形成し、前記ベントラルスロットおよび前記椎間から椎間板物質を摘出し、前記一対の椎間を固定する伸延固定処置を施し、切開部を縫合する犬の頚部腹側減圧術において、
前記伸延固定処置が、前記椎間板物質の摘出の結果、前記ベントラルスロットおよび椎間空隙から形成された、腹側から脊髄に向かってのびる十字形断面の縦孔に、十字形断面を有し、前記縦孔に適合する形状のインプラントを打ち込むことからなることを特徴とする犬の頚部腹側減圧術。
【請求項2】
前記伸延固定処置において、異なる寸法の前記インプラントを2個以上予め準備し、前記インプラントを1個ずつ前記縦孔に対して出し入れして、その都度前記インプラントの前記縦孔に対する適合性をCT画像によってチェックし、前記縦孔に最も適合する前記インプラントを決定し、前記決定したインプラントを前記縦孔に打ち込むことを特徴とする請求項1に記載の犬の頚部腹側減圧術。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の犬の頚部腹側減圧術において使用するインプラントであって、
生体活性処理された、一定の長さを有する十字形断面のチタン製またはチタン合金製の単体からなり、前記ベントラルスロットの内部空間に対応する形状の縦方向部分と、前記縦方向部分の中央部を横切ってのびる、前記椎間空隙の内部空間に対応する形状の横方向部分とを有し、十字形の一端面が前記脊髄に対向し、十字形の他端面が頚部腹側に露出するように前記十字形断面の縦孔に打ち込まれるものであることを特徴とするインプラント。
【請求項4】
前記生体活性処理は、アルカリ処理および加熱処理を順次実行すること、または酸処理および加熱処理を順次実行することからなっていることを特徴とする請求項3に記載のインプラント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−5239(P2011−5239A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97894(P2010−97894)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(509152862)
【出願人】(593022076)佐川印刷株式会社 (18)
【Fターム(参考)】