説明

現場分析のためのラボオンチップと信号検出法

本発明は、従来から迅速診断に使用されている市販の膜(メンブレイン)をプラスチックチップ表面に彫り込まれたマイクロ流路内に組み込むことで、以下のように分析性能を著しく向上させた現場分析のためのバイオセンサーのラボオンチップのバージョンに関するものである
1)サンプルサイズの縮小
2)総合分析のための多機能の実現
3)外力の助けなしの、毛管現象による溶媒の送液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来から迅速診断に使用されている市販の膜(メンブレイン)(membranes)を、プラスチックチップ表面に彫り込まれたマイクロ流路内に組み込むことで、以下のとおりに分析性能を著しく向上させた現場分析のためのバイオセンサーのラボオンチップ(lab-on-a-chip)のバージョン(version)に関するものである。
【0002】
1) サンプルサイズの縮小
2) 総合分析のための多機能の実現
3) 外力の助けなしの、毛管現象による溶媒の送液。
【背景技術】
【0003】
従来、膜パッドのマトリクス内に存在するマイクロポアを介して溶媒の側方流動を利用するクロマトグラフィーに基づく迅速分析デバイスは、種々の疾患及び症候の診断に適用されている(参照文献: S. H. Paek らの 2000, Methods, Vol. 22、ページ53〜60; S. H. Paek らの 1999, Biotechnol. Bioeng., Vol. 62、ページ145〜153; Y. Kasahara らの 1997, Clin. Chimi. Acta, Vol. 267、ページ87〜102)。該デバイスは使用が簡単であるが、所定の頻回利用において多くの難点がある。その難点の1つは、多量のサンプリングのため、標本に全血を用いる場合に激痛が誘発されることである。そのサンプルサイズを小さくするには、膜パッドの幅を通常4mm以下にカットすることが可能であるが、そのために該パッドの的確な配置を維持することが困難になる。これにより、分析の低再現性と検出誤差問題が生じる。流入モードを利用するデバイス(参照文献: A. E. Chu の 2001、米国 特許番号第6,284,194B1号)の場合も、膜サイズが小さいと、前記と同じ問題点に対処しなければならない。おそらく、これらの問題点が、低容量のサンプルを取り扱う製品が未だ市場に現れていない主な理由であろう。 現在市販されている迅速分析デバイスが必要とするサンプル量は、通常15〜200リットルである(参照文献: A. J. Tudos らの 2001, Lab. Chip, Vol. 1、ページ83〜95)。
【0004】
分析デバイスにおける最近の進展の傾向として、微小電気機械システム(MEMS)の技術がマイクロ流路(参照文献: A. E. Guber らの 2004, Chem. Eng. J., Vol. 101、ページ447〜453; T. Fujii, 2002, Microelectr. Eng., Vol. 61/62、ページ907〜914)及び微視的構造(参照文献: O. A. Schueller らの 1999, Sens. Acuat. A, Vol. 72、ページ125〜139)を種々の固体表面上に製作するために使用されている。これによって、たとえばナノリットル・サンプルの前処理、バイオ分子の物理的分離、及び検体濃度に比例する信号生成などの種々プロセスを完全に実行する小型ラボオンチップ・デバイスを製作することが可能となり得る。かかる総合分析は、サイズが1x1mmあるいはそれ以下のプラスチックチップ上でさえも実行することもできる。しかしながら、この技術の現況は、チップの大量生産における再現性など、一部の面では未開発のままなので、その実用的な適用可能時期は相当に遅れるように思われる(参照文献: 0. A. Schueller らの 1999, Sens. Acuat. A, Vol. 72、ページ125〜139)。前述した両分析リソース、すなわち迅速分析に使用される膜及びマイクロ流路に使用されてデバイスの小型化を可能にする膜は、かなり小さなサンプルを取り扱うことができる実用的なラボオンチップを実現するために共に組み合わせることが可能である。多くのさまざまな市販の膜は、ろ過、イオン交換、試薬放出、層流、及び吸収などの分析に必要な可能性がある種々の機能を実行可能である(参照文献: S. H. Paek らの 1999, Biotechnol. Bioeng., Vol. 62、ページ145〜153; Y. Kasahara らの 1997, Clin. Chimi. Acta. Vol. 267、ページ87〜102)。前記膜は1mm以下の幅にカットして、プラスチックチップのチャンネル内に設置することが可能である。このアプローチは、機能ラボオンチップを製作するために、膜小片の的確な配置を容易にするとともに、膜同士を組み合わせることを容易にするものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、サンプル縮小に加えて下記の3つのメリットをもたらす当該新規デバイスを提供することを目的とする。
【0006】
1) 前述の適切な膜を選択することによる多機能の実現
2) 総合分析のための完全チャンネルの部品としての内蔵のメンブレイン(膜)
3) 外力の助けなしの、毛管現象による溶媒の送液。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記を含むバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョンに関するものである。
【0008】
(a)上部プレート(20)としての固体マトリックス
(b)乾燥状態で作成された1枚以上の機能膜パッド(10)
(c)底部プレート(30)としての固体マトリックス。
【0009】
前記ラボオンチップは下記を行うことによって構築される
(I)前記上部プレート(または設計に応じて前記底部プレート)の内面を彫り込んで、当該機能膜パッド保持用の部品及び毛管現象による溶媒の導入口と排出口の制御用部品で構成される、マイクロサイズからミリサイズのマイクロ流路(21、28)を形成し、
(II)前記機能膜パッド(10)を前記チャンネルの少なくとも一部内に配置し、そして、最後に、
(III)毛管現象によって溶媒を供給するためのマイクロ流路(21,28)を構成するために、前記底部プレートを前記上部プレートに結合する。
【0010】
上記では、前記上部固体プレート(20)は、試料添加ポット(22)、信号モニタウィンドウ(23)、及び酵素気質供給ポット(25)を可変的に含むことが可能であるとともに、前記底部固体プレート(30)は、ラボオンチップの設計に応じて溶媒の導入口と排出口を含むこともできる。
【0011】
当該上部固体プレート(20)は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、及びポリカーボネートなどの有機ポリマーから成るか、ガラス、クォーツ、及びセラミックなどの無機物から成る。前記底部固体プレート(30)は、前記上部プレートと同一素材のうちの1つから成るか、さらには接着性のプラスチックフィルムやゴムなどの柔軟な固体マトリクスから成る。
【0012】
当該マイクロ流路(21,28)は、種々の方法、たとえば光食刻法、インプリンティング、レーザ−及び機械彫刻を用いて前記上部固体プレートの内面に形成される。前記チャンネルの構造は、ラボオンチップの設計に応じて、平面構造、円滑傾斜構造、または多層構造のいずれであってもよい。
【0013】
当該膜パッド(10)は、ガラス繊維膜、セルロース膜、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、及び合成ポリマー膜から選択可能である。本発明では、機能膜は、原膜の適切な処理後に、ラボオンチップ(40)における分析にすぐにでも使用できる部品として定義される。したがって、前記ラボオンチップ(40)は、入手可能な膜類の中から適切な膜を選択することにより所望の機能を達成するように構成するこが可能であり、ろ過、イオン交換、試薬放出、層流、吸収、酵素反応、抗原抗体結合、及び核酸ハイブリダイゼーションを実行するものである。
【0014】
本発明に係るラボオンチップ(40)は、代謝物質、タンパク質、ホルモン、核酸、細胞、薬物、食品汚染物質、環境的な汚染物質、及び生物兵器をはじめとする種々検体の分析に利用される。それら検体は、前記機能膜のマイクロポア内に配置される酵素、抗体、及びオリゴヌクレオチドなどの生物受容体(バイオレセプター)を利用することで、高い特異性と感受性で検出される。検体と生物受容体(バイオレセプター)間のかかる生物学的相互作用は、相互作用自体によって生じるか、または通常、反応相手のうちの1つに対して標識されている信号発生器経由で生じる物理的信号(たとえば、色、ルミネセンス(発光)、蛍光、電流、電圧、伝導性、または磁気)に変換され、これらの物理的信号は比較的に簡単な検出器を用いて容易に可測可能である。
【0015】
上記のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョンでは、前記マイクロ流路は、互いに交差する垂直マイクロ流路(21)と水平マイクロ流路(28)とを含むことも可能であって、ここで、前記水平マイクロ流路(28)には、基質供給チャンネル(24)及び水平流吸収チャンネル(26)が含まれてもよいことを特徴とする。
【0016】
前記垂直マイクロ流路(21)は、サンプルアプリケーションパッド(12)、信号発生器のコンジュゲートリリースパッド(13)、細胞ろ過パッド(14)、固定捕獲付着成分(15)を持つ信号発生パッド、及び垂直流吸収パッド(16)と統合することも可能であり、前記水平流吸収チャンネル(26)は、水平流吸収パッド(17)と完全に統合するように作成することもできる。かかる場合には、前記水平流吸収パッド(17)は、最初に空間的に分離された状態になるが、次いで、前記信号発生パッド(15)に物理的に接続され、前記垂直流反応の完了後には、前記垂直配置パッドに帰属する。
【0017】
また、上記では、前記水平流吸収チャンネル(26)は、規定の幅と長さを持つ連結微細毛細チャンネル(42)を水平流吸収パッド(17)と統合された部品と組み合わせた構造で作成することも可能であって、ここで、前記連結微細毛細チャンネル(42)は、固定捕獲付着成分(15)を有する前記信号発生パッドと前記水平流吸収パッド(17)の間に位置し、幅1〜900μmm及び長さ0.1〜10mmの寸法を持つこともできることを特徴とする。かかる場合には、図2B(右)に示すように、信号発生に対する前記水平吸収パッド(17)の移動は必要ではない。
【0018】
上記では、前記信号発生器のコンジュゲートリリースパッド(13)は、検出用の付着成分を有する信号発生器のコンジュゲート体、または検出用の付着成分及び前記検出用の付着成分に特有の二次付着成分を有する信号発生器のコンジュゲート体を含むことも可能である。
【0019】
前記信号発生器が、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、または新規糸状菌由来のペルオキシダーゼの場合、その基質溶液は前記信号発生器に特有の発色基質成分を含むこともでき、信号発生時には、肉眼で検出可能な色の変化は酵素基質反応によって生じる信号として示される。
【0020】
前記信号発生器が金コロイドの場合、前記基質溶液は銀化合物を含むこともでき、そして信号発生時には、肉眼で検出可能な色の変化または伝導性の変化は、化学触媒作用反応によって生じる信号として測定される。
【0021】
前記信号発生器がホースラディッシュ・ペルオキシダーゼまたは新規糸状菌由来のペルオキシダーゼの場合、前記基質溶液は、前記信号発生器に特有のルミノールまたは他の発光基質成分である酵素を含むこともでき、信号発生時には、光信号は酵素基質反応によって生じる信号として測定される。
【0022】
前記信号発生器がCo2+、Cu2+、Mg2+、Fe2+またはそれらの化合物の場合、前記基質溶液は、前記信号発生器に特有のルミノールまたは他の発光基質成分を含むこともでき、信号発生時には、光信号は化学触媒作用反応によって生じる信号として測定される。
【0023】
前記信号発生器がグルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ペニシリンオキシダーゼ、またはコレステロールオキシダーゼの場合、前記基質溶液は前記信号発生器に特有の電気化学信号発生成分である酵素を含むこともでき、信号発生時には、電気伝導性の変化、電流の変化、または電圧の変化は、酵素基質反応によって生じる信号として測定される。
【0024】
上記では、前記電気化学信号は、前記信号発生パッド上に直接にスクリーン印刷する方法か、または外力によって前記パッドと物理的に組み合わせる方法のいずれかによって、電極を用いて検出することもできる。
【0025】
また、ラボオンチップに加えて、前記チップから生成される信号を測定する検出器も、前記バイオセンサーシステムの必要不可欠な成分である。前記信号は、測定しようとする信号に応じて、たとえば比色法、発光法、蛍光法、電気化学法、または磁気測定法に基づいて測定可能である。実証のため、比色検出器(50)を構築して、電荷結合素子(CCD)カメラ(51)を用いてラボオンチップの前記信号発生パッド(15)上の生物受容体(バイオレセプター)分注ラインの色の変化を測定することができる。前記信号検出は画像キャプチャプログラムによって処理され、出力モジュールに表示される。
【0026】
本発明におけるラボオンチップは多くの検体の分析に適用可能であるが、前記ラボオンチップの有用性を説明するためには、抗原抗体結合による免疫測定法などの生物親和性に基づく分析が選択されている。
【0027】
免疫センサー用ラボオンチップ
酵素免疫測定法(ELISA)は、信号発生器として免疫試薬に標識化された酵素を介してサンプル中の検体を、固相免疫反応を利用して検出する分析的方法である(参照文献: G. G. Guilbault, 1968, Anal. Chem., Vol. 40、ページ459〜471)。この型の測定法(アッセイ)では、結合反応相手である抗原または抗体は、通常、複数のプラスチック(たとえばポリスチレン)製の小容量ウェルからなるマイクロタイタープレートの固体表面上に固定化される。前記分析システムのかかる特徴は、表面洗浄によって前記抗原抗体結合の複合体を非結合試薬から容易に分離させることを可能にするばかりでなく、定性的測定または定量的測定のいずれの場合でも、多数のサンプルを同時に処理することも可能にする(参照文献: E. Engvall らの 1971, Immunochem., Vol. 8、ページ871〜873; G. J. Kasupski らの 1984, Am. J. Clin. Pathol., Vol. 81、ページ230〜232)。これらの理由のため、該分析システムは1971年に導入されて以来、医療診断、生物検定、食品及び環境モニタリング、及び動物検診などの種々の分析分野に広く適用されている(参照文献: C. Heeschen らの 1999, Clin. Chem., Vol. 45、ページ1789〜1796; M. O. Peplow らの 1999, Appl. Environ, Microbiol., Vol. 65、ページ1055〜1060と、 J. Chin らの 1989, Vet. Immunol. Immunopathol., Vol. 20、ページ109〜118)。
【0028】
ラジオアイソトープやフルオロフォアなどの他の信号発生器と比較すると、ELISAで信号発生器として使用される酵素は、個々の特定の基質を触媒する巨大なタンパク質性分子である。(参照文献: L. J. Kricka, 2002, Ann Clin. Biochem., Vol. 39、ページ114〜129)。前記触媒作用は前記信号を増幅し、該信号は、その化学特性に応じて異なるが、たとえば比色法、発光法、及び電気化学に基づいた簡単な検出器を用いて測定することが可能である(参照文献: A. Morrin らの 2003, Biosens. Bioelectron., Vol. 18、ページ715〜720: R. J. Jackson らの 1996, J. Immunol. Methods., Vol. 190、ページ189〜197; W. 0. Ho らの 1995, Biosens. Bioelectron., Vol. 10、ページ683〜691; J. Zeravik らの 2003, Biosens. Bioelectron., Vol. 18、ページ1321〜1327)。しかしながら、それらの巨大な分子サイズのため、抗原抗体結合における干渉(小型信号発生器ではほとんど発生しない)なしに免疫試薬に対して標識することは困難である。また、酵素は、偶然にサンプル中に存在する可能性があるとともに、触媒として該酵素の活性を改変する恐れがある阻害物質を含む環境変数(変動)に敏感である。それにもかかわらず、そのような好ましくない要因は、明らかに重要ではあるが、信号発生器としての該酵素の利用を大幅に制限するものではなく。また、ELISAもここ20年間にわたって複合有機物質の日常的な研究室標準分析法となっている(参照文献: E. Engvall らの 1971, Immunochem., Vol. 8、ページ871〜873; J. Zeravik らの 2003, Biosens. Bioelectron., Vol. 18、ページ1321〜1327)。
【0029】
ELISAは、その一般性にかかわらず、研究室外で行われる実用的な分析にはほとんど適用されていない。その理由は、ELISA手順の自動化に向かって相当な進歩が認められるものの、ELISAの分析手順中には試薬の添加と除去が繰り返して行われる必要が存在するためである。特に現場分析のため、臨床診断でのポイントオブケア検査(POCT)である免疫クロマトグラフィー法(イムノクロマト法)が開発されており、該法では膜片が固体マトリックスとして利用される(参照文献: S. H. Paek らの 2000, Methods, Vol. 22、ページ53〜60)。この形式で用いられる信号発生器は主に金コロイドまたはラテックスビーズであり、測定法(アッセイ)の結果として、その色は肉眼で検出可能である(参照文献: T. Ono らの 2003, J. Immunol. Methods, Vol. 272、ページ211〜218; J. H. Cho らの 2001, Biotech. Bioeng., Vol. 75、ページ725〜732)。前記測定法(アッセイ)は、POCTにおける迅速なワンステップ分析などのいくつかのメリットをもたらすことができるが、その低感受性が主な難点としてあげられている。代替として、他の型の信号、たとえば蛍光や磁界も、高い検出能力を持つ免疫センサーを開発するための取り組みにおいて検討されている(参照文献: F. S. Apple らの 1999, Clin. Chem., Vol. 45、ページ199〜205; M. R. Blake らの 1997, Appl. Environ. Microbiol., Vol. 63、ページ1643〜1646)。これらのセンサーは、急性心臓症候群の診断に市場で入手可能となっている。しかしながら、同技術を他の従来型製品に拡大させる上では、その高コストとかさ高さのため、可搬性を念頭に置くと、多少の制限が予想される。
【0030】
本発明において提案されたラボオンチップの有用性を説明するために、クロスフロー型クロマトグラフィー法を利用することによって、ELISAのPOCTバージョンを開発した(参照文献: J. H. Cho らの 2005, Anal. Chem., Vol. 77、ページ4091〜4097)。これにより、免疫センサーの種々の検体に対する幅広い用途が、最低限のコストと、潜在的には寸法でも実証されるであろう。本コンセプトは、当初には信号を発生させるために抗原抗体結合と触媒作用反応を順次に達成することで、免疫クロマトグラフィー分析における信号発生器として酵素を使用するために開発されたものである。本発明におけるラボオンチップは、完全な分析と前記免疫センサーの小型化のため、順次処理の半自動切り替えを達成するように構築されている。このチップは、従来型の免疫ストリップを、その表面上に精巧に創られたチャンネルを持つプラスチックチップに組み込むことで上述のように製作される。
【0031】
ラボオンチップの免疫センサーシステム
ELISA用膜パッドとともに設置されるラボオンチップを製作するには、流路が前記上部固体プレート(20)の表面にメカニカルエッチングを施すことによって創られる。前記チップは、前記の垂直方向の流路(21)と水平方向の流路(28)の2つの特有の流路からなる(図1A)。前記垂直区画(21)は幅2mmの免疫ストリップ(11)が堅固に装着されるように彫り込まれている。これは本質的に従来型の簡易検査キットと同様である(参照文献: J. G. Schwartz らの 1997, Am. J. Emerg. Med., Vol. 15、ページ303〜307; R. H. Christenson らの 1997, Clin. Biochem., Vol. 30、ページ27〜33)が、該キットの場合では酵素信号発生器(例:ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ:HRP)が使用される点で異なる。試料添加ポット(22)及び信号モニタウィンドウ(23)は穴あけ加工によって設けられる。引き続く水平流を誘発させるために、酵素気質供給チャンネル(24)及び水平流吸収チャンネル(26)は、前記ストリップの前記信号発生パッド(15)の両外側部にそれぞれ水平に配設される。前記基質供給チャンネル(24)中には、供給ポット(25)と2個の換気穴(27)が、それぞれ前記導入口と前記排出口近傍とに配置される。
【0032】
2つの膜成分である前記免疫ストリップ(11)と前記水平流吸収パッド(17)は、前記チップへの設置のために作成される(図1B)。前記免疫ストリップ(11)は、4種類の異なる市販の膜で構成され、サンプルアプリケーション(12)、酵素コンジュゲートリリース(13)、細胞ろ過(14)、信号発生(15)、及び垂直流吸収(16)の種々機能を提供する。それらは、順序正しく長々と配置され、部分的に重なり合い、プラスチックフィルム上に装着される。このストリップは、前記チップの前記垂直チャンネル(21)内に固定される。一方、前記水平流吸収パッド(17)の位置は可変である。該パッドは、分析に使用される場合、始めに、前記免疫ストリップ(11)から空間的に分離した位置に配置され、前記垂直流の完了後には、前記信号発生パッド(15)の外側上に滑り落ちて、追加基質溶液の水平流を惹起する。かかる設置膜成分を持つチャンネルは、前記底部固体プレート(30)を結合することにより閉構造とされて、サンプル中の検体を定性化するために使用することができる機能ラボオンチップ(図1C)を製作する。
【0033】
前記ラボオンチップによって、検体の前記クロスフロー型クロマトグラフィーの分析が実行される。前記検体はヒト血清に入れられて(添加されて)標準溶液を作成し、該標準溶液は次いで、チップ(40)の前記試料添加ポット(22)に送液される(図2A)。該標準溶液は毛管現象によって垂直方向に移動し(図2A、左)、前記検出抗体で標識化された酵素(たとえばHRP)を溶解し、この酵素コンジュゲート体と液相の前記検体分子との結合をトリガーする。かかる結合複合体は、前記信号発生パッド(15)に運び込まれ、そこで前記固定捕獲抗体は該信号発生パッドを結合して、サンドイッチ型の複合体を形成する。前記過剰成分の完全除去の時点で、HRP(たとえば不溶性TMB)のために発色基質を含有する溶液は対応するポットに供給されると同時に、前記水平流吸収パッド(17)は、前記信号発生パッド(15)の外側部に接続される (図2A、右)。前記基質流の開始直後に、前記固定化抗体部位での色信号は、前記検体濃度に比例して生成される。また、二次抗体を用いて前記測定法(アッセイ)の一貫性をモニターするためのコントロールも実行され、前記信号発生部位で固定化された前記検出抗体を認識する(右の図2Aにおける色信号とコントロールを参照のこと)。
【0034】
前記水平吸収パッド(17)と前記信号発生パッド(15)間の非接触を採用する別モデル(41、図2B)では、その配置構成は、前記非接触モデルにおける2つのパッド間の連結微細毛細チャンネル(42)の存在を除いて、本質的に前記接触型(図2A)の配置構成と同一である。かかるモデルでは、図2B(右)に示すように、信号発生のための前記水平吸収パッド(17)の移動が必要とされない。連結毛細チャンネルを設置するという考えは、複数の垂直チャンネルを基質流に対して並列に水平接続する際にも応用することができる。
【0035】
色信号を定量するため、デジタルカメラを用いた画像キャプチャに基づいて検出器(図3A)が構築されている。分析後には、有色信号を持つチップは前記カメラ下に配置され、前記信号発生パッド上に現れる色濃度は、ソフトウェアプログラムを用いて垂直方向にデジタル化される。前記データは採取され、パーソナルコンピュータにインストールされたマイクロソフトEXCELプログラムに保存される。前記チップをポイントオブケア検査に適用する目的のため、図3Bに示すように、PDAベースの可搬型試作検出器がさらに明示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下の実施例は、本発明の内容をより具体的に裏付け、特定の応用例の実証を通じてその有用性を示すものであるが、本発明の範囲を限定するものではない。具体的には、本発明は、急性心筋梗塞(AMI)特有のマーカーとして、より高感受性の心筋トロポニンI(cTnI)を必要とする検体の免疫分析に適用されている。
【0037】
実施例に用いた物質
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)はLG Chem社(韓国ソウル、PMMA IF870)から取得した。心筋トロポニン(cTn)I-T-C複合体、免疫化用のcTnI単一分子、及びcTnIに特有のモノクローナル抗体(Clone 19C7)のストックはHytest社(フィンランド・トゥルク)によって供給された。 ヒト抗マウス抗体(HAMA)遮断薬(マウスIgG分画)及び心臓マーカーコントロールは、それぞれケミコン・インターナショナル社(米国カリフォルニア州テメキュラ)及びCliniqa社(米国カリフォルニア州フォールブルック)から取得した。N-サクシニミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、サクシニミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、及びジチオスレイトール(DTT)は、ピアス社(米国イリノイ州ロックフォード)から購入した。ヤギ抗マウス抗体、カゼイン(ナトリウム塩型、ミルから抽出)、ヒト血清(凍結液)、トリトンX-100、セファデックスG-15、及びG-100はシグマ社(米国ミズーリ州セントルイス)よって供給された。ニトロセルロース(NC)膜(ポアサイズ12-m)及びガラス繊維膜(Ahlstrom8980)はミリポア社(米国マサチューセッツ州ベッドフォード)から取得した。セルロース膜(17CHRクロマトグラフィー用グレード)及びガラス繊維膜(Rapid 24Q)は、ワットマン社(英国メイドストーン)から購入した。ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)はカルバイオケム社(米国カリフォルニア州サンディエゴ)から供給され、不溶性の3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)含有するその基質はモス社(米国メリーランド州パサディナ)から供給された。 使用したその他のすべての試薬は分析グレードであった。
【実施例1】
【0038】
HFW標識化された抗体の合成
1-1 モノクローナル抗体の産生
標準プロトコルを使用してcTnIに特有のモノクローナル抗体を産生した。cTnI(30g)をフロインドの完全アジュバントで乳化し、生後6週間のBALB/cマウスの腹腔に注入した。3週間後に、前記マウスをフロインドの不完全アジュバントで乳化した同量のcTnIで免疫化した。2週間後に同一の手順を繰り返し、同期間後に10mMのリン酸緩衝液(pH7.4)(PB)中に溶解させたcTnIを用いて最終の免疫化を実施した(140mmの塩化ナトリウム(PBS)を含有)。最終追加免疫の3日後、前記マウスの脾細胞を採取し、融合相手としてのマウスの形質細胞腫(sp2/0 Ag14)と融合させた。融合させたハイブリドーマ細胞をHAT選択に基づいてスクリーニングし、抗原被覆マイクロタイタープレートを用い、免疫測定法によって、cTnIに特有の抗体を産生する細胞クローン(BD Clone 12)を最終的にスクリーニングした。この抗体は、BALB/cマウスから腹水として産生してから、プロテインGカラム上で精製した(5mL、HiTrapのGタンパク質HP; 米国ニュージャージー州ピスカッタウェイのアマシャムバイオサイエンス社製)。溶出させた IgG分画を貯蔵し、濃縮し、PBSに対して透析し、さらに後で使用するまでアリコット(分割量)に分割して凍結した。
【0039】
1-2 抗体とHRP間の結合(Conjugation)
前記モノクローナル抗体(BD Clone 12)を、予報に記載されているように架橋剤を用いてHRPと化学的に結合さしめた(参照文献: J. H. Cho らの 2005, Anal. Chem., Vol. 77、ページ4091〜4097)。つまり、前記抗体(合計1Mg、0.5mL)及びHRP(合計1.4mg、0.5mL)に溶解された100mMのリン酸緩衝液含有する5mMのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを、それぞれジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解されたSMCCとSPDPと結合させた。結合させたSPDPリンカーをDTTを用いて活性化させ、両の変性タンパク質をセファデックスG-15ゲルクロマトグラフィーで分画した。次いで、前記抗体をただちにHRPと組み合わせ(5モル中)、4℃にて一晩反応せしめた。この混合物をセファデックスG-100ゲルカラム(10x200mm)上で精製した。前記精製コンジュゲート体をブラッドフォード法によって定量化し(参照文献: R. C. Duhamel, 1983, Coll. Relat. Res. 1983, Vol. 3、ページ195〜204)、スナップフリーズ後にアリコット(サンプル分割量)に分割して保存した。
【実施例2】
【0040】
ラボオンチップの構造
2-1 免疫ストリップの作成
垂直方向におけるcTnIの免疫クロマトグラフィー分析を行うため、4つの異なる機能膜パッドを用いた(図1Bを参照)。各サンプルアプリケーションパッドは、メーカーによってポリビニルアルコールを用いて前処理されたガラス繊維膜(2枚の15mm膜、Ahlstrom8980)であった。8リットルのコンジュゲート溶液をガラス膜(2x5mm、Rapid24Q)に移行することにより、コンジュゲートリリースパッドを製作した。前記コンジュゲート溶液は、0.5%カゼイン(カゼイン・リン酸緩衝液)、HAMA遮断薬(150g/mL)、アスコルビン酸(5mM)、トリトンX-100(0.5%、v/v)、及びトレハロース(20%、w/v)を含有する100mMのリン酸緩衝液を用いてHRP標識化抗体(2.5g/mL)を希釈することによって調製した。信号発生パッドは、マイクロディスペンサー(BioJet3000、米国カリフォルニア州アーバインのBiodot社製)を用いて、PBS中の(1.5L/cmの)モノクローナル抗体(Clone 19C7、2mg/mL)をNC膜(2x25mm)の底部から10mmにある部位上に分注することによって作った。また、同一膜上で、PBS中のヤギ抗マウス抗体(0.2mg/mL)を前記底部から17mmにある部位上に分注した。37℃にて1時間乾燥後、前記膜は、使用するまで室温にてデシケーター(乾燥器)に保管した。
作成した膜パッド類は、幅が2mmになるように、前記底部、サンプルアプリケーションパッド、コンジュゲートリリースパッド、細胞ろ過パッド、信号発生パッド、及び吸収パッドとしてのセルロース膜(2x15mm)の順序で配設した。最後に、機能免疫ストリップを、個々の近接する膜片を部分的に重ね合わせるとともに、両面テープを用いてプラスチックフィルム上に固定することによって構築した。
【0041】
2-2 プラスチックチップのエッチング
流路は、ポリアクリルアミドチップ(32x76x2mm)の表面に機械彫刻を施すことによって設け、本質的に、前記免疫ストリップを前記垂直位置に流路の一部分として含むことと、水溶液を交差(横)方向に供給することを可能にした(全体構造については図1Aを参照のこと)。免疫ストリップ装着チャンネルは、前記表面を幅2mm、長さ51mmに彫り、深さを、前記ストリップの膜パッドのさまざまに異なる厚さに適合させて彫ることによって、前記チップの中心に配設した。前記チャンネルの底部は楕円形状(5x10mm)に穿設して、試料添加ポットに100リットルの最大サンプル保持容量を提供した。信号モニタウィンドウは、前記ストリップの信号発生パッドの上限に対応するように前記チップ表面(1x18mm)をスリットすることによって提供した。 このパッドを横切る流れを可能にするため、酵素気質供給チャンネル及び水平流吸収チャンネルを前記垂直チャンネルの個々の対向する側面上に設置した。片側には、深さが0.8mmの基質供給チャンネルを、図1に示すように前記垂直チャンネルに延出する円弧三角形の形状で形成した。基質供給ポット(直径7mm)は、前記チャンネルの導入口にて表面を穴あけ加工することによって設置した。また、2個の換気穴(直径1mm)も、前記チャンネルの排出口近傍の両末突起領域に設けた。前記垂直チャンネルの他側には、前記流に対して、水平流吸収チャンネルを下記の特定寸法に合わせて構築した。幅14mm、長さ12mm、及び深さ1mm。
【0042】
2-3 ラボオンチップの組み立て
エッチングしたプラスチックチップは、前記免疫ストリップと水平流吸収パッドと、それぞれを前記垂直チャンネルと前記水平流吸収チャンネルに設置することによって一体化させた。前記吸収パッドは、両面テープを用いて前記セルロース膜(14x12mm)をプラスチックフィルムに付着することで作成した。前記統合チップは、積層フィルムで被装してから、両面テープを用いて同一サイズの無傷プラスチックチップを結合することによって閉構造とした。最後に、前記チップは室温に保たれたデシケーター(乾燥器)に使用するまで保管した。
【実施例3】
【0043】
分析性能の特徴付け(評価)
3-1 cTnI標準サンプルの作成
cTnI(1mg/mL、I-T-C複合形態)のストックをヒト血清により連続的に希釈してサンプルを既定の濃度にて作成した。前記血清自体は負のサンプルとして考慮した。
【0044】
3-2 校正
最適条件下で、cTnIの標準サンプル.を用いて前記ラボオンチップの検体濃度に対する応答を取得した。前記サンプルをさまざまなラボオンチップに追加し、その免疫反応を15分間処理し、前記酵素基質を供給した後に、前記信号発生を順次5分間処理した。図2に示すように、有色信号を持つ前記チップを、検出器内に構築されるとともに、図3に示すように光源を用いて底部から照らし出されたデジタルカメラの下に配置した(FA185A#ABA、米国カリフォルニア州パロアルト市のヒューレットパッカード社製)(SR0307A-5230、韓国のセホロボット産業(株)製)。前記信号発生パッドの画像をキャプチャし、パーソナルコンピュータにインストールされたC++言語でプログラムされたソフトウェアを用いて、前記パッド上に現れるその色濃度を垂直方向にデジタル化した。そのデータを採取し、マイクロソフトEXCELプログラムに保存した。検体投与量に比例する前記信号を定量するため、先ず、測定した光学濃度を、信号ピークとコントロールピーク間に存在する背景色の平均値から差し引いた。次いで、前記信号ピーク下の正規化光学濃度を、信号数値を割り当てることができるように統合した。同一手順を3回繰り返し、各濃度での平均値を用いて用量反応曲線グラフにプロットした。
【0045】
cTnIの標準サンプルを用いる前記センサーの用量反応曲線は、図4に示すように半対数グラフにプロットした。「信号」はシグモイド形に変動したが、「コントロール」は検体投与量にかかわらず一定に保たれた。正確な校正のため、前記シグモイド曲線を、ログ・ロジット変換によって直線に変換することが可能であり(参照文献: A. DeLean らの 1978, Am. J. Phys., Vol. 235、ページ97〜102)、次いで、未知サンプル中の検体の定量に使用されるものである。前記校正曲線から、前記選択のcTnIが標準物質(キャリブレーター)として使用される場合、前記ラボオンチップセンサーの検出限界は約0.1ng/mLであることが見出されるとともに、定量限界は0.25ng/mLであることも見出された。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、最低限のサンプルと、複数の予後指標または診断指標の同時測定に必要な分析機能とをもたらす、内蔵のメンブレイン(膜)を有するラボオンチップを提供する。本チップは、外力の助けなしに、毛管現象のみによってサンプルをチャンネルに貫流させるため、本チップを搭載するデバイスの現場分析にける使用を可能にするものである。前記デバイスは、サンプル縮小を図る目的で小型化されているため、臨床診断の場合には指穿刺に対する拒絶反応を軽減することができるので、高感受性を示す症候や疾患の頻繁な検査に好適であり、価格も経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】クロスフロー型クロマトグラフィーのコンセプトを採用するELISA用分析ラボオンチップの構造を示すものである。(A):表面に彫り込まれたマイクロ流路を備える上部固体プレート。(B):前記マイクロ流路内に内蔵のメンブレイン(膜)を備える上部固体プレート。(C):免疫分析用ラボオンチップの構造(モデルA)。
【図2】図1に示したラボオンチップを用いた分析手順(モデルA)と、連結微細毛細チャンネルの存在を除いては同一のチップを用いた分析手順(42、モデルB)を示すものである。
【図3】前記ラボオンチップセンサーから生成される色信号用検出器の概略図(A)と、実例として構築されたPDAベースの可搬式試作検出器の概略図(B)を示すものである。
【図4】前記ラボオンチップ及びcTnI用信号検出器の校正曲線を示すものである。前記信号とコントロールは、それぞれのピーク下で色濃度の統合によって定量化される。また、反復測定の各標準偏差も表示されている。
【符号の説明】
【0048】
10 機能膜パッド
11 免疫ストリップ(幅2mm)
12 サンプルアプリケーションパッド
13 酵素コンジュゲートリリースパッド
14 細胞ろ過パッド
15 信号発生パッド
16 垂直流吸収パッド
17 水平流吸収パッド
20 上部固体プレート
21 垂直マイクロ流路
22 試料添加ポット
23 信号モニタウィンドウ
24 水平基質供給チャンネル
25 酵素気質供給ポット
26 水平流吸収チャンネル
27 換気穴
28 水平マイクロ流路
30 底部固体プレート
31 バイパス防止穴
40 免疫分析用ラボオンチップ・モデルA
41 免疫分析用ラボオンチップ・モデルB
42 連結毛細チャンネル(長さ2mm)
50 比色検出器
51 電荷結合素子(CCD)カメラ
52 光源
53 コネクタ
54 入出力モジュール
55 充電装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記を含むことを特徴とするバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョンであって、
(a)前記上部プレート(20)としての固体マトリックス
(b)乾燥状態で作成された1枚以上の機能膜パッド(10)
(c)底部プレート(30)としての固体マトリックス
さらに、下記を行うことによって構築されることを特徴とする。
(I)前記上部固体プレート(または設計に応じて前記底部固体プレート)の内面を彫り込んで、当該機能膜パッド保持用の部品及び毛管現象による溶媒の導入口と排出口の制御用部品で構成される、マイクロサイズからミリサイズのマイクロ流路(23)を形成し、
(II)前記機能膜パッド(10)を前記チャンネルの少なくとも一部内に配置し、そして
(III)毛管現象によって溶媒を供給するためのマイクロ流路(21、28)を構成するために、前記底部固体プレートを前記上部プレートに結合する。
【請求項2】
前記上部固体プレート(20)が、試料添加ポット(22)、信号モニタウィンドウ(23)、及び酵素気質供給ポット(25)を含むとともに、前記底部固体プレート(30)が、ラボオンチップの設計に応じて溶媒の導入口と排出口を含むことを特徴とする請求項1のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項3】
前記上部固体プレート(20)が、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ガラス、クォーツ、またはセラミックから成るとともに、前記底部固体プレート(30)が、前記上部プレートと同一物質または柔軟な固体マトリクスから成ることを特徴とする請求項1のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項4】
前記マイクロ流路(23)が、光食刻法、インプリンティング、レーザ−、または機械彫刻によって前記上部固体プレートの内面上に形成されて、ラボオンチップの設計に応じて、平面、円滑な傾斜、または多層構造を持つことを特徴とする請求項1のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項5】
前記機能膜パッド(10)が、ガラス繊維膜、セルロース膜、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、及び合成ポリマー膜からなるグループから選択されることを特徴とする請求項1のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項6】
前記機能膜パッド(10)が、ろ過、イオン交換、試薬放出、層流、吸収、酵素反応、抗原抗体結合、核酸ハイブリダイゼーション、及び信号発生からなるグループから選択される少なくとも1つの役割を達成することを特徴とする請求項1のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項7】
前記機能膜パッド(10)が、高い特異性と高感受性で検体の検出に使用される、酵素、抗体、及びオリゴヌクレオチドからなるグループから選択される付着成分を含む少なくとも1つの機能膜パッドを備えることを特徴とする請求項1のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項8】
検体と付着成分間の生物学的相互作用が、前記相互作用自体または通常その反応相手のうちの1つに標識化された信号発生器を介して生じる物理的信号に変換され、その信号が、色、ルミネセンス、蛍光、電流、電圧、伝導性、または磁気の変化に基づいて検出器によって測定されることを特徴とする請求項7のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項9】
前記検体が、代謝物質、タンパク質、ホルモン、核酸、細胞、薬物、食品汚染物質、環境的な汚染物質、または生物兵器であることを特徴とする請求項8のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項10】
前記マイクロ流路が、互いに交差する垂直マイクロ流路(21)と水平マイクロ流路(28)を含むとともに、前記水平マイクロ流路(28)が基質供給チャンネル(24)及び水平流吸収チャンネル(26)を含むことを特徴とする請求項1のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項11】
前記垂直マイクロ流路(21)が、サンプルアプリケーションパッド(12)、信号発生器のコンジュゲートリリースパッド(13)、細胞ろ過パッド(14)、固定捕獲付着成分(15)を持つ信号発生パッド、及び垂直流吸収パッド(16)と統合するとともに、前記水平流吸収チャンネル(26)が、水平流吸収パッド(17)を完全に設置することによって作成されることを特徴とする請求項10の前記バイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項12】
前記垂直マイクロ流路(21)が、サンプルアプリケーションパッド(12)、信号発生器のコンジュゲートリリースパッド(13)、細胞ろ過パッド(14)、固定捕獲付着成分(15)を持つ信号発生パッド、及び垂直流吸収パッド(16)と統合するとともに、前記水平流吸収チャンネル(26)が、規定の幅と長さを持つ連結微細毛細チャンネル(42)を水平流吸収パッド(17)と統合された部品と組み合わせた構造で作成されるものであって、前記連結微細毛細チャンネル(42)が、固定捕獲付着成分(15)を有する前記信号発生パッドと前記水平流吸収パッド(17)の間に位置することを特徴とする請求項10の前記バイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項13】
前記水平流吸収パッド(17)が、最初に空間的に分離された状態になるが、次いで、前記信号発生パッド(15)に物理的に接続され、前記垂直流反応の完了後には、前記垂直配置パッドに帰属することを特徴とする請求項11のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項14】
前記信号発生器のコンジュゲートリリースパッド(13)が、検出用の付着成分を有する信号発生器のコンジュゲート体、または検出用の付着成分及び前記検出用の付着成分に特有の二次付着成分を有する信号発生器のコンジュゲート体を含むことを特徴とする請求項11及び12のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項15】
前記信号発生器が、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、または新規糸状菌由来のペルオキシダーゼであるとともに、その基質溶液が前記信号発生器に特有の発色基質成分を含み、信号発生時には、肉眼で検出可能な色の変化が酵素基質反応によって生じる信号として示されることを特徴とする請求項14のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項16】
前記信号発生器が金コロイドであるとともに、前記基質溶液が銀化合物を含み、信号発生時には、肉眼で検出可能な色の変化または電気伝導性の変化が、化学触媒作用反応によって生じる信号として測定されることを特徴とする請求項14のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項17】
前記信号発生器が、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼまたは新規糸状菌由来のペルオキシダーゼであるとともに、前記基質溶液が、前記信号発生器に特有のルミノールまたは他の発光基質成分であり、信号発生時には、光信号が、酵素基質反応によって生じる信号として測定されることを特徴とする請求項14のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項18】
前記信号発生器が、Co2+、Cu2+、Mg2+、Fe2+、またはそれら化合物のうちの1つであるとともに、前記基質溶液が、前記信号発生器に特有のルミノールまたは他の発光基質成分のうちの1つを含み、信号発生時には、光信号が、化学触媒作用反応によって生じる信号として測定されることを特徴とする請求項14のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項19】
前記信号発生器が、グルコースオキシダーゼ、ウレアーゼ、ペニシリンオキシダーゼ、またはコレステロールオキシダーゼであるとともに、前記基質溶液が、前記信号発生器に特有の電気化学信号発生成分を含み、信号発生時には、電気伝導性の変化、電流の変化、または電圧の変化が、酵素-基質反応によって生じる信号として測定されることを特徴とする請求項14のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。
【請求項20】
前記電気化学信号が、前記信号発生パッド上に直接にスクリーン印刷する方法か、または外力によって前記膜パッドと物理的に組み合わせる方法のいずれかの方法で電極を用いて検出されることを特徴とする請求項16及び19のバイオセンサーシステムのラボオンチップのバージョン。


【図1】
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【図1(c)】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−523386(P2008−523386A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545362(P2007−545362)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/KR2005/004084
【国際公開番号】WO2006/062312
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(507182531)バイオディジット ラボラトリーズ コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】