説明

玩具用簡易リニアモータ

【課題】極力部品点数を少なく、単純化しながら確実に稼動する玩具用簡易リニアモータを構築する。
【解決手段】固定子となる長尺板状のレイル内部に、ソレノイドコイルとリードスイッチを設置する。可動子には永久磁石を設置し、可動子、固定子双方の反発磁力のみで推力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石と電磁石の反発磁力を用いた簡易線上動力装置(簡易リニアモータ)機構と、その具体的製造方法に属する。
【背景技術】
【0002】
従来のリニアモータは、重量物の運搬を前提としたもので、その推力は慣性エネルギーを想定せず、固定子全範囲に電磁石、可動子支持用のローラ又はレイルを設けなければならない。例えばこの場合、レイル全面に電磁石を設置する必要があり、又、固定子との摩擦を軽減する為にレイル全面にローラを設置する必要がある。(例えば、特許文献1参照。)
又、一般的にリニアモータは工業用機構に用いられる事から、可動子の移動量(ステップ量)を検知、設定する場合が多く此の場合に於いても固定子移動領域全域に電磁石叉は永久磁石を設置する必要がある。(例えば、特許文献2、特許文献3、参照。)
【0003】
【特許文献1】特開昭55−132295号公報
【特許文献2】特開昭63−206153号公報
【特許文献3】特開昭61−199457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のリニアモータは、固定子、可動子間の磁力により吸引叉は反発、場合により両方のエネルギーを推力とする為、固定子の全域に永久磁石又は電磁石を必要とする。
又、一般的にその目的が可動子の位置制御や運動制御を必要とする為、可動子制御用の各種デバイスが必要となる事が普通である。
これらの諸要因から、DCモータ等の他モータ動力と比べ、複雑で部品点数も多く製作コストが高い。故に本発明の目的である玩具用動力機構に適さない。
【0005】
本発明は、極力少量の部品点数で、可動子に確実な推力を与え、玩具用動力機構に適する事を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に、樹脂等で製作される長尺板状のレイル底面に一定間隔毎に電磁石(以下ソレノイドコイルとする)とリードスイッチを設置し、これを固定子とする。この時のソレノイドコイルとリードスイッチの配置位置は、ソレノイドコイルは発生する磁束方向が上面、叉はやや可動子進行方向へ向く様にし、発生する磁極は対向する可動子側の永久磁石が発生する極性と同極のものとする。又リードスイッチは可動子が固定子に設置されるソレノイドコイル通過直後に可動子側永久磁石の磁力を感知できる位置に設置する。
【0007】
4隅にタイヤを配置したシャーシにフェライト等の永久磁石を設置し、これを可動子とする。この時、永久磁石が発生する磁束は下面、叉はやや後方へ向く様にし、その発生磁極は、固定子側ソレノイドコイルが発生する磁極と同極のものとする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0009】
非常に少ない部品点数で、リニアモータが実現できる。
【0010】
可動子側の動力は安価なフェライト等の永久磁石のみで良く、低コスト化と小型化ができ、複雑な内部機構が存在しない為、可動子自体の意匠造型の自由度が高い。
又、加減速等の歯車といった機械機構が存在せず、耐久性が極めて高い。
【0011】
固定子コイルへの印加は、固定子側リードスイッチへの可動子の接近により自動的に行われ、各種制御デバイスを必要とせず、又非接触な為、耐久性、信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図3に於いて示されるシャーシ2に、永久磁石3と車軸9/車輪8を設け、これを可動子とする。
【0013】
車輪8は、走行時の転がり抵抗を低減する為に、必要に応じ図4で示すリブ10を設ける。又、必要に応じ、面取り11を設ける。
【0014】
図1に於いて示される樹脂等にて製作される長尺板状のレイル1内部に、図2で示すように、ソレノイドコイル6を一定間隔を有し設け、又各ソレノイドコイル6毎にリードスイッチ7を設置する。
この時、ソレノイドコイル6が上面へ発生する磁力極性は、対面する可動子側永久磁石3の下面磁力極性と同極のものとする。
【0015】
レイル1の両側面には、可動子の脱輪を防ぐ為に、レイルガイド5を設ける。
【0016】
図5で示す様に、可動子の永久磁石3が固定子のリードスイッチ7に接近するとソレノイドコイル6に印加し、磁力を発生する。
すると、図6で示すように可動子の永久磁石3と、ソレノイドコイル6の対面する磁極が同一なので、反発磁力を得て可動子は前進する。
反発磁力による推力を得、前進した直後、図7で示す様にリードスイッチ7と可動子の永久磁石3が離れる為、ソレノイドコイル6への通電が遮断される。この時、可動子は慣性により一定量前進を続ける。
慣性により前進する可動子の永久磁石3は、次のリードスイッチ7’に接近し、ソレノイドコイル6’が印加し反発磁力を得て、加速を繰り返す。
【0017】
これまでの実験で、可動子の永久磁石3に磁束密度120テスラ(以下Tと表す)のフェライト磁石を使用し、可動子の全重量を30gとし、0.37φのUEWリッツ線を30φに60回巻き固定子のソレノイドコイル6とし、電源4を誘起電圧6Vにてソレノイドコイル6より5Tを発生させれば確実な推力を得られる事が実証された。
【0018】
必要に応じ、ソレノイドコイル6に強磁性体のコイル芯を用いれば、より強力な磁束が得られ可動子の推力は増加する。
同様に、可動子の永久磁石3により強力な磁束を有するネオジウム等の永久磁石を用いれば、更に強力な推進力が得られる。
【0019】
リードスイッチ7は、不活性ガスをガラス管を用い密封したタイプを用いる事で、長期間の使用でも接点腐食が起こらず、耐久性、信頼性を増す事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】全体図である。
【図2】固定子内部説明図である。
【図3】可動子説明図である。
【図4】可動子車輪部位図である。
【図5】機構説明図である。
【図6】機構説明図である。
【図7】機構説明図である。
【図8】機構説明図である。
【図9】固定子側ソレノイド部位回路図である。
【符号の説明】
【0021】
1 レイル
2 シャーシ
3 永久磁石
4 直流電源
5 レイルガイド
6 ソレノイドコイル
7 リードスイッチ
8 車輪
9 車軸
10 リブ
11 面取り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺板状のレイル底面に一定間隔毎に電磁石とリードスイッチを設置し、このレイル部位に永久磁石を設置した車を置くと反発磁力が発生し、推力を得て前進する玩具用簡易リニアモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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