説明

球送りユニット及び遊技機

【課題】揺動中心軸部分を防塵構造とすることでその信頼性及び耐久性を高め、球発射強度の安定や確実な球計数に寄与することのできる球送りユニット、遊技機及びケース部材を提供すること。
【解決手段】この整流装置16は、球経路25c内に進退してその進入時に球20の流下を阻止するとともにその退避時に球20の流下を許容する球止め部19aと、球止め部19aの退避時に流下した球20を受け止めるとともに球止め部19aの進入時に球20を流下させる球受け部19bとを有する球送り部材19と、球送り部材19に隣接配置され、球止め部19aを進退させるために球送り部材19を往復揺動させる揺動手段23と、球送り部材19を軸支する軸部21と、軸部21を保持する軸受部25fとを有し、軸受部25fが、球送り部材19と揺動手段23とを分離する遮蔽壁25kを軸部21の第1軸端部21a近傍に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球を1個ずつ間欠流下させる球送りユニット及び遊技機に係り、特に防塵構造によってその信頼性及び耐久性を高めた球送りユニット等に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機では、弾球された球が遊技盤面上を流下して、その流下の過程で球が遊技盤面上のゲージ(釘ともいう。)や羽根車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技盤面上に配置された各種入賞口に球が入賞すれば所定の景品球払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に球が流入すれば景品球払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は球の流下における偶然性を利用しつつ球の入賞及び景品球払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
このようなパチンコ機は、球経路内において球を一旦停止させ、1個ずつ流下させる球送りユニットを有している。この球送りユニットは、例えば、遊技盤面上に球を発射する球発射装置に向けて球貯留皿から球を1個ずつ流下させる整流装置において用いられている。また、景品球数を計数しつつ払い出す景品球払出装置において用いられる場合や、入賞球を計数しつつ排出する入賞球処理装置において用いられる場合もある。
【0004】
この球送りユニットは、ソレノイドによって球送り部材を往復揺動させ、球経路内に球止め部を進退させることによって球の流下を阻止・許容する構成となっている。そのため、球送り部材にはソレノイドに吸着される磁性板が設けられ、その磁性板がソレノイドと着脱を繰り返すことによって球送り部材が往復揺動されるようになっている。
【0005】
そのソレノイドと磁性板との着脱は、球1個を流下させるごとに毎回行われる。したがって、パチンコ機の使用期間におけるソレノイドと磁性板との着脱回数は膨大な回数となる。なお、この球送りユニットを整流装置に適用した例として、例えば特許文献1に開示のものがある。
【0006】
【特許文献1】特開2006−141502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ソレノイドと磁性板との着脱回数が膨大なため、その着脱に起因してソレノイド又は磁性板が摩耗し、その摩耗粉塵が発生してしまう。また、球の長時間の使用によって球自体にも汚れや塵埃が付着するが、その汚れや塵埃が球送り部材の揺動中心軸部分に侵入してしまう場合もある。
【0008】
このように、摩耗粉塵や塵埃等が球送り部材の揺動中心軸部分に侵入すると、球送り部材の揺動動作がスムーズに行われなくなる。そうすると、この球送りユニットの耐久性が低下したり、球送りユニットの動作信頼性が低下するという問題がある。
【0009】
例えば、球送りユニットが整流装置において用いられる場合には、球が安定して球発射位置に送られず、球発射強度のバラつきを生じてしまう。景品球払出装置や入賞球処理装置において用いられる場合には、計数ミスが発生してしまい、所定個数の払出が行われないという問題を生じる。
【0010】
本願は上記の事情に鑑みて為されたもので、揺動中心軸部分を防塵構造とすることでその信頼性及び耐久性を高め、球発射強度の安定や確実な球計数に寄与することのできる球送りユニット及び遊技機を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての球送りユニットは、球経路内の球を1個ずつ流下させる球送り部材と、球送り部材に隣接配置され、球送り部材を駆動する駆動手段と、球送り部材を軸支する軸部と、軸部を保持する軸受部が設けられ、球送り部材と駆動手段とを内部に保持するケース部材と、を有し、軸受部が、球送り部材と駆動手段とを分離する遮蔽壁を軸部の軸端部近傍に有することを特徴とする。
【0012】
軸端部近傍に遮蔽壁を有しているので、駆動手段から発生する粉塵が球送り部材側に侵入するのを防止することができる。したがって、軸端部から軸部と軸受部との間に粉塵が侵入するのを効果的に防止することができ、球送り部材の往復揺動を常にスムーズに動作させることができる。球送り部材の動作の信頼性・耐久性が向上し、球発射強度の安定性向上や球計数ミス防止に寄与することができる。
【0013】
ケース部材に軸受部が設けられ、かつその内部に球送り部材と軸部とが保持されているので、球送りユニットを独立した1個のユニットとすることができる。したがって、パチンコ機等の遊技機への脱着が容易で、パチンコ機の組立て性・メンテナンス性の向上に寄与することができる。軸部における遮蔽構造を構築しやすく、設計の自由度が向上するとともに各構造の信頼性も向上する。ユニットの脱着時に軸部が軸受部から外れてしまうこともない。
【0014】
本発明の他の例示的側面としての球送りユニットは、球経路内の球を1個ずつ流下させる球送り部材と、球送り部材を駆動する駆動手段と、球送り部材を軸支する軸部と、軸部を保持する軸受部が設けられ、球送り部材と駆動手段とを内部に保持するケース部材と、を有し、軸受部が、軸部の軸端部及び外周部を覆うことにより球送り部材と協働して軸部を略密閉することを特徴とする。
【0015】
軸受部が球送り部材と協働して軸部を略密閉しているので、駆動手段から発生する粉塵や球に付着した塵埃等が、軸部と軸受部との間に侵入するのを効果的に防止することができる。その結果、球送り部材の往復揺動を常にスムーズに動作させることができるので、球送り部材の動作の信頼性・耐久性が向上し、球発射強度の安定性向上や球計数ミス防止に寄与することができる。
【0016】
ケース部材に軸受部が設けられ、かつその内部に球送り部材と軸部とが保持されているので、球送りユニットを独立した1個のユニットとすることができる。したがって、パチンコ機等の遊技機への脱着が容易で、パチンコ機の組立て性・メンテナンス性の向上に寄与することができる。軸部における密閉構造を構築しやすく、設計の自由度が向上するとともに各構造の信頼性も向上する。ユニットの脱着時に軸部が軸受部から外れてしまうこともない。
【0017】
駆動手段が、球送り部材に固定された磁性板と磁性板を吸着するソレノイドとを有していてもよい。磁性板とソレノイドとを用いて球送り部材を揺動駆動する揺動手段を構成することができ、モータやセンサを用いた球送りに比べて簡単な構造でかつ安価に球送り機能を実現することができる。そして、磁性板とソレノイドとの繰り返し吸着によって発生した粉塵による上記の悪影響を効果的に防止することができ、球送りユニットの信頼性・耐久性を向上させることができる。
【0018】
軸受部が、軸部を取出し可能に分割構造とされていてもよい。通常使用時には確実に遮蔽効果・密閉効果を得ることができる上に、メンテナンスの際には、軸受部を簡単に分割してその内部や軸部を清掃したり修理したりすることができる。
【0019】
軸部が球送り部材と別部材とされ、球送り部材に嵌合されていてもよい。軸部が球送り部材と一体とされている場合、球送り部材の往復揺動に伴って、常に軸部が軸受部内で連れ回り往復回転する。しかし、軸部と球送り部材とを別部材とし、球送り部材の軸孔に軸部を嵌合する構造とすれば、球送り部材の軸孔と軸部との摩擦や軸部と軸受部との摩擦の状況に応じていずれか滑らかな方が摺動回転することとなる。
【0020】
すなわち、軸孔と軸部とが滑らかな場合は球送り部材のみが往復揺動して軸部は回転せず、軸部と軸受部とが滑らかな場合球送り部材と軸部とが連れ回り往復揺動する。これにより、軸部と軸受部との摺動回数を相対的に低減することができ、摺動を軸部の全体で均一に行わせることができるので、軸部や軸受部の摩耗やそれに伴う粉塵を低減することができる。したがって、球送りユニットの信頼性・耐久性をより一層向上させることができる。
【0021】
本発明の更に他の例示的側面としての遊技機は、遊技機全体を囲む筐体枠と、球による遊技を演出する遊技装置体と、遊技装置体を保持し、筐体枠に対して前面開閉可能に揺動支持された機枠と、遊技装置体に対して一定距離離間して配置された前面透明板と、前面透明板又はその周囲を囲む装飾部材を保持し、機枠に対して前面開閉可能に揺動支持された装飾枠と、球を球発射装置に導くべく貯留する球皿と、球を遊技装置体に向けて発射するための球発射装置と、球発射装置の駆動及び発射強度調整を行うための発射ハンドルと、上記の球送りユニットとを有することを特徴とする。
【0022】
上記の球送りユニットを有しているので、この遊技機においては球発射強度を安定させることができる。したがって、遊技者が狙った位置をめがけて安定した弾球を行うことができる。また、景品球払出装置や入賞球処理装置にこの球送りユニットを適用した場合には、それらの計数ミスを低減することもできる。したがって、遊技者は安心して快適に遊技を楽しむことができる。
【0023】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、球送りユニットの軸部を防塵構造とすることができ、粉塵や塵埃による悪影響を防止することができる。球送り部材の往復揺動の動作不良を防止することができ、球送りユニットの信頼性向上・耐久性向上に寄与することができる。結果として、球発射強度の安定性向上や球計数ミスの防止を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機としてのパチンコ機2の外観を示す外観斜視図である。パチンコ機2は、筐体枠4、遊技盤(遊技装置体)6、機枠8、前面ガラス(前面透明板)10、装飾枠12、上皿(球皿)14、整流装置(球送りユニット)16、球発射装置(図示せず。)、発射ハンドル17を有している。
【0026】
パチンコ機2は、組合せ式パチンコ機、封入循環式パチンコ機、雀球機等を含む。また、遊技機としてはパチンコ機の他に、遊技媒体としてコインを使用するパチスロ機やスロットマシン、各種ゲーム機やアーケードマシン等が概念できる。
【0027】
筐体枠4は、このパチンコ機2全体を囲むための枠体であり、平面視略長方形に構成されている。材料としては、木材が用いられることが多いが、他に樹脂やアルミ等の金属が用いられることもある。筐体枠4は、パチンコ機2全体の上下面及び左右側面を囲い、前面(すなわち、遊技者側。)から見て左側面側には機枠8及び装飾枠12を揺動支持するためのヒンジ部(揺動支持部)18が設けられている。
【0028】
遊技盤6は、このパチンコ機2において、遊技媒体としての球20による遊技を演出するためのものである。遊技盤6の遊技盤面6aには、略円形状に周囲を囲むようにレール22が取り付けられ、このレール22によって遊技領域6bが画定されている。
【0029】
その遊技領域6b内には多数のゲージ24、入賞口26、図柄表示装置28、アウト口30、その他の各種役物が配置されている。図示しない球発射装置により球20が遊技領域6b内の上部に向けて発射されると、球20がゲージ24に衝突してその流下方向を変えつつ遊技領域6b内を流下するようになっている。その流下の途中で、あるものは入賞口26に入賞して景品球払出しの契機となり、あるものは図柄表示装置28による図柄変動遊技開始の契機となり、また、あるものはいずれの入賞口26にも入賞せずにアウト口30からパチンコ機2の外部へと排出される。このように、遊技盤6上を球20が流下する際に、様々な遊技が演出されるようになっている。
【0030】
遊技盤6の裏面側には入賞口26に入賞した入賞球やアウト口30に流入したアウト球を排出するための球経路、図柄表示装置28の図柄表示制御を行う図柄表示制御基板(図示せず。)、各種役物の動作制御を行う役物制御基板が配置されるが詳細は省略する。
【0031】
機枠8は、遊技盤6を保持するための枠体であり、その中央近傍に遊技盤6を取り付けるための取付け開口が形成されている。取付け開口の周囲に遊技盤6を着脱可能に取り付けるための取付け部を有し、機枠8は遊技盤6の周囲を囲むように構成されている。その機枠8は、筐体枠4の前面側に配置されてヒンジ部18において筐体枠4に揺動支持され、筐体枠4に対して前面開閉可能に揺動支持されている。
【0032】
機枠8には施錠装置1が設けられ、この施錠装置1によって筐体枠4及び装飾枠12と施錠閉鎖可能とされている。機枠8は、樹脂又は金属によって形成され、その裏面側には裏機構盤(図示せず。)が配置される。その裏機構盤には、入賞球を計数して排出処理する入賞球処理装置(図示せず。)、景品球を計数して払い出す景品球払出装置(図示せず。)等が配置されている。
【0033】
この入賞球処理装置は、入賞口26に入賞した球20を計数しつつパチンコ機2の外部へと排出するものである。したがって、この入賞球処理装置に本願発明に係る球送りユニットを適用すれば、計数ミスを防止して間違いのない入賞球処理を実現することができるが、詳細は省略する。
【0034】
また、この景品球払出装置は、球20の入賞に応じて所定個数の景品球を計数しつつ払出し球経路に景品球を流下させるものである。したがって、この景品球払出装置に本願発明に係る球送りユニットを適用すれば、計数ミスを防止して間違いのない景品球払出しを実現することができるが、これについても詳細は省略する。
【0035】
前面ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離離間して配置された透明板である。前面ガラス10は透明平板ガラスで形成され、遊技盤6との間に球20が流下する流下空間を形成する機能、遊技者が前面ガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
【0036】
前面透明板としてはガラス素材の前面ガラス10の他に、もちろん透明アクリル等の樹脂材料が使用されてもよい。また、本実施の形態においては、前面ガラス10が装飾枠12に保持されるが、前面ガラス10が遊技盤6の前面に取り付けられて、遊技盤6とともに機枠8に保持されるように構成されていてもよい。
【0037】
装飾枠12は、前面ガラス10又はその周囲を囲む装飾部材32を保持するための枠体である。本実施の形態においては、装飾枠12は、前面ガラス10及び装飾部材32の両方を保持している。その装飾枠12は、機枠8の前面側に配置されてヒンジ部18において機枠8とともに筐体枠4に揺動支持され、機枠8に対して前面開閉可能に揺動支持されている。
【0038】
装飾枠12は樹脂又は金属によって形成され、その中央部には前面ガラス10を取り付けるための取付け開口が形成されている。その前面ガラス10の周囲には、パチンコ機2を装飾するための造形・色彩・ランプが付された装飾部材32が取り付けられ、パチンコ機2の遊技演出に寄与している。
【0039】
なお、本実施の形態では、筐体枠4に設けられたヒンジ部18に機枠8及び装飾枠12の両方が揺動支持される構成となっている。しかしながら、機枠8と装飾枠12とがそれぞれ異なるヒンジ部によって揺動支持されていてももちろんよい。例えば、筐体枠4に機枠8を揺動支持するヒンジ部が設けられ、機枠8に装飾枠12を揺動支持する別のヒンジ部が設けられていてももちろんよい。
【0040】
上皿14は、球20を球発射装置に導くべく貯留するためのもので、下皿15とともに遊技者の持ち球を貯留する機能を有する。上皿14は、パチンコ機2の前面であって遊技盤6の下方、すなわち装飾枠12の下方部分に配置され、下皿15は、その上皿14の更に下方に配置されている。本実施の形態においては、上皿14と下皿15とを別々に構成しているが、もちろん上皿14と下皿15とが一体となって1つの球皿が構成されていてもよい。
【0041】
上皿14は、景品球としてパチンコ機2から払い出された球20を受け取る機能や、その球20を球供給装置(整流装置16、図2を参照。)を介して球発射装置に導くべく貯留する機能を有している。また、球20が多量となって上皿14に貯留し切れなくなった場合や遊技者が遊技を終了する場合には、球排出ボタン14bによって下皿15へと球20を排出することができるようになっている。
【0042】
整流装置16は、上皿14からの球20を1個ずつ流下させて球発射位置に向けて導くためのものである。図2は、この整流装置16の分解斜視図である。整流装置16は、球送り部材19、軸部21、駆動手段としての揺動手段23がケース部材25内部に保持されて構成されている。
【0043】
球送り部材19は、図3にその外観斜視図を示すように、上部に球止め部19a、その下方に球受け部19b及び軸孔19cを有し、側方には揺動手段の一部としての吸着板23b(磁性板)が突出して固定されている。球送り部材19は例えばポリアセタール(POM)等の樹脂で形成され、吸着板23bは例えば鉄、ニッケル等の磁性金属板で形成される。また、吸着板23bは、球送り部材19と一体成型されていてもよい。
【0044】
球止め部19aは、球送り部材19の往復揺動によって球経路25c内に進退するものであって、その進入時に球経路25cを狭めて球20の流下を阻止し、その退避時に球20の流下を許容する。
【0045】
球受け部19bは、球止め部19aからの球20を一旦受け止めるとともに、下流側の球発射位置に向けて球20を送り出すものである。すなわち、球止め部19aの退避時に球止め部19aから流下した球20を一旦受け止めることができるようになっている。そして続く球止め部19aの進入時に、先に一旦受け止めた球20を下流側へ流下させ、球発射位置へと送り出す。
【0046】
軸孔19cは、軸部21を貫通させるための孔であり、球送り部材19の幅方向Xに沿って貫通形成されている。本実施の形態においては、軸孔19cと軸部21とはすき間嵌めとなっており、球送り部材19と軸部21とは、摺動回転可能となっている。
【0047】
軸部21は、球送り部材19を軸支するためのものであり、例えば真鍮やステンレス等の金属製の円柱部材である。軸部21は、球送り部材19とは別部材とされ、後述する軸受部25fに両軸端部21a,21bが保持されている。その軸部21が回転中心となって、球送り部材19が往復揺動するように構成されている。
【0048】
揺動手段23は、球送り部材19を往復揺動させるためのものであり、本実施の形態においては、ソレノイド23aと吸着板23bとを有して構成されている。すなわち、ソレノイド23aへの通電オンオフに伴って吸着板23bがソレノイドに着脱され、それに起因して球送り部材19が往復揺動動作をするようになっている。
【0049】
このソレノイド23a及び吸着板23bは、ケース部材25内部で球送り部材19に隣接配置されている。しかしながら、ケース部材25には、球送り部材19と揺動手段23(ソレノイド23a及び吸着板23b。)とを仕切る仕切り壁25nが形成されており、揺動手段23によって発生した粉塵が球送り部材19側に侵入し難くなっている。
【0050】
ケース部材25は、整流装置16全体を包含する筐体としての機能を有し、内部に球送り部材19、揺動手段23、吸着板23b、軸部21を保持している。本実施の形態においては、ケース部材25は図2に示すようにカバー体25aとベース体25bとに分割可能に構成されている。
【0051】
図4はカバー体25aをその内面側から見た外観斜視図であり、図5はベース体25bをその内面側から見た外観斜視図である。
【0052】
カバー体25aには球経路25cの一部としての流入口25dが開口しており、ベース体25bには球経路25cの一部としての排出口25eが開口している。この流入口25dから排出口25eまでを通して球経路25cが構成されており、その球経路25cの途中に球送り部材19の球止め部19aが進退可能となっている。
【0053】
上皿14から送られてきた球20が流入口25dからこの整流装置16内に流入する。そして球経路25cを通って球送り部材19を介して1個ずつ排出口25eから間欠的に排出される。排出された球20は、球発射位置へと流下し、球発射装置によって弾球されるようになっている。
【0054】
カバー体25aにおけるその流入口25dの下方(図4中矢印Z方向)には軸受部25fの一部としての第1蓋部25g及び第2蓋部25hが形成されている。一方、ベース体25bにおける排出口25eの下方(図5中矢印Z方向)には軸受部25fの一部としての第1保持部25i及び第2保持部25jが形成されている。
【0055】
この第1保持部25iに軸部21の第1軸端部21aが保持されるとともに第2保持部25jに軸部21の第2軸端部21bが保持されるようになっている。そして、カバー体25aとベース体25bとを重ね合わせて組み立てると、第1保持部25i及び第2保持部25j上にそれぞれ第1蓋部25g及び第2蓋部25hが重なって、軸部21の両軸端部21a,21bが略密閉されるようになっている。
【0056】
すなわち、第1保持部25iの凹部分に第1軸端部21aが保持された状態で、第1保持部25iと第1蓋部25gとが嵌合する。そうすると、第1保持部25iの凹部分と第1蓋部25gとによって第1軸端部21aの外周部分が全体的に密閉される。その上、後述する遮蔽壁25kと第1蓋部25gとによって第1軸端部21aの側端部分が密閉される。
【0057】
同様に、第2保持部25jの凹部分に第2軸端部21bが保持された状態で、第2保持部25jと第2蓋部25hとが嵌合する。そうすると、第2保持部25jの凹部分と第2蓋部25hとによって第2軸端部21bの外周部分が全体的に密閉される。その上、第2保持部25jの側端部分に立設する立設壁25pと第2蓋部25hとによって第2軸端部21bの側端部分が密閉される。
【0058】
このとき、図2に示すように、軸部21の中央付近は球送り部材19によって覆われている。そして軸部21の両軸端部21a,21bが軸受部25fによって覆われるので、軸部21は、球送り部材19と軸受部25fとの協働によって、全体的に略密閉状態とされる。
【0059】
なお、第1保持部25iは、第1軸端部21aを覆うようにその揺動手段23側に立設された遮蔽壁25kを有している。この遮蔽壁25kは、球送り部材19とそれに隣接配置される揺動手段23とを分離して、揺動手段23からの粉塵等が球送り部材19側、すなわち軸部21側に侵入するのを防止している。なお、本実施の形態においては、軸部21が球送り部材19と軸受部25fとによって略密閉される構造であるが、密閉構造でなくてもこの遮蔽壁25kが設けられていれば、揺動手段23からの粉塵が軸部21側に侵入するのを防止する効果を発揮することができる。
【0060】
カバー体25aの第1蓋部25g近傍には、上下方向に沿って仕切蓋25lが立設されている。一方、ベース体25bの第1保持部25i近傍には、上下方向に沿って仕切板25mが立設されている。カバー体25aとベース体25bとを重ね合わせて組み立てると、この仕切蓋25lと仕切板25mとが略密着し、協働して仕切り壁25nを構成する。そしてこの仕切り壁25nが、ケース部材25内で球送り部材19と揺動手段23とを分離するようになっている。したがって、揺動手段23側からの粉塵等はより一層強固に遮断され、球送り部材19側への侵入が効果的に防止される。
【0061】
この整流装置16は、上皿14からの球を球送り部材19によって1個ずつ球発射位置へと流下させる。その球送り動作は、ソレノイド23aによる吸着板23bの着脱動作に起因して、軸部21を中心に球送り部材19が往復揺動することによって実現される。そのソレノイド23aによる繰り返し着脱動作によって、ソレノイド23a又は吸着板23bから粉塵が発生するが、遮蔽壁25k及び仕切り壁25nによってソレノイド23a側と球送り部材19側とが分離されているので、軸部21側への粉塵の侵入を効果的に防止できる。
【0062】
さらに、軸部21が球送り部材19及び軸受部25fによって略密閉されているので、より一層強固に粉塵の侵入を防止し得る上に、球20から脱落した汚れや塵埃等の侵入も効果的に防止できる。
【0063】
図示しない球発射装置は、整流装置16によって送り出されて球発射位置に停止保持される球20を遊技領域6bの上部に向けて発射(弾球)するためのものである。球発射装置は、例えば発射位置に送り出された球20を遊技領域6bに向けて弾球する発射杆、その発射杆を駆動して弾球往復動を行わせる発射モータ、発射杆を付勢して弾球のための力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、機枠8に取り付けられている。
【0064】
発射ハンドル17は、球発射装置による弾球強度を調整するためのハンドルであって、遊技者が手で操作するためのものである。例えば、パチンコ機2の前面下部右側に配置されて略円筒形状を呈しており、円筒周面に沿ってその強度調整杆17aが回転可能となっている。遊技者は、発射ハンドル17を手で保持しつつ、強度調整杆17aを回転させることにより、球20の発射強度を調整することができるようになっている。
【0065】
整流装置16による球送り動作の信頼性が向上し、球20が球発射位置に安定して停止保持されているので、球発射強度が安定する。したがって、遊技者は、狙った位置に容易に球20を弾球することができる。球発射強度がバラつかないように、発射ハンドル17を頻繁に回転させて発射強度の微修正を行う必要がない。
【0066】
なお、上記実施の形態においては、球送り部材19と軸部21とを別部材として、球送り部材19の軸孔19cに軸部21を嵌合しているが、もちろん図6に示すように、球送り部材19と軸部21とが一体とされ、球送り部材19と軸部21とが常に連れ回るような構成であってもよい。
【0067】
この場合、軸部21と軸受部25fとの摺動回転が上記実施の形態の場合に比較して多くなるが、揺動手段23や球20からの粉塵や塵埃の侵入が効果的に防止されるので、整流装置16の信頼性や耐久性が向上する。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、上記したように、本発明に係る球送りユニットを整流装置ではなく、景品球払出装置や入賞球処理装置に適用することも、もちろん本発明の要旨の範囲内である。この場合、球送り部材がスプロケットであり、駆動手段がそのスプロケットを回転駆動するモータであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係るパチンコ機の外観斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機が有する整流装置の分解斜視図である。
【図3】図2に示す整流装置の球送り部材の外観斜視図である。
【図4】図2に示す整流装置のカバー体を内面側から見た外観斜視図である。
【図5】図2に示す整流装置のベース体を内面側から見た外観斜視図である。
【図6】本発明の変形例に係る整流装置の球送り部材を外観斜視した図である。
【符号の説明】
【0070】
X:幅方向
Z:矢印
1:施錠装置
2:パチンコ機(遊技機)
4:筐体枠
6:遊技盤(遊技装置体)
6a:遊技盤面
6b:遊技領域
8:機枠
10:前面ガラス(前面透明板)
12:装飾枠
14:上皿(球皿)
14b:球排出ボタン
15:下皿
16:整流装置(球送りユニット)
17:発射ハンドル
17a:強度調整杆
18:ヒンジ部(揺動支持部)
19:球送り部材
19a:球止め部
19b:球受け部
19c:軸孔
20:球(遊技媒体)
21:軸部
21a:第1軸端部
21b:第2軸端部
22:レール
23:揺動手段(駆動手段)
23a:ソレノイド(揺動手段の一部)
23b:吸着板(磁性板、揺動手段の一部)
24:ゲージ
25:ケース部材
25a:カバー体
25b:ベース体
25c:球経路
25d:流入口(球経路の一部)
25e:排出口(球経路の一部)
25f:軸受部
25g:第1蓋部(軸受部の一部)
25h:第2蓋部(軸受部の一部)
25i:第1保持部(軸受部の一部)
25j:第2保持部(軸受部の一部)
25k:遮蔽壁
25l:仕切蓋(仕切り壁の一部)
25m:仕切板(仕切り壁の一部)
25n:仕切り壁
25p:立設壁
26:入賞口
28:図柄表示装置
30:アウト口
32:装飾部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球経路内の球を1個ずつ流下させる球送り部材と、
該球送り部材に隣接配置され、該球送り部材を駆動する駆動手段と、
前記球送り部材を軸支する軸部と、
該軸部を保持する軸受部が設けられ、前記球送り部材と前記駆動手段とを内部に保持するケース部材と、を有し、
前記軸受部が、前記球送り部材と前記駆動手段とを分離する遮蔽壁を前記軸部の軸端部近傍に有する球送りユニット。
【請求項2】
球経路内の球を1個ずつ流下させる球送り部材と、
前記球送り部材を駆動する駆動手段と、
前記球送り部材を軸支する軸部と、
該軸部を保持する軸受部が設けられ、前記球送り部材と前記駆動手段とを内部に保持するケース部材と、を有し、
前記軸受部が、前記軸部の軸端部及び外周部を覆うことにより前記球送り部材と協働して前記軸部を略密閉する球送りユニット。
【請求項3】
前記駆動手段が、前記球送り部材に固定された磁性板と該磁性板を吸着するソレノイドとを有している請求項1又は請求項2に記載の球送りユニット。
【請求項4】
前記軸受部が、前記軸部を取出し可能に分割構造とされている請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の球送りユニット。
【請求項5】
前記軸部が前記球送り部材と別部材とされ、該球送り部材に嵌合されている請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の球送りユニット。
【請求項6】
遊技機全体を囲む筐体枠と、
前記球による遊技を演出する遊技装置体と、
該遊技装置体を保持し、前記筐体枠に対して前面開閉可能に揺動支持された機枠と、
前記遊技装置体に対して一定距離離間して配置された前面透明板と、
該前面透明板又はその周囲を囲む装飾部材を保持し、前記機枠に対して前面開閉可能に揺動支持された装飾枠と、
前記球を前記球発射装置に導くべく貯留する球皿と、
前記球を前記遊技装置体に向けて発射するための球発射装置と、
該球発射装置の駆動及び発射強度調整を行うための発射ハンドルと、
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の球送りユニットと、を有する遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−154803(P2008−154803A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347161(P2006−347161)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】