説明

現像剤供給装置

【課題】装置サイズを小型化しつつ、現像剤を現像剤担持面上に良好に担持させること。
【解決手段】 供給用電界搬送基板は、担持位置にて、現像剤担持面の移動方向とは逆方向に現像剤を搬送する。現像剤供給位置を経て現像剤担持面上に残留した現像剤を回収するための回収用電界搬送基板は、ケーシングの内壁面に支持されつつ、回収位置にて、現像剤担持面の移動方向と同じ方向に現像剤を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、特開2008−70803号公報等に開示されているものが知られている。この公報に開示された装置は、現像剤担持部材(現像ローラ)と上流側現像剤搬送手段と下流側現像剤搬送手段とを備えている。前記現像剤担持部材は、帯電した前記現像剤を担持するための現像剤担持面を有していて、所定の現像領域にて、前記供給対象としての静電潜像担持体(感光体ドラム)と対向するように設けられている。
【0003】
前記上流側現像剤搬送手段は、前記現像領域よりも前記現像剤担持面の移動方向における上流側にて当該現像剤担持面と所定の距離を隔てて対向する、上流側搬送面を有している。この上流側現像剤搬送手段は、上流側搬送電界(前記上流側搬送面上の前記現像剤を前記現像剤担持面の移動方向における上流側から下流側に向けて移動させるための電界)を形成するように構成されている。前記下流側現像剤搬送手段は、前記現像領域よりも前記現像剤担持面の移動方向における下流側にて当該現像剤担持面と所定の距離を隔てて対向する、下流側搬送面を有している。この下流側現像剤搬送手段は、下流側搬送電界(前記下流側搬送面上の前記現像剤を前記現像剤担持面の移動方向における上流側から下流側に向けて移動させるための電界)を形成するように構成されている。
【発明の概要】
【0004】
この種の装置において、前記供給対象に前記現像剤を良好に供給するためには、前記現像剤を前記現像剤担持面上に良好に担持させることが重要である。また、この種の装置において、画像形成装置への搭載性を向上するために、装置サイズを小型化する要求がある。本発明は、これらの課題に対処するためになされたものである。
【0005】
本発明の現像剤供給装置は、現像剤担持部材と、ケーシングと、供給用電界搬送基板と、補助帯電部材と、回収用電界搬送基板と、を備えている。前記現像剤担持部材は、円柱面状の周面である現像剤担持面を有するローラ状の部材であって、所定の現像剤供給位置にて前記供給対象と対向するように設けられ、所定方向に回転駆動されることで前記現像剤担持面が移動するように構成されている。前記ケーシングは、前記供給対象に向けて開口する開口部を有する箱状の部材であって、この開口部の近傍にて前記現像剤担持部材を回転可能に支持しつつ、内部の現像剤貯留部にて前記現像剤を貯留するように構成されている。
【0006】
前記供給用電界搬送基板は、担持位置及びその近傍にて、前記現像剤担持部材における前記担持位置側と対向するように、前記ケーシングの内側に収容されている。ここで、前記担持位置は、前記現像剤担持面が前記ケーシングの内側を向く位置であって、前記現像剤供給位置よりも前記現像剤担持面の移動方向における上流側に設けられている。なお、前記担持位置は、前記ケーシングの内側に設けられ得る。前記供給用電界搬送基板は、前記担持位置及びその近傍にて前記現像剤担持面上に前記現像剤を担持させるために、多相交流電圧の印加に伴って発生する進行波状の電界により、前記現像剤貯留部から前記担持位置に向けて前記現像剤を送出するとともに当該担持位置及びその近傍にて前記現像剤を前記移動方向とは逆方向に搬送するように構成されている。前記供給用電界搬送基板は、前記現像剤担持部材を挟んで、前記供給対象と対向するように設けられ得る。また、前記供給用電界搬送基板による前記現像剤の搬送方向における、当該供給用電界搬送基板の下流側の端部は、前記回収用電界搬送基板と対向するように設けられ得る。
【0007】
前記供給用電界搬送基板は、第一供給用電界搬送基板と、第二供給用電界搬送基板と、を備えていてもよい。前記第一供給用電界搬送基板は、前記ケーシングの内側に収容されていて、前記担持位置にて前記現像剤担持部材と対向するように設けられている。前記第二供給用電界搬送基板は、前記ケーシングの内壁面に支持されていて、前記第一供給用電界搬送基板による前記現像剤の搬送方向における上流側の当該第一供給用電界搬送基板の端部と対向するように設けられている。
【0008】
前記補助帯電部材は、補助帯電位置にて、当該現像剤担持面と対向するように配置されている。ここで、前記補助帯電位置は、前記現像剤担持面の前記移動方向における前記担持位置よりも下流側且つ前記現像剤供給位置よりも上流側に設けられている。前記補助帯電部材は、前記担持位置及びその近傍にて当該現像剤担持面上に担持された前記現像剤を、前記現像剤担持部材との間の交番電界の作用により、前記補助帯電位置にてさらに帯電させるように構成されている。前記補助帯電部材と前記回収用電界搬送基板とは、前記現像剤担持部材を挟んで互いに対向するように設けられ得る。また、前記補助帯電部材は、前記ケーシングの外側に設けられ得る。
【0009】
前記回収用電界搬送基板は、回収位置及びその近傍にて、前記現像剤担持部材における前記回収位置側と対向するように、前記ケーシングの内壁面に支持されている。ここで、前記回収位置は、前記現像剤担持面の前記移動方向における前記現像剤供給位置よりも下流側且つ前記担持位置よりも上流側であって、前記ケーシングの内側に設けられている。前記回収用電界搬送基板は、多相交流電圧の印加に伴って発生する進行波状の電界により前記現像剤を前記回収位置及びその近傍にて前記移動方向に沿った方向に搬送しつつ前記現像剤貯留部に向けて送出するように構成されている。
【0010】
本発明の現像剤供給装置は、前記担持位置と前記補助帯電部材との間に介在するように設けられた、遮蔽部材をさらに備えていてもよい。この場合、前記遮蔽部材は、前記供給用電界搬送基板によって搬送中の前記現像剤の前記開口部からの噴出を抑制するように設けられ得る。
【0011】
上述のような構成を有する、本発明の現像剤供給装置においては、前記ケーシング内部の前記現像剤貯留部内に貯留された前記現像剤は、前記供給用電界搬送基板により、前記担持位置に向けて搬送される。この担持位置及びその近傍にて、前記現像剤は、前記現像剤担持面上に担持される。前記現像剤担持面上に担持された前記現像剤は、前記現像剤担持部材が回転駆動されて前記現像剤担持面が移動することで、前記補助帯電位置に達する。前記現像剤担持面上に担持された前記現像剤は、この補助帯電位置にて、前記補助帯電部材によって、さらに帯電させられる。
【0012】
前記補助帯電位置にてさらに帯電させられた前記現像剤は、前記現像剤担持部材が回転駆動されて前記現像剤担持面がさらに移動することで、前記現像剤供給位置及びその近傍に達し、前記供給対象に供給される。前記現像剤供給位置を経て前記現像剤担持面上に残留した前記現像剤は、前記現像剤担持部材が回転駆動されて前記現像剤担持面がさらに移動することで、前記回収位置及びその近傍に達する。そして、かかる現像剤は、前記回収用電界搬送基板によって、前記回収位置及びその近傍にて回収され、前記現像剤貯留部に向けて送出される。
【0013】
本発明の現像剤供給装置は、上述の構成を有することで、装置構成を大型化することなく、前記補助帯電部材を設けることができる。したがって、本発明によれば、装置サイズを小型化しつつ、前記現像剤を前記現像剤担持面上に良好に担持させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態が適用された画像形成装置としての、レーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示されている、本発明の一実施形態に係るトナー供給装置を拡大した側断面図である。
【図3】図2に示されている搬送基板を拡大した側断面図である。
【図4】図3に示されている各電源回路の出力波形の一例を示すグラフである。
【図5】図1に示されているトナー供給装置の一変形例の概略構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置としての、レーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。
【0016】
<構成>
図1を参照すると、レーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、を備えている。レーザープリンタ1内には、シート状の用紙Pが、積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを、所定の用紙搬送経路PPに沿って搬送するように構成されている。
【0017】
感光体ドラム3の周面には、静電潜像担持面LSが形成されている。静電潜像担持面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面であって、電位分布による静電潜像が形成されるとともに当該静電潜像に対応した位置にてトナーT(図2参照)を担持するようになっている。感光体ドラム3は、主走査方向と平行な中心軸Cを中心として、所定方向(図中反時計回り)に回転駆動されることで、主走査方向と直交する副走査方向に沿って静電潜像担持面LSが移動するように構成されている。
【0018】
帯電器4は、静電潜像担持面LSを一様に正帯電させるように、静電潜像担持面LSと対向するように配置されている。スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調されたレーザービームLBをスキャン位置SPにて静電潜像担持面LS上に結像させつつ主走査方向に沿って走査することで、静電潜像担持面LS上に静電潜像を形成するように構成されている。
【0019】
トナー供給装置6は、スキャン位置SPよりも感光体ドラム3の回転による静電潜像担持面LSの移動方向における下流側の現像位置DPにて、静電潜像担持面LSと対向するように、感光体ドラム3の下方に配置されている。トナー供給装置6は、現像位置DPにて、トナーT(図2参照)を帯電した状態で静電潜像担持面LSに供給するように構成されている。次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について、より詳細に説明する。
【0020】
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間の転写位置TPに向けて送り出すように構成されている。転写ローラ22は、静電潜像担持面LSと、転写位置TPにて、用紙搬送経路PP(用紙P)を挟んで対向するように配置されていて、感光体ドラム3の回転方向と反対方向(図中時計回り)に回転駆動されるようになっている。また、転写ローラ22は、図示しないバイアス電源回路に接続されていて、静電潜像担持面LS上に付着したトナーT(図2参照)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0021】
図2は、図1に示されているトナー供給装置6を拡大した側断面図である。図2を参照すると、トナー供給装置6のケーシングをなすトナーボックス61は、側断面視にて上方に開口する略U字状に形成された箱状部材であって、その長手方向が鉛直方向(図中上下方向すなわちy軸方向)と平行となるように配置されている。
【0022】
トナーボックス61は、主走査方向と平行な軸線を有し上方に開口する半円筒状のボックス底壁61aを有している。このボックス底壁61aは、トナーボックス61の底部に設けられている。ボックス底壁61aの前後方向(主走査方向及び鉛直方向と直交する方向:図中左右方向すなわちx軸方向)における背面側(図中左側)の一端から上方に延出するように、背面パネル61bが立設されている。
【0023】
背面パネル61bは、第一垂直部61b1と水平部61b2と第二垂直部61b3とから構成されている。第一垂直部61b1は、主走査方向及び鉛直方向と平行な平板状の部材であって、ボックス底壁61aの前記一端から鉛直上方に延出するように設けられている。水平部61b2は、水平面と略平行な平板状の部材であって、第一垂直部61b1の上端からトナーボックス61の内側に向けて前面側(図中右側)に延出するように設けられている。第二垂直部61b3は、主走査方向及び鉛直方向と平行な平板状の部材であって、水平部61b2の前後方向における前面側の端から上方に向かって延出するように設けられている。また、ボックス底壁61aの前面側の端から鉛直上方に延出するように、前面パネル61cが立設されている。前面パネル61cは、主走査方向及び鉛直方向と平行な平板状の部材であって、背面パネル61bと対向するように設けられている。
【0024】
トナーボックス61の内部の空間における底部の、略半円柱状の部分である、トナー貯留部61d内には、粉末状の乾式現像剤としてのトナーTが収容されている。なお、本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性1成分の、黒色トナーである。また、トナーボックス61の頂部であって、感光体ドラム3と対向する位置には、開口部61eが形成されている。すなわち、開口部61eは、感光体ドラム3に向けて上方に開口するように設けられている。
【0025】
現像ローラ62は、円柱面状の周面であるトナー担持面62aを有するローラ状の部材であって、現像位置DPにて感光体ドラム3と近接しつつ所定間隔のギャップを介して対向するように設けられている。本実施形態においては、現像ローラ62は、トナー担持面62aのほぼ半分がトナーボックス61の外側の露出するように、トナーボックス61における開口部61eが形成された上端部にて回動可能に支持されている。この現像ローラ62は、現像位置DPにてトナー担持面移動方向CMD(トナー担持面62aの移動方向)が静電潜像担持面LSの移動方向と同じ方向になるように、感光体ドラム3の回転方向と反対方向(図中時計回り)に回転駆動されるようになっている。すなわち、現像ローラ62は、感光体ドラム3と連れ回るような方向に回転駆動されるようになっている。
【0026】
トナーボックス61の内部には、搬送基板63が設けられている。本実施形態においては、搬送基板63は、上流側供給基板63a(収容・起動部63a1、垂直搬送部63a2、上流側隣接部63a3、下流側隣接部63a4、及び逆送部63a5を含む)と回収基板63bと下流側供給基板63cとを備えている。搬送基板63は、多相交流電圧の印加に伴って発生する進行波電界により、その表面であるトナー搬送面TTSに沿ってトナーTを搬送するように構成されている。
【0027】
すなわち、上流側供給基板63aにおける収容・起動部63a1〜下流側隣接部63a4は、トナーTを、トナー搬送経路TTRに沿って、上流側トナー供給搬送方向TTDuに搬送するように構成されている。一方、逆送部63a5は、トナーTを、上流側トナー供給搬送方向TTDuと逆方向に搬送するように構成されている。また、下流側供給基板63cは、トナーTを、トナー搬送経路TTRに沿って、下流側トナー供給搬送方向TTDdに搬送するように構成されている。さらに、回収基板63bは、トナーTを、トナー回収経路TRRに沿って、トナー回収方向TRDに搬送するように構成されている。なお、上流側供給基板63a、回収基板63b、及び下流側供給基板63cを「搬送基板63」と総称する場合、かかる搬送基板63によるトナーTの電界搬送方向(上流側トナー供給搬送方向TTDu、下流側トナー供給搬送方向TTDd、及びトナー回収方向TRDを総称した方向)を、「トナー搬送方向TTD」と称することがある(図3参照)。
【0028】
ここで、トナー搬送経路TTRは、上流側供給基板63a及び下流側供給基板63cのトナー搬送面TTSに沿って形成される、トナーTの電界搬送経路である。また、トナー回収経路TRRは、回収基板63bのトナー搬送面TTSに沿って形成される、トナーTの電界搬送経路である。すなわち、上流側供給基板63a及び下流側供給基板63cは、トナー搬送経路TTRに沿って設けられている。また、回収基板63bは、トナー回収経路TRRに沿って設けられている。本実施形態においては、トナー回収経路TRRは、トナー回収位置TRPからトナー貯留部61dまで鉛直下方に向かうように形成されている。また、トナー搬送経路TTRは、トナー貯留部61dから、トナー担持面62aの下端部近傍のトナー担持位置TCPを経て、トナー回収経路TRRにおける上流部と合流するように形成されている。そして、トナー搬送経路TTR及びトナー回収経路TRRは、側断面視にて、鉛直方向に長手方向を有する循環経路を形成するように設けられている。
【0029】
トナー回収位置TRPは、トナー担持面62aが回収基板63bと最近接しつつ対向する位置であって、本実施形態においては、回収基板63bの上端部且つトナー担持面62aの前面側の端部に対応する位置に設けられている。トナー担持位置TCPは、トナー担持面62aが下流側供給基板63cと最近接しつつ対向する位置であって、本実施形態においては、トナー担持面62aの下端部に対応する位置に設けられている。
【0030】
上流側トナー供給搬送方向TTDuは、トナーTが上流側供給基板63aによってトナー搬送経路TTRに沿って搬送される方向、すなわち、上流側供給基板63aに対応するトナー搬送経路TTR上の任意の点での接線方向である。同様に、下流側トナー供給搬送方向TTDdは、トナーTが下流側供給基板63cによってトナー搬送経路TTRに沿って搬送される方向である。また、トナー回収方向TRDは、トナーTが回収基板63bによってトナー搬送経路TTRに沿って搬送される方向であって、典型的には、鉛直下方向である。
【0031】
収容・起動部63a1は、上流側供給基板63aの底部の、上方に開口する半円筒形状に屈曲された曲板状の部分であって、ボックス底壁61aの内壁面に支持されている。すなわち、収容・起動部63a1は、トナー貯留部61dの底面を構成するように、トナーボックス61の内側の空間における底部に配置されている。垂直搬送部63a2は、背面パネル61bにおける第一垂直部61b1の内壁面に支持されていて、収容・起動部63a1の背面側における上端(上流側トナー供給搬送方向TTDuにおける下流端)から鉛直上方に向けて延出するように設けられている。
【0032】
上流側隣接部63a3は、そのトナー搬送面TTSが下方を向くように、背面パネル61bにおける水平部61b2の内壁面に支持されていて、垂直搬送部63a2の上端(上流側トナー供給搬送方向TTDuにおける下流端)からトナーボックス61の内側(前面側)に向けて延出するように設けられている。下流側隣接部63a4は、背面パネル61bにおける第二垂直部61b3の内壁面に支持されていて、上流側隣接部63a3の前面側の端(上流側トナー供給搬送方向TTDuにおける下流端)から鉛直上方に向けて延出するように設けられている。本実施形態においては、下流側隣接部63a4の上端(上流側トナー供給搬送方向TTDuにおける下流端)は、現像ローラ62の下端よりも低い位置に設けられている。
【0033】
上述のように、上流側供給基板63aにおける、上流側隣接部63a3と下流側隣接部63a4とは、トナー搬送経路TTRにおける中途の凸状屈曲位置CBPにて凸状に、ほぼ直角に屈曲されている。すなわち、上流側隣接部63a3は、凸状屈曲位置CBPよりもトナー搬送経路TTRにおける上流側にて凸状屈曲位置CBPに隣接する部分である。また、下流側隣接部63a4は、凸状屈曲位置CBPよりもトナー搬送経路TTRにおける下流側にて凸状屈曲位置CBPに隣接する部分である。
【0034】
逆送部63a5は、下流側隣接部63a4の上端から、さらに鉛直上方(上流側トナー供給搬送方向TTDu)に向けて延出するように設けられている。逆送部63a5は、トナーデリバリ位置TDPよりも上流側トナー供給搬送方向TTDuにおける下流側にて下流側隣接部63a4と隣接するように設けられている。
【0035】
ここで、トナーデリバリ位置TDPは、上流側供給基板63aと下流側供給基板63cとが最近接しつつ対向する位置であって、下流側隣接部63a4と逆送部63a5との境界に対応する位置に設けられている。本実施形態においては、トナーデリバリ位置TDPは、上流側供給基板63aと下流側供給基板63cとが対向する領域の、側断面視における中央よりも、上流側トナー供給搬送方向TTDuにおける下流側に設けられている。また、トナーデリバリ位置TDPは、トナー搬送方向TTD(トナー搬送経路TTR)が、下流側隣接部63a4における鉛直上方に向く上流側トナー供給搬送方向TTDuから、下流側供給基板63cにおける略水平方向に向く下流側トナー供給搬送方向TTDdに屈曲する位置の近傍(当該位置よりも僅かに下方すなわち上流側トナー供給搬送方向TTDuにおける僅かに上流側)に設けられている。
【0036】
回収基板63bは、前面パネル61cの内壁面に支持されている。この回収基板63bは、トナー回収位置TRPにて、トナー担持面移動方向CMDに沿って(トナー担持面移動方向CMDと同じ方向に)トナーTを搬送するようになっている。
【0037】
下流側供給基板63cは、現像ローラ62の下方にて、トナーボックス61の内部に収容されている。下流側供給基板63cは、上流部63c1と中央部63c2と下流部63c3とからなり、側断面視にて略逆U字状に形成されている。上流部63c1は、中央部63c2の下流側トナー供給搬送方向TTDdにおける上流端からほぼ直角に屈曲して鉛直下方に延出するように設けられている。中央部63c2は、トナー担持位置TCPにてトナー担持面62aと最近接しつつ対向するように、水平面と平行に設けられている。下流部63c3は、中央部63c2の下流側トナー供給搬送方向TTDdにおける下流端からほぼ直角に屈曲して鉛直下方に延出するように、回収基板63bと平行に設けられている。
【0038】
上流部63c1は、凸状屈曲位置CBPよりも上方、すなわち、上流側供給基板63aにおける上流側隣接部63a3によるトナーTの搬送方向先よりも上方にて、下流側隣接部63a4及び逆送部63a5と所定間隔のギャップを隔てて対向するように、下流側隣接部63a4及び逆送部63a5と平行に設けられている。中央部63c2は、トナー担持位置TCPにて、トナー担持面移動方向CMDとは逆方向にトナーTを搬送するように設けられている。下流部63c3は、回収基板63bにおけるトナー回収方向TRDに沿って(トナー回収方向TRDと同じ方向に)トナーTを搬送するように設けられている。
【0039】
浮遊現像剤衝突部材64は、現像ローラ62の下方に配置されている。浮遊現像剤衝突部材64の、現像ローラ62と対向する上側部分における表面には、下流側供給基板63cが支持されている。浮遊現像剤衝突部材64は、上流側供給基板63aにおける上流側隣接部63a3によるトナーTの搬送方向先に設けられている。浮遊現像剤衝突部材64の背面側の表面である搬送側対向面64aは、主走査方向及び鉛直方向と平行であって、下流側隣接部63a4の上流側トナー供給搬送方向TTDuにおける上流側の端部と対向するとともに、上流側隣接部63a3における上流側トナー供給搬送方向TTDuと直交するように設けられている。すなわち、この搬送側対向面64aは、上流側隣接部63a3によって搬送されたトナーTが凸状屈曲位置CBPより先までそのまま直進した場合に当該トナーTが衝突するように、下流側供給基板63cにおける上流部63c1が支持されていない部分(上流部63c1よりも下方の部分)に設けられている。
【0040】
補助帯電部材65は、トナー担持面移動方向CMDにおけるトナー担持位置TCPと現像位置DPとの間(トナー担持位置TCPよりも下流側且つ現像位置DPよりも上流側)のトナー補助帯電位置TAPにて、トナー担持面62aと対向するように配置されている。この補助帯電部材65は、トナー担持面62a上に担持されたトナーTを、トナー担持面62aとの間の交番電界の作用により、より帯電させるとともに帯電状態を均一化させるように構成されている。本実施形態においては、補助帯電部材65は、トナー担持面62aに倣って側断面視にて円弧状に曲げられた薄板状の部材であって、トナー担持面62aと所定間隔のギャップを隔てて対向するように、トナー担持面62aと平行に設けられている。
【0041】
本実施形態においては、トナー担持位置TCP及びトナー回収位置TRPは、トナーボックス61の内側に設けられている。一方、補助帯電部材65は、トナーボックス61の外側に設けられている。また、下流側供給基板63cは、現像ローラ62を挟んで、感光体ドラム3と対向するように設けられている。さらに、補助帯電部材65と回収基板63bとは、現像ローラ62を挟んで互いに対向するように設けられている。
【0042】
現像ローラ62、搬送基板63、及び補助帯電部材65は、電源回路66と電気的に接続されている。電源回路66は、上流側供給搬送電源回路66aと、下流側供給搬送電源回路66bと、回収電源回路66cと、帯電バイアス電源回路66dと、現像バイアス電源回路66eと、を備えている。上流側供給搬送電源回路66aは上流側供給基板63aと、下流側供給搬送電源回路66bは下流側供給基板63cと、回収電源回路66cは回収基板63bと、帯電バイアス電源回路66dは補助帯電部材65と、現像バイアス電源回路66eは現像ローラ62と、それぞれ電気的に接続されている。
【0043】
上流側供給搬送電源回路66a、下流側供給搬送電源回路66b、回収電源回路66c、及び現像バイアス電源回路66eは、トナーTをトナー搬送経路TTR及びトナー回収経路TRRに沿って循環させるために必要な電圧を出力するようになっている。帯電バイアス電源回路66dは、現像ローラ62(トナー担持面62a)と補助帯電部材65とが対向する位置にて交番電界を発生させることで、トナー担持面62a上に担持されたトナーTを、当該交番電界の作用で、より帯電させるとともに帯電状態を均一化させるために必要な電圧を出力するようになっている。
【0044】
図3は、図2に示されている搬送基板63を拡大した側断面図である。図3を参照すると、搬送基板63は、トナー搬送方向TTDあるいはトナー搬送経路TTRに沿って等間隔に配列され且つ互いに平行に配置された複数の搬送電極631を備えていて、これら複数の搬送電極631に対する多相交流電圧の印加に伴って発生する進行波電界により、トナーTをトナー搬送方向TTDに搬送するように構成されている。なお、図2及び図3を参照すると、上流側供給基板63aにおける搬送電極631を上流側供給用搬送電極631a、回収基板63bにおける搬送電極631を回収電極631b、下流側供給基板63cにおける搬送電極631を下流側供給用搬送電極631cと称する。
【0045】
搬送電極631は、主走査方向と平行な(副走査方向と直交する)長手方向を有する線状の配線パターンであって、銅箔によって形成されている。トナー搬送経路TTRに沿って多数配列された各搬送電極631は、3本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極631,電源回路VBに接続された搬送電極631,電源回路VCに接続された搬送電極631,電源回路VDに接続された搬送電極631,電源回路VAに接続された搬送電極631,電源回路VBに接続された搬送電極631,電源回路VCに接続された搬送電極631・・・が、トナー搬送経路TTRに沿って順に配列されている(なお、これらの電源回路VAないしVDは、図2における上流側供給搬送電源回路66a等の構成要素である。)。
【0046】
搬送基板63は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、搬送基板63は、搬送電極631と、搬送電極支持フィルム632と、搬送電極コーティング層633と、搬送電極オーバーコーティング層634と、から構成されている。搬送電極631は、搬送電極支持フィルム632の表面上に形成されている。搬送電極支持フィルム632は、可撓性のフィルムであって、絶縁性の合成樹脂から構成されている。搬送電極コーティング層633は、絶縁性の合成樹脂から構成されていて、搬送電極支持フィルム632における搬送電極631が設けられている表面、及び搬送電極631を覆うように設けられている。搬送電極コーティング層633の上には、搬送電極オーバーコーティング層634が設けられている。
【0047】
<動作>
次に、上述のように構成されたトナー供給装置6による動作の概要を、実施形態の構成による作用・効果とともに、図面を適宜参照しつつ説明する。図4は、図3に示されている各電源回路VAないしVDの出力波形の一例を示すグラフである。図4に示されているように、各電源回路VAないしVDは、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れる、ほぼ同一波形の交流電圧である駆動電圧を出力する。
【0048】
図2及び図3を参照すると、トナーボックス61内に貯留されているトナーTのうち、上流側供給基板63aの収容・起動部63a1における搬送電極オーバーコーティング層634と接触あるいは近接している、帯電したトナーTは、上流側供給用搬送電極631aに対する印加電圧によって発生する進行波電界により、垂直搬送部63a2に受け渡される。収容・起動部63a1から垂直搬送部63a2に受け渡されたトナーTは、この垂直搬送部63a2によって、鉛直上方向きの上流側トナー供給搬送方向TTDuに搬送される。垂直搬送部63a2を経たトナーTは、次に、上流側隣接部63a3にて、水平に「背面搬送」される。ここで、「背面搬送」とは、トナー搬送面TTSが下方を向くような搬送態様である。
【0049】
ところで、収容・起動部63a1から垂直搬送部63a2に受け渡されたトナーTには、帯電状態が不良なもの(逆極性すなわち負極性に帯電したものや、低帯電あるいは無帯電のもの、等。)が混入している。図3に示されている搬送基板63上にて進行波電界により搬送中のトナーTの挙動を計算機シミュレーションしたところ、トナーTは、搬送基板63の表面に近接する下層部と、当該表面から離隔して浮遊する表層部(浮遊トナー)と、の二層に分かれるような挙動を示す。そして、下層部においては帯電状態が良好な(すなわち正帯電の)ものが比較的多い一方、表層部においては逆帯電(すなわち負帯電)等の帯電状態が不良なものが比較的多い傾向にある。
【0050】
この点、まず、本実施形態の構成においては、垂直搬送部63a2によって鉛直上方に搬送されている際や、上流側隣接部63a3によって背面搬送されている際に、浮遊トナーに多く含まれる帯電状態が不良なトナーTの一部は、トナー搬送経路TTRから逸脱し、下方に落下する。これにより、トナーTにおける、帯電状態が良好なものと不良なものとが、ある程度選別される。トナー搬送経路TTRから逸脱して下方に落下してきたトナーTは、トナー貯留部61dに還流する。
【0051】
次に、垂直搬送部63a2及び上流側隣接部63a3によってある程度の選別作用を受けたトナーTは、凸状屈曲位置CBPに達する。この凸状屈曲位置CBPにて、トナー搬送経路TTRが、水平方向から鉛直上方に屈曲する。このとき、浮遊トナーは、トナー搬送経路TTRの屈曲(トナーTの搬送方向の屈曲)に追随できず、浮遊現像剤衝突部材64における搬送側対向面64aに衝突する。この搬送側対向面64aに衝突した浮遊トナーは、上流側隣接部63a3及び下流側隣接部63a4が存在しない下方の空間に向けて落下し、トナー貯留部61dに還流する。すなわち、上流側隣接部63a3によって搬送中のトナーTは、凸状屈曲位置CBPにて、さらなる選別作用を受ける。
【0052】
凸状屈曲位置CBPを経たトナーTは、下流側隣接部63a4に受け渡され、トナーデリバリ位置TDPに向かって、鉛直上方となる下流側トナー供給搬送方向TTDdに搬送される。そして、下流側隣接部63a4と下流側供給基板63cにおける上流部63c1とが対向している位置にて、トナーTが上流側供給基板63aから下流側供給基板63cにおける上流部63c1に受け渡される。
【0053】
ここで、本実施形態の構成においては、逆送部63a5にて、トナーデリバリ位置TDPに向かってトナーTを下流側トナー供給搬送方向TTDdとは逆方向に搬送するような電界が形成されている。このため、トナーTは、トナーデリバリ位置TDPをすり抜けてトナーボックス61における開口部61eの外側に噴出することなく、トナーデリバリ位置TDP及びその近傍の位置にて、下流側供給基板63cにおける上流部63c1に良好に飛び移る。したがって、下流側隣接部63a4によってトナーデリバリ位置TDPに向かって搬送されてきたトナーTが、良好に下流側供給基板63cに受け渡される。また、かかるトナーTの一部がトナーデリバリ位置TDP及びその近傍をすり抜けて開口部61eの外側に噴出して補助帯電部材65に不用意に付着することが、可及的に抑制され得る。
【0054】
上流部63c1にてトナーTを受け取った下流側供給基板63cは、現像ローラ62と対向する中央部63c2にて、トナー担持面移動方向CMDと逆方向となる下流側トナー供給搬送方向TTDdにトナーTを搬送する。そして、トナー担持位置TCPにて、トナー担持面62aにトナーTが供給される。これにより、トナー担持面62a上に、所望の帯電状態のトナーTが良好に担持される。トナー担持位置TCPにてトナー担持面62a側に移行しなかったトナーTは、下流部63c3にて、回収基板63bに受け渡され(回収され)、回収基板63bによってトナー貯留部61dまで搬送される。
【0055】
現像ローラ62の回転駆動により、トナーTを担持したトナー担持面62aが、トナー担持位置TCPから現像位置DPまでトナー担持面移動方向CMDに移動する。この間に、トナー担持面62a上に担持されたトナーTは、トナー補助帯電位置TAPにて、補助帯電部材65によって、より帯電させられるとともに、帯電状態が均一化される。そして、トナー補助帯電位置TAPを経たトナー担持面62aが現像位置DPの近傍に達することで、現像位置DPにトナーTが供給される。これにより、静電潜像担持面LSに形成された静電潜像が、トナーTによって現像される。すなわち、静電潜像担持面LS上であって、静電潜像における正電荷が消失した部分に、トナーTが付着する。
【0056】
現像位置DPにて静電潜像担持面LS側に移行しなかったトナーTを担持したトナー担持面62aは、現像ローラ62の回転によって、トナー回収位置TRPに達する。このトナー回収位置TRPにて、トナー担持面62a上に残留しているトナーTは、トナー担持面移動方向CMDと同じ方向となるトナー回収方向TRDにトナーTを搬送するような進行波電界を形成している回収基板63bによって回収され、回収基板63bによってトナー貯留部61dまで搬送される。
【0057】
ここで、本実施形態の構成においては、トナー貯留部61dからトナー担持位置TCPに向けてトナーTを送出するとともにトナー担持位置TCPにてトナー担持面62aにトナーTを供給するための、上流側供給基板63a及び下流側供給基板63cが、トナー担持位置TCPにて、トナー担持面移動方向CMDとは逆方向にトナーTを搬送するように設けられている。また、現像位置DPを経てトナー担持面62a上に残留したトナーTを回収するための回収基板63bが、トナーボックス61における前面パネル61cの内壁面に支持されつつ、トナー回収位置TRPにて、トナー担持面移動方向CMDと同じ方向にトナーTを搬送するように設けられている。
【0058】
かかる構成によれば、補助帯電部材65を設けるためのスペースが、トナー担持面移動方向CMDにおける現像位置DPの上流側且つトナー担持位置TCPの下流側にて、良好に確保される。よって、装置構成を大型化することなく、補助帯電部材65を設けることが可能になる。したがって、本発明によれば、装置サイズを小型化しつつ、前記現像剤を前記現像剤担持面上に良好に担持させることが可能になる。
【0059】
これに対し、回収基板63bを、トナー回収位置TRPにて、トナー担持面移動方向CMDとは逆方向にトナーTを搬送するように設けようとした場合、回収基板63bを前面パネル61cの内壁面に支持することができない。よって、この場合、トナー供給装置6の構成を小型化することが困難になる。
【0060】
<変形例の例示列挙>
本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。また、露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの(LED、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、蛍光体、等)が好適に用いられ得る。あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0061】
図4を参照すると、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の波形は、矩形波状以外にも、正弦波状や三角波状等の任意のものが用いられ得る。また、上述の実施形態においては、4つの電源回路VA〜VDが設けられるとともに、各電源回路VA〜VDが発生する電圧の位相が90°ずつ異なっていた。もっとも、本発明はこれに限定されず、例えば、3つの電源回路が備えられるとともに、各電源回路が発生する電圧の位相が120°ずつ異なるようになっていてもよい。
【0062】
感光体ドラム3と現像ローラ62とは、接触していてもよい。また、搬送基板63の構成は、上述の実施形態のものに限定されない。例えば、搬送電極オーバーコーティング層634は省略され得る。
【0063】
中央部63c2は、トナー担持面62aに倣った側断面視にて円弧状の部分を有していてもよい。この場合、かかる部分が、トナー担持面62aと所定間隔のギャップを隔てて対向するように設けられる。また、垂直搬送部63a2及び/又は下流側隣接部63a4は、鉛直方向に対して多少傾いていてもよい。同様に、回収基板63bも、鉛直方向に対して多少傾いていてもよい。また、上流側隣接部63a3も、水平面に対して多少傾いていてもよい。
【0064】
すなわち、図2に示されているトナー供給装置6は、図中時計回りに数〜90度回転され得る。90度回転された場合、垂直搬送部63a2(水平搬送部63a2と称すべきである)及び回収基板63bは、トナーTを水平に搬送するように設けられ得る。また、この場合、トナー貯留部61dの底部が回収基板63bよりも下方となるように、前面パネル61cのトナー回収方向TRDにおける下流側に凹部が設けられる。
【0065】
下流側供給基板63cにおける上流部63c1の下端は、上流側隣接部63a3によるトナーTの搬送方向先に設けられていてもよい。すなわち、上流部63c1は、上流側隣接部63a3によって搬送されたトナーTが凸状屈曲位置CBPより先までそのまま直進した場合に当該トナーTが衝突する位置に設けられていてもよい。
【0066】
下流側供給基板63cの全部又は一部は、省略され得る。この場合、例えば、下流側隣接部63a4の上流側トナー供給搬送方向TTDuにおける終端(上端)が、現像ローラ62の中心軸と同じ高さまで設けられる。すなわち、トナーデリバリ位置TDPとトナー担持位置TCPとが、共通化される。
【0067】
浮遊現像剤衝突部材64すなわち搬送側対向面64aを構成する材質は、トナーTが衝突した際にかかるトナーTを所望極性(上述の例では正極性)に帯電させるように選択され得る。
【0068】
図5は、図1に示されているトナー供給装置6の一変形例の概略構成を示す側断面図である。
【0069】
図5に示されているように、上流側供給基板63aと下流側供給基板63cとは、一体に構成され得る。この場合、典型的には、上流側供給基板63aと下流側供給基板63cとが一体化された基板は、側断面視にて逆J字、逆L字、あるいは逆U字状に形成され、背面パネル61b及び前面パネル61cから離れた位置にてトナーボックス61内に収容され得る。
【0070】
また、トナー供給装置6は、トナー担持位置TCPと補助帯電部材65との間に介在するように設けられた、遮蔽部材67をさらに備えていてもよい。この遮蔽部材67は、背面パネル61bの上端部から現像ローラ62に向かって延出するように設けられている。かかる構成においては、上流側供給基板63a及び下流側供給基板63cによって搬送中のトナーTの、開口部61eからの噴出が、遮蔽部材67によって良好に抑制される。なお、この遮蔽部材67は、背面パネル61bと一体に形成されていてもよい。すなわち、この遮蔽部材67は、背面パネル61bの上端部として形成されていてもよい。
【0071】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した他の出願や公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして、必要に応じて且つ技術的に矛盾しない範囲内において援用され得る。
【符号の説明】
【0072】
3…感光体ドラム 6…トナー供給装置 61a…トナーボックス
62…現像ローラ 62a…トナー担持面 63…搬送基板
63a…上流側供給基板 63b…回収基板 63c…下流側供給基板
65…補助帯電部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2008−70803号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置において、
円柱面状の周面である現像剤担持面を有していて所定方向に回転駆動されることで前記現像剤担持面が移動するように構成されたローラ状の部材であって、所定の現像剤供給位置にて前記供給対象と対向するように設けられた、現像剤担持部材と、
前記供給対象に向けて開口する開口部を有し、この開口部の近傍にて前記現像剤担持部材を回転可能に支持しつつ、内部の現像剤貯留部にて前記現像剤を貯留するように構成された、箱状のケーシングと、
前記現像剤担持面が前記ケーシングの内側を向く位置であって前記現像剤供給位置よりも前記現像剤担持面の移動方向における上流側の担持位置及びその近傍にて、前記現像剤担持部材における前記担持位置側と対向するように、前記ケーシングの内側に収容されていて、前記担持位置及びその近傍にて前記現像剤担持面上に前記現像剤を担持させるために、多相交流電圧の印加に伴って発生する進行波状の電界により、前記現像剤貯留部から前記担持位置に向けて前記現像剤を送出するとともに当該担持位置及びその近傍にて前記現像剤を前記移動方向とは逆方向に搬送するように構成された、供給用電界搬送基板と、
前記現像剤担持面の前記移動方向における前記担持位置よりも下流側且つ前記現像剤供給位置よりも上流側の補助帯電位置にて、当該現像剤担持面と対向するように配置されていて、前記担持位置及びその近傍にて当該現像剤担持面上に担持された前記現像剤を、前記現像剤担持部材との間の交番電界の作用により前記補助帯電位置にてさらに帯電させるように構成された、補助帯電部材と、
前記現像剤担持面の前記移動方向における前記現像剤供給位置よりも下流側且つ前記担持位置よりも上流側であって前記ケーシングの内側である回収位置及びその近傍にて、前記現像剤担持部材における前記回収位置側と対向するように、前記ケーシングの内壁面に支持されていて、多相交流電圧の印加に伴って発生する進行波状の電界により前記現像剤を前記回収位置及びその近傍にて前記移動方向に沿った方向に搬送しつつ前記現像剤貯留部に向けて送出するように構成された、回収用電界搬送基板と、
を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、現像剤供給装置であって、
前記補助帯電部材と前記回収用電界搬送基板とが前記現像剤担持部材を挟んで互いに対向するように設けられ、
前記供給用電界搬送基板が前記現像剤担持部材を挟んで前記供給対象と対向するように設けられたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の、現像剤供給装置において、
前記担持位置と前記補助帯電部材との間に介在するように設けられた、遮蔽部材をさらに備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の、現像剤供給装置であって、
前記補助帯電部材が前記ケーシングの外側に設けられ、
前記遮蔽部材が、前記供給用電界搬送基板によって搬送中の前記現像剤の前記開口部からの噴出を抑制するように設けられたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記供給用電界搬送基板による前記現像剤の搬送方向における、当該供給用電界搬送基板の下流側の端部が、前記回収用電界搬送基板と対向するように設けられたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記供給用電界搬送基板は、
前記ケーシングの内側に収容されていて、前記担持位置にて前記現像剤担持部材と対向するように設けられた、第一供給用電界搬送基板と、
前記ケーシングの内壁面に支持されていて、前記第一供給用電界搬送基板による前記現像剤の搬送方向における上流側の当該第一供給用電界搬送基板の端部と対向するように設けられた、第二供給用電界搬送基板と、
を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記担持位置が前記ケーシングの内側に設けられたことを特徴とする、現像剤供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−197491(P2011−197491A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65441(P2010−65441)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】