説明

現像剤供給装置

【課題】 ブラシローラに担持される現像剤の帯電状態を可及的に安定化することで、現像剤の良好な供給を安価な装置構成で達成する。
【解決手段】 本発明の現像剤供給装置は、現像剤電界搬送基板と、ブラシローラと、を備えている。ブラシローラは、所定の現像剤供給位置にて供給対象と対向配置されるとともに、所定の現像剤担持位置にて現像剤電界搬送基板と対向配置されている。このブラシローラは、現像剤電界搬送基板から現像剤を受け渡されるとともに、当該受け渡された現像剤を供給対象に供給するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電した粉末状の現像剤を供給対象に供給するように構成された、現像剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、いわゆる「ファーブラシ現像方式」のものが、従来広く知られている(例えば、特開平2−193176号公報、特開平3−243968号公報、特開平4−147283号公報、等参照。)。かかる装置は、周面に多数の繊維が立設された、いわゆるブラシローラを用いて、供給対象(具体的には感光体ドラム)に現像剤を供給するようになっている。ブラシローラへの現像剤の供給は、例えば、ブラシローラを現像剤貯留部に面するように配置したり(特開平2−193176号公報等参照)、ブラシローラに接触するように供給ローラを配置したりする(特開平3−243968号公報等参照)ことによって行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のこの種の装置においては、ブラシローラに担持される現像剤の帯電状態が不安定であるため、現像剤の供給(すなわち静電潜像の現像)が良好には行われていなかった。本発明は、かかる課題に対処するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、ブラシローラに担持される現像剤の帯電状態を可及的に安定化することで、現像剤の良好な供給を安価な装置構成で達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の現像剤供給装置は、粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成されている。この現像剤供給装置は、現像剤電界搬送基板と、ブラシローラと、を備えている。
【0005】
前記現像剤電界搬送基板は、所定の現像剤搬送経路に沿って配列された複数の搬送電極を備えていて、これら複数の前記搬送電極に多相交流電圧が印加されることで、前記現像剤が貯留されている空間である現像剤貯留部から、前記現像剤を、前記現像剤搬送経路に沿って搬送するように構成されている。前記ブラシローラは、所定の現像剤供給位置にて前記供給対象と対向配置されるとともに、所定の現像剤担持位置にて前記現像剤電界搬送基板と対向配置されている。このブラシローラは、前記現像剤電界搬送基板から前記現像剤を受け渡されるとともに、当該受け渡された現像剤を前記供給対象に供給するようになっている。
【0006】
前記ブラシローラは、前記現像剤担持位置にて前記現像剤電界搬送基板と接触するように設けられていてもよい。また、前記ブラシローラは、前記現像剤担持位置における周面の移動方向が、前記現像剤電界搬送基板による前記現像剤の搬送方向と逆方向となるように設けられていてもよい。
【0007】
前記現像剤電界搬送基板は、前記現像剤貯留部から前記現像剤担持位置までの間に、前記現像剤を鉛直上方に搬送する平板状の部分を有していてもよい。また、前記現像剤電界搬送基板は、前記現像剤担持位置の近傍にて、表面が外側に向くように凸設されていてもよい。
【0008】
前記現像剤供給装置は、回収部材をさらに備えていてもよい。この回収部材は、前記現像剤供給位置を経て前記ブラシローラに残留した前記現像剤を回収するために、前記ブラシローラと当接するように設けられている。なお、前記回収部材は、前記現像剤担持位置よりも前記搬送方向側に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
かかる構成においては、進行波電界によって良好に搬送され得る、良好に帯電した状態の前記現像剤が、前記現像剤電界搬送基板によって前記現像剤担持位置まで搬送され、当該現像剤担持位置にて前記ブラシローラに担持される。したがって、前記ブラシローラに担持される前記現像剤の帯電状態が、上述した従来の構成よりも、よりいっそう安定化される。したがって、本発明によれば、前記供給対象に対する前記現像剤の良好な供給が、安価な装置構成で達成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態が適用された画像形成装置であるレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示されているトナー供給装置を拡大した側断面図である。
【図3】図2に示されている電界搬送基板を拡大した側断面図である。
【図4】図3に示されている各電源回路の出力波形の一例を示すグラフである。
【図5】図2に示されているトナー供給装置の一変形例の概略構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態に対して施され得る各種の変更(変形例:modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
【0012】
<レーザープリンタの構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置であるレーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。図1を参照すると、レーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、を備えている。レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを所定の用紙搬送経路PPに沿って搬送するように構成されている。
【0013】
本発明の供給対象としての感光体ドラム3の周面には、静電潜像担持面LSが形成されている。この静電潜像担持面LSは、主走査方向(図中z軸方向:「用紙幅方向」とも称され得る。)と平行な円柱面であって、電位分布による静電潜像が形成されるとともに、当該静電潜像に対応した位置にて本発明の現像剤としてのトナーT(図2参照)を担持するようになっている。感光体ドラム3は、主走査方向と平行な軸を中心として図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動されることで、主走査方向と直交する副走査方向(典型的には図中x軸方向)に沿って静電潜像担持面LSが移動するように構成されている。
【0014】
帯電器4は、静電潜像担持面LSと対向するように配置されている。この帯電器4は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、静電潜像担持面LSを一様に正帯電させるように(具体的には、本実施形態においては、静電潜像担持面LSの電位が一様に+700Vとなるように)構成されている。
【0015】
スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調された(画素の有無によって発光のON/OFFが制御された)所定の波長帯域のレーザービームLBを生成して静電潜像担持面LSにおけるスキャン位置SPにて結像させるとともに、その結像位置を主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ように構成されている。ここで、スキャン位置SPは、感光体ドラム3の回転による静電潜像担持面LSの移動方向における、帯電器4よりも下流側且つトナー供給装置6よりも上流側の位置に設けられている。本実施形態においては、一様に+700Vで帯電させられた静電潜像担持面LSに対して上述のレーザービームLBを照射した場合に、+150V(露光部)及び+700V(非露光部)の電位分布からなる静電潜を形成するように、スキャナーユニット5が設けられている。
【0016】
本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置6は、静電潜像担持面LSと対向するように、感光体ドラム3の下方に配置されている。トナー供給装置6は、本発明の現像剤供給位置としての現像位置DP(トナー供給装置6が静電潜像担持面LSと最近接しつつ対向する位置)にて、正極性に帯電したトナーT(図2参照)を感光体ドラム3(静電潜像担持面LS)に供給するように構成されている。ここで、本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性一成分、黒色の粉末状乾式現像剤である。このトナー供給装置6の詳細な構成については後述する。
【0017】
次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について、より詳細に説明する。
【0018】
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間の転写位置TPに向けて送り出すように構成されている。転写ローラ22は、転写位置TPにて用紙搬送経路PPを隔てて静電潜像担持面LSと対向するように配置されていて、図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転駆動されるようになっている。この転写ローラ22は、感光体ドラム3との間に静電潜像担持面LS上に付着したトナーT(図2参照)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアスが印加されるように、図示しない転写バイアス電源回路と電気的に接続されている。
【0019】
<<トナー供給装置>>
図2は、図1に示されているトナー供給装置6を拡大した側断面図(主走査方向を法線とする面による断面図)である。図2を参照すると、トナー供給装置6は、現像ローラ61と、電界搬送基板62と、回収部材63と、オーガ64及び65と、搬送バイアス電源回路66と、現像バイアス電源回路67と、を備えている。
【0020】
現像ローラ61は、円柱面状の周面上に多数の繊維が立設されたブラシローラであって、現像位置DPにて感光体ドラム3と対向するように配置されている。本実施形態においては、具体的には、現像ローラ61は、アルミニウム等の金属製のローラの周面にナイロン製の繊維(太さ:3デニール、密度:12万本/平方インチ、長さ:5mm、抵抗値:10〜10Ω・cm)を立設させることによって構成されている。また、現像ローラ61は、現像位置DPにて感光体ドラム3と軽く接触する(上述の繊維が若干撓む)ように設けられている。また、現像ローラ61は、周面が現像位置DPにて静電潜像担持面LSと同一方向に移動するように、感光体ドラム3と反対方向(図中矢印参照:時計回り)に回転駆動されるようになっている。
【0021】
電界搬送基板62は、トナー担持位置TCPにて現像ローラ61と対向するように配置されている。本実施形態においては、電界搬送基板62は、トナー担持位置TCPにて現像ローラ61と軽く接触する(上述の繊維が若干撓む)ように設けられている。電界搬送基板62は、直流電圧成分及び多相交流電圧成分を含む搬送バイアスが印加されることで、トナーTを進行波状の電界によりトナー搬送経路TTP(電界搬送基板62の表面であるトナー搬送面TTSに沿って形成されたトナーTの搬送経路)に沿って搬送可能に構成されている(この電界搬送基板62の内部構成の詳細については後述する。)。
【0022】
本実施形態においては、電界搬送基板62は、トナー貯留部TR1に貯留されているトナーTをトナー担持位置TCPに向けて搬送して当該トナー担持位置TCPにて現像ローラ61に受け渡すとともに、トナー担持位置TCPを通過した(トナー担持位置TCPにて現像ローラ61側に移行しなかったものや、後述する回収部材63によって現像ローラ61から掻き落とされたものを含む。)トナーTをトナー貯留部TR1と隣接するトナー貯留部TR2まで搬送するように設けられている。すなわち、電界搬送基板62は、トナー担持位置TCPの近傍にて、トナー搬送面TTSが外側を向くように凸設(凸形状に形成)されている。
【0023】
また、本実施形態においては、電界搬送基板62は、トナー貯留部TR1からトナー担持位置TCPまでの間にトナーTを鉛直上方に搬送する略平板状の部分を有するととともに、トナー担持位置TCPからトナー貯留部TR2までの間にトナーTを鉛直下方に搬送する略平板状の部分を有している。さらに、電界搬送基板62は、トナー担持位置TCPにて、トナー搬送方向TTDが現像ローラ61の周面の移動方向と反対方向となるように設けられている。
【0024】
図3は、図2に示されている電界搬送基板62を拡大した側断面図である。図3を参照すると、電界搬送基板62は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、電界搬送基板62は、搬送電極62aと、搬送電極支持フィルム62bと、搬送電極コーティング層62cと、搬送電極オーバーコーティング層62dと、から構成されている。
【0025】
搬送電極62aは、主走査方向と平行な長手方向を有する線状の配線パターンであって、例えば、銅箔によって形成されている。複数の搬送電極62aは、トナー搬送経路TTPに沿って配列されていて、互いに平行に配置されている。トナー搬送経路TTPに沿って多数配列された各搬送電極62aは、3本置きに同一の電源回路(VA〜VD)に接続されている。本実施形態においては、図4に示されているように、各電源回路VA〜VDは、ほぼ同一波形で互いに位相が90°ずつ異なる交流電圧である駆動電圧を出力するように構成されている。
【0026】
複数の搬送電極62aは、搬送電極支持フィルム62bの表面上に形成されている。搬送電極支持フィルム62bは、可撓性のフィルムであって、本実施形態においては、ポリイミド樹脂から構成されている。搬送電極コーティング層62cは、搬送電極支持フィルム62bにおける搬送電極62aが設けられている表面、及び搬送電極62aを覆うように設けられていて、本実施形態においては、ポリイミド樹脂から構成されている。搬送電極コーティング層62cの上には、搬送電極オーバーコーティング層62dが設けられている。搬送電極オーバーコーティング層62dの表面(トナー搬送面TTS)は、トナーTがスムーズに搬送され得るように、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【0027】
再び図2を参照すると、回収部材63は、現像位置DPを経て現像ローラ61に残留したトナーTを回収するために、現像ローラ61の回転による周面の移動方向における、現像位置DPよりも下流側であってトナー担持位置TCPよりも上流側にて現像ローラ61と当接するように設けられている。本実施形態においては、回収部材63は、いわゆる「フリッカ」と称される板状の部材であって、トナー担持位置TCPよりもトナー搬送方向TTDにおける下流側(すなわちトナー貯留部TR2の上方)に配置されている。
【0028】
トナー貯留部TR1内には、オーガ64が収容されている。また、トナー貯留部TR2内には、オーガ65が収容されている。オーガ64及び65は、回転駆動されることで、トナー貯留部TR1及びTR2内のトナーTを撹拌しつつ循環させるように構成されている。
【0029】
電界搬送基板62は、搬送バイアス電源回路66と電気的に接続されている。搬送バイアス電源回路66は、トナーTをトナー搬送経路TTPに沿ってトナー貯留部TR1からトナー貯留部TR2までトナー搬送方向TTDに搬送するための搬送バイアス(図4参照)を出力するようになっている。搬送バイアス電源回路62は、+600Vの直流電圧成分と振幅300V、周波数300Hzの4相交流電圧成分とを重畳した搬送バイアス(+300〜+900V)を出力するようになっている。
【0030】
現像ローラ61は、現像バイアス電源回路67と電気的に接続されている。現像バイアス電源回路67は、現像ローラ61と感光体ドラム3との間に現像バイアスを印加するために、必要な電圧を出力するようになっている。現像バイアス電源回路67は、+300Vの直流電圧を出力するようになっている。
【0031】
<動作説明>
次に、上述の本実施形態の構成による動作の概要を、その作用・効果とともに説明する。
【0032】
本実施形態の構成においては、正極性に帯電したトナーTは、電界搬送基板62により、トナー貯留部TR1からトナー担持位置TCPに向かって、トナー搬送経路TTPに沿ってトナー搬送方向TTDに搬送される。そして、このトナー担持位置TCPにて、トナーTは、現像ローラ61に担持される。
【0033】
このとき、トナー担持位置TCPにて、トナー搬送面TTSとブラシローラである現像ローラ61とが接触した状態で、現像ローラ61へのトナーTの担持(電界搬送基板62から現像ローラ61へのトナーTの受け渡し)が行われる。よって、トナー担持位置TCPまで搬送されてきたトナーTのほとんどが現像ローラ61に担持されるとともに、現像ローラ61におけるトナーTの担持状態が良好に均一となる。
【0034】
トナー担持位置TCPにて現像ローラ61に担持されたトナーTは、現像ローラ61の回転駆動により現像位置DPに達し、かかる現像位置DPにて、感光体ドラム3に供給される(すなわち静電潜像担持面LSに形成された静電潜像の現像に供される)。現像位置DPを経て現像ローラ61に残留したトナーTは、回収部材63によって除去され、トナー貯留部TR2まで落下することで回収される。これにより、現像位置DPにてトナーTが残留していた現像ローラ61の周面から、現像位置DPにおける現像履歴(感光体ドラム3への供給履歴)が良好にクリアされる。トナー貯留部TR2に回収されたトナーTは、オーガ65によって、それまでトナー貯留部TR2に貯留されていたトナーTと撹拌され、トナー貯留部TR1に再度送られる。
【0035】
このように、本実施形態の構成においては、進行波電界によって良好に搬送され得る、良好に帯電した状態のトナーTが、電界搬送基板62によってトナー担持位置TCPまで搬送され、当該トナー担持位置TCPにて現像ローラ61に担持される。したがって、ブラシローラである現像ローラ61に担持されるトナーTの帯電状態が、上述した従来の構成よりも、よりいっそう安定化される。したがって、本実施形態の構成によれば、感光体ドラム3に対するトナーTの良好な供給が、安価な装置構成で達成される。
【0036】
また、本実施形態の構成においては、トナー担持位置TCPにてトナーTが現像ローラ61に対して「アゲインスト」方向に供給されるとともに、現像位置DPを経て現像ローラ61に残留したトナーTが、トナー担持位置TCPよりもトナー搬送方向TTDにおける下流側にて現像ローラ61と接触する回収部材63によって回収される。したがって、本実施形態の構成によれば、トナーTの現像ローラ61への担持及び現像ローラ61からの回収が、良好に行われ得る。
【0037】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0038】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0039】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0040】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【0041】
本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。
【0042】
露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの(LED、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、蛍光体、等)が好適に用いられ得る。この場合、「主走査方向」は、発光素子(LED等)の配列方向と平行な方向となる。あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0043】
感光体ドラム3と現像ローラ61とは、離間していてもよい。同様に、現像ローラ61とトナー搬送面TTSとは、離間していてもよい。また、現像ローラ61の構成(繊維の材質、太さ、密度、長さ、等。)も、上述の具体例に限定されない。
【0044】
各電源回路VA〜VDが発生する電圧の波形は、矩形波状以外にも、正弦波状や三角波状等の任意のものが用いられ得る。また、4相交流に代えて、3相交流が用いられ得る。すなわち、搬送バイアス電源回路66及び搬送バイアス電源回路66には、3つの電源回路が備えられるとともに、各電源回路が発生する電圧の位相が120°ずつ異なるようになっていてもよい。
【0045】
電界搬送基板62の構成や配置も、上述の実施形態にて開示されたものに限定されない。例えば、電界搬送基板62における、トナー担持位置TCPの近傍の部分は、平板状あるいは現像ローラ61の周面であるトナー担持面TCSに沿った凹形状に形成されていてもよい。
【0046】
図5は、図2に示されているトナー供給装置6の一変形例の概略構成を示す側断面図である。以下図5を参照すると、電界搬送基板62は、トナー担持位置TCPにてトナーTが現像ローラ61に対して「ウィズ」方向に供給されるように構成されていてもよい。
【0047】
具体的には、本変形例においては、トナー供給装置6の本体フレームをなすケーシング68は、側断面視にて略U字状に形成され上下方向(図中y軸方向)に長手方向を有する箱状部材であるメインケーシング68aを備えている。すなわち、メインケーシング68aの頂部であって、感光体ドラム3と対向する位置には、感光体ドラム3に向けて上方に開口するように、開口部68a1が設けられている。メインケーシング68aの底部の略半円筒状の部分の内側の空間には、トナー貯留部TR1が設けられている。
【0048】
メインケーシング68aの底部と並行するように、主走査方向と平行な中心軸線を有する略円筒形状のサブケーシング68bが設けられている。サブケーシング68bの内側には、トナー貯留部TR2が設けられている。メインケーシング68aの底部のトナー貯留部TR1と、サブケーシング68bの内側の空間であるトナー貯留部TR2とは、主走査方向における両端部にて、連通孔68cを介して互いに連結(連通)されている。
【0049】
メインケーシング68aの底部には、オーガ64が収容されている。同様に、サブケーシング68bには、オーガ65が収容されている。オーガ64及びオーガ65は、トナー貯留部TR1及びトナー貯留部TR2内のトナーTを攪拌しつつ循環させるように構成されている。
【0050】
現像ローラ61は、その中心軸がメインケーシング68aの内側に位置することで、ほぼ上半分がメインケーシング68aの外側の露出するように、ケーシング68に収容されている。また、現像ローラ61は、メインケーシング68aにおける、開口部68a1が形成された上端部にて、回動可能に支持されている。
【0051】
メインケーシング68aの内部には、側断面視にて上下方向に長手方向を有する略長円状に形成されたトナー搬送経路TTPに沿って、電界搬送基板62が設けられている。電界搬送基板62は、メインケーシング68aの内壁面であって、連通孔68cと対向する側に固定されている。
【0052】
電界搬送基板62は、トナー貯留部TR1の上方に開口する略半円柱面状の底面から、現像ローラ61と対向する鉛直面状の部分(連通孔68cが設けられている側とは反対側)にわたって、メインケーシング68aの内壁面に固定されている。本実施形態においては、電界搬送基板62は、側断面視にて反転J字状に継ぎ目なく一体に形成されている。電界搬送基板62の上端部は、現像ローラ61の中心とほぼ同じ高さに設けられている。そして、電界搬送基板62は、トナー貯留部TR1内に貯留されたトナーTを、上方のトナー担持位置TCPに向けて、垂直上方に搬送するように設けられている。
【0053】
回収部材63は、メインケーシング68aの内壁面であって、連通孔68cが設けられている側(すなわち電界搬送基板62が設けられている側とは反対側)に固定されている。
【0054】
かかる構成によれば、トナーTの現像ローラ61への担持及び現像ローラ61からの回収が、ケーシング68(メインケーシング68a)内にて行われるため、トナー供給装置6の外部へのトナーTの漏出が、良好に抑制される。
【0055】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
【0056】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。
【符号の説明】
【0057】
1…レーザープリンタ 3…感光体ドラム(供給対象)
6…トナー供給装置(現像剤供給装置) 61…現像ローラ(ブラシローラ)
62…電界搬送基板 62a…搬送電極
63…回収部材 64…オーガ
65…オーガ 66…搬送バイアス電源回路
67…現像バイアス電源回路 68…ケーシング
68a…メインケーシング 68a1…開口部
68b…サブケーシング 68c…連通孔
DP…現像位置(現像剤供給位置) LS…静電潜像担持面
T…トナー(現像剤) TCP…トナー担持位置
TR1…トナー貯留部 TR2…トナー貯留部
TTD…トナー搬送方向 TTP…トナー搬送経路
TTS…トナー搬送面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開平2−193176号公報
【特許文献2】特開平3−243968号公報
【特許文献3】特開平4−147283号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した粉末状の現像剤を供給対象に供給するように構成された、現像剤供給装置において、
所定の現像剤搬送経路に沿って配列された複数の搬送電極を備えていて、これら複数の前記搬送電極に多相交流電圧が印加されることで、前記現像剤が貯留されている空間である現像剤貯留部から、前記現像剤を、前記現像剤搬送経路に沿って搬送するように構成された、現像剤電界搬送基板と、
前記現像剤電界搬送基板から前記現像剤を受け渡されるとともに当該受け渡された現像剤を前記供給対象に供給するように、所定の現像剤供給位置にて前記供給対象と対向配置されるとともに所定の現像剤担持位置にて前記現像剤電界搬送基板と対向配置された、ブラシローラと、
を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、現像剤供給装置であって、
前記ブラシローラは、前記現像剤担持位置にて前記現像剤電界搬送基板と接触するように設けられたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の、現像剤供給装置において、
前記現像剤供給位置を経て前記ブラシローラに残留した前記現像剤を回収するために、前記ブラシローラと当接するように設けられた、回収部材をさらに備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の、現像剤供給装置であって、
前記現像剤電界搬送基板は、前記現像剤担持位置の近傍にて、表面が外側に向くように凸設され、
前記ブラシローラは、前記現像剤担持位置における周面の移動方向が、前記現像剤電界搬送基板による前記現像剤の搬送方向と逆方向となるように設けられ、
前記回収部材は、前記現像剤担持位置よりも前記搬送方向側に設けられたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記現像剤電界搬送基板は、前記現像剤貯留部から前記現像剤担持位置までの間に、前記現像剤を鉛直上方に搬送する平板状の部分を有することを特徴とする、現像剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−177791(P2012−177791A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40529(P2011−40529)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】