狭額縁タッチ入力シートの製造方法
【課題】防錆性に優れた狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【解決手段】透明な基体シートの両面に各々、透明導電膜3、遮光性導電膜1、第一レジスト層を順次積層形成した導電性シートを用い、両面同時に第一レジスト層を露光し、現像した後、透明導電膜3及び遮光性導電膜1を同時にエッチングし、第一レジスト層の剥離後、露出した遮光性導電膜1上に防錆剤が添加され且つパターン化された第二レジスト層を積層形成し、中央窓部及び端子部の遮光性導電膜1のみをエッチングし、透明導電膜3を露出させ、さらに中央窓部及び前記端子部との境界においては遮光性導電膜1の露出した端面をサイドエッチングすることにより第二レジスト層を庇構造とし、最後に熱処理にて庇構造の第二レジスト層を軟化させることにより、残存する遮光性導電膜1の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層を剥離せずに防錆層として残存させる。
【解決手段】透明な基体シートの両面に各々、透明導電膜3、遮光性導電膜1、第一レジスト層を順次積層形成した導電性シートを用い、両面同時に第一レジスト層を露光し、現像した後、透明導電膜3及び遮光性導電膜1を同時にエッチングし、第一レジスト層の剥離後、露出した遮光性導電膜1上に防錆剤が添加され且つパターン化された第二レジスト層を積層形成し、中央窓部及び端子部の遮光性導電膜1のみをエッチングし、透明導電膜3を露出させ、さらに中央窓部及び前記端子部との境界においては遮光性導電膜1の露出した端面をサイドエッチングすることにより第二レジスト層を庇構造とし、最後に熱処理にて庇構造の第二レジスト層を軟化させることにより、残存する遮光性導電膜1の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層を剥離せずに防錆層として残存させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭額縁で透明導電膜パターンが二層の静電容量式のタッチセンサーに適する狭額縁タッチ入力シートとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明電極の引き出し端子の各端子上に金属膜を形成した後、入力パネル領域の透明電極パターンと引き出し端子列の金属膜及び透明電極を同時にエッチングして、タッチ入力装置を形成する発明の文献として特許文献1があった。
【0003】
上記特許文献1の発明は、図6に示すように、ポリエステルフィルム30上にITO膜31からなる透明電極を形成し、その上にフォトレジスト膜32をパターン形成し、次いでフォトレジスト膜32上をマスク33で覆った後、In膜からなる金属膜34を形成し、マスク33を外し、フォトレジスト膜32をレジスト剥離液で除去して、金属膜34をパターン形成するものであり、その後パターン化された金属膜34上に第二のフォトレジスト膜35をパターン形成し(図6(e)参照)、塩化第2鉄水溶液等で金属膜35とITO膜31を同時にエッチング除去し、最後にフォトレジスト膜35をレジスト剥離液で除去する方法の発明である。
【0004】
【特許文献1】特開平5−108264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法は、図6(e)のパターン化された金属膜34上に第二のフォトレジスト膜35をパターン形成する際、マスク33の位置が少しでもずれてしまうと、一方の金属膜34は細く他方の金属膜34は太くなり金属膜34が所望の電気抵抗にならない問題があった。したがって、金属膜34が細線で所定の電気抵抗範囲内に収めなければならない狭額縁のタッチ入力シートには適用できない問題があった。
【0006】
また、静電容量式のタッチ入力シートでは、通常X方向に形成された透明導電膜のパターンとY方向に形成された透明導電膜のパターンとを絶縁層を挟んで積層形成する必要があり、特許文献1の方法では金属膜及び透明電極を両面に位置をあわせて形成することはできないため、作製したタッチ入力シートを二枚、位置をあわせて貼り合わせるなどの工程を経て作製しなければならない問題があった。その結果、生産が低下し、透明窓部の透過率が低くなることや厚みが厚くなってかさばるなどの問題もあった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、狭額縁で透明導電膜パターンが二層の静電容量式のタッチセンサーに適し、さらに防錆性にも優れた狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様によれば、透明な基体シートの両面に各々、透明導電膜、遮光性導電膜、第一レジスト層を順次積層形成する工程と、
両面同時に前記第一レジスト層を部分的に露光し、現像することにより各々パターン化する工程と、
当該パターン化された第一レジスト層が積層されていない部分の前記透明導電膜及び前記遮光性導電膜を同時にエッチング除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された電極パターンを形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターンを形成する工程と、
前記第一レジスト層の剥離後、露出した遮光性導電膜上に防錆剤が添加され且つパターン化された第二レジスト層を積層形成する工程と、
当該パターン化された第二レジスト層が積層されていない部分の前記遮光性導電膜のみをエッチング除去することにより、基体シート両面の前記中央窓部及び端子部において各々、前記透明導電膜を露出させ、さらに前記中央窓部及び前記端子部との境界においては前記遮光性導電膜の露出した端面をサイドエッチングすることにより前記第二レジスト層を庇構造とする工程、
熱処理にて前記庇構造の第二レジスト層を軟化させることにより、前記残存する遮光性導電膜の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層を剥離せずに防錆層として残存させる工程と、を備えた狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明の第2態様によれば、前記透明な基体シートが複数枚の樹脂シートの積層体からなるものであり、このうち最表面および最裏面の樹脂シートには当該樹脂シートの積層前にあらかじめ前記透明導電膜および前記遮光性導電膜が形成されており、前記樹脂シートの積層後に前記第一レジスト層を形成する、第1態様載の狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明の第3態様によれば、前記透明な基体シートが複数枚の樹脂シートの積層体からなるものであり、このうち最表面および最裏面の樹脂シートには当該樹脂シートの積層前にあらかじめ前記透明導電膜が形成されており、前記樹脂シートの積層後に前記遮光性導電膜及び前記第一レジスト層を形成する、第1態様の狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明の第4態様によれば、前記第二レジスト層に添加されている防錆剤が、イミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ピラゾールのいずれかである、第1〜3態様のいずれかの狭狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の狭額縁タッチ入力シートの製造方法は、透明な基体シートの両面に各々、透明導電膜、遮光性導電膜、第一レジスト層を順次積層形成する工程と、両面同時に前記第一レジスト層を部分的に露光し、現像することにより各々パターン化する工程と、当該パターン化された第一レジスト層が積層されていない部分の前記透明導電膜及び前記遮光性導電膜を同時にエッチング除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された電極パターンを形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターンを形成する工程と、前記第一レジスト層の剥離後、露出した遮光性導電膜上に防錆剤が添加され且つパターン化された第二レジスト層を積層形成する工程と、当該パターン化された第二レジスト層が積層されていない部分の前記遮光性導電膜のみをエッチング除去することにより、基体シート両面の前記中央窓部及び端子部において各々、前記透明導電膜を露出させ、さらに前記中央窓部及び前記端子部との境界においては前記遮光性導電膜の露出した端面をサイドエッチングすることにより前記第二レジスト層を庇構造とする工程、熱処理にて前記庇構造の第二レジスト層を軟化させることにより、前記残存する遮光性導電膜の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層を剥離せずに防錆層として残存させる工程を備えたことを特徴とする。したがって、精巧で微細な細線引き回し回路パターンを形成できるため、非常に狭額縁のタッチ入力シートを製造できる効果がある。
【0013】
また、第一レジスト層の下層に遮光性導電膜が形成されているため、両面同時に第一レジスト層を露光などの方法でパターン形成する際、該露光の光線が反対面の第一レジスト層に達するのを防ぐ効果が高いため、回路パターンおよび細線引き回し回路パターンが基体シートの両面に形成されている狭額縁タッチ入力シートを生産性よく高品質で製造できる効果がある。
【0014】
また、第二レジスト層に防錆剤が添加されているため、非常に防錆性に優れているという効果がある。より詳しく説明すると、細線引き回し回路パターン上に被覆形成された第二レジスト層の防錆性が劣っていると、製品完成後の外部からの腐食性の液、例えば汗液や塩水などが侵入して、あるいは高温高湿などの環境試験下において引き回し回路の腐食が進み、電気特性が劣化する問題が生ずる。これに対して、本発明のように第二レジスト層に防錆剤が添加されており、しかも中央窓部及び端子部との境界においても遮光性導電膜の端面が露出していないので、製品完成後の外部からの腐食性の液が侵入しても、あるいは高温高湿などの環境試験下においても引き回し回路の腐食防止性が極めて高く、電気特性を維持できる。従って、静電容量式タッチセンサーなどに適用される両面透明導電膜シートのように引き回し回路が細線でかつ長期間に渡って低抵抗を維持しなければならないという用途にも十分に適用できる。
【0015】
また、第二レジスト層が防錆層を兼ねているので、第二レジスト層とは別に防錆層を形成する工程が不要であり、又少ない部材で済むためコスト安である。さらに第二レジスト層とは別に防錆層を形成しないので、防錆領域の細線引き回し回路パターンに対する位置精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る狭額縁タッチ入力シートの一実施例について電極パターンおよび細線引き回し回路パターンを説明する図である。
【図2】電極パターンおよび細線引き回し回路パターンが一枚の樹脂シートからなる透明な基体シートの両面に形成されている狭額縁タッチ入力シートの例を示す模式断面図である。
【図3(a)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(b)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(c)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(d)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(e)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(f)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(g)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図4】電極パターンおよび細線引き回し回路パターンが二枚の樹脂シートの積層体からなる透明な基体シートの最表面および最裏面に形成されている狭額縁タッチ入力シートの例を示す模式断面図である。
【図5(a)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(b)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(c)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(d)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(e)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(f)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(g)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(h)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図6】特許文献1に記載のタッチ入力装置の電極形成工程を説明するための図である。
【図7】狭額縁タッチ入力シートの中央窓部に形成された電極パターンの形状及び配置態様の一例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<第一実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明について詳細に説明する。図1は本発明に係る狭額縁タッチ入力シートの一実施例について電極パターンおよび細線引き回し回路パターンを説明する図である。図2は電極パターンおよび細線引き回し回路パターンが一枚の樹脂シートからなる透明な基体シートの両面に形成されている狭額縁タッチ入力シートの例を示す模式断面図(図1に示すAA線の位置で切断、細線引き回し回路パターンは減数して描画)であり、図3(a)〜(g)はその製造工程を示す模式断面図である。図中、1は遮光性導電膜層、3は透明導電膜、5は狭額縁タッチ入力シート、7は樹脂シート、9は電極パターン、10は細線引き回し回路パターン、12はマスク、14は露光光線、16は第一レジスト層、18は第二レジスト層(防錆層兼用)、20は静電容量式タッチセンサー、22は狭額縁タッチ入力シート5の外枠部、24は狭額縁タッチ入力シート5の中央窓部、28は外部回路、Sはサイドエッチング分を示す。
【0019】
本発明で得られる狭額縁タッチ入力シート5は、基体シート両面の中央窓部24に透明導電膜3のみからなる電極パターン9が形成され、外枠部22に透明導電膜3および遮光性導電膜1が順次積層された細線引き回し回路パターン10が形成されている狭額縁タッチ入力シートであって(図1参照)、該細線引き回し回路パターン10の透明導電膜3および遮光性導電膜1が中央窓部及び端子部との境界を除き同一パターンで位置ずれなく積層形成されていることを特徴とする。そして、電極パターン9および細線引き回し回路パターン10が形成される透明な基体シートは、一枚の樹脂シート7から構成することができる(図2参照)。
【0020】
このような透明導電膜3の回路パターンおよび細線引き回し回路パターン10を両面に形成する狭額縁タッチ入力シート5の製造方法は、まず一枚の樹脂シート7からなる透明な基体シートの表裏両面に各々、透明導電膜3、遮光性導電膜1、第一レジスト層16を順次全面形成して導電性シートを得た(図3(a)参照)後、表裏それぞれ所望のパターンのマスク12を載せ、露光(図3(b)参照)・現像して第一レジスト層16をパターン化する。その際、遮光性導電膜1が反対側の面の露光光線14を遮断するので、同時に違うマスクパターンで露光しても反対側の第一レジスト層16のパターンに影響を及ぼすこともない。したがって、両面同時に露光することが可能なため、第一レジスト層16の表裏の位置あわせがしやすく一回の工程で両面パターン化でき、生産性も向上する。なお、図3(b)に示すマスク12の位置は、第一レジスト層16がネガ型(露光されると現像液に対して溶解性が低下し、現像後に露光部分が残る)の場合を示している。ポジ型(露光されると現像液に対して溶解性が増大し、露光部が除去される)の場合にはマスクで遮光する部分が逆になる。
【0021】
なお、表マスク及び裏マスクのアライメントは、両面露光装置の公知のマスクアライメント方法を用いることができる。たとえば、表マスク及び裏マスクにそれぞれマスク用アライメントマークを形成し、カメラ等の光学的に読み込むセンサが、一対のマスク用アライメントマーク同士の重畳状態を読み取ることで表マスク及び裏マスクの相対的な位置情報を得る。そして、得られた位置情報に基づいて、マスク位置調整機構が、一対のマスク用アライメントマーク同士が中心を合わせて重合するように表マスク及び裏マスクを相対的に移動させることで、表マスク及び裏マスクのアライメントを行う方法などである。
【0022】
次いで、塩化第二鉄などのエッチング液で透明導電膜3および遮光性導電膜1を同時にエッチングし、パターン化された第一レジスト層16が積層されていない部分の透明導電膜3及び遮光性導電膜1を除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜3及び遮光性導電膜1が位置ずれなく積層された電極パターン9を形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜3及び遮光性導電膜1が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターン10を形成する(図3(c)参照)。
【0023】
次いで、レジスト剥離液でもって第一レジスト層16を剥離し、遮光性導電膜1を露出させた後、露出した遮光性導電膜1上に防錆剤が添加されている第二レジスト層18を全面形成した(図3(d)参照)後、マスク12を載せ、露光(図3(e)参照)・現像して第二レジスト層18をパターン化する(図3(f)参照)。なお、図3(e)に示すマスク12の位置は、第一レジスト層16がネガ型(露光されると現像液に対して溶解性が低下し、現像後に露光部分が残る)の場合を示している。
【0024】
次いで、酸性化した過酸化水素などの特殊エッチング液でエッチングし、パターン化された第二レジスト層18が積層されていない部分の遮光性導電膜1のみを除去することにより、基体シート両面の中央窓部24及び外枠部22内の端子部25において各々、透明導電膜3を露出させ、さらに前記中央窓部24及び前記端子部25との境界24a,25aにおいては遮光性導電膜1の露出した端面を僅かにサイドエッチング(図中のS)することにより第二レジスト層18を庇構造とする(図3(g)参照)。サイドエッチング量は、例えば2μm程度あればよい。
【0025】
最後に、熱処理にて庇構造の第二レジスト層18を軟化させることにより、残存する遮光性導電膜1の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層18を剥離せずに防錆層として残存させる(図2参照)。第二レジスト層18が防錆層として機能し、しかも中央窓部及び端子部との境界においても遮光性導電膜の端面が露出していないので、、製品完成後の外部からの腐食性の液が侵入しても、あるいは高温高湿などの環境試験下においても引き回し回路の腐食防止性が極めて高く、電気特性を維持できる。なお、図1では基体シート(樹脂シート7)の表面に形成された細線引き回し回路パターン10は、遮光性導電膜1の積層部分を黒色、透明導電膜3の露出部分を白色で描画しており、黒色部分の両端は中央窓部24との境界24a及び端子部25との境界25aよりSだけ後退している。
【0026】
なお、透明導電膜3がアモルファスの材料であれば、該エッチングの前に熱処理などの方法により結晶化させておくのが好ましい。結晶化によりエッチング耐性が向上し、より選択的に遮光性金属膜1のみをエッチングしやすくできるためである。
【0027】
以上の方法により得られた狭額縁タッチ入力シート5の両面に形成された細線引き回し回路パターン10の端部をICチップが搭載された外部回路28に各々、端子部25において接続すれば、基体シート7を挟んで透明導電膜3が両面に形成された静電容量式タッチセンサー20が製造される。
【0028】
ここで静電容量式タッチセンサー20の中央窓部24に形成される電極パターン9について補足説明する。当該電極パターン9は表裏でパターンが異なる。たとえば、図7に示すように、基体シート(樹脂シート7)の裏面には、平面視して菱形形状を持つ菱形電極46と、この菱形電極46の複数を図中縦方向(Y方向)に貫く接続配線469とを備えている。複数の菱形電極46と接続配線469とは、相互に電気的に接続されている。また、このような、接続配線469及びそれに貫かれた複数の菱形電極46を一組として、当該一組が図中横方向(X方向)に繰り返し配列される。一方、これと同じようにして、基体シート(樹脂シート7)の表面には、複数の菱形電極47と、それらを貫く接続配線479とを備えている。ただし、この場合、接続配線479の延在方向は、接続配線469のそれとは異なり、図中横方向(X方向)である。また、それに伴い、接続配線479及びそれに貫かれた複数の菱形電極47からなる一組が、繰り返し配列される方向は、図中縦方向(Y方向)である。そして、図7から明らかなように、菱形電極46は、複数の接続配線479間の隙間を埋めるように配置される一方、菱形電極47は、複数の接続配線469間の隙間を埋めるように配置される。図7では更に、菱形電極46と菱形電極47との配置関係は相補的である。つまり、菱形電極46をマトリクス状に配列する場合に生じる菱形形状の隙間を埋めるように、複数の菱形電極47は配列されているのである。前記したように、本願発明は遮光性導電膜1が反対側の面の露光光線14を遮断するので、同時に露光しても反対側の第一レジスト層16のパターンに影響を及ぼすことなく、このような表裏面でパターンの異なる回路パターンの形成が可能なのである。
【0029】
このようにX方向電極及びY方向電極が平面視して格子を形作るように配置されているので、この格子上のいずれかの位置にユーザの指等が触れれば(例えば、破線丸印FRの位置)、当該指等とそれが触れるX方向電極との間にコンデンサが形成され、また、当該指等とそれが触れるY方向電極との間にコンデンサが形成される。このコンデンサの形成によって、当該のX方向電極及びY方向電極の静電容量は増大する。外部回路の位置検出部は、このような場合において生じる静電容量の変化量、あるいは更には最大の静電容量をもつX方向電極及びY方向電極を検出し、中央窓部24内のどこに触れたかを、特定値たるX座標値及びY座標値の組として取得することが可能となる。
【0030】
次に、上記狭額縁タッチ入力シート5を形成する各層について詳細に説明する。
【0031】
まず、基体シートは、厚みが30〜2000μm程度の透明な樹脂シート7からなり、材質としてはポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などのプラスチックフィルムなどが挙げられる。なお、本発明においては基体シートとしてガラス材料を用いることを妨げない。
【0032】
ところで、導電性シートの基体シートがプラスチックフィルムの場合、フィルムの伸びの問題がある。それゆえに導電性シート両面の第一レジスト層16のパターニングは両面同時露光によるのが適している。何故なら、第一レジスト層16のパターニングを片面ずつ露光して行う場合、片面のパターニングが終了し、露光装置に導電性シートの表裏を入れ替えて再び取り付け際に基体シートに伸びが生ずると、表面の回路パターンと裏面の回路パターンとが位置ずれを起こすことになるからである。図7に示す例の場合、菱形電極46と菱形電極47との配置関係は相補的であるので、表面の回路パターンと裏面の回路パターンとが位置ずれを起こすと、静電容量式タッチセンサー20として正確に機能しなくなる。
【0033】
遮光性導電膜1としては、導電率が高くかつ遮光性の良い単一の金属膜やそれらの合金または化合物などからなる層が挙げられ、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成するとよい。そして、透明導電膜ではエッチングされないが遮光性導電膜1自身はエッチングされるというエッチャントが存在することも必要である。その好ましい金属の例としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、錫などが挙げられる。とくに銅箔からなる厚み20〜1000nmの金属膜は、導電性、遮光性に優れ、透明導電膜はエッチングされない酸性雰囲気下での過酸化水素水で容易にエッチングできるほか、外部回路との接続のしやすさも併せ持つため非常に好ましい。より好ましくは、厚み30nm以上である。さらに好ましくは、100〜500nmにするとよい。100nm以上の厚みに設定することで高い導電性の遮光性金属膜層1が得られ、500nm以下にすることで取り扱いやすく加工性に優れた遮光性金属膜層1が得られるからである。
【0034】
透明導電膜3は、インジウムスズ酸化物、亜鉛酸化物などの金属酸化物などからなる層が挙げられ、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成するとよい。厚みは数十から数百nm程度で形成され、塩化第二鉄などの溶液では遮光性導電膜1とともに容易にエッチングされるが、酸性雰囲気下での過酸化水素水など遮光性導電膜1のエッチング液では容易にエッチングされないことが必要である。そして、80%以上の光線透過率、数mΩから数百Ωの表面抵抗値を示すことが好ましい。また、透明導電膜3は、チオフェンなどの導電性ポリマー膜、金属ナノワイヤやカーボンナノチューブなどを含む導電繊維膜を用いることも可能であり、その場合、各種印刷法や塗装などで形成するとよい。
【0035】
第一レジスト層16としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、レーザー光線又はメタルハライドランプなどで露光しアルカリ溶液などで現像が可能な厚さ10〜20μmのアクリル系フォトレジスト材料などで構成する。フォトレジスト材料による露光・現像により線幅の細い細線引き回し回路パターン10が確実性よく形成でき、より狭額縁の狭額縁タッチ入力シート5が製造できるからである。第一レジスト層16の形成方法は、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用の印刷法のほか、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法、ドライフィルムレジスト法などの各種方法により全面形成した後に露光・現像してパターニングするとよいが、中でもドライフィルムレジスト法がより好ましい。
【0036】
ドライフィルムレジスト法に用いるドライフィルムレジスト(DFR)は、第一レジスト層16となる感光層がベースフィルムとカバーフィルムによってサンドウィッチされているフィルムである。上記した印刷法、コート法、塗装法などは、片面コーティングしかできず効率が悪いなどの問題があるのに対し、ドライフィルムレジスト法は、カバーフィルムを剥離した後に感光層を加熱ロールで接着する方法であるため、生産性が高く、多様な要求に応じられることから主流になっている。なお、露光は、通常、ベースフィルムの上からマスクを配置して行ない(図示せず)、ベースフィルムを剥離した後に現像を行なう。ドライフィルムレジストのベースフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートなどからなるものを用いることができる。また、ドライフィルムレジストのカバーフィルムとしては、ポリエチレンなどからなるものを用いることができる。
【0037】
第二レジスト層18としては、第一レジスト層16と同様の材料で厚さ2.5〜10μm,より好ましくは2.5〜5μmのフォトレジスト材料に防錆剤が添加されたもので構成するのが好ましい。当該防錆剤としては、すでに防錆剤として公知に用いられる材料が使用され、具体例としては、例えばイミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ピラゾールなどを用いるとよい。また、これらのハロゲン、アルキル、フェニル置換体などの単環または多環式のアゾール類、アニリンなどの芳香族アミン類、アルキルアミンなどの脂肪族アミン、これらの塩などが挙げられ、また、特に本記載の材料に制限する必要はない。第二レジスト層18の形成方法は、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用の印刷法のほか、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法、ドライフィルムレジスト法などの各種方法により全面形成した後に露光・現像してパターニングするとよいが、中でもドライフィルムレジスト法がより好ましい。また、精密なパターンを形成するわけではないので、フォトプロセスによらずに印刷法によりいきなりパターン形成してもよい。
【0038】
また、この第二レジスト層18の上に、細線引き回し回路パターン10を隠し外観意匠を向上させるための絵柄層を設けてもよい。絵柄層は、ポリビニル系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、アルキッド系などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。また、着色剤としてアルミニウム、チタン、ブロンズ等の金属粒子やマイカに酸化チタンをコーティングしたパール顔料等を用いることもできる。絵柄層の形成方法としては、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用印刷法や各種コート法、塗装などの方法がある。
【0039】
<第二実施形態>
以上、回路パターンおよび細線引き回し回路パターンが一枚の樹脂シート7からなる透明な基体シートの表面および裏面に形成されている狭額縁タッチ入力シートの製造方法の一実施例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0040】
たとえば、透明導電膜3の回路パターンおよび細線引き回し回路パターン10は、複数枚の樹脂シート7,7が積層された透明な基体シートの最表面及び最裏面に形成することができる(図4参照)。このような狭額縁タッチ入力シートを得るには、まず、厚みの薄い二枚の樹脂シート7,7を用いて各々の片面にあらかじめ透明導電膜3及び遮光性導電膜1を順次積層形成し、これらを樹脂シート7,7が対向するように積層した(図5(a)参照)後、両面に第一レジスト層16を形成する(図5(b)参照)。あるいは、樹脂シート7,7の積層前にあらかじめ透明導電膜3のみを形成し、これらを樹脂シート7,7が対向するように積層した後、両面に遮光性導電膜1及び第一レジスト層16を順次積層形成する。また、樹脂シート7,7を積層した後、両面に透明導電膜3、遮光性導電膜1及び第一レジスト層16を順次積層形成してもよい。なお、基体シート7の積層手段としては熱ラミネートや接着剤層を介したドライラミネートなどが挙げられる。接着剤層にて樹脂シート7を積層する場合、接着剤層として芯材を有するものを用いて積層体全体の厚み調整をすることもできる。また、最表面及び最裏面の樹脂シート7,7の間にさらに別の樹脂シートを介在させることで積層体全体の厚み調整をすることもできる。
【0041】
以下の工程は、第二実施形態と同じである。すなわち、積層体からなる透明な基体シートの最表面及び最裏面に所望のパターンのマスク12を載せ、露光(図5(c)参照)・現像して第一レジスト層16をパターン化する。
【0042】
次いで、塩化第二鉄などのエッチング液で透明導電膜3および遮光性導電膜1を同時にエッチングし、パターン化された第一レジスト層16が積層されていない部分の透明導電膜3及び遮光性導電膜1を除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜3及び遮光性導電膜1が位置ずれなく積層された電極パターン9を形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜3及び遮光性導電膜1が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターン10を形成する(図5(d)参照)。
【0043】
次いで、レジスト剥離液でもって第一レジスト層16を剥離し、遮光性導電膜1を露出させた後、露出した遮光性導電膜1上に防錆剤が添加されている第二レジスト層18を全面形成した(図5(e)参照)後、マスク12を載せ、露光(図5(f)参照)・現像して第二レジスト層18をパターン化する(図5(g)参照)。
【0044】
次いで、酸性化した過酸化水素などの特殊エッチング液でエッチングし、パターン化された第二レジスト層18が積層されていない部分の遮光性導電膜1のみを除去することにより、基体シート両面の中央窓部24及び外枠部22内の端子部25において各々、透明導電膜3を露出させ、さらに前記中央窓部24及び前記端子部25との境界24a,25aにおいては遮光性導電膜1の露出した端面をサイドエッチング(図中のS)することにより第二レジスト層18を庇構造とする(図5(h)参照)。
【0045】
最後に、熱処理にて庇構造の第二レジスト層18を軟化させることにより、残存する遮光性導電膜1の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層18を剥離せずに防錆層として残存させることによって、図4に示すような二枚の樹脂シートの積層体を基体シートとする狭額縁タッチ入力シートが得られる。
【0046】
《実施例1》
基体シートとして厚さ400μmの無色ポリエステルフィルムを一枚用い、その表裏両面に透明導電膜としてインジウムスズ酸化物からなるスパッタリング法で200nmの厚みで形成し、その上に遮光性導電膜として銅膜をスパッタリング法で500nmの厚みで形成し、その上に苛性ソーダ1%液で現像が可能なネガタイプのアクリル系感光層を備えたドライフィルムレジストを用い、厚み10nmの第一レジスト層を全面形成し、表側にはX方向の電極パターンを有するマスクを載置し、裏側にはY方向の電極パターンを有するマスクを載置して、メタルハライドランプによって表裏両面同時に露光し、苛性ソーダ1%液に浸して現像した。
【0047】
次いで、塩化第二鉄のエッチング液で当該パターン化された第一レジスト層が積層されていない部分のインジウムスズ酸化物膜および銅膜を同時にエッチング除去したところ、基体シートの中央窓部表面にはX方向の電極パターン、その裏側にはY方向の電極パターンが露出して形成され、その中央窓部を囲む外枠部には平均線幅20μmの細線引き回しパターンが表裏両面に露出して形成されていた。
【0048】
次に、第一レジスト層の剥離後、苛性ソーダ1%液で現像が可能で且つ防錆剤としてベンゾイミダールを添加してなるネガタイプのアクリル系感光層を備えたドライフィルムレジストを用い、厚み10nmの第二レジスト層を全面形成し、表側及び裏側の端子部を除く外枠部にマスクを載置して、メタルハライドランプによって表裏両面同時に露光し、苛性ソーダ1%液に浸して現像した。
【0049】
次いで、酸性雰囲気下での過酸化水素水に浸すと露出していた中央窓部の露出していた銅膜がエッチング除去され、その下に形成されていたインジウムスズ酸化物膜のみが残った。さらにエッチングを続けると、中央窓部及び端子部との境界においては遮光性導電膜の露出した端面がサイドエッチングされ、第二レジスト層が庇構造となった。
【0050】
最後に、熱処理にて庇構造の第二レジスト層を軟化させることにより、残存する遮光性導電膜の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層を剥離せずに防錆層として残存させた。
【0051】
《実施例2》
基本シートとして厚さ200μmの無色ポリエステルフィルムを二枚積層した積層体を用いた点、各ポリエステルフィルムが積層前にあらかじめ片面に透明導電膜、遮光性導電膜が形成されており、ポリエステルフィルムの積層後に両面に各々第一レジスト層を形成した点以外は実施例1と同様の方法によって狭額縁タッチ入力シートを得た。
【0052】
《実施例3》
基本シートとして厚さ200μmの無色ポリエステルフィルムを二枚積層した積層体を用いた点、各ポリエステルフィルムが積層前にあらかじめ片面に透明導電膜のみ形成されており、ポリエステルフィルムの積層後に両面に各々遮光性導電膜及び第一レジスト層を形成した点以外は実施例1と同様の方法によって狭額縁タッチ入力シートを得た。
【0053】
《実施例4》
第二レジスト層に添加する防錆剤を、実施例1のベンゾイミダールに変えてベンゾトリアゾールとした他は実施例1と同様の方法によって狭額縁タッチ入力シートを得た。
【0054】
実施例1〜4の方法により、中央窓部には基体シートの両面にそれぞれX方向の電極パターン、Y方向の電極パターンのインジウムスズ酸化物膜のみが形成され、各々の外枠部にはインジウムスズ酸化物膜の上に端子部およびサイドエッチング分を除いて銅膜が形成された細線引き回し回路が形成され、当該細線引き回し回路を端子部を除いて防錆剤を含む第二レジスト層で覆った狭額縁タッチ入力シートが得られた。この狭額縁タッチ入力シートに形成された細線引き回し回路パターンの端部をICチップが搭載された外部回路に接続して、静電容量式タッチセンサーとして作動するか評価したところ、実施例1〜4のいずれの場合も良好な結果が得られ、又製品完成後の外部からの腐食性の液が侵入しても、あるいは高温高湿などの環境試験下において引き回し回路の腐食が進むことがなく、電気特性を維持できていた。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本願発明は、液晶パネルなどの映像画面を設けるような携帯電話やPDA、小型PC、などの入力デバイスに適用できる狭額縁タッチ入力シートの製造方法の発明である。
【符号の説明】
【0056】
1 遮光性導電膜
3 透明導電膜
5 狭額縁タッチ入力シート
7 樹脂シート
9 電極パターン
10 細線引き回し回路パターン
12 マスク
14 露光光線
16 第一レジスト層
18 第二レジスト層
20 静電容量式タッチセンサー
22 狭額縁タッチ入力シート5の外枠部
24 狭額縁タッチ入力シート5の中央窓部
25 狭額縁タッチ入力シート5の端子部
46,47 菱形電極
469.479 接続配線
S サイドエッチング分
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭額縁で透明導電膜パターンが二層の静電容量式のタッチセンサーに適する狭額縁タッチ入力シートとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透明電極の引き出し端子の各端子上に金属膜を形成した後、入力パネル領域の透明電極パターンと引き出し端子列の金属膜及び透明電極を同時にエッチングして、タッチ入力装置を形成する発明の文献として特許文献1があった。
【0003】
上記特許文献1の発明は、図6に示すように、ポリエステルフィルム30上にITO膜31からなる透明電極を形成し、その上にフォトレジスト膜32をパターン形成し、次いでフォトレジスト膜32上をマスク33で覆った後、In膜からなる金属膜34を形成し、マスク33を外し、フォトレジスト膜32をレジスト剥離液で除去して、金属膜34をパターン形成するものであり、その後パターン化された金属膜34上に第二のフォトレジスト膜35をパターン形成し(図6(e)参照)、塩化第2鉄水溶液等で金属膜35とITO膜31を同時にエッチング除去し、最後にフォトレジスト膜35をレジスト剥離液で除去する方法の発明である。
【0004】
【特許文献1】特開平5−108264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法は、図6(e)のパターン化された金属膜34上に第二のフォトレジスト膜35をパターン形成する際、マスク33の位置が少しでもずれてしまうと、一方の金属膜34は細く他方の金属膜34は太くなり金属膜34が所望の電気抵抗にならない問題があった。したがって、金属膜34が細線で所定の電気抵抗範囲内に収めなければならない狭額縁のタッチ入力シートには適用できない問題があった。
【0006】
また、静電容量式のタッチ入力シートでは、通常X方向に形成された透明導電膜のパターンとY方向に形成された透明導電膜のパターンとを絶縁層を挟んで積層形成する必要があり、特許文献1の方法では金属膜及び透明電極を両面に位置をあわせて形成することはできないため、作製したタッチ入力シートを二枚、位置をあわせて貼り合わせるなどの工程を経て作製しなければならない問題があった。その結果、生産が低下し、透明窓部の透過率が低くなることや厚みが厚くなってかさばるなどの問題もあった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、狭額縁で透明導電膜パターンが二層の静電容量式のタッチセンサーに適し、さらに防錆性にも優れた狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様によれば、透明な基体シートの両面に各々、透明導電膜、遮光性導電膜、第一レジスト層を順次積層形成する工程と、
両面同時に前記第一レジスト層を部分的に露光し、現像することにより各々パターン化する工程と、
当該パターン化された第一レジスト層が積層されていない部分の前記透明導電膜及び前記遮光性導電膜を同時にエッチング除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された電極パターンを形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターンを形成する工程と、
前記第一レジスト層の剥離後、露出した遮光性導電膜上に防錆剤が添加され且つパターン化された第二レジスト層を積層形成する工程と、
当該パターン化された第二レジスト層が積層されていない部分の前記遮光性導電膜のみをエッチング除去することにより、基体シート両面の前記中央窓部及び端子部において各々、前記透明導電膜を露出させ、さらに前記中央窓部及び前記端子部との境界においては前記遮光性導電膜の露出した端面をサイドエッチングすることにより前記第二レジスト層を庇構造とする工程、
熱処理にて前記庇構造の第二レジスト層を軟化させることにより、前記残存する遮光性導電膜の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層を剥離せずに防錆層として残存させる工程と、を備えた狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明の第2態様によれば、前記透明な基体シートが複数枚の樹脂シートの積層体からなるものであり、このうち最表面および最裏面の樹脂シートには当該樹脂シートの積層前にあらかじめ前記透明導電膜および前記遮光性導電膜が形成されており、前記樹脂シートの積層後に前記第一レジスト層を形成する、第1態様載の狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明の第3態様によれば、前記透明な基体シートが複数枚の樹脂シートの積層体からなるものであり、このうち最表面および最裏面の樹脂シートには当該樹脂シートの積層前にあらかじめ前記透明導電膜が形成されており、前記樹脂シートの積層後に前記遮光性導電膜及び前記第一レジスト層を形成する、第1態様の狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明の第4態様によれば、前記第二レジスト層に添加されている防錆剤が、イミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ピラゾールのいずれかである、第1〜3態様のいずれかの狭狭額縁タッチ入力シートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の狭額縁タッチ入力シートの製造方法は、透明な基体シートの両面に各々、透明導電膜、遮光性導電膜、第一レジスト層を順次積層形成する工程と、両面同時に前記第一レジスト層を部分的に露光し、現像することにより各々パターン化する工程と、当該パターン化された第一レジスト層が積層されていない部分の前記透明導電膜及び前記遮光性導電膜を同時にエッチング除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された電極パターンを形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターンを形成する工程と、前記第一レジスト層の剥離後、露出した遮光性導電膜上に防錆剤が添加され且つパターン化された第二レジスト層を積層形成する工程と、当該パターン化された第二レジスト層が積層されていない部分の前記遮光性導電膜のみをエッチング除去することにより、基体シート両面の前記中央窓部及び端子部において各々、前記透明導電膜を露出させ、さらに前記中央窓部及び前記端子部との境界においては前記遮光性導電膜の露出した端面をサイドエッチングすることにより前記第二レジスト層を庇構造とする工程、熱処理にて前記庇構造の第二レジスト層を軟化させることにより、前記残存する遮光性導電膜の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層を剥離せずに防錆層として残存させる工程を備えたことを特徴とする。したがって、精巧で微細な細線引き回し回路パターンを形成できるため、非常に狭額縁のタッチ入力シートを製造できる効果がある。
【0013】
また、第一レジスト層の下層に遮光性導電膜が形成されているため、両面同時に第一レジスト層を露光などの方法でパターン形成する際、該露光の光線が反対面の第一レジスト層に達するのを防ぐ効果が高いため、回路パターンおよび細線引き回し回路パターンが基体シートの両面に形成されている狭額縁タッチ入力シートを生産性よく高品質で製造できる効果がある。
【0014】
また、第二レジスト層に防錆剤が添加されているため、非常に防錆性に優れているという効果がある。より詳しく説明すると、細線引き回し回路パターン上に被覆形成された第二レジスト層の防錆性が劣っていると、製品完成後の外部からの腐食性の液、例えば汗液や塩水などが侵入して、あるいは高温高湿などの環境試験下において引き回し回路の腐食が進み、電気特性が劣化する問題が生ずる。これに対して、本発明のように第二レジスト層に防錆剤が添加されており、しかも中央窓部及び端子部との境界においても遮光性導電膜の端面が露出していないので、製品完成後の外部からの腐食性の液が侵入しても、あるいは高温高湿などの環境試験下においても引き回し回路の腐食防止性が極めて高く、電気特性を維持できる。従って、静電容量式タッチセンサーなどに適用される両面透明導電膜シートのように引き回し回路が細線でかつ長期間に渡って低抵抗を維持しなければならないという用途にも十分に適用できる。
【0015】
また、第二レジスト層が防錆層を兼ねているので、第二レジスト層とは別に防錆層を形成する工程が不要であり、又少ない部材で済むためコスト安である。さらに第二レジスト層とは別に防錆層を形成しないので、防錆領域の細線引き回し回路パターンに対する位置精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る狭額縁タッチ入力シートの一実施例について電極パターンおよび細線引き回し回路パターンを説明する図である。
【図2】電極パターンおよび細線引き回し回路パターンが一枚の樹脂シートからなる透明な基体シートの両面に形成されている狭額縁タッチ入力シートの例を示す模式断面図である。
【図3(a)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(b)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(c)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(d)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(e)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(f)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図3(g)】図2の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図4】電極パターンおよび細線引き回し回路パターンが二枚の樹脂シートの積層体からなる透明な基体シートの最表面および最裏面に形成されている狭額縁タッチ入力シートの例を示す模式断面図である。
【図5(a)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(b)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(c)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(d)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(e)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(f)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(g)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図5(h)】図4の狭額縁タッチ入力シートを製造する工程を示す模式断面図である。
【図6】特許文献1に記載のタッチ入力装置の電極形成工程を説明するための図である。
【図7】狭額縁タッチ入力シートの中央窓部に形成された電極パターンの形状及び配置態様の一例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
<第一実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明について詳細に説明する。図1は本発明に係る狭額縁タッチ入力シートの一実施例について電極パターンおよび細線引き回し回路パターンを説明する図である。図2は電極パターンおよび細線引き回し回路パターンが一枚の樹脂シートからなる透明な基体シートの両面に形成されている狭額縁タッチ入力シートの例を示す模式断面図(図1に示すAA線の位置で切断、細線引き回し回路パターンは減数して描画)であり、図3(a)〜(g)はその製造工程を示す模式断面図である。図中、1は遮光性導電膜層、3は透明導電膜、5は狭額縁タッチ入力シート、7は樹脂シート、9は電極パターン、10は細線引き回し回路パターン、12はマスク、14は露光光線、16は第一レジスト層、18は第二レジスト層(防錆層兼用)、20は静電容量式タッチセンサー、22は狭額縁タッチ入力シート5の外枠部、24は狭額縁タッチ入力シート5の中央窓部、28は外部回路、Sはサイドエッチング分を示す。
【0019】
本発明で得られる狭額縁タッチ入力シート5は、基体シート両面の中央窓部24に透明導電膜3のみからなる電極パターン9が形成され、外枠部22に透明導電膜3および遮光性導電膜1が順次積層された細線引き回し回路パターン10が形成されている狭額縁タッチ入力シートであって(図1参照)、該細線引き回し回路パターン10の透明導電膜3および遮光性導電膜1が中央窓部及び端子部との境界を除き同一パターンで位置ずれなく積層形成されていることを特徴とする。そして、電極パターン9および細線引き回し回路パターン10が形成される透明な基体シートは、一枚の樹脂シート7から構成することができる(図2参照)。
【0020】
このような透明導電膜3の回路パターンおよび細線引き回し回路パターン10を両面に形成する狭額縁タッチ入力シート5の製造方法は、まず一枚の樹脂シート7からなる透明な基体シートの表裏両面に各々、透明導電膜3、遮光性導電膜1、第一レジスト層16を順次全面形成して導電性シートを得た(図3(a)参照)後、表裏それぞれ所望のパターンのマスク12を載せ、露光(図3(b)参照)・現像して第一レジスト層16をパターン化する。その際、遮光性導電膜1が反対側の面の露光光線14を遮断するので、同時に違うマスクパターンで露光しても反対側の第一レジスト層16のパターンに影響を及ぼすこともない。したがって、両面同時に露光することが可能なため、第一レジスト層16の表裏の位置あわせがしやすく一回の工程で両面パターン化でき、生産性も向上する。なお、図3(b)に示すマスク12の位置は、第一レジスト層16がネガ型(露光されると現像液に対して溶解性が低下し、現像後に露光部分が残る)の場合を示している。ポジ型(露光されると現像液に対して溶解性が増大し、露光部が除去される)の場合にはマスクで遮光する部分が逆になる。
【0021】
なお、表マスク及び裏マスクのアライメントは、両面露光装置の公知のマスクアライメント方法を用いることができる。たとえば、表マスク及び裏マスクにそれぞれマスク用アライメントマークを形成し、カメラ等の光学的に読み込むセンサが、一対のマスク用アライメントマーク同士の重畳状態を読み取ることで表マスク及び裏マスクの相対的な位置情報を得る。そして、得られた位置情報に基づいて、マスク位置調整機構が、一対のマスク用アライメントマーク同士が中心を合わせて重合するように表マスク及び裏マスクを相対的に移動させることで、表マスク及び裏マスクのアライメントを行う方法などである。
【0022】
次いで、塩化第二鉄などのエッチング液で透明導電膜3および遮光性導電膜1を同時にエッチングし、パターン化された第一レジスト層16が積層されていない部分の透明導電膜3及び遮光性導電膜1を除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜3及び遮光性導電膜1が位置ずれなく積層された電極パターン9を形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜3及び遮光性導電膜1が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターン10を形成する(図3(c)参照)。
【0023】
次いで、レジスト剥離液でもって第一レジスト層16を剥離し、遮光性導電膜1を露出させた後、露出した遮光性導電膜1上に防錆剤が添加されている第二レジスト層18を全面形成した(図3(d)参照)後、マスク12を載せ、露光(図3(e)参照)・現像して第二レジスト層18をパターン化する(図3(f)参照)。なお、図3(e)に示すマスク12の位置は、第一レジスト層16がネガ型(露光されると現像液に対して溶解性が低下し、現像後に露光部分が残る)の場合を示している。
【0024】
次いで、酸性化した過酸化水素などの特殊エッチング液でエッチングし、パターン化された第二レジスト層18が積層されていない部分の遮光性導電膜1のみを除去することにより、基体シート両面の中央窓部24及び外枠部22内の端子部25において各々、透明導電膜3を露出させ、さらに前記中央窓部24及び前記端子部25との境界24a,25aにおいては遮光性導電膜1の露出した端面を僅かにサイドエッチング(図中のS)することにより第二レジスト層18を庇構造とする(図3(g)参照)。サイドエッチング量は、例えば2μm程度あればよい。
【0025】
最後に、熱処理にて庇構造の第二レジスト層18を軟化させることにより、残存する遮光性導電膜1の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層18を剥離せずに防錆層として残存させる(図2参照)。第二レジスト層18が防錆層として機能し、しかも中央窓部及び端子部との境界においても遮光性導電膜の端面が露出していないので、、製品完成後の外部からの腐食性の液が侵入しても、あるいは高温高湿などの環境試験下においても引き回し回路の腐食防止性が極めて高く、電気特性を維持できる。なお、図1では基体シート(樹脂シート7)の表面に形成された細線引き回し回路パターン10は、遮光性導電膜1の積層部分を黒色、透明導電膜3の露出部分を白色で描画しており、黒色部分の両端は中央窓部24との境界24a及び端子部25との境界25aよりSだけ後退している。
【0026】
なお、透明導電膜3がアモルファスの材料であれば、該エッチングの前に熱処理などの方法により結晶化させておくのが好ましい。結晶化によりエッチング耐性が向上し、より選択的に遮光性金属膜1のみをエッチングしやすくできるためである。
【0027】
以上の方法により得られた狭額縁タッチ入力シート5の両面に形成された細線引き回し回路パターン10の端部をICチップが搭載された外部回路28に各々、端子部25において接続すれば、基体シート7を挟んで透明導電膜3が両面に形成された静電容量式タッチセンサー20が製造される。
【0028】
ここで静電容量式タッチセンサー20の中央窓部24に形成される電極パターン9について補足説明する。当該電極パターン9は表裏でパターンが異なる。たとえば、図7に示すように、基体シート(樹脂シート7)の裏面には、平面視して菱形形状を持つ菱形電極46と、この菱形電極46の複数を図中縦方向(Y方向)に貫く接続配線469とを備えている。複数の菱形電極46と接続配線469とは、相互に電気的に接続されている。また、このような、接続配線469及びそれに貫かれた複数の菱形電極46を一組として、当該一組が図中横方向(X方向)に繰り返し配列される。一方、これと同じようにして、基体シート(樹脂シート7)の表面には、複数の菱形電極47と、それらを貫く接続配線479とを備えている。ただし、この場合、接続配線479の延在方向は、接続配線469のそれとは異なり、図中横方向(X方向)である。また、それに伴い、接続配線479及びそれに貫かれた複数の菱形電極47からなる一組が、繰り返し配列される方向は、図中縦方向(Y方向)である。そして、図7から明らかなように、菱形電極46は、複数の接続配線479間の隙間を埋めるように配置される一方、菱形電極47は、複数の接続配線469間の隙間を埋めるように配置される。図7では更に、菱形電極46と菱形電極47との配置関係は相補的である。つまり、菱形電極46をマトリクス状に配列する場合に生じる菱形形状の隙間を埋めるように、複数の菱形電極47は配列されているのである。前記したように、本願発明は遮光性導電膜1が反対側の面の露光光線14を遮断するので、同時に露光しても反対側の第一レジスト層16のパターンに影響を及ぼすことなく、このような表裏面でパターンの異なる回路パターンの形成が可能なのである。
【0029】
このようにX方向電極及びY方向電極が平面視して格子を形作るように配置されているので、この格子上のいずれかの位置にユーザの指等が触れれば(例えば、破線丸印FRの位置)、当該指等とそれが触れるX方向電極との間にコンデンサが形成され、また、当該指等とそれが触れるY方向電極との間にコンデンサが形成される。このコンデンサの形成によって、当該のX方向電極及びY方向電極の静電容量は増大する。外部回路の位置検出部は、このような場合において生じる静電容量の変化量、あるいは更には最大の静電容量をもつX方向電極及びY方向電極を検出し、中央窓部24内のどこに触れたかを、特定値たるX座標値及びY座標値の組として取得することが可能となる。
【0030】
次に、上記狭額縁タッチ入力シート5を形成する各層について詳細に説明する。
【0031】
まず、基体シートは、厚みが30〜2000μm程度の透明な樹脂シート7からなり、材質としてはポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などのプラスチックフィルムなどが挙げられる。なお、本発明においては基体シートとしてガラス材料を用いることを妨げない。
【0032】
ところで、導電性シートの基体シートがプラスチックフィルムの場合、フィルムの伸びの問題がある。それゆえに導電性シート両面の第一レジスト層16のパターニングは両面同時露光によるのが適している。何故なら、第一レジスト層16のパターニングを片面ずつ露光して行う場合、片面のパターニングが終了し、露光装置に導電性シートの表裏を入れ替えて再び取り付け際に基体シートに伸びが生ずると、表面の回路パターンと裏面の回路パターンとが位置ずれを起こすことになるからである。図7に示す例の場合、菱形電極46と菱形電極47との配置関係は相補的であるので、表面の回路パターンと裏面の回路パターンとが位置ずれを起こすと、静電容量式タッチセンサー20として正確に機能しなくなる。
【0033】
遮光性導電膜1としては、導電率が高くかつ遮光性の良い単一の金属膜やそれらの合金または化合物などからなる層が挙げられ、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成するとよい。そして、透明導電膜ではエッチングされないが遮光性導電膜1自身はエッチングされるというエッチャントが存在することも必要である。その好ましい金属の例としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、錫などが挙げられる。とくに銅箔からなる厚み20〜1000nmの金属膜は、導電性、遮光性に優れ、透明導電膜はエッチングされない酸性雰囲気下での過酸化水素水で容易にエッチングできるほか、外部回路との接続のしやすさも併せ持つため非常に好ましい。より好ましくは、厚み30nm以上である。さらに好ましくは、100〜500nmにするとよい。100nm以上の厚みに設定することで高い導電性の遮光性金属膜層1が得られ、500nm以下にすることで取り扱いやすく加工性に優れた遮光性金属膜層1が得られるからである。
【0034】
透明導電膜3は、インジウムスズ酸化物、亜鉛酸化物などの金属酸化物などからなる層が挙げられ、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成するとよい。厚みは数十から数百nm程度で形成され、塩化第二鉄などの溶液では遮光性導電膜1とともに容易にエッチングされるが、酸性雰囲気下での過酸化水素水など遮光性導電膜1のエッチング液では容易にエッチングされないことが必要である。そして、80%以上の光線透過率、数mΩから数百Ωの表面抵抗値を示すことが好ましい。また、透明導電膜3は、チオフェンなどの導電性ポリマー膜、金属ナノワイヤやカーボンナノチューブなどを含む導電繊維膜を用いることも可能であり、その場合、各種印刷法や塗装などで形成するとよい。
【0035】
第一レジスト層16としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、レーザー光線又はメタルハライドランプなどで露光しアルカリ溶液などで現像が可能な厚さ10〜20μmのアクリル系フォトレジスト材料などで構成する。フォトレジスト材料による露光・現像により線幅の細い細線引き回し回路パターン10が確実性よく形成でき、より狭額縁の狭額縁タッチ入力シート5が製造できるからである。第一レジスト層16の形成方法は、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用の印刷法のほか、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法、ドライフィルムレジスト法などの各種方法により全面形成した後に露光・現像してパターニングするとよいが、中でもドライフィルムレジスト法がより好ましい。
【0036】
ドライフィルムレジスト法に用いるドライフィルムレジスト(DFR)は、第一レジスト層16となる感光層がベースフィルムとカバーフィルムによってサンドウィッチされているフィルムである。上記した印刷法、コート法、塗装法などは、片面コーティングしかできず効率が悪いなどの問題があるのに対し、ドライフィルムレジスト法は、カバーフィルムを剥離した後に感光層を加熱ロールで接着する方法であるため、生産性が高く、多様な要求に応じられることから主流になっている。なお、露光は、通常、ベースフィルムの上からマスクを配置して行ない(図示せず)、ベースフィルムを剥離した後に現像を行なう。ドライフィルムレジストのベースフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートなどからなるものを用いることができる。また、ドライフィルムレジストのカバーフィルムとしては、ポリエチレンなどからなるものを用いることができる。
【0037】
第二レジスト層18としては、第一レジスト層16と同様の材料で厚さ2.5〜10μm,より好ましくは2.5〜5μmのフォトレジスト材料に防錆剤が添加されたもので構成するのが好ましい。当該防錆剤としては、すでに防錆剤として公知に用いられる材料が使用され、具体例としては、例えばイミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ピラゾールなどを用いるとよい。また、これらのハロゲン、アルキル、フェニル置換体などの単環または多環式のアゾール類、アニリンなどの芳香族アミン類、アルキルアミンなどの脂肪族アミン、これらの塩などが挙げられ、また、特に本記載の材料に制限する必要はない。第二レジスト層18の形成方法は、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用の印刷法のほか、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法、ドライフィルムレジスト法などの各種方法により全面形成した後に露光・現像してパターニングするとよいが、中でもドライフィルムレジスト法がより好ましい。また、精密なパターンを形成するわけではないので、フォトプロセスによらずに印刷法によりいきなりパターン形成してもよい。
【0038】
また、この第二レジスト層18の上に、細線引き回し回路パターン10を隠し外観意匠を向上させるための絵柄層を設けてもよい。絵柄層は、ポリビニル系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、アルキッド系などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。また、着色剤としてアルミニウム、チタン、ブロンズ等の金属粒子やマイカに酸化チタンをコーティングしたパール顔料等を用いることもできる。絵柄層の形成方法としては、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用印刷法や各種コート法、塗装などの方法がある。
【0039】
<第二実施形態>
以上、回路パターンおよび細線引き回し回路パターンが一枚の樹脂シート7からなる透明な基体シートの表面および裏面に形成されている狭額縁タッチ入力シートの製造方法の一実施例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0040】
たとえば、透明導電膜3の回路パターンおよび細線引き回し回路パターン10は、複数枚の樹脂シート7,7が積層された透明な基体シートの最表面及び最裏面に形成することができる(図4参照)。このような狭額縁タッチ入力シートを得るには、まず、厚みの薄い二枚の樹脂シート7,7を用いて各々の片面にあらかじめ透明導電膜3及び遮光性導電膜1を順次積層形成し、これらを樹脂シート7,7が対向するように積層した(図5(a)参照)後、両面に第一レジスト層16を形成する(図5(b)参照)。あるいは、樹脂シート7,7の積層前にあらかじめ透明導電膜3のみを形成し、これらを樹脂シート7,7が対向するように積層した後、両面に遮光性導電膜1及び第一レジスト層16を順次積層形成する。また、樹脂シート7,7を積層した後、両面に透明導電膜3、遮光性導電膜1及び第一レジスト層16を順次積層形成してもよい。なお、基体シート7の積層手段としては熱ラミネートや接着剤層を介したドライラミネートなどが挙げられる。接着剤層にて樹脂シート7を積層する場合、接着剤層として芯材を有するものを用いて積層体全体の厚み調整をすることもできる。また、最表面及び最裏面の樹脂シート7,7の間にさらに別の樹脂シートを介在させることで積層体全体の厚み調整をすることもできる。
【0041】
以下の工程は、第二実施形態と同じである。すなわち、積層体からなる透明な基体シートの最表面及び最裏面に所望のパターンのマスク12を載せ、露光(図5(c)参照)・現像して第一レジスト層16をパターン化する。
【0042】
次いで、塩化第二鉄などのエッチング液で透明導電膜3および遮光性導電膜1を同時にエッチングし、パターン化された第一レジスト層16が積層されていない部分の透明導電膜3及び遮光性導電膜1を除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜3及び遮光性導電膜1が位置ずれなく積層された電極パターン9を形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜3及び遮光性導電膜1が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターン10を形成する(図5(d)参照)。
【0043】
次いで、レジスト剥離液でもって第一レジスト層16を剥離し、遮光性導電膜1を露出させた後、露出した遮光性導電膜1上に防錆剤が添加されている第二レジスト層18を全面形成した(図5(e)参照)後、マスク12を載せ、露光(図5(f)参照)・現像して第二レジスト層18をパターン化する(図5(g)参照)。
【0044】
次いで、酸性化した過酸化水素などの特殊エッチング液でエッチングし、パターン化された第二レジスト層18が積層されていない部分の遮光性導電膜1のみを除去することにより、基体シート両面の中央窓部24及び外枠部22内の端子部25において各々、透明導電膜3を露出させ、さらに前記中央窓部24及び前記端子部25との境界24a,25aにおいては遮光性導電膜1の露出した端面をサイドエッチング(図中のS)することにより第二レジスト層18を庇構造とする(図5(h)参照)。
【0045】
最後に、熱処理にて庇構造の第二レジスト層18を軟化させることにより、残存する遮光性導電膜1の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層18を剥離せずに防錆層として残存させることによって、図4に示すような二枚の樹脂シートの積層体を基体シートとする狭額縁タッチ入力シートが得られる。
【0046】
《実施例1》
基体シートとして厚さ400μmの無色ポリエステルフィルムを一枚用い、その表裏両面に透明導電膜としてインジウムスズ酸化物からなるスパッタリング法で200nmの厚みで形成し、その上に遮光性導電膜として銅膜をスパッタリング法で500nmの厚みで形成し、その上に苛性ソーダ1%液で現像が可能なネガタイプのアクリル系感光層を備えたドライフィルムレジストを用い、厚み10nmの第一レジスト層を全面形成し、表側にはX方向の電極パターンを有するマスクを載置し、裏側にはY方向の電極パターンを有するマスクを載置して、メタルハライドランプによって表裏両面同時に露光し、苛性ソーダ1%液に浸して現像した。
【0047】
次いで、塩化第二鉄のエッチング液で当該パターン化された第一レジスト層が積層されていない部分のインジウムスズ酸化物膜および銅膜を同時にエッチング除去したところ、基体シートの中央窓部表面にはX方向の電極パターン、その裏側にはY方向の電極パターンが露出して形成され、その中央窓部を囲む外枠部には平均線幅20μmの細線引き回しパターンが表裏両面に露出して形成されていた。
【0048】
次に、第一レジスト層の剥離後、苛性ソーダ1%液で現像が可能で且つ防錆剤としてベンゾイミダールを添加してなるネガタイプのアクリル系感光層を備えたドライフィルムレジストを用い、厚み10nmの第二レジスト層を全面形成し、表側及び裏側の端子部を除く外枠部にマスクを載置して、メタルハライドランプによって表裏両面同時に露光し、苛性ソーダ1%液に浸して現像した。
【0049】
次いで、酸性雰囲気下での過酸化水素水に浸すと露出していた中央窓部の露出していた銅膜がエッチング除去され、その下に形成されていたインジウムスズ酸化物膜のみが残った。さらにエッチングを続けると、中央窓部及び端子部との境界においては遮光性導電膜の露出した端面がサイドエッチングされ、第二レジスト層が庇構造となった。
【0050】
最後に、熱処理にて庇構造の第二レジスト層を軟化させることにより、残存する遮光性導電膜の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層を剥離せずに防錆層として残存させた。
【0051】
《実施例2》
基本シートとして厚さ200μmの無色ポリエステルフィルムを二枚積層した積層体を用いた点、各ポリエステルフィルムが積層前にあらかじめ片面に透明導電膜、遮光性導電膜が形成されており、ポリエステルフィルムの積層後に両面に各々第一レジスト層を形成した点以外は実施例1と同様の方法によって狭額縁タッチ入力シートを得た。
【0052】
《実施例3》
基本シートとして厚さ200μmの無色ポリエステルフィルムを二枚積層した積層体を用いた点、各ポリエステルフィルムが積層前にあらかじめ片面に透明導電膜のみ形成されており、ポリエステルフィルムの積層後に両面に各々遮光性導電膜及び第一レジスト層を形成した点以外は実施例1と同様の方法によって狭額縁タッチ入力シートを得た。
【0053】
《実施例4》
第二レジスト層に添加する防錆剤を、実施例1のベンゾイミダールに変えてベンゾトリアゾールとした他は実施例1と同様の方法によって狭額縁タッチ入力シートを得た。
【0054】
実施例1〜4の方法により、中央窓部には基体シートの両面にそれぞれX方向の電極パターン、Y方向の電極パターンのインジウムスズ酸化物膜のみが形成され、各々の外枠部にはインジウムスズ酸化物膜の上に端子部およびサイドエッチング分を除いて銅膜が形成された細線引き回し回路が形成され、当該細線引き回し回路を端子部を除いて防錆剤を含む第二レジスト層で覆った狭額縁タッチ入力シートが得られた。この狭額縁タッチ入力シートに形成された細線引き回し回路パターンの端部をICチップが搭載された外部回路に接続して、静電容量式タッチセンサーとして作動するか評価したところ、実施例1〜4のいずれの場合も良好な結果が得られ、又製品完成後の外部からの腐食性の液が侵入しても、あるいは高温高湿などの環境試験下において引き回し回路の腐食が進むことがなく、電気特性を維持できていた。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本願発明は、液晶パネルなどの映像画面を設けるような携帯電話やPDA、小型PC、などの入力デバイスに適用できる狭額縁タッチ入力シートの製造方法の発明である。
【符号の説明】
【0056】
1 遮光性導電膜
3 透明導電膜
5 狭額縁タッチ入力シート
7 樹脂シート
9 電極パターン
10 細線引き回し回路パターン
12 マスク
14 露光光線
16 第一レジスト層
18 第二レジスト層
20 静電容量式タッチセンサー
22 狭額縁タッチ入力シート5の外枠部
24 狭額縁タッチ入力シート5の中央窓部
25 狭額縁タッチ入力シート5の端子部
46,47 菱形電極
469.479 接続配線
S サイドエッチング分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な基体シートの両面に各々、透明導電膜、遮光性導電膜、第一レジスト層を順次積層形成する工程と、
両面同時に前記第一レジスト層を部分的に露光し、現像することにより各々パターン化する工程と、
当該パターン化された第一レジスト層が積層されていない部分の前記透明導電膜及び前記遮光性導電膜を同時にエッチング除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された電極パターンを形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターンを形成する工程と、
前記第一レジスト層の剥離後、露出した遮光性導電膜上に防錆剤が添加され且つパターン化された第二レジスト層を積層形成する工程と、
当該パターン化された第二レジスト層が積層されていない部分の前記遮光性導電膜のみをエッチング除去することにより、基体シート両面の前記中央窓部及び端子部において各々、前記透明導電膜を露出させ、さらに前記中央窓部及び前記端子部との境界においては前記遮光性導電膜の露出した端面をサイドエッチングすることにより前記第二レジスト層を庇構造とする工程、
熱処理にて前記庇構造の第二レジスト層を軟化させることにより、前記残存する遮光性導電膜の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層を剥離せずに防錆層として残存させる工程と、を備えたことを特徴とする狭額縁タッチ入力シートの製造方法。
【請求項2】
前記透明な基体シートが複数枚の樹脂シートの積層体からなるものであり、このうち最表面および最裏面の樹脂シートには当該樹脂シートの積層前にあらかじめ前記透明導電膜および前記遮光性導電膜が形成されており、前記樹脂シートの積層後に前記第一レジスト層を形成する請求項1に記載の狭額縁タッチ入力シートの製造方法。
【請求項3】
前記透明な基体シートが複数枚の樹脂シートの積層体からなるものであり、このうち最表面および最裏面の樹脂シートには当該樹脂シートの積層前にあらかじめ前記透明導電膜が形成されており、前記樹脂シートの積層後に前記遮光性導電膜及び前記第一レジスト層を形成する請求項1に記載の狭額縁タッチ入力シートの製造方法。
【請求項4】
前記第二レジスト層に添加されている防錆剤が、イミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ピラゾールのいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載の狭狭額縁タッチ入力シートの製造方法。
【請求項1】
透明な基体シートの両面に各々、透明導電膜、遮光性導電膜、第一レジスト層を順次積層形成する工程と、
両面同時に前記第一レジスト層を部分的に露光し、現像することにより各々パターン化する工程と、
当該パターン化された第一レジスト層が積層されていない部分の前記透明導電膜及び前記遮光性導電膜を同時にエッチング除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された電極パターンを形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターンを形成する工程と、
前記第一レジスト層の剥離後、露出した遮光性導電膜上に防錆剤が添加され且つパターン化された第二レジスト層を積層形成する工程と、
当該パターン化された第二レジスト層が積層されていない部分の前記遮光性導電膜のみをエッチング除去することにより、基体シート両面の前記中央窓部及び端子部において各々、前記透明導電膜を露出させ、さらに前記中央窓部及び前記端子部との境界においては前記遮光性導電膜の露出した端面をサイドエッチングすることにより前記第二レジスト層を庇構造とする工程、
熱処理にて前記庇構造の第二レジスト層を軟化させることにより、前記残存する遮光性導電膜の露出した端面を被覆し、その状態で第二レジスト層を剥離せずに防錆層として残存させる工程と、を備えたことを特徴とする狭額縁タッチ入力シートの製造方法。
【請求項2】
前記透明な基体シートが複数枚の樹脂シートの積層体からなるものであり、このうち最表面および最裏面の樹脂シートには当該樹脂シートの積層前にあらかじめ前記透明導電膜および前記遮光性導電膜が形成されており、前記樹脂シートの積層後に前記第一レジスト層を形成する請求項1に記載の狭額縁タッチ入力シートの製造方法。
【請求項3】
前記透明な基体シートが複数枚の樹脂シートの積層体からなるものであり、このうち最表面および最裏面の樹脂シートには当該樹脂シートの積層前にあらかじめ前記透明導電膜が形成されており、前記樹脂シートの積層後に前記遮光性導電膜及び前記第一レジスト層を形成する請求項1に記載の狭額縁タッチ入力シートの製造方法。
【請求項4】
前記第二レジスト層に添加されている防錆剤が、イミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ピラゾールのいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載の狭狭額縁タッチ入力シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図3(d)】
【図3(e)】
【図3(f)】
【図3(g)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図5(e)】
【図5(f)】
【図5(g)】
【図5(h)】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図3(d)】
【図3(e)】
【図3(f)】
【図3(g)】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図5(e)】
【図5(f)】
【図5(g)】
【図5(h)】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−113844(P2012−113844A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259570(P2010−259570)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【特許番号】特許第4870835号(P4870835)
【特許公報発行日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【特許番号】特許第4870835号(P4870835)
【特許公報発行日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】
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