現像ブレードおよびその製造方法
【課題】電子写真画像形成装置の高速化に対応可能な現像ブレードと、このような現像ブレードの製造方法を提供する。
【解決手段】現像ブレード11を、支持部材12の1つの端側部に沿って、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下である表面形状のブレード部材14が配設されたものとし、このような現像ブレードの製造は、ブレード部材成形用のキャビティ4が形成された型面2Aと、このキャビティに連通するゲート6とを備えるとともに、キャビティ4に対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された上金型2と、平らな型面3Aを有する下金型3とを使用し、キャビティ4に支持部材12の少なくとも一部が位置するように上金型2と下金型3とを型合わせして型締めし、ゲート6から成形材料を注入してキャビティ4内に充填するものとした。
【解決手段】現像ブレード11を、支持部材12の1つの端側部に沿って、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下である表面形状のブレード部材14が配設されたものとし、このような現像ブレードの製造は、ブレード部材成形用のキャビティ4が形成された型面2Aと、このキャビティに連通するゲート6とを備えるとともに、キャビティ4に対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された上金型2と、平らな型面3Aを有する下金型3とを使用し、キャビティ4に支持部材12の少なくとも一部が位置するように上金型2と下金型3とを型合わせして型締めし、ゲート6から成形材料を注入してキャビティ4内に充填するものとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ブレードとその製造方法に係り、特に高速度型のレーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真画像形成装置の現像装置に用いる現像ブレードとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置では、感光体ドラム上の潜像を現像するための現像装置を備えている。この現像装置は、例えば、図20に示されるように、ホッパー202、現像ローラ203、回動可能な攪拌板204、現像ブレード205を備えたような構造の現像装置201が知られている(特許文献1)。この現像装置201では、ホッパー202内の現像剤206が攪拌板204により現像ローラ203に供給され、現像ブレード205と現像ローラ203との摩擦帯電により現像ローラ203の周面上に現像剤が薄層で均一に担持される。そして、潜像が形成されている感光体ドラム207に現像ローラ203から現像剤206が移行して現像が行われる。
従来の現像ブレード205としては、例えば、図21に示すように、厚みが0.1mm程度の金属製の支持部材212の端側部212Aに沿って、ゴム製のブレード部材214を備えた構造のものが知られている。
【特許文献1】特開2003−43812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、レーザプリンタ等の電子写真画像形成装置の高速化が進み、現像ローラ203が高速回転(例えば、24ppm以上)する場合、従来の現像ブレードでは、形成される画像の濃度が不十分であったり、画像にスジが発生するという問題があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、電子写真画像形成装置の高速化に対応可能な現像ブレードと、このような現像ブレードの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような目的を達成するために、本発明の現像ブレードは、支持部材と、該支持部材の1つの端側部に沿って配設されたブレード部材とを備え、前記ブレード部材の表面形状は最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記ブレード部材は、前記支持部材の前記端側部をその両端部を除いて被覆するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記ブレード部材は、前記支持部材の両面に配設されているような構成とした。
【0005】
また、本発明は、支持部材の1つの端側部に沿って配設されたブレード部材を備える現像ブレードの製造方法において、ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面と該キャビティに連通するゲートとを備えるとともに、前記キャビティに対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された上金型と、平らな型面を有する下金型とを使用し、前記キャビティに前記支持部材の少なくとも一部が位置するように上金型と下金型とを型合わせして型締めし、前記ゲートから成形材料を注入して前記キャビティ内に充填するような構成とした。
【0006】
また、本発明は、支持部材の1つの端側部に沿って両面に配設されたブレード部材を備える現像ブレードの製造方法において、ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面と該キャビティに連通するゲートとを備えるとともに、前記キャビティに対して#150〜#1000範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された上金型と、ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面を備えるとともに、該キャビティに対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された下金型とを使用し、前記キャビティが前記支持部材を介して対向するように上金型と下金型とを型合わせして型締めし、前記ゲートから成形材料を注入して対向する前記キャビティ内に充填するような構成とした。
【0007】
本発明の他の態様として、前記サンドブラスト処理は加圧式ブラスト装置を使用し、前記研磨材はセラミック系の研磨材を使用するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記キャビティは、少なくとも最深部の壁面が湾曲凹部をなすような構成とした。
本発明の他の態様として、前記成形材料は液状シリコーンゴムと硬化剤の混合物であるような構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の現像ブレードでは、ブレード部材の最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下であるので、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができ、これにより、電子写真画像形成装置の高速化に対応することができる。
また、本発明の製造方法では、キャビティに対して所定の条件でサンドブラスト処理が施されているので、製造された現像ブレードのブレード部材の表面形状は、キャビティの表面形状を反映して微細な凹凸を備えた形状、すなわち、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下となり、このようなブレード部材を備えた現像ブレードは、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができ、これにより、電子写真画像形成装置の高速化に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
(製造方法)
図1は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の一例を示す平面図であり、図2は下金型と図1に示される上金型とを型締めした状態を示す断面図であって(A)は図1のA−A線での矢視断面図、(B)は図1のB−B線での矢視断面図、(C)は図1のC−C線での矢視断面図である。
図1および図2において、本発明で使用する金型1は、上金型2と下金型3とからなる。上金型2は、ブレード部材を形成するためのキャビティ4が形成された型面2A(図1に斜線を付して示した平面)と、キャビティ4の長さ方向(図1の矢印a方向)の一方の端部側の背面部4aに設けられた注入部5と、この注入部5に位置する1個のゲート6と、キャビティ4の長さ方向の他方の端部側の背面部4aに設けられた溜め部7を備えている。また、キャビティ4の最深部(上金型2の型面2Aから最も深い部位)の壁面は湾曲凹部をなしている。一方、下金型3は、平らな型面3Aを有している。
【0010】
尚、注入部5と溜め部7の配設位置は、キャビティ4の長さ方向において逆であってもよい。また、注入部5と溜め部7の深さ、幅(キャビティ4の長さ方向)、および、長さ(キャビティ4の長さ方向に直交する方向)は、適宜設定することができる。
【0011】
本発明では、上金型2として、上記のキャビティ4に対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施されたものを使用する。サンドブラスト処理に用いる研磨材が#1000よりも微細な粒度であると、製造される現像ブレードのブレード部材と現像ローラとの接触面積が大きくなり、両者の摩擦抵抗により現像ローラの回転に支障を来たすことがあり、また、現像ブレードと現像ローラがスリップしてしまい良好な画像を形成できないことがある。一方、研磨材が#150よりも粗い粒度である場合、製造される現像ブレードのブレード部材と現像ローラとの接触面積が小さくなり、両者の摩擦が低下して現像剤に十分な帯電を生じさせることが困難となり、形成される画像の濃度が薄いものとなる。また、現像ブレードのブレード部材の微細な凸部が現像ロールによって削られ、異物として現像剤中に混入することもあり好ましくない。
【0012】
サンドブラスト処理に用いる研磨材の材質は、セラミックが好ましく、具体的には炭化珪素(商品名カーボランダム等)、アランダム、エメリー等を挙げることができる。また、サンドブラスト処理は、加圧式ブラスト装置、バキュームブラスト装置、ウエットブラスト装置、超高圧水噴射式ブラスト装置、遠心力式ブラスト装置等を用いて行なうことができるが、特に加圧式ブラスト装置が好ましい。さらに、処理条件は、例えば、圧力を1〜10kg/cm2、装置と被処理物(上金型2のキャビティ4)との距離を50〜200mm、被処理物に対する研磨材のブラスト角度(上金型2の平らな型面2Aに対する角度)を90°±20°の範囲で適宜設定することができる。より具体的な処理条件の例として、圧力4kg/cm2、距離100mm、角度90°を挙げることができる。
【0013】
このような上金型2と下金型3は、キャビティ4が支持部材12で閉塞されるように型合わせして型締めされる。上金型2と下金型3との型締め圧は、例えば、0.5〜3MPa/キャビティーの範囲で設定することができる。
その後、ゲート6から成形材料を注入することにより、成形材料は図1に鎖線で示す流れに沿って、キャビティ4内を流れて充填し、オーバーフローして溜め部7に到達する。そして、キャビティ4に充填された成形材料には、サンドブラスト処理が施されたキャビティ4の表面状態が反映されることになる。これにより、支持部材12にブレード部材が形成されて現像ブレードが製造される。製造された現像ブレードのブレード部材の表面形状は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ4の表面状態が反映された微細な凹凸を備えた形状となる。
【0014】
使用する成形材料としては、例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、水素化ニトリルゴム等を挙げることができ、この中でシリコーンゴムが特に好ましく、具体的には、液状シリコーンゴムと硬化剤との混合物、LR3303(旭化成ワッカー(株)製)等を挙げることができる。
【0015】
尚、上述のようなキャビティ4における成形材料の流れは良好であり、ヒケ、ウエルドの発生が防止される。また、成形材料中に気泡が存在しても、オーバーフロー用の溜め部7に気泡を集めて脱気することができ、気泡が存在せず緻密で均一な厚みのブレード部材の成形が可能である。
【0016】
(現像ブレード)
図3は、本発明の現像ブレードの一実施形態を示す斜視図であり、図4は図3に示される現像ブレードの平面図である。図3および図4に示されるように、現像ブレード11は、支持部材12と、この支持部材12の1つの端側部12Aに沿って形成されたブレード部材14とを備えている。このブレード部材14は、現像ローラとの接触領域が曲面をなすものである。
この本発明の現像ブレード11のブレード部材14の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材14を備えた本発明の現像ブレード11は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
【0017】
ここで、最大高さ粗さRyは、粗さ曲線の山高さRpの最大値と谷高さRvの最大値の和であり、本発明では、表面粗さ計(東京精密(株)製 サーフコム2800E)を使用して測定する。以下の説明においても同様である。
また、負荷長さ率tp(切断レベル30%)は、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さ(0.8mm)だけ抜き取り、この抜き取り部分の粗さ曲線を山頂線に平行な切断レベル(Ryの30%)で切断したときに得られる水平長さの和(負荷長さηp)の基準長さに対する比を百分率で表したものである。本発明では、表面粗さ計(東京精密(株)製 サーフコム2800E)を使用して測定する。以下の説明においても同様である。
【0018】
本発明の現像ブレード11を構成する支持部材12の材質には特に制限はなく、例えば、SUS301、SUS304等のステンレス鋼、C5210等のバネ用リン青銅等からなる金属基板、セラミックス基板、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂基板等を挙げることができ、厚みは、例えばステンレスであれば0.1mm程度が好ましい。また、支持部材12は、端側部12Aに対向する端側部12Bに沿って複数の穴部13を備えている。この穴部13は取り付け用、位置決め用等、任意に設定することができ、図示例に限定されるものではない。
【0019】
現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質は、例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、水素化ニトリルゴム等を挙げることができ、この中で特にシリコーンゴムが好ましい。
このような本発明の現像ブレード11は、上述の上金型2と下金型3を用いた本発明の製造方法により製造することができる。すなわち、上述の本発明の製造方法によって現像ブレード11を製造することにより、ブレード部材14の表面は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ4の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。この微細な凹凸形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下となる。
【0020】
尚、ブレード部材14の長さ方向(図3、図4に矢印aで示される方向)の一方の端部近傍にはスカート部15が連設されている。このスカート部15は、上述の上金型2においてゲート6が位置している注入部5によって成形された部位である。他方、上述の上金型2における溜め部7には、キャビティ4からオーバーフローした成形材料が溜まり、例えば、図4に2点鎖線(想像線)で示すような突起物17が形成される。図4では、この突起物17が削除された状態が示されている。また、キャビティ4からオーバーフローした成形材料が溜め部7に溜まり、図5に示すような溜め部7に対応した形状の突起物17を備えた現像ブレード11であってもよい。
【0021】
[第2の実施形態]
(製造方法)
図6は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の他の例を示す平面図である。本発明の現像ブレードの製造方法は、上金型に注入部と溜め部を独立して設ける上述の実施形態に限定されるものではない。図6に示される例では、上金型22は、ブレード部材を成形するための断面が半円形状のキャビティ24と、このキャビティ24の長さ方向(図6に矢印aで示される方向)に沿ってキャビティ24の背面部24a側に延設された注入・溜め部25と、注入・溜め部25の一方の端部に位置するゲート26を備えている。そして、注入・溜め部25において、ゲート26が位置する側と反対側の部位が溜め部27となっており、注入部と溜め部とが独立していない構造である。この場合も、上記のキャビティ24は、上述のように、#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施されている。このサンドブラスト処理は、注入・溜め部25にも施されてもよい。尚、図6にて斜線を付した部位は平坦な型面22Aである。
【0022】
このような上金型22と上述の下金型3とを用いて、図2と同様にして、キャビティ24が支持部材で閉塞されるように型合わせして型締めされる。上金型22と下金型3との型締め圧は、例えば、0.5〜3MPa/キャビティーの範囲で設定することができる。
その後、ゲート26から成形材料を注入することにより、成形材料はキャビティ24内を流れて充填する。そして、キャビティ24に充填された成形材料には、サンドブラスト処理が施されたキャビティ24の表面状態が反映されることになる。これにより、支持部材にブレード部材が形成されて現像ブレードが製造される。製造された現像ブレードのブレード部材の表面形状は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ24の表面状態が反映された微細な凹凸を備えた形状となる。
使用する成形材料は、上述の製造方法で挙げた成形材料と同様のものを例示することができる。
【0023】
(現像ブレード)
図7は、本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。図7に示されるように、現像ブレード31は、支持部材32と、この支持部材32の1つの端側部32Aに沿って形成されたブレード部材34と、このブレード部材34の長さ方向(矢印aで示される方向)に沿って連続しているスカート部35とを備えている。このブレード部材34は、現像ローラとの接触領域が曲面をなすものである。
【0024】
この本発明の現像ブレード31のブレード部材34の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材34を備えた本発明の現像ブレード31は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
本発明の現像ブレード31を構成するブレード部材34の材質は、上述の現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質と同様とすることができる。
【0025】
このような本発明の現像ブレード31は、上述の上金型22と下金型3を用いた本発明の製造方法により製造することができる。すなわち、上述の本発明の製造方法によって現像ブレード31を製造することにより、ブレード部材34の表面は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ24の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。この微細な凹凸形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下となる。
尚、現像ブレード31を構成する支持部材32は、端側部32Aに対向する端側部32Bに沿って複数の穴部33を備えている。
また、現像ブレード31を構成する支持部材32は、上述の現像ブレード11を構成する支持部材12と同様とすることができる。
【0026】
[第3の実施形態]
(製造方法)
図8は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の他の例を示す平面図である。図8に示される上金型42は、ブレード部材を成形するためのキャビティ44と、このキャビティ44の長さ方向(図8に矢印aで示される方向)に沿って延設され、かつ、キャビティ44から矢印b方向に段差を設けることなく連続的に形成された注入・溜め部45と、注入・溜め部45の一方の端部側に位置するゲート46を備えている。この注入・溜め部45のゲート46が位置する側と反対側は、溜め部47となっており、注入部と溜め部とが独立していない構造である。この場合も、上記のキャビティ44は、#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施されており、注入・溜め部45にもサンドブラスト処理が施されてもよい。尚、図8にて斜線を付した部位は平坦な型面42Aである。
【0027】
このような上金型42と上述の下金型3とを用いて、図2と同様にして、キャビティ44が支持部材で閉塞されるように型合わせして型締めされる。上金型42と下金型3との型締め圧は、例えば、0.5〜3MPa/キャビティーの範囲で設定することができる。
その後、ゲート46から成形材料を注入することにより、成形材料はキャビティ44内を流れて充填する。そして、キャビティ44に充填された成形材料には、サンドブラスト処理が施されたキャビティ44の表面状態が反映されることになる。これにより、支持部材にブレード部材が形成されて現像ブレードが製造される。製造された現像ブレードのブレード部材の表面形状は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ44の表面状態が反映された微細な凹凸を備えた形状となる。
使用する成形材料は、上述の製造方法で挙げた成形材料と同様のものを例示することができる。
【0028】
(現像ブレード)
図9は、本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。図9に示されるように、現像ブレード51は、支持部材52の1つの端側部52Aに沿って形成されたブレード部材54と、このブレード部材54の長さ方向(矢印a方向)に延設されたスカート部55とを備えている。このスカート部55は、ブレード部材54の幅方向(矢印b方向)に段差を設けることなく連設されている。
【0029】
この本発明の現像ブレード51のブレード部材54の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材54を備えた本発明の現像ブレード51は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
本発明の現像ブレード51を構成するブレード部材54の材質は、上述の現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質と同様とすることができる。
【0030】
このような本発明の現像ブレード51は、上述の上金型42と下金型3を用いた本発明の製造方法により製造することができる。すなわち、上述の本発明の製造方法によって現像ブレード51を製造することにより、ブレード部材54の表面は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ44の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。この微細な凹凸形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下となる。
尚、現像ブレード51を構成する支持部材52は、端側部52Aに対向する端側部52Bに沿って複数の穴部53を備えている。
また、現像ブレード51を構成する支持部材52は、上述の現像ブレード11を構成する支持部材12と同様とすることができる。
【0031】
[第4の実施形態]
(製造方法)
図10は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図であり、(A)、(B)、(C)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線、C−C線に相当する部位での矢視断面図である。この図10に示される金型61は、上金型62と下金型63とからなっている。上金型62は、ブレード部材を形成するためのキャビティ64と支持部材挿入用の凹部68が形成された型面62Aと、キャビティ64の長さ方向(図面に垂直な方向)の一方の端部側の背面部64aに設けられた注入部65(図10(A)参照)と、この注入部65に位置するゲート66と、キャビティ64の長さ方向の他方の端部側の背面部64aに設けられた溜め部67(図10(C)参照)を備えている。また、キャビティ64の最深部(上金型62の型面62Aから最も深い部位)の壁面は湾曲凹部をなしている。また、支持部材挿入用の凹部68は、キャビティ64の所望の部位に支持部材72の1つの端側部72Aが位置するように、支持部材72の形状、厚みに対応させて形成されている。一方、下金型63は、平らな型面63Aを有している。この上金型62も、キャビティ64は#150〜#1000の範囲の研磨材を用いた上述のようなサンドブラスト処理が施されている。
【0032】
尚、注入部65と溜め部67の配設位置は、キャビティ64の長さ方向において逆であってもよい。また、注入部65と溜め部67の深さ、幅(キャビティ64の長さ方向)、および、長さ(キャビティ64の長さ方向に直交する方向)は、適宜設定することができる。
【0033】
このような上金型62と下金型63は、図示のように、支持部材挿入用の凹部68に支持部材72を挿入し、キャビティ64に支持部材72の1つの端側部72Aが位置した状態で型合わせして型締めされ、ゲート66から成形材料を注入する。上金型62と下金型63との型締め圧は、例えば、0.5〜3MPa/キャビティーの範囲で設定することができる。そして、キャビティ64に充填された成形材料には、サンドブラスト処理が施されたキャビティ64の表面状態が反映されることになる。これにより、支持部材72にブレード部材が形成されて現像ブレードが製造され、ブレード部材の表面形状はサンドブラスト処理が施されたキャビティ64の表面状態が反映された微細な凹凸を備えた形状となる。
尚、使用する成形材料は、上述の製造方法で挙げた成形材料と同様のものを例示することができる。
【0034】
(現像ブレード)
図11は、本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。図11に示されるように、現像ブレード71は、支持部材72と、この支持部材72の1つの端側部72Aに沿って、かつ、端側部72Aを被覆するように形成されたブレード部材74とを備えている。このブレード部材74は、現像ローラとの接触領域が曲面をなすものである。
【0035】
この本発明の現像ブレード71のブレード部材74の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材74を備えた本発明の現像ブレード71は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
本発明の現像ブレード71を構成するブレード部材74の材質は、上述の現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質と同様とすることができる。
【0036】
このような本発明の現像ブレード71は、上述の上金型62と下金型63を用いた本発明の製造方法により製造することができる。すなわち、上述の本発明の製造方法によって現像ブレード71を製造することにより、ブレード部材74の表面は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ64の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。この微細な凹凸形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下となる。
尚、現像ブレード71を構成する支持部材72は、端側部72Aに対向する端側部72Bに沿って複数の穴部53を備えている。
また、現像ブレード71を構成する支持部材72は、上述の現像ブレード11を構成する支持部材12と同様とすることができる。
【0037】
[第5の実施形態]
(製造方法)
図12は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図であり、(A)、(B)、(C)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線、C−C線に相当する部位での矢視断面図である。この図12に示される金型81は、上金型82と下金型83とからなる。
上金型82は、ブレード部材を形成するためのキャビティ84が形成された型面82Aと、キャビティ84の長さ方向(図面に垂直な方向)の一方の端部近傍で背面部84aに設けられた注入部85(図12(A)参照)と、この注入部85に位置するゲート86と、キャビティ84の長さ方向の他方の端部近傍で背面部84aに設けられた表裏連通部88(図12(C)参照)とを備えている。
【0038】
また、下金型83は、ブレード部材を形成するためのキャビティ84′が形成された型面83Aと、このキャビティ84′の長さ方向(図面に垂直な方向)の一方の端部近傍で背面部84′aに設けられた溜め部87(図12(A)参照)と、キャビティ84′の長さ方向の他方の端部近傍で背面部84′aに設けられた表裏連通部88′(図12(C)参照)とを備えている。
このような上金型82と下金型83も、そのキャビティ84、84′は#150〜#1000の範囲の研磨材を用いた上述のようなサンドブラスト処理が施されている。
【0039】
そして、キャビティ84とキャビティ84′が支持部材92を介して対向し、表裏連通部88と表裏連通部88′が支持部材92を介して対向し、かつ、表裏連通部88と表裏連通部88′とが対向する部位に支持部材92の貫通孔99が位置するように支持部材92を挿入した状態で上金型82と下金型83とを型合わせして型締めする。その後、ゲート86から成形材料を注入してキャビティ84,84′内に充填することにより、現像ブレードが製造される。
【0040】
このようにゲート86が位置する注入部85から注入された成形材料は、図13に鎖線で示す流れに沿って、上金型82のキャビティ84内を流れて表裏連通部88に到達する。そして、ここに位置する支持部材92の貫通孔99を通り抜けて表裏連通部88′に至り、その後、下金型83のキャビティ84′内を流れ、オーバーフローして溜め部87に到達する。このため、キャビティ84,84′における成形材料の流れが良く、ヒケ、ウエルドの発生が防止される。また、成形材料中に気泡が存在しても、オーバーフロー用の溜め部87に気泡を集めて脱気することができ、気泡が存在せず緻密で均一な厚みのブレード部材の成形が可能である。
製造された現像ブレードのブレード部材の表面は、上述のように、サンドブラスト処理が施されたキャビティ84とキャビティ84′の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。
尚、使用する成形材料は、上述の製造方法で挙げた成形材料と同様のものを例示することができる。
【0041】
(現像ブレード)
図14は、本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す図であり(A)は正面図、(B)は背面図である。また、図15は図14に示される現像ブレードのA−A線矢視断面図である。図14および図15に示されるように、現像ブレード91は、支持部材92と、この支持部材92の1つの端側部92Aに沿って一方の面に形成されたブレード部材94と他方の面に形成されたブレード部材94′とを備えている。
【0042】
ブレード部材94は、支持部材99の端側部92Aに沿って形成されており、現像ローラとの接触領域が曲面をなしている。また、ブレード部材94の長さ方向(図14の矢印a方向)の一方の端部近傍にはスカート部95が、他方の端部近傍にはスカート部98が形成されている。
ブレード部材94′は、支持部材92を介してブレード部材94と対向するように端側部92Aに沿って形成されており、現像ローラとの接触領域が曲面をなしている。また、ブレード部材94′の長さ方向(図14の矢印a方向)の一方の端部近傍には、支持部材92を介して上記のスカート部98と対向するようにスカート部98′が形成されている。そして、スカート部98とスカート部98′とが対向する部位の支持部材92には、貫通孔99が存在する。
【0043】
このような本発明の現像ブレード91のブレード部材94、94′の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材94、94′を備えた本発明の現像ブレード91は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
【0044】
現像ブレード91を構成する支持部材92は、端側部92Aに対向する端側部92Bに沿って複数の穴部93を備えている。尚、穴部93は取り付け用、位置決め用等、任意に設定することができ、図示例に限定されるものではない。
尚、本発明の現像ブレード91を構成するブレード部材94の材質は、上述の現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質と同様とすることができる。
【0045】
[第6の実施形態]
(製造方法)
図16は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図であり、(A)、(B)、(C)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線、C−C線に相当する部位での矢視断面図である。この図16に示される金型101は、上金型102と下金型103とからなる。
上金型102は、ブレード部材を形成するためのキャビティ104と支持部材挿入用の凹部108が形成された型面102Aと、キャビティ104の長さ方向(図面に垂直な方向)の一方の端部近傍で背面部104aに設けられた注入部105(図16(A)参照)と、この注入部105に位置するゲート106とを備えている。
また、下金型103は、ブレード部材を形成するためのキャビティ104′が形成された型面103Aと、このキャビティ104′の長さ方向(図面に垂直な方向)の一方の端部近傍で背面部104′aに設けられた溜め部107(図16(C)参照)とを備えている。
【0046】
このような上金型102と下金型103も、そのキャビティ104、104′は#150〜#1000の範囲の研磨材を用いた上述のようなサンドブラスト処理が施されている。
そして、キャビティ104とキャビティ104′が支持部材112を介して対向し、キャビティ104とキャビティ104′とが対向する空間に支持部材112の端側部112Aが位置するように支持部材112を挿入(凹部108に挿入)した状態で上金型102と下金型103とを型合わせして型締めする。その後、ゲート106から成形材料を注入してキャビティ104,104′内を充填することにより、現像ブレードが製造される。
【0047】
このようにゲート106が位置する注入部105から注入された成形材料は、図17に鎖線で示す流れに沿って、上金型102のキャビティ104内と下金型103のキャビティ104′内を同時に流れ、オーバーフローして溜め部107に到達する。このため、キャビティ104,104′における成形材料の流れが良く、ヒケ、ウエルドの発生が防止される。また、成形材料中に気泡が存在しても、オーバーフロー用のキャビティ溜め部107に気泡を集めて脱気することができ、気泡が存在せず緻密で均一な厚みのブレード部材の成形が可能である。
製造された現像ブレードのブレード部材の表面は、上述のように、サンドブラスト処理が施されたキャビティ104とキャビティ104′の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。
尚、使用する成形材料は、上述の製造方法で挙げた成形材料と同様のものを例示することができる。
【0048】
(現像ブレード)
図18は、本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す図であり(A)は正面図、(B)は背面図である。また、図19は図18に示される現像ブレードのA−A線矢視断面図である。図18および図19に示されるように、本発明の現像ブレード111は、支持部材112と、この支持部材112の1つの端側部112Aに沿って一方の面に形成されたブレード部材114と他方の面に形成されたブレード部材114′とを備えている。これらのブレード部材114とブレード部材114′は、端側部112Aを被覆するように形成されている。すなわち、現像ブレード111の先端部においてブレード部材114とブレード部材114′とが連続している。また、ブレード部材114とブレード部材114′は、現像ローラとの接触領域が曲面をなし、ブレード部材114の一方の端部近傍にはスカート部115が形成されている。
【0049】
このような本発明の現像ブレード111のブレード部材114、114′の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材114、114′を備えた本発明の現像ブレード91は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
【0050】
現像ブレード111を構成する支持部材112は、端側部112Aに対向する端側部112Bに沿って複数の穴部113を備えている。尚、穴部113は取り付け用、位置決め用等、任意に設定することができ、図示例に限定されるものではない。
尚、本発明の現像ブレード111を構成するブレード部材114の材質は、上述の現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質と同様とすることができる。
上述の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
支持部材として、厚さ0.1mm、幅18mm、長さ240mmのSUS301板材を準備した。また、成形材料として、液状シリコーンゴムと硬化剤の混合物(旭化成ワッカー(株)製 LR3303)を準備した。
【0052】
一方、図1、図2に示されるような射出成形金型を準備し、キャビティに対して#80〜#1500の10種の研磨材を用いて下記の条件でサンドブラスト処理を施して、10種の射出成形金型を作製した。
(サンドブラスト処理条件)
・処理装置 : 加圧式ブラスト装置
((株)不二製作所製 SGF−5型)
・圧力 : 4kg/cm2、
・距離 : 100mm
・角度 : 90°
【0053】
また、図1、図2に示されるような射出成形金型を準備し、キャビティに対して#80〜#320の4種のガラス研磨材を用いて上記と同様の条件でブラスト処理を施して、4種の射出成形金型を作製した。
【0054】
次いで、上記の14種の射出成形金型と上記の支持部材を使用して、14種の現像ブレード(試料1〜14)を作製した。
このように作製した各現像ブレード(試料1〜14)のブレード部材の最大高さ粗さRy、負荷長さ率tp(切断レベル30%)を下記の条件で測定して、結果を下記の表1に示した。
(最大高さ粗さRyの測定条件)
・測定装置 : 表面粗さ計(東京精密(株)製 サーフコム2800E)
(負荷長さ率tp(切断レベル30%)の測定条件)
・基準長さ : 0.8mm
・測定装置 : 表面粗さ計(東京精密(株)製 サーフコム2800E)
【0055】
また、作製した各現像ブレード(試料1〜14)をレーザプリンタ(ブラザー工業(株)製 HL5240)に装着し、現像ロールの回転速度を24ppmとして画像形成を行なった。形成した画像の濃度、スジの有無を観察し、結果を下記の表1に示した。
【0056】
【表1】
【0057】
表1に示されるように、キャビティに対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いてサンドブラスト処理を施した射出成形金型を用いて作製した現像ブレード(試料3〜8)は、ブレード部材の最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下であり、高速型のレーザプリンタにおいて十分な濃度を有する良好な画像を形成できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0058】
電子写真画像形成装置の現像装置に用いられる現像ブレードに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の一例を示す平面図である。
【図2】下金型と図1に示される上金型とを型締めした状態を示す断面図であって(A)は図1のA−A線矢視断面図、(B)は図1のB−B線矢視断面図、(C)は図1のC−C線矢視断面図である。
【図3】本発明の現像ブレードの一実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3に示される現像ブレードの平面図である。
【図5】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の他の例を示す平面図である。
【図7】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の他の例を示す平面図である。
【図9】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図である。
【図11】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。
【図12】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図である。
【図13】図12に示される金型を、キャビティの長手方向に沿って切断した状態を示す断面図である。
【図14】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す図であり(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図15】図14に示される現像ブレードのA−A線矢視断面図である。
【図16】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図である。
【図17】図16に示される金型を、キャビティの長手方向に沿って切断した状態を示す断面図である。
【図18】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す図であり(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図19】図18に示される現像ブレードのA−A線矢視断面図である。
【図20】現像装置の構造の一例を示す図である。
【図21】従来の現像ブレードの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1,61,81,101…金型
2,22,42,62,82,102…上金型
3,63,83,103…下金型
4,24,44,64,84,84′,104,104′…キャビティ
5,65,85,105…注入部
25,45…注入・溜め部
6,26,46,66,86,106…ゲート
7,27,47,67,87,107…溜め部
11,31,51,71,91,111…現像ブレード
12,32,52,72,92,112…支持部材
14,34,54,74,94,94′,114,114′…ブレード部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ブレードとその製造方法に係り、特に高速度型のレーザプリンタ、複写機、ファクシミリ等の電子写真画像形成装置の現像装置に用いる現像ブレードとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置では、感光体ドラム上の潜像を現像するための現像装置を備えている。この現像装置は、例えば、図20に示されるように、ホッパー202、現像ローラ203、回動可能な攪拌板204、現像ブレード205を備えたような構造の現像装置201が知られている(特許文献1)。この現像装置201では、ホッパー202内の現像剤206が攪拌板204により現像ローラ203に供給され、現像ブレード205と現像ローラ203との摩擦帯電により現像ローラ203の周面上に現像剤が薄層で均一に担持される。そして、潜像が形成されている感光体ドラム207に現像ローラ203から現像剤206が移行して現像が行われる。
従来の現像ブレード205としては、例えば、図21に示すように、厚みが0.1mm程度の金属製の支持部材212の端側部212Aに沿って、ゴム製のブレード部材214を備えた構造のものが知られている。
【特許文献1】特開2003−43812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、レーザプリンタ等の電子写真画像形成装置の高速化が進み、現像ローラ203が高速回転(例えば、24ppm以上)する場合、従来の現像ブレードでは、形成される画像の濃度が不十分であったり、画像にスジが発生するという問題があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、電子写真画像形成装置の高速化に対応可能な現像ブレードと、このような現像ブレードの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような目的を達成するために、本発明の現像ブレードは、支持部材と、該支持部材の1つの端側部に沿って配設されたブレード部材とを備え、前記ブレード部材の表面形状は最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記ブレード部材は、前記支持部材の前記端側部をその両端部を除いて被覆するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記ブレード部材は、前記支持部材の両面に配設されているような構成とした。
【0005】
また、本発明は、支持部材の1つの端側部に沿って配設されたブレード部材を備える現像ブレードの製造方法において、ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面と該キャビティに連通するゲートとを備えるとともに、前記キャビティに対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された上金型と、平らな型面を有する下金型とを使用し、前記キャビティに前記支持部材の少なくとも一部が位置するように上金型と下金型とを型合わせして型締めし、前記ゲートから成形材料を注入して前記キャビティ内に充填するような構成とした。
【0006】
また、本発明は、支持部材の1つの端側部に沿って両面に配設されたブレード部材を備える現像ブレードの製造方法において、ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面と該キャビティに連通するゲートとを備えるとともに、前記キャビティに対して#150〜#1000範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された上金型と、ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面を備えるとともに、該キャビティに対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された下金型とを使用し、前記キャビティが前記支持部材を介して対向するように上金型と下金型とを型合わせして型締めし、前記ゲートから成形材料を注入して対向する前記キャビティ内に充填するような構成とした。
【0007】
本発明の他の態様として、前記サンドブラスト処理は加圧式ブラスト装置を使用し、前記研磨材はセラミック系の研磨材を使用するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記キャビティは、少なくとも最深部の壁面が湾曲凹部をなすような構成とした。
本発明の他の態様として、前記成形材料は液状シリコーンゴムと硬化剤の混合物であるような構成とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の現像ブレードでは、ブレード部材の最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下であるので、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができ、これにより、電子写真画像形成装置の高速化に対応することができる。
また、本発明の製造方法では、キャビティに対して所定の条件でサンドブラスト処理が施されているので、製造された現像ブレードのブレード部材の表面形状は、キャビティの表面形状を反映して微細な凹凸を備えた形状、すなわち、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下となり、このようなブレード部材を備えた現像ブレードは、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができ、これにより、電子写真画像形成装置の高速化に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
[第1の実施形態]
(製造方法)
図1は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の一例を示す平面図であり、図2は下金型と図1に示される上金型とを型締めした状態を示す断面図であって(A)は図1のA−A線での矢視断面図、(B)は図1のB−B線での矢視断面図、(C)は図1のC−C線での矢視断面図である。
図1および図2において、本発明で使用する金型1は、上金型2と下金型3とからなる。上金型2は、ブレード部材を形成するためのキャビティ4が形成された型面2A(図1に斜線を付して示した平面)と、キャビティ4の長さ方向(図1の矢印a方向)の一方の端部側の背面部4aに設けられた注入部5と、この注入部5に位置する1個のゲート6と、キャビティ4の長さ方向の他方の端部側の背面部4aに設けられた溜め部7を備えている。また、キャビティ4の最深部(上金型2の型面2Aから最も深い部位)の壁面は湾曲凹部をなしている。一方、下金型3は、平らな型面3Aを有している。
【0010】
尚、注入部5と溜め部7の配設位置は、キャビティ4の長さ方向において逆であってもよい。また、注入部5と溜め部7の深さ、幅(キャビティ4の長さ方向)、および、長さ(キャビティ4の長さ方向に直交する方向)は、適宜設定することができる。
【0011】
本発明では、上金型2として、上記のキャビティ4に対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施されたものを使用する。サンドブラスト処理に用いる研磨材が#1000よりも微細な粒度であると、製造される現像ブレードのブレード部材と現像ローラとの接触面積が大きくなり、両者の摩擦抵抗により現像ローラの回転に支障を来たすことがあり、また、現像ブレードと現像ローラがスリップしてしまい良好な画像を形成できないことがある。一方、研磨材が#150よりも粗い粒度である場合、製造される現像ブレードのブレード部材と現像ローラとの接触面積が小さくなり、両者の摩擦が低下して現像剤に十分な帯電を生じさせることが困難となり、形成される画像の濃度が薄いものとなる。また、現像ブレードのブレード部材の微細な凸部が現像ロールによって削られ、異物として現像剤中に混入することもあり好ましくない。
【0012】
サンドブラスト処理に用いる研磨材の材質は、セラミックが好ましく、具体的には炭化珪素(商品名カーボランダム等)、アランダム、エメリー等を挙げることができる。また、サンドブラスト処理は、加圧式ブラスト装置、バキュームブラスト装置、ウエットブラスト装置、超高圧水噴射式ブラスト装置、遠心力式ブラスト装置等を用いて行なうことができるが、特に加圧式ブラスト装置が好ましい。さらに、処理条件は、例えば、圧力を1〜10kg/cm2、装置と被処理物(上金型2のキャビティ4)との距離を50〜200mm、被処理物に対する研磨材のブラスト角度(上金型2の平らな型面2Aに対する角度)を90°±20°の範囲で適宜設定することができる。より具体的な処理条件の例として、圧力4kg/cm2、距離100mm、角度90°を挙げることができる。
【0013】
このような上金型2と下金型3は、キャビティ4が支持部材12で閉塞されるように型合わせして型締めされる。上金型2と下金型3との型締め圧は、例えば、0.5〜3MPa/キャビティーの範囲で設定することができる。
その後、ゲート6から成形材料を注入することにより、成形材料は図1に鎖線で示す流れに沿って、キャビティ4内を流れて充填し、オーバーフローして溜め部7に到達する。そして、キャビティ4に充填された成形材料には、サンドブラスト処理が施されたキャビティ4の表面状態が反映されることになる。これにより、支持部材12にブレード部材が形成されて現像ブレードが製造される。製造された現像ブレードのブレード部材の表面形状は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ4の表面状態が反映された微細な凹凸を備えた形状となる。
【0014】
使用する成形材料としては、例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、水素化ニトリルゴム等を挙げることができ、この中でシリコーンゴムが特に好ましく、具体的には、液状シリコーンゴムと硬化剤との混合物、LR3303(旭化成ワッカー(株)製)等を挙げることができる。
【0015】
尚、上述のようなキャビティ4における成形材料の流れは良好であり、ヒケ、ウエルドの発生が防止される。また、成形材料中に気泡が存在しても、オーバーフロー用の溜め部7に気泡を集めて脱気することができ、気泡が存在せず緻密で均一な厚みのブレード部材の成形が可能である。
【0016】
(現像ブレード)
図3は、本発明の現像ブレードの一実施形態を示す斜視図であり、図4は図3に示される現像ブレードの平面図である。図3および図4に示されるように、現像ブレード11は、支持部材12と、この支持部材12の1つの端側部12Aに沿って形成されたブレード部材14とを備えている。このブレード部材14は、現像ローラとの接触領域が曲面をなすものである。
この本発明の現像ブレード11のブレード部材14の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材14を備えた本発明の現像ブレード11は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
【0017】
ここで、最大高さ粗さRyは、粗さ曲線の山高さRpの最大値と谷高さRvの最大値の和であり、本発明では、表面粗さ計(東京精密(株)製 サーフコム2800E)を使用して測定する。以下の説明においても同様である。
また、負荷長さ率tp(切断レベル30%)は、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さ(0.8mm)だけ抜き取り、この抜き取り部分の粗さ曲線を山頂線に平行な切断レベル(Ryの30%)で切断したときに得られる水平長さの和(負荷長さηp)の基準長さに対する比を百分率で表したものである。本発明では、表面粗さ計(東京精密(株)製 サーフコム2800E)を使用して測定する。以下の説明においても同様である。
【0018】
本発明の現像ブレード11を構成する支持部材12の材質には特に制限はなく、例えば、SUS301、SUS304等のステンレス鋼、C5210等のバネ用リン青銅等からなる金属基板、セラミックス基板、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂基板等を挙げることができ、厚みは、例えばステンレスであれば0.1mm程度が好ましい。また、支持部材12は、端側部12Aに対向する端側部12Bに沿って複数の穴部13を備えている。この穴部13は取り付け用、位置決め用等、任意に設定することができ、図示例に限定されるものではない。
【0019】
現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質は、例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、水素化ニトリルゴム等を挙げることができ、この中で特にシリコーンゴムが好ましい。
このような本発明の現像ブレード11は、上述の上金型2と下金型3を用いた本発明の製造方法により製造することができる。すなわち、上述の本発明の製造方法によって現像ブレード11を製造することにより、ブレード部材14の表面は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ4の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。この微細な凹凸形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下となる。
【0020】
尚、ブレード部材14の長さ方向(図3、図4に矢印aで示される方向)の一方の端部近傍にはスカート部15が連設されている。このスカート部15は、上述の上金型2においてゲート6が位置している注入部5によって成形された部位である。他方、上述の上金型2における溜め部7には、キャビティ4からオーバーフローした成形材料が溜まり、例えば、図4に2点鎖線(想像線)で示すような突起物17が形成される。図4では、この突起物17が削除された状態が示されている。また、キャビティ4からオーバーフローした成形材料が溜め部7に溜まり、図5に示すような溜め部7に対応した形状の突起物17を備えた現像ブレード11であってもよい。
【0021】
[第2の実施形態]
(製造方法)
図6は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の他の例を示す平面図である。本発明の現像ブレードの製造方法は、上金型に注入部と溜め部を独立して設ける上述の実施形態に限定されるものではない。図6に示される例では、上金型22は、ブレード部材を成形するための断面が半円形状のキャビティ24と、このキャビティ24の長さ方向(図6に矢印aで示される方向)に沿ってキャビティ24の背面部24a側に延設された注入・溜め部25と、注入・溜め部25の一方の端部に位置するゲート26を備えている。そして、注入・溜め部25において、ゲート26が位置する側と反対側の部位が溜め部27となっており、注入部と溜め部とが独立していない構造である。この場合も、上記のキャビティ24は、上述のように、#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施されている。このサンドブラスト処理は、注入・溜め部25にも施されてもよい。尚、図6にて斜線を付した部位は平坦な型面22Aである。
【0022】
このような上金型22と上述の下金型3とを用いて、図2と同様にして、キャビティ24が支持部材で閉塞されるように型合わせして型締めされる。上金型22と下金型3との型締め圧は、例えば、0.5〜3MPa/キャビティーの範囲で設定することができる。
その後、ゲート26から成形材料を注入することにより、成形材料はキャビティ24内を流れて充填する。そして、キャビティ24に充填された成形材料には、サンドブラスト処理が施されたキャビティ24の表面状態が反映されることになる。これにより、支持部材にブレード部材が形成されて現像ブレードが製造される。製造された現像ブレードのブレード部材の表面形状は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ24の表面状態が反映された微細な凹凸を備えた形状となる。
使用する成形材料は、上述の製造方法で挙げた成形材料と同様のものを例示することができる。
【0023】
(現像ブレード)
図7は、本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。図7に示されるように、現像ブレード31は、支持部材32と、この支持部材32の1つの端側部32Aに沿って形成されたブレード部材34と、このブレード部材34の長さ方向(矢印aで示される方向)に沿って連続しているスカート部35とを備えている。このブレード部材34は、現像ローラとの接触領域が曲面をなすものである。
【0024】
この本発明の現像ブレード31のブレード部材34の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材34を備えた本発明の現像ブレード31は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
本発明の現像ブレード31を構成するブレード部材34の材質は、上述の現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質と同様とすることができる。
【0025】
このような本発明の現像ブレード31は、上述の上金型22と下金型3を用いた本発明の製造方法により製造することができる。すなわち、上述の本発明の製造方法によって現像ブレード31を製造することにより、ブレード部材34の表面は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ24の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。この微細な凹凸形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下となる。
尚、現像ブレード31を構成する支持部材32は、端側部32Aに対向する端側部32Bに沿って複数の穴部33を備えている。
また、現像ブレード31を構成する支持部材32は、上述の現像ブレード11を構成する支持部材12と同様とすることができる。
【0026】
[第3の実施形態]
(製造方法)
図8は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の他の例を示す平面図である。図8に示される上金型42は、ブレード部材を成形するためのキャビティ44と、このキャビティ44の長さ方向(図8に矢印aで示される方向)に沿って延設され、かつ、キャビティ44から矢印b方向に段差を設けることなく連続的に形成された注入・溜め部45と、注入・溜め部45の一方の端部側に位置するゲート46を備えている。この注入・溜め部45のゲート46が位置する側と反対側は、溜め部47となっており、注入部と溜め部とが独立していない構造である。この場合も、上記のキャビティ44は、#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施されており、注入・溜め部45にもサンドブラスト処理が施されてもよい。尚、図8にて斜線を付した部位は平坦な型面42Aである。
【0027】
このような上金型42と上述の下金型3とを用いて、図2と同様にして、キャビティ44が支持部材で閉塞されるように型合わせして型締めされる。上金型42と下金型3との型締め圧は、例えば、0.5〜3MPa/キャビティーの範囲で設定することができる。
その後、ゲート46から成形材料を注入することにより、成形材料はキャビティ44内を流れて充填する。そして、キャビティ44に充填された成形材料には、サンドブラスト処理が施されたキャビティ44の表面状態が反映されることになる。これにより、支持部材にブレード部材が形成されて現像ブレードが製造される。製造された現像ブレードのブレード部材の表面形状は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ44の表面状態が反映された微細な凹凸を備えた形状となる。
使用する成形材料は、上述の製造方法で挙げた成形材料と同様のものを例示することができる。
【0028】
(現像ブレード)
図9は、本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。図9に示されるように、現像ブレード51は、支持部材52の1つの端側部52Aに沿って形成されたブレード部材54と、このブレード部材54の長さ方向(矢印a方向)に延設されたスカート部55とを備えている。このスカート部55は、ブレード部材54の幅方向(矢印b方向)に段差を設けることなく連設されている。
【0029】
この本発明の現像ブレード51のブレード部材54の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材54を備えた本発明の現像ブレード51は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
本発明の現像ブレード51を構成するブレード部材54の材質は、上述の現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質と同様とすることができる。
【0030】
このような本発明の現像ブレード51は、上述の上金型42と下金型3を用いた本発明の製造方法により製造することができる。すなわち、上述の本発明の製造方法によって現像ブレード51を製造することにより、ブレード部材54の表面は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ44の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。この微細な凹凸形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下となる。
尚、現像ブレード51を構成する支持部材52は、端側部52Aに対向する端側部52Bに沿って複数の穴部53を備えている。
また、現像ブレード51を構成する支持部材52は、上述の現像ブレード11を構成する支持部材12と同様とすることができる。
【0031】
[第4の実施形態]
(製造方法)
図10は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図であり、(A)、(B)、(C)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線、C−C線に相当する部位での矢視断面図である。この図10に示される金型61は、上金型62と下金型63とからなっている。上金型62は、ブレード部材を形成するためのキャビティ64と支持部材挿入用の凹部68が形成された型面62Aと、キャビティ64の長さ方向(図面に垂直な方向)の一方の端部側の背面部64aに設けられた注入部65(図10(A)参照)と、この注入部65に位置するゲート66と、キャビティ64の長さ方向の他方の端部側の背面部64aに設けられた溜め部67(図10(C)参照)を備えている。また、キャビティ64の最深部(上金型62の型面62Aから最も深い部位)の壁面は湾曲凹部をなしている。また、支持部材挿入用の凹部68は、キャビティ64の所望の部位に支持部材72の1つの端側部72Aが位置するように、支持部材72の形状、厚みに対応させて形成されている。一方、下金型63は、平らな型面63Aを有している。この上金型62も、キャビティ64は#150〜#1000の範囲の研磨材を用いた上述のようなサンドブラスト処理が施されている。
【0032】
尚、注入部65と溜め部67の配設位置は、キャビティ64の長さ方向において逆であってもよい。また、注入部65と溜め部67の深さ、幅(キャビティ64の長さ方向)、および、長さ(キャビティ64の長さ方向に直交する方向)は、適宜設定することができる。
【0033】
このような上金型62と下金型63は、図示のように、支持部材挿入用の凹部68に支持部材72を挿入し、キャビティ64に支持部材72の1つの端側部72Aが位置した状態で型合わせして型締めされ、ゲート66から成形材料を注入する。上金型62と下金型63との型締め圧は、例えば、0.5〜3MPa/キャビティーの範囲で設定することができる。そして、キャビティ64に充填された成形材料には、サンドブラスト処理が施されたキャビティ64の表面状態が反映されることになる。これにより、支持部材72にブレード部材が形成されて現像ブレードが製造され、ブレード部材の表面形状はサンドブラスト処理が施されたキャビティ64の表面状態が反映された微細な凹凸を備えた形状となる。
尚、使用する成形材料は、上述の製造方法で挙げた成形材料と同様のものを例示することができる。
【0034】
(現像ブレード)
図11は、本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。図11に示されるように、現像ブレード71は、支持部材72と、この支持部材72の1つの端側部72Aに沿って、かつ、端側部72Aを被覆するように形成されたブレード部材74とを備えている。このブレード部材74は、現像ローラとの接触領域が曲面をなすものである。
【0035】
この本発明の現像ブレード71のブレード部材74の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材74を備えた本発明の現像ブレード71は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
本発明の現像ブレード71を構成するブレード部材74の材質は、上述の現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質と同様とすることができる。
【0036】
このような本発明の現像ブレード71は、上述の上金型62と下金型63を用いた本発明の製造方法により製造することができる。すなわち、上述の本発明の製造方法によって現像ブレード71を製造することにより、ブレード部材74の表面は、サンドブラスト処理が施されたキャビティ64の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。この微細な凹凸形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下となる。
尚、現像ブレード71を構成する支持部材72は、端側部72Aに対向する端側部72Bに沿って複数の穴部53を備えている。
また、現像ブレード71を構成する支持部材72は、上述の現像ブレード11を構成する支持部材12と同様とすることができる。
【0037】
[第5の実施形態]
(製造方法)
図12は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図であり、(A)、(B)、(C)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線、C−C線に相当する部位での矢視断面図である。この図12に示される金型81は、上金型82と下金型83とからなる。
上金型82は、ブレード部材を形成するためのキャビティ84が形成された型面82Aと、キャビティ84の長さ方向(図面に垂直な方向)の一方の端部近傍で背面部84aに設けられた注入部85(図12(A)参照)と、この注入部85に位置するゲート86と、キャビティ84の長さ方向の他方の端部近傍で背面部84aに設けられた表裏連通部88(図12(C)参照)とを備えている。
【0038】
また、下金型83は、ブレード部材を形成するためのキャビティ84′が形成された型面83Aと、このキャビティ84′の長さ方向(図面に垂直な方向)の一方の端部近傍で背面部84′aに設けられた溜め部87(図12(A)参照)と、キャビティ84′の長さ方向の他方の端部近傍で背面部84′aに設けられた表裏連通部88′(図12(C)参照)とを備えている。
このような上金型82と下金型83も、そのキャビティ84、84′は#150〜#1000の範囲の研磨材を用いた上述のようなサンドブラスト処理が施されている。
【0039】
そして、キャビティ84とキャビティ84′が支持部材92を介して対向し、表裏連通部88と表裏連通部88′が支持部材92を介して対向し、かつ、表裏連通部88と表裏連通部88′とが対向する部位に支持部材92の貫通孔99が位置するように支持部材92を挿入した状態で上金型82と下金型83とを型合わせして型締めする。その後、ゲート86から成形材料を注入してキャビティ84,84′内に充填することにより、現像ブレードが製造される。
【0040】
このようにゲート86が位置する注入部85から注入された成形材料は、図13に鎖線で示す流れに沿って、上金型82のキャビティ84内を流れて表裏連通部88に到達する。そして、ここに位置する支持部材92の貫通孔99を通り抜けて表裏連通部88′に至り、その後、下金型83のキャビティ84′内を流れ、オーバーフローして溜め部87に到達する。このため、キャビティ84,84′における成形材料の流れが良く、ヒケ、ウエルドの発生が防止される。また、成形材料中に気泡が存在しても、オーバーフロー用の溜め部87に気泡を集めて脱気することができ、気泡が存在せず緻密で均一な厚みのブレード部材の成形が可能である。
製造された現像ブレードのブレード部材の表面は、上述のように、サンドブラスト処理が施されたキャビティ84とキャビティ84′の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。
尚、使用する成形材料は、上述の製造方法で挙げた成形材料と同様のものを例示することができる。
【0041】
(現像ブレード)
図14は、本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す図であり(A)は正面図、(B)は背面図である。また、図15は図14に示される現像ブレードのA−A線矢視断面図である。図14および図15に示されるように、現像ブレード91は、支持部材92と、この支持部材92の1つの端側部92Aに沿って一方の面に形成されたブレード部材94と他方の面に形成されたブレード部材94′とを備えている。
【0042】
ブレード部材94は、支持部材99の端側部92Aに沿って形成されており、現像ローラとの接触領域が曲面をなしている。また、ブレード部材94の長さ方向(図14の矢印a方向)の一方の端部近傍にはスカート部95が、他方の端部近傍にはスカート部98が形成されている。
ブレード部材94′は、支持部材92を介してブレード部材94と対向するように端側部92Aに沿って形成されており、現像ローラとの接触領域が曲面をなしている。また、ブレード部材94′の長さ方向(図14の矢印a方向)の一方の端部近傍には、支持部材92を介して上記のスカート部98と対向するようにスカート部98′が形成されている。そして、スカート部98とスカート部98′とが対向する部位の支持部材92には、貫通孔99が存在する。
【0043】
このような本発明の現像ブレード91のブレード部材94、94′の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材94、94′を備えた本発明の現像ブレード91は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
【0044】
現像ブレード91を構成する支持部材92は、端側部92Aに対向する端側部92Bに沿って複数の穴部93を備えている。尚、穴部93は取り付け用、位置決め用等、任意に設定することができ、図示例に限定されるものではない。
尚、本発明の現像ブレード91を構成するブレード部材94の材質は、上述の現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質と同様とすることができる。
【0045】
[第6の実施形態]
(製造方法)
図16は、本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図であり、(A)、(B)、(C)はそれぞれ図1のA−A線、B−B線、C−C線に相当する部位での矢視断面図である。この図16に示される金型101は、上金型102と下金型103とからなる。
上金型102は、ブレード部材を形成するためのキャビティ104と支持部材挿入用の凹部108が形成された型面102Aと、キャビティ104の長さ方向(図面に垂直な方向)の一方の端部近傍で背面部104aに設けられた注入部105(図16(A)参照)と、この注入部105に位置するゲート106とを備えている。
また、下金型103は、ブレード部材を形成するためのキャビティ104′が形成された型面103Aと、このキャビティ104′の長さ方向(図面に垂直な方向)の一方の端部近傍で背面部104′aに設けられた溜め部107(図16(C)参照)とを備えている。
【0046】
このような上金型102と下金型103も、そのキャビティ104、104′は#150〜#1000の範囲の研磨材を用いた上述のようなサンドブラスト処理が施されている。
そして、キャビティ104とキャビティ104′が支持部材112を介して対向し、キャビティ104とキャビティ104′とが対向する空間に支持部材112の端側部112Aが位置するように支持部材112を挿入(凹部108に挿入)した状態で上金型102と下金型103とを型合わせして型締めする。その後、ゲート106から成形材料を注入してキャビティ104,104′内を充填することにより、現像ブレードが製造される。
【0047】
このようにゲート106が位置する注入部105から注入された成形材料は、図17に鎖線で示す流れに沿って、上金型102のキャビティ104内と下金型103のキャビティ104′内を同時に流れ、オーバーフローして溜め部107に到達する。このため、キャビティ104,104′における成形材料の流れが良く、ヒケ、ウエルドの発生が防止される。また、成形材料中に気泡が存在しても、オーバーフロー用のキャビティ溜め部107に気泡を集めて脱気することができ、気泡が存在せず緻密で均一な厚みのブレード部材の成形が可能である。
製造された現像ブレードのブレード部材の表面は、上述のように、サンドブラスト処理が施されたキャビティ104とキャビティ104′の表面状態を反映したものであり、微細な凹凸を備えた形状となる。
尚、使用する成形材料は、上述の製造方法で挙げた成形材料と同様のものを例示することができる。
【0048】
(現像ブレード)
図18は、本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す図であり(A)は正面図、(B)は背面図である。また、図19は図18に示される現像ブレードのA−A線矢視断面図である。図18および図19に示されるように、本発明の現像ブレード111は、支持部材112と、この支持部材112の1つの端側部112Aに沿って一方の面に形成されたブレード部材114と他方の面に形成されたブレード部材114′とを備えている。これらのブレード部材114とブレード部材114′は、端側部112Aを被覆するように形成されている。すなわち、現像ブレード111の先端部においてブレード部材114とブレード部材114′とが連続している。また、ブレード部材114とブレード部材114′は、現像ローラとの接触領域が曲面をなし、ブレード部材114の一方の端部近傍にはスカート部115が形成されている。
【0049】
このような本発明の現像ブレード111のブレード部材114、114′の表面形状は、最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μm、好ましくは0.35〜4.0μmの範囲であり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下、好ましくは12%以下の微細凹凸形状である。このようなブレード部材114、114′を備えた本発明の現像ブレード91は、現像ローラが高速回転(例えば、24ppm以上)した場合であっても、現像ローラとの摩擦抵抗の増大を抑制することができ、かつ、現像剤を十分に帯電させ現像ローラの周面上に現像剤を薄層で均一に担持させることができる。
【0050】
現像ブレード111を構成する支持部材112は、端側部112Aに対向する端側部112Bに沿って複数の穴部113を備えている。尚、穴部113は取り付け用、位置決め用等、任意に設定することができ、図示例に限定されるものではない。
尚、本発明の現像ブレード111を構成するブレード部材114の材質は、上述の現像ブレード11を構成するブレード部材14の材質と同様とすることができる。
上述の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
支持部材として、厚さ0.1mm、幅18mm、長さ240mmのSUS301板材を準備した。また、成形材料として、液状シリコーンゴムと硬化剤の混合物(旭化成ワッカー(株)製 LR3303)を準備した。
【0052】
一方、図1、図2に示されるような射出成形金型を準備し、キャビティに対して#80〜#1500の10種の研磨材を用いて下記の条件でサンドブラスト処理を施して、10種の射出成形金型を作製した。
(サンドブラスト処理条件)
・処理装置 : 加圧式ブラスト装置
((株)不二製作所製 SGF−5型)
・圧力 : 4kg/cm2、
・距離 : 100mm
・角度 : 90°
【0053】
また、図1、図2に示されるような射出成形金型を準備し、キャビティに対して#80〜#320の4種のガラス研磨材を用いて上記と同様の条件でブラスト処理を施して、4種の射出成形金型を作製した。
【0054】
次いで、上記の14種の射出成形金型と上記の支持部材を使用して、14種の現像ブレード(試料1〜14)を作製した。
このように作製した各現像ブレード(試料1〜14)のブレード部材の最大高さ粗さRy、負荷長さ率tp(切断レベル30%)を下記の条件で測定して、結果を下記の表1に示した。
(最大高さ粗さRyの測定条件)
・測定装置 : 表面粗さ計(東京精密(株)製 サーフコム2800E)
(負荷長さ率tp(切断レベル30%)の測定条件)
・基準長さ : 0.8mm
・測定装置 : 表面粗さ計(東京精密(株)製 サーフコム2800E)
【0055】
また、作製した各現像ブレード(試料1〜14)をレーザプリンタ(ブラザー工業(株)製 HL5240)に装着し、現像ロールの回転速度を24ppmとして画像形成を行なった。形成した画像の濃度、スジの有無を観察し、結果を下記の表1に示した。
【0056】
【表1】
【0057】
表1に示されるように、キャビティに対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いてサンドブラスト処理を施した射出成形金型を用いて作製した現像ブレード(試料3〜8)は、ブレード部材の最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下であり、高速型のレーザプリンタにおいて十分な濃度を有する良好な画像を形成できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0058】
電子写真画像形成装置の現像装置に用いられる現像ブレードに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の一例を示す平面図である。
【図2】下金型と図1に示される上金型とを型締めした状態を示す断面図であって(A)は図1のA−A線矢視断面図、(B)は図1のB−B線矢視断面図、(C)は図1のC−C線矢視断面図である。
【図3】本発明の現像ブレードの一実施形態を示す斜視図である。
【図4】図3に示される現像ブレードの平面図である。
【図5】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の他の例を示す平面図である。
【図7】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する上金型の他の例を示す平面図である。
【図9】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図である。
【図11】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す斜視図である。
【図12】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図である。
【図13】図12に示される金型を、キャビティの長手方向に沿って切断した状態を示す断面図である。
【図14】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す図であり(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図15】図14に示される現像ブレードのA−A線矢視断面図である。
【図16】本発明の現像ブレードの製造方法に使用する金型の他の例を示す図2相当の断面図である。
【図17】図16に示される金型を、キャビティの長手方向に沿って切断した状態を示す断面図である。
【図18】本発明の現像ブレードの他の実施形態を示す図であり(A)は正面図、(B)は背面図である。
【図19】図18に示される現像ブレードのA−A線矢視断面図である。
【図20】現像装置の構造の一例を示す図である。
【図21】従来の現像ブレードの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1,61,81,101…金型
2,22,42,62,82,102…上金型
3,63,83,103…下金型
4,24,44,64,84,84′,104,104′…キャビティ
5,65,85,105…注入部
25,45…注入・溜め部
6,26,46,66,86,106…ゲート
7,27,47,67,87,107…溜め部
11,31,51,71,91,111…現像ブレード
12,32,52,72,92,112…支持部材
14,34,54,74,94,94′,114,114′…ブレード部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、該支持部材の1つの端側部に沿って配設されたブレード部材とを備え、前記ブレード部材の表面形状は最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下であることを特徴とする現像ブレード。
【請求項2】
前記ブレード部材は、前記支持部材の前記端側部をその両端部を除いて被覆することを特徴とする請求項1に記載の現像ブレード。
【請求項3】
前記ブレード部材は、前記支持部材の両面に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像ブレード。
【請求項4】
支持部材の1つの端側部に沿って配設されたブレード部材を備える現像ブレードの製造方法において、
ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面と該キャビティに連通するゲートとを備えるとともに、前記キャビティに対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された上金型と、平らな型面を有する下金型とを使用し、前記キャビティに前記支持部材の少なくとも一部が位置するように上金型と下金型とを型合わせして型締めし、前記ゲートから成形材料を注入して前記キャビティ内に充填することを特徴とする現像ブレードの製造方法。
【請求項5】
支持部材の1つの端側部に沿って両面に配設されたブレード部材を備える現像ブレードの製造方法において、
ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面と該キャビティに連通するゲートとを備えるとともに、前記キャビティに対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された上金型と、ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面を備えるとともに、該キャビティに対して#150〜#1000範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された下金型とを使用し、前記キャビティが前記支持部材を介して対向するように上金型と下金型とを型合わせして型締めし、前記ゲートから成形材料を注入して対向する前記キャビティ内に充填することを特徴とする現像ブレードの製造方法。
【請求項6】
前記サンドブラスト処理は加圧式ブラスト装置を使用し、前記研磨材はセラミック系の研磨材を使用することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の現像ブレードの製造方法。
【請求項7】
前記キャビティは、少なくとも最深部の壁面が湾曲凹部をなすことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の現像ブレードの製造方法。
【請求項8】
前記成形材料は液状シリコーンゴムと硬化剤の混合物であることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれかに記載の現像ブレードの製造方法。
【請求項1】
支持部材と、該支持部材の1つの端側部に沿って配設されたブレード部材とを備え、前記ブレード部材の表面形状は最大高さ粗さRyが0.35〜4.5μmであり、かつ、負荷長さ率tp(切断レベル30%)が15%以下であることを特徴とする現像ブレード。
【請求項2】
前記ブレード部材は、前記支持部材の前記端側部をその両端部を除いて被覆することを特徴とする請求項1に記載の現像ブレード。
【請求項3】
前記ブレード部材は、前記支持部材の両面に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像ブレード。
【請求項4】
支持部材の1つの端側部に沿って配設されたブレード部材を備える現像ブレードの製造方法において、
ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面と該キャビティに連通するゲートとを備えるとともに、前記キャビティに対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された上金型と、平らな型面を有する下金型とを使用し、前記キャビティに前記支持部材の少なくとも一部が位置するように上金型と下金型とを型合わせして型締めし、前記ゲートから成形材料を注入して前記キャビティ内に充填することを特徴とする現像ブレードの製造方法。
【請求項5】
支持部材の1つの端側部に沿って両面に配設されたブレード部材を備える現像ブレードの製造方法において、
ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面と該キャビティに連通するゲートとを備えるとともに、前記キャビティに対して#150〜#1000の範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された上金型と、ブレード部材成形用のキャビティが形成された型面を備えるとともに、該キャビティに対して#150〜#1000範囲の研磨材を用いたサンドブラスト処理が施された下金型とを使用し、前記キャビティが前記支持部材を介して対向するように上金型と下金型とを型合わせして型締めし、前記ゲートから成形材料を注入して対向する前記キャビティ内に充填することを特徴とする現像ブレードの製造方法。
【請求項6】
前記サンドブラスト処理は加圧式ブラスト装置を使用し、前記研磨材はセラミック系の研磨材を使用することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の現像ブレードの製造方法。
【請求項7】
前記キャビティは、少なくとも最深部の壁面が湾曲凹部をなすことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の現像ブレードの製造方法。
【請求項8】
前記成形材料は液状シリコーンゴムと硬化剤の混合物であることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれかに記載の現像ブレードの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−170923(P2008−170923A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61458(P2007−61458)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000005175)藤倉ゴム工業株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000005175)藤倉ゴム工業株式会社 (120)
【Fターム(参考)】
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