説明

現像剤搬送機構および画像形成装置

【課題】現像剤搬送機構の出口側に廃トナーが詰まることを防止し、廃トナーを円滑に搬送する。
【解決手段】回転軸の延長線を中心として螺旋状に巻かれた羽根を備え、前記回転軸方向に伸縮可能に形成され、回転駆動されて前記回転軸方向に現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、前記現像剤搬送部材の回転に伴って前記現像剤搬送部材を前記回転軸方向に伸縮させて振動させる振動発生部材とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤を搬送する現像剤搬送機構およびその現像剤搬送機構を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真方式による画像形成装置は、回転する感光体の表面を一様に帯電手段により帯電させた後、帯電された感光体の表面に露光部材により印刷データにしたがって光照射を行い、静電潜像を形成し、その静電潜像に現像手段により静電気力を利用してトナーを付着させてトナー像を形成した後、そのトナー像を転写手段により記録媒体へ転写し、さらに定着手段により記録媒体に定着させるようにしている。このような画像形成装置には、感光体の回転方向における転写手段の下流側には感光体に残留したトナーを掻き取るクリーニング部材およびそのクリーニング部材により掻き取られたトナーを搬送する螺旋状の羽根が形成されたトナー搬送部材を有する現像剤搬送機構が設けられており、その現像剤搬送機構により搬送されたトナーを回収手段によって回収するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−94075号公報(段落「0009」〜段落「0012」、図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、掻き取られたトナーを搬送するトナー搬送部材の螺旋状の羽根間で廃トナーが固化することにより、現像剤搬送機構の出口側に廃トナーが詰まってしまい、トナーを搬送することができなくなるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、現像剤搬送機構の出口側に廃トナーが詰まることを防止し、廃トナーを円滑に搬送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、回転軸の延長線を中心として螺旋状に巻かれた羽根を備え、前記回転軸方向に伸縮可能に形成され、回転駆動されて前記回転軸方向に現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、前記現像剤搬送部材の回転に伴って前記現像剤搬送部材を前記回転軸方向に伸縮させて振動させる振動発生部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、現像剤搬送機構の出口側に廃トナーが詰まることを防止し、廃トナーを円滑に搬送することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例における現像剤搬送機構の構成を示す説明図
【図2】第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略断面図
【図3】第1の実施例におけるクリーニング部の構成を示す断面説明図
【図4】第1の実施例におけるブロックの構成を示すCC矢視図
【図5】第1の実施例におけるギアの配置を示す説明図
【図6】第1の実施例におけるカムの斜視図
【図7】第2の実施例における現像剤搬送機構の構成を示す説明図
【図8】第2の実施例における磁石の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による現像剤搬送機構および画像形成装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図2は第1の実施例における画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
図2において、1は電子写真方式を用いた画像形成装置としてのカラープリンタであり、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の4色の現像剤としてのトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するプリンタである。
【0010】
各印刷機構17K、17Y、17M、17Cは、現像装置としてのID(イメージドラム)ユニット4K、4Y、4M、4Cを搭載し、それぞれの印刷機構17K、17Y、17M、17Cはブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの4色のトナーに対応しており、同一の構成を成している。以下に印刷機構17Cの構成を代表として説明する。
【0011】
印刷機構17は、IDユニット4と、露光器としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッド11と、IDユニット4により形成されたトナー画像を記録媒体14に転写する転写器としての転写ローラ13とから構成されている。
【0012】
IDユニット4は、カラープリンタ1に着脱可能に配設され、表面に静電潜像およびトナー画像が形成される静電潜像担持体としての感光ドラム3を備えている。この感光ドラム3は、IDユニット4の下部に露出され、その露出した部分が転写ローラ13に対向して配置され、その転写ローラ13との間で記録媒体14が搬送される搬送路を形成している。
【0013】
また、IDユニット4の内部には、感光ドラム3の周囲に、感光ドラム3の表面を一様に帯電させる帯電器としての帯電ローラ7と、感光ドラム3にトナーを供給してトナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ5と、感光ドラム3に残留したトナーを掻き取るクリーニング部としてのドラムクリーニングブレード12とが、それぞれ感光ドラム3の外周面に当接し、感光ドラム3の回転方向における上流から下流に向けて帯電ローラ7、現像ローラ5、ドラムクリーニングブレード12の順に配置されている。
【0014】
さらに、IDユニット4の内部には、現像ローラ5にトナー19を供給する現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ6と、現像ローラ5の表面に接触してトナー供給ローラ6から供給されたトナー19を薄層化する層規制ブレード8が配設されている。
IDユニット4の上部には、トナー収容器としてのトナーカートリッジ18が着脱可能に搭載され、そのトナーカートリッジ18からIDユニット4の内部にトナー19を供給できるようになっている。
【0015】
IDユニット4と転写ローラ13との間には、感光ドラム3に形成されたトナー像を記録媒体14に転写する転写ベルト16が配設され、その転写ベルト16は、ベルト駆動ローラ23および従動ローラ24に張設され、ベルト駆動ローラ23の駆動により回転走行できるようになっている。
【0016】
また、転写ベルト16の下方には、転写ベルト16に付着したトナーを掻き取ってクリーニングするためのクリーニング器としてのベルトクリーニングブレード15が転写ベルト16の表面に当接して配設されている。
転写ベルト16を回転させるベルト駆動ローラ23の下流側には、記録媒体14に転写されたトナー像を定着させる定着器20が配設され、この定着器20は、加圧ローラ21および加熱ローラ22を備えている。
【0017】
このように構成されたカラープリンタ1は、メモリ等で構成された記憶手段としての記憶部、ならびに演算手段および制御手段としての制御部を備え、記憶部に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて制御部がカラープリンタ1全体の動作を制御する。
【0018】
図3は第1の実施例におけるクリーニング部の構成を示す断面説明図である。
図3において、感光ドラム3をクリーニングするクリーニング部は、ドラムクリーニングブレード12と、ドラムクリーニングブレード12の下方に配設されたハウジング35と、そのハウジング35の上方に図中矢印が示す方向に回転可能に配設された廃トナー搬送スパイラル26と、感光ドラム3の図中矢印が示す回転方向における上流に感光ドラム3の外周面に当接するように配設された廃トナー搬送ガイドフィルム36とから構成されている。
【0019】
次に、現像剤搬送機構について図1、図4、図5および図6に基づいて説明する。なお、図1は第1の実施例における現像剤搬送機構の構成を示す説明図、図4は第1の実施例におけるブロックの構成を示すCC矢視図、図5は第1の実施例におけるギアの配置を示す説明図、図6は第1の実施例におけるカムの斜視図である。
【0020】
図1において、現像剤搬送機構は、廃トナー搬送スパイラルギア25と、現像剤搬送部材としての廃トナー搬送スパイラル26と、廃トナー搬送スパイラル26の回転に伴って廃トナー搬送スパイラル26を回転軸方向に伸縮させて振動させる振動発生部材としてのブロック27およびカム31とにより構成されている。
【0021】
廃トナー搬送スパイラル26は、回転軸としての廃トナー搬送スパイラルギア25の軸34の延長線を中心として螺旋状(軸34の延長線が中空となっているスプリング状)に巻かれた羽根が形成され、図中矢印Eが示す方向に回転することにより、ドラムクリーニングブレード12で掻き取られた廃トナーを図中矢印Dが示す回転軸方向に搬送する。この廃トナー搬送スパイラル26は、羽根が螺旋状に形成されることにより、回転軸方向に伸縮可能に形成され、廃トナーを搬送する図中矢印Dが示す方向に弾性を有している。
【0022】
廃トナー搬送スパイラル26の図中矢印Aが示すギア側(廃トナーの搬送方向と反対の方向)の端部は、回転駆動源が接続された廃トナー搬送スパイラルギア25の軸34に装着され、廃トナー搬送スパイラル26は廃トナー搬送スパイラルギア25と共に回転可能に構成されている。
【0023】
廃トナー搬送スパイラルギア25は、図2に示すIDユニット4に備え付けられているストッパ28により図中矢印Dが示す回転軸方向における位置が固定されている。
また、廃トナー搬送スパイラル26の図中矢印Bが示す側(廃トナーの搬送方向)の先端部には、中空部材で環状に形成された回転部材としてのブロック27が装着されている。
【0024】
このブロック27は、その回転軸が廃トナー搬送スパイラル26の回転軸と略同軸になるように廃トナー搬送スパイラル26の端部に取り付けられ、廃トナー搬送スパイラル26の回転と共に回転する。したがって、廃トナー搬送スパイラルギア25が図示しないモータ等の駆動源により回転することにより、廃トナー搬送スパイラル26およびブロック27が一体となって回転する。
【0025】
また、ブロック27には、基面27aおよびその基面27aに対して図中矢印Dが示す廃トナーの搬送方向に向けて凸状に突出した突出部としての突出面27bが形成され、また、その基面27aと突出面27bとの間には段差が形成されている。このブロック27は、図1におけるCC矢視図である図4に示すように環状に形成され、基面27aおよび突出面27bがそれぞれ半円を形成するように設けられている。
なお、本実施例では、ブロック27に半円状の基面27aおよび突出面27bを形成したものとして説明するが、基面27aに対して図中矢印Dが示す廃トナーの搬送方向に向けて凸状に一部が突出した棒状の突出部を形成するようにしても良い。
【0026】
カム(カム部材)31は、ブロック27に形成された基面27aおよび突出面27bに対向するように配置され、その対向面にはブロック27の突出面27bと当接する傾斜面およびその傾斜面の終端に段差が形成された環状の部材である。このカム31は、図2に示すIDユニット4に固定されて回転が規制されており、また廃トナー搬送スパイラル26の図中矢印Dが示す方向の付勢力によりブロック27が押圧されている。
【0027】
図5において、廃トナー搬送スパイラル26を回転させる廃トナー搬送スパイラルギア25は、感光ドラム3を回転させる感光ドラム駆動ギア29の回転に伴い、アイドルギア30を介して回転するように構成され、それぞれのギアは図中矢印が示す方向へ回転することができるようになっている。
【0028】
図6において、カム31は、例えば、中空部材で環状に形成され、図1に示すブロック27の基面27aおよび突出面27bに対向する面に環状の傾斜面が形成され、その傾斜面の終端である一端部31aと他端部31bとの間に段差31cが形成されている。その環状の傾斜面の一端部31aは、他端部31bより突出して段差31cを形成している。
【0029】
したがって、図1に示す廃トナー搬送スパイラル26と共に回転するブロック27の突出面27bが、カム31の端部31bから端部31aに向かって形成された傾斜面に押圧されることにより、廃トナー搬送スパイラル26は徐々に収縮し、またブロック27の突出面27bがカム31の段差31cを超えると廃トナー搬送スパイラル26は自身の弾性力により伸張するようになっている。
【0030】
上述した構成の作用について説明する。
まず、カラープリンタの動作を図2に基づいて説明する。
図2において、図示しない上位装置等から印刷命令を受けたカラープリンタ1は、各印刷機構17K、17Y、17M、17Cに対して画像を形成するための命令を送信する。感光ドラム3は、所定の周速度で図中矢印が示す方向へ回転すると同時に、帯電ローラ7に所定のバイアス電圧が印加され、感光ドラム3の表面が一様かつ均一に帯電される。
【0031】
印刷命令の印刷データに応じてLEDヘッド11が発光することにより、帯電された感光ドラム3上に静電潜像が形成される。
IDユニット4内に収容されているトナー19は、バイアス電圧が印加されたトナー供給ローラ6の図中矢印が示す方向の回転によって現像ローラ5に供給され、その現像ローラ5は供給されたトナー19を図中矢印が示す方向に搬送する。
【0032】
現像ローラ5の回転方向におけるトナー供給ローラ6の下流側に現像ローラ5に接触して配置された層規制ブレード8により、均一な厚さのトナー層が現像ローラ5上に形成される。層規制ブレード8を通過したトナー19は、さらに現像ローラ5の図中矢印が示す方向の回転運動により搬送され、感光ドラム3と現像ローラ5との間には、感光ドラム3に形成された静電潜像に対応する電気力線が発生し、現像ローラ5上のトナー19は静電気力により感光ドラム3上に付着し、現像されたトナー像が感光ドラム3に形成される。
【0033】
ベルト駆動ローラ23および従動ローラ24の回転により転写ベルト16が、図中矢印が示す方向へ回転し、記録媒体14が転写ベルト16により、感光ドラム3と転写ローラ13とで形成される転写部へ送られる。
【0034】
感光ドラム3に対向して配置された転写ローラ13に所定のバイアス電圧が印加され、搬送された記録媒体14に感光ドラム3上に形成されたトナー像を転写する。トナー像が転写された記録媒体14は、さらに転写ベルト16により定着器20へ搬送され、加熱ローラ22および加圧ローラ21により記録媒体14に転写されたトナー19を溶融し、記録媒体14への定着が行われる。トナー19が定着された記録媒体14はカラープリンタ1の外部へ送出される。
【0035】
一方、トナー像を記録媒体14に転写した後の感光ドラム3には、若干のトナー19が残留する場合があるが、この残留したトナー19はドラムクリーニングブレード12によって除去され、感光ドラム3は繰り返して利用される。
また、転写ベルト16上に残留したトナー19は、ベルトクリーニングブレード15によって除去され、転写ベルト16は繰り返して利用される。
このようにしてカラープリンタ1は印刷動作を行う。
【0036】
次に、現像剤搬送機構が行う廃トナーの搬送動作について図1および図3に基づいて説明する。
図1および図3において、ドラムクリーニングブレード12により感光ドラム3の外周面から掻き取られた廃トナーは、廃トナー搬送ガイドフィルム36に案内されて廃トナー搬送スパイラル26に向けて移動する。
【0037】
この廃トナー搬送スパイラル26が図1中の矢印Eが示す方向へ回転することにより、掻き取られた廃トナーは廃トナー搬送スパイラル26の螺旋羽根の作用により図1中の矢印Dが示す方向へ押し出されて搬送され、ブロック27、カム31の中空部を順に通過し、図示しないトナー回収機構へ搬送され、そのトナー回収機構により回収される。なお、ブロック27およびカム31が環状に形成されているのは、廃トナーを図示しないトナー回収機構へ円滑に搬送するためである。
【0038】
次に、廃トナー搬送スパイラル26が回転駆動に伴って廃トナーの搬送方向に振動する動作を図1に基づいて説明する。
図示しない駆動源により図5に示す感光ドラム駆動ギア29が、図5中矢印が示す方向に回転すると、その感光ドラム駆動ギア29の回転力はアイドルギア30を介して廃トナー搬送スパイラルギア25に伝わる。
【0039】
廃トナー搬送スパイラルギア25、廃トナー搬送スパイラル26およびブロック27は一体となって回転するように構成されているため、廃トナー搬送スパイラルギア25が、図1中矢印Eが示す方向に回転すると、廃トナー搬送スパイラル26およびブロック27も図1中矢印Eが示す方向に回転する。
このとき、ブロック27の突出面27bは、対向配置されたカム31の傾斜面と当接しており、ブロック27の回転に伴って突出面27bはカム31の傾斜面と接触しながら端部31b側から端部31a側へ徐々に移動し、廃トナー搬送スパイラル26は図1中矢印Dが示す方向と反対の方向へ縮められていく。
【0040】
さらに、ブロック27が回転すると、その回転に伴って突出面27bはカム31の傾斜面と接触しながら端部31aを通過し、段差31cを経て端部31bと当接する。その当接の際、廃トナー搬送スパイラル26は図1中矢印Dが示す方向へ自身の復元力で伸び、当接による衝撃で振動する。
【0041】
廃トナー搬送スパイラルギア25が連続して回転することにより、廃トナー搬送スパイラル26は、連続して回転し、トナーを回転軸方向へ搬送すると共に、トナーを搬送する方向に伸縮しながら振動を繰り返す。
【0042】
このように廃トナー搬送スパイラル26は廃トナーを搬送する方向に伸縮しながら振動を繰り返すことにより、廃トナー搬送スパイラル26の螺旋状の羽根間で廃トナーの固化を防ぐことができる。
また、廃トナー搬送スパイラル26を廃トナー搬送方向に振動させる振動源を廃トナーの出口側に設けたことにより、出口側の廃トナーに、より多くの振動を与えることができ、廃トナーの出口付近のトナー詰まりを解消することができる。
【0043】
さらに、廃トナー搬送スパイラル26の回転の駆動源である廃トナー搬送スパイラルギア25は、廃トナーの搬送方向において固定されているため、廃トナー搬送スパイラル26が廃トナー搬送方向に振動する場合においても図5に示す廃トナー搬送スパイラルギア25とアイドルギア30との歯の噛み合わせの位置が変わることなく、常に廃トナー搬送スパイラル26は回転することができる。
【0044】
以上説明したように、第1の実施例では、廃トナー搬送スパイラルを廃トナーの搬送方向に繰り返して伸縮しながら振動させるようにしたことにより、廃トナー搬送スパイラルの螺旋状の羽根間で廃トナーの固化を防ぐことができるという効果が得られる。
【0045】
また、廃トナー搬送スパイラルを振動させる振動源を廃トナーの出口側に設けたことにより、廃トナーの出口付近のトナー詰まりを解消することができるという効果が得られる。
さらに、廃トナー搬送スパイラルの回転の駆動源である廃トナー搬送スパイラルギアの廃トナー搬送方向における移動を規制するようにしたため、廃トナー搬送スパイラルが廃トナー搬送方向に振動する場合においても、常に廃トナー搬送スパイラルは回転することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0046】
第2の実施例の構成は、現像剤搬送機構の廃トナー搬送スパイラルを振動させる振動発生部材の構成が第1の実施例の構成と異なっている。その第2の実施例の構成を図7の第2の実施例における現像剤搬送機構の構成を示す説明図、図8の第2の実施例における磁石の斜視図に基づいて説明する。なお、第2の実施例の画像形成装置およびクリーニング部の構成は、図2および図3に示す第1の実施例の画像形成装置およびクリーニング部の構成と同様なので同一の符号を付してその説明を省略し、また画像形成装置およびクリーニング部以外の上述した第1の実施例と同様な部分も、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
図7において、現像剤搬送機構は、回転駆動源としての廃トナー搬送スパイラルギア25と、現像剤搬送部材としての廃トナー搬送スパイラル26と、廃トナー搬送スパイラル26の回転に伴って廃トナー搬送スパイラル26を回転軸方向に伸縮させて振動させる振動発生部材としての磁石A32および磁石B33とにより構成されている。
磁石A32は中心部に孔が形成された環状の磁石であり、また磁石B33も中心部に孔が形成された環状の磁石である。
【0048】
帯磁回転部材としての磁石A32は、廃トナー搬送スパイラル26の図中矢印Dが示す廃トナーの搬送方向の端部に、回転軸を廃トナー搬送スパイラル26の回転軸と略同軸になるように取り付けられ、廃トナー搬送スパイラル26の回転とともに回転するようになっている。
【0049】
また、帯磁部材としての磁石B33は、磁石A32と対向配置され、図2に示すIDユニット4に回転が規制されて取り付けられている。
さらに、磁石A32および磁石B33は、図8に示すようにそれぞれの円周上に、N極の磁性を有する半円状のN極磁性部およびS極の磁性を有する半円状のS極磁性部が形成されている。
【0050】
上述した構成の作用について説明する。なお、カラープリンタの動作は第1の実施例と同様なのでその説明を省略する。
まず、現像剤搬送機構が行う廃トナーの搬送動作について図3および図7に基づいて説明する。
図3および図7において、ドラムクリーニングブレード12により感光ドラム3の外周面から掻き取られた廃トナーは、廃トナー搬送ガイドフィルム36に案内されて廃トナー搬送スパイラル26に向けて移動する。
【0051】
この廃トナー搬送スパイラル26が図7中の矢印Eが示す方向へ回転することにより、掻き取られた廃トナーは廃トナー搬送スパイラル26の螺旋羽根の作用により図7中の矢印Dが示す方向へ搬送され、磁石A32、磁石B33の中空部を順に通過し、図示しないトナー回収機構へ搬送され、そのトナー回収機構により回収される。
【0052】
次に、廃トナー搬送スパイラル26が回転駆動に伴って廃トナーの搬送方向に振動する動作を図7に基づいて説明する。
図示しない駆動源により図5に示す感光ドラム駆動ギア29が、図中矢印が示す方向に回転すると、その感光ドラム駆動ギア29の回転力はアイドルギア30を介して廃トナー搬送スパイラルギア25に伝わる。
【0053】
廃トナー搬送スパイラルギア25、廃トナー搬送スパイラル26および磁石A32は一体となって回転するように構成されているため、廃トナー搬送スパイラルギア25が、図1中矢印Eが示す方向に回転すると、廃トナー搬送スパイラル26および磁石A32も図1中矢印Eが示す方向に回転する。
このとき、磁石B33はIDユニットに固定されているため回転せず、磁石A32のみが回転するため、磁石A32の回転に伴い、磁石B33の磁極と対向する磁石A32の磁極が入れ替わる。
【0054】
磁石A32のN極と磁石B33のN極、磁石A32のS極と磁石B33のS極のように同じ磁極が向かい合ったとき、磁石A32は磁石B33より受ける反発力により、図中矢印Fが示す方向へ移動し、廃トナー搬送スパイラル26は図中矢印Dが示す方向と反対の方向へ縮められていく。
【0055】
さらに、磁石A32が回転し、磁石A32のN極と磁石B33のS極、磁石A32のS極と磁石B33のN極のように異なる磁極が向かい合ったとき、磁石A32は磁石B33より受ける引力により、図中矢印Gが示す方向へ移動し、廃トナー搬送スパイラル26は図中矢印Dが示す方向へ伸び、振動する。なお、このとき磁石A32は、IDユニットに設けられた図示しない係止部材等により、磁石B33とは接触しないようになっている。
【0056】
このように廃トナー搬送スパイラルギア25が回転することにより、廃トナー搬送スパイラル26は廃トナーを搬送する方向に伸縮しながら振動を繰り返す。
このように廃トナー搬送スパイラル26は廃トナーを搬送する方向に伸縮しながら振動を繰り返すことにより、廃トナー搬送スパイラル26の螺旋状の羽根間で廃トナーの固化を防ぐことができる。
【0057】
また、廃トナー搬送スパイラル26を廃トナー搬送方向に振動させる振動源を廃トナーの出口側に設けたことにより、出口側の廃トナーに、より多くの振動を与えることができ、廃トナーの出口付近のトナー詰まりを解消することができる。
さらに、廃トナー搬送スパイラル26の回転の駆動源である廃トナー搬送スパイラルギア25は、廃トナーの搬送方向において固定されているため、第1の実施例と同様に、常に廃トナー搬送スパイラル26は回転することができる。
【0058】
またさらに、振動発生部材である磁石A32と磁石B33とが接触しないようにしたことにより、部材としての磁石A32および磁石B33の劣化を遅らせることができ、また廃トナーが磁石A32および磁石B33により擦られることがないため、廃トナー融着による廃トナーの詰まりを防ぐことができる。
【0059】
以上説明したように、第2の実施例では、第1の実施例の効果に加え、振動発生部材である二つの磁石を接触させないようにしたことにより、二つの磁石の劣化を抑制することができ、また廃トナー融着による廃トナーの詰まりを防ぐことができるという効果が得られる。
【0060】
なお、第1の実施例および第2の実施例では、本発明を、廃トナーを搬送する現像剤搬送機構に適用した例で説明したが、トナーカートリッジからトナーを供給する現像剤搬送機構に適用することも可能である。
また、第1の実施例および第2の実施例では、画像形成装置をカラープリンタとして説明したが、それに限られることなく、画像形成装置をモノクロプリンタ、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリまたは複合機(MFP)等としても良い。
【符号の説明】
【0061】
1 カラープリンタ
3 感光ドラム
4 IDユニット
5 現像ローラ
6 トナー供給ローラ
7 帯電ローラ
8 層規制ブレード
11 LEDヘッド
12 ドラムクリーニングブレード
13 転写ローラ
14 記録媒体
15 ベルトクリーニングブレード
16 転写ベルト
17 印刷機構
18 トナーカートリッジ
19 トナー
20 定着器
21 加圧ローラ
22 加熱ローラ
23 ベルト駆動ローラ
24 従動ローラ
25 廃トナー搬送スパイラルギア
26 廃トナー搬送スパイラル
27 ブロック
28 ストッパ
29 感光ドラム駆動ギア
30 アイドルギア
31 カム
32 磁石A
33 磁石B
34 軸
35 ハウジング
36 廃トナー搬送ガイドフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の延長線を中心として螺旋状に巻かれた羽根を備え、前記回転軸方向に伸縮可能に形成され、回転駆動されて前記回転軸方向に現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、
前記現像剤搬送部材の回転に伴って前記現像剤搬送部材を前記回転軸方向に伸縮させて振動させる振動発生部材とを有することを特徴とする現像剤搬送機構。
【請求項2】
請求項1の現像剤搬送機構において、
前記振動発生部材は、
前記現像剤搬送部材の現像剤搬送方向の端部に、回転軸を前記現像剤搬送部材の回転軸と略同軸として取り付けられ、前記現像剤搬送方向に向けて突出する突出部が形成された環状の回転部材と、
前記回転部材と対向し、回転が規制されて配置され、前記回転部材の突出部と当接する円形状の傾斜面および該傾斜面の終端に段差が形成された環状のカム部材とを有することを特徴とする現像剤搬送機構。
【請求項3】
請求項2の現像剤搬送機構において、
回転する前記現像剤搬送部材は、
該現像剤搬送部材と共に回転する前記回転部材の突出部が、前記カム部材の傾斜面に押圧されて収縮し、前記カム部材の段差を超えたとき伸張することを特徴とする現像剤搬送機構。
【請求項4】
請求項1の現像剤搬送機構において、
前記振動発生部材は、
前記現像剤搬送部材の現像剤搬送方向の端部に、回転軸を前記現像剤搬送部材の回転軸と略同軸として取り付けられ、N極の磁性を有する半円状のN極磁性部およびS極の磁性を有する半円状のS極磁性部が形成された環状の帯磁回転部材と、
前記回転部材と対向し、回転が規制されて配置され、N極の磁性を有する半円状のN極磁性部およびS極の磁性を有する半円状のS極磁性部が形成された環状の帯磁部材とを有することを特徴とする現像剤搬送機構。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項の現像剤搬送機構において、
前記現像剤搬送部材は、前記現像剤搬送方向に弾性を有することを特徴とする現像剤搬送機構。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項の現像剤搬送機構において、
前記現像剤搬送部材は、前記現像剤搬送方向と反対方向の端部に回転駆動源が接続されていることを特徴とする現像剤搬送機構。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項の現像剤搬送機構を備えた
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−141443(P2012−141443A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293957(P2010−293957)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】