説明

獣医学的ワクチン用の安定剤

本発明は、ワクチン安定剤に関し、より具体的には、実質的にウシ海綿状脳症(BSE)および伝達性海綿状脳症(TSE)の危険のない、生ウイルスワクチンおよび生の弱毒化ウイルスワクチン用のタンパク質ベースの安定剤に関する。動物用ワクチンのための処方物が提供される。上記ワクチン処方物は、安定剤成分およびウイルス免疫原を含む。上記安定剤成分は、実質的にTSE/BSEの危険のない動物性タンパク質および植物性タンパク質を含む。上記安定剤成分は、ワクチンをその保管および投与の間中ずっと安定させるために、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ワクチン安定剤に関し、より具体的には、実質的にウシ海綿状脳症(BSE)および伝達性海綿状脳症(TSE)の危険のない、生ウイルスワクチンおよび生の弱毒化ウイルスワクチン用のタンパク質ベースの安定剤に関する。本発明はまた、植物供給源と、実質的にBSEおよびTSEの危険のない動物供給源とに由来する安定剤を含む獣医学的ワクチン処方物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ワクチンにおいて使用される弱毒化ウイルス生物および生ウイルス生物は、それらの環境中の変化に感受性でありかつ最適状態に及ばない条件に曝された場合に劣化する。従って、ワクチン安定剤は、ワクチンの効力(potency)および効能(efficacy)を維持するために、液体ワクチン、凍結ワクチン、または凍結乾燥ワクチンに添加される因子として使用される。しばしば、これらの安定剤は、調製中にワクチンと合わせられ、その製造、保管および投与の間中、上記ワクチンを安定させる。安定剤は、上記ワクチンを投与する準備がされるまでの、より長期間の貯蔵寿命を上記ワクチンに付与する。ワクチン安定剤は、ワクチンの効力をその製造および保管プロセスの間中に延ばすことにおいて有効であったが、安定剤のタイプおよびその供給源を選択する場合に、新たな健康上の懸念を考慮せねばならない。
【0003】
安定剤を含む生ウイルスワクチン調製物および弱毒化ウイルスワクチン調製物の製造について、多くの方法が公知である。従来のワクチンウイルス安定剤は、多くの場合、上記ウイルスを安定させるために、糖とともに、動物タンパク質から構成されている。反芻動物由来のタンパク質(例えば、ミルクタンパク質である、Pharmatone(登録商標)安定剤およびPeptone(登録商標)安定剤)は、安定化プロセスにおいて一般に使用されている。Pharmatone(登録商標)(American Labs,Inc.,Omaha,NE)は、牛肉組織の熱分解およびペプシン消化(peptic digestion)によって得られる。Bacto Peptone(登録商標)(Difco Laboratories,Inc.,Tucker,GA)は、動物タンパク質の酵素消化物である。
【0004】
さらに、特許文献1(2003年11月20日)(B.Reynoldsら)は、還元剤、緩衝剤、熱安定剤、糖および水を含むワクチン安定剤を開示している。この文献はまた、着色剤を利用して、動物の群れに伝播させるために、その不可欠な給水中に上記ワクチンが存在することを明確に同定するために動物管理人に対する視覚的表示として役立つことを教示する。
【0005】
特許文献2(1998年3月31日)(H.J.Chu)は、安定剤、キャリア、または希釈剤と合わせた改変ウイルスを含む処方物を開示する。さらに、上記処方物は、約1〜25%(v/v)、および好ましくは5%(v/v)の最終濃度で存在するアジュバントをさらに含む。
【0006】
特許文献3(2001年7月10日)(P.T.Loudonら)は、ウイルス、多糖または混合アミノ酸の供給源、緩衝剤および単糖もしくはオリゴ糖またはこれらの誘導体を含む、水性の液体または注射物中で分散可能な乾燥した薬学的組成物に関する。しかし、このアミノ酸の供給源は、必然的に植物由来または細菌由来である。実質的にTSE/BSEの危険のないタンパク質もしくはアミノ酸の組織供給源(例えば、牛乳)は開示されていない。組成物は、例えば、動物タンパク質およびその加水分解物(hydrosylate)もしくは動物由来の他の物質を含まない。
【0007】
反芻動物供給源におけるTSEおよび関連する脅威(すなわち、BSE)の直接的な結果として、現在、代替タンパク質供給源が、ワクチン安定剤として使用するために考えられている。一般に、TSE/BSEの感染性の最大量は、臨床疾患の最終段階において反芻動物の脳および脊髄において見いだされると考えられる。科学者は、種々の反芻動物組織が、種々の量のBSE因子を含むことを見いだした。いくらかの組織(例えば、骨格筋およびミルク)は、あるとしても、ほとんど感染性が示されなかった。しかし、ワクチンにおいて安定剤として同様に使用され得る他のタンパク質およびゼラチンは、ウシの骨を含む他の組織から調達される。組織を得、材料を調製するために使用される屠殺(slaughtering)方法および解体(butchering)方法が存在し得る感染性の量に影響を及ぼし得るので、牛乳から調達したタンパク質および糖のみが、TSE/BSEの危険性がほとんどまたは全くないことを示し得ることが明らかである。さらに、非反芻動物(例えば、植物(plant)および植物(vegetable)は、潜在的に、安定剤タンパク質のTSE/BSEの危険のない無比の供給源のうちの一つである。
【0008】
従って、公知の動物ワクチン安定剤と関連する欠点は、2つの部分からなる。第1のものは、潜在的なTSE/BSEの脅威がある供給源に由来する動物性タンパク質(animal−based protein)を使用することである。第2のものは、BSE/TSEの危険のない植物性タンパク質(vegetable−based protein)のみをワクチンにおいて使用する(実質的にBSE/TSEの危険のない供給源(substantially BSE/TSE−safe source)の有益な動物性タンパク質を含まない)ことである。
【0009】
これらの所見に鑑みれば、植物および動物両方を含む、実質的にTSE/BSEの危険のない供給源のタンパク質を含むワクチン安定剤を開発することは当該分野において必要である。また、実質的にBSEもTSEも含まない、植物供給源および動物ベースの供給源の両方から得られる安定剤成分を含む、獣医学的用途のためのワクチン処方物を開発することも必要である。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0215455号明細書
【特許文献2】米国特許第5,733,555号明細書
【特許文献3】米国特許第6,258,362号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明に従って、ウイルス免疫原、ならびに実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質および植物性タンパク質を含む安定剤成分から本質的になる動物用ワクチン処方物が提供される。さらに、本発明に従って、実質的にTSE/BSEの危険のないタンパク質供給源は、好ましくは、反芻動物のミルクである。植物性タンパク質は、本明細書中以降記載される場合、適切な植物(vegetable)種または植物(plant)種から調達され得る。
【0011】
別の局面におて、本発明は、上記のような安定剤成分を含み、さらに緩衝剤および糖を含む動物用ワクチンを提供する。リン酸塩、カルボン酸塩および炭酸水素塩が好ましいが、他の適切な緩衝剤もまた、使用され得る。上記糖の供給源は、代表的には、糖類を含むが、他の水分保持物質(moisture retainer)(例えば、炭水化物および糖アルコール)もまた、含まれ得る。
【0012】
なお別の局面において、本発明は、動物用ワクチン処方物の調製のための方法を提供する。上記調製は、希釈剤中での、植物性タンパク質を含む安定剤成分の形成を含む。実質的にTSE/BSEの危険のない供給源の動物性タンパク質は、上記安定剤成分の一部分として添加される。さらに、緩衝剤および糖が添加され得る。上記安定剤成分はまた、望ましい場合は滅菌され得る。上記安定剤成分の滅菌の後に、ワクチン処方物が、ウイルス免疫原を上記安定剤成分に添加することによって成し遂げられる。上記ワクチン処方物の凍結乾燥によって、長期の保存に適した安定したワクチンが得られる。
【0013】
本発明のさらなる部分として、実質的にTSE/BSEの危険のない供給源の植物タンパク質安定剤および動物タンパク質安定剤から本質的になるワクチン安定剤処方物も、提供される。
【0014】
さらに、本発明の目的および特徴は、本明細書において以下に記載される詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質および植物性タンパク質を含む安定剤とともに、ウイルス免疫原を含む動物用ワクチン処方物が必要である。本発明は、この必要性に対処するためのさらなる解決法に関する。
【0016】
本明細書において使用される場合、「ウイルス免疫原」は、代表的には、生ウイルスまたは弱毒化ウイルスまたはその一部分を指す。弱毒化ウイルスは、代表的には疾患を引き起こすその能力を弱めるために、組織培養細胞中で継代することによって改変させられた、しかし動物に投与された場合にその疾患もしくは感染から保護させるその能力を維持しているウイルスである。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、家禽(ニワトリ、七面鳥および鳩が挙げられる)、イヌ、ネコ、および他の家畜種(特に、哺乳動物)のような動物に由来する生の免疫原および生の弱毒化免疫原。例示的な免疫原としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:Bordetella bronchiseptica、イヌアデノウイルス2型(CAV−2)、イヌジステンパー、イヌパラインフルエンザウイルス、イヌパルボウイルス(CPv)、ネコカリシウイルス(FCV)、ネコ鼻気管支炎、ネコ汎白血球減少症(panleukopenia)、ブタ仮性狂犬病ウイルス(PRV)、ウマ動脈炎(EAV)、ウシ鼻気管支炎ウイルス、ウシパラインフルエンザウイルス(PI3)、ウシRSウイルス(BRSV)、ウシウイルス病I型およびII型(bovine viral disease Type I and Type II)(BVD I型およびII型)。例示的な家禽免疫原としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:トリ伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、ニューキャッスル病ウイルス(NDV)、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、伝染性咽頭気管支炎ウイルス(ILT)、トリ脳脊髄炎ウイルス(AE)、トリポックスウイルス、またはトリレオウイルス。家禽免疫原のために本発明の処方物を使用することは、このような免疫原が代表的には凍結乾燥生成物としてエンドユーザーに供給されるという点において、特に有効である。その結果、安定剤は、その標的動物へのワクチン投与前に再構成するときに完全な効力を確実にするために必要である。
【0017】
上記生の免疫原または生の弱毒化免疫原のプールは、免疫原ストックの濃度に依存して、未希釈で(neat)または溶液中に存在し得る。その力価が高ければ、その目的濃度を達成するために希釈する必要があり得る。
【0018】
上記ウイルス免疫原は、本明細書中に記載される場合、上記ワクチン処方物の一部として含められる。代表的には、上記ウイルス免疫原は、目的の免疫原のストック溶液の一部として添加され得る。上記ウイルス免疫原の負荷量(loading)は変動し得るが、しばしば、約0.001〜50%(w/v)、好ましくは、約0.01〜10%の範囲内である。当業者は、所望される最終ワクチン処方物の特定の属性に基づいて、免疫原の量を最適化し得る。例えばより効力の高いまたはより強いワクチン免疫原は、例えば、上記最終ワクチン処方物中でより低い濃度しか必要としないかもしれない。上記ワクチン処方物中の上記のワクチン免疫原の量は、いかなる希釈剤(例えば、水)も、他の懸濁手段もビヒクル(例えば、油)も、含まない。
【0019】
本発明のワクチン処方物のさらなる成分は、安定剤成分である。「安定剤成分」は、実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質および植物性タンパク質の組み合わせを指し、この組み合わせは、上記ワクチン処方物を、その保管および投与の間中ずっと安定化させる。上記安定剤成分は、上記動物用ワクチン処方物の約0.01〜30%(w/v)、より好ましくは約0.05〜15%(w/v)、さらにより好ましくは約1〜10%(w/v)を構成し得る。
【0020】
上記安定剤成分の一部分として、実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質が存在する。「実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質」とは、BSEおよびTSEの汚染がなさそうな、反芻動物のミルク、および他の供給源(例えば、動物、特に哺乳動物の筋肉(muscle meat))から調達されたタンパク質をいう。適切な動物性タンパク質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:消化タンパク質抽出物(例えば、N−Z−Amine(登録商標)、N−Z−Amine AS(登録商標)およびN−Z−Amine YT(登録商標)(Sheffield Products Co.,Norwich,N.Y.)(これらは、牛乳のカゼイン酵素加水分解物である)。N−Z−Amine YT(登録商標)は、本発明における使用に好ましい動物性タンパク質である。
【0021】
上記動物性タンパク質は、上記安定剤成分の約0.001〜15%(w/v)、より好ましくは約0.01〜10%(w/v)を構成し得る。上記動物性タンパク質は、さらに、上記ワクチン処方物の約0.0001〜3%(w/v)、より好ましくは約0.001〜2%(w/v)を構成する。
【0022】
上記安定剤成分のさらなる部分は、植物性タンパク質である。植物性タンパク質としては、とりわけ以下が挙げられるが、これらに限定されない:ダイズタンパク質、コムギタンパク質、トウモロコシグルテン、コメタンパク質および麻タンパク質。本発明において好ましい植物性タンパク質は、ダイズタンパク質およびトウモロコシグルテンである。トウモロコシグルテンは、トウモロコシ由来の種々のタンパク質の混合物である。上記ダイズタンパク質としては、100%ダイズタンパク質(TwinlabによるVegeFuel(登録商標)として入手可能)、粗挽きの(textured)ダイズタンパク質、およびダイズ酵素消化物が挙げられ得る。粗挽きのダイズタンパク質は、小粒または小塊(chunk)へと圧縮もしくは加工された脱脂ダイズ粉から製造されるダイズタンパク質である。ダイズ酵素消化物は、ダイズタンパク質の部分的加水分解から得られるダイズペプトンを説明する。
【0023】
上記植物性タンパク質は、上記安定剤成分の約0.001〜30%(w/v)、より好ましくは約0.01〜10%(w/v)を構成し得る。上記植物性タンパク質は、上記最終ワクチン処方物の約0.0001〜6%(w/v)、より好ましくは約0.001〜4%(w/v)をさらに構成する。植物性タンパク質 対 動物性タンパク質の比は、約1:1〜約3:1の範囲であり得る。より好ましくは、約2:1の範囲である。
【0024】
希釈剤(好ましくは、水)は、代表的には、100%になるまで、上記安定剤成分の残りを構成し得る。
【0025】
本発明のワクチン処方物は、本明細書中以降に記載される凍結乾燥プロセスの間の水分保持のために生物学的に受容可能な糖をさらに含み得る。上記糖は、以下が挙げられるが、それらに限定されない群から選択される:単糖、二糖、三糖およびオリゴ糖(例えば、グルコース、デキストロース、ラクトース、スクロース、マンノースおよびフルクトースなど)。スクロースは、本発明の処方物において好ましい糖である。上記糖は、上記最終ワクチン処方物の約0.001〜6%(w/v)、より好ましくは約0.001〜4%(w/v)を構成し得る。望ましい場合、上記糖成分は、安定剤の調製の間に上記安定剤成分の一部として含められ得る。当業者は、上記最終処方物中の糖成分 対 植物性タンパク質が約1:1の比であることが望ましいことを認識し得る。
【0026】
上記ワクチン処方物は、中性に近いpH(7.0〜7.3)を維持するために生物学的に受容可能な緩衝剤をさらに含み得る。このような好ましく使用される緩衝剤は、代表的には、リン酸塩、カルボン酸塩、および炭酸水素塩である。より好ましい緩衝剤は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸カルシウム、コハク酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸水素カリウムである。グルタミン酸一ナトリウムは、本発明の一部として最も好ましい緩衝剤である。上記緩衝剤は、上記ワクチン処方物の約0.0001〜5%(w/v)、より好ましくは約0.001〜1%(w/v)を構成し得る。上記緩衝剤は、望ましい場合、安定剤成分の調製の間に、その一部分として添加され得る。
【0027】
望ましい場合は、他の賦形剤が、上記最終ワクチン処方物の一部として含められ得る。
【0028】
上記ワクチン処方物の残りは、100%になるように、水を含む受容可能な希釈剤である。上記ワクチン処方物はまた、油中水型または水中油型のエマルジョンの一部分として処方され得る。当業者は、上記ワクチン処方物を含む、前記成分が、その不可欠な部分であり、そこから容易に説明可能(sarseable)でないことをさらに認識する。
【0029】
本明細書中で記載される上記ワクチン処方物を調製するための方法がまた、本発明の一部として提供される。上記ワクチン処方物の調製は、好ましくは、2段階において行う。第1段階は、代表的には、上記安定剤成分の調製を含む。植物性タンパク質ストック溶液は、上記植物性タンパク質を希釈剤中に溶解することによって調製される。好ましい希釈剤は水であり、好ましくは、微量の不純物を除去するために、蒸留および/または精製されている(例えば、精製Super Q(登録商標)として販売されているもの)。別個の容器中で、実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質が、希釈剤中に、さらに、糖成分および緩衝剤の添加剤とともに溶解される。N−Z−Amine YT(登録商標)(カゼインの酵素的加水分解によって生成したペプチドの高品質供給源)は、好ましい動物性タンパク質である一方で、水は、好ましい希釈剤である。好ましくは、等量の上記植物性タンパク質ストック溶液が、上記動物性タンパク質溶液に添加される。約7.2±0.1のpHを達成するためにHCl/KOHで調節した後、上記安定剤成分をオートクレーブを介して滅菌することが望ましい。上記安定剤溶液は、上記免疫原の導入前に長期間にわたって冷蔵され得る。
【0030】
上記ワクチン処方物の調製の第2段階は、上記生の免疫原または生の弱毒化免疫原を上記安定剤成分とともに導入することを含み、それによって、上記ワクチン処方物が得られる。好ましくは、上記免疫原は、上記安定剤成分に導入する前に緩衝剤溶液で希釈される。
【0031】
一旦このワクチン処方物溶液が達成されると、上記処方物はバイアルまたは他の適切な容器へと分離される。
【0032】
次いで、本明細書中に記載されるワクチン処方物は、個々の用量もしくは複数用量のアンプルにパッケージされ得るか、または続いて、個々の用量もしくは複数用量のアンプル中にパッケージする前に凍結乾燥(フリーズドライ)され得る。本明細書中で企図されるワクチン処方物はまた、凍結乾燥バージョンを含む。上記凍結乾燥ワクチン処方物は、周囲温度において生存能を失うことなく、長期間にわたって保管され得る。
【0033】
上記凍結乾燥ワクチンは、エンドユーザーによって再構成されて、代表的には、約1〜5mLのワクチン処方物/用量の範囲において、1用量または2用量で、動物に投与され得る。より小型の動物(例えば、家禽)は、約0.01〜1mL、より好ましくは約0.03〜0.5mLの好ましい投薬量を受容し得る。
【0034】
以下の実施例は、本発明の好ましい局面を例示するが、本発明の範囲を限定するとは解釈されないものとする。
【実施例】
【0035】
(実施例1)
工程1:植物性タンパク質ストック溶液の調製
5.0gのトウモロコシグルテンを、50mLの精製水と混合した。次いで、この混合物を、ブレンダー中ですりつぶした。この混合物を静かに注いで、その上清を集めた。この溶液を、4℃で保存した。
【0036】
工程2:上記安定剤成分の調製
N−Z−Amine Type YT(登録商標)(2.5g)、スクロース(5.0g)(Sigma,St.Louis,Mo.)およびグルタミン酸一ナトリウム(0.5g)(Sigma,St.Louis,Mo.)を、50mLの水(精製Super Q(登録商標))に添加して溶解させた。その溶解率を上げるために加熱した。この溶液を、工程1の50.0mLの10% トウモロコシグルテン溶液に添加した。そのpHを、KOHおよび/またはHClで、7.2±0.1に調節した。次いで、この溶液を、適切な容器中に分配し、>121℃または>30分間でオートクレーブ処理した(この溶液は、2〜7℃で約1ヶ月間保存され得る)。
【0037】
工程3:上記ワクチン処方物の調製および凍結乾燥
ウイルスプールの調製:凍結したトリ伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、ニューキャッスル病ウイルス(NDV)、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、伝染性咽頭気管支炎ウイルス(ILT)、トリ脳脊髄炎ウイルス(AE)、トリポックスウイルス、またはトリレオウイルスの調製物を、37℃で融解したかまたは融解する。この融解したウイルスのうちの50mLを、滅菌ボトルに添加したかまたは添加する。これを400mlのPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で希釈したかまたは希釈する。そしてそのウイルス力価(EID50/mL)を記録したかまたは記録する。
【0038】
上記ワクチン処方物の調製:上記安定剤成分(上記工程2を参照のこと)のうちの15mLを、滅菌ボトルに添加したかまたは添加する。そしてこれを工程3aの85mLの希釈したウイルス免疫原で希釈したかまたは希釈する。このワクチン処方物を、5〜10分間混合したかまたは混合する。そしてその理論上の免疫原力価(EID50/mL)を記録したかまたは記録する。
【0039】
免疫原/安定剤プールの分割:上記工程3bのワクチン処方物を、5mLのアリコートで、滅菌コーンウォール(cornwall)および滅菌ブラントニードル付きの凍結乾燥用ボトルに分配したかまたは分配する。滅菌ストッパーを各バイアルに加えたかまたは加える。そしてそのバイアルを、凍結乾燥機に加えたかまたは加える。凍結乾燥後、そのバイアルに、10〜15% 窒素を充填し、ストッパーを付け、クリンプシールし、4℃で保管した。
【0040】
(実施例2)
工程1:植物性タンパク質ストック溶液の調製
5.0gのダイズタンパク質(TwinlabによるVegeFuel(登録商標))を、50mLの精製水と混合した。次いで、この混合物を、ブレンダー中ですりつぶした。この混合物を静かに注いで、その上清を集めた。この溶液を、4℃で保存した。
【0041】
工程2:上記安定剤成分の調製
N−Z−Amine Type YT(登録商標)(2.5g)(Sheffield Products Co.,Norwich,N.Y.)、スクロース(5.0g)(Sigma,St.Louis,Mo.)およびグルタミン酸一ナトリウム(0.5g)(Sigma,St.Louis,Mo.)を、50mLの水(精製Super Q(登録商標))に添加し、溶解させた。その溶解率を上げるために加熱した。この溶液を、工程1の50.0mLの10% ダイズタンパク質(TwinlabによるVegeFuel(登録商標))に添加した。そのpHを、KOHおよび/またはHClで、7.2±0.1に調節した。次いで、この溶液を、適切な容器中に分配し、>121℃または>30分間でオートクレーブ処理した(この溶液は、2〜7℃で約1ヶ月間保存され得る)。
【0042】
工程3:上記ワクチン処方物の調製および凍結乾燥
ウイルスプールの調製:凍結したトリ伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、ニューキャッスル病ウイルス(NDV)、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、伝染性咽頭気管支炎ウイルス(ILT)、トリ脳脊髄炎ウイルス(AE)、トリポックスウイルス、またはトリレオウイルスの調製物を、37℃で融解したかまたは融解する。この融解したウイルスのうちの50mLを、滅菌ボトルに添加したかまたは添加する。これを400mlのPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で希釈したかまたは希釈する。そしてそのウイルス力価(EID50/mL)を記録したかまたは記録する。
【0043】
上記ワクチン処方物の調製:上記安定剤成分(上記実施例2を参照のこと)のうちの15mLを、滅菌ボトルに添加したかまたは添加する。そしてこれを工程3aの85mLの希釈したウイルス免疫原で希釈したかまたは希釈する。このワクチン処方物を、5〜10分間混合したかまたは混合する。そしてその理論上の免疫原力価(EID50/mL)を記録したかまたは記録する。
【0044】
免疫原/安定剤プールの分割:上記工程3bのワクチン処方物を、5mLのアリコートで、滅菌コーンウォール(cornwall)および滅菌ブラントニードル付きの凍結乾燥用ボトルに分配したかまたは分配する。滅菌ストッパーを各バイアルに加えたかまたは加える。そしてそのバイアルを、凍結乾燥機に加えたかまたは加える。凍結乾燥後、そのバイアルに、10〜15% 窒素を充填し、ストッパーを付け、クリンプシールし、4℃で保管した。
【0045】
(実施例3)
工程1:植物性タンパク質ストック溶液の調製
5.0gの粗挽きのダイズタンパク質を、50mLの精製水と混合した。次いで、この混合物を、ブレンダー中ですりつぶした。この混合物を静かに注いで、その上清を集めた。この溶液を、4℃で保存した。
【0046】
工程2:上記安定剤成分の調製
N−Z−Amine Type YT(登録商標)(2.5g)(Sheffield Products Co.,Norwich,N.Y.)、スクロース(5.0g)(Sigma,St.Louis,Mo.)およびグルタミン酸一ナトリウム(0.5g)(Sigma,St.Louis,Mo.)を、50mLの水(精製Super Q(登録商標))に添加し、溶解させた。その溶解率を上げるために加熱した。この溶液を、工程1の50.0mLの10% 粗挽きダイズタンパク質に添加した。そのpHを、KOHおよび/またはHClで、7.2±0.1に調節した。次いで、この溶液を、適切な容器中に分配し、>121℃または>30分間でオートクレーブ処理した(この溶液は、2〜7℃で約1ヶ月間保存され得る)。
【0047】
工程3:上記ワクチン処方物の調製および凍結乾燥
ウイルスプールの調製:凍結したトリ伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、ニューキャッスル病ウイルス(NDV)、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、伝染性咽頭気管支炎ウイルス(ILT)、トリ脳脊髄炎ウイルス(AE)、トリポックスウイルス、またはトリレオウイルスの調製物を、37℃で融解したかまたは融解する。この融解したウイルスのうちの50mLを、滅菌ボトルに添加したかまたは添加する。これを400mlのPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で希釈したかまたは希釈する。そしてそのウイルス力価(EID50/mL)を記録したかまたは記録する。
【0048】
上記ワクチン処方物の調製:上記安定剤成分(上記工程2で詳述されるように調製)のうちの15mLを、滅菌ボトルに添加したかまたは添加する。そしてこれを工程3aの85mLの希釈したウイルス免疫原で希釈したかまたは希釈する。このワクチン処方物を、5〜10分間混合したかまたは混合する。そしてその理論上の免疫原力価(EID50/mL)を記録したかまたは記録する。
【0049】
免疫原/安定剤プールの分割:上記工程3bのワクチン処方物を、5mLのアリコートで、滅菌コーンウォール(cornwall)および滅菌ブラントニードル付きの凍結乾燥用ボトルに分配したかまたは分配する。滅菌ストッパーを各バイアルに加えたかまたは加える。そしてそのバイアルを、凍結乾燥機に加えたかまたは加える。凍結乾燥後、そのバイアルに、10〜15% 窒素を充填し、ストッパーを付け、クリンプシールし、4℃で保管した。
【0050】
(実施例4)
工程1:植物性タンパク質ストック溶液の調製
5.0gのダイズ酵素消化物を、50mLの精製水と混合した。次いで、この混合物を、ブレンダー中ですりつぶした。この混合物を静かに注いで、その上清を集めた。この溶液を、4℃で保存した。
【0051】
工程2:上記安定剤成分の調製
N−Z−Amine Type YT(登録商標)(2.5g)(Sheffield Products Co.,Norwich,N.Y.)、スクロース(5.0g)(Sigma,St.Louis,Mo.)およびグルタミン酸一ナトリウム(0.5g)(Sigma,St.Louis,Mo.)を、50mLの水(精製Super Q(登録商標))に添加したかまたは添加する。そしてこれを溶解させたかまたは溶解させる。その溶解率を上げるために加熱したかまたは加熱する。この溶液を、工程1の50.0mLの10% ダイズ酵素消化物溶液に添加したかまたは添加する。そのpHを、KOHおよび/またはHClで、7.2±0.1に調節したかまたは調節する。次いで、この溶液を、適切な容器中に分配したかまたは分配する。そして>121℃または>30分間でオートクレーブ処理したかまたはオートクレーブ処理する(この溶液は、2〜7℃で約1ヶ月間保存され得る)。
【0052】
工程3:上記ワクチン処方物の調製および凍結乾燥
ウイルスプールの調製:凍結したトリ伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、ニューキャッスル病ウイルス(NDV)、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、伝染性咽頭気管支炎ウイルス(ILT)、トリ脳脊髄炎ウイルス(AE)、トリポックスウイルス、またはトリレオウイルスの調製物を、37℃で融解したかまたは融解する。この融解したウイルスのうちの50mLを、滅菌ボトルに添加したかまたは添加する。これを400mlのPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で希釈したかまたは希釈する。そしてそのウイルス力価(EID50/mL)を記録したかまたは記録する。
【0053】
上記ワクチン処方物の調製:上記安定剤成分(上記工程2で詳述されるように調製)のうちの15mLを、滅菌ボトルに添加したかまたは添加する。そしてこれを工程3aの85mLの希釈したウイルス免疫原で希釈したかまたは希釈する。このワクチン処方物を、5〜10分間混合したかまたは混合する。そしてその理論上の免疫原力価(EID50/mL)を記録したかまたは記録する。
【0054】
免疫原/安定剤プールの分割:上記工程3bのワクチン処方物を、5mLのアリコートで、滅菌コーンウォール(cornwall)および滅菌ブラントニードル付きの凍結乾燥用ボトルに分配したかまたは分配する。滅菌ストッパーを各バイアルに加えたかまたは加える。そしてそのバイアルを、凍結乾燥機に加えたかまたは加える。凍結乾燥後、そのバイアルに、10〜15% 窒素を充填し、ストッパーを付けた。次いで、このバイアルをクリンプシールし、4℃で保管した。
【0055】
(実施例5)
動物性安定剤との比較試験
ワクチン株IBV採取溶液を、上記実施例1〜4において記載されるように、安定剤中に等しい力価で処方し、WyethのFort Dodge Animal Health Divisionによって市販されているPoulvac(登録商標) IB (Massachusetts,M−41-VS Code 1231.11)の様式において、動物タンパク質中で安定化させたウイルスと比較した。上記ウイルスを安定剤と混合した後にサンプルを得て、凍結乾燥サイクルの後に再び、三連で力価を測定し、凍結乾燥前および凍結乾燥後の相乗平均力価を、フリーズドライの間の喪失を決定するために比較した。
【0056】
結果は、以下のとおりである:
【0057】
【表1】

上記の表中、実施例1〜4の植物由来安定剤の使用は、動物タンパク質安定剤(上記表中の5行目)の使用よりも凍結乾燥サイクルの間に力価喪失が低かった。
【0058】
本発明の多くの改変および代替の実施形態は、前記説明に鑑みれば、当業者に明らかである。従って、この説明は、単なる例示として解釈されるべきであり、本発明を実施するための最良の実施形態を当業者に教示することを目的としている。上記構成の詳細は、本発明の趣旨から実質的に逸脱することなく変動し得る。そして添付の特許請求の範囲内に入る全ての改変の独占的使用が、保護される。本発明は、添付の特許請求の範囲および適用される法律によって要求される範囲にのみ限定されると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物用ワクチン処方物であって、
生ウイルス免疫原;および
実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質および植物性タンパク質を含む安定剤成分、
から本質的になる、動物用ワクチン処方物。
【請求項2】
前記生ウイルス免疫原は弱毒化されている、請求項1に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項3】
前記植物性タンパク質は、トウモロコシグルテン、ダイズタンパク質、コメタンパク質、コムギタンパク質、および麻タンパク質からなる群より選択される、請求項1に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項4】
前記実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質は、N−Z−Amine(登録商標)である、請求項1に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項5】
希釈剤をさらに含む、請求項1に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項6】
前記希釈剤は精製水である、請求項5に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項7】
糖をさらに含む、請求項1に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項8】
前記糖は、グルコース、デキストロース、ラクトース、スクロース、マンノースおよびフルクトースのような、単糖、二糖、三糖、およびオリゴ糖からなる群より選択される、請求項7に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項9】
前記糖はスクロースである、請求項8に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項10】
緩衝剤をさらに含む、請求項1に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項11】
前記緩衝剤は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸カルシウム、コハク酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸水素カリウムからなる群より選択される、請求項10に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項12】
前記緩衝剤はグルタミン酸一ナトリウムである、請求項11に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項13】
動物用ワクチン処方物であって、
生ウイルス免疫原;
実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質および植物性タンパク質を含む、安定剤成分;
希釈剤;
糖;および
緩衝剤、
から本質的になる、動物用ワクチン処方物。
【請求項14】
前記生ウイルス免疫原は弱毒化されている、請求項13に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項15】
前記希釈剤は精製水である、請求項13に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項16】
前記糖は、グルコース、デキストロース、ラクトース、スクロース、マンノースおよびフルクトースのような、単糖、二糖、三糖、およびオリゴ糖を含む群より選択される、請求項13に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項17】
前記糖はスクロースである、請求項16に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項18】
前記緩衝剤は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸カルシウム、コハク酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸水素カリウムからなる群より選択される、請求項13に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項19】
前記緩衝剤は、グルタミン酸一ナトリウムである、請求項18に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項20】
前記実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質は、N−Z−Amine Type YT(登録商標)である、請求項13に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項21】
前記植物性タンパク質は、トウモロコシグルテン、ダイズタンパク質、コメタンパク質、コムギタンパク質、および麻タンパク質からなる群より選択される、請求項13に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項22】
動物用ワクチン処方物であって、
生ウイルス免疫原;
実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物タンパク質および植物性タンパク質を含む安定剤成分であって、ここで該実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物タンパク質は、N−Z−Amine Type YT(登録商標)であり、該植物性タンパク質は、トウモロコシグルテン、ダイズタンパク質、コメタンパク質、コムギタンパク質、および麻タンパク質を含む群より選択される、安定剤成分;
希釈剤であって、ここで該希釈剤は精製水である、希釈剤;
糖であって、ここで該糖は、グルコース、デキストロース、ラクトース、スクロース、マンノースおよびフルクトースのような、単糖、二糖、三糖、およびオリゴ糖からなる群より選択される、糖;ならびに
緩衝剤であって、ここで該緩衝剤は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸カルシウム、コハク酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸水素カリウムからなる群より選択される、緩衝剤、
から本質的になる、動物用ワクチン処方物。
【請求項23】
前記糖はスクロースである、請求項22に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項24】
前記緩衝剤は、グルタミン酸一ナトリウムである、請求項22に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項25】
前記生ウイルス免疫原は弱毒化されている、請求項22に記載の動物用ワクチン処方物。
【請求項26】
動物用ワクチン処方物を調製するための方法であって、該方法は、
実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質および植物性タンパク質から本質的になる安定剤成分を形成する工程;ならびに
該安定剤成分を免疫原成分に添加して、ワクチン処方物をもたらす工程、
を包含する、方法。
【請求項27】
前記植物性タンパク質は、前記ワクチン処方物の約0.0001〜6%(w/v)、より好ましくは約0.001〜4%(w/v)を構成する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記動物性タンパク質は、前記ワクチン処方物の約0.0001〜3%(w/v)、より好ましくは約0.001〜2%(w/v)を構成する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ワクチン処方物は、前記免疫原成分を添加した後に凍結乾燥される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ワクチン処方物の前記安定剤成分の調製は、
前記植物性タンパク質を精製水中に溶解させて、第1溶液を形成する工程;
前記実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質、前記緩衝剤、および前記糖を、該第1溶液に添加する工程;
該安定剤溶液のpHを調節する工程;
該安定剤成分を濾過する工程;ならびに
該安定剤成分を滅菌する工程、
を包含する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質は、N−Z−Amine Type YT(登録商標)であり、前記緩衝剤は、グルタミン酸一ナトリウムであり、前記糖はスクロースである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記植物性タンパク質は、トウモロコシグルテン、ダイズタンパク質、コメタンパク質、コムギタンパク質、および麻タンパク質からなる群より選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記安定剤成分の前記植物性タンパク質は、該安定剤成分の約0.001〜30%(w/v)、より好ましくは約0.01〜10%(w/v)を構成する、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記安定剤成分の前記動物性タンパク質は、該安定剤成分の約0.001〜15%(w/v)、より好ましくは約0.01〜10%(w/v)を構成する、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記糖は、前記最終ワクチン処方物の約0.001〜6%(w/v)、より好ましくは約0.001〜4%(w/v)を構成する、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記緩衝剤は、前記ワクチン処方物の0.0001〜5%(w/v)、より好ましくは約0.001〜1%(w/v)を構成する、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記溶解させる工程は、前記第1溶液を加熱する工程をさらに包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記滅菌する工程は、前記溶液をオートクレーブ処理する工程を包含する、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
ワクチン安定剤であって、
実質的にBSE/TSEの危険のない供給源の動物性タンパク質;および
植物性タンパク質、
から本質的になる、ワクチン安定剤。
【請求項40】
前記植物性タンパク質 対 前記動物性タンパク質の比は、約1:1〜約3:1の範囲内である、請求項39に記載のワクチン安定剤。

【公表番号】特表2009−503088(P2009−503088A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525100(P2008−525100)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/029849
【国際公開番号】WO2007/019128
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】