説明

球根類の移植機

【課題】従来の球根類の移植機は、周回動作する大型の移送ベルトによる移送装置で球根類を搬送して移植する構成で、機体が大型で複雑な構成となり、機体の操作性及び作業性に未だ課題があった。
【解決手段】各収容部6bに入れられた種芋等の球根類Aを所定位置まで移送する移送装置6と、該移送装置6から球根類を受けて圃場に植付ける植付装置7とを圃場走行可能な機体に装備した球根類の移植機において、該移送装置6の周囲の近くに複数の球根類を貯留する貯留部9を設けた球根類の移植機とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種芋を含む球根類を圃場に順次植付ける球根類の移植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業者によって投入された球根類を圃場に順次植付ける球根類の移植機が知られている。例えば、特許文献1に示される球根類の移植機は、周回動作する移送ベルトによる移送装置を備え、その移送ベルト上に球根類を投入することにより、植付ホッパ部に移送された被投入物が圃場に植付けられるように構成され、簡易な周回移送機構によって種芋等の球根類を圃場に順次植付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−25309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記構成の球根類の移植機は、周回動作する大型の移送ベルトによる移送装置で球根類を搬送して移植する構成で、機体が大型で複雑な構成となり、機体の操作性及び作業性に課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、各収容部6bに入れられた種芋等の球根類Aを所定位置まで移送する移送装置6と、該移送装置6から球根類を受けて圃場に植付ける植付装置7とを圃場走行可能な機体に装備した球根類の移植機において、該移送装置6の周囲の近くに複数の球根類を貯留する貯留部9を設けた球根類の移植機とした。
【0006】
従って、請求項1に記載の発明は、移送装置6の周囲の近くに設けた貯留部9から球根類Aを取出して、作業者は容易に且つ効率良く移送装置6の各収容部6bに入れることができ、各収容部6bに入れられた球根類Aは移送装置6にて植付装置7まで移送されて、植付装置7に供給される。そして、植付装置7はその供給された球根類Aを圃場に植付ける。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、植付装置7の上方位置に開口された落下穴21aを設けた固定円板21、周囲の円筒状周壁部22aと中央の円柱状部22bと隔壁22c…により区切られた複数個の収容部6bとを有する回転部22、及び該回転部22を固定円板21上にて所定速度で回転作動させる駆動部23からなる回転テーブル装置にて移送装置6を構成した請求項1記載の球根類の移植機とした。
【0008】
従って、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の作用に加えて、球根類Aが収納されたコンテナ9bを支持枠9aに2個並べて載置し、作業者は機体の左側方位置即ち回転テーブル装置6の左側方位置を歩きながら貯留部9から球根類Aを取出して回転テーブル装置6の各収容部6b…内に入れると、回転部22が固定円板21上で回転し各収容部6b…内に入れられた球根類Aは隔壁22cにより押されて固定円板21上を移動し、球根類Aが固定円板21の落下穴21aから植付装置7に落下供給され、植付装置7によって圃場に順次植付けられる。よって、回転テーブル装置にて移送装置6を簡潔に構成できて、安価で簡潔な構成であるから故障も少なくて良好な移植作業が行える球根類の移植機を得ることができる。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、機体平面視で貯留部9を回転テーブル装置6の一部と重複する上方位置で斜めに横断する前後傾斜した状態に配置した請求項2記載の球根類の移植機とした。
【0010】
従って、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明の作用に加えて、作業者は機体左側方の回転テーブル装置6左側方位置を歩きながら貯留部9から球根類Aを取出して回転テーブル装置6の各収容部6b…内に入れる作業を行なう際に、貯留部9が回転テーブル装置6の上方位置を斜めに横断する位置に前後傾斜した状態で配置されていることより、作業者は容易に貯留部9から球根類Aを取出してそのまま近くの下方位置にある回転テーブル装置6の各収容部6b…内に入れることができ、作業が容易で且つ効率良く行え、移植作業が容易で且つ能率良く行える。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、機体平面視で貯留部9を移送装置6の後部と重複する上方位置に配置し、作業座席40を移送装置6の前方に配置し、作業座席40の下方位置で機体の上部にステップ42を設け、機体に搭載したエンジン2の動力を植付装置7や移送装置6に伝動する主伝動ケース2aの後部を機体の左右一側方に偏倚して設けると共に、前記移送装置6及び作業座席40を機体の左右他側方に偏倚して設けた請求項1又は請求項2記載の球根類の移植機とした。
【0012】
従って、請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、植付装置7を避けて機体の左右一側方に偏倚して配置した主伝動ケース2aの後部が位置する側と反対側の機体左右他側方に偏倚した位置に作業座席40を配置しているので、作業座席40周囲の作業空間を広く取ることができて、作業性が良くて効率的な移植作業が行えると共に、主伝動ケース2aの後部と作業座席40が機体左右中心から左右に振り分けて配置されることにより、機体の左右バランスが向上し、良好な走行性能を発揮することができて、適正な移植作業が行える。また、機体平面視で貯留部9を移送装置6の後部と重複する上方位置に配置し、移送装置6と作業座席40を機体左右方向で同じ側に偏倚した位置に配置し、作業座席40の下方位置で機体の上部にステップ42を設けているので、作業者は該ステップ42に両足を置いて作業座席40に機体後部を向いて着座し、貯留部9から球根類Aを取出して移送装置6の各収容部6b…内に入れる作業を行なう際に、貯留部9が移送装置6の後部上方位置を左右に横断する位置に配置されていることより、作業者は容易に貯留部9から球根類Aを取出してそのまま近くの下方位置にある移送装置6の各収容部6b…内に入れることができ、作業が容易で且つ効率良く行え、移植作業が容易で且つ能率良く行える。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、球根類Aを圃場に移植する植付装置7の植付体7bを前後方向又は左右方向に開閉する構成とし、該植付体7bの開閉する側の壁面に開口7cを設けると共に、該植付体7b内部に弾性変形する隙間のある移植物案内ガイド7dを植付体7bの下部近くまで設けた請求項1乃至請求項4記載の球根類の移植機とした。
【0014】
従って、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4に記載の発明の作用に加えて、植付体7bの開閉する側の壁面に開口7cを設けているので、植付体7bが圃場中に入って開く時に土の抵抗が少なくてスムーズに開き、また、開く時に該開口7cから土が植付体7b内に入り込んで植付ける球根類Aの上に被さるようになり、植付装置7が上動する際に球根類Aを引っ掛けて持ち上げるような事態を回避でき、然も、覆土も球根類Aの上に土があるので容易に且つ適正に行えて、良好な球根類Aの移植作業が行える。
【0015】
また、植付体7b内には弾性変形する隙間のある移植物案内ガイド7dを植付体7bの下部近くまで設けているので、球根類Aは植付体7bの下端部まで適正に落下案内され、然も、植付体7bの下端部に収まった球根類Aは移植物案内ガイド7dの下端部にて上動することが防止されて移植時まで植付体7b下端の適正位置に保持されて適正に移植される。また、移植物案内ガイド7dには隙間があるので、植付体7bが開く時に開口7cから植付体7b内に入り込んでくる土は植付ける球根類Aの上に適正に被さり、前記のように植付装置7が上動する際に球根類Aを引っ掛けて持ち上げるような事態を回避でき、然も、覆土も球根類Aの上に土があるので容易に且つ適正に行えて、良好な球根類Aの移植作業が行える。
【発明の効果】
【0016】
この発明は、小型の簡潔な構成で球根類の移植機を構成できて、機体の操作性及び作業性が良く、課題を適正に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施例を示す移植機の側面図である。
【図2】第1実施例を示す移植機の平面図である。
【図3】回転テーブル装置の要部拡大側面図である。
【図4】覆土鎮圧装置の要部拡大側面図(a)およびその背面図(b)である。
【図5】植付装置の植付ホッパ部の斜視図である。
【図6】植付装置の植付ホッパ部の側面図である。
【図7】植付装置の植付ホッパ部の他の例を示す側面図である。
【図8】第2実施例を示す移植機の平面図である。
【図9】第3実施例を示す移植機の平面図である。
【図10】第4実施例を示す移植機の平面図である。
【図11】第4実施例を示す移植機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について、以下に、図面を参照しつつ説明する。
先ず、この発明の第1実施例を図1乃至図6に示す歩行型移植機について詳細に説明する。
【0019】
図1は発明適用構成例を示す移植機の平面図、図2はその側面図である。
移植機1は、一体構成のエンジン2及び主伝動ケース2a、機体前部を案内支持する左右の案内輪4,4、左右の伝動支持部5a,5aを介して機体高さと左右高さを調整可能に駆動支持する左右の駆動輪5,5、主伝動ケース2aの後部から一体的に延びるハンドルフレーム3、その後端に一体形成した歩行操縦用の操縦ハンドル3よりなる走行部1aと、ジャガイモ等の種芋やラッキョウ等を含む球根類Aを圃場に植付けるための植付部1bとから構成される。尚、移植機1のエンジン2を設けた側を機体前部、操縦ハンドル3側を機体後部と謂い、操縦ハンドル3側の後部に立ってエンジン2側の前部に向かって左側を機体の左側、右側を機体の右側と謂う。
【0020】
植付部1bは、球根類Aを受けて周回軌道6a上を移送する8個に区分けされた収容部6b…を備える移送装置である回転テーブル装置6、植付け動作する植付ホッパ部7aを備える植付装置7、植付装置7の後方の覆土鎮圧輪8,8等からなり、また、回転テーブル装置6の各収容部6b…に作業者が投入する球根類Aを貯留する貯留部9を設ける。
【0021】
これら植付部1bは、主伝動ケース2aから伝動回転軸2bを介して回転テーブル装置6と植付装置7とを走行部1aと同期して駆動することにより、貯留部9内の球根類Aを作業者が取出して回転テーブル装置6の各収容部6b…に1個ずつ入れると、各収容部6b…に入れられた球根類Aは周回軌道6a上を移送されて植付装置7上方位置に開口された落下穴21aから植付装置7内に落下供給されて、植付装置7によって圃場に順次植付けを行うことができる。
【0022】
詳細に説明すると、貯留部9は、回転テーブル装置6の上方位置を斜めに横断する位置に前後傾斜した状態で配置され、具体的には、主伝動ケース2aの上部に基部が固定された鉄製の杆体よりなる支持枠9aの上部に2個の一般的な樹脂製コンテナ9bを並列載置して貯留部9を構成しており、2個の樹脂製コンテナ9b内にジャガイモ等の種芋やラッキョウ等を含む球根類Aが収納載置されている。尚、コンテナ9b内の球根類Aが無くなれば、球根類Aが収納された新しいコンテナ9bを支持枠9aに積み替えて移植作業を継続する。
【0023】
そして、上記2個のコンテナ9bよりなる貯留部9は、回転テーブル装置6の上方位置を斜めに横断する位置(回転テーブル装置6の8個の収容部6b…の内、半分が貯留部9の下方に位置するような位置)に前後傾斜した状態で配置されているので、作業者は機体の左側方位置(回転テーブル装置6の左側方位置)を歩きながら貯留部9から球根類Aを取出して回転テーブル装置6の各収容部6b…内に入れる作業を行なうが、この時、貯留部9が回転テーブル装置6の上方位置を斜めに横断する位置に前後傾斜した状態で配置されていることより、作業者は容易に貯留部9から球根類Aを取出してそのまま近くの下方位置にある回転テーブル装置6の各収容部6b…内に入れることができ、作業が容易で且つ効率良く行え、移植作業が容易で且つ能率良く行える。
【0024】
回転テーブル装置6は、植付装置7の上方位置に開口された落下穴21aを設けた固定円板21、周囲の円筒状周壁部22aと中央の円柱状部22bと隔壁22c…により区切られた8個の収容部6bとを有する回転部22、及び該回転部22を固定円板21上で伝動回転軸2bの回転動力にて所定速度で回転作動させる中心支軸23とによって構成されている。
【0025】
尚、伝動回転軸2bの回転動力にて所定速度で回転する中心支軸23による回転部22の回転作動は植付ホッパ部7aの昇降動作と対応させており、即ち、回転部22が回転作動して固定円板21の落下穴21aから球根類Aが落下するタイミングを植付ホッパ部7aが最も上昇した位置にある時に同期させている。また、固定円板21の上面には表面が滑らかな樹脂製シートが貼り付けられており、載置される球根類Aが滑りやすい構成となっている。また、固定円板21の落下穴21aの下面側周囲には円筒状のガイドパイプ24が設けられており、落下穴21aから落下する球根類Aを適正に上昇した位置にある時の植付ホッパ部7a内に適正に落下供給できるようにしている。
【0026】
従って、球根類Aが収納されたコンテナ9bを支持枠9aに2個並べて載置し、作業者は機体の左側方位置即ち回転テーブル装置6の左側方位置を歩きながら貯留部9のコンテナ9bから球根類Aを取出して回転テーブル装置6の各収容部6b…内に入れると、回転部22が固定円板21上で回転し各収容部6b…内に入れられた球根類Aは隔壁22cにより押されて固定円板21上を周回軌道6aに沿って移動し、球根類Aが固定円板21の落下穴21aから最も上昇した位置にある時の植付ホッパ部7a内に落下供給され、植付装置7によって圃場に順次植付けられる。
【0027】
次に、覆土鎮圧装置については、図4の要部拡大側面図(a)およびその背面図(b)に示すように、鎮圧輪支持フレーム31に植付装置7の植付ホッパ部7aの前側から作用する鎮圧輪アーム32を軸支し、植付装置7との干渉なしに覆土鎮圧輪33、33aを片持ちに構成する。鎮圧輪アーム32により、植付装置7の植付ホッパ部7aが下降すると覆土鎮圧輪33、33aが上がり、植付ホッパ部7aが上昇すると覆土圧を調整可能なスプリング34で覆土鎮圧輪33、33aが作用するように構成する。尚、覆土鎮圧輪33の両サイドに鎮圧輪33a、33aを装備し、植付ホッパ部7aが作用しない時は、前鎮圧として畝面を固める。両脇の鎮圧輪33a、33aで植付け位置の両肩から覆土することで、植付け姿勢に影響しにくくする。中央の鎮圧輪33で前鎮圧する。
【0028】
次に、植付装置7の植付ホッパ部7aについては、図5の斜視図及び図6の側面図に示すように、下端の前後の植付体7bが機体進行方向に沿って前後に開く一般的な構成であるが、該前後の植付体7bの各前後壁には上部から下部にかけて大きな開口7cが設けられている。また、前後の植付体7b内には開閉しない上部筒部から弾性変形する樹脂製の下端が窄まった筒状の移植物案内ガイド7dが前後の植付体7bの下部近くまで設けられており(移植物案内ガイド7dは、その下端と前後の植付体7bの下端との間に移植物である球根類Aが丁度入る程度の長さになっている)、該移植物案内ガイド7dは隙間のある簾状に形成されている。
【0029】
従って、前後の植付体7bの各前後壁には上部から下部にかけて大きな開口7cが設けられているので、前後の植付体7bが圃場中に入って開く時に土の抵抗が少なくてスムーズに開き、また、開く時に該開口7cから土が前後の植付体7b内に入り込んで植付ける球根類Aの上に被さるようになり、植付装置7が上動する際に球根類Aを引っ掛けて持ち上げるような事態を回避でき、然も、覆土も球根類Aの上に土があるので容易に且つ適正に行えて、良好な球根類Aの移植作業が行える。
【0030】
また、前後の植付体7b内には弾性変形する樹脂製の下端が窄まった筒状の移植物案内ガイド7dが前後の植付体7bの下部近くまで設けられているので、球根類Aは前後の植付体7bの下端部まで適正に落下案内され、然も、植付体7bの下端部に収まった球根類Aは下端が窄まった筒状の移植物案内ガイド7dの下端部にて上動することが防止されて移植時まで植付体7b下端の適正位置に保持されて適正に移植される。また、移植物案内ガイド7dは隙間のある簾状に形成されているので、前後の植付体7bが開く時に開口7cから前後の植付体7b内に入り込んでくる土は植付ける球根類Aの上に適正に被さり、前記のように植付装置7が上動する際に球根類Aを引っ掛けて持ち上げるような事態を回避でき、然も、覆土も球根類Aの上に土があるので容易に且つ適正に行えて、良好な球根類Aの移植作業が行える。
【0031】
尚、上例では前後の植付体7bが機体進行方向に沿って前後に開く例を示したが、左右の植付体7bが機体進行方向に対して左右に開く構成とした場合には、左右の植付体7bの各左右側壁に開口7cを同様に開ければ、左右の植付体7bが圃場中に入って開く時に土の抵抗が少なくてスムーズに開き、また、開く時に該開口7cから土が左右の植付体7b内に入り込んで植付ける球根類Aの上に被さるようになり、植付装置7が上動する際に球根類Aを引っ掛けて持ち上げるような事態を回避でき、然も、覆土も球根類Aの上に土があるので容易に且つ適正に行えて、良好な球根類Aの移植作業が行える。
【0032】
図7は植付装置7の前後の植付体の他の実施例を示し、前植付体7’と後植付体7’’を非対称形状にし、機体進行方向で前側で先行して圃場中に入る前植付体7’の下端部の左右幅を狭く構成して、植付装置7が受ける土抵抗を少なくしてスムーズに移植作業が行えるようにし、逆に、機体進行方向で後側の後植付体7’’の下端部の左右幅を広く構成して、球根類Aが前後の植付体7’・7’’下端内部に納まるように構成している。また、前後の植付体7’・7’’下端内面には弾性を有する合成ゴム7gを貼り付けてあり、前後の植付体7’・7’’内に落下供給された球根類Aが弾まないように構成しており、更に、前後の植付体7’・7’’内に落下供給された球根類Aの上部には合成ゴム若しくは合成樹脂よりなる簾状体7fを設けて球根類Aを所定の場所に案内し、前後の植付体7’・7’’内に落下供給された球根類Aが上方に弾むのを押える作用をする。従って、球根類Aは前後の植付体7’・7’’下端内部の所定の位置に適正に納まり、適切な移植作業が行える。
【0033】
また、上例のように前後の植付体を機体進行方向に沿って前後に開く構成に代えて、後植付体を固定式とし、前植付体を円周方向に回転して球根類を開放して植付ける構成にすると、固定式の後植付体内面を落下供給される球根類の案内板として使用でき、また、前植付体を円周方向に回転して球根類を開放して植付けるので、圃場に植付ける球根類の進行方向前側が完全に開放された状態となり、良好適切な移植作業が行える。
【0034】
図8は移植機の第2実施例を示す平面図であり、乗用型移植機の例を示す。
即ち、作業座席40をエンジン2の後部及び主伝動ケース2aの前部上方位置に配置し、エンジン2を搭載し前部バンパーフレームを兼用したエンジンベースから上方に向けて設けた支柱41の上端部に該作業座席40を支持固定している。そして、該作業座席40は、平面視で機体左右中心から機体の左側に偏倚した位置に配置されている。これは、植付部1bを駆動する主伝動ケース2aの後部を植付装置7の駆動リンク機構を避けて機体右側に偏倚して配置しているから、該主伝動ケース2aの後部が位置する機体右側と反対側である機体左右中心から機体の左側に偏倚した位置に作業座席40を配置すると、作業座席40周囲の作業空間を広く取ることができて、作業性が良くて効率的な移植作業が行えると共に、主伝動ケース2aの後部と作業座席40が機体左右中心から左右に振り分けて配置されることにより、機体の左右バランスが向上し、良好な走行性能を発揮することができて、適正な移植作業が行える。尚、上例と同様に回転テーブル装置6も平面視で機体左右中心から機体の左側に偏倚した位置に配置されている。
【0035】
また、機体の右側にある主伝動ケース2aの後部に操作パネルを配置して、作業座席40に着座した作業者が操作する操作レバー43を配置しており、作業座席40に着座した作業者は右手で回転テーブル装置6へ球根類Aを入れる作業をしながら、左手で操作パネルの操作レバー43を操作して機械の操作(株間調節操作や植付深さ調節操作等の移植時の諸操作)を行えるので、作業性良く移植作業が行えて移植作業効率が良い。
【0036】
そして、上例と同様に2個のコンテナ9bを載置した貯留部9は、回転テーブル装置6の後部上方位置を左右に横断する位置(回転テーブル装置6の8個の収容部6b…の内、後半分が貯留部9の下方に位置するような位置)に左右方向に配置して、主伝動ケース2aの後部から一体的に延びるハンドルフレーム3の後部上部位置に固定した支持フレームで固定支持している。
【0037】
また、作業座席40の下方には走行部1aの上方を覆うステップ42が設けられている。移植作業時、作業者は該ステップ42に両足を置いて作業座席40に機体後部を向いて着座し、貯留部9から球根類Aを取出して回転テーブル装置6の各収容部6b…内に入れる作業を行なうが、この時、貯留部9が回転テーブル装置6の後部上方位置を左右に横断する位置に配置されていることより、作業者は容易に貯留部9から球根類Aを取出してそのまま近くの下方位置にある回転テーブル装置6の各収容部6b…内に入れることができ、作業が容易で且つ効率良く行え、移植作業が容易で且つ能率良く行える。特に、作業座席40と回転テーブル装置6を共に機体の左右方向で左側に配置したので、作業座席40に着座した作業者は容易な姿勢で右手で回転テーブル装置6の収容部6b…内に球根類Aを入れることができ、移植作業が容易に且つ効率良く行える。
【0038】
図9は移植機の第3実施例を示す平面図であり、乗用型移植機の他の例を示す。
即ち、作業座席40をエンジン2の後部及び主伝動ケース2aの前部上方位置に配置し、エンジン2を搭載し前部バンパーフレームを兼用したエンジンベースから上方に向けて設けた支柱41の上端部に該作業座席40を支持固定している。そして、該作業座席40は、平面視で機体左右中心線上に配置されている。一方、上例と同様に回転テーブル装置6は、平面視で機体左右中心から機体の左側に偏倚した位置に配置されている。
【0039】
また、作業座席40と回転テーブル装置6の間で作業座席40の座面及び回転テーブル装置6の上端よりも低い位置に操作パネルを配置して、作業座席40に着座した作業者が操作する操作レバー43を配置しており、作業座席40に着座した作業者は回転テーブル装置6へ球根類Aを入れる作業をしながら、操作パネルの操作レバー43を操作して機械の操作(株間調節操作や植付深さ調節操作等の移植時の諸操作)を行えるので、作業性良く移植作業が行えて移植作業効率が良い。
【0040】
そして、コンテナ9bを載置した貯留部9は、作業座席40の右側と前側に配置して、作業座席40の支柱41に支持させて設けている。
また、作業座席40の下方には走行部1aの上方を覆うステップ42が設けられている。移植作業時、作業者は該ステップ42に両足を置いて作業座席40に機体後部を向いて着座し、操縦座席40の右側に配置された貯留部9から左手で球根類Aを取出して、作業座席40に対して左側に偏倚して配置された回転テーブル装置6の各収容部6b…内に右手で入れる作業を行なうことより、作業者は容易に貯留部9から左手で球根類Aを取出して右手で回転テーブル装置6の各収容部6b…内に入れることができ、作業が容易で且つ効率良く行え、移植作業が容易で且つ能率良く行える。また、回転テーブル装置6の回転部22を機体平面視で反時計方向(イ)に回転するようにすると、作業者は更に球根類を右手で回転テーブル装置6の各収容部6b…内に入れる作業が容易となり、移植作業が効率良く行える。尚、移植作業中に作業座席40右側の貯留部9内の球根類が無くなった場合には、作業座席40の前側に配置された貯留部9から球根類が入ったコンテナを作業座席40右側の貯留部9に移して作業を続行すれば、引き続き、容易で且つ能率良く移植作業が行える。
【0041】
図10及び図11は移植機の第4実施例を示す平面図及び側面図であり、歩行型移植機の他の例を示す。
この実施例では、植付装置7の植付ホッパ部7aに球根類Aを1個ずつ供給する回転テーブル装置6に代えて、ベルト供給装置50を装備している。
【0042】
即ち、該ベルト供給装置50は、植付装置7の植付ホッパ部7aが最も上昇した位置の左側に配置した供給部51と、該供給部51から機体左側に長く延設した移送ベルト52と、該移送ベルト52の球根類搬送方向である左右長手方向に沿って移送ベルト52の前後に設けた球根類落下防止壁板53と、植付装置7の植付ホッパ部7aが最も上昇した位置の前後及び右側を囲うように設けた平面視コ字状の球根類落下防止体54にて構成されている。
【0043】
そして、移送ベルト52の球根類搬送方向である左右長手方向に沿って隔壁55…にて区切られた球根類載置部56…が配置されており、該各球根類載置部56…には移送ベルト52の球根類搬送方向である左右長手方向に沿ってベルトを貫通して形成したスリット57…が設けられていて、各球根類載置部56…に球根類を載置した際に、球根類に付着した泥土が該スリット57…から移送ベルト52の下方に落下する構成としており、移送ベルト52に泥土が溜まって球根類の移送が適正に行われなくなることを防止できる構成となっている。また、該スリット57…は移送ベルト52の球根類搬送方向である左右長手方向に沿った方向に長く形成されているので、移送ベルト52を張っても該スリット57…の幅が拡がらず適正な球根類の移送が行える。尚、ベルト供給装置50の移送ベルト52は、植付装置7の植付ホッパ部7aが最も上昇した時に球根類載置部56に載置した球根類が植付ホッパ部7a内に落下供給されるようにタイミングを取って、主伝動ケース2aから伝動回転軸2bを介して矢印(ロ)方向に駆動回転する構成となっている。
【0044】
そして、コンテナ9bを載置した貯留部9は、ベルト供給装置50の前側に近接配置して設けている。
従って、球根類Aが収納されたコンテナ9bを支持枠9aに2個左右方向に並べて載置し、作業者は機体の左側方位置即ちベルト供給装置50の後側位置を歩きながら貯留部9のコンテナ9bから球根類Aを取出してベルト供給装置50の移送ベルト52の各球根類載置部56…に載置する。すると、各球根類載置部56…に載置された球根類Aは、移送ベルト52の矢印(ロ)方向への回動にて、前後に設けた球根類落下防止壁板53にて落下しないように右端部の供給部51まで移動し、該供給部51にて最も上昇した時の植付装置7の植付ホッパ部7a内に落下供給され、植付ホッパ部7aにて圃場に順次植付けられる。
【符号の説明】
【0045】
2 エンジン
2a 主伝動ケース
6 移送装置(回転テーブル装置)
6b 収容部
7 植付装置
7b 植付体
7c 開口
7d 移植物案内ガイド
9 貯留部
21 固定円板
21a 落下穴
22 回転部
22a 円筒状周壁部
22b 円柱状部
22c 隔壁
23 駆動部(中心支軸)
40 作業座席
42 ステップ
A 球根類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各収容部(6b)に入れられた種芋等の球根類(A)を所定位置まで移送する移送装置(6)と、該移送装置(6)から球根類を受けて圃場に植付ける植付装置(7)とを圃場走行可能な機体に装備した球根類の移植機において、該移送装置(6)の周囲の近くに複数の球根類を貯留する貯留部(9)を設けたことを特徴とする球根類の移植機。
【請求項2】
植付装置(7)の上方位置に開口された落下穴(21a)を設けた固定円板(21)、周囲の円筒状周壁部(22a)と中央の円柱状部(22b)と隔壁(22c…)により区切られた複数個の収容部(6b)とを有する回転部(22)、及び該回転部(22)を固定円板(21)上にて所定速度で回転作動させる駆動部(23)からなる回転テーブル装置にて移送装置(6)を構成したことを特徴とする請求項1記載の球根類の移植機。
【請求項3】
機体平面視で貯留部(9)を回転テーブル装置(6)の一部と重複する上方位置で斜めに横断する前後傾斜した状態に配置したことを特徴とする請求項2記載の球根類の移植機。
【請求項4】
機体平面視で貯留部(9)を移送装置(6)の後部と重複する上方位置に配置し、作業座席(40)を移送装置(6)の前方に配置し、作業座席(40)の下方位置で機体の上部にステップ(42)を設け、機体に搭載したエンジン(2)の動力を植付装置(7)や移送装置(6)に伝動する主伝動ケース(2a)の後部を機体の左右一側方に偏倚して設けると共に、前記移送装置(6)及び作業座席(40)を機体の左右他側方に偏倚して設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の球根類の移植機。
【請求項5】
球根類(A)を圃場に移植する植付装置(7)の植付体(7b)を前後方向又は左右方向に開閉する構成とし、該植付体(7b)の開閉する側の壁面に開口(7c)を設けると共に、該植付体(7b)内部に弾性変形する隙間のある移植物案内ガイド(7d)を植付体(7b)の下部近くまで設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の球根類の移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−4627(P2011−4627A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149830(P2009−149830)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】