説明

現金自動取引システム

【課題】取引予約後に第3者によって不正に現金が引出されてしまうことを防止する手段を提供する。
【解決手段】顧客の携帯電話と、携帯電話と通信可能な受信サーバーと、顧客との取引を実行する現金自動預払機と、受信サーバーおよび現金自動預払機と接続する生体認証サーバーと、受信サーバーおよび現金自動預払機と接続する取引情報サーバーとを備え、携帯電話から送信された生体情報と取引情報とを受信サーバーが受信し、この受信のときに採番した取引IDと生体情報とを生体認証サーバーに送信して記憶させ、取引IDと取引情報とを取引情報サーバーに送信して記憶させておき、現金自動預払機が顧客から顧客確認のための生体情報だけを取得してその生体情報を生体認証サーバーに送ってその生体情報に関連づけられた取引IDを取得し、この取引IDを取引情報サーバーに送って取引IDに関連づけられた取引情報を取得し、この取引情報に従って取引処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客との取引に使用する自動取引装置を備えた現金自動取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に現金自動取引システムにおける自動取引装置の主な取引処理は、取引内容の選択や取引カードの挿入、暗証番号の入力、取引内容の入力、ホストコンピュータとの通信、現金の入出金、通帳の記帳、取引明細票の発行等の処理によって行われる。しかし、ここで使用される自動取引装置は高額かつ設置スペースを必要とし、金融機関の店舗に設置できる台数に限度があるため、顧客1人当たりの取引時間の短縮が要求されている。
【0003】
そのため、従来の現金自動取引システムは、取引予約のために顧客が携帯電話から送信した取引内容をホストコンピュータと接続した携帯入出金制御装置が受信して記憶し、その取引内容に対して取引番号とパスワードとを生成して携帯電話に送信し、顧客が金融機関の店舗で取引予約の内容の取引を行うために自動取引装置に取引番号やパスワード等を入力したときに、携帯入出金制御装置に記憶した取引内容に従って取引処理を実行している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、別の現金自動取引システムにおいては、顧客が携帯電話で送信した取引内容を取引情報記憶手段に記憶しておき、顧客が自動取引装置で取引を行うために暗証番号を入力すると取引情報記憶手段から取引内容を読み出し、読み出した取引内容に従って取引処理を実行している(例えば、特許文献2参照。)。
また、別の現金自動取引システムにおいては、顧客が携帯電話で取引を行う金融機関の店舗に電話をかけ、電話のガイダンスに従って携帯電話のテンキーを用いて入力することによって取引予約を行うと、主制御装置に取引内容と携帯電話の電話番号とが関連して記憶され、顧客が店舗で取引を行うときに携帯電話を自動取引装置の電話番号認識部に挿入すると、挿入された携帯電話から電話番号を認識し、これをもとに主制御装置が記憶している取引内容から該当する取引内容を検索し、抽出した取引内容に従って取引処理を実行している(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2003−123126号公報(第2頁段落0015−第3頁段落0021、第1図)
【特許文献2】特開平10−162243号公報(第3頁段落0043−第4頁段落0070、第1図)
【特許文献3】特開2001−175783号公報(第3頁段落0013−第4頁段落0021、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の技術においては、携帯電話に送信した取引番号とパスワードの入力が顧客確認の方法となっており、また上述した特許文献2の技術においては暗証番号の入力が顧客確認の方法となっているので、取引予約後に第3者によって取引番号とパスワードが入力されてしまった場合や暗証番号が入力された場合は、取引予約をした顧客に代わって不正に取引が行われて現金が引出されてしまうおそれがあるという問題がある。
【0006】
また、上述した特許文献3の技術においては、携帯電話が自動取引装置の電話番号認識部に挿入されたときに取引内容に従って取引処理を実行するので、取引予約後に顧客が携帯電話を紛失したり盗まれたりした場合、その携帯電話を拾う等によって取得した第3者によって不正に取引が行われて現金が引出されてしまうという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、取引予約後に第3者によって不正に現金が引出されてしまうことを防止する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、顧客の携帯端末と、該携帯端末と通信可能に構成された受信サーバーと、顧客との取引を実行する自動取引装置と、前記受信サーバーおよび前記自動取引装置と接続する生体認証サーバーと、前記受信サーバーおよび前記自動取引装置と接続する取引情報サーバーとを備え、前記携帯端末は、前記取引の取引情報の入力を受付ける手段と、顧客の身体的特徴を示す生体情報を取得する手段と、前記入力された取引情報と取得した生体情報とを前記受信サーバーへ送信する手段とを備え、前記受信サーバーは、前記携帯端末からの前記取引情報と生体情報とを受信する手段と、前記取引情報と生体情報とを受信したときに、取引IDを採番する手段と、該採番した取引IDを前記受信した取引情報に関連させて前記取引情報サーバーに送信する手段と、前記取引IDを前記生体情報に関連させて前記生体認証サーバーに送信する手段とを備え、前記生体認証サーバーは、前記受信サーバーからの前記生体情報と取引IDとを受信する手段と、該受信した生体情報と取引IDとを記憶する手段と、前記自動取引装置からの生体情報を受信する手段と、該受信した生体情報をもとに前記記憶した生体情報を検索して該当する生体情報を抽出する手段と、該抽出した生体情報に関連する取引IDを前記自動取引装置に送信する手段とを備え、前記取引情報サーバーは、前記受信サーバーからの前記取引情報と取引IDとを受信する手段と、該受信した取引情報をもとに、その取引の実行の可否情報を取得する手段と、該取得した可否情報を前記取引IDとに関連させて記憶する手段と、前記自動取引装置からの取引IDを受信する手段と、該受信した取引IDをもとに前記記憶した取引IDを検索して該当する取引IDを抽出する手段と、該抽出した取引IDに関連する取引情報と可否情報とを前記自動取引装置に送信する手段とを備え、前記自動取引装置は、顧客の生体情報を取得する手段と、該取得した生体情報を前記生体認証サーバーに送信する手段と、前記生体認証サーバーからの前記取引IDを受信する手段と、該受信した取引IDを前記取引情報サーバーに送信する手段と、前記取引情報サーバーからの前記取引情報と可否情報とを受信する手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明は、顧客の携帯端末から送信された生体情報と取引情報とを受信サーバーが受信し、この受信のときに採番した取引IDと生体情報とを生体認証サーバーに送信して記憶させ、取引IDと取引情報とを取引情報サーバーに送信して記憶させておき、自動取引装置が顧客から顧客確認のための生体情報だけを取得してその生体情報を生体認証サーバーに送ってその生体情報に関連づけられた取引IDを取得し、この取引IDを取引情報サーバーに送って取引IDに関連づけられた取引情報を取得し、この取引情報に従って取引処理を実行するので、取引予約後に顧客になりすました第3者によって不正に現金が引出されてしまうことを防止することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明による現金自動取引システムの実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は実施例1の現金自動取引システムを示すブロック図、図2は実施例1の携帯電話を示すブロック図、図3は実施例1の受信サーバーを示すブロック図、図4は実施例1の取引情報サーバーを示すブロック図、図5は実施例1の生体認証サーバーを示すブロック図、図6は実施例1の現金自動預払機を示すブロック図である。
図1において、1は現金自動取引システムであり、金融機関の店舗に設置されて顧客の携帯端末としての携帯電話2と通信を行う受信サーバー3、店舗に設置されて顧客の口座番号や取引内容、必要に応じて取引金額等の取引情報を管理する取引情報サーバー4、店舗に設置されて顧客の身体的特徴を示す生体情報としての指紋情報を管理する生体認証サーバー5、店舗に設置されて顧客との間で現金の取引を自動で行う自動取引装置としての現金自動預払機6、センタに設置されて取引情報サーバー4と専用回線や電話回線等の通信回線を介して接続し、顧客の口座の口座番号や口座残高等の顧客情報を保有して顧客の口座を管理するホストコンピュータ7とにより構成される。
【0011】
図2において、20は携帯電話2の携帯制御部であり、携帯電話2の各部の制御を行うと共に、携帯通信手段21によって赤外線等によるデータ通信等も制御する。
22は携帯記憶部であり、携帯制御部20が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび携帯制御部20による処理結果等が格納される。
23は携帯生体情報検出部であり、顧客が指で触れたときに生体情報としての指紋を検出する機能を有する。
【0012】
24は携帯表示部であり、取引予約を行うための入力画面等を表示する。
25は携帯操作部であり、携帯表示部24に表示された入力画面に情報を入力するための操作キーを有する。
図3において、30は受信サーバ−3の受信サーバー制御部であり、受信サーバー3の各部の制御を行うと共に、受信サーバー通信手段31によって携帯電話2との間で赤外線等によるデータ通信等も制御する。
【0013】
32は受信サーバー記憶部であり、受信サーバー制御部30が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび受信サーバー制御部30による処理結果等が格納される。
図4において、40は取引情報サーバー4の取引情報サーバー制御部であり、取引情報サーバー4の各部の制御を行うと共に、取引情報通信手段41によって受信サーバー3と接続してデータ通信等も制御する。
【0014】
42は取引情報サーバー記憶部であり、顧客の取引情報を記憶しておくための取引情報データベース43を有し、取引情報サーバー制御部40が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび取引情報サーバー制御部40による処理結果等が格納される。
図5において、50は生体認証サーバー5の生体認証サーバー制御部であり、生体認証サーバー5の各部の制御を行うと共に、生体情報通信手段51によって受信サーバー3や現金自動預払機6と接続してデータ通信等も制御する。
【0015】
52は生体認証サーバー記憶部であり、顧客の指紋情報を記憶しておくための生体情報データベース53を有し、生体認証サーバー制御部50が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび生体認証サーバー制御部50により処理結果等が格納される。
54は生体情報認証手段であり、現金自動預払機6から送信された顧客の指紋情報をもとに生体情報データベース53に記憶した指紋情報を検索して送信された指紋情報を認証する機能を有する。
【0016】
図6において、60は現金自動預払機6のATM制御部であり、現金自動預払機6の各部の動作を制御して取引処理等を実行すると共に、ATM通信部61を介して取引情報サーバー4および生体認証サーバー5と接続してデータ通信等も制御する。
62はATM記憶部であり、ATM制御部60が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよびATM制御部60による処理結果等が格納される。
【0017】
63は現金取扱部であり、現金自動預払機6へ投入された現金の受け入れや、出金する現金の払出し等を行う。
64はカード取扱部であり、顧客により挿入されたキャッシュカードやクレジットカード等の取引カードの磁気ストライプに記録されている口座番号等のカード情報を読み書きする機能を有すると共に取引明細票等を印刷する機能を有している。
【0018】
65は通帳取扱部であり、顧客により挿入された顧客の通帳の磁気ストライプに記録されている通帳情報を読み書きする機能を有すると共に取引内容等を顧客の通帳に記帳する機能を有している。
66は表示操作部であり、LCD等の表示部67と透明なタッチパネル等の位置信号検出部68との組合せで構成されており、表示部67に取引選択画面や各種の入力画面、顧客の処置を促す画面等を表示する一方、位置信号検出部68により顧客の指触位置を検出して入力を受付ける。
【0019】
69はATM生体情報検出部としての指紋検出部であり、顧客が指の腹で触れたときにその指紋を検出する。
上記の携帯電話2の携帯記憶部22には、顧客の口座番号を格納すると共に、顧客が携帯操作部25によって入力した取引種別と必要に応じて入力した取引金額とに格納している口座番号を添付して作成した取引情報と、携帯生体情報検出部23によって検出して取得した指紋情報とを受信サーバー3に送信する取引通信処理を実行するためのアプリケーションプログラムが格納されており、携帯制御部20と取引通信処理を実行するためのアプリケーションプログラムとの各ステップにより携帯電話2のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0020】
上記の受信サーバー3の受信サーバー記憶部32には、取引IDを採番する機能および携帯電話2からの取引情報を取引情報サーバー4に送信し、携帯電話2からの指紋情報を生体認証サーバー5に送信する等の各種の通信業務処理を実行する機能等を有する通信業務処理実行プログラムが格納されており、受信サーバー制御部30と通信業務処理実行プログラムとの各ステップにより受信サーバー3のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0021】
上記の取引情報サーバー4の取引情報サーバー記憶部42には、受信サーバー3から送信された取引情報と取引IDとを関連させて記憶し、現金自動預払機6からの取引IDによる問合せに応じてその取引情報を送信する等の取引業務処理を実行する機能を有する取引情報業務処理実行プログラムが格納されており、取引情報サーバー制御部40と取引情報業務処理実行プログラムとの各ステップにより取引情報サーバー4のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0022】
上記の生体認証サーバー5の生体認証サーバー記憶部52には、受信サーバー3から送信された指紋情報と取引IDとを関連させて記憶し、現金自動預払機6からの指紋情報による問合せに応じてその取引IDを送信する機能を有する生体情報業務処理を実行する機能を有する生体情報業務処理実行プログラムが格納されており、生体認証サーバー制御部50と生体情報処理実行プログラムとの各ステップにより生体認証サーバー5のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0023】
上記の現金自動預払機6のATM記憶部62には、指紋検出部69によって取得した指紋情報をもとに生体認証サーバー5と取引情報サーバー4との間で通信して受信した取引情報にもとづいて取引処理を実行するための取引処理実行プログラムが格納されており、ATM制御部60と取引処理実行プログラムとの各ステップにより現金自動預払機6のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0024】
上述した構成の作用について、図7に示す実施例1の取引予約処理を示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って説明する。
本実施例においては、顧客は現金自動預払機6との間で出金取引を行うものとして説明する。
S1、現金自動預払機6を利用するために列に並んでいる顧客は、携帯電話2の取引通信処理を実行するためのアプリケーションプログラムを起動し、携帯操作部25によって取引種別としての出金取引および出金金額を入力し、指の腹で携帯生体情報検出部23に触れて自身の指紋を入力する。この出金取引と出金金額、指紋の入力を受付けた携帯電話2の携帯制御部20は入力された出金取引と出金金額に携帯記憶部22に格納している口座番号を添付して取引情報を作成すると共に、携帯生体情報検出部23によって指紋を検出して指紋情報を取得する。
【0025】
S2、顧客が携帯電話2を受信サーバー3に向けたまま、携帯操作部25で赤外線によるデータ通信のための操作を行うと、携帯制御部20は携帯通信手段21によって取引情報と指紋情報とを受信サーバー3に送信する。
取引情報と指紋情報とを受信した受信サーバー3の受信サーバー制御部30は、取引IDを採番し、受信した取引情報と採番した取引IDとを取引情報サーバー4に送信すると共に、受信した指紋情報と採番した取引IDとを生体認証サーバー5に送信する。
【0026】
S3、生体認証サーバー5の生体認証サーバー制御部50は、生体情報通信手段51によって受信した指紋情報と取引IDとを関連させて生体認証サーバー記憶部52の生体情報データベース53に記憶する。
S4、取引情報サーバー4の取引情報サーバー制御部40は、取引情報通信手段41によって受信した取引情報と取引IDとを関連させて取引情報サーバー記憶部42の取引情報データベース43に記憶し、受信した取引情報にもとづいてホストコンピュータ7との間で出金取引処理を実行する。
【0027】
つまり、取引情報サーバー制御部40は受信した取引情報を添付した取引認証依頼をホストコンピュータ7に送信する。
取引認証依頼を受信したホストコンピュータ7は、取引情報に添付された口座番号をもとに保有している顧客情報を検索し、該当する顧客情報の口座残高と取引情報の出金金額とを比較して取引が可能であることを判定してその取引を認証し、顧客の口座残高から出金金額を減じて顧客情報を更新する。
【0028】
そして、ホストコンピュータ7はその出金取引における取引内容や口座番号等で構成された取引履歴を作成し、履歴番号を付して記憶すると共に、取引許可の旨の可否情報に口座番号と履歴番号とを添付した取引可否通知を取引情報サーバー4に送信する。
なお、取引認証依頼を受信したホストコンピュータ7が、顧客情報の口座残高が不足している等により取引が不可であると判定したときは、取引不可の旨の可否情報に口座番号を添付した取引可否通知を取引情報サーバー4に送信する。
【0029】
S5、取引情報サーバー4の取引情報サーバー制御部40は、取引情報通信手段41によって受信した取引可否通知の口座番号から取引情報データベース43の取引情報を検索し、該当する口座番号の取引情報に取引可否通知の履歴番号および可否情報を関連づけて記憶する。
これにより取引予約処理が終了する。
【0030】
次に図8に示す実施例1の現金自動取引システムの動作を示すフローチャートを用い、上述した取引予約をした顧客に対する取引処理の動作をSAで示すステップに従って説明する。
SA1、現金自動預払機6のATM制御部60は、表示操作部66に取引選択画面を表示して待機し、列に並んでいて順番が回ってきた顧客が表示されている取引選択画面から予約取引の選択キーに触れると、ATM制御部60は位置信号検出部68によりこれを検出して表示操作部66に指の腹で指紋検出部69に触れることを促す案内画面を表示する。
【0031】
SA2、ATM制御部60は、指紋検出部69に触れた顧客の指の腹から指紋を検出し、検出した指紋から取得した指紋情報を生体認証サーバー5に送信する。
SA3、生体情報通信手段51によって指紋情報を受信した生体認証サーバー制御部50は、生体情報認証手段54によって受信した指紋情報から生体情報データベース53に記憶した指紋情報を検索して該当する指紋情報に関連する取引IDを抽出し、抽出した取引IDを現金自動預払機6に送信する。
【0032】
SA4、現金自動預払機6のATM制御部60は、ATM通信部61によって受信した取引IDを取引情報サーバー4に送信する。
SA5、取引情報通信手段41によって取引IDを受信した取引情報サーバー制御部40は、受信した取引IDをもとに取引情報データベース43を検索し、該当する取引IDに関連づけて記憶されている取引情報と可否情報を抽出し、抽出した取引情報と可否情報を現金自動預払機6に送信する。
【0033】
SA6、現金自動預払機6のATM制御部60は、ATM通信部61により受信した可否情報によって取引許可の旨を認識して受信した取引情報にもとづいて現金取扱部63によって現金を顧客に払出し、カード取扱部64によって取引明細票を発行して顧客との取引を終了する。
以上説明したように、本実施例では、顧客の携帯電話から送信された指紋情報と取引情報とを受信サーバーが受信し、この受信のときに採番した取引IDと指紋情報とを生体認証サーバーに送信して記憶させ、取引IDと取引情報とを取引情報サーバーに送信して記憶させておき、現金自動預払機が顧客から顧客確認のための指紋情報だけを取得してその指紋情報を生体認証サーバーに送ってその指紋情報に関連づけられた取引IDを取得し、この取引IDを取引情報サーバーに送って取引IDに関連づけられた取引情報を取得し、この取引情報に従って取引処理を実行するので、取引予約後に顧客になりすました第3者によって不正に現金が引出されてしまうことを防止することができる。
【0034】
また、現金自動預払機を利用する顧客の指紋情報だけで顧客を確認して取引予約の内容にもとづいて取引処理を行うので、顧客確認を取引番号やパスワード等の入力とした場合よりも顧客が現金自動預払機を操作する時間を短くすることができ、取引時間を短縮させることができると共に、取引予約後に顧客が携帯電話を紛失して第3者がその携帯電話を拾って不正に現金を引出してしまうことを防止することができる。
【0035】
また、取引情報サーバーが受信サーバーから取引情報を受信したときに、ホストコンピュータとの間で受信した取引情報にもとづいて取引処理を実行するので、顧客が現金自動預払機を利用したときの取引時間を短縮して現金自動預払機の稼動効率を向上させることができる。
なお、上記実施例1においては、赤外線によるデータ通信によって携帯電話から受信サーバーへ取引情報と指紋情報とを送信した場合について説明したが、携帯電話に非接触式ICチップを備え、受信サーバーに非接触式ICチップの情報を読み書きする機能を備えるようにした場合に適用しても上記と同様の効果を得ることができる。
【実施例2】
【0036】
図9は実施例2の携帯電話を示すブロック図、図10は実施例2の現金自動取引システムを示すブロック図、図11は実施例2のWebサーバーを示すブロック図、図12は実施例2の取引予約サーバーを示すブロック図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9において、26は携帯電話2のインターネット通信手段であり、インターネット通信を行うための機能を有する。
【0037】
図10、図11において、80は金融機関のセンタに設置されたWebサーバーである。
81はWebサーバー制御部であり、Webサーバー80の各部の制御を行うと共に、Web通信手段82によってインターネット通信による携帯電話2とのデータ通信等も制御する。
【0038】
83はWebサーバー記憶部であり、Webサーバー制御部81が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよびWebサーバー制御部81による処理結果等が格納される。
図12において、90は金融機関の店舗に設置された取引予約サーバーである。
91は取引予約サーバー制御部であり、取引予約サーバー90の各部の制御を行うと共に、取引予約サーバー通信手段92によってデータ通信等も制御する。
【0039】
93は取引予約サーバー記憶部であり、顧客の取引情報や指紋情報を記憶するための予約情報データベース94を有し、取引予約サーバー制御部91が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび取引予約サーバー制御部91による処理結果等が格納される。
95は生体情報認証手段であり、現金自動預払機6から送信された顧客の指紋情報をもとに予約情報データベースに記憶した指紋情報を検索し、送信された指紋情報を認証する機能を有する。
【0040】
本実施例の携帯電話2の携帯記憶部22には、上記実施例1の取引通信処理を実行するためのアプリケーションプログラムに、取引を行う支店名を入力するためのアプリケーションプログラムを加えた本実施例の取引通信処理を実行するためのアプリケーションプログラムが格納されており、携帯制御部20と取引通信処理を実行するためのアプリケーションプログラムとの各ステップにより携帯電話2のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0041】
上記のWebサーバー80のWebサーバー記憶部83には、携帯電話2からの取引情報と生体情報を取引予約サーバー90に送信する等の各種の通信業務処理を実行する機能を有する通信業務処理実行プログラムが格納されており、Webサーバー制御部81と通信業務処理実行プログラムとの各ステップによりWebサーバー80のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0042】
上記の取引予約サーバー90の取引予約サーバー記憶部93には、Webサーバー80から送信された取引情報と生体情報とを関連させて記憶し、現金自動預払機6からの指紋情報による問合せに応じてその指紋情報に関連する取引情報を送信する機能を有する取引予約処理実行プログラムが格納されており、取引予約サーバー制御部91と取引予約処理実行プログラムとの各ステップにより取引予約サーバー90のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0043】
上述した構成の作用について、図13に示す実施例2の取引予約処理を示すフローチャートを用い、SBで示すステップに従って説明する。
本実施例は、上記実施例1の受信サーバー3と同様の機能をWebサーバー80に受け持たせ、取引情報サーバー4と生体認証サーバー5を統合した機能を取引予約サーバー90に受け持たせたものである。
【0044】
SB1、顧客は携帯電話2の取引通信処理を実行するためのアプリケーションプログラムを起動し、携帯操作部25によって取引種別としての出金取引および出金金額と取引を行う支店名を入力し、指の腹で携帯生体情報検出部23に触れて自身の指紋を入力する。この出金取引と出金金額、支店名、指紋の入力を受付けた携帯電話2の携帯制御部20は、入力された出金取引と出金金額に携帯記憶部22に格納している口座番号を加えた取引情報に、入力された支店名と携帯生体情報検出部23によって取得した指紋情報とを加えた予約情報を作成する。
【0045】
SB2、顧客が携帯操作部25によって予約情報をインターネット通信で送信するための操作を行うと、これを認識した携帯制御部20はインターネット通信手段26によって予約情報をWebサーバー80に送信する。
Web通信手段82によって予約情報を受信したWebサーバー80のWebサーバー制御部81は、受信した予約情報の支店名を認識し、その支店に設置された取引予約サーバー90に予約情報の取引情報と指紋情報を送信する。
【0046】
SB3、取引予約サーバー90の取引予約サーバー制御部91は、取引予約サーバー通信手段92によって受信した取引情報と指紋情報とを関連させて取引予約サーバー記憶部93の予約情報データベース94に記憶し、受信した取引情報にもとづいてホストコンピュータ7との間で出金取引処理を実行する。
つまり、取引予約サーバー制御部91は受信した取引情報を添付した取引認証依頼をホストコンピュータ7に送信する。
【0047】
取引認証依頼を受信したホストコンピュータ7は、取引情報に添付された口座番号をもとに保有している顧客情報を検索し、該当する顧客情報の口座残高と取引情報の出金金額とを比較して取引が可能であることを判定してその取引を認証し、顧客の口座残高から出金金額を減じて顧客情報を更新する。
そして、ホストコンピュータ7はその出金取引における取引内容や口座番号等で構成された取引履歴を作成し、履歴番号を付して記憶すると共に、取引許可の旨の可否情報に口座番号と履歴番号とを添付した取引可否通知を取引予約サーバー90に送信する。
【0048】
なお、取引認証依頼を受信したホストコンピュータ7が、顧客情報の口座残高が不足している等により取引が不可であると判定したときは、取引不可の旨の可否情報に口座番号を添付した取引可否通知を取引予約サーバー90に送信する。
SB4、取引予約サーバー90の取引予約サーバー制御部91は、取引予約サーバー通信手段92によって受信した取引可否通知の口座番号から取引予約サーバー記憶部93の予約情報データベース94の指紋情報を検索し、該当する指紋情報に取引可否通知の履歴番号および可否情報を関連づけて記憶する。
【0049】
これにより取引予約処理が終了する。
次に図14に示す実施例2の現金自動取引システムの動作を示すフローチャートを用い、上述した取引予約をした顧客に対する取引処理の動作をSCで示すステップに従って説明する。
SC1、現金自動預払機6のATM制御部60は、表示操作部66に取引選択画面を表示して待機し、顧客が取引選択画面から予約取引の選択キーに触れると、ATM制御部60は位置信号検出部68によりこれを検出して表示操作部66に指の腹で指紋検出部69に触れることを促す案内画面を表示する。
【0050】
SC2、ATM制御部60は、指紋検出部69に触れた顧客の指の腹から指紋を検出し、検出した指紋から取得した指紋情報を取引予約サーバー90に送信する。
SC3、取引予約サーバー通信手段92によって指紋情報を受信した取引予約サーバー制御部91は、生体情報認証手段95によって受信した指紋情報から予約情報データベース94に記憶した指紋情報を検索して該当する指紋情報に関連する取引情報と可否情報を抽出し、抽出した取引情報と可否情報を現金自動預払機6に送信する。
【0051】
SC4、現金自動預払機6のATM制御部60は、ATM通信部61により受信した可否情報によって取引許可の旨を認識して受信した取引情報にもとづいて現金取扱部63によって現金を顧客に払出し、カード取扱部64によって取引明細票を発行して顧客との取引を終了する。
以上説明したように、本実施例では、顧客の携帯電話から送信された指紋情報と取引情報とをWebサーバーが受信し、受信した取引情報と指紋情報を取引予約サーバーに送信して記憶させておき、現金自動預払機が顧客から顧客確認のための指紋情報だけを取得してその指紋情報を取引予約サーバーに送ってその指紋情報に関連づけられた取引情報を取得し、この取引情報に従って取引処理を実行するので、取引予約後に顧客になりすました第3者によって不正に現金が引出されてしまうことを防止することができる。
【0052】
また、インターネット通信で携帯電話からWebサーバーに取引情報と指紋情報とを送信するため、携帯電話でインターネット通信を行える場所ならどこでも利用できるので、利便性を向上させることができる。
また、取引予約サーバーを設置して予約情報データベースに取引情報と指紋情報を記憶することにより、取引予約サーバーが現金自動預払機からの指紋情報に関連する取引情報と可否情報を検索して送信するまでの時間が上記実施例1の取引情報サーバーと生体情報サーバーを設置した場合に比べて短くなるので、これによって取引時間をさらに短縮することができる。
【実施例3】
【0053】
本実施例の現金自動取引システムの構成は上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の現金自動預払機6のATM記憶部62には、上記実施例1の取引処理実行プログラムに、指紋取得部69によって取得した指紋情報に顧客の取引カードの情報を添付するためのアプリケーションプログラムを加えた本実施例の取引処理実行プログラムを格納しており、ATM制御部60と取引処理実行プログラムとの各ステップにより現金自動預払機6のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0054】
上述した構成の作用について、図15に示す実施例3の取引予約処理を示すフローチャートを用い、SDで示すステップに従って説明する。
SD1、現金自動預払機6を利用するために列に並んでいる顧客は、携帯電話2の取引通信処理を実行するためのアプリケーションプログラムを起動し、携帯操作部25によって取引種別としての出金取引および出金金額を入力し、指の腹で携帯生体情報検出部23に触れて自身の指紋を入力する。この出金取引と出金金額、指紋の入力を受付けた携帯電話2の携帯制御部20は入力された出金取引と出金金額に携帯記憶部22に格納している口座番号を添付して取引情報を作成すると共に、携帯生体情報検出部23によって取得した指紋情報に格納している口座番号を添付する。
【0055】
SD2、顧客が携帯電話2を受信サーバー3に向けたまま、携帯操作部25で赤外線によるデータ通信のための操作を行うと、これを認識した携帯制御部20は携帯通信手段21によって取引情報と指紋情報、口座番号を受信サーバー3に送信する。
取引情報と指紋情報、口座番号を受信した受信サーバー3の受信サーバー制御部30は、取引IDを採番し、受信した取引情報と採番した取引IDとを取引情報サーバー4に送信すると共に、受信した指紋情報と口座番号、採番した取引IDを生体認証サーバー5に送信する。
【0056】
SD3、生体認証サーバー5の生体認証サーバー制御部50は、生体情報通信手段51によって受信した指紋情報に口座番号と取引IDとを関連させて生体認証サーバー記憶部52の生体情報データベース53に記憶する。
本実施例のステップSD4からSD5までの動作は上記実施例1のステップS4からステップS5までの動作と同様であるのでその説明を省略する。
【0057】
これにより取引予約処理が終了する。
次に図16に示す実施例3の現金自動取引システムの動作を示すフローチャートを用い、上述した取引予約をした顧客に対する取引処理の動作をSEで示すステップに従って説明する。
SE1、現金自動預払機6のATM制御部60は、表示操作部66に取引選択画面を表示して待機し、列に並んでいて順番が回ってきた顧客が表示されている取引選択画面から予約取引の選択キーに触れると、ATM制御部60は位置信号検出部68によりこれを検出して表示操作部66にカード取扱部64に顧客の取引カードの挿入および指の腹で指紋検出部69に触れることを促す案内画面を表示する。
【0058】
SE2、ATM制御部60は、カード取扱部64によって挿入された取引カードから顧客の口座番号を読み取り、指紋検出部69に触れた顧客の指の腹から指紋を検出してその指紋情報を取得し、読み取った口座番号と取得した指紋情報とを生体認証サーバー5に送信する。
SE3、生体情報通信手段51によって口座番号と指紋情報とを受信した生体認証サーバー制御部50は、受信した口座番号から生体情報データベース53に記憶した口座番号を検索し、該当する口座番号に関連する指紋情報を抽出し、生体情報認証手段54によって抽出した指紋情報と受信した指紋情報とを比較して一致することを確認して認証し、抽出した指紋情報に関連する取引IDを現金自動預払機6に送信する。
【0059】
本実施例のステップSE4からステップSE6までの動作は上記実施例1のステップSA4からSA6までの動作と同様であるのでその説明を省略する。
以上説明したように、本実施例では、実施例1と同様の効果に加えて、生体認証サーバーに指紋情報と口座番号とを記憶させ、現金自動預払機で取得した指紋情報と口座番号を生体認証サーバーに送り、生体認証サーバーが顧客確認のために受信した指紋情報と口座番号が記憶した指紋情報と口座番号と一致するかを判定するようにしたので、取引予約前に顧客が携帯電話を紛失しても、現金自動預払機で口座番号が取得できないと取引を行なえないため、第3者がその携帯電話を拾って不正に現金を引出してしまうことを防止することができる。
【0060】
また、上記実施例1と同様に顧客確認のために生体情報を用いているので、取引予約後に顧客になりすました第3者によって不正に現金が引出されてしまうことを防止することができる。
【実施例4】
【0061】
本実施例の現金自動取引システム1の構成は上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
なお、上記実施例1と同様の部分は同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の取引情報サーバー4の取引情報サーバー記憶部42は、上記実施例1の取引情報業務処理実行プログラムに、取引情報データベース43に取引情報を記憶しておく制限時間(例えば、20分間)と、取引情報を取引情報データベース43に記憶してからの時間を計測するためのアプリケーションプログラムとを加えた本実施例の取引情報業務処理実行プログラムが格納されており、取引情報サーバー制御部40と取引情報業務処理実行プログラムとの各ステップにより取引情報サーバー4のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0062】
本実施例の生体認証サーバー5の生体認証サーバー記憶部52は、上記実施例1の生体情報処理実行プログラムに、生体情報データベース53に指紋情報を記憶しておく制限時間(例えば、20分間)と、指紋情報を生体情報データベース53に記憶してからの時間を計測するためのアプリケーションプログラムとを加えた本実施例の生体情報処理実行プログラムが格納されており、生体認証サーバー制御部50と生体情報処理実行プログラムとの各ステップにより生体認証サーバー5のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0063】
上述した構成の作用について、図17に示す実施例4の取引予約処理を示すフローチャートを用い、SFで示すステップに従って説明する。
本実施例のステップSF1からステップSF5までの動作は上記実施例1のステップS1からS5までの動作と同様であるのでその説明を省略する。
次に図18に示す実施例4の生体認証サーバーの動作を示すフローチャートを用い、SGで示すステップに従って顧客が来店しなかったときの生体認証サーバー5の動作について説明する。
【0064】
SG1、生体認証サーバー5の生体認証サーバー制御部50は、生体認証サーバー記憶部52の生体情報データベース53に指紋情報を記憶してからの時間の計測を開始する。
SG2、生体認証サーバー制御部50は、計測している時間と生体認証サーバー記憶部52に格納している制限時間とを比較し、計測している時間が制限時間に達したときに現金自動預払機6から指紋情報を受信していないと判定し、つまり取引予約をした顧客が制限時間内に現金自動預払機6でその取引を行っていないと判定して生体認証サーバー記憶部52の生体情報データベース53から該当する指紋情報を消去する。
【0065】
次に上記の生体認証サーバー5の動作と同時に進行する顧客が来店しなかったときの取引情報サーバー4の動作を、図19に示す実施例4の取引情報サーバーの動作を示すフローチャートを用い、SHで示すステップに従って説明する。
SH1、取引情報サーバー4の取引情報サーバー制御部40は、取引情報サーバー記憶部42の取引情報データベース43に取引情報を記憶してからの時間の計測を開始する。
【0066】
SH2、取引情報サーバー制御部40は、計測している時間と取引情報サーバー記憶部42に格納している制限時間とを比較し、計測している時間が制限時間に達したときに現金自動預払機6から取引IDを受信していないと判定し、つまり取引予約をした顧客が制限時間内に現金自動預払機6でその取引を行っていないと判定してホストコンピュータ7との間で取引取消処理を実行する。
【0067】
つまり、取引情報サーバー制御部40は取引情報サーバー記憶部42の取引情報データベース43から記憶してからの時間が制限時間を過ぎた取引情報を抽出し、抽出した取引情報に関連する履歴番号を読み出し、取引情報通信手段41によって読み出した履歴番号をホストコンピュータ7に送信する。
ホストコンピュータ7は、受信した履歴番号をもとに記憶した履歴番号を検索し、該当する履歴番号に関連する取引履歴を抽出し、抽出した取引履歴の口座番号と取引内容を認識し、認識した口座番号をもとに保有している顧客情報の口座残高を読み出す。
【0068】
そして、ホストコンピュータ7は読み出した口座残高に認識した取引内容の出金金額を加えて顧客の口座残高を取引予約処理前の状態に戻し、取引情報サーバー4に取引取消処理完了通知を送信する。
取引情報通信手段41によって取引中止処理完了通知を受信した取引情報サーバー制御部40は、取引情報サーバー記憶部42の取引情報データベース43から該当する取引情報を消去する。
【0069】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、取引情報サーバーおよび生体認証サーバーが取引情報または指紋情報を記憶する制限時間を格納し、取引情報または指紋情報を記憶してからの時間を計測してその時間が制限時間に達しても顧客が現金自動預払機で取引を行っていない場合に取引情報および指紋情報を消去するので、自身の指紋情報が金融機関に記憶されて残ることに不快に感じる顧客にとって安心感を与えることができる。
【0070】
また、ホストコンピュータが管理する顧客の口座残高を取引前の状態に戻すのは、既存のホストコンピュータの機能で実行することができるので、ホストコンピュータの機能を変更すること無く本実施例の現金自動取引システムを利用することができる。
なお、上記実施例1、実施例3および実施例4においては、金融機関の店舗に生体認証サーバーと取引情報サーバーとを設置するとして説明したが、現金自動預払機を1台しか置いていない金融機関の店舗の場合、現金自動預払機と生体認証サーバーとを1つにまとめてATM記憶部に生体情報データベースを設けるようにし、顧客が携帯電話で送信した指紋情報と現金自動預払機の生体情報取得部で取得した指紋情報とを現金自動預払機が確認するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施例1、実施例3および実施例4においては、生体認証サーバーと取引情報サーバーとを用いた現金自動取引システムに適用した場合について説明したが、生体認証サーバーおよび取引情報サーバーを上記実施例2に示す取引予約サーバーに替えて用いるようにしてもよい。
なお、上記各実施例においては、生体情報を指紋情報として説明したが、携帯電話と現金自動預払機に顧客の目を撮影するカメラや静脈を読み取るための生体情報検出部、顧客の声を取得するためのマイク等を設け、顧客の目や虹彩の画像データや静脈紋、声紋等を生体情報として適用してもよい。
【0072】
また、上記各実施例においては出金取引の場合について説明したが、振込取引等のその他の取引の場合に適用しても同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施例においては、携帯端末としての携帯電話を適用した場合について説明したが、PHS(Personal Handy phone System)やモバイル端末等に適用した場合も同様の効果を得ることができる。
【0073】
また、上記各実施例においては、現金自動預払機に適用して説明したが、自動契約機等の自動取引装置に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施例1の現金自動取引システムを示すブロック図
【図2】実施例1の携帯電話を示すブロック図
【図3】実施例1の受信サーバーを示すブロック図
【図4】実施例1の取引情報サーバーを示すブロック図
【図5】実施例1の生体認証サーバーを示すブロック図
【図6】実施例1の現金自動預払機を示すブロック図
【図7】実施例1の取引予約処理を示すフローチャート
【図8】実施例1の現金自動取引システムの動作を示すフローチャート
【図9】実施例2の携帯電話を示すブロック図
【図10】実施例2の現金自動取引システムを示すブロック図
【図11】実施例2のWebサーバーを示すブロック図
【図12】実施例2の取引予約サーバーを示すブロック図
【図13】実施例2の取引予約処理を示すフローチャート
【図14】実施例2の現金自動取引システムの動作を示すフローチャート
【図15】実施例3の取引予約処理を示すフローチャート
【図16】実施例3の現金自動取引システムの動作を示すフローチャート
【図17】実施例4の取引予約処理を示すフローチャート
【図18】実施例4の取引予約処理の動作を示すフローチャート
【図19】実施例4の現金自動取引システムの動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0075】
1 現金自動取引システム
2 携帯端末
3 受信サーバー
4 取引情報サーバー
5 生体認証サーバー
6 現金自動預払機
7 ホストコンピュータ
20 携帯制御部
21 携帯通信手段
22 携帯記憶部
23 携帯生体情報検出部
24 携帯表示部
25 携帯操作部
26 インターネット通信手段
30 受信サーバー制御部
31 受信サーバー通信手段
32 受信サーバー記憶部
40 取引情報サーバー制御部
41 取引情報通信手段
42 取引情報サーバー記憶部
43 取引情報データベース
50 生体認証サーバー制御部
51 生体情報通信手段
52 生体認証サーバー記憶部
53 生体情報データベース
54、95 生体情報認証手段
60 ATM制御部
61 ATM通信部
62 ATM記憶部
63 現金取扱部
64 カード取扱部
65 通帳取扱部
66 表示操作部
67 表示部
68 位置信号検出部
69 指紋取得部
80 Webサーバー
81 Webサーバー制御部
82 Web通信手段
83 Webサーバー記憶部
90 取引予約サーバー
91 取引予約サーバー制御部
92 取引予約サーバー通信手段
93 取引予約サーバー記憶部
94 予約情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の携帯端末と、該携帯端末と通信可能に構成された受信サーバーと、顧客との取引を実行する自動取引装置と、前記受信サーバーおよび前記自動取引装置と接続する生体認証サーバーと、前記受信サーバーおよび前記自動取引装置と接続する取引情報サーバーとを備え、
前記携帯端末は、前記取引の取引情報を入力する手段と、
顧客の身体的特徴を示す生体情報を取得する手段と、
前記入力された取引情報と取得した生体情報とを前記受信サーバーへ送信する手段とを備え、
前記受信サーバーは、前記携帯端末からの前記取引情報と生体情報とを受信する手段と、
前記取引情報と生体情報とを受信したときに、取引IDを採番する手段と、
該採番した取引IDと前記受信した取引情報とを前記取引情報サーバーに送信する手段と、
前記採番した取引IDと前記受信した生体情報とを前記生体認証サーバーに送信する手段とを備え、
前記生体認証サーバーは、前記受信サーバーからの前記生体情報と取引IDとを受信する手段と、
該受信した生体情報と取引IDとを関連させて記憶する手段と、
前記自動取引装置からの生体情報を受信する手段と、
該受信した生体情報をもとに前記記憶した生体情報を検索して該当する生体情報を抽出する手段と、
該抽出した生体情報に関連する取引IDを前記自動取引装置に送信する手段とを備え、
前記取引情報サーバーは、前記受信サーバーからの前記取引情報と取引IDとを受信する手段と、
該受信した取引情報と取引IDとを関連させて記憶する手段と、
前記受信した取引情報をもとに、その取引の実行の可否情報を取得する手段と、
該取得した可否情報を前記取引IDに関連させて記憶する手段と、
前記自動取引装置からの取引IDを受信する手段と、
該受信した取引IDをもとに前記記憶した取引IDを検索して該当する取引IDを抽出する手段と、
該抽出した取引IDに関連する取引情報と可否情報とを前記自動取引装置に送信する手段とを備え、
前記自動取引装置は、顧客の生体情報を取得する手段と、
該取得した生体情報を前記生体認証サーバーに送信する手段と、
前記生体認証サーバーからの前記取引IDを受信する手段と、
該受信した取引IDを前記取引情報サーバーに送信する手段と、
前記取引情報サーバーからの前記取引情報と可否情報とを受信する手段とを備えることを特徴とする現金自動取引システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記携帯端末は、顧客の取引カードの情報を格納する手段と、
該格納した取引カードの情報を前記取得した生体情報に添付して前記受信サーバーへ送信する手段とを備え、
前記受信サーバーは、前記携帯端末からの前記取引カードの情報を受信する手段と、
該受信した取引カードの情報を前記生体認証サーバーに送信する手段とを備え、
前記生体認証サーバーは、前記受信サーバーからの前記取引カードの情報を受信する手段と
該受信した取引カードの情報を前記受信サーバーから受信した生体情報と関連させて記憶する手段と、
前記自動取引装置からの生体情報に添付された取引カードの情報を受信する手段と、
該受信した取引カードの情報をもとに前記記憶した取引カードの情報を検索して該当する取引カードの情報に関連する生体情報を抽出する手段とを備え、
前記自動取引装置は、顧客が挿入した取引カードの情報を読み取る手段と、
該読み取った取引カードの情報を前記取得した生体情報に添付して前記生体認証サーバーに送信する手段とを備えることを特徴とする現金自動取引システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記生体認証サーバーは、前記生体情報を記憶する制限時間を格納する手段と、
前記生体情報を記憶してからの時間を計測する手段と、
該計測している時間と前記制限時間とを比較する手段と、
該比較の結果、前記計測した時間が前記制限時間に達したとき、前記生体情報を消去する手段とを備え、
前記取引情報サーバーは、前記取引情報を記憶する制限時間を格納する手段と、
前記取引情報を記憶してからの時間を計測する手段と、
該計測した時間と前記制限時間とを比較する手段と、
該比較の結果、前記計測した時間が前記制限時間に達したとき、前記取引情報を消去する手段とを備えることを特徴とする現金自動取引システム。
【請求項4】
顧客の携帯端末と、該携帯端末と通信可能に構成された受信サーバーと、顧客との取引を実行する自動取引装置と、前記受信サーバーおよび前記自動取引装置と接続する取引予約サーバーとを備え、
前記携帯端末は、前記取引の取引情報を入力する手段と、
顧客の身体的特徴を示す生体情報を取得する手段と、
前記入力された取引情報と取得した生体情報とを前記受信サーバーへ送信する手段とを備え、
前記受信サーバーは、前記携帯端末からの前記取引情報と生体情報とを受信する手段と、
該受信した取引情報と生体情報とを前記取引予約サーバーに送信する手段とを備え、
前記取引予約サーバーは、前記受信サーバーからの前記取引情報と生体情報とを受信する手段と、
該受信した取引情報と生体情報とを関連させて記憶する手段と、
前記受信した取引情報をもとに、その取引の実行の可否情報を取得する手段と、
該取得した可否情報を前記生体情報に関連させて記憶する手段と、
前記自動取引装置からの生体情報を受信する手段と、
該受信した生体情報をもとに前記記憶した生体情報を検索して該当する生体情報を抽出する手段と、
該抽出した生体情報に関連する前記取引情報と可否情報とを前記自動取引装置に送信する手段とを備え、
前記自動取引装置は、顧客の生体情報を取得する手段と、
該取得した生体情報を前記取引予約サーバーに送信する手段と、
前記取引予約サーバーからの前記取引情報と可否情報とを受信する手段とを備えることを特徴とする現金自動取引システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記携帯端末は、顧客の取引カードの情報を格納する手段と、
該格納した取引カードの情報を前記入力された取引情報と前記取得した生体情報とに添付して前記受信サーバーへ送信する手段とを備え、
前記受信サーバーは、前記携帯端末からの前記取引カードの情報を受信する手段と、
該受信した取引カードの情報を前記取引予約サーバーに送信する手段とを備え、
前記取引予約サーバーは、前記受信サーバーからの前記取引カードの情報を受信する手段と、
該受信した取引カードの情報を前記受信サーバーから受信した生体情報と取引情報とに関連させて記憶する手段と、
前記自動取引装置からの生体情報に添付された取引カードの情報を受信する手段と、
該受信した取引カードの情報をもとに前記記憶した取引カードの情報を検索して該当する取引カードに関連する生体情報を抽出する手段とを備え、
前記自動取引装置は、顧客が挿入した取引カードの情報を読み取る手段と、
該読み取った取引カードの情報を前記取得した生体情報に添付して前記取引予約サーバーに送信する手段とを備えることを特徴とする現金自動取引システム。
【請求項6】
請求項4または請求項5において、
前記取引予約サーバーは、前記生体情報と前記取引情報とを記憶する制限時間を格納する手段と、
前記生体情報と取引情報とを記憶してからの時間を計測する手段と、
該計測している時間と前記制限時間とを比較する手段と、
該比較の結果、前記計測した時間が前記制限時間に達したとき、前記生体情報と取引情報を消去する手段とを備えることを特徴とする現金自動取引システム。
【請求項7】
請求項1から請求項5または請求項6において、
前記受信サーバーを、インターネット通信により前記携帯端末と通信を行うWebサーバーとしたことを特徴とする現金自動取引システム。
【請求項8】
顧客の身体的特徴を示す生体情報と取引IDとを関連させて記憶する生体認証サーバーと、顧客の取引情報と該取引情報の取引実行の可否情報と取引IDとを関連させて記憶する取引情報サーバーとに接続し、顧客との取引を実行する自動取引装置において、
顧客の生体情報を取得する手段と、
該取得した生体情報を前記生体認証サーバーに送って、前記取引IDを取得する手段と、
該取得した取引IDを前記取引情報サーバーに送って、前記取引情報と可否情報を取得する手段とを備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項9】
請求項8において、
顧客が挿入した取引カードの情報を読み取る手段と、
該読み取った取引カードの情報を前記取得した生体情報に添付して、前記関連させて記憶している内容に取引カードの情報を加えた生体認証サーバーに送る手段とを備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項10】
顧客の身体的特徴を示す生体情報と顧客の取引情報と該取引情報の取引実行の可否情報とを関連させて記憶した取引予約サーバーに接続し、顧客との取引を実行する自動取引装置において、
顧客の生体情報を取得する手段と、
該取得した生体情報を前記取引予約サーバーに送って、前記取引情報と可否情報とを取得する手段とを備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項11】
請求項10において、
顧客が挿入した取引カードの情報を読み取る手段と、
該読み取った取引カードの情報を前記取得した生体情報に添付して、前記関連させて記憶している内容に取引カードの情報を加えた取引予約サーバーに送る手段とを備えることを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−52687(P2007−52687A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−238189(P2005−238189)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】