説明

独立した遅延を有する複数のフィードバック経路を有する連続時間型シグマデルタ変調器

連続時間型シグマデルタ変調器の装置を提供する。シグマデルタ変調器(100、200、300)は、アナログ信号をデジタル値に変換するように構成された量子化器(106、206、306)を備える。主フィードバック構成(108、208、308)は量子化器に接続されており、デジタル値を第1遅延期間だけ遅延させ、この遅延値に基づき主フィードバック信号を生成する。補償フィードバック構成(110、210、310)は量子化器に接続されており、デジタル値を第2遅延期間だけ遅延させ、この遅延値に基づき補償フィードバック信号を生成する。フォワード信号構成(104、204、304)は、入力信号、主フィードバック信号および補償フィードバック信号に基づき量子化器におけるアナログ信号を生成する。第2遅延期間は第1期間から独立しており第1期間によって影響されず、第2遅延期間は補償フィードバック信号が第1遅延期間を補償するように選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に混合信号回路に関し、より詳細には、連続時間型シグマデルタ変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの現代の電子機器用途では、アナログ信号をデジタル値に変換することが望ましい。例えば、無線周波数(RF)トランシーバでは、受信されたアナログRF信号はアナログベースバンド信号に復調され、該アナログベースバンド信号は後のデジタル信号処理のためにデジタルベースバンド信号に変換される。多くの電気システムでは、アナログ信号をデジタル値に変換するためにアナログ−デジタル変換器(ADC)が利用される。しかしながら、デジタル表現の有限性による、量子化エラー(丸めまたは切り捨てによる実アナログ値と量子化デジタル値との間の差)は、アナログ−デジタル変換に本来に存在する欠点である。幾つかのADCでは、量子化エラーを低減し信号対雑音比(SNR)を向上させるために、シグマデルタ変調(あるいは、デルタシグマ変調)が使用される。シグマデルタ変調(またはデルタシグマ変調と呼ばれる)では、フィードバックループおよび積分回路を用いてフォワード信号経路に量子化エラーが加算または減算される。量子化エラーは、アナログ入力信号周波数より大きな周波数でオーバサンプリングされ、これによって、信号に顕著な影響を与えることなく、積分器において量子化エラーをフィルタリングすることが可能となる。
【0003】
多くのシステムにおいて連続時間型シグマデルタ変調器、すなわち、連続時間型回路を用いて構成されたシグマデルタ変調器が利用されている。連続時間型シグマデルタ変調器は、より高いサンプリング周波数のクロックで駆動されることが可能であり、これによってシグマデルタ変調器の性能が改良される。しかしながら、実用においては、高速シグマデルタ変調器(一般に、MHz以上の範囲のサンプリング周波数を有するシグマデルタ変調器)は遅延(過剰ループ遅延(excess loop delay)とも呼ばれる)を示し、その遅延によって不安定性を生じ、変調器の性能(例えば、SNR)が低下することがある。ループ遅延は、例えば、量子化器および/またはデジタル−アナログ変換器(DAC)において使用されるトランジスタおよび/または比較器の非ゼロのスイッチング時間から生じる。結果として、主フィードバック経路における量子化器出力の変化と対応するDACの出力における応答との間に非ゼロの遅延が存在する。ループ遅延は、例えば、比較器(または他の部品)の準安定性および/または動的要素のマッチングなど、他の要因によってさらに悪化する。ループ遅延はハードウェアおよび/または電子部品に対する改良によって低減され得るが、そうした改良は一般に電力消費の増加および面積要件の増大という犠牲を伴う者であり、それらはいずれも望ましくない。
【0004】
変調器のフィードバック経路におけるDACがゼロ復帰(RZ)パルススキームを用いる場合、シグマデルタ変調器は、主フィードバック経路におけるゲイン係数を調整することによってループ遅延を補償し得る。しかしながら、NRZパルスはRZパルスよりよりも良好なクロックジッタ耐性を提供するので、多くのシステムでは主フィードバック経路に非ゼロ復帰(NRZ)パルススキームが利用されている。NRZパルススキームの場合、主フィードバック経路におけるゲイン係数を調整することのみによってループ遅延を補償することは不可能である。
【0005】
NRZパルススキームを利用する多くの従来のシステムでは、シグマデルタ変調器の主フィードバック経路に一定な遅延を意図的に挿入し、変調器伝達関数の追加の項により、この一定な遅延を補償することによって、ループ遅延の影響を軽減することが試みられている。幾つかのシステムでは、量子化器入力の前に追加のフィードバック経路が挿入され、この一定な遅延を補償するように、この追加のフィードバック経路におけるDACのゲイン係数が調整される。しかしながら、これによって、量子化器の前の積分器の出力における電圧スイングが増加する。この電圧スイングをオフセットするために、変調器の総ゲインを低減し、それによってSNRを低減する必要がある。加えて、この手法によって、量子化器の入力において加算点が形成される。この加算点に存在する高周波信号を処理するために、多くの場合、加算点はアナログ加算器(例えば、高速加算増幅器)を用いて実現されており、これによって変調器の電力および面積要件が増大する。
【0006】
高速アナログ加算器の使用を回避するために、いくつかのシステムでは、量子化器の入力から量子化器の前の積分器の入力に追加のフィードバック経路を移動させるようにデジタル微分が利用される。これによってアナログ加算器が除去され、積分器の出力における電圧スイングが低減されるものの、デジタル微分によって積分器の入力においてバイポーラRZパルスが生じる。これによって、クロック期間の後半における方向の反転前にクロック期間の前半において積分器の出力が誤った方向に向けられる。そのため、積分器の大きなスルーレート(slew rate)要件を生じることになる。このスルーレート要件を満たすために、積分器は追加の電力および面積を消費し、これによって、アナログ加算器を除去することから電力および面積の節約をオフセットする。他のシステムでは、比例積分(PI)補償その他、積分器の周波数応答を低下させる技術が利用され、帯域外ピーキングその他の望ましくない影響が生じ得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】1つの実施形態によるシグマデルタ変調器のブロック図。
【図2】別の実施形態によるシグマデルタ変調器のブロック図。
【図3】さらに別の実施形態によるシグマデルタ変調器のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に記載の技術および概念は、連続時間型シグマデルタ変調器において主フィードバック経路に挿入された意図的な遅延を補償するためのシステムおよび方法に関する。補償フィードバック経路は主フィードバック経路における遅延とは異なる遅延を有するように実装され、補償フィードバック経路における遅延は主フィードバック経路における遅延から独立している。補償フィードバック経路は各々、非ゼロ復帰(NRZ)デジタル−アナログ変換器(DAC)を用いて実装され、DACのゲイン係数および補償フィードバック経路の遅延は、アナログ部品のスルーレート要件を緩和するとともに、量子化器の入力の前の高速アナログ加算点(またはアナログ加算器)の必要を除去するように調整されることができる。結果として、変調器の性能を犠牲にすることなく、シグマデルタ変調器の面積、電力、コスト、および設計時間が低減される。
【0009】
図1には、アナログ−デジタル変換器(ADC)または別のアナログデジタル変換用途における使用に適したシグマデルタ変調器100の例示的な一実施形態を示す。例示的な一実施形態では、シグマデルタ変調器100は、適切に構成された連続時間型回路を含む連続時間型シグマデルタ変調器として実現される。シグマデルタ変調器100は、これに限定されないが、入力信号を受信するための入力ノード102と、フォワード信号経路を確立するように構成されたフォワード信号構成104と、量子化器106と、主フィードバック信号経路を確立するように構成された主フィードバック構成108と、補償フィードバック信号経路を確立するように構成された補償フィードバック構成110と、デジタル出力112とを備える。シグマデルタ変調器100の素子は、入力ノード102におけるアナログ入力信号を表すデジタル出力112におけるデジタル値を生成するように、適切に構成されている。
【0010】
図1は、シングルエンド形式により示したシグマデルタ変調器100の簡略図であり、シグマデルタ変調器100の実用における実施形態は、追加のまたは代替の部品を含んでよいこと、および/または、差動式(例えば、差動入力信号に適合された差動回路として)に実装されてもよいことが理解される。これに関して、シグマデルタ変調器100は、所与の用途の特定の必要に応じて、単一ビット動作用または多ビット動作用に構成されてよい。図1には、説明のため、二次フィードバックシグマデルタ変調器100を示すが、本明細書に記載の主題が特定のシグマデルタトポロジに限定されることを意図したものでないことが理解される。係る主題は、本技術分野において認められるように、任意の次数を有するフォワード信号構成104に適合されることが可能であり、適切なシグマデルタトポロジを用いて実装されることができる。
【0011】
例示的な一実施形態では、入力ノード102はフォワード信号構成104に接続され、該フォワード信号構成104は、量子化器106のアナログ入力114に接続される。量子化器106が量子化器入力114におけるアナログ信号を量子化器出力116においてデジタル値に変換し、量子化器出力116はデジタル出力112に接続される。主フィードバック構成108(または主フィードバック経路)は、デジタル出力112とフォワード信号構成104との間に接続された機能的、ハードウェア的、および/または論理的な要素の組み合わせを含む。主フィードバック構成108は、以下により詳しく説明するように、1つ以上の主フィードバック信号用のフィードバック信号経路を形成する。例示的な一実施形態では、主フィードバック構成108は、デジタル出力112におけるデジタル値を第1遅延期間(t)だけ遅延させ、この遅延した値に基づいて1つ以上の主フィードバック信号を生成するように構成される。なお、主フィードバック構成108は、少なくとも、シグマデルタ変調器100の入力における第1の主フィードバック信号を提供する、すなわち、以下に記載されるように、主フィードバック構成108は、入力ノード102に接続された少なくとも1つのフィードバック経路を含む。補償フィードバック構成110(または補償フィードバック経路)は、デジタル出力112とフォワード信号構成104との間に接続された機能的、ハードウェア的、および/または論理的な要素の組み合わせを含む。補償フィードバック構成110は、1つ以上の補償フィードバック信号用のフィードバック信号経路を形成する。以下に詳細に説明するように、補償フィードバック経路110は、デジタル出力112におけるデジタル値を第2遅延期間(t)だけ遅延させ、この遅延した値に基づいて1つ以上の補償フィードバック信号を生成するように構成される。フォワード信号構成104(またはフォワード信号経路)は、入力ノード102における入力信号と、主フィードバック構成108からの主フィードバック信号と、補償フィードバック構成110からの補償フィードバック信号とに基づいて、量子化器入力114におけるアナログ信号を生成するように適切に構成された機能的、ハードウェア的、および/または論理な要素の組み合わせを含む。これに関して、第1遅延期間(t)は、シグマデルタ変調器100のアナログ部品によって生じるループ遅延を補償するように主フィードバック構成108に挿入される意図的な遅延を表す。第2遅延期間(t)は、第1遅延期間の値とシグマデルタ変調器100のアナログ部品によって示される実ループ遅延との間の差を補償する補償フィードバック信号を生成するために用いられる遅延を表す。
【0012】
実施形態に応じて、フォワード信号経路104は、任意の次数により、適切なシグマデルタ回路トポロジ(例えば、ローパストポロジ、バンドパストポロジ、ハイパストポロジ、フィードバックトポロジ、フィードフォワードトポロジ、フィードフォワード−フィードバックトポロジ、または別の混成トポロジ、カスケードトポロジ、直交トポロジ、複雑トポロジなど)を用いて実現されることができる。図1に示すように、1つの実施形態では、フォワード信号経路104は、これに限定されないが、第1加算点118、第1積分器120、第2加算点122、および第2積分器124を含む、二次シグマデルタフィードバックトポロジとして実現される。第1加算点118は、入力ノード102と第1積分器120の入力との間に接続される。第2加算点122は、第1積分器120の出力と第2積分器124の入力との間に接続される。第2積分器124の出力は、量子化器入力114に接続されており、第2積分器124は量子化器入力114におけるアナログ信号を生成する。
【0013】
例示的な一実施形態では、量子化器106は、量子化器出力116におけるデジタル値(量子化器入力114におけるアナログ信号(またはアナログ電圧レベル)を表す1つ以上のビットを含む)を生成するように構成されている。量子化器106は、特定のサンプリング周波数(f)を用いて量子化器入力114におけるアナログ信号をサンプリングすることによって、デジタル値を生成する。例えば、通信用途において用いられる連続時間型シグマデルタ変調器100は、数十MHz〜数百MHzの範囲のサンプリング周波数を有することができる。1つ以上の実施形態では、量子化器106のサンプリング周波数は、約200〜約400MHz(またはそれ以上)の範囲である。しかしながら、量子化器106のサンプリング周波数は特定の用途における必要(例えば、所望の有効ビット数)に応じて異なることが、本技術分野において理解される。これに関して、サンプリング期間またはサンプリング間隔(例えば、サンプル間の時間)は、サンプリング周波数(1/f)の逆数である。実施形態に応じて、量子化器106がフラッシュアナログ−デジタル変換アーキテクチャまたは他の適切な変換アーキテクチャを利用してもよく、任意の数の出力ビットまたは任意のノイズ形成について構成されてもよい。例示的な一実施形態では、量子化器入力114における入力信号の変化の時間と、この入力信号の変化に応答して量子化器出力116におけるデジタル値が変化する時間との間に存在するのは非ゼロ遅延である。例えば、量子化器106が差動フラッシュADCとして実現される場合、量子化器106内のプリアンプおよび/または比較器は非ゼロの立上り時間および/または非ゼロのセトリング時間を示す。
【0014】
例示的な一実施形態では、主フィードバック経路108は、主フィードバック遅延素子126および少なくとも1つのデジタル−アナログ変換器(DAC)128,130を備える。主フィードバック遅延素子126の入力は、デジタル出力112(または量子化器出力116)に接続されており、主フィードバック遅延素子126は、デジタル出力112におけるデジタル値を第1遅延期間(t)だけ遅延させるように構成されている。上述のように、第1遅延期間は、シグマデルタ変調器100のループ遅延(例えば、フォワード信号経路104、量子化器106、および/またはDAC128,130によって導入される遅延)を補償することを意図して主フィードバック経路108に挿入される意図的な遅延を表す。これに関して、第1遅延期間は、ゼロと1つのサンプリング期間(例えば、1/f)の長さとの間の任意の期間であってよい。例示的な一実施形態では、第1遅延期間は、シグマデルタ変調器100のループ遅延を吸収することが意図されており、すなわち、第1遅延期間の値は、シグマデルタ変調器100のアナログ部品に関連する実遅延以上である。例示的な一実施形態では、主フィードバック遅延素子126は、デジタル遅延素子(例えば、フリップフロップ、ラッチなど)として実現される。信号を遅延させる様々な実装態様は周知であるので、本明細書において詳細には説明しない。
【0015】
例示的な一実施形態では、主フィードバックDAC128、130は各々、NRZパルススキームを用いてそれぞれのフィードバック信号を生成するNRZ DACとして実現され、DAC128、130によって生成されるそれぞれのフィードバック信号はサンプリング期間においてほぼ一定である(例えば、実用上のおよび/または実際の動作許容差内である)。しかしながら、代替の実施形態では、主フィードバックDAC128、130は、ゼロ復帰(RZ)DAC、または非方形波形もしくは非矩形波形を有するDAC(例えば、指数減衰波形を有するDAC)として実現されることができる。第1DAC128は、主フィードバック遅延素子126の出力に接続されたデジタル入力と、入力ノード102(すなわち、シグマデルタ変調器100の入力)に接続されたアナログ出力とを有する。これに関して、第1DAC128のアナログ出力は、第1加算点118に接続される。第1DAC128は、主フィードバック遅延素子126の出力におけるデジタル値(例えば、第1遅延期間だけ遅延されたデジタル出力112におけるデジタル値)を、第1ゲイン係数(a)を有するアナログ信号に変換することによって、シグマデルタ変調器100の入力において(例えば、第1加算点118において)第1主フィードバック信号を生成する。示した実施形態では、第2DAC130は、主フィードバック遅延素子126の出力に接続されたデジタル入力と、第2加算点122に接続されたアナログ出力とを有する。第2DAC130は、主フィードバック遅延素子126の出力におけるデジタル値を、第2ゲイン係数(a)を有するアナログ信号に変換することによって、第2加算点122において第2主フィードバック信号を生成する。
【0016】
例示的な一実施形態では、補償フィードバック経路110は、補償フィードバック遅延素子132と、少なくとも1つのDAC134、136とを含む。補償フィードバック遅延素子132の入力は、デジタル出力112(または量子化器出力116)に接続されており、補償フィードバック遅延素子132は、デジタル出力112におけるデジタル値を第2遅延期間(t)だけ遅延させるように構成されている。上述のように、第2遅延期間は、第1遅延期間から生じる過剰ループ遅延の影響を補償することを意図して補償フィードバック経路110に挿入される遅延を表す。これに関して、第2遅延期間の時間の長さは、ゼロと1つのサンプリング期間(例えば、1/f。ここで、fはサンプリング周波数)の長さとの間の任意の期間となるように選択されてよい。第2遅延期間は、以下に詳細に説明するように、好適には、過剰ループ遅延より大きくなるように選択され、第1遅延期間とは異なる。補償フィードバック遅延素子132は、主フィードバック遅延素子126の文脈において、好適には、上述のようなデジタル遅延素子として実現される。補償フィードバック経路110の第1DAC134は、補償フィードバック遅延素子132の出力に接続されたデジタル入力と、第1加算点118に接続されたアナログ出力とを有する。第1DAC134は、補償フィードバック遅延素子132の出力におけるデジタル値(例えば、第2遅延期間だけ遅延されたデジタル出力112におけるデジタル値)を、第3ゲイン係数(b)を有するアナログ信号に変換することによって、第1加算点118における第1補償フィードバック信号を生成する。補償フィードバック経路110の第2DAC136は、補償フィードバック遅延素子132の出力に接続されたデジタル入力と、第2加算点122に接続されたアナログ出力とを有する。第2DAC136は、補償フィードバック遅延素子132の出力におけるデジタル値を、第4ゲイン係数(b)を有するアナログ信号に変換することによって、第2加算点122における第2補償フィードバック信号を生成する。例示的な一実施形態では、補償DAC134、136は、NRZ DACとして実現されるが、以下に詳細に説明するように、代替の実施形態では、補償DAC134、136はゼロ復帰(RZ)DACとして実現される。1つ以上の実施形態では、補償DAC134、136は、非方形波形または非矩形波形を有するDAC(例えば、指数減衰波形を有するDAC)を用いて実現されることもできる。
【0017】
図1に示した二次フィードバック変調器100において、第1加算点118は、第1主フィードバック信号(DAC128から)および第1補償フィードバック信号(DAC134から)を入力ノード102における入力信号から減算し、その結果を第1積分器120の入力に提供するように構成されている。第1積分器120は、当業者には明らかであるように、従来のようにして第1加算点118における得られる信号を積分する。第2加算点122は、第2主フィードバック信号(DAC130から)および第2補償フィードバック信号(DAC136から)を第1積分器120の出力から減算し、その結果を第2積分器124に提供するように構成されている。第2積分器124は、第2加算点122における得られる信号を積分して、量子化器入力114におけるアナログ信号を生成する。実施形態に応じて、各積分器120、124は、能動回路部品、受動回路部品、またはそれらの適切な組み合わせを用いて実現されることができる。このようにして、量子化器入力114におけるアナログ信号は、入力信号と、主フィードバック信号と、補償フィードバック信号とに基づく。なお、図1には複数の補償フィードバック信号を生成するために補償フィードバック経路110に複数のDAC134、136を示しているが、以下に詳細に説明するように、実用に際しては、主フィードバック経路108に挿入される意図的な遅延(t)を補償するには1つの補償フィードバック信号しか必要でない。しかしながら、図1に示すような追加の補償フィードバック信号の使用によって、フォワード信号経路104における様々な部品の動作パラメタを調整するために使用され得る追加の自由度が提供される。例えば、積分器120、124における電圧スイングまたはスルーレートは、補償フィードバック経路におけるゲイン係数を変化させることによって調整されてよい。
【0018】
なお、1つの例示的な実施形態では、分離した補償フィードバック経路110によって、第2遅延期間は第1遅延期間から構造的に独立している。すなわち、第2遅延期間は第1遅延期間による影響を受けず、第1遅延期間は第2遅延期間による影響を受けない。注目すべきことに、示した実施形態では、遅延素子126、132は、区別されたフィードバック経路にあり、カスケードその他によって相互接続されておらず(すなわち、非カスケードであり)、例えば、1つの遅延素子の出力は別の入力に信号を供給しない。このようにして、第2遅延期間は主フィードバック経路108における部品または埋め込まれた遅延による影響を受けず、第1遅延期間は補償フィードバック経路110における部品または埋め込まれた遅延による影響を受けないので、第1遅延期間および第2遅延期間は相関しない。例示的な一実施形態では、第1遅延期間および第2遅延期間は等しくない。換言すると、第2遅延期間の値は第1遅延期間に等しくなるようには選択されず、反対に、第1遅延期間の値は第2遅延期間に等しくなるようには選択されない。好適には、第1遅延期間および第2遅延期間は各々、変調器100のアナログ部品の実ループ遅延より大きな値となるように選択される。実施形態に応じて、以下に詳細に説明するように、第2遅延期間は第1遅延期間より小さくてもよく、第1遅延期間より大きくてもよい。
【0019】
図2には、別の実施形態によるシグマデルタ変調器200を示す。シグマデルタ変調器200は、これに限定されないが、入力信号を受信するための入力ノード202と、フォワード信号構成204(またはフォワード信号経路)と、量子化器206と、主フィードバック構成208(または主フィードバック経路)と、補償フィードバック構成210(または補償フィードバック経路)と、デジタル出力212とを備える、連続時間型シグマデルタ変調器として実現されている。シグマデルタ変調器200の素子は、図1のシグマデルタ変調器100の文脈において上述に記載した対応する素子と同様であるので、それらの共通の素子については図2の文脈において本明細書に冗長に記載することはしない。図2に示した実施形態では、主フィードバック遅延素子226および補償フィードバック遅延素子232は各々、デジタル遅延素子として実現され、当業者には理解されるように、関連する遅延期間はZドメインにより表現されている。加えて、補償フィードバック経路210は、1つの補償フィードバック信号をフォワード信号経路204に提供する1つのDAC236を用いて実現される。
【0020】
図3には、別の実施形態によるシグマデルタ変調器300を示す。シグマデルタ変調器300は、フィードフォワードトポロジを有する連続時間型シグマデルタ変調器として実現される。シグマデルタ変調器300は、これに限定されないが、入力信号を受信するための入力ノード302と、フォワード信号構成304(またはフォワード信号経路)と、量子化器306と、主フィードバック構成308(または主フィードバック経路)と、補償フィードバック構成310(または補償フィードバック経路)と、デジタル出力312とを備える。シグマデルタ変調器300の様々な素子は、図1のシグマデルタ変調器100の文脈において上述に記載した対応する素子と同様であるので、それらの共通の素子については図3の文脈において本明細書に冗長に記載することはしない。
【0021】
図3に示すように、フォワード信号経路304は、これに限定されないが、第1加算点318と、第1積分器320と、第2加算点322と、第2積分器324と、増幅器338と、第3加算点340とを備えるフィードフォワードシグマデルタトポロジとして実現される。第1加算点318は、入力ノード302と第1積分器320の入力との間に接続されている。第1加算点318は、主フィードバック信号(DAC328から)を入力ノード302における入力信号から減算し、その結果を第1積分器320の入力に提供するように構成されており、第1積分器320は、従来のようにして第1加算点318における得られる信号を積分する。第2加算点322は、第1積分器320の出力と第2積分器324の入力との間に接続されている。第2加算点122は、補償フィードバック信号(DAC336から)を第1積分器320の出力から減算し、その結果を第2積分器324の入力に提供するように構成されている。また、第1積分器320の出力は、増幅器338の入力にも接続されており、増幅器338の出力は第3加算点340に接続されている。増幅器338は、ゲインファクタ(c)によって第1積分器320の出力を増幅し、その結果を第3加算点340に提供する。また、第2積分器324の出力は、第3加算点340にも接続されている。第3加算点340は、第2積分器324の出力と、第1積分器320の増幅された出力(例えば、増幅器338を介する)を加算して、量子化器入力314におけるアナログ信号を生成するように構成されている。このようにして、量子化器入力314におけるアナログ信号は、入力信号と、主フィードバック信号と、補償フィードバック信号とに基づく。この実施形態では、NRZ DAC336を用いるため、第2積分器324の入力における電圧変動はより小さく、結果として、第2積分器324についてのスルーレート要件は、バイポーラRZフィードバックパルスをその入力に有する積分器と比べて緩和される。さらにまた、必須ではないが、第3加算点340が加算増幅器(またはアナログ加算器)として実現される場合、加算増幅器の速度要件(例えば、弱信号実装用のゲイン帯域幅、強信号実装用のスルーレート)は、第3加算点340に2つの信号しか存在しないため、緩和される。
【0022】
ここで図1〜3を参照すると、シグマデルタ変調器100、200、300は、NRZ補償フィードバック信号を用いて所望の雑音伝達関数を達成することができる。さらにまた、所望の雑音伝達関数は、補償フィードバック経路に1つのDACしか用いずに達成されることが留意される。一実施形態では、第2遅延期間(例えば、tまたはβ)は、第1遅延期間(例えば、tまたはα)より小さくてよい。例えば、第1遅延期間は1つのサンプル(例えば、α=1、またはこれに代えて、t=1/f)に等しくなるように選択され、第2遅延期間は、サンプルの1/2(例えば、β=1/2、またはこれに代えて、t=1/2f)に等しくなるように選択されてよい。図2を参照すると、(1−z−1の所望の雑音伝達関数を仮定すると、シグマデルタ変調器200は1つの補償フィードバック信号(すなわち、補償フィードバック経路210の1つのDAC236のみ)を有する所望の雑音伝達関数を提供することができる。これに関して、シグマデルタ変調器200は、第1主フィードバックDAC228(例えば、第1主フィードバック信号)のゲイン係数がa=1であり、第2主フィードバックDAC230(例えば、第2主フィードバック信号)のゲイン係数がa=−1.5であり、補償フィードバックDAC228(例えば、補償フィードバック信号)のゲイン係数がb=4である、(1−z−1の雑音伝達関数を達成する。図3を参照すると、シグマデルタ変調器300は、1つの補償フィードバックDAC332のみを用いて、主フィードバックDAC328(例えば、主フィードバック信号)のゲイン係数がa=1であり、補償フィードバックDAC336(例えば、補償フィードバック信号)のゲイン係数がb=4であり、増幅器338のゲイン係数がc=−1.5である、(1−z−1の雑音伝達関数を達成する。
【0023】
再び図1〜3を参照すると、別の実施形態では、フィードバック経路における遅延期間はオフセット遅延によって調整されてよく、オフセット遅延はフォワード信号経路および/または量子化器におけるアナログ部品に割り当てられる。これに関して、オフセット遅延はアナログ部品に割り当てられるセトリング時間のマージンを表し、これによって、それらのアナログ部品を電力を節約する、より低い速度に設計することが可能となる。例えば、図2を参照すると、フィードバック経路208、210の遅延期間は、サンプルの1/4のオフセット遅延(すなわち、1/4f)によって調整されてよく、これはフォワード信号経路204のアナログ部品を設計するのに最適なセトリング時間として識別された。オフセット遅延は、次いで、フォワード信号経路204および/または量子化器206のアナログ部品(例えば、積分器220、224または量子化器206内のプリアンプなど)に割り当てられる。フィードバック経路208、210についての遅延期間は、第1遅延期間がサンプルの3/4に等しく(例えば、α=3/4)、第2遅延期間がサンプルの1/4に等しい(例えば、β=1/4)ようにオフセット遅延を減算することによって調整される。DAC228、230、236のゲイン係数(例えば、a=1、a=−1.5、b=4)は、シグマデルタ変調器200の総ループ遅延が変化しない限り、一定のままである。
【0024】
再び図1〜3を参照すると、別の実施形態では、第2遅延期間は第1遅延期間より大きくてもよい。例えば、再び図2を参照すると、シグマデルタ変調器200は、第1遅延期間がサンプルの1/2(例えば、α=1/2)に等しく、第2遅延期間が完全なサンプル(例えば、β=1)に等しい、所望の雑音伝達関数(1−z−1を達成できる。これに関して、シグマデルタ変調器200は、第1主フィードバックDAC228のゲイン係数がa=1であり、第2主フィードバックDAC230のゲイン係数がa=3.75であり、補償フィードバックDAC228のゲイン係数がb=−1.75である、所望の雑音伝達関数を達成する。
【0025】
再び図1〜3を参照すると、別の実施形態では、シグマデルタ変調器は、1つのRZ補償フィードバック信号を有するNRZ主フィードバック信号を用いて、所望の雑音伝達関数を達成することもできる。例えば、再び図2を参照すると、一実施形態では、補償フィードバックDAC236は、RZパルススキームを用いて補償フィードバック信号を生成するRZ DACとして実現されることができ、DAC236によって生成される補償フィードバック信号は、サンプリング期間の1/2の間ほぼ一定である(例えば、実用上のおよび/または実際の動作許容差内である)。これに関して、RZ補償フィードバック信号の使用によって、NRZ補償フィードバック信号が用いられるときに受ける電圧ステップに対し、積分器224の入力における電圧ステップが増大する。しかしながら、RZ補償フィードバック信号は、さらに、等価バイポーラRZ補償スキームと比較した場合、第2積分器224において、より緩和したスルーレート要件を生じる。
【0026】
上述のシステムおよび/または方法の1つの利点は、NRZフィードバック信号を用いて、シグマデルタ変調器の主フィードバックループに挿入された意図的な遅延から生じる過剰ループ遅延を補償できることである。NRZフィードバック信号は複数の自由度を提供するように実装されることができ、この自由度は、主フィードバック信号および補償フィードバック信号の遅延および/またはゲイン係数を変化させ、積分器および/または増幅器のスルーレート要件を緩和する、または高速アナログ加算点(またはアナログ加算器)の必要を除去するように利用できる。結果として、変調器の性能を犠牲にすることなく、シグマデルタ変調器の面積、電力、コスト、および設計時間が低減される。
【0027】
要約すると、例示的な実施形態の主題により構成されるシステム、デバイス、および方法は、以下に関する。
シグマデルタ変調器用の装置が提供される。一実施形態では、このシグマデルタ変調器は、入力信号を受信するための入力ノードと、第1アナログ信号をデジタル値に変換するように構成された量子化器と、を備える。主フィードバック構成が前記量子化器に接続されており、前記デジタル値を第1遅延期間だけ遅延させて第1遅延値を取得し、第1遅延値に基づいて主フィードバック信号を生成するように構成されている。補償フィードバック構成が前記量子化器に接続されており、前記デジタル値を第2遅延期間だけ遅延させて第2遅延値を取得し、第2遅延値に基づいて補償フィードバック信号を生成するように構成されている。フォワード信号構成が前記入力ノードと前記量子化器との間に接続されており、前記主フィードバック構成および前記補償フィードバック構成に接続されている。前記フォワード信号構成は、前記入力信号、前記主フィードバック信号、および前記補償フィードバック信号に基づいて、第1アナログ信号を生成する。第2遅延期間は第1遅延期間によって影響を与えられず、前記補償フィードバック信号は第1遅延期間を補償する。
【0028】
一実施形態では、前記補償フィードバック構成は、前記補償フィードバック信号を生成するように構成された非ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む。別の実施形態では、前記補償フィードバック構成は、前記補償フィードバック信号を生成するように構成されたゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む。さらに別の実施形態では、第2遅延期間は第1遅延期間に等しくない。別の実施形態では、前記主フィードバック構成は、前記主フィードバック信号を生成するように構成された第1の非ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含み、前記補償フィードバック構成は、前記補償フィードバック信号を生成するように構成された第2の非ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む。さらなる一実施形態では、前記主フィードバック構成は第1ゲインを有する主フィードバック信号を生成し、前記補償フィードバック構成は第2ゲインを有する補償フィードバック信号を生成し、第2ゲインの大きさは第1ゲインの大きさに等しくない。さらに別の実施形態では、前記主フィードバック構成は、前記主フィードバック信号を生成するように構成された非ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含み、前記補償フィードバック構成は、前記補償フィードバック信号を生成するように構成されたゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む。別の実施形態では、前記フォワード信号構成は、ローパストポロジ、バンドパストポロジ、ハイパストポロジ、フィードバックトポロジ、フィードフォワードトポロジ、混合フィードフォワード−フィードバックトポロジ、カスケードトポロジ、直交トポロジ、および複雑トポロジからなる群から選択される回路トポロジを含む。
【0029】
別の実施形態では、アナログ−デジタル変換器用の装置が提供される。このアナログ−デジタル変換器は、入力信号を受信するための入力ノードと、第1アナログ信号をデジタル値に変換するように構成された量子化器と、を備える。フォワード信号経路が前記入力ノードと前記量子化器との間に接続されている。第1遅延素子が前記量子化器に接続されており、前記デジタル値を第1遅延期間だけ遅延させて第1遅延値を得るように構成されている。第1デジタル−アナログ変換器が第1遅延素子とフォワード信号経路との間に接続されており、第1遅延値に基づいて第1フィードバック信号を生成する。第2遅延素子が前記量子化器に接続されており、前記デジタル値を第2遅延期間だけ遅延させて第2遅延値を得るように構成されている。第1遅延素子と第2遅延素子とはカスケードされておらず、第1遅延期間と第2遅延期間とは無相関である。第2デジタル−アナログ変換器が第2遅延装置と前記フォワード信号経路との間に接続されており、第2遅延値に基づいて第2フィードバック信号を生成する。前記フォワード信号経路は、第2フィードバック信号が第1遅延期間を補償するように、前記入力信号、第1フィードバック信号、および第2フィードバック信号に基づいて量子化器における第1アナログ信号を生成する。
【0030】
一実施形態では、第1デジタル−アナログ変換器は第1ゲインを有する第1フィードバック信号を生成し、第2デジタル−アナログ変換器は第2ゲインを有する第2フィードバック信号を生成し、第2ゲインは第1ゲインに等しくない。別の実施形態では、第2デジタル−アナログ変換器は、非ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む。さらに別の実施形態では、第2デジタル−アナログ変換器は、ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む。さらに別の実施形態では、第2遅延期間は第1遅延期間より小さい。さらに別の実施形態では、第2遅延期間は第1遅延期間より大きい。別の実施形態では、前記フォワード信号経路が、ローパストポロジ、バンドパストポロジ、ハイパストポロジ、フィードバックトポロジ、フィードフォワードトポロジ、および混合フィードフォワード−フィードバックトポロジからなる群から選択される回路トポロジを含む。
【0031】
別の実施形態では、シグマデルタ変調器用の装置が提供される。このシグマデルタ変調器は、入力信号を受信するための入力ノードと、入力ノードに接続されている第1入力、および第1出力を有する第1積分器と、を備える。量子化器は、第1入力に接続されている量子化器入力を有し、前記量子化器は前記量子化器入力における第1アナログ信号を前記量子化器出力におけるデジタル値に変換するように構成されている。第1遅延素子が前記量子化器出力に接続されており、前記デジタル値を第1遅延期間だけ遅延させて第1遅延値を得るように構成されている。第1デジタル−アナログ変換器が第1遅延素子と第1入力との間に接続されており、第1遅延値を第1入力における第1アナログ値に変換する。第2遅延素子が前記量子化器出力に接続されており、前記デジタル値を第2遅延期間だけ遅延させて第2遅延値を得るように構成されている。第2遅延期間は第1遅延期間に等しくなく、第2遅延期間は第1遅延期間から独立である。第2デジタル−アナログ変換器が第2遅延素子と第1入力との間に接続されており、第2遅延値を第1入力における第2アナログ値に変換する。一実施形態では、シグマデルタ変調器は、前記入力ノードと第1積分器との間に接続された第2積分器をさらに備える。第2積分器は、前記入力ノードに接続されている第2入力と、第1入力に接続されている第2出力とを有する。第3デジタル−アナログ変換器が第1遅延素子と第2入力との間に接続されており、第1遅延値を第2入力における第3アナログ値に変換する。さらなる一実施形態では、第2遅延期間は第1遅延期間より小さい。一実施形態では、前記量子化器は前記量子化器に関連するサンプリング期間を有し、第2遅延期間は前記サンプリング期間の1/2に等しく、第1遅延期間は前記サンプリング期間に等しい。さらに別の実施形態では、第2遅延期間は前記サンプリング期間の1/4に等しく、第1遅延期間は前記サンプリング期間の3/4に等しい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シグマデルタ変調器において、
入力信号を受信するための入力ノードと、
第1アナログ信号をデジタル値に変換するように構成された量子化器と、
前記量子化器に接続された主フィードバック構成であって、
前記デジタル値を第1遅延期間だけ遅延させて第1遅延値を取得し、
第1遅延値に基づいて主フィードバック信号を生成するように構成されている、主フィードバック構成と、
前記量子化器に接続された補償フィードバック構成であって、
前記デジタル値を、第1遅延期間によって影響の与えられない第2遅延期間だけ遅延させて第2遅延値を取得し、
第2遅延値に基づいて補償フィードバック信号を生成するように構成されている、補償フィードバック構成と、
前記入力ノードと前記量子化器との間に接続されたフォワード信号構成であって、前記主フィードバック構成および前記補償フィードバック構成に接続されている、フォワード信号構成と、を備え、
前記フォワード信号構成は、前記入力信号、前記主フィードバック信号、および前記補償フィードバック信号に基づいて、第1アナログ信号を生成し、
前記補償フィードバック信号は第1遅延期間を補償する、シグマデルタ変調器。
【請求項2】
前記補償フィードバック構成は、前記補償フィードバック信号を生成するように構成された非ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む、請求項1に記載のシグマデルタ変調器。
【請求項3】
前記補償フィードバック構成は、前記補償フィードバック信号を生成するように構成されたゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む、請求項1に記載のシグマデルタ変調器。
【請求項4】
第2遅延期間は第1遅延期間に等しくない、請求項1に記載のシグマデルタ変調器。
【請求項5】
前記主フィードバック構成は、前記主フィードバック信号を生成するように構成された第1の非ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含み、
前記補償フィードバック構成は、前記補償フィードバック信号を生成するように構成された第2の非ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む、請求項1に記載のシグマデルタ変調器。
【請求項6】
前記主フィードバック構成は第1ゲインを有する主フィードバック信号を生成し、前記補償フィードバック構成は第2ゲインを有する補償フィードバック信号を生成し、第2ゲインの大きさは第1ゲインの大きさに等しくない、請求項5に記載のシグマデルタ変調器。
【請求項7】
前記主フィードバック構成は、前記主フィードバック信号を生成するように構成された非ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含み、
前記補償フィードバック構成は、前記補償フィードバック信号を生成するように構成されたゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む、請求項1に記載のシグマデルタ変調器。
【請求項8】
前記フォワード信号構成は、ローパストポロジ、バンドパストポロジ、ハイパストポロジ、フィードバックトポロジ、フィードフォワードトポロジ、混合フィードフォワード−フィードバックトポロジ、カスケードトポロジ、直交トポロジ、および複雑トポロジからなる群から選択される回路トポロジを含む、請求項1に記載のシグマデルタ変調器。
【請求項9】
アナログ−デジタル変換器において、
入力信号を受信するための入力ノードと、
第1アナログ信号をデジタル値に変換するように構成された量子化器と、
前記入力ノードと前記量子化器との間に接続されたフォワード信号経路と、
前記量子化器に接続された第1遅延素子であって、前記デジタル値を第1遅延期間だけ遅延させて第1遅延値を得るように構成されている、第1遅延素子と、
第1遅延素子とフォワード信号経路との間に接続された第1デジタル−アナログ変換器であって、第1遅延値に基づいて第1フィードバック信号を生成するように構成されている第1デジタル−アナログ変換器と、
前記量子化器に接続された第2遅延素子であって、前記デジタル値を第2遅延期間だけ遅延させて第2遅延値を得るように構成されており、第1遅延素子と第2遅延素子とはカスケードされておらず、第1遅延期間と第2遅延期間とは無相関である、第2遅延素子と、
第2遅延装置と前記フォワード信号経路との間に接続された第2デジタル−アナログ変換器であって、第2遅延値に基づいて第2フィードバック信号を生成するように構成されており、前記フォワード信号経路は、第2フィードバック信号が第1遅延期間を補償するように、前記入力信号、第1フィードバック信号、および第2フィードバック信号に基づいて第1アナログ信号を生成する、第2デジタル−アナログ変換器と、を備えるアナログ−デジタル変換器。
【請求項10】
第1デジタル−アナログ変換器は第1ゲインを有する第1フィードバック信号を生成し、第2デジタル−アナログ変換器は第2ゲインを有する第2フィードバック信号を生成し、第2ゲインは第1ゲインに等しくない、請求項9に記載のアナログ−デジタル変換器。
【請求項11】
第2デジタル−アナログ変換器は、非ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む、請求項9に記載のアナログ−デジタル変換器。
【請求項12】
第2デジタル−アナログ変換器は、ゼロ復帰デジタル−アナログ変換器を含む、請求項9に記載のアナログ−デジタル変換器。
【請求項13】
第2遅延期間は第1遅延期間より小さい、請求項9に記載のアナログ−デジタル変換器。
【請求項14】
第2遅延期間は第1遅延期間より大きい、請求項9に記載のアナログ−デジタル変換器。
【請求項15】
前記フォワード信号経路が、ローパストポロジ、バンドパストポロジ、ハイパストポロジ、フィードバックトポロジ、フィードフォワードトポロジ、および混合フィードフォワード−フィードバックトポロジからなる群から選択される回路トポロジを含む、請求項9に記載のアナログ−デジタル変換器。
【請求項16】
シグマデルタ変調器において、
入力信号を受信するための入力ノードと、
第1入力および第1出力を有する第1積分器であって、第1入力は前記入力ノードに接続されている第1積分器と、
量子化器入力および量子化器出力を有する量子化器であって、前記量子化器入力は第1入力に接続されており、前記量子化器は前記量子化器入力における第1アナログ信号を前記量子化器出力におけるデジタル値に変換するように構成されている、量子化器と、
前記量子化器出力に接続された第1遅延素子であって、前記デジタル値を第1遅延期間だけ遅延させて第1遅延値を得るように構成されている、第1遅延素子と、
第1遅延素子と第1入力との間に接続された第1デジタル−アナログ変換器であって、第1遅延値を第1入力における第1アナログ値に変換するように構成されている、第1デジタル−アナログ変換器と、
前記量子化器出力に接続された第2遅延素子であって、前記デジタル値を第2遅延期間だけ遅延させて第2遅延値を得るように構成されており、第2遅延期間は第1遅延期間に等しくなく、第2遅延期間は第1遅延期間から独立である、第2遅延素子と、
第2遅延素子と第1入力との間に接続された第2デジタル−アナログ変換器であって、第2遅延値を第1入力における第2アナログ値に変換するように構成されている第2デジタル−アナログ変換器と、を備えるシグマデルタ変調器。
【請求項17】
前記入力ノードと第1積分器との間に接続された第2積分器であって、第2入力および第2出力を有し、第2入力は前記入力ノードに接続されており、第2出力は第1入力に接続されている、第2積分器と、
第1遅延素子と第2入力との間に接続された第3デジタル−アナログ変換器であって、第1遅延値を第2入力における第3アナログ値に変換するように構成されている、第3デジタル−アナログ変換器と、をさらに備える請求項16に記載のシグマデルタ変調器。
【請求項18】
第2遅延期間は第1遅延期間より小さい、請求項17に記載のシグマデルタ変調器。
【請求項19】
前記量子化器は前記量子化器に関連するサンプリング期間を有し、第2遅延期間は前記サンプリング期間の1/2に等しく、第1遅延期間は前記サンプリング期間に等しい、請求項18に記載のシグマデルタ変調器。
【請求項20】
前記量子化器は前記量子化器に関連するサンプリング期間を有し、第2遅延期間は前記サンプリング期間の1/4に等しく、第1遅延期間は前記サンプリング期間の3/4に等しい、請求項18に記載のシグマデルタ変調器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−519415(P2012−519415A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552044(P2011−552044)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/021966
【国際公開番号】WO2010/098918
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】