説明

玄関用スツールと踏み台の組み合わせ体

【課題】踏み台の上面に載置固定することで、履物の着脱作業に必要な高さの座面を確保することができ、履物の着脱が楽な姿勢で行える玄関用スツールを提供する。
【解決手段】底部が底板12で閉鎖されて内部が空間となる周壁13の上部に座面板14をヒンジ22で取付けてスツール本体15を形成し、前記周壁13の下部で前端部の位置に、スツール本体15の下部から下向きに突出する脚部16を設け、この脚部16の下面に接地脚17を上下に位置調整可能に取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、玄関の上がり口に設置する踏み台に固定することにより、履物の着脱操作が座った状態で行えるようにする玄関用スツールと、この玄関用スツールと踏み台の組み合わせ体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な日本家屋において、玄関の床面と居間の間に段差が有り、足腰の弱い人には玄関の床面と居間の昇り降りが困難であったり苦痛を伴うため、玄関の床面に居間よりも低い高さの踏み台を設置し、この踏み台を介して昇り降りが楽に行えるようにしている。
【0003】
ところで、玄関の床面と居間の間での昇り降りには履物の着脱を伴うことになり、特に靴の場合、立ったままでは着脱が困難で、転倒などの危険もあるので腰を掛けた状態で行うのが好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、踏み台は、玄関の床面と居間の間の略中間の高さに形成されているので高さが低く、成人がこれに腰を掛けた場合、腰を屈めなければならないので体勢が窮屈になり、靴の着脱作業が行いにくいという問題がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、上記のような問題点を解決するため、踏み台の上面に載置することで、履物の着脱作業に必要な高さの座面を確保することができ、履物の着脱が楽な姿勢で行える玄関用スツールと、この玄関用スツールと踏み台の組み合わせ体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するため、この発明は、底部が底板で閉鎖されて内部が空間となる周壁の上部に座面板を設けてスツール本体を形成し、前記周壁の下部で前端部の位置に、スツール本体の下部から下向きに突出する脚部を設け、この脚部の下面に接地脚を上下に位置調整可能に取付けたものである。
【0007】
上記座面板が周壁に対してヒンジで取付けられ、このヒンジを支点に座面板を起伏動させることにより、内部が収納空間となる周壁の上面を開閉できるようにしたり、上記周壁に開口を設け、この開口から周壁の内部に出し入れできる引き出しを備えているようにすることができる。
【0008】
また、玄関用スツールと踏み台の組み合わせ体は、請求項1乃至3の何れかに記載の玄関用スツールと、玄関に設置する踏み台との組み合わせからなり、前記玄関用スツールにおける底板の下面に前後方向に長い突条を設け、前記踏み台の上面に前記突条が嵌まり合って前後にスライド可能となる凹溝を前後方向に沿って設け、スツール本体を踏み台の上に臨ませて前記突条を凹溝に嵌め合わせた状態で、玄関用スツールを底板からねじ込んだビスで踏み台に固定化するようにしたものである。
【0009】
ここで、上記スツール本体は、木材板や合成樹脂板を用い、周壁は両側壁と後壁及び前方に突出する半円形の前壁によって前部が半円の枠形に形成され、この前壁は下端を延長することにより半円形の脚部と一体となり、この脚部は、スツール本体を踏み台の上に載置したとき、下端が玄関の床面に達する程度の上下長さを有し、周壁は底板によって底部を閉鎖することで、内部が小物部材の収納空間になっている。
【0010】
上記突条は、底板の下面における幅方向中央部で後部寄りの位置に固定され、前後端部にビス挿通孔が設けられ、底板の下面で前記突条を挟む両側の位置に、ゴム製でビス挿通孔が設けられた踏み台上への当接部材が固定され、各ビス挿通孔から踏み台の天板に向けてねじ込んだ合計4本のビスで、スツールを踏み台に固定化するようになっている。
【0011】
また、スツール本体の両側壁の後端下部には、踏み台の天板に当接する高さ調節部材が取付けられている。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、内部が空間となる周壁の上部に座面板を設けてスツール本体の前端部の位置に、スツール本体の下部から下向きに突出する脚部を設け、この脚部の下面に接地脚を上下に位置調整可能に取付けたので、玄関の上り口に設置された踏み台の上にスツール本体を設置固定すれば、上部の座面板によって窮屈にならない姿勢で腰を掛けることができる高さの座面を確保することができ、座面に腰を掛ければ履物の着脱が楽な姿勢で行えるようになる。
【0013】
また、スツール本体の前部に下部から下向きに突出する脚部を設けたので、スツール本体の前部を踏み台から突出させた状態で固定しても、脚部が玄関の床面に接することで前部の荷重を支持することができ、スツール本体の前部を踏み台から突出させることで踏み台と干渉することなく座れるので、着席の動作が行いやすいと共に、前部側に片寄った荷重をかけても転倒するようなことがなく、安全性が向上する。
【0014】
更に、スツール本体を踏み台の上に臨ませて前記突条を凹溝に嵌め合わせた状態で、玄関用スツールを底板からねじ込んだビスで踏み台に固定化するようにしたので、踏み台に対してスツールを固定するとき、スツールの前後位置調整を突条と凹溝で誘導することができ、踏み台に対するスツールの固定作業が簡単に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
先ず、玄関の床面に設置する踏み台1は、図1のように、横長の矩形となる木製天板2の下部に複数の脚部3を設け、天板2の表面に滑り止め用の溝4を施した構造を有し、玄関の床面と居間の段差の略半分程度の高さを有している。
【0017】
上記踏み台1に固定するスツール11は、図1乃至図5のように、底部が底板12で閉鎖されて内部が空間となる周壁13の上部に座面板14を設けてスツール本体15を形成し、前記周壁13の下部で前端部の位置に、スツール本体15の下部から下向きに突出する脚部16を設け、この脚部16の下面に接地脚17を上下に位置調整可能に取付けた構造になっている。
【0018】
上記スツール本体15は、木材板や合成樹脂板を用い、周壁13は両側壁13aと後壁13b及び前方に突出する半円形の前壁13cによって前部が半円の枠形に形成され、この前壁13cは下端を延長することにより半円形の脚部16と一体となり、この脚部16は、スツール本体15を踏み台1の上に載置したとき、下端が玄関の床面に達する程度の上下長さを有している。
【0019】
上記脚部16の下端両側に接地脚17が上下に位置調整可能に取付けられ、また、スツール本体15の両側壁13aの後端下部には、踏み台1の天板2に当接する高さ調節部材18が取付けられている。これら接地脚17や高さ調節部材18は、ビスの頭部をゴムで覆った構造を有し、脚部16及び両側壁13aに埋設したナット部材にねじ込むことにより、上下に位置調整可能に取付けられている。
【0020】
上記スツール11における底板12の下面で後部寄りの位置に前後方向に長い突条19が設けられ、上記踏み台1の天板2には、一方端部寄りの位置に、前記突条19が前後にスライド可能となるよう嵌まり合う凹溝5が前後方向に沿って設けられ、スツール本体15を踏み台の上に臨ませて前記突条19を凹溝5に嵌め合わせた状態で、玄関用スツール11を底板12からねじ込んだビス20で踏み台1に固定化するようになっている。
【0021】
上記突条19は、底板12の下面における幅方向中央部で後部寄りの位置に固定され、前後端部にビス挿通孔が設けられ、また、底板12の下面で前記突条19を挟む両側の位置に、天板2上に当接するよう、ゴム製でビス挿通孔が設けられた当接部材21が固定され、底板12上から各ビス挿通孔を介して踏み台1の天板2に向けてねじ込んだ合計4本のビス20で、スツール11を踏み台1に固定化するようになっている。
【0022】
図1乃至図3に示す第1の実施の形態のスツール11は、座面板14の後部を周壁13における後壁13bの上端にヒンジ22を用いて取付け、座面板14の起伏により周壁13の上部開口を開閉自在とし、スツール本体15の内部空間を小物部材の収納空間にしている。
【0023】
上記座面板14の下面には、周壁13の上に伏倒させたとき、両側壁13aと後壁13b及び前壁13cの内面に当接する突起23を設け、座面板14に加わる荷重で周壁13に対して座面板14に平面方向の位相のずれが生じないようにしている。
【0024】
図4(a)と(b)に示す第2の実施の形態のスツール11は、座面板14を周壁13に対して固定し、前壁13cに開口24を設け、この開口24から周壁13の内部に出し入れできる引き出し25を設けた構造になっている。
【0025】
上記両実施の形態において、スツール11は、例えば、座面板14は前後長さが500mm、横幅が300mm程度の大きさとなり、周壁13は横幅が260mm、高さは220mm、周壁13の上端から脚部16の下端までの寸法は380mm程度に設定され、周壁13の下面と脚部16の後縁とによって直角の入り隅が形成されている。
【0026】
この発明のスツール11と踏み台1は、上記のような構成であり、踏み台1は玄関の床面で居間との段差部分に設置し、居間に対する昇り降り時に段差を半減することで、昇り降りが楽に行えるようにする。
【0027】
上記踏み台1に対してスツール11を固定するには、スツール11を踏み台1の凹溝5を設けた側の端部上に臨ませ、突条19を凹溝5に嵌め合わせた状態で、周壁13の下部を天板2上に載置し、脚部16を踏み台1の前部に位置させる。
【0028】
このとき、脚部16に設けた接地脚17を玄関の床面に当接するように調整し、また、高さ調節部材18も天板の上面に当接するように調節する。
【0029】
上記の状態で、踏み台1に対してスツール11の前部を所要量突出させるための前後位置を、突条19と凹溝5の嵌まり合いにより誘導しながら調整し、スツール11の位置が決まると、底板12上から各ビス挿通孔を介して踏み台1の天板2に向けてねじ込んだ合計4本のビス20で、スツール11を踏み台1に固定化する。
【0030】
このように、踏み台1の上にスツール11を固定すると、座面板14の高さは、踏み台1と周壁13の合計高さとなり、玄関で履物を着脱するときに、座面板14に腰を下ろせば窮屈にならない姿勢で腰を掛けることができ、履物の着脱が楽な姿勢で行えるようになる。
【0031】
なお、図1に示すように、前後に方向性のない踏み台1の場合、配置を前後逆にすれば、天板2の一端側に凹溝5を設けた場合でも凹溝5を左右何れの側にも持ってくることができ、玄関の上がり口に対してスツール11を左右何れにでも配置することができる。
【0032】
また、図5に示すように、踏み台1が設置するとき、前縁が凹入する等して前後に方向性のある構造の場合、上記凹溝5を天板2の両端部にそれぞれ設けることにより、天板2の両端部に対して何れの側にでもスツール11を固定でき、玄関の上がり口に対してスツール11を左右何れにでも配置することができる。
【0033】
上記のようなスツール11は、履物を着脱するときの椅子となるが、周壁13の内部空間や引き出し25に小物部材を収納することができるので便利である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)はこの発明に係る第1の実施の形態のスツールを踏み台に固定した状態を示す斜視図、(b)はスツールと踏み台の関係を示す分解斜視図
【図2】踏み台に対するスツールの固定構造を示す拡大した縦断面図
【図3】(a)は第1の実施の形態のスツールを示す底面の斜視図、(b)は同じくスツールの座面板を開いた状態を示す斜視図
【図4】(a)は第2の実施の形態のスツールを示す斜視図、(b)は同じくスツールの引き出しを引き出した状態を示す斜視図
【図5】設置時に前後に方向性がある踏み台とこれに固定するスツールの関係を示す分解斜視図
【符号の説明】
【0035】
1 踏み台
2 天板
3 脚部
4 滑り止め用の溝
5 凹溝
11 スツール
12 底板
13 周壁
13a 側壁
13b 後壁
13c 前壁
14 座面板
15 スツール本体
16 脚部
17 接地脚
18 高さ調節部材
19 突条
20 ビス
21 当接部材
22 ヒンジ
23 突起
24 開口
25 引き出し

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部が底板で閉鎖されて内部が空間となる周壁の上部に座面板を設けてスツール本体を形成し、前記周壁の下部で前端部の位置に、スツール本体の下部から下向きに突出する脚部を設け、この脚部の下面に接地脚を上下に位置調整可能に取付けた玄関用スツール。
【請求項2】
上記座面板が周壁に対してヒンジで取付けられ、このヒンジを支点に座面板を起伏動させることにより、内部が収納空間となる周壁の上面を開閉できるようにした請求項1に記載の玄関用スツール。
【請求項3】
上記周壁に開口を設け、この開口から周壁の内部に出し入れできる引き出しを備えている請求項1に記載の玄関用スツール。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の玄関用スツールと、玄関に設置する踏み台との組み合わせからなり、前記玄関用スツールにおける底板の下面に前後方向に長い突条を設け、前記踏み台の上面に前記突条が嵌まり合って前後にスライド可能となる凹溝を前後方向に沿って設け、スツール本体を踏み台の上に臨ませて前記突条を凹溝に嵌め合わせた状態で、玄関用スツールを底板からねじ込んだビスで踏み台に固定化するようにした玄関用スツールと踏み台の組み合わせ体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−131109(P2010−131109A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308518(P2008−308518)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(397041299)株式会社丸喜金属本社 (5)
【Fターム(参考)】