説明

現像装置、画像形成装置

【課題】印刷開始直後と連続印刷時のトナー帯電量の差をなくし、トナーの帯電量を安定させ、良好な画像形成を行えるようにする。
【解決手段】表面に現像剤を担持して感光体11まで現像剤を搬送し、感光体11に画像を形成する現像ローラ120と、感光体11への画像形成個所より現像ローラ120上流側に配置され感光体11の現像剤の量を規制するドクターブレード150と、を有する現像装置100において、ドクターブレード150の上流側に、現像ローラ120との間隔寸法を変更できる前置規制部材160を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現像装置及び画像形成装置に係り、特に表面に現像剤を担持して潜像担持体まで現像剤を搬送し、前記潜像担持体に画像を形成する現像剤担持体と、前記潜像担持体への画像形成個所より現像剤担持体上流側に配置され前記現像剤担持体上の現像剤の量を規制する現像剤規制部材とを有する現像装置及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置においては、高画質が求められると同時に、高速化、高耐久性、高安定も望まれている。この要請に応えるため、画像形成装置は、環境変動による画質の変化が少なく、また、高速でも常に安定した画像を経時において形成していかなければならない。
【0003】
従来、非磁性のトナーと磁性を有するキャリアとからなる二成分現像剤を使用して潜像担持体である感光体を現像するものが画像形成装置、特に高速機向けとして広く使用されている。
【0004】
このような画像形成装置では二成分現像剤は、現像剤担持体である現像ローラで感光体に塗布される。ここで、現像ローラは、磁極を内包し、磁気ブラシを形成しており、二成分現像剤は磁気ブラシによって現像バイアスが印加された感光体に付着される。このときトナーは帯電され、この帯電したトナーが潜像担持体上の静電潜像に付着し、現像ローラにトナー像として形成される。
【0005】
ここで、トナーの帯電は、現像剤担持体上流に位置し、磁性キャリアと補給されたトナーを均一に攪拌する攪拌装置内と、現像剤担持体表面上の現像剤の量を規制する現像剤規制部材(以下、ドクターブレードという)と現像剤担持体間の間隙(以下、ドクターギャップという)とにおいて、摩擦帯電によって行われる。
【0006】
以下二成分現像装置の一例について説明する。図5は従来の現像装置の構造を示す概略断面図である。この現像装置は、この例に係る現像装置400は二成分現像装置であってハウジング410内に磁性体であるキャリアと非磁性体であるトナーからなる現像剤を内包している。また、ハウジング410には、その内部に現像ローラ420と、攪拌ローラ430と、現像剤規制部材であるドクターブレード450とを備えている。この例では現像剤のトナーはトナー補給部440から補充される。
【0007】
現像ローラ420は現像位置まで現像剤を搬送し、像担持体である感光体460上の潜像画像にトナーを付着させ可視画像を形成する。また、現像ローラ420は、図中反時計回りに回転駆動される非磁性の現像スリーブ421と、これに連れ回らないようにスリーブ内部に固定された磁力発生手段であるマグネットローラ422とを備えており、ハウジング410の開口部から周面の一部を露出させて、感光体460と所定の間隔を保つように設置される。
【0008】
ドクターブレード450は、現像ローラ420との間に所定の間隔を開け配置され、現像ローラ420に保持された現像剤の量を規制する。
【0009】
磁力により現像ローラ420上に担持された現像剤は、ドクターブレード450で、現像ローラ420上の層厚を規制され、感光体460と近接する現像領域に搬送され、トナーを現像ローラ420上の潜像に供給し現像を行う。
【0010】
現像を完了した現像剤は現像ローラ420の下を通って攪拌ローラ430まで搬送され、再びトナーを補給され上記の循環を繰り返す。
【0011】
このような現像装置として、特許文献1には、現像剤担持体表面の現像剤を像担持体の現像領域に転移させて現像を行う現像装置であって、この現像剤担持体に近接して配置され、現像剤担持体によって搬出される現像剤の量を規制、あるいは現像剤を混合攪拌するための2枚の板状部材を有する現像装置において、前記板状部材の先端の角の内、前記現像剤担持体に最も近接する角は、少なくとも現像剤担持体の回転方向の上流側向きに微小半径を有する丸みを有しているものが記載されている。
【特許文献1】特開平9−34250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、このような現像装置において、現像ローラが高速で駆動され、かつドクターブレードとのドクターギャップが狭い場合、トナーへの帯電はドクターギャップの摩擦帯電によるところが大きい。
【0013】
そのため、連続印刷時のように連続して現像ローラが回転して、現像剤が均等に循環している状態と比較し、印刷開始直後のドクターギャップ間を通過しない現像剤が多い状態ではトナーの帯電量が低くなってしまう。このため、印刷開始直後は現像不良により、画像部の濃度過多、非画像部へのトナー付着、トナー吹きなどの問題が発生しやすい。
【0014】
そこで本発明は、印刷開始直後と連続印刷時のトナー帯電量の差をなくし、トナーの帯電量を安定させ、良好な画像形成を行える現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、表面に現像剤を担持して潜像担持体まで現像剤を搬送し、前記潜像担持体に画像を形成する現像剤担持体と、前記潜像担持体への画像形成個所より現像剤担持体上流側に配置され前記現像剤担持体上の現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、を有する現像装置において、前記現像剤規制部材の上流側に、現像剤担持体との間隔寸法を変更できる前置規制部材を配置することを特徴とする現像装置である。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1記載の現像装置において、前記前置記載部材は、前記現像剤担持体に近接して配置される規制部材と、この規制部材を前記現像剤担持体への隙間間隔を調整可能に保持する間隔調整部材とからなることを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2記載の現像装置において、前記規制部材は平板状部材であることを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、請求項2記載の現像装置において、前記規制部材は、円柱状部材であることを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、請求項3記載の現像装置において、前記間隔調整部材は、前記規制部材を摺動可能に保持して前記規制部材と前記現像剤担持体との間隔寸法を調整可能とすることを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、請求項3又は4記載の現像装置において、前記間隔調整部材は、前記規制部材を回動可能に支持して前記規制部材と前記現像剤担持体との間隔寸法を調整可能とすることを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る現像装置及び画像形成装置によれば、現像剤規制部材の上流側に、現像剤担持体との間隔寸法を調整可能とした前置規制部材を配置したので、印刷開始直後のトナーの帯電量の不足分を補い、印刷開始直後と連続印刷時のトナー帯電量の差をなくしてトナーの帯電量を安定させ、良好な画像形成を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0024】
図1は本実施例に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。画像形成装置10は、像担持体である感光体11の周囲に、感光体11を一様に帯電させる帯電装置12と、一様に帯電した感光体11に図示していない露光装置からの露光13で形成された潜像を現像してトナー像を形成する現像装置100と、形成されたトナー像を転写紙Pに転写する接触式の転写装置15と、Pセンサ14と、転写後における感光体11の残留トナーを清掃するクリーニング装置16と、除電装置17とが配設されている。
【0025】
また、転写装置15の転写材搬送方向下流側には転写紙Pに形成されたトナー像を熱及び圧力で定着する定着装置18が配設されている。尚、図1では、転写紙Pの給紙部(給紙カセット、給紙トレイ等)や給紙装置(給紙ローラ、搬送ローラ、レジストローラ等)の図示は省略している。
【0026】
感光体11は、この例ではドラム状の感光体を使用している。感光体11としては、ベルト状の感光体等を使用することができる。帯電装置12は、例えば帯電ローラ等の接触帯電方式のものが用いられるが、コロナチャージャ等の非接触帯電方式のものを使用することができる。
【0027】
図示していない露光装置は、レーザ走査光学系により画像情報に対応して変調されたレーザ光を感光体11に露光して画像を書き込む方式や、画像情報に対応して発光ダイオード(LED)アレイ等を駆動して画像を書き込む方式等、種々のものが使用できる。
【0028】
現像装置100は、感光体11上の潜像をトナーとキャリアからなる二成分現像剤で現像して可視像化するものであり、ハウジング110内に二成分現像剤、現像剤を担持・搬送する現像ローラ120、攪拌ローラ130、トナー補給部140、ドクターブレード150、前置規制部材160を備えて構成されている。
【0029】
本実施例に係る画像形成装置においては、画像形成(コピーあるいはプリント)動作が開始されると、まず帯電装置12により感光体11が均一に帯電され、露光装置からの露光13により静電潜像が形成される。感光体11上の潜像は現像装置100の現像ローラ120で担持された現像剤で現像され可視像化される。そして、感光体11上の可視像(トナー像)が転写装置15の位置に来るタイミングに合わせて、図示しない給紙部から転写装置15に転写紙Pが給紙され、感光体11と転写ベルトニップ部で感光体11上のトナー像が転写紙Pに転写される。
【0030】
そして、転写後の転写紙Pは転写ベルトにより定着装置18に向けて搬送され、定着装置18によりトナー像が転写紙Pに定着される。一方、転写後の感光体11表面はクリーニング装置16で残留トナーを除去され、除電装置17で残留電荷を除去される。
【0031】
次に実施例に係る現像装置について説明する。図2は実施例に係る現像装置の構成を示す概略断面図である。現像装置100は、ハウジング110に現像ローラ120、攪拌ローラ130、トナー補給部140、ドクターブレード150、前置規制部材160を備えて形成されている。
【0032】
現像ローラ120は現像位置まで現像剤を搬送し、像担持体である感光体11上の潜像画像にトナーを付着させ可視画像を形成する。また、現像ローラ120は、図中反時計回りに回転駆動される非磁性の現像スリーブ121と、これに連れ回らないようにスリーブ内部に固定された磁力発生手段であるマグネットローラ122とを備えており、ハウジング110の開口部から周面の一部を露出させて、感光体11と所定の間隔を保つように設置される。
【0033】
攪拌ローラ130は、現像剤を攪拌して、トナー補給部140から補給されたトナーをキャリアと混合する。
【0034】
トナー補給部140からは、トナーが補給される。これにより、現像が繰り返されることによって消費されたトナーが補給され、攪拌ローラ130により現像剤中に混合され、現像剤中のトナー濃度を一定値以上に保つ。
【0035】
ドクターブレード150は、板状部材であり、現像ローラ120との間に所定の間隔を開けて固定配置され、現像ローラ120に保持された現像剤の量を規制する。
【0036】
前置規制部材160は、ドクターブレード150の上流側に配置されている。前記前置規制部材160は、規制部材である板状のプレドクターブレード161と、このプレドクターブレード161を現像ローラ120との間隔寸法を可変に保持する間隔調整部材である駆動装置162とから構成されている。駆動装置162は、ソレノイドや、モーター等を備えて構成され、プレドクターブレード161をスライド駆動(図中矢印A)してプレドクターブレード161と現像ローラ120との間隔寸法を調整する。尚、プレドクターブレード161と駆動装置162との間にレバーやカムを配置してもよい。
【0037】
本例において、前置規制部材160は次のように駆動される。印刷開始時において、駆動装置162は、プレドクターブレード161と現像ローラ120との間隔(プレドクターギャップと称する)を、ドクターブレード150と現像ローラ120との間隔(ドクターギャップ)と略等しくなる位置にプレドクターブレード161を移動し固定する。この際、プレドクターギャップの寸法がドクターギャップの寸法より小さいと、現像ローラ120上の現像剤の量が所定の量より少なくなるため、プレドクターギャップの寸法はドクターギャップの寸法以上であることが望ましい。
【0038】
この状態では、攪拌ローラ130から現像ローラ120に送られた現像剤は、まずプレドクターギヤップにおいて帯電され、その後更にドクターギャップにおいて帯電されることになり、トナーの帯電効率が高まり、トナーの帯電量を急激に上昇させることができる。
【0039】
その後、トナーの帯電量がドクターのみで帯電されたときの飽和帯電量に到達したら、プレドクターギャップの寸法を大きくする。トナーの帯電量が飽和に達するまでの時間は、使用する磁性キャリアの性質や印刷速度、使用環境によっても変化するので、各条件に合わせてプレドクターギャップを移動するタイミングを決定し駆動装置162を制御する。この制御は画像形成装置10の制御装置に予め設定して、この制御装置で駆動装置162を制御することで実行できる。また、現像装置100に制御部を設け、この制御部で駆動装置162の制御を行うようにしてもよい。
【0040】
尚、現像装置100内にトナーの帯電量を測定する装置を配置し、常にトナーの帯電量をモニターし、前記プレドクターブレード161を駆動するタイミングを判断してもよい。
【0041】
本例に係る現像装置100によれば、印刷開始直後にプレドクターブレード161と現像ローラ120との間隔寸法であるプレドクターギャップを小さくしてトナーの帯電量を増し、印刷開始直後のトナーの帯電量の不足分を補い、印刷開始直後と連続印刷時のトナー帯電量の差をなくしてトナーの帯電量を安定させ、良好な画像形成を行うことができる。
【0042】
次に第2の実施例に係る現像装置について説明する。図3は第2の実施例に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。現像装置200は、ハウジング110内に規制部材としてプレドクターブレード261を備えた前置規制部材260が配置される他、第1の実施例に係る現像装置100と同様に、現像ローラ120、攪拌ローラ130、トナー補給部140、ドクターブレード150が配置されて構成されている。
【0043】
本例では、プレドクターブレード261は、間隔調整部材である軸262と軸262を揺動駆動する図示しない駆動装置に接続されている。このような構成により、プレドクターブレード261を揺動することにより、現像ローラ120との間隔を変更できる。
【0044】
本例に係る現像装置によれば、プレドクターブレード261と現像ローラ120との間隔寸法を軸262の回動駆動で調整でき、第1の実施例と同様に、印刷開始直後におけるトナーの帯電量の不足分を補い、印刷開始直後と連続印刷時のトナー帯電量の差をなくしてトナーの帯電量を安定させ、良好な画像形成を行うことができる
【0045】
尚、前置規制部材として採用される部材の形状は板状徒に限らず他の形状のものを使用することができる。図5は第3の実施例に係る現像装置を示す概略断面図である。本例では、前置規制部材360は、規制部材として円柱状の規制部材361を使用し、この規制部材361を偏芯した位置において軸362で支持し、この軸362を図示していない駆動機構で揺動可能に支持したものである。
【0046】
本例に係る現像装置によれば、規制部材361と現像ローラ120との間隔を軸362の回動駆動で調整でき、第1の実施例と同様に、印刷開始直後におけるトナーの帯電量の不足分を補い、印刷開始直後と連続印刷時のトナー帯電量の差をなくしてトナーの帯電量を安定させ、良好な画像形成を行うことができる。
【0047】
尚、上記例では、前記前置規制部材に使用する部材の形状を板状、円筒状として説明したがこの形状に限らず他の形状の部材を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施例に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】実施例に係る現像装置の構成を示す概略断面図である。
【図3】第2の実施例に係る現像装置の構成を示す概略断面図である。
【図4】第3の実施例に係る現像装置の構成を示す概略断面図である。
【図5】従来の現像装置の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 画像形成装置
11 感光体(潜像担持体)
12 帯電装置
13 露光
14 Pセンサ
15 転写装置
16 クリーニング装置
17 除電装置
18 定着装置
100 現像装置
110 ハウジング
120 現像ローラ(現像剤担持体)
121 現像スリーブ
122 マグネットローラ
130 攪拌ローラ
140 トナー補給部
150 ドクターブレード(現像剤規制部材)
160 前置規制部材
161 プレドクターブレード(規制部材)
162 駆動装置(間隔調整部材)
200 現像装置
260 前置規制部材
261 プレドクターブレード(規制部材)
262 軸(間隔調整部材)
360 前置規制部材
361 規制部材
362 軸(間隔調整部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に現像剤を担持して潜像担持体まで現像剤を搬送して前記潜像担持体に画像を形成する現像剤担持体と、前記潜像担持体への画像形成個所より現像剤担持体上流側に配置され前記現像剤担持体上の現像剤の量を規制する現像剤規制部材と、を有する現像装置において、
前記現像剤規制部材の上流側に、現像剤担持体との間隔寸法を変更できる前置規制部材を配置したことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記前置記載部材は、前記現像剤担持体に近接して配置される規制部材と、この規制部材を前記現像剤担持体への隙間間隔を調整可能に保持する間隔調整部材とからなることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記規制部材は、平板状部材であることを特徴とする請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
前記規制部材は、円柱状部材であることを特徴とする請求項2記載の現像装置。
【請求項5】
前記間隔調整部材は、前記規制部材を摺動可能に保持して前記規制部材と前記現像剤担持体との間隔寸法を調整可能とすることを特徴とする請求項3記載の現像装置。
【請求項6】
前記間隔調整部材は、前記規制部材を回動可能に支持して前記規制部材と前記現像剤担持体との間隔寸法を調整可能とすることを特徴とする請求項3又は4記載の現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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