説明

現像装置

【課題】 現像剤の劣化による現像ローラ等への現像剤融着を防止し、かつ画像濃度の低下を抑制することのできる現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 供給ローラの発泡層に侵入するように供給ローラの長手方向に沿って配置され、画像形成領域に対する侵入量が、非画像形成領域に対する侵入量よりも小さい侵入部材を現像装置に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真記録方式を利用する現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタなどの画像形成装置において、電子写真感光体や静電記録誘電体などの像坦持体上(以下「感光体ドラム」という)に形成した静電潜像を、粉体である現像剤(以下「トナー」という)を用いて可視化することを行っている。その一例として、非磁性一成分トナーを用いた画像形成装置について図1により説明する。
【0003】
この画像形成装置は、静電潜像を担持するための感光体ドラム101、帯電装置102、感光体ドラム101上に画像情報に応じた静電潜像を形成する露光装置103、現像装置104、転写装置105、定着装置106、クリーナー107で構成されている。
現像装置104は、トナーを感光体ドラム101との接触部に搬送するため矢印B1方向に回転する現像剤坦持体(以下、「現像ローラ」という)110を有する。この現像ローラ110は導電性芯金上に弾性体を成型したいわゆる弾性現像ローラであり、感光体ドラム101に当接配置される。また、現像ローラ110の周囲には、現像ローラ110上へ非磁性一成分トナーの供給および現像ローラ110上からトナーを剥ぎ取る役割を担い矢印C1方向に回転する剥ぎ取り供給部材である剥ぎ取り供給ローラ111が配設される。さらに現像ローラ110上のトナーに所望の帯電量を与えると共に現像ローラ110上のトナー量を規制する規制部材としての規制ブレード112、剥ぎ取り供給ローラ111にトナーを供給する攪拌部材である攪拌羽根113を有する。前述の剥ぎ取り供給ローラ111は、通常、金属の芯金支軸とその上に設けられた連泡性発泡弾性体とで構成されている。
【0004】
図1において、感光体ドラム101は矢印A1方向に回転され、不図示のバイアス電源により電圧を印加された帯電装置102によって一様にその表面が負極性に帯電される。その後、露光装置103から照射されたレーザービームによって感光体ドラム101上に静電潜像が形成される。そしてこの静電潜像は、感光体ドラム101と当接配置された現像ローラ110により搬送された現像装置104内のトナーによってトナー像として可視化される。その後、転写装置105によって感光体ドラム101上のトナー像を紙、OHPなどの転写材108に転写し、定着装置106によって最終的に転写材108上にトナー像を融解定着させる。
【0005】
転写後に感光体ドラム101上に残留している転写残トナーは、クリーナー107によって感光体ドラム101上から排除される。
【0006】
また、感光体ドラム101と現像ローラ110の当接部において可視化に用いられなかった現像ローラ110上の現像残トナーは、現像ローラ110の回転によって現像装置104の内部に戻される。そして現像ローラ110と剥ぎ取り供給ローラ111の当接部において、現像ローラ110上の現像残トナーは剥ぎ取り供給ローラ111によって現像ローラ110から剥ぎ取られる。そして、それと同時に剥ぎ取り供給ローラ111の回転によって、現像ローラ110上にトナーが供給され、再び規制ブレード112と現像ローラ110の当接部に搬送される。
上記動作を繰り返すことにより、画像形成がおこなわれる。
【0007】
ところで近年は、画像形成装置においても省エネルギー化や環境問題への取り組みが盛んに行われており、その一環として、従来のトナーより低温で定着可能なトナーや、定着オイルの不要を目的とした定着用ワックス内包トナーが注目されている。しかしながらこのようなトナーは、低温で融解するように設計されているため、摺擦や熱ストレスに大変弱く、劣化し易いという難点がある。
【0008】
このような低温で融解するトナーを従来の現像装置を用いて画像形成動作を行う場合、現像ローラや剥ぎ取り供給ローラ、規制ブレードにトナーが融着固着してしまう。そして現像ローラ上に均一なトナーコートを行えず、所望の画像を得ることが困難であった。
【0009】
例えば、現像ローラや規制ブレードにトナーが融着してしまった場合、トナー同士が摩擦帯電することになり、トナー対して適正な電荷付与を行うことができなくなる。その結果、現像ローラ上に未帯電トナーや帯電量不足なトナーが搬送され、感光体ドラム上の画像部に適正に付着させることが出来なくなる。さらには飛散し感光体ドラム上や画像形成装置内部を汚染してしまうという問題も生じた。
【0010】
そこで、低温定着可能な現像剤を用いた場合における問題点を解決するために、従来、特開2004−163789号、特開2004−133267号等で示される剥ぎ取り供給ローラに侵入するトナー除去部材を配設する構成の画像形成装置が提案されている。この方式の現像装置においては、剥ぎ取り供給ローラがトナー除去部材との当接部に侵入する時に生じる発泡弾性体の変形を利用し、剥ぎ取り供給ローラの気泡内に保持していたトナーを強制的に排出させる。これによって現像ローラとの当接部に現像残トナーが連続して供給されることを防止するものであり、その結果、低温定着可能な現像剤を用いた場合においても現像装置内でのトナー劣化の発生を防止しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−163789号公報
【特許文献2】特開2004−133267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、剥ぎ取り供給ローラに当接されたトナー除去部材を配設する従来の構成において、剥ぎ取り供給ローラにトナー除去部材を長手方向で全域にわたって一様に侵入させているために画像形成領域で現像ローラへのトナー供給不足現象が起こる事があった。そして、このトナー供給不足によって濃度低下あるいは画像後半部分の濃度薄が生じる事があった。
【0013】
従って、本発明の目的は、現像剤の劣化による現像ローラ等への現像剤融着を防止し、かつ画像濃度の低下を抑制することのできる現像装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置を提供するものである
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本出願に係る発明は開口部を備え、現像剤を収納する容器と、前記開口部に配置され、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記容器の内部に配置され、表面に発泡層を備え、前記現像剤担持体に現像剤を供給する供給ローラと、前記発泡層に侵入するように前記供給ローラの長手方向に沿って配置され、画像形成領域に対する侵入量が、非画像形成領域に対する侵入量よりも小さい侵入部材と、を有することを特徴とする現像装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、現像剤の劣化による現像ローラ等への現像剤融着を防止し、かつ画像濃度の低下を抑制することのできる現像装置、プロセスカートリッジ、および画像形成装置を提供する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】現像装置を備えた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る現像装置を備えた画像形成装置の実施例1を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る現像装置における実施例1を示す概略構成図である。
【図4】本発明に係るトナー除去部材の実施例1を示す概略構成図である。
【図5】本発明に係る現像装置を備えた画像形成装置の実施例2を示す概略構成図である。
【図6】本発明に係る現像装置における実施例2を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。以下に説明する実施例は、例示的に本発明を説明するものであって、以下に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれに限定するものではない。
【実施例1】
【0018】
図2は本実施例における画像形成装置の構成模式図である。この画像形成装置は、電子写真プロセスを用いた、縦型タンデム構成(インライン構成)の4色フルカラー画像形成装置(多色画像形成装置)である。
【0019】
1は画像形成装置本体である。Y・M・C・Kは画像形成装置1本体内に下から上に順に並列配置(縦型タンデム構成)した、それぞれイエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの各色のトナー像を形成する第1〜第4の4つの画像形成ステーションである。
【0020】
上記の各画像形成ステーションY・M・C・Kは、互いに形成するトナー像の色が上記のように異なる以外は、それぞれ同一の電子写真プロセス機構である。すなわち、それぞれ像担持体としてのドラム型の電子写真感光体2(以下、感光体ドラム2と記す)、感光体ドラム2表面に接触して、感光体ドラム2表面を一様に帯電する帯電装置としての帯電ローラ3を備える。そして、その帯電面に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成する露光装置としてのレーザースキャナ4、その静電潜像を現像剤であるトナーで現像する現像装置5を配設する。さらに、その現像されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置としての転写ローラ6、トナー像転写後の感光体ドラム2表面上の転写残トナーを除去するクリーニング装置7、等を有する。各画像形成ステーションY・M・C・Kの現像装置5に収容させているトナーはそれぞれイエロートナーTY・マゼンタトナーTM・シアントナーTC・ブラックトナーTKである。
【0021】
本実施例の画像形成装置は、上記の各画像形成ステーションY・M・C・Kにおいて、それぞれ感光体ドラム2、帯電ローラ3、現像装置4、クリーニング装置7の4つのプロセス機器を一括して画像形成装置本体1に対して着脱可能なプロセスカートリッジPY・PM・PC・PKとしてある。プロセスカートリッジPY・PM・PC・PKには、各々不揮発性メモリ101が搭載されており、画像形成装置本体1との接点(不図示)を通じて、制御手段部100(CPU)と通信可能となっている。図3はそのプロセスカートリッジP(Y・M・C・K)部分の拡大図である。
【0022】
静電搬送ベルト8は、循環移動する転写材12を担持搬送するエンドレスベルトである。この静電搬送ベルト8は上記の各画像形成ステーションY・M・C・Kの感光体ドラム2側において、各画像形成ステーションY・M・C・Kの全体に亘らせて、不図示の複数の支持ローラ間に懸回調節させて縦方向に配設してある。そして各画像形成ステーションY・M・C・Kにおいて、転写ローラ6はそれぞれこの静電搬送ベルト8を介して感光体ドラム2に圧接させている。各感光体ドラム2と静電搬送ベルト8の対向接触部(当接部)が転写部である。
【0023】
給紙カセット11(給紙部)は、画像形成装置1本体の下部に配設されており、記録媒体(メディア)としての転写材12が積載収納されている。プリント要求信号に基づいて給紙ローラ13が駆動されて、給紙カセット11から転写材12が一枚ずつ分離給送される。その転写材12はレジストローラ14で一旦停止され、各画像形成ステーションY・M・C・Kにおけるトナー像の画像形成タイミングと同期して、静電搬送ベルト8により搬送されていく。
【0024】
画像形成装置1はパーソナルコンピュータ等のホスト200に接続され、ホスト200からのプリント要求信号(画像形成要求信号)を受け、画像データを受け取り、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの各色データに展開される。
【0025】
そして、画像形成シーケンスの所定の印字タイミングに合わせて各画像形成ステーションY・M・C・Kの各感光体ドラム2が所定の速度にて正回転駆動される。そして、レーザースキャナ4が駆動されると共に、静電搬送ベルト8が回転駆動される。
【0026】
各画像形成ステーションY・M・C・Kの各感光体ドラム2はその回転過程で、感光体ドラム2に当接して感光体ドラム2の回転に伴って従動回転する帯電ローラ3に所定の帯電バイアスを印加することにより、所定の電位に一様に帯電される。本実施例において、各感光体ドラム2は直径30mmのアルミシリンダ外周面に抵抗層、下引き層、感光層、電荷輸送層を、ディッピング塗工法にて順次塗布して構成される剛体である。感光体ドラム2の周速は、94mm/secである。
【0027】
その後、レーザースキャナ4より出力される、各色の画像信号に対応したレーザー光41が、均一帯電された感光体ドラム2上に照射され、画像情報に基づいた静電潜像が形成される。すなわち、第1の画像形成ステーションYではイエロー画像データに基づいたレーザー露光が行われて静電潜像が形成される。第2の画像形成ステーションMではマゼンタ画像データに基づいたレーザー露光が行われて静電潜像が形成される。第3の画像形成ステーションCではシアン画像データに基づいたレーザー露光が行われて静電潜像が形成される。第4の画像形成ステーションKではブラック画像データに基づいたレーザー露光が行われて静電潜像が形成される。その静電潜像が各画像形成ステーションY・M・C・Kの現像装置5によって現像され、トナー像が形成される。
【0028】
これによって、第1〜第4の各画像形成ステーションY・M・C・Kの感光体ドラム2の表面にそれぞれ、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が所定のシーケンス制御タイミングにて形成される。
【0029】
現像装置5は、現像容器51内に各色に対応するトナーT(Y・M・C・K)を収容している。感光体ドラム2上の静電潜像をトナーで現像し可視化する感光ドラム2と対向配置された現像剤担持体としての現像ローラ52が、現像容器51の開口部に配設されている。そして、現像ローラ52上のトナーを剥ぎ取り、かつ現像ローラ52にトナーを供給する剥ぎ取り供給ローラ53(供給ローラ)を有している。さらに現像ローラ52上のトナー層厚を規制する現像ブレード54、剥ぎ取り供給ローラ53にトナーを送り出すトナー送り部材55を配設している。また、剥ぎ取り供給ローラ53内部のトナーを排出するトナー除去部材56(侵入部材)が、剥ぎ取り供給ローラ53に侵入するように供給ローラの長手方向に沿って設けられている。
【0030】
現像装置5では、まずトナー送り部材55を回転させ剥ぎ取り供給ローラ53にトナーを送り出し、剥ぎ取り供給ローラ53を回転させることで現像ローラ52にトナーを供給する。その後、現像ローラ52の回転に伴って、現像ブレード54で現像ローラ52上のトナー層を均一に規制し、現像ローラ52に所定の現像バイアスを印加することで、感光体ドラム2上に形成された画像形成領域の静電潜像を現像し、トナー像として可視化する。感光体ドラム2と現像ローラ52の当接部において可視化に用いられなかった現像ローラ52上の現像残トナーは、現像ローラ52の回転によって現像装置5の内部に戻される。そして現像ローラ52上の現像残トナーは剥ぎ取り供給ローラ53によって現像ローラ52から剥ぎ取られる。それと同時に剥ぎ取り供給ローラ53の回転によって、現像ローラ52上に新たなトナーが供給され、再び現像ブレード54と現像ローラ52の当接部に搬送される。このように現像ローラ52上に現像残トナーを滞留させないことによって、限られた一部のトナーに対する集中的な摺擦負荷や熱ストレスを無くしトナーの劣化を防止している。さらにトナー除去部材56が剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体(発泡層)に侵入することで剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の内部に詰まったトナーを排出する。こうすることで剥ぎ取り供給ローラ53の内部でのトナーへの摺擦負荷や熱ストレスを立て続けに受けることを防止している。
【0031】
一方、所定のシーケンス制御タイミングにて、給紙カセット11により静電搬送ベルト8に給送された転写材12が、静電搬送ベルト8により保持されて下から上に搬送される。そしてその搬送過程で、第1〜第4の各画像形成ステーションY・M・C・Kの転写部において、転写材12は、各感光体ドラム2の表面にそれぞれ形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー像の重畳転写を順次に受ける。すなわち、各画像形成ステーションY・M・C・Kの転写ローラ6から静電搬送ベルト8を介して所定の転写バイアスが印加され、転写材12に感光体ドラム2上のトナー像が順次転写される。
【0032】
4色のトナー像の重畳転写を受けた転写材12は静電搬送ベルト8の上端側において静電搬送ベルト8から分離して定着装置15に搬入される。定着装置15は転写材12に転写されたトナー像を定着させるものである。トナー像の転写を受けた転写材12は定着装置15を通過する際に熱および圧力を加えられる。これにより、複数色で構成されるトナー像が転写材12表面に永久定着される。そして定着装置15を通過した転写材12は、4色フルカラー画像形成物として画像形成装置1本体上面の排紙トレイ16上に、画像面を下にした状態で排出される。
【0033】
また、各画像形成ステーションY・M・C・Kにおいて、転写材12へのトナー像転写後の感光体ドラム2表面は、クリーニング装置7によって転写残トナーが除去されて、次の画像形成に備えることになる。クリーニング装置7は、クリーニング部材として可撓性(ゴム弾性)を有するクリーニングブレード71と、クリーニングブレード71で掻き取られた転写残トナーを貯留する廃トナー収容部72から構成される。クリーニングブレード71は、感光体ドラム2に画像形成時の感光体ドラム2の回転方向である正回転方向に対して、カウンター方向に当接させて配置されており、感光体ドラム2上に残留するトナーを拭掃するものである。
【0034】
画像形成動作を終了した画像形成装置1は、パーソナルコンピュータ等のホスト200からの次のプリント要求信号(次プリントジョブ)を受け取り、引き続き次の画像形成動作を行う。プリント要求信号が無ければ、画像形成装置1は感光体ドラム2の停止制御シーケンスを実行する。
次に、現像装置5の非画像形成領域におけるトナーの循環について詳細に説明する。
まずトナー送り部材55を回転させ剥ぎ取り供給ローラ53にトナーを送り出し、剥ぎ取り供給ローラ53を回転させることで現像ローラ52にトナーを供給する。その後、現像ローラ52の回転に伴って、現像ブレード54で現像ローラ52上のトナー層は均一に規制される。ここで非画像形成領域であるため、感光体ドラム2上には静電潜像が存在しない。よって現像ローラ52上のトナー層は消費されることが無く、現像ローラ52上の現像残トナーの量は、現像ブレード54によって規制されたトナー層と同量となる。この現像残トナーは現像ローラ52の回転によって現像装置5の内部に戻される。そして現像ローラ52上の現像残トナーは剥ぎ取り供給ローラ53によって現像ローラ52から剥ぎ取られる。しかし、非画像形成領域においては、常に現像残トナーの量が多いため、現像残トナーが剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の内部に入り込んで凝固して目詰まりを起こし、剥ぎ取り供給ローラ53のトナーの剥ぎ取り性能が悪化してしまう。このような状態になると、剥ぎ取り供給ローラ53によって全ての現像残トナーが剥ぎ取ることが出来ず、現像残トナーは現像ローラ52上に滞留し続けることになる。すると、現像残トナーは現像ローラ52と現像ブレード54さらには感光体ドラム2から連続的に摺擦負荷や熱ストレスを受けることになる。また、現像残トナーが剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の内部に目詰まりし続けることで、剥ぎ取り供給ローラ53の内部で現像残トナーは摺擦負荷や熱ストレスを立て続けに受ける。これらによってトナーが急激に劣化し、現像ローラ52や現像ブレード54にトナーが融着する。そして現像ローラ52上に均一なトナーコートを形成出来なくなるという問題や、現像ローラ52や現像ブレード54からの帯電付与能力が低下してしまうという問題が生じる。
【0035】
これらの問題に対して、従来の構成では剥ぎ取り供給ローラ53にトナー除去部材56を、供給ローラの長手方向全領域で等しい侵入量で侵入させていた。この方式の現像装置においては、剥ぎ取り供給ローラ53がトナー除去部材56との当接部で生じる発泡弾性体の変形を利用し、剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の内部に保持していたトナーを強制的に排出させる。これによって、剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の目詰まりを抑制し、剥ぎ取り供給ローラ53の剥ぎ取り性能を安定させることができる。この結果、現像残トナーが現像ローラ52上に滞留し続けることを防止でき、さらに剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の内部に現像残トナーが目詰まりし続けることを防止することが可能である。よって、トナーが急激に劣化し現像ローラ52や現像ブレード54にトナーが融着する現象を抑制でき、低温定着可能なトナーを用いることが出来る。
しかしながら従来の構成では非画像形成領域だけではなく画像形成領域においても必要以上にトナー除去部材56を侵入させていた。その結果、画像形成領域で現像ローラ52へのトナー供給不足現象が起こり、濃度低下あるいは画像後半部分の濃度薄が生じることが分かった。
【0036】
これに対し、本実施例ではトナー除去部材56の剥ぎ取り供給ローラ53に対する侵入量に長手方向で差を設けた。具体的には、トナー除去部材56を剥ぎ取り供給ローラ53に対して、画像形成領域は非接触または軽微に接触させ、一方で非画像形成領域は大きく侵入させた。
【0037】
次に本発明の特徴であるトナー除去部材56の配置構成について図4を参照して説明する。図4(a)はトナー除去部材56を剥ぎ取り供給ローラ53に侵入させた断面図である。図中52は矢印B1方向に回転する外径16mmの現像ローラであり、図中53は現像ローラ52とニップ部を持って接触している外径16mmの剥ぎ取り供給ローラである。そしてトナー除去部材56を、剥ぎ取り供給ローラ53に侵入させている。ここで、剥ぎ取り供給ローラ53とトナー除去部材56との侵入部において、剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の内部のトナーを押し出すためには、少なくとも剥ぎ取り供給ローラ53は変形可能な材質構成である必要がある。さらに、より確実にトナーを押し出すにはトナー除去部材56の硬度が、剥ぎ取り供給ローラ53の硬度以上であることが望ましい。本実施例では、トナー除去部材56はステンレスからなる剛体であり、一方、剥ぎ取り供給ローラ53の硬度はJIS K 6402に基づいた測定法で20kg/314cm2(=63.7gf/cm2≒6.37×103Pa)である。よってトナー除去部材56の硬度の方が大きくなる構成である。
【0038】
次に図4(b)はトナー除去部材を剥ぎ取り供給ローラに侵入させたときの長手図である。現像ローラ52の表面に対して剥ぎ取り供給ローラ53の回転C1によってトナーを供給する。そのトナー供給領域は剥ぎ取り供給ローラ53が接触する領域であり、図中のEで示され、本実施例では219mmである。その中で画像形成領域は不図示の感光体ドラムの静電潜像が形成される最大の領域によって決定され図中Fであり、本実施例においては208mmである。一方、非画像形成領域は剥ぎ取り供給ローラ53からのトナー供給領域Eから画像形成領域Fを除いた長手方向の両端部Gで示される。本実施例では非画像形成領域Gは5.5mmである。
【0039】
この長手方向の両端部にある非画像形成領域Gに対応した位置の剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の内部に保持していたトナーを強制的に排出させるために、トナー除去部材56を剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体に対して侵入量Hをもって侵入させる。連泡性発泡弾性体に対する侵入部材の侵入量Hは、供給ローラの半径をR、供給ローラの回転中心から侵入部材までの最短距離をXとすると、H=R−Xで定義される。
【0040】
ここでトナー除去部材56の侵入量Hは、現像ローラ52に対する剥ぎ取り供給ローラ53の侵入量よりも大きくすることが好ましい。本実施例では現像ローラ52に対する剥ぎ取り供給ローラ53の侵入量は1.2mmであるため、トナー除去部材56の剥ぎ取り供給ローラ53への侵入量Hは1.3mmとした。さらに剥ぎ取り供給ローラ53はトナー除去部材56と接触または侵入した後に、剥ぎ取り供給ローラ53の周囲に滞留している未使用のトナーを連泡性発泡弾性体に内包する。そして、この未使用のトナーを剥ぎ取り供給ローラ53の回転C1によって、現像ローラ52にトナーを供給する。この結果、さらに現像残トナーが現像ローラに滞留することが無くなるので、トナーの摺擦や熱ストレスによる劣化を防ぐことが出来る。
【0041】
一方で、画像形成領域Fに対してトナー除去部材56は軽微に接触している。こうすることで画像形成領域Fにおいてトナー除去部材56は剥ぎ取り供給ローラ53の表面に付着した現像残トナーのみを除去するだけとなり、剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の内部にトナーを保持することが出来る。
【0042】
以上のように、本実施例では、画像形成領域に対する侵入量が、非画像形成領域に対する侵入量よりも小さい侵入部材を設けた。これにより、画像形成領域Fにおける現像ローラへのトナー供給不足現象を防ぐことができる。また非画像形成領域Gにおける剥ぎ取り供給ローラ53の剥ぎ取り性能を安定させ、さらに剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の目詰まりを防止し、現像ローラ等へのトナー融着を防止することが可能となる。
【0043】
本実施形態では接触現像を採用しているが、本発明は接触現像に限るものではなく、トナー供給ローラを用いた非磁成ジャンピング現像方式などを用いた画像形成方式においても有効である。
【0044】
また、本実施形態では横型タンデム構成(インライン構成)の4色フルカラー画像形成装置で説明したが、本発明は横型タンデム構成に限るものではなく、ロータリー構成の画像形成装置でも有効である。
【実施例2】
【0045】
次に、本発明に係わる画像形成装置の第2の実施形態について説明する。なお前出の部材と同一の機能を有する部材については同一符号を付す。また、以下の説明において、上述した実施例1と同様の部分については、その説明を省略する。
【0046】
図5は、本実施例の画像形成装置1の断面図である。本実施例の画像形成装置1は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザービームプリンタである。本実施例では、プロセスカートリッジPY・PM・PC・PKは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。
【0047】
感光体ドラム2は、図示しない駆動手段(駆動源)により回転駆動される。感光体ドラム2の周囲にはスキャナユニット(露光装置)4が配置されている。スキャナユニット4は、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム2上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段である。4個の感光体ドラム2に対向して、感光体ドラム2上のトナー像を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト31が配置されている。中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト31は、全ての感光体ドラム1に当接し、図示矢印D方向(反時計方向)に循環移動(回転)する。
【0048】
中間転写ベルト31の内周面側には、各感光体ドラム2に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ6が並設されている。そして、一次転写ローラ6に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光体ドラム2上のトナー像が中間転写ベルト31上に転写(一次転写)される。
【0049】
又、中間転写ベルト31の外周面側において二次転写手段としての二次転写ローラ33が配置されている。そして、二次転写ローラ33に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト31上のトナー像が記録材12に転写(二次転写)される。具体的には、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが順次に行われ、中間転写ベルト31上に各色のトナー像が順次に重ね合わせて一次転写される。その後、中間転写ベルト31の移動と同期が取られて記録材12が二次転写部へと搬送される。そして、記録材12を介して中間転写ベルト31に当接している二次転写ローラ33の作用によって、中間転写ベルト31上の4色トナー像は、一括して記録材12上に二次転写される。
【0050】
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置15に搬送される。定着装置15において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。
【0051】
尚、本明細書において、現像ユニット(現像装置)或いはプロセスカートリッジの構成や動作について、上、下、垂直、水平といった方向を表す用語は、特に断りのない場合は、それらの通常の使用状態において見た時の方向を表す。つまり、現像ユニット(現像装置)の通常の使用状態は、適正に配置された画像形成装置本体に対して適正に装着され、画像形成動作に供し得る状態である。
【0052】
図6はトナーの搬送状態を説明するためのプロセスカートリッジPY・PM・PC・PKの概略断面図である。
現像容器51のトナー収納部(現像剤収納部)は、剥ぎ取り供給ローラ53よりも鉛直方向下方に配置されている。すなわち、現像装置5が画像形成装置本体1に装着された状態において、剥ぎ取り供給ローラ53を現像容器51内(容器内)のトナー収納部よりも上方に配置している。従って、現像剤収納部から剥ぎ取り供給ローラ53へと重力に反してトナーを搬送する必要があり、トナー送り部材55は不図示の駆動手段により回転駆動される。
【0053】
次にトナー除去部材56の構成について説明する。実施例1において、トナー除去部材56は剥ぎ取り供給ローラ53の非画像形成領域Gに侵入量1.3mmで侵入させていた。これによってトナー除去部材56が剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の内部に詰まった現像残トナーを排出していた。この結果、非画像形成領域Gに対応する剥ぎ取り供給ローラ53の剥ぎ取り性能が維持され、現像残トナーが現像ローラ52上に滞留し続けることを防止していた。
【0054】
しかしながら、このようにトナー除去部材56を剥ぎ取り供給ローラ53に対して、現像ローラ52に対する剥ぎ取り供給ローラ53の侵入量よりも大きく侵入させることで現像装置の駆動トルクが増大してしまうという問題があった。
【0055】
この問題に対して本実施例では、トナー収納部から剥ぎ取り供給ローラ53へと重力に反してトナーを搬送する構成とした。
【0056】
次に図6を参照して、トナー収納部を剥ぎ取り供給ローラ53よりも鉛直方向下方に配置した場合のトナー除去部材56の構成について説明する。図6において、トナー送り部材55を回転させ剥ぎ取り供給ローラ53にトナーを送り出す。このときトナー送り部材55によって剥ぎ取り供給ローラ53に送られたトナーは、一部は剥ぎ取り供給ローラ53の回転方向における剥ぎ取り供給ローラ53と現像ローラ52のニップ開放部において剥ぎ取り供給ローラ53に内包される。この内包されたトナーは画像形成領域Fではトナー除去部材56が剥ぎ取り供給ローラ53に軽微に接触しているだけであるため排出されにくい。よって内包されたトナーは剥ぎ取り供給ローラ53の回転C1によって現像ローラ52に供給される。一方で剥ぎ取り供給ローラ53に内包されなかったトナーは重力によって再度トナー収納部に戻される。これによって剥ぎ取り供給ローラ53の周囲にトナーが留まることがなくなる。特に剥ぎ取り供給ローラ53の回転方向C1においてトナー除去部材56が剥ぎ取り供給ローラ53へ侵入する位置より下流側(図中J)でトナーが滞留することがなくなる。よって、非画像形成領域Gでトナー除去部材56が剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の内部のトナーを排出した後に、現像ローラ52に到達するまでの間に、再度連泡性発泡弾性体の内部にトナーが詰まることを抑制することが出来る。この結果、非画像形成領域Gにおける剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体にトナーが枯渇した状態となり、非画像形成領域Gにおける剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の内部にトナーが入り込んで目詰まりすることを抑制できる。よって、剥ぎ取り供給ローラ53の剥ぎ取り性能が向上する。このため非画像形成領域Gのトナー除去部材56は、剥ぎ取り供給ローラ53が剥ぎ取った現像残トナーを、剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の最表面層から排出できれば良くなる。この結果、トナー除去部材56の剥ぎ取り供給ローラ53に対する侵入量を小さくすることが可能になる。ここで剥ぎ取り供給ローラ53の連泡性発泡弾性体の表面(発泡層表面)の平均セル径は本実施例において0.2mmである。現像残トナーは最表面セルによって大部分を剥ぎ取られるため、非画像形成領域Gにおけるトナー除去部材の侵入量Hはこの最表面平均セル径より大きいことが望ましく、本実施例において侵入量Hは0.3mmとした。
【0057】
連泡性発泡弾性体の表面の平均セル径とは、以下により求められる。まず、連泡性発泡弾性体の最表面の拡大画像から最大である発泡セルの面積を測定し、この面積から真円相当径を換算し最大セル径を得る。そしてこの最大セル径の1/2以下の発泡セルをノイズとして削除した後、残りの個々のセル面積から同様に換算した個々のセル径の平均を平均セル径とする。
【0058】
このような構成により、画像形成領域Fにおける現像ローラへのトナー供給不足現象を防ぎ、また非画像形成領域Gにおける剥ぎ取り供給ローラ53の剥ぎ取り性能を安定させることが可能である。さらにその上で、トナー除去部材56を剥ぎ取り供給ローラ53に対して侵入させる量を小さくすることができ、よって現像装置の駆動トルクを低減させることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置本体
2 感光ドラム
3 帯電ローラ
31 中間転写ベルト
33 二次転写ローラ
4 レーザースキャナ
5 現像装置
51 現像容器
52 現像ローラ
53 剥ぎ取り供給ローラ
54 現像ブレード
55 トナー送り部材
56 トナー除去部材
6 転写ローラ
7 クリーニング装置
71 クリーニングブレード
72 廃トナー収容部
8 静電搬送ベルト
11 給紙カセット(給紙部)
12 転写材
13 給紙ローラ
14 レジストローラ
15 定着装置
16 排紙トレイ
100 制御手段部(CPU)
101 不揮発性メモリ
200 パーソナルコンピュータ(ホスト)
A1 感光体ドラムの回転方向
B1 現像ローラの回転方向
C1 剥ぎ取り供給ローラの回転方向
D 中間転写ベルトの回転方向
E トナー供給領域
F 画像形成領域
G 非画像形成領域
H 除去部材の侵入量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備え、現像剤を収納する容器と、
前記開口部に配置され、現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記容器の内部に配置され、表面に発泡層を備え、前記現像剤担持体に現像剤を供給する供給ローラと、
前記発泡層に侵入するように前記供給ローラの長手方向に沿って配置され、画像形成領域に対する侵入量が、非画像形成領域に対する侵入量よりも小さい侵入部材と、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記非画像形成領域における前記侵入部材の前記発泡層に対する侵入量が、前記発泡層表面の平均セル径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記供給ローラは、前記容器内において現像剤を収納する現像剤収納部よりも上方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
静電潜像を担持する像担持体と、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置と、
を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項5】
記録材に画像を形成する画像形成装置であって、前記記録材を搬送する搬送手段と、請求項4に記載のプロセスカートリッジと、を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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