説明

環境マップ作成装置及び方法、行動予測装置及び方法

【課題】移動体の移動行動を高精度に推定することができる行動予測装置及び方法を提供する。
【解決手段】 行動予測装置は、まず歩行者の撮像画像に基づいて、歩行者の次の速度ベクトルの妥当性を表す尤度マップを作成し、その尤度マップを、歩行者の単位時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップに変換する。そして、行動予測装置は、確率密度マップ上における確率密度の高い領域に複数の仮説を配置し、これらの仮説に対応する複数の予測移動進路を計算する。この場合の仮説とは、確率密度マップ上の一点に相当し、その点に対応する速度ベクトルで歩行者が次の単位時間進むということである。そして、その速度ベクトルから予測移動進路が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者等の移動体に関する環境マップを作成する環境マップ作成装置及び方法、並びに移動体の行動を予測する行動予測装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の行動予測装置及び方法としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載のものでは、移動物体の画素パターンの情報等から歩行者を検出し、当該歩行者の両脚支持時間及び最大歩幅を求め、これらの情報に基づいて歩行者が停止するかどうかを判断し、その判断結果も用いて歩行者の将来位置を予測して当該歩行者が存在し得る範囲を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−12521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、歩行者の多い市街地等では、歩行者は急激に動くことが多い。このため、歩行者の直前の動きから線形的に歩行者の移動行動を推定する手法では、推定精度を上げることができない。
【0005】
本発明の目的は、移動体の移動行動を高精度に推定することができる環境マップ作成装置及び方法、行動予測装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、移動体に関する環境マップを作成する環境マップ作成装置であって、移動体を検出する移動体検出手段と、移動体検出手段により検出された移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを環境マップとして作成する確率密度マップ作成手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明の環境マップ作成装置においては、移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを作成する。従って、そのような確率密度マップを用いて移動体の進路を予測する場合に、例えば確率密度マップ上において確率が高くなる点を複数選択することにより、1つの移動体について複数の予測進路を得ることができる。これにより、移動体の移動行動の推定精度を向上させることができる。
【0008】
好ましくは、確率密度マップを混合正規分布で表現する混合正規分布生成手段を更に備える。この場合には、混合正規分布を構成する複数の正規分布のパラメータ(中心値や高さ等)を求めることにより、1つの移動体について複数の予測進路を確実に得ることができる。
【0009】
また、好ましくは、移動体検出手段により移動体が複数検出されたときに、複数の移動体が一つの集団に属するかどうかを判定する集団判定手段を更に備え、確率密度マップ作成手段は、集団判定手段により複数の移動体が一つの集団に属すると判定されたときは、当該集団を一つの移動体として、確率密度マップを作成する。複数の移動体が集団(グループ)で行動する場合には、各移動体の移動速度及び移動方向は同等となるはずである。そこで、複数の移動体が一つの集団に属すると判定されたときは、当該集団を一つの移動体として確率密度マップを作成することにより、そのような確率密度マップを用いて移動体の進路を予測する場合に、複数の移動体が集団で行動するときの進路を精度良く予測することができる。
【0010】
また、本発明は、移動体の行動を予測する行動予測装置であって、移動体を検出する移動体検出手段と、移動体検出手段により検出された移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを作成する確率密度マップ作成手段と、確率密度マップ作成手段により作成された確率密度マップを用いて、移動体の進路を予測する進路予測手段とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
このように本発明の行動予測装置においては、移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを作成し、その確率密度マップを用いて移動体の進路を予測する。このとき、例えば確率密度マップ上において確率が高くなる点を複数選択することにより、1つの移動体について複数の予測進路を得ることができる。これにより、移動体の移動行動の推定精度を向上させることができる。
【0012】
好ましくは、進路予測手段は、確率密度マップ上に複数の仮説を配置して、移動体の進路を予測する。この場合には、1つの移動体について複数の予測進路を確実に得ることができる。
【0013】
また、確率密度マップを混合正規分布で表現する混合正規分布生成手段と、混合正規分布のパラメータを求めるパラメータ取得手段とを更に備え、進路予測手段は、移動体及び当該移動体に隣接する他の移動体に関する混合正規分布のパラメータに基づいて、移動体の進路を予測しても良い。この場合には、移動体及び当該移動体に隣接する他の移動体について、複数の予測進路を確実に得ることができる。
【0014】
このとき、好ましくは、パラメータ取得手段は、確率密度マップを離散化して得られる離散化マップに基づいて、混合正規分布のパラメータを求める。この場合には、混合正規分布のパラメータを少ない計算量で簡易に求めることができる。
【0015】
また、好ましくは、移動体検出手段により移動体が複数検出されたときに、複数の移動体が一つの集団に属するかどうかを判定する集団判定手段を更に備え、確率密度マップ作成手段は、集団判定手段により複数の移動体が一つの集団に属すると判定されたときは、当該集団を一つの移動体として、確率密度マップを作成する。この場合には、上述したように複数の移動体が集団で行動するときの進路を精度良く予測することができる。
【0016】
さらに、進路予測手段は、確率密度マップを用いて予測された移動体の進路を初期値とし、複数の移動体の状態を条件付き確率場でモデル化することにより、複数の移動体が一つの集団に属するかどうかの判定と同時に、複数の移動体の進路を予測しても良い。この場合には、複数の移動体が一つの集団に属するかどうかの判定のみに要する時間が無くなるため、複数の移動体が集団で行動するときの進路の予測を短時間で行うことができる。
【0017】
また、本発明は、移動体に関する環境マップを作成する環境マップ作成方法であって、移動体を検出するステップと、移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを環境マップとして作成するステップとを含むことを特徴とするものである。
【0018】
このように本発明の環境マップ作成方法においては、移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを作成することにより、上述したように1つの移動体について複数の予測進路を得ることができる。これにより、移動体の移動行動の推定精度を向上させることができる。
【0019】
さらに、本発明は、移動体の行動を予測する行動予測方法であって、移動体を検出するステップと、移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを作成するステップと、確率密度マップを用いて、移動体の進路を予測するステップとを含むことを特徴とするものである。
【0020】
このように本発明の行動予測方法においては、移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを作成し、その確率密度マップを用いて移動体の進路を予測することにより、上述したように1つの移動体について複数の予測進路を得ることができる。これにより、移動体の移動行動の推定精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、移動体の移動行動を高精度に推定することができる。これにより、例えば移動体の移動行動の推定技術を用いて移動体の追跡を行う場合に、追跡性能を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係わる行動予測装置の第1実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した歩行者進路予測部により実行される処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図3】歩行者の次の速度ベクトルの妥当性を極座標で表現した尤度マップの一例を示す図である。
【図4】歩行者の次の速度ベクトルの妥当性を正方座標で表現した尤度マップの一例を示す図である。
【図5】図4に示した尤度マップに対応する確率密度マップを示す図である。
【図6】図5に示した確率密度マップ上に5個の仮説を配置した状態を示す図である。
【図7】歩行者の移動進路を順次予測していく様子を示す概略図である。
【図8】本発明に係わる行動予測装置の第2実施形態において歩行者進路予測部により実行される処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図9】図5に示した確率密度マップを混合正規分布で表現した状態を示す図である。
【図10】図9に示した混合正規分布を構成する各正規確率分布を示す図である。
【図11】2人の歩行者についての次の速度ベクトルの一例を示す概略図である。
【図12】各歩行者の次の単位時間の位置を繰り返し求める様子を示す概略図である。
【図13】簡易な方法で混合正規分布のパラメータを求める処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図14】確率密度マップの一例と当該確率密度マップを離散化して得られる離散化マップとを二次元的に簡略化して示す図である。
【図15】本発明に係わる行動予測装置の第3実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図16】図15に示した集団判定部により実行される処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図17】歩行者同士が手をつないだ状態の照合パターンの一例を示す図である。
【図18】図15に示した集団判定部により実行される他の処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図19】グループを形成している各歩行者とグループを形成していない各歩行者とが時間の経過とともに移動する様子を示す概略図である。
【図20】本発明に係わる行動予測装置の第4実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図21】図20に示した集団判定・歩行者進路予測部により実行される処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図22】条件付き確率場のグラフモデルの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係わる環境マップ作成装置及び方法、行動予測装置及び方法の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
まず、本発明に係わる行動予測装置の第1実施形態を図1〜図7により説明する。図1は、本発明に係わる行動予測装置の第1実施形態の概略構成を示すブロック図である。同図において、本実施形態の行動予測装置1は、画像認識により歩行者を検出し、歩行者に関する環境マップを作成し、この環境マップを用いて歩行者の移動行動を予測する装置である。
【0025】
行動予測装置1は、歩行者を撮像するカメラ2と、ECU(Electronic Control Unit)3と、出力表示器4とを備えている。カメラ2は、ビル等の高所に固定設置されていても良いし、車両等に搭載されていても良い。
【0026】
ECU3は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、入出力回路等により構成されている。ECU3は、画像処理部5と、記憶部6と、歩行者進路予測部7とを有している。
【0027】
画像処理部5は、カメラ2により取得された歩行者の撮像画像に対してフィルタ処理、2値化処理、特徴抽出処理等の画像処理を施し、歩行者を含む画像フレーム(画像データ)を生成する。記憶部6には、歩行者進路予測部7による演算処理に使用されるパラメータ等が記憶されている。
【0028】
歩行者進路予測部7は、画像処理部5で生成された画像フレームに基づいて所定の処理を行って歩行者の進路を予測し、その予測結果を出力表示器4に出力表示させる。
【0029】
図2は、歩行者進路予測部7により実行される処理手順の詳細を示すフローチャートである。同図において、まず画像処理部5で生成された画像フレームに基づいて、歩行者の次の速度ベクトル(方向及び速度)の妥当性を表す尤度マップ(ポテンシャルマップ)を作成する(手順S101)。
【0030】
ここで、歩行者の次の速度ベクトルの妥当性を極座標で表現した尤度マップの一例を図3に示す。図3に示す尤度マップは、歩行者同士の距離は一定以上に保たれるという条件に関するエネルギー項と、歩行者は一定の速度を保とうとするという条件に関するエネルギー項と、歩行者は目的地に向かって進もうとするという条件に関するエネルギー項との重み付け線形和によって定義されるエネルギー関数を表したものである。
【0031】
図3において、白点A,Aは、歩行者P,Pが現在の速度及び方向を維持した場合に次の単位時間(例えば0.2秒)に進みうる速度ベクトルを示している。ここでは、点A,Aで示す方向に対して左右60度を10度刻みで変化させ、更に点A,Aで示す速度に対して前後0.3m/s変化させた場合における速度ベクトルの妥当性を表している。このとき、黒塗り部分、ハッチング部分、ドット部分、白抜き部分の順に、速度ベクトルとしての妥当性(可能性)が高くなる。
【0032】
図4は、歩行者の次の速度ベクトルの妥当性を正方座標で表現した尤度マップの一例を示したものである。なお、図4に示す尤度マップは、図3に示す尤度マップとは対応していない。図4において、尤度マップのx軸は、歩行者Pが次の単位時間に進んだときの横(左右)方向位置を示し、尤度マップのy軸は、歩行者Pが次の単位時間に進んだときの前方向位置を示している。歩行者の次の速度ベクトルは、歩行者Pが次の単位時間に進んだときのxy座標位置として表される。尤度マップの高さが低くなる(深くなる)ほど、妥当な速度ベクトルとなる。
【0033】
続いて、手順S101で得られた尤度マップを確率密度マップに変換する(手順S102)。確率密度マップは、歩行者の単位時間後の位置についての確率密度を表す環境マップである。
【0034】
図5は、図4に示す尤度マップを確率密度マップに変換したものである。この確率密度マップは、マルコフ確率場またはギブス確率場の形式で表される。尤度マップから確率密度マップへの変換には、下記の変換式が用いられる。
【数1】


なお、ωE(v|St−1)が尤度マップを表すパラメータである。
【0035】
このような確率密度マップでは、歩行者の次の速度ベクトルとして妥当なものほど、高い確率をもったマップになっている。つまり、図4に示す尤度マップにおいて高さの低い領域S,Sが、図5に示す確率密度マップでは高い確率密度をもった領域S,Sに相当する。
【0036】
続いて、手順S102で得られた確率密度マップ上における確率密度の高い領域に、複数(n個)の仮説を配置する(手順S103)。このとき、複数の仮説を、確率密度マップの確率に応じてランダムにまたは均等に、或いは確率密度マップの極大点上に配置する。図6は、図5に示す確率密度マップ上に5個の仮説Kを配置したものである。
【0037】
続いて、n個の仮説に対応するn個の予測移動進路を計算する(手順S104)。この場合の仮説とは、確率密度マップ上の一点に相当し、その点に対応する速度ベクトルで歩行者が次の単位時間進むということである。そして、その速度ベクトルから予測移動進路が得られる。
【0038】
続いて、nが1よりも大きいかどうかを判断し(手順S105)、nが1よりも大きいときは、nを1だけ減算する(手順S106)。nが1よりも大きくないときは、手順S106を省略する。
【0039】
続いて、上記手順S101〜S104の処理が規定回数繰り返されたかどうかを判断し(手順S107)、手順S101〜S104の処理が規定回数繰り返されていないときは、手順S101に戻る。
【0040】
すると、図7に示すように、歩行者Pの予測移動進路を求める処理が複数回繰り返されることとなる。このとき、単位時間が0.2秒であれば、上記手順S101〜S104の処理を10回繰り返すと、2秒後までの歩行者Pの進路が予測される。また、ステップが進むにつれて、確率密度マップ上に配置される仮説の数がn個から1つずつ減っていく。これにより、歩行者Pに対して複数の予測移動進路が求められることになる。
【0041】
一方、上記手順S101〜S104の処理が規定回数繰り返されたときは、所定時間後までの歩行者の複数の予測移動進路を出力表示器4に出力する(手順S108)。
【0042】
以上において、カメラ2及びECU3の画像処理部5は、移動体を検出する移動体検出手段を構成する。ECU3の歩行者進路予測部7の上記手順S101,S102は、移動体検出手段により検出された移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを作成する確率密度マップ作成手段を構成する。同手順S103〜S107は、確率密度マップ作成手段により作成された確率密度マップを用いて、移動体の進路を予測する進路予測手段を構成する。
【0043】
以上のように本実施形態にあっては、カメラ2による撮像画像から得られた歩行者の速度ベクトルの尤度マップを確率密度マップに変換し、その確率密度マップ上に異なる複数の仮説を配置するようにしたので、一人の歩行者に対して複数の予測移動進路を得ることができる。これにより、例えば歩行者の進行方向に障害物があり、障害物の左右どちらにも避けて進めるような場合に、障害物の左側及び右側のいずれの進路も歩行者の移動進路として予測されるため、歩行者の移動進路の予測が大きくずれることを防止できる。従って、歩行者の移動行動を高精度に推定することができる。
【0044】
本発明に係わる行動予測装置の第2実施形態を図8〜図12により説明する。図8は、本発明に係わる行動予測装置の第2実施形態において歩行者進路予測部7により実行される処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0045】
同図において、まず図2に示す処理と同様に、手順S101,S102を実行する。続いて、手順S102で得られた確率密度マップを混合正規分布で表現する(手順S111)。図9は、図5に示す確率密度マップを混合正規分布で表現したものである。混合正規分布は、図10に示すように、複数の正規確率分布の組み合わせで表現される。
【0046】
続いて、混合正規分布のパラメータを求める(手順S112)。混合正規分布のパラメータとしては、正規確率分布の中心値μ、広がりσ、高さwがある。これらのパラメータは、既知のEMアルゴリズムを用いて求められる。wは、図10に示すように、各正規分布の高さに依存して決まる重み値である。この重み値が大きくなるほど、歩行者が当該分布に従った動きをする可能性が高くなる。
【0047】
続いて、混合正規分布のパラメータから、歩行者の次の速度ベクトル(予測移動進路)を求める(手順S113)。そして、全ての歩行者について次の速度ベクトルを求めたかどうかを判断し(手順S114)、全ての歩行者について次の速度ベクトルを求めていないときは、上記手順S101に戻る。
【0048】
例えば図11に示すように、歩行者A,Bが居るとする。この時点での歩行者Aの次の速度ベクトルは、2つの正規分布を有する混合正規分布で表されるとする。このため、2つの正規分布の中央値μに対応する速度ベクトルが、歩行者Aが次に進む可能性がある2つの進路候補を示すものとなる。これらの速度ベクトルをs、sとする。また、この時点での歩行者Bの次の速度ベクトルも、2つの正規分布を有する混合正規分布で表されるとする。このため、上記と同様に、歩行者Bが次に進む可能性がある進路候補を示す2つの速度ベクトルが得られる。これらの速度ベクトルをt、tとする。
【0049】
手順S114において全ての歩行者について次の速度ベクトルを求めたと判断されたときは、任意の歩行者及びその周囲の歩行者の動きに関する複数の組み合わせを考え、これらの重み値の積を算出する(手順S115)。そして、複数の組み合わせから、重み値の積が大きい上位m個のものを選択する(手順S116)。
【0050】
図11に示す例では、歩行者A,Bがいずれも2通りの速度ベクトルで進むため、次の単位時間に歩行者A,Bが到達する位置はいずれも2通りとなる。このため、歩行者A,Bの単位時間後のとりうる位置の組み合わせは、2×2=4通りになる。このとき、速度ベクトルs,s,t,tの重み値をw(s1),w(s2),w(t1),w(t2)とすると、4通りの組み合わせにおける重み値の積は、w(s1)×w(t1)、w(s1)×w(t2)、w(s2)×w(t1)、w(s2)×w(t2)で算出される。
【0051】
そして、4通りの組み合わせパターンから、重み値の積が大きいm個(例えば2つ)のパターンを選択する(図12参照)。これにより、歩行者A,Bが単位時間後にとりうる位置の組み合わせとして、2通りのパターンを残すことができる。
【0052】
続いて、上記手順S101,S102,S111〜S116の処理が規定回数繰り返されたかどうかを判断し(手順S117)、これらの処理が規定回数繰り返されていないときは、手順S101に戻る。
【0053】
これにより、図12に示すように、選択された2つのパターンに対して、新しい確率密度マップが求められ、この確率密度マップが混合正規分布で表現され、各歩行者の次の単位時間の位置が計算されるようになる。
【0054】
一方、上記手順S101,S102,S111〜S116の処理が規定回数繰り返されたときは、所定時間後までの歩行者の複数の予測移動進路を出力表示器4に出力する(手順S108)。
【0055】
なお、上記の処理手順では、隣接する歩行者同士の動きに関する複数の組み合わせパターンから、重み値の積が大きい上位m個のパターンを選択するようにしたが、重み値の積が所定値以上であるパターンを選択しても良い。
【0056】
以上において、上記手順S111は、確率密度マップを混合正規分布で表現する混合正規分布生成手段を構成する。上記手順S112は、混合正規分布のパラメータを求めるパラメータ取得手段を構成する。上記手順S113〜S117は、確率密度マップ作成手段により作成された確率密度マップを用いて、移動体の進路を予測する進路予測手段を構成する。
【0057】
以上のような本実施形態においては、確率密度マップに合った混合正規分布のパラメータを求め、そのパラメータに基づいて複数の歩行者の次の速度ベクトルを求めるようにしたので、各歩行者に対して複数の予測移動進路を得ることができる。
【0058】
このとき、任意の歩行者とその周囲の歩行者の動きに関する複数の組み合わせパターンから、常に重み値の積が大きい上位m個のパターンだけを選択し、各歩行者の次の速度ベクトルを再度求めるので、計算量を減らし、計算時間の増大を抑えることができる。
【0059】
なお、本実施形態において、最終的に求めた複数の予測移動進路における各時刻での重み値を予測移動進路毎に合計し、その合計値が大きい上位数個のみを出力させるようにしても良い。また、求められた予測移動進路には重み値が対応しているため、後段でその重み値を利用した処理を行うことも可能である。
【0060】
ところで、本実施形態では、EMアルゴリズムを用いて混合正規分布のパラメータを求めたが、EMアルゴリズムは繰り返し演算により収束させていくタイプのアルゴリズムであるため、計算量が多くならざるを得ない。従って、EMアルゴリズム以外の方法で簡易に混合正規分布のパラメータを求めるのが望ましい。
【0061】
図13は、簡易な方法で混合正規分布のパラメータを求める処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0062】
同図において、まず確率密度マップを例えば10×10に離散化し、その離散化マップにおける極大点を抽出する(手順S121)。このとき、離散化マップにおいて、注目する点の値が前後左右の各点の値よりも大きい場合は、その注目点が極大点となる。なお、極大点の数としては、上位k個に限定しても良い。
【0063】
例えば、図14(a)に示す確率密度マップを離散化すると、図14(b)に示すような離散化マップが得られる。なお、図14では、マップが二次元的に簡略化して表されている。そして、離散化マップにおいて極大点E,Eが抽出される。
【0064】
続いて、離散化マップにおける極大点の中心を初期値とし、離散化される前の確率密度マップ上において、準ニュートン法等を用いて極大点を求める(手順S122)。なお、非線形の最適化手法であれば、準ニュートン法に限らずどのような解法を用いても良い。この時に得られた極大点が、混合正規分布の一つの正規分布の中央値μとなる(図14参照)。
【0065】
続いて、離散化マップにおける極大点の周囲の点を見る。極大点の周囲の点は、極大点の値よりも小さいので、それを極大点と同じグループとしてラベル付けする。そして、新しくラベル付けされた点の周囲を同様に見て、値が小さいものを順次ラベル化していく。これにより、1つの極大点を含み、その周囲の点が連結された領域が出来上がる。全ての極大点について、同様のことを行う。そして、これら極大点を含む領域から、離散化される前の確率密度マップの分散協分散行列σを求める(手順S123)。
【0066】
続いて、手順S122で得られた正規分布の中央値μと手順S123で得られた確率密度マップの分散協分散行列σとから、正規分布の高さwを求める(手順S124)。このとき、正規分布と確率密度マップとの差が最も小さくなるような高さwを求める。正規分布と確率密度マップとの差としては、正規分布上の点と確率密度マップ上の点との差の二乗和等が用いられる。
【0067】
以上の手順により、混合正規分布のパラメータを少ない計算量で簡単に求めることができる。この方法で得られる混合正規分布のパラメータは厳密ではないが、歩行者の行動を予測するタスクにおいては十分実用的であることが、実験により確認されている。
【0068】
本発明に係わる行動予測装置の第3実施形態を図15〜図19により説明する。図15は、本発明に係わる行動予測装置の第3実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【0069】
同図において、本実施形態の歩行者移動推定装置1のECU3は、上記の画像処理部5、記憶部6及び歩行者進路予測部7に加え、複数の歩行者が1つの集団(グループ)に属するかどうかを判定する集団判定部8を有している。
【0070】
図16は、集団判定部8により実行される処理手順の詳細を示すフローチャートである。グループを形成している歩行者同士は、お互いに会話している場合が多く、その場合には、歩行者同士はお互いに顔を向かい合わせている。また、グループを形成している歩行者同士は、お互いに手をつないでいる場合もある。
【0071】
そこで、同図において、まず画像処理部5で生成された画像フレームに基づいて、複数の歩行者の顔向き及び位置を検出する(手順S131)。続いて、各歩行者間の距離が所定値以下であり、且つ各歩行者の顔が互いに向かい合っているかどうかを判断する(手順S132)。
【0072】
各歩行者間の距離が所定値以下であり、且つ各歩行者の顔が互いに向かい合っているときは、各歩行者はグループを形成していると判定する(手順S133)。従って、2人の歩行者が所定値以下の距離を保って顔を向かい合わせているときは、両歩行者はグループを形成していると判定される。また、これら2人の歩行者の一方または両方と別の歩行者とが、同様に所定値以下の距離を保って顔を向かい合わせているときは、3人の歩行者はグループを形成していると判定される。
【0073】
手順S132を満足しないときは、歩行者同士が手をつないでいるかどうかを判断する(手順S134)。この判断は、例えば図17に示すように、歩行者P,Pの間の領域Vについて、予め学習によって得られた手をつないだパターンと照合することにより行う。パターン照合の手法としては、V&J法やHOG等を用いることができる。
【0074】
歩行者同士が手をつないでいるときは、各歩行者はグループを形成していると判定する(手順S133)。一方、歩行者同士が手をつないでいないときは、各歩行者はグループを形成していないと判定する(手順S135)。
【0075】
図18は、集団判定部8により実行される他の処理手順の詳細を示すフローチャートである。グループを形成している歩行者同士は、一定時間以上、一定の距離以下にいると推定される。
【0076】
そこで、同図において、まず画像処理部5で生成された画像フレームに基づいて、複数の歩行者の位置を検出する(手順S141)。続いて、各歩行者間の距離が所定値以下になる状況が所定時間(例えば3秒間)連続したかどうかを判断する(手順S142)。
【0077】
各歩行者間の距離が所定値以下になる状況が所定時間連続したときは、各歩行者はグループを形成していると判定し(手順S143)、各歩行者間の距離が所定値以下になる状況が所定時間連続しないときは、各歩行者はグループを形成していないと判定する(手順S144)。
【0078】
従って、図19(a)に示すように、歩行者P,P間の距離が所定値以下である状況が長い時間続く場合には、歩行者P,Pはグループを形成していると判定される。一方、図19(b)に示すように、歩行者P,P間の距離が所定値以下である状況が長い時間続かない場合には、歩行者P,Pはグループを形成していないと判定される。
【0079】
図15に戻り、歩行者進路予測部7は、集団判定部8によって複数の歩行者が1つのグループを形成していると判定されたときは、そのグループを仮想的な一人の歩行者と捉えて進路を予測する。この時の進路予測は、上述した第1実施形態または第2実施形態と同様に行う。
【0080】
以上において、集団判定部8は、移動体検出手段により移動体が複数検出されたときに、複数の移動体が一つの集団に属するかどうかを判定する集団判定手段を構成する。
【0081】
以上のように本実施形態においては、複数の歩行者が一つの集団に属するときは、当該集団を一人の歩行者と仮定して進路を予測するので、家族や友人等のように複数の歩行者がまとまって一つのグループとして行動するような場合に、各歩行者の移動進路の予測を誤ってしまうことを防止できる。
【0082】
本発明に係わる行動予測装置の第4実施形態を図20〜図22により説明する。図20は、本発明に係わる行動予測装置の第4実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【0083】
同図において、本実施形態の行動予測装置1のECU3は、図15に示す集団判定部8及び歩行者進路予測部7に代えて、集団判定・歩行者進路予測部9を有している。
【0084】
図21は、集団判定・歩行者進路予測部9により実行される処理手順の詳細を示すフローチャートである。同図において、まず複数の歩行者の移動進路の初期値を求める(手順S151)。この移動進路の初期値の算出は、上記の第1実施形態または第2実施形態と同様に、歩行者に関する環境マップを用いて行う。
【0085】
続いて、条件付き確率場のグラフモデルを用いて、各歩行者が一つの集団に属するかどうかの判定と各歩行者の移動進路の予測とを同時に行う(手順S152)。
【0086】
図22は、条件付き確率場のグラフモデルの一例を示したものである。図22において、Φは、歩行者Pの動き及び外見上の特徴を表す項である。Ψは、2人の歩行者Pの位置及び向きの関係を表す項である。Υは、その2人の歩行者Pがグループを形成しているかどうかを表す項である。χは、2者−2者のグループに共通する1人の歩行者Pが含まれている場合に3人の歩行者Pを含むグループであることを確認する項である。
【0087】
これらの項を定式化すると、以下のようになる。
【数2】


なお、Φ、Υ、Ψ、χは、確率を出力する関数である。
【0088】
上記式において、Hは歩行者の予測進路を表し、Lは歩行者同士のグループ状態を表し、Iは入力される画像列を表し、Θは観測されるパラメータを表している。ここで、I及びΘが与えられたときに、logPが最も大きくなるようなH及びLを求めるのが、上記式の意味するところである。
【0089】
上記式の各項は、以下のように表される。
【数3】


Φmotionは歩行者の動きを表し、Φappは歩行者の外見上の特徴を表している。Θspeedは歩行者の速度を表し、Θappは歩行者の確からしさを表している。Ψposは2人の歩行者の位置関係を表し、Ψangは2人の歩行者の向きの関係を表している。
【0090】
なお、2人の歩行者がグループを形成しているかどうかを表すΥの項、3人の歩行者を含むグループであることを確認するχの項は、「0」または「1」となる。また、上記式の最後の項(logZ(I,Θ))は調整項である。
【0091】
ここで、代表して上記(A)式の右辺第1項のΦmotion(h|Θspeed)について詳細に説明する。
【0092】
iは、対象となる各歩行者を表す番号である。場面に歩行者が全部でn人居るとすると、上記(A)式の右辺第1項のΣは、
【数4】


を意味する。つまり、各歩行者についての確率を計算し、その確率を全部足し合わせて場面全体の確率を計算する。
【0093】
は、歩行者iの未来の進路であり、単位時間経過毎の位置の変化を意味し、h={p,p,…,p}と表される。なお、添え字は時間ステップである。単位時間を0.2secとし、10ステップ繰り返すとすると、h={p0.2,p0.4,…,p1.8,p2.0}のように表現することもできる。なお、添え字は経過時間を表す。ここで、pは場所を表すので、歩行者が平面上を移動するのであれば、p={x,y}のように座標で表現される。
【0094】
パラメータとして与えられるΘspeedは、hから求められる各単位時間経過時点での歩行者iの速度である。つまり、Θspeedは、歩行者iの0.2秒後の速度、0.4秒後の速度、…、2.0秒後の速度を意味する。hは、各単位時間経過毎の歩行者iの位置を表しているので、その時点での速度も計算できる。
【0095】
さて、Φmotion(h|Θspeed)は、Θspeedが与えられたときに、その時の進路がhである確率を意味する。その確率は、各歩行者の歩行速度と向きの関係を過去の観測結果から求めておくことで得られる。これは、特に詳述はしないが、上記(B)式として定義される。つまり、仮定されたhがどれだけ起こり得るかの確率を歩行者毎に求め、全ての歩行者についての確率を足し合わせる。この足し合わせた確率が最大になるということは、その場面で最も起こり得る確率が高いということであるため、その時に得られるhが真に求めたい進路ということになる。
【0096】
Φmotion、Φapp、Ψpos、Ψangは、全てhに依存して値が変わる関数であるため、それぞれの確率を足し合わせたときに最大になる場合に、その場面で最も起こり得る確率が高いh、つまりΦmotion、Φapp、Ψpos、Ψang全ての要素が考慮された最も適切なhということになる。
【0097】
グループの状態についても同様に確率関数が定義され、Υ、Ψpos、Ψang、χで表される確率がグループの状態によって変わることとなる。
【0098】
上記のように、各歩行者の未来の進路と歩行者同士のグループの状態とによって確率が変わる関数を用意し、その全ての確率を足し合わせたものを、更に全ての歩行者について足し合わせたものが最大となるような、進路とグループの状態とを求めるのが、上記(A)式の意味するところである。
【0099】
そして、このような式を解く演算手法としては、例えばDual Decomposition法等といった既存の手法が利用される。
【0100】
以上において、集団判定・歩行者進路予測部9は、確率密度マップ作成手段により作成された確率密度マップを用いて、移動体の進路を予測する進路予測手段を構成する。
【0101】
以上のように本実施形態においては、条件付き確率場のグラフモデルを用いることで、各歩行者の移動進路の予測と、各歩行者が一つのグループに属しているか否かの判定とを、同時に行うことができる。これにより、各歩行者が一つのグループに属しているか否かの判定のみに要する時間が省略されるため、複数の歩行者がグループで行動するときの移動進路を短い時間で効率良く予測することができる。
【0102】
なお、本実施形態では、演算を速く行うために、上述した環境マップを用いて複数の歩行者の移動進路の初期値を求めたが、特にその手法には限られず、複数の歩行者の移動進路の初期値についても、条件付き確率場のグラフモデルを用いて求めるようにしても良い。
【0103】
以上、本発明に係わる環境マップ作成装置及び方法、行動予測装置及び方法の好適な実施形態について幾つか説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0104】
例えば上記実施形態は、歩行者に関する環境マップを作成し、その歩行者の行動を予測するものであるが、歩行者以外の移動体に関する環境マップを作成し、その移動体の行動を予測するようにしても良い。
【0105】
また、上記実施形態では、カメラ2により取得した撮像画像から歩行者を検出したが、これ以外にも、レーザレーダやミリ波レーダ等のセンサやGPS等により歩行者等の移動体を検出しても良い。
【符号の説明】
【0106】
1…行動予測装置、2…カメラ(移動体検出手段)、3…ECU、4…画像処理部(移動体検出手段)、7…歩行者進路予測部(確率密度マップ作成手段、混合正規分布生成手段、パラメータ取得手段、進路予測手段)、8…集団判定部(集団判定手段)、9…集団判定・歩行者進路予測部(進路予測手段)。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に関する環境マップを作成する環境マップ作成装置であって、
前記移動体を検出する移動体検出手段と、
前記移動体検出手段により検出された前記移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを前記環境マップとして作成する確率密度マップ作成手段とを備えることを特徴とする環境マップ作成装置。
【請求項2】
前記確率密度マップを混合正規分布で表現する混合正規分布生成手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の環境マップ作成装置。
【請求項3】
前記移動体検出手段により前記移動体が複数検出されたときに、前記複数の移動体が一つの集団に属するかどうかを判定する集団判定手段を更に備え、
前記確率密度マップ作成手段は、前記集団判定手段により前記複数の移動体が一つの集団に属すると判定されたときは、当該集団を一つの移動体として、前記確率密度マップを作成することを特徴とする請求項1または2記載の環境マップ作成装置。
【請求項4】
移動体の行動を予測する行動予測装置であって、
前記移動体を検出する移動体検出手段と、
前記移動体検出手段により検出された前記移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを作成する確率密度マップ作成手段と、
前記確率密度マップ作成手段により作成された前記確率密度マップを用いて、前記移動体の進路を予測する進路予測手段とを備えることを特徴とする行動予測装置。
【請求項5】
前記進路予測手段は、前記確率密度マップ上に複数の仮説を配置して、前記移動体の進路を予測することを特徴とする請求項4記載の行動予測装置。
【請求項6】
前記確率密度マップを混合正規分布で表現する混合正規分布生成手段と、
前記混合正規分布のパラメータを求めるパラメータ取得手段とを更に備え、
前記進路予測手段は、前記移動体及び当該移動体に隣接する他の移動体に関する前記混合正規分布のパラメータに基づいて、前記移動体の進路を予測することを特徴とする請求項4記載の行動予測装置。
【請求項7】
前記パラメータ取得手段は、前記確率密度マップを離散化して得られる離散化マップに基づいて、前記混合正規分布のパラメータを求めることを特徴とする請求項6記載の行動予測装置。
【請求項8】
前記移動体検出手段により前記移動体が複数検出されたときに、前記複数の移動体が一つの集団に属するかどうかを判定する集団判定手段を更に備え、
前記確率密度マップ作成手段は、前記集団判定手段により前記複数の移動体が一つの集団に属すると判定されたときは、当該集団を一つの移動体として、前記確率密度マップを作成することを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項記載の行動予測装置。
【請求項9】
前記進路予測手段は、前記確率密度マップを用いて予測された移動体の進路を初期値とし、複数の移動体の状態を条件付き確率場でモデル化することにより、前記複数の移動体が一つの集団に属するかどうかの判定と同時に、前記複数の移動体の進路を予測することを特徴とする請求項4記載の行動予測装置。
【請求項10】
移動体に関する環境マップを作成する環境マップ作成方法であって、
前記移動体を検出するステップと、
前記移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを前記環境マップとして作成するステップとを含むことを特徴とする環境マップ作成方法。
【請求項11】
移動体の行動を予測する行動予測方法であって、
前記移動体を検出するステップと、
前記移動体の所定時間後の位置についての確率密度を表す確率密度マップを作成するステップと、
前記確率密度マップを用いて、前記移動体の進路を予測するステップとを含むことを特徴とする行動予測方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−58780(P2012−58780A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198212(P2010−198212)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(508188972)
【Fターム(参考)】