環境制御システムおよび環境制御プログラム
【課題】 人の眼の順応を考慮して、最適な環境制御を行うこと。
【解決手段】 所定の環境における光環境に影響を与える装置と、装置を制御する制御装置とからなる環境制御システムであって、制御装置は、所定の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する取得手段と、輝度画像に基づいて、環境における人の知覚の程度を表す見え方画像を生成する生成手段と、見え方画像に基づいて、環境における見え方の適切さを示す指標を算出する算出手段と、指標の値と予め定められた目標値とを比較することにより見え方の適切さ評価を行い、評価結果に基づいて装置を制御することにより、光環境を制御する制御手段とを備える。
【解決手段】 所定の環境における光環境に影響を与える装置と、装置を制御する制御装置とからなる環境制御システムであって、制御装置は、所定の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する取得手段と、輝度画像に基づいて、環境における人の知覚の程度を表す見え方画像を生成する生成手段と、見え方画像に基づいて、環境における見え方の適切さを示す指標を算出する算出手段と、指標の値と予め定められた目標値とを比較することにより見え方の適切さ評価を行い、評価結果に基づいて装置を制御することにより、光環境を制御する制御手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境制御システムおよび環境制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、照度センサや輝度センサを用いて照明を制御する方法が考えられている。例えば、特許文献1の発明では、照度計により屋外の日射状態を取得し、取得した日射状態と照明の状態等に基づいてシミュレートを行って、遮蔽手段の開閉度を調節する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−120090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人の眼には順応という能力がある。そのため、ある環境の光に慣れ、光があふれた環境(例えば昼の屋外環境)では、大量の光が供給されてもあまり明るく感じられないのに対し、光の少ない環境(例えば夜の暗い環境)では、少しの光があればとても明るく感じられることになる。つまり、光に対する人の反応(不快か、眩しいかなど)は、その人の眼がどのような状態に順応しているかによって変化するため、照度や輝度といった物理量だけでは予測できない。しかしながら、従来技術では眼の順応状態を計算によって推測することができず、人の評価に合わせて適切に照明を制御することができなかった。一方、順応の状況を加味した明るさ尺度値や知覚色を用いれば、光に対する反応を正しく推測することができ、人にとって好ましい制御が可能となる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、人の眼の順応を考慮して、最適な環境制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の環境制御システムは、所定の環境における光環境に影響を与える装置と、前記装置を制御する制御装置とからなる環境制御システムであって、前記制御装置は、所定の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する取得手段と、前記輝度画像に基づいて、前記環境における人の知覚の程度を表す見え方画像を生成する生成手段と、前記見え方画像に基づいて、前記環境における見え方の適切さを示す指標を算出する算出手段と、前記指標の値と予め定められた目標値とを比較することにより見え方の適切さ評価を行い、評価結果に基づいて前記装置を制御することにより、前記光環境を制御する制御手段とを備える。
【0007】
なお、前記光環境に影響を与える前記装置は、照明の光量と光色との少なくとも一方を変更可能な照明装置と、表示装置と、前記環境への導入光量を変更可能な遮光装置との少なくとも1つを含んでも良い。
【0008】
また、前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記照明装置を含み、前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記照明装置の前記光量と前記光色との少なくとも一方を変更しても良い。
【0009】
また、前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記表示装置を含み、前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記表示装置の表示における明るさと色味との少なくとも一方を変更しても良い。
【0010】
また、前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記遮光装置を含み、前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記遮光装置による前記導入光量を変更しても良い。
【0011】
また、前記生成手段は、前記見え方画像として、明るさ画像と、知覚色画像と、グレア画像と、視認性画像との少なくとも1つを生成しても良い。
【0012】
また、前記生成手段は、前記輝度画像のウェーブレット分解を行い、J個(Jは2以上の整数)のサブバンド画像を生成し、予め定めた輝度と明るさ感との関係に基づいて、前記サブバンド画像の画素ごとに輝度の値を明るさ感の値に変換し、前記輝度の値が前記明るさ感の値に変換されたK個(Kは2以上の整数;K≦J)のサブバンド画像のウェーブレット合成を行うことにより、前記明るさ画像を生成しても良い。
【0013】
また、前記生成手段は、心理物理色の分布を表す画像である前記輝度画像に基づいてウェーブレット分解を行い、1段階以上の分解レベルのサブバンド画像を生成し、予め定めた心理物理色と知覚色との関係に基づいて、前記サブバンド画像の各画素の値を心理物理色の値から知覚色の値に変換し、変換後の1段階以上の分解レベルのサブバンド画像に基づいてウェーブレット合成を行うことにより、知覚色の分布を表す画像として前記知覚色画像を生成しても良い。
【0014】
また、前記生成手段は、前記明るさ画像に視点を設定し、前記明るさ画像のうち前記視点の周囲に位置する画素から前記視点への明るさの寄与に基づいて、前記視点におけるグレア評価値を算出し、算出した前記グレア値に基づいて、前記グレア画像を生成しても良い。
【0015】
また、前記生成手段は、前記輝度画像に含まれる複数の空間周波数成分を抽出するウェーブレット分解を行い、抽出した前記複数の空間周波数成分各々の各画素における前記空間周波数成分の変化率を示す1次微分量を算出し、前記複数の空間周波数成分各々の前記1次微分量を用いてウェーブレット合成を行うことにより、前記視認性画像を生成しても良い。
【0016】
また、前記算出手段は、前記見え方画像の全体に基づいて、光の不足感を示す前記指標を算出しても良い。
【0017】
また、前記算出手段は、前記見え方画像のうち、所定の領域に基づいて、光の不足感を示す前記指標を算出しても良い。
【0018】
また、前記制御手段は、前記光環境に影響を与える前記装置として、昼光にかかわる装置と、それ以外の装置とを含む複数の装置を有する場合に、前記昼光を、前記昼光以外の光よりも優先的に前記環境に取り込むように複数の前記装置を制御しても良い。
【0019】
なお、上記発明に関する構成を、所定の環境における光環境に影響を与える装置と、装置を制御する制御装置とからなる環境制御システムを制御する環境制御プログラムに変換して表現したものも本発明の具体的態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、人の眼の順応を考慮して、最適な環境制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態の環境制御システムの構成を示すブロック図
【図2】第1実施形態の環境について説明する図
【図3】第1実施形態の環境について説明する上面図
【図4】第1実施形態の環境制御システムの動作を示すフローチャート
【図5】照明条件と照度との関係を示すグラフ
【図6】明るさ尺度値について説明する図
【図7】照明条件と明るさ尺度値との関係を示すグラフ
【図8】不足感について説明する図
【図9】第2実施形態の環境制御システムの構成を示すブロック図
【図10】第2実施形態の環境について説明する図
【図11】第2実施形態の環境について説明する上面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、図面を用いて本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の環境制御システムの構成例を示すブロック図である。第1実施形態では、所定の環境として、屋内の環境における光環境を制御する環境制御システムを例に挙げて説明する。
【0023】
第1実施形態の環境制御システムは、コンピュータ11と、カメラ31と、照明部41と、ブラインド51とから構成される。
【0024】
コンピュータ11は、カメラ31と有線または無線で相互に接続され、カメラ31を制御するとともに、カメラ31により生成される画像の画像データを取得する。また、コンピュータ11は、照明部41の各部およびブラインド51と有線または無線で接続され、照明部41の各部およびブラインド51を制御する。
【0025】
コンピュータ11は、環境制御システムの各部を制御する制御プログラムがインストールされたコンピュータである。コンピュータ11は、図1に示すように、データ読込部12、記憶装置13、CPU14、メモリ15および入出力I/F16、バス17を有している。データ読込部12、記憶装置13、CPU14、メモリ15および入出力I/F16は、バス17を介して相互に接続されている。さらに、コンピュータ11には、入出力I/F16を介して、入力デバイス18(キーボード、ポインティングデバイスなど)とモニタ19とがそれぞれ接続されている。なお、入出力I/F16は、入力デバイス18からの各種入力を受け付けるとともに、モニタ19に対して表示用のデータを出力する。
【0026】
データ読込部12は、画像のデータや、上記の制御プログラムを外部から読み込むときに用いられる。例えば、データ読込部12は、着脱可能な記憶媒体からデータを取得する読込デバイス(光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスクの読込装置など)や、公知の通信規格に準拠して外部の装置と通信を行う通信デバイス(USBインターフェース、LANモジュール、無線LANモジュールなど)で構成される。
【0027】
記憶装置13は、例えば、ハードディスクや、不揮発性の半導体メモリなどの記憶媒体で構成される。記憶装置13には、制御プログラムや、プログラムの実行に必要となる各種のデータが記録されている。
【0028】
CPU14は、コンピュータ11の各部を統括的に制御するプロセッサである。このCPU14は、上記の制御プログラムの実行によって、見え方画像生成部21と、見え方指標算出部22と、評価部23としてそれぞれ機能する(見え方画像生成部21、見え方指標算出部22、評価部23の各動作は後述する)。
【0029】
メモリ15は、制御プログラムでの各種演算結果を一時的に記憶する。このメモリ15は、例えば揮発性のSDRAMなどで構成される。
【0030】
カメラ31は、上述した屋内の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得するための装置である。カメラ31は、ある特定の方向から入射する光を計る輝度センサ、入射する光の総量を計る照度センサ等を備え、輝度画像を生成する。
【0031】
照明部41およびブラインド51は、屋内の環境における光環境に影響を与える各装置である。
【0032】
照明部41は、蛍光灯A42、蛍光灯B43、蛍光灯C44、蛍光灯D45、フロアライト46、タスクライト47の各部を備える。なお、照明部41の各部における照明の光量は、コンピュータ11により制御可能である。
【0033】
ブラインド51は、屋内の環境への導入光量を変更可能な遮光装置である。なお、ブラインド51は、上下方向に昇降可能であるとともに、複数のスラットを有し、スラットの角度を変更することが可能である。ブラインド51による導入光量は、上述した昇降およびスラットの角度変更をコンピュータ11により制御することで変更可能である。
【0034】
上述した屋内の環境について、図2および図3を参照して説明する。第1実施形態では、屋内の環境として、図2および図3に示すオフィス内の光環境を制御する場合を例に挙げて説明する。
【0035】
図2に示すように、オフィスには正面にデスクDが配置され、デスクDに向かって右側の壁面に窓Wが配置される。また、天井には、上述した蛍光灯A42〜蛍光灯D45が設置される。さらに、デスクDに向かって左側前方の床面には、上述したフロアライト46が配置され、デスクDの左側側面近傍には、上述したタスクライト47が配置される。
【0036】
図3は、図2に示したオフィスの上部からの見取り図である。図3に示すように、カメラ31は、蛍光灯D45の下部に、デスクDに向かって配置される。また、窓Wに沿ってブラインド51が配置される。
【0037】
カメラ31は、図2および図3に示すオフィスの環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する装置である。なお、本環境制御システムは、作業者の視野における光環境を制御するためのものであるため、カメラ31の配置位置および配置の向きは、上述した作業者の視野に対応するものであることが好ましい。また、図3は、カメラ31により取得される輝度画像の画角に対応するオフィスの範囲を図示したものである。
【0038】
なお、窓Wからの昼光は、時刻や天候の変化、季節の違いによって流入量が時々刻々変化する。そのため、カメラ31により取得される輝度画像は刻々と変化する。
【0039】
以上説明した構成の環境制御システムの動作について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0040】
ステップS1において、CPU14は、入出力I/F16を介してカメラ31を制御して輝度画像を取得し、カメラ31により取得した輝度画像を入出力I/F16を介して取り込む。
【0041】
ここで、輝度画像とは、例えば、XYZ表色系とL*a*b* 表色系とのうち、心理物理色の表色系(測光量を基準にした表色系)の1つであるXYZ表色系に関する画像である。輝度画像は、心理物理色の分布を表す画像であり、例えば、3刺激値(X,Y,Z)の各々に対応する3枚の画像(X画像,Y画像,Z画像)である。
【0042】
ステップS2において、CPU14は、ステップS1で取得した輝度画像に基づいて、見え方画像生成部21により、見え方画像を生成する。ここで、見え方画像生成部21は、見え方画像として、明るさ画像を生成する。見え方画像生成部21は、輝度画像のウェーブレット分解を行い、J個(Jは2以上の整数)のサブバンド画像を生成し、予め定めた輝度と明るさ感との関係に基づいて、サブバンド画像の画素ごとに輝度の値を明るさ感の値に変換し、輝度の値が前記明るさ感の値に変換されたK個(Kは2以上の整数;K≦J)のサブバンド画像のウェーブレット合成を行うことにより、明るさ画像を生成する。なお、輝度画像に基づいて明るさ画像を生成する具体的な方法については、発明者らが再公表WO2006/132014において詳細に開示している。
【0043】
ステップS3において、CPU14は、ステップS2で生成した見え方画像に基づいて、見え方指標算出部22により、見え方指標を算出する。ここで、見え方指標算出部22は、見え方指標として、明るさ尺度値と、光の不足感とを算出する。
【0044】
見え方指標算出部22は、ステップS2において、以下の(a)および(b)の2つの指標を算出する。
【0045】
(a)明るさ尺度値(NB)
見え方指標算出部22は、1つ目の指標として、図2および図3を参照して説明したオフィス内に配置されたデスクDの机上に置かれた紙面(図2中紙面P参照)を対象に上述した明るさ尺度値を算出する。ここで、紙面Pは、作業者による主な視対象の一例である。また、明るさ尺度値は、作業者が上述した紙面Pの文字を見た時に、光の不足を感じるかどうかの程度を示す指標である。
【0046】
図5は、作業者の視野内の輝度分布と、紙面Pの文字を見て作業者が作業をする際に、光の不足を感じないぎりぎりの机上面の照度との関係を示すグラフである。図5に示す照明条件1から5は、複数の照明装置(本実施形態では蛍光灯A42〜蛍光灯D45、フロアライト46、タスクライト47)の照明内容や、遮光装置(本実施形態では、ブラインド51)による遮光の条件の組み合わせを様々に変化させた複数の照明条件(輝度条件)である。照明条件を変更すると、上述した作業者の視野内の輝度分布も変化する。図5に示すように、照明条件1から5において、光の不足を感じないぎりぎりの机上面の照度は200lxから500lx程度の範囲で変化する。
【0047】
明るさ尺度値は、ステップS2で生成した明るさ画像の画素値(明るさ感の値)である。本実施形態において明るさ尺度値は、1〜13の範囲の連続的な数値(1〜13)として得られる。明るさ尺度値1が最も暗く(非常に暗い)、明るさ尺度値13が最も明るい(非常に明るい)ことを示す。図6に、明るさ尺度値と、明るさ尺度値が示す明るさ感との関係を例示する。
【0048】
図7は、図5で説明した照明条件1から5と、明るさ尺度値との関係を示すグラフである。図7に示すように、明るさ画像から求めた明るさ尺度値は、照明条件、すなわち、輝度分布の違いにかかわらず、略一定の値(8.5〜9.5程度)を示す。そのため、明るさ尺度値を用いて、紙面Pの文字を見て作業をする際の、見え方の適切さを評価することができる(詳細は後述する)。
【0049】
見え方指標算出部22は、ステップS2で生成した明るさ画像の各画素から代表値を算出し、明るさ尺度値(NB)とする。なお、代表値は、平均値、最大値、最小値等であっても良いし、標準偏差、分布のひずみ度、分布のとがり度、ヒストグラムなどに基づいて算出されても良い。
【0050】
(b)不足感F
見え方指標算出部22は、2つ目の指標として、図2および図3を参照して説明したオフィス全体を対象に、上述した不足感Fを算出する。不足感Fは、作業者が上述したオフィス全体を眺めた時に、光の不足を感じるかどうかの程度を示す指標である。
【0051】
見え方指標算出部22は、まず、ステップS2で生成した明るさ画像に基づいて、以下の3つの値を画像内領域率として算出する。
・AR4〜6(%)・・・明るさ尺度値が4〜6(NB)である領域の、全体に対する面積比
・AR6〜7(%)・・・明るさ尺度値が6〜7(NB)である領域の、全体に対する面積比
・AR7〜8(%)・・・明るさ尺度値が7〜8(NB)である領域の、全体に対する面積比
上述した図6に、各画像内領域率と明るさ尺度値との対応関係を示す。
【0052】
次に、見え方指標算出部22は、算出した3つの画像内領域率の値に基づいて、不足感Fを算出する。評価部23は、算出した3つの画像内領域率のうち、AR4〜6<62.5(%)である場合には、次式に基づいて、不足感Fを算出する。
【0053】
【数1】
一方、算出した画像内領域率のうち、AR4〜6≧62.5(%)である場合には、評価部23は、次式に基づいて、不足感Fを算出する。
【0054】
【数2】
式1および式2において、各項の値は予め実験により求められる値である。
【0055】
本実施形態の不足感Fは、0〜6の範囲の連続的な数値(0〜6)として得られる。不足感F=6である場合が最も暗く(不足感を非常に感じる)、不足感F=0である場合が最も明るい(不足感を感じない)ことを示す。図8に、不足感Fと、不足感Fが示す程度との関係を例示する。この不足感Fを用いて、オフィス全体に関する見え方の適切さを評価することができる(詳細は後述する)。
【0056】
ステップS4において、CPU14は、ステップS3で算出した見え方指標に基づいて、評価部23により、見え方の評価を行う。
【0057】
(a)明るさ尺度値
評価部23は、ステップS3で算出した明るさ尺度値に基づいて、評価を行う。
【0058】
例えば、ステップS3で算出した明るさ尺度値が、9(NB)である場合、評価部23は、見え方が適切であると評価する。
【0059】
また、ステップS3で算出した明るさ尺度値が、9(NB)未満である場合、評価部23は、明るさが不十分であるため、見え方が不適切であると評価する。また、ステップS3で算出した明るさ尺度値が、9(NB)を超える場合、評価部23は、明る過ぎるため、見え方が不適切であると評価する。
【0060】
なお、上述の例では、明るさ尺度値が、9(NB)である場合に、見え方が適切であると評価する例を示したが、作業者の好みや、省エネルギーの度合などに応じて、適切と評価する明るさ尺度値の目標値を変更しても良い。また、適切と評価する明るさ尺度値に幅を持たせて、例えば、明るさ尺度値が、8.5〜9.5(NB)の範囲である場合に、見え方が適切であると評価しても良い。
【0061】
(b)不足感F
評価部23は、ステップS3で算出した不足感Fに基づいて、評価を行う。
【0062】
例えば、ステップS3で算出した不足感Fが、2未満である場合、評価部23は、見え方が適切であると評価する。
【0063】
一方、ステップS3で算出した不足感Fが、2以上である場合、評価部23は、明るさが不十分であるため、見え方が不適切であると評価する。
【0064】
なお、上述の例では、不足感Fが、2未満である場合に、見え方が適切であると評価する例を示したが、作業者の好みや、省エネルギーの度合などに応じて、適切と評価する不足感Fの目標値を変更しても良い。
【0065】
ステップS5において、CPU14は、ステップS4で行った評価結果に基づいて、制御が必要か否かを判定する。CPU14は、制御が必要と判定するとステップS6に進み、制御が不要と判定すると後述するステップS8に進む。
【0066】
(a)明るさ尺度値
CPU14は、ステップS4で行った評価において、明るさが不十分であるか、または、明る過ぎるため、見え方が不適切であると評価した場合には、制御が必要と判定し、それ以外の場合には、制御不要と判定する。
【0067】
(b)不足感F
CPU14は、ステップS4で行った評価において、不足感Fが2以上であり、明るさが不十分であるため、見え方が不適切であると評価した場合には、制御が必要と判定し、それ以外の場合には、制御不要と判定する。
【0068】
ステップS6において、CPU14は、ステップS4で行った評価結果に基づいて、制御内容を決定する。
【0069】
ここで、CPU14が、制御内容として決定する項目は以下の通りである。
・蛍光灯A42〜蛍光灯D45の照明光量
・フロアライト46の照明光量
・タスクライト47の照明光量
・ブラインド51の昇降
・ブラインド51のスラットの角度
CPU14は、ステップS3で算出した見え方指標と、制御の対象となる環境ごとに予め定められた目標値とを比較することにより、上述した各項目の制御量を決定する。なお、上記した目標値は、制御の対象となる環境(オフィス、住宅(リビング、ダイニング、寝室など)、屋外の住宅街路、繁華街など)ごとに、予め実験などにより求めた見え方の適切さ評価に基づく値であり、光環境の設計仕様(設計目標値)に相当する。
【0070】
例えば、上述した明るさ尺度値が、9(NB)未満である場合、評価部23は、明るさが不十分であるため、ブラインド51を介した昼光の供給量を増やすようにスラットの角度を決定する。
【0071】
なお、CPU14は、各項目の制御量を決定する際に、昼光を、昼光以外の光(照明装置などによる人工光など)よりも優先的に環境に取り込むように、各項目の制御内容を決定する。すなわち、まず、自然光である昼光にかかわる装置の制御量を優先的に決定し、制御の不足分を昼光以外の光にかかわる装置に関する制御量で補う。このように制御内容を決定することにより、省エネルギーを実現しつつ、作業者にとって快適な光環境を実現することができる。
【0072】
例えば、第1実施形態においては、まず、ブラインド51の制御量を優先的に決定して明るさの向上に努め、それでも十分な明るさを得られない場合に、全般照明である蛍光灯A42〜蛍光灯D45や局部照明であるフロアライト46やタスクライト47の制御量を補足的に決定すると良い。
【0073】
ステップS7において、CPU14は、ステップS6で決定した制御内容にしたがって、照明部41の各部およびブラインド51の制御を行う。そして、制御を終了すると、ステップS1に戻る。すなわち、CPU14は、輝度画像の取得から各部の制御を繰り返し行う。
【0074】
ステップS5において、制御が不要であると判定すると、ステップS8において、CPU14は、所定の時間が経過したか否かを判定する。CPU14は、不図示のタイマにより、前回輝度画像を取得してから所定の時間が経過するまで待機し、所定の時間が経過したと判定するとステップS1に戻る。なお、所定の時間は、予め定められた時間であっても良いし、作業者により指定された時間であっても良い。
【0075】
図4のフローチャートを参照した一連の処理により、CPU14は、時々刻々と変化する光環境に応じた輝度画像を取得し、取得した輝度画像に基づいて照明部41やブラインド51を制御する。
【0076】
以上説明したように、第1実施形態によれば、所定の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得し、取得した輝度画像に基づいて、環境における人の知覚の程度を表す見え方画像を生成する。そして、生成した見え方画像に基づいて、環境における見え方の適切さを示す指標を算出し、算出した指標の値と予め定められた目標値とを比較することにより見え方の適切さ評価を行い、評価結果に基づいて、所定の環境における光環境に影響を与える装置を制御する。したがって、人の知覚の程度に応じた見え方画像に基づいて制御を行うことにより、人の眼の順応を考慮して、最適な環境制御を行うことができる。
【0077】
特に、第1実施形態によれば、天候や日時によって光量や光色が変化する昼光が流入する環境など、どのような環境であっても、その環境で必要とされる適切な見え方を、常時実現することができる。
【0078】
また、第1実施形態によれば、光環境に影響を与える装置として、昼光にかかわる装置と、それ以外の装置とを含む複数の装置を有する場合に、昼光を、昼光以外の光よりも優先的に環境に取り込むように複数の装置を制御する。したがって、自然光である昼光を優先的に利用し、自然光以外の人工光の利用をなるべく抑えることにより、省エネルギーを実現しつつ、作業者にとって快適な光環境を実現することができる。一般に、昼光を導入しすぎると、環境内にいる人の眼の順応状態が上がり、人工光(常に点灯している照明装置や、輝度が一定の表示装置など)が暗く見え、適切な見え方にするために、これらの装置における明るさを明るく(光を強く)したいという要望が出ることがある。しかし、このような制御では、省エネルギーを意図して昼光を導入した意図に対して逆の効果が発生することになる。しかし、第1実施形態のように、見え方画像に基づいて制御を行うことにより、人の眼の順応を考慮して、光環境を制御することにより、その環境で必要とされる適切な見え方を、常時実現することができる。
【0079】
なお、第1実施形態では、輝度画像を取得する手段として、カメラ31を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、2次元色彩輝度計や、特性の異なる複数のセンサを有する撮像装置などであっても良い。また、カメラ31を備える代わりに照度センサなどのセンサを備え、その出力に基づいて輝度分布を推定することにより輝度画像を取得(生成)しても良い。
【0080】
また、第1実施形態では、環境制御システムに、1台のカメラを含む例を説明したが、2台以上のカメラを含む構成としても良い。このような場合には、複数のカメラにより取得した複数の輝度画像に基づいて、総合的な判定を行って光環境を制御すれば良い。
【0081】
さらに、第1実施形態では、カメラ31により取得される輝度画像の画角は固定である例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、太陽の日周運動に合わせてカメラ31の向きを変更しても良い。また、カメラ31がズーム機能を備える場合には、輝度画像の画角が適宜変化するように、ズーム処理を行っても良い。
【0082】
また、第1実施形態では、図4のフローチャートのステップS2において、見え方画像として明るさ画像を生成する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、明るさ画像以外の見え方画像として、知覚色画像、グレア画像、視認性画像などを生成しても良い。各画像の特徴や各画像を用いた制御について以下に示す。
【0083】
(A)知覚色画像
知覚色画像は、人の知覚の程度に応じた見え方画像の1つであり、上述した明るさ画像と、色感画像とからなる。色感画像とは、例えば、XYZ表色系とL*a*b* 表色系とのうち、知覚色の表色系(反射特性を基準にした表色系)の1つであるL*a*b*表色系に関する画像である。色感画像は、知覚色の分布を表す画像であり、例えば、知覚色度(a*b*)の各々に対応する2枚の画像(RG画像,BY画像)である。
【0084】
見え方画像生成部21は、輝度画像に基づいてウェーブレット分解を行い、1段階以上の分解レベルのサブバンド画像を生成し、予め定めた心理物理色と知覚色との関係に基づいて、サブバンド画像の各画素の値を心理物理色の値から知覚色の値に変換し、変換後の1段階以上の分解レベルのサブバンド画像に基づいてウェーブレット合成を行うことにより、知覚色の分布を表す画像として色感画像を含む知覚色画像を生成する。なお、色感画像を生成する具体的な方法については、発明者らが再公表WO2007/122766において詳細に開示している。
【0085】
なお、上述した再公表WO2007/122766においては、輝度画像から測光色画像を生成し、測光色画像に基づいて、上述した知覚色画像(明るさ画像と、色感画像とからなる)を生成する例が示されている。この測光色画像は、輝度画像から生成されても良いし、照度センサ、色温度センサなどの出力に基づいて生成されても良い。
【0086】
見え方指標算出部22は、生成した知覚色画像に基づいて、明るさ尺度値と同様の指標や、不足感Fと同様の見え方指標を算出し(図4ステップS3)、評価部23は、算出した指標に基づいて評価を行う(図4ステップS4)ことにより、第1実施形態と同様の処理を行うことができる。
【0087】
なお、CPU14は、制御内容を決定する(図4ステップS6)際には、照明装置の照明光量の代わりに照明装置による照明の色味を変更しても良いし、照明装置の照明光量に加えて、照明装置による照明の色味を変更しても良い。
【0088】
(B)グレア画像
グレア画像は、人の知覚の程度に応じた見え方画像の1つであり、上述した明るさ画像に基づいて生成される。グレア画像とは、まぶしさに関する画像である。見え方画像生成部21は、明るさ画像に視点を設定し、明るさ画像のうち視点の周囲に位置する画素から視点への明るさの寄与に基づいて、視点におけるグレア評価値を算出し、算出したグレア値に基づいて、グレア画像を生成する。なお、グレア画像を生成する具体的な方法については、発明者らが特開2007−292665号公報において詳細に開示している。
【0089】
見え方指標算出部22は、生成したグレア画像に基づいて、明るさ尺度値と同様の指標や、不足感Fと同様の見え方指標を算出し(図4ステップS3)、評価部23は、算出した指標に基づいて評価を行う(図4ステップS4)ことにより、第1実施形態と同様の処理を行うことができる。
【0090】
例えば、第1実施形態の図2および図3で例示したように、外部から昼光が入射する環境においては、外部の輝度が高すぎる場合や、直射日光が外部から入射する場合に、作業者はまぶしさを感じる。そこで、カメラ31により、例えば、窓近傍の輝度画像を常時取得し、取得した輝度画像からグレア画像を生成する。そして、生成したグレア画像に基づいて見え方評価値を算出し、見え方の評価を行うことにより、まぶしさを考慮した光環境の制御を行うことができる。なお、見え方の評価に際しては、例えば、グレア画像に基づくUGR値が所定の値(例えば、UGR値=18)以上である場合に、まぶし過ぎる(明る過ぎる)ため、見え方が不適切であると評価することができる。
【0091】
(C)視認性画像
視認性画像は、人の知覚の程度に応じた見え方画像の1つであり、上述した輝度画像に基づいて生成される。視認性画像とは、例えば、新聞の文字やモニタに表示された文字等の対象物における視認性に関する画像である。見え方画像生成部21は、輝度画像に含まれる複数の空間周波数成分を抽出するウェーブレット分解を行い、抽出した複数の空間周波数成分各々の各画素における空間周波数成分の変化率を示す1次微分量を算出し、複数の空間周波数成分各々の1次微分量を用いてウェーブレット合成を行うことにより、視認性画像を生成する。なお、視認性画像を生成する具体的な方法については、発明者らが特開2009−181324号公報において詳細に開示している。
【0092】
見え方指標算出部22は、生成した視認性画像に基づいて、明るさ尺度値と同様の指標や、不足感Fと同様の見え方指標を算出し(図4ステップS3)、評価部23は、算出した指標に基づいて評価を行う(図4ステップS4)ことにより、第1実施形態と同様の処理を行うことができる。
【0093】
なお、図4のステップS2において見え方画像を生成する際に、第1実施形態で説明した明るさ画像と、上述した知覚色画像、グレア画像、視認性画像のうち、2種類以上の見え方画像を生成しても良い。このような場合、図4のステップS3においては、それぞれの見え方画像ごとに見え方指標を算出しても良いし、複数の見え方画像を加味して、見え方指標の代表値を算出しても良い。また、図4のステップS4においては、それぞれの見え方指標について評価を行っても良いし、複数の見え方指標を加味して、総合的な評価を行っても良い。
【0094】
また、第1実施形態では、図4のフローチャートのステップS3において、見え方指標として、明るさ尺度値と不足感Fとの2つの指標を算出する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、明るさ尺度値と不足感Fとのいずれか一方のみを算出しても良い。また、見え方画像に基づいて、第1実施形態で説明した明るさ尺度値および不足感F以外の指標を算出しても良い。
【0095】
また、第1実施形態の図4のフローチャートのステップS4で説明した評価の内容は一例であり、評価方法や、評価時の目標値などはこの例に限定されない。
【0096】
また、第1実施形態の図4のフローチャートのステップS6で説明した制御内容の決定の仕方の一例であり、本発明はこの例に限定されない。
【0097】
また、第1実施形態では、図4のフローチャートのステップS7において、ステップS6で決定した制御内容に応じた制御を自動で行う例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、制御を行う前に、モニタ19などを利用して、作業者に、ステップS6で決定した制御内容を報知し、作業者の許可を得てから実際の制御を行う構成としても良い。また、例えば、図4のフローチャートのステップS6において決定した制御内容をメモリ15や記憶装置13などに記憶しておき、作業者による要望があった場合に、これらの内容を読み出して制御を行っても良い。
【0098】
また、第1実施形態では、屋内の環境の例として、図2および図3に示したオフィスを例示して説明を行ったが、本発明はこの例に限定されない。照明装置や遮光装置の組み合わせが異なるオフィスであっても良いし、一般的な住宅の各部屋や、美術館などの環境であっても良い。いずれの場合も、図4のフローチャートのステップS3においては、その環境を評価にするのに好適な見え方指標を算出し、ステップS4においては、その環境にふさわしい見え方に応じて評価を行えば良い。
【0099】
例えば、住宅のリビングルームでは、供給される光の量が多過ぎるとまぶしく、落ち着いた印象がなくなる。そこで、例えば、図4のフローチャートのステップS3においては、窓辺近辺の明るさに関する見え方指標を算出し、ステップS4においては、リビングルームとしてふさわしい落ち着いた雰囲気に相当する見え方を目標値として評価を行えば良い。
【0100】
また、第1実施形態では、照明装置として、図2および図3において、蛍光灯A42〜蛍光灯D45、フロアライト46、タスクライト47等を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。照明装置の光源はどのようなものであっても良いし、照明装置の配置位置も、どのような位置であっても良い。
【0101】
また、第1実施形態では、遮光装置として、図2および図3において、ブラインド51を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、複数の遮光装置を備えて、それらを連動し、または、個別に制御しても良い。また、カーテン、ロールスクリーン、光の透過率を能動的、または、受動的に変更可能な窓素材なども、本実施形態の遮光装置として、同様に利用することができる。
【0102】
遮光装置としてロールスクリーンを用いる場合について以下に例示する。例えば、図3では、窓Wの内側にブラインド51を設置する例を示したが、さらに、ブラインド51の内側に、ロールスクリーンを設置する。このような場合、ロールスクリーンにおける輝度は、窓Wを介した直射日光を(ブラインド51を介さずに)直接受けた場合には数千cd/m2程度まで上がる。しかし、ブラインド51を完全に閉めてしまえば、ロールスクリーンにおける輝度は、数十cd/m2程度まで下がる。ただし、このロールスクリーンの表面において感じる明るさは、輝度のみに依らず、周辺環境の輝度に依存する。そこで、第1実施形態で説明したように、輝度画像から、人の知覚を表す明るさ画像を生成し、さらに、明るさ画像から明るさ尺度値および不足感Fを算出することにより、オフィスとして光が不足していると感じる程度を評価することができる。そして、評価結果に基づいてブラインド51を制御することにより、ロールスクリーンにおける輝度を制御し、オフィス環境として適切な光環境(視環境)を確保することができる。
【0103】
さらに、このような場合に、明るさ画像に加えて、上述したグレア画像を生成することにより、まぶしさを感じる程度を評価し、評価結果に基づいてブラインド51を制御することにより、ロールスクリーンに直射日光が当たりすぎないように調整することも可能である。
【0104】
また、第1実施形態において、コンピュータ11のモニタ19についても、本発明を同様に適用することができる。例えば、図4のフローチャートのステップS3において、見え方指標を算出する際に、モニタ19の表示部分を、作業者による視対象として見え方指標を算出しても良い。また、図4のフローチャートのステップS6において制御内容を決定する際に、モニタ19の表示における輝度や色味などを制御内容として決定しても良い。さらに、モニタ19のように、バックライトによる表示を行う表示装置のみならず、電子ペーパーなどの、反射型の表示装置についても、本発明を同様に適用することができる。
【0105】
<第2実施形態>
以下、図面を用いて本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。第2実施形態では、第1実施形態と同様の部分については、第1実施形態と同様の符号を用いる。また、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0106】
図9は、第2実施形態の環境制御システムの構成例を示すブロック図である。第2実施形態では、所定の環境として、屋外の建物の外壁に設置されたモニタを含む環境における光環境を制御する環境制御システムを例に挙げて説明する。
【0107】
第2実施形態の環境制御システムは、第1実施形態の照明部41に代えて照明部61を有し、ブラインド51に代えてモニタ71を有する。
【0108】
コンピュータ11およびカメラ31の構成は第1実施形態と同様である。コンピュータ11は、照明部61と有線または無線で接続され、照明部61の各部を制御する。また、コンピュータ11は、入出力I/F16を介して、モニタ71に対して表示用のデータを出力する。
【0109】
照明部61およびモニタ71は、屋外の環境における光環境に影響を与える各装置である。
【0110】
照明部61は、スポットA62およびスポットB63の各部を備える。なお、照明部61の各部における照明の光量は、コンピュータ11により制御可能である。モニタ71は、広告などの表示を行うための表示装置である。
【0111】
上述した屋外の環境について、図10および図11を参照して説明する。
【0112】
図10に示すように、建物の外壁にはモニタ71が設置され、モニタ71の左右上方にはスポットA62およびスポットB63が設置される。
【0113】
図11は、図10に示した環境の上部からの見取り図である。図11に示すように、カメラ31は、モニタ71が設置された壁面の向かい側の壁面(例えば、向かい合わせに立つ建物の壁面など)に、モニタ71に向かって配置される。
【0114】
カメラ31は、図10および図11に示す屋外の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する装置である。なお、本環境制御システムは、モニタ71を目視する通行人などの視野における光環境を制御するためのものであるため、カメラ31の配置位置および配置の向きは、上述した通行人の視野に準ずるものであることが好ましい。また、図10は、カメラ31により取得される輝度画像の画角に対応する屋外の環境の範囲を図示したものである。
【0115】
なお、モニタ71に供給される(降り注ぐ)昼光は、時刻や天候の変化、季節の違いによって、その光量が時々刻々変化する。そのため、カメラ31により取得される輝度画像は刻々と変化する。
【0116】
以上説明した構成の環境制御システムにおいて、CPU14は、第1実施形態の図4に示したフローチャートと同様の処理を行う。
【0117】
ただし、ステップS3においては、図10および図11に示した屋外の建物の外壁に設置されたモニタを含む環境を評価にするのに好適な見え方指標を算出し、ステップS4においては、上述した環境にふさわしい見え方に応じて評価を行えば良い。
【0118】
例えば、屋外環境に設置されたモニタ71では、同じ輝度および色度の表示に対して、昼間はまぶしさや不快さを感じなくても、夜になると、まぶしさや不快さを感じることがある。これは、夜になると昼光(自然光)がなくなり、相対的にモニタ71の表示が明るすぎてしまうためである。また、逆に、昼間に、強い昼光がモニタ71に供給される(降り注ぐ)場合、モニタ71に通常の表示を行っても、表示された内容が全く見えなくなる場合もある。
【0119】
そこで、ステップS3においては、モニタ71の表示面の明るさに関する見え方指標を算出し、ステップS4においては、モニタ71の表示内容が安定的に観察可能な見え方を目標値として評価を行えば良い。
【0120】
以上説明したように、第2実施形態によれば、屋外の環境であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0121】
なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、環境制御システムに、2台以上のカメラを含む構成とし、複数のカメラにより取得した複数の輝度画像に基づいて、総合的な判定を行って光環境を制御しても良い。
【0122】
また、第2実施形態において、第1実施形態と同様に、太陽の日周運動に合わせてカメラ31の向きを変更しても良い。また、カメラ31がズーム機能を備える場合には、輝度画像の画角が適宜変化するように、ズーム処理を行っても良い。
【0123】
また、第2実施形態において、第1実施形態と同様に、図4のフローチャートのステップS2において、明るさ画像以外の見え方画像として、知覚色画像、グレア画像、視認性画像などを生成しても良い。また、見え方画像を生成する際に、明るさ画像、知覚色画像、グレア画像、視認性画像のうち、2種類以上の見え方画像を生成しても良い。
【0124】
また、第2実施形態では、屋外の環境の例として、図10および図11に示した環境を例示して説明を行ったが、本発明はこの例に限定されない。照明装置の組み合わせが異なる屋外の環境であっても良いし、庇などの遮光装置を含む屋外の環境であっても良い。いずれの場合も、図4のフローチャートのステップS3においては、その環境を評価にするのに好適な見え方指標を算出し、ステップS4においては、その環境にふさわしい見え方に応じて評価を行えば良い。
【0125】
また、第2実施形態では、照明装置として、図10および図11において、スポットA62およびスポットB63等を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。照明装置の光源はどのようなものであっても良いし、照明装置の配置位置も、どのような位置であっても良い。
【0126】
また、第2実施形態において、モニタ71は、LEDなどのバックライトによる表示を行う表示装置であっても良いし、電子ペーパーなどの、反射型の表示装置であっても良い。
【0127】
また、第1実施形態では屋内の環境を例示し、第2実施形態では屋外の環境を例示して説明を行ったが、屋内と屋外との両方を含む環境の制御においても、本発明を同様に適用することができる。
【0128】
一般に、住宅の窓を挟んで、室内(屋内)から屋外を見る際の見え方と、屋外から室内を見る際の見え方は全く異なる。例えば、夜に、室内に照明を点けた場合、屋外からは室内の様子がよく見える。しかし、この場合には、室内から屋外はよく見えない。そこで、室内から屋外を見る際の見え方に基づいて光環境を制御する際には、室内から屋外を見る際の見え方画像を生成して評価を行い、屋外から室内を見る際の見え方に基づいて光環境を制御する際には、屋外から室内を見る際の見え方画像を生成して評価を行うことにより、目的に応じた好適な環境制御を行うことができる。
【0129】
また、環境制御プログラムも、本発明の具体的態様として有効である。この環境制御プログラムは、コンピュータにより読み取り可能な媒体に記憶されたものであっても良いし、Web上のサーバなどに記憶され、インターネットを介してコンピュータにダウンロード可能なものであっても良い。上記した各実施形態で説明した照明装置、表示装置、遮光装置などと、各部を制御可能なコンピュータとを接続し、上述した環境制御プログラムをコンピュータにより実行することにより、上記した各実施形態で説明した環境制御システムと同様の処理を実現し、各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0130】
11…コンピュータ、14…CPU、19・71…モニタ、21…見え方画像生成部、22…見え方指標算出部、23…評価部、31…カメラ、41・61…照明部、51…ブラインド
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境制御システムおよび環境制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、照度センサや輝度センサを用いて照明を制御する方法が考えられている。例えば、特許文献1の発明では、照度計により屋外の日射状態を取得し、取得した日射状態と照明の状態等に基づいてシミュレートを行って、遮蔽手段の開閉度を調節する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−120090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人の眼には順応という能力がある。そのため、ある環境の光に慣れ、光があふれた環境(例えば昼の屋外環境)では、大量の光が供給されてもあまり明るく感じられないのに対し、光の少ない環境(例えば夜の暗い環境)では、少しの光があればとても明るく感じられることになる。つまり、光に対する人の反応(不快か、眩しいかなど)は、その人の眼がどのような状態に順応しているかによって変化するため、照度や輝度といった物理量だけでは予測できない。しかしながら、従来技術では眼の順応状態を計算によって推測することができず、人の評価に合わせて適切に照明を制御することができなかった。一方、順応の状況を加味した明るさ尺度値や知覚色を用いれば、光に対する反応を正しく推測することができ、人にとって好ましい制御が可能となる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、人の眼の順応を考慮して、最適な環境制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の環境制御システムは、所定の環境における光環境に影響を与える装置と、前記装置を制御する制御装置とからなる環境制御システムであって、前記制御装置は、所定の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する取得手段と、前記輝度画像に基づいて、前記環境における人の知覚の程度を表す見え方画像を生成する生成手段と、前記見え方画像に基づいて、前記環境における見え方の適切さを示す指標を算出する算出手段と、前記指標の値と予め定められた目標値とを比較することにより見え方の適切さ評価を行い、評価結果に基づいて前記装置を制御することにより、前記光環境を制御する制御手段とを備える。
【0007】
なお、前記光環境に影響を与える前記装置は、照明の光量と光色との少なくとも一方を変更可能な照明装置と、表示装置と、前記環境への導入光量を変更可能な遮光装置との少なくとも1つを含んでも良い。
【0008】
また、前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記照明装置を含み、前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記照明装置の前記光量と前記光色との少なくとも一方を変更しても良い。
【0009】
また、前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記表示装置を含み、前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記表示装置の表示における明るさと色味との少なくとも一方を変更しても良い。
【0010】
また、前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記遮光装置を含み、前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記遮光装置による前記導入光量を変更しても良い。
【0011】
また、前記生成手段は、前記見え方画像として、明るさ画像と、知覚色画像と、グレア画像と、視認性画像との少なくとも1つを生成しても良い。
【0012】
また、前記生成手段は、前記輝度画像のウェーブレット分解を行い、J個(Jは2以上の整数)のサブバンド画像を生成し、予め定めた輝度と明るさ感との関係に基づいて、前記サブバンド画像の画素ごとに輝度の値を明るさ感の値に変換し、前記輝度の値が前記明るさ感の値に変換されたK個(Kは2以上の整数;K≦J)のサブバンド画像のウェーブレット合成を行うことにより、前記明るさ画像を生成しても良い。
【0013】
また、前記生成手段は、心理物理色の分布を表す画像である前記輝度画像に基づいてウェーブレット分解を行い、1段階以上の分解レベルのサブバンド画像を生成し、予め定めた心理物理色と知覚色との関係に基づいて、前記サブバンド画像の各画素の値を心理物理色の値から知覚色の値に変換し、変換後の1段階以上の分解レベルのサブバンド画像に基づいてウェーブレット合成を行うことにより、知覚色の分布を表す画像として前記知覚色画像を生成しても良い。
【0014】
また、前記生成手段は、前記明るさ画像に視点を設定し、前記明るさ画像のうち前記視点の周囲に位置する画素から前記視点への明るさの寄与に基づいて、前記視点におけるグレア評価値を算出し、算出した前記グレア値に基づいて、前記グレア画像を生成しても良い。
【0015】
また、前記生成手段は、前記輝度画像に含まれる複数の空間周波数成分を抽出するウェーブレット分解を行い、抽出した前記複数の空間周波数成分各々の各画素における前記空間周波数成分の変化率を示す1次微分量を算出し、前記複数の空間周波数成分各々の前記1次微分量を用いてウェーブレット合成を行うことにより、前記視認性画像を生成しても良い。
【0016】
また、前記算出手段は、前記見え方画像の全体に基づいて、光の不足感を示す前記指標を算出しても良い。
【0017】
また、前記算出手段は、前記見え方画像のうち、所定の領域に基づいて、光の不足感を示す前記指標を算出しても良い。
【0018】
また、前記制御手段は、前記光環境に影響を与える前記装置として、昼光にかかわる装置と、それ以外の装置とを含む複数の装置を有する場合に、前記昼光を、前記昼光以外の光よりも優先的に前記環境に取り込むように複数の前記装置を制御しても良い。
【0019】
なお、上記発明に関する構成を、所定の環境における光環境に影響を与える装置と、装置を制御する制御装置とからなる環境制御システムを制御する環境制御プログラムに変換して表現したものも本発明の具体的態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、人の眼の順応を考慮して、最適な環境制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態の環境制御システムの構成を示すブロック図
【図2】第1実施形態の環境について説明する図
【図3】第1実施形態の環境について説明する上面図
【図4】第1実施形態の環境制御システムの動作を示すフローチャート
【図5】照明条件と照度との関係を示すグラフ
【図6】明るさ尺度値について説明する図
【図7】照明条件と明るさ尺度値との関係を示すグラフ
【図8】不足感について説明する図
【図9】第2実施形態の環境制御システムの構成を示すブロック図
【図10】第2実施形態の環境について説明する図
【図11】第2実施形態の環境について説明する上面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
以下、図面を用いて本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の環境制御システムの構成例を示すブロック図である。第1実施形態では、所定の環境として、屋内の環境における光環境を制御する環境制御システムを例に挙げて説明する。
【0023】
第1実施形態の環境制御システムは、コンピュータ11と、カメラ31と、照明部41と、ブラインド51とから構成される。
【0024】
コンピュータ11は、カメラ31と有線または無線で相互に接続され、カメラ31を制御するとともに、カメラ31により生成される画像の画像データを取得する。また、コンピュータ11は、照明部41の各部およびブラインド51と有線または無線で接続され、照明部41の各部およびブラインド51を制御する。
【0025】
コンピュータ11は、環境制御システムの各部を制御する制御プログラムがインストールされたコンピュータである。コンピュータ11は、図1に示すように、データ読込部12、記憶装置13、CPU14、メモリ15および入出力I/F16、バス17を有している。データ読込部12、記憶装置13、CPU14、メモリ15および入出力I/F16は、バス17を介して相互に接続されている。さらに、コンピュータ11には、入出力I/F16を介して、入力デバイス18(キーボード、ポインティングデバイスなど)とモニタ19とがそれぞれ接続されている。なお、入出力I/F16は、入力デバイス18からの各種入力を受け付けるとともに、モニタ19に対して表示用のデータを出力する。
【0026】
データ読込部12は、画像のデータや、上記の制御プログラムを外部から読み込むときに用いられる。例えば、データ読込部12は、着脱可能な記憶媒体からデータを取得する読込デバイス(光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスクの読込装置など)や、公知の通信規格に準拠して外部の装置と通信を行う通信デバイス(USBインターフェース、LANモジュール、無線LANモジュールなど)で構成される。
【0027】
記憶装置13は、例えば、ハードディスクや、不揮発性の半導体メモリなどの記憶媒体で構成される。記憶装置13には、制御プログラムや、プログラムの実行に必要となる各種のデータが記録されている。
【0028】
CPU14は、コンピュータ11の各部を統括的に制御するプロセッサである。このCPU14は、上記の制御プログラムの実行によって、見え方画像生成部21と、見え方指標算出部22と、評価部23としてそれぞれ機能する(見え方画像生成部21、見え方指標算出部22、評価部23の各動作は後述する)。
【0029】
メモリ15は、制御プログラムでの各種演算結果を一時的に記憶する。このメモリ15は、例えば揮発性のSDRAMなどで構成される。
【0030】
カメラ31は、上述した屋内の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得するための装置である。カメラ31は、ある特定の方向から入射する光を計る輝度センサ、入射する光の総量を計る照度センサ等を備え、輝度画像を生成する。
【0031】
照明部41およびブラインド51は、屋内の環境における光環境に影響を与える各装置である。
【0032】
照明部41は、蛍光灯A42、蛍光灯B43、蛍光灯C44、蛍光灯D45、フロアライト46、タスクライト47の各部を備える。なお、照明部41の各部における照明の光量は、コンピュータ11により制御可能である。
【0033】
ブラインド51は、屋内の環境への導入光量を変更可能な遮光装置である。なお、ブラインド51は、上下方向に昇降可能であるとともに、複数のスラットを有し、スラットの角度を変更することが可能である。ブラインド51による導入光量は、上述した昇降およびスラットの角度変更をコンピュータ11により制御することで変更可能である。
【0034】
上述した屋内の環境について、図2および図3を参照して説明する。第1実施形態では、屋内の環境として、図2および図3に示すオフィス内の光環境を制御する場合を例に挙げて説明する。
【0035】
図2に示すように、オフィスには正面にデスクDが配置され、デスクDに向かって右側の壁面に窓Wが配置される。また、天井には、上述した蛍光灯A42〜蛍光灯D45が設置される。さらに、デスクDに向かって左側前方の床面には、上述したフロアライト46が配置され、デスクDの左側側面近傍には、上述したタスクライト47が配置される。
【0036】
図3は、図2に示したオフィスの上部からの見取り図である。図3に示すように、カメラ31は、蛍光灯D45の下部に、デスクDに向かって配置される。また、窓Wに沿ってブラインド51が配置される。
【0037】
カメラ31は、図2および図3に示すオフィスの環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する装置である。なお、本環境制御システムは、作業者の視野における光環境を制御するためのものであるため、カメラ31の配置位置および配置の向きは、上述した作業者の視野に対応するものであることが好ましい。また、図3は、カメラ31により取得される輝度画像の画角に対応するオフィスの範囲を図示したものである。
【0038】
なお、窓Wからの昼光は、時刻や天候の変化、季節の違いによって流入量が時々刻々変化する。そのため、カメラ31により取得される輝度画像は刻々と変化する。
【0039】
以上説明した構成の環境制御システムの動作について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
【0040】
ステップS1において、CPU14は、入出力I/F16を介してカメラ31を制御して輝度画像を取得し、カメラ31により取得した輝度画像を入出力I/F16を介して取り込む。
【0041】
ここで、輝度画像とは、例えば、XYZ表色系とL*a*b* 表色系とのうち、心理物理色の表色系(測光量を基準にした表色系)の1つであるXYZ表色系に関する画像である。輝度画像は、心理物理色の分布を表す画像であり、例えば、3刺激値(X,Y,Z)の各々に対応する3枚の画像(X画像,Y画像,Z画像)である。
【0042】
ステップS2において、CPU14は、ステップS1で取得した輝度画像に基づいて、見え方画像生成部21により、見え方画像を生成する。ここで、見え方画像生成部21は、見え方画像として、明るさ画像を生成する。見え方画像生成部21は、輝度画像のウェーブレット分解を行い、J個(Jは2以上の整数)のサブバンド画像を生成し、予め定めた輝度と明るさ感との関係に基づいて、サブバンド画像の画素ごとに輝度の値を明るさ感の値に変換し、輝度の値が前記明るさ感の値に変換されたK個(Kは2以上の整数;K≦J)のサブバンド画像のウェーブレット合成を行うことにより、明るさ画像を生成する。なお、輝度画像に基づいて明るさ画像を生成する具体的な方法については、発明者らが再公表WO2006/132014において詳細に開示している。
【0043】
ステップS3において、CPU14は、ステップS2で生成した見え方画像に基づいて、見え方指標算出部22により、見え方指標を算出する。ここで、見え方指標算出部22は、見え方指標として、明るさ尺度値と、光の不足感とを算出する。
【0044】
見え方指標算出部22は、ステップS2において、以下の(a)および(b)の2つの指標を算出する。
【0045】
(a)明るさ尺度値(NB)
見え方指標算出部22は、1つ目の指標として、図2および図3を参照して説明したオフィス内に配置されたデスクDの机上に置かれた紙面(図2中紙面P参照)を対象に上述した明るさ尺度値を算出する。ここで、紙面Pは、作業者による主な視対象の一例である。また、明るさ尺度値は、作業者が上述した紙面Pの文字を見た時に、光の不足を感じるかどうかの程度を示す指標である。
【0046】
図5は、作業者の視野内の輝度分布と、紙面Pの文字を見て作業者が作業をする際に、光の不足を感じないぎりぎりの机上面の照度との関係を示すグラフである。図5に示す照明条件1から5は、複数の照明装置(本実施形態では蛍光灯A42〜蛍光灯D45、フロアライト46、タスクライト47)の照明内容や、遮光装置(本実施形態では、ブラインド51)による遮光の条件の組み合わせを様々に変化させた複数の照明条件(輝度条件)である。照明条件を変更すると、上述した作業者の視野内の輝度分布も変化する。図5に示すように、照明条件1から5において、光の不足を感じないぎりぎりの机上面の照度は200lxから500lx程度の範囲で変化する。
【0047】
明るさ尺度値は、ステップS2で生成した明るさ画像の画素値(明るさ感の値)である。本実施形態において明るさ尺度値は、1〜13の範囲の連続的な数値(1〜13)として得られる。明るさ尺度値1が最も暗く(非常に暗い)、明るさ尺度値13が最も明るい(非常に明るい)ことを示す。図6に、明るさ尺度値と、明るさ尺度値が示す明るさ感との関係を例示する。
【0048】
図7は、図5で説明した照明条件1から5と、明るさ尺度値との関係を示すグラフである。図7に示すように、明るさ画像から求めた明るさ尺度値は、照明条件、すなわち、輝度分布の違いにかかわらず、略一定の値(8.5〜9.5程度)を示す。そのため、明るさ尺度値を用いて、紙面Pの文字を見て作業をする際の、見え方の適切さを評価することができる(詳細は後述する)。
【0049】
見え方指標算出部22は、ステップS2で生成した明るさ画像の各画素から代表値を算出し、明るさ尺度値(NB)とする。なお、代表値は、平均値、最大値、最小値等であっても良いし、標準偏差、分布のひずみ度、分布のとがり度、ヒストグラムなどに基づいて算出されても良い。
【0050】
(b)不足感F
見え方指標算出部22は、2つ目の指標として、図2および図3を参照して説明したオフィス全体を対象に、上述した不足感Fを算出する。不足感Fは、作業者が上述したオフィス全体を眺めた時に、光の不足を感じるかどうかの程度を示す指標である。
【0051】
見え方指標算出部22は、まず、ステップS2で生成した明るさ画像に基づいて、以下の3つの値を画像内領域率として算出する。
・AR4〜6(%)・・・明るさ尺度値が4〜6(NB)である領域の、全体に対する面積比
・AR6〜7(%)・・・明るさ尺度値が6〜7(NB)である領域の、全体に対する面積比
・AR7〜8(%)・・・明るさ尺度値が7〜8(NB)である領域の、全体に対する面積比
上述した図6に、各画像内領域率と明るさ尺度値との対応関係を示す。
【0052】
次に、見え方指標算出部22は、算出した3つの画像内領域率の値に基づいて、不足感Fを算出する。評価部23は、算出した3つの画像内領域率のうち、AR4〜6<62.5(%)である場合には、次式に基づいて、不足感Fを算出する。
【0053】
【数1】
一方、算出した画像内領域率のうち、AR4〜6≧62.5(%)である場合には、評価部23は、次式に基づいて、不足感Fを算出する。
【0054】
【数2】
式1および式2において、各項の値は予め実験により求められる値である。
【0055】
本実施形態の不足感Fは、0〜6の範囲の連続的な数値(0〜6)として得られる。不足感F=6である場合が最も暗く(不足感を非常に感じる)、不足感F=0である場合が最も明るい(不足感を感じない)ことを示す。図8に、不足感Fと、不足感Fが示す程度との関係を例示する。この不足感Fを用いて、オフィス全体に関する見え方の適切さを評価することができる(詳細は後述する)。
【0056】
ステップS4において、CPU14は、ステップS3で算出した見え方指標に基づいて、評価部23により、見え方の評価を行う。
【0057】
(a)明るさ尺度値
評価部23は、ステップS3で算出した明るさ尺度値に基づいて、評価を行う。
【0058】
例えば、ステップS3で算出した明るさ尺度値が、9(NB)である場合、評価部23は、見え方が適切であると評価する。
【0059】
また、ステップS3で算出した明るさ尺度値が、9(NB)未満である場合、評価部23は、明るさが不十分であるため、見え方が不適切であると評価する。また、ステップS3で算出した明るさ尺度値が、9(NB)を超える場合、評価部23は、明る過ぎるため、見え方が不適切であると評価する。
【0060】
なお、上述の例では、明るさ尺度値が、9(NB)である場合に、見え方が適切であると評価する例を示したが、作業者の好みや、省エネルギーの度合などに応じて、適切と評価する明るさ尺度値の目標値を変更しても良い。また、適切と評価する明るさ尺度値に幅を持たせて、例えば、明るさ尺度値が、8.5〜9.5(NB)の範囲である場合に、見え方が適切であると評価しても良い。
【0061】
(b)不足感F
評価部23は、ステップS3で算出した不足感Fに基づいて、評価を行う。
【0062】
例えば、ステップS3で算出した不足感Fが、2未満である場合、評価部23は、見え方が適切であると評価する。
【0063】
一方、ステップS3で算出した不足感Fが、2以上である場合、評価部23は、明るさが不十分であるため、見え方が不適切であると評価する。
【0064】
なお、上述の例では、不足感Fが、2未満である場合に、見え方が適切であると評価する例を示したが、作業者の好みや、省エネルギーの度合などに応じて、適切と評価する不足感Fの目標値を変更しても良い。
【0065】
ステップS5において、CPU14は、ステップS4で行った評価結果に基づいて、制御が必要か否かを判定する。CPU14は、制御が必要と判定するとステップS6に進み、制御が不要と判定すると後述するステップS8に進む。
【0066】
(a)明るさ尺度値
CPU14は、ステップS4で行った評価において、明るさが不十分であるか、または、明る過ぎるため、見え方が不適切であると評価した場合には、制御が必要と判定し、それ以外の場合には、制御不要と判定する。
【0067】
(b)不足感F
CPU14は、ステップS4で行った評価において、不足感Fが2以上であり、明るさが不十分であるため、見え方が不適切であると評価した場合には、制御が必要と判定し、それ以外の場合には、制御不要と判定する。
【0068】
ステップS6において、CPU14は、ステップS4で行った評価結果に基づいて、制御内容を決定する。
【0069】
ここで、CPU14が、制御内容として決定する項目は以下の通りである。
・蛍光灯A42〜蛍光灯D45の照明光量
・フロアライト46の照明光量
・タスクライト47の照明光量
・ブラインド51の昇降
・ブラインド51のスラットの角度
CPU14は、ステップS3で算出した見え方指標と、制御の対象となる環境ごとに予め定められた目標値とを比較することにより、上述した各項目の制御量を決定する。なお、上記した目標値は、制御の対象となる環境(オフィス、住宅(リビング、ダイニング、寝室など)、屋外の住宅街路、繁華街など)ごとに、予め実験などにより求めた見え方の適切さ評価に基づく値であり、光環境の設計仕様(設計目標値)に相当する。
【0070】
例えば、上述した明るさ尺度値が、9(NB)未満である場合、評価部23は、明るさが不十分であるため、ブラインド51を介した昼光の供給量を増やすようにスラットの角度を決定する。
【0071】
なお、CPU14は、各項目の制御量を決定する際に、昼光を、昼光以外の光(照明装置などによる人工光など)よりも優先的に環境に取り込むように、各項目の制御内容を決定する。すなわち、まず、自然光である昼光にかかわる装置の制御量を優先的に決定し、制御の不足分を昼光以外の光にかかわる装置に関する制御量で補う。このように制御内容を決定することにより、省エネルギーを実現しつつ、作業者にとって快適な光環境を実現することができる。
【0072】
例えば、第1実施形態においては、まず、ブラインド51の制御量を優先的に決定して明るさの向上に努め、それでも十分な明るさを得られない場合に、全般照明である蛍光灯A42〜蛍光灯D45や局部照明であるフロアライト46やタスクライト47の制御量を補足的に決定すると良い。
【0073】
ステップS7において、CPU14は、ステップS6で決定した制御内容にしたがって、照明部41の各部およびブラインド51の制御を行う。そして、制御を終了すると、ステップS1に戻る。すなわち、CPU14は、輝度画像の取得から各部の制御を繰り返し行う。
【0074】
ステップS5において、制御が不要であると判定すると、ステップS8において、CPU14は、所定の時間が経過したか否かを判定する。CPU14は、不図示のタイマにより、前回輝度画像を取得してから所定の時間が経過するまで待機し、所定の時間が経過したと判定するとステップS1に戻る。なお、所定の時間は、予め定められた時間であっても良いし、作業者により指定された時間であっても良い。
【0075】
図4のフローチャートを参照した一連の処理により、CPU14は、時々刻々と変化する光環境に応じた輝度画像を取得し、取得した輝度画像に基づいて照明部41やブラインド51を制御する。
【0076】
以上説明したように、第1実施形態によれば、所定の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得し、取得した輝度画像に基づいて、環境における人の知覚の程度を表す見え方画像を生成する。そして、生成した見え方画像に基づいて、環境における見え方の適切さを示す指標を算出し、算出した指標の値と予め定められた目標値とを比較することにより見え方の適切さ評価を行い、評価結果に基づいて、所定の環境における光環境に影響を与える装置を制御する。したがって、人の知覚の程度に応じた見え方画像に基づいて制御を行うことにより、人の眼の順応を考慮して、最適な環境制御を行うことができる。
【0077】
特に、第1実施形態によれば、天候や日時によって光量や光色が変化する昼光が流入する環境など、どのような環境であっても、その環境で必要とされる適切な見え方を、常時実現することができる。
【0078】
また、第1実施形態によれば、光環境に影響を与える装置として、昼光にかかわる装置と、それ以外の装置とを含む複数の装置を有する場合に、昼光を、昼光以外の光よりも優先的に環境に取り込むように複数の装置を制御する。したがって、自然光である昼光を優先的に利用し、自然光以外の人工光の利用をなるべく抑えることにより、省エネルギーを実現しつつ、作業者にとって快適な光環境を実現することができる。一般に、昼光を導入しすぎると、環境内にいる人の眼の順応状態が上がり、人工光(常に点灯している照明装置や、輝度が一定の表示装置など)が暗く見え、適切な見え方にするために、これらの装置における明るさを明るく(光を強く)したいという要望が出ることがある。しかし、このような制御では、省エネルギーを意図して昼光を導入した意図に対して逆の効果が発生することになる。しかし、第1実施形態のように、見え方画像に基づいて制御を行うことにより、人の眼の順応を考慮して、光環境を制御することにより、その環境で必要とされる適切な見え方を、常時実現することができる。
【0079】
なお、第1実施形態では、輝度画像を取得する手段として、カメラ31を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、2次元色彩輝度計や、特性の異なる複数のセンサを有する撮像装置などであっても良い。また、カメラ31を備える代わりに照度センサなどのセンサを備え、その出力に基づいて輝度分布を推定することにより輝度画像を取得(生成)しても良い。
【0080】
また、第1実施形態では、環境制御システムに、1台のカメラを含む例を説明したが、2台以上のカメラを含む構成としても良い。このような場合には、複数のカメラにより取得した複数の輝度画像に基づいて、総合的な判定を行って光環境を制御すれば良い。
【0081】
さらに、第1実施形態では、カメラ31により取得される輝度画像の画角は固定である例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、太陽の日周運動に合わせてカメラ31の向きを変更しても良い。また、カメラ31がズーム機能を備える場合には、輝度画像の画角が適宜変化するように、ズーム処理を行っても良い。
【0082】
また、第1実施形態では、図4のフローチャートのステップS2において、見え方画像として明るさ画像を生成する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、明るさ画像以外の見え方画像として、知覚色画像、グレア画像、視認性画像などを生成しても良い。各画像の特徴や各画像を用いた制御について以下に示す。
【0083】
(A)知覚色画像
知覚色画像は、人の知覚の程度に応じた見え方画像の1つであり、上述した明るさ画像と、色感画像とからなる。色感画像とは、例えば、XYZ表色系とL*a*b* 表色系とのうち、知覚色の表色系(反射特性を基準にした表色系)の1つであるL*a*b*表色系に関する画像である。色感画像は、知覚色の分布を表す画像であり、例えば、知覚色度(a*b*)の各々に対応する2枚の画像(RG画像,BY画像)である。
【0084】
見え方画像生成部21は、輝度画像に基づいてウェーブレット分解を行い、1段階以上の分解レベルのサブバンド画像を生成し、予め定めた心理物理色と知覚色との関係に基づいて、サブバンド画像の各画素の値を心理物理色の値から知覚色の値に変換し、変換後の1段階以上の分解レベルのサブバンド画像に基づいてウェーブレット合成を行うことにより、知覚色の分布を表す画像として色感画像を含む知覚色画像を生成する。なお、色感画像を生成する具体的な方法については、発明者らが再公表WO2007/122766において詳細に開示している。
【0085】
なお、上述した再公表WO2007/122766においては、輝度画像から測光色画像を生成し、測光色画像に基づいて、上述した知覚色画像(明るさ画像と、色感画像とからなる)を生成する例が示されている。この測光色画像は、輝度画像から生成されても良いし、照度センサ、色温度センサなどの出力に基づいて生成されても良い。
【0086】
見え方指標算出部22は、生成した知覚色画像に基づいて、明るさ尺度値と同様の指標や、不足感Fと同様の見え方指標を算出し(図4ステップS3)、評価部23は、算出した指標に基づいて評価を行う(図4ステップS4)ことにより、第1実施形態と同様の処理を行うことができる。
【0087】
なお、CPU14は、制御内容を決定する(図4ステップS6)際には、照明装置の照明光量の代わりに照明装置による照明の色味を変更しても良いし、照明装置の照明光量に加えて、照明装置による照明の色味を変更しても良い。
【0088】
(B)グレア画像
グレア画像は、人の知覚の程度に応じた見え方画像の1つであり、上述した明るさ画像に基づいて生成される。グレア画像とは、まぶしさに関する画像である。見え方画像生成部21は、明るさ画像に視点を設定し、明るさ画像のうち視点の周囲に位置する画素から視点への明るさの寄与に基づいて、視点におけるグレア評価値を算出し、算出したグレア値に基づいて、グレア画像を生成する。なお、グレア画像を生成する具体的な方法については、発明者らが特開2007−292665号公報において詳細に開示している。
【0089】
見え方指標算出部22は、生成したグレア画像に基づいて、明るさ尺度値と同様の指標や、不足感Fと同様の見え方指標を算出し(図4ステップS3)、評価部23は、算出した指標に基づいて評価を行う(図4ステップS4)ことにより、第1実施形態と同様の処理を行うことができる。
【0090】
例えば、第1実施形態の図2および図3で例示したように、外部から昼光が入射する環境においては、外部の輝度が高すぎる場合や、直射日光が外部から入射する場合に、作業者はまぶしさを感じる。そこで、カメラ31により、例えば、窓近傍の輝度画像を常時取得し、取得した輝度画像からグレア画像を生成する。そして、生成したグレア画像に基づいて見え方評価値を算出し、見え方の評価を行うことにより、まぶしさを考慮した光環境の制御を行うことができる。なお、見え方の評価に際しては、例えば、グレア画像に基づくUGR値が所定の値(例えば、UGR値=18)以上である場合に、まぶし過ぎる(明る過ぎる)ため、見え方が不適切であると評価することができる。
【0091】
(C)視認性画像
視認性画像は、人の知覚の程度に応じた見え方画像の1つであり、上述した輝度画像に基づいて生成される。視認性画像とは、例えば、新聞の文字やモニタに表示された文字等の対象物における視認性に関する画像である。見え方画像生成部21は、輝度画像に含まれる複数の空間周波数成分を抽出するウェーブレット分解を行い、抽出した複数の空間周波数成分各々の各画素における空間周波数成分の変化率を示す1次微分量を算出し、複数の空間周波数成分各々の1次微分量を用いてウェーブレット合成を行うことにより、視認性画像を生成する。なお、視認性画像を生成する具体的な方法については、発明者らが特開2009−181324号公報において詳細に開示している。
【0092】
見え方指標算出部22は、生成した視認性画像に基づいて、明るさ尺度値と同様の指標や、不足感Fと同様の見え方指標を算出し(図4ステップS3)、評価部23は、算出した指標に基づいて評価を行う(図4ステップS4)ことにより、第1実施形態と同様の処理を行うことができる。
【0093】
なお、図4のステップS2において見え方画像を生成する際に、第1実施形態で説明した明るさ画像と、上述した知覚色画像、グレア画像、視認性画像のうち、2種類以上の見え方画像を生成しても良い。このような場合、図4のステップS3においては、それぞれの見え方画像ごとに見え方指標を算出しても良いし、複数の見え方画像を加味して、見え方指標の代表値を算出しても良い。また、図4のステップS4においては、それぞれの見え方指標について評価を行っても良いし、複数の見え方指標を加味して、総合的な評価を行っても良い。
【0094】
また、第1実施形態では、図4のフローチャートのステップS3において、見え方指標として、明るさ尺度値と不足感Fとの2つの指標を算出する例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、明るさ尺度値と不足感Fとのいずれか一方のみを算出しても良い。また、見え方画像に基づいて、第1実施形態で説明した明るさ尺度値および不足感F以外の指標を算出しても良い。
【0095】
また、第1実施形態の図4のフローチャートのステップS4で説明した評価の内容は一例であり、評価方法や、評価時の目標値などはこの例に限定されない。
【0096】
また、第1実施形態の図4のフローチャートのステップS6で説明した制御内容の決定の仕方の一例であり、本発明はこの例に限定されない。
【0097】
また、第1実施形態では、図4のフローチャートのステップS7において、ステップS6で決定した制御内容に応じた制御を自動で行う例を示したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、制御を行う前に、モニタ19などを利用して、作業者に、ステップS6で決定した制御内容を報知し、作業者の許可を得てから実際の制御を行う構成としても良い。また、例えば、図4のフローチャートのステップS6において決定した制御内容をメモリ15や記憶装置13などに記憶しておき、作業者による要望があった場合に、これらの内容を読み出して制御を行っても良い。
【0098】
また、第1実施形態では、屋内の環境の例として、図2および図3に示したオフィスを例示して説明を行ったが、本発明はこの例に限定されない。照明装置や遮光装置の組み合わせが異なるオフィスであっても良いし、一般的な住宅の各部屋や、美術館などの環境であっても良い。いずれの場合も、図4のフローチャートのステップS3においては、その環境を評価にするのに好適な見え方指標を算出し、ステップS4においては、その環境にふさわしい見え方に応じて評価を行えば良い。
【0099】
例えば、住宅のリビングルームでは、供給される光の量が多過ぎるとまぶしく、落ち着いた印象がなくなる。そこで、例えば、図4のフローチャートのステップS3においては、窓辺近辺の明るさに関する見え方指標を算出し、ステップS4においては、リビングルームとしてふさわしい落ち着いた雰囲気に相当する見え方を目標値として評価を行えば良い。
【0100】
また、第1実施形態では、照明装置として、図2および図3において、蛍光灯A42〜蛍光灯D45、フロアライト46、タスクライト47等を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。照明装置の光源はどのようなものであっても良いし、照明装置の配置位置も、どのような位置であっても良い。
【0101】
また、第1実施形態では、遮光装置として、図2および図3において、ブラインド51を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、複数の遮光装置を備えて、それらを連動し、または、個別に制御しても良い。また、カーテン、ロールスクリーン、光の透過率を能動的、または、受動的に変更可能な窓素材なども、本実施形態の遮光装置として、同様に利用することができる。
【0102】
遮光装置としてロールスクリーンを用いる場合について以下に例示する。例えば、図3では、窓Wの内側にブラインド51を設置する例を示したが、さらに、ブラインド51の内側に、ロールスクリーンを設置する。このような場合、ロールスクリーンにおける輝度は、窓Wを介した直射日光を(ブラインド51を介さずに)直接受けた場合には数千cd/m2程度まで上がる。しかし、ブラインド51を完全に閉めてしまえば、ロールスクリーンにおける輝度は、数十cd/m2程度まで下がる。ただし、このロールスクリーンの表面において感じる明るさは、輝度のみに依らず、周辺環境の輝度に依存する。そこで、第1実施形態で説明したように、輝度画像から、人の知覚を表す明るさ画像を生成し、さらに、明るさ画像から明るさ尺度値および不足感Fを算出することにより、オフィスとして光が不足していると感じる程度を評価することができる。そして、評価結果に基づいてブラインド51を制御することにより、ロールスクリーンにおける輝度を制御し、オフィス環境として適切な光環境(視環境)を確保することができる。
【0103】
さらに、このような場合に、明るさ画像に加えて、上述したグレア画像を生成することにより、まぶしさを感じる程度を評価し、評価結果に基づいてブラインド51を制御することにより、ロールスクリーンに直射日光が当たりすぎないように調整することも可能である。
【0104】
また、第1実施形態において、コンピュータ11のモニタ19についても、本発明を同様に適用することができる。例えば、図4のフローチャートのステップS3において、見え方指標を算出する際に、モニタ19の表示部分を、作業者による視対象として見え方指標を算出しても良い。また、図4のフローチャートのステップS6において制御内容を決定する際に、モニタ19の表示における輝度や色味などを制御内容として決定しても良い。さらに、モニタ19のように、バックライトによる表示を行う表示装置のみならず、電子ペーパーなどの、反射型の表示装置についても、本発明を同様に適用することができる。
【0105】
<第2実施形態>
以下、図面を用いて本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。第2実施形態では、第1実施形態と同様の部分については、第1実施形態と同様の符号を用いる。また、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0106】
図9は、第2実施形態の環境制御システムの構成例を示すブロック図である。第2実施形態では、所定の環境として、屋外の建物の外壁に設置されたモニタを含む環境における光環境を制御する環境制御システムを例に挙げて説明する。
【0107】
第2実施形態の環境制御システムは、第1実施形態の照明部41に代えて照明部61を有し、ブラインド51に代えてモニタ71を有する。
【0108】
コンピュータ11およびカメラ31の構成は第1実施形態と同様である。コンピュータ11は、照明部61と有線または無線で接続され、照明部61の各部を制御する。また、コンピュータ11は、入出力I/F16を介して、モニタ71に対して表示用のデータを出力する。
【0109】
照明部61およびモニタ71は、屋外の環境における光環境に影響を与える各装置である。
【0110】
照明部61は、スポットA62およびスポットB63の各部を備える。なお、照明部61の各部における照明の光量は、コンピュータ11により制御可能である。モニタ71は、広告などの表示を行うための表示装置である。
【0111】
上述した屋外の環境について、図10および図11を参照して説明する。
【0112】
図10に示すように、建物の外壁にはモニタ71が設置され、モニタ71の左右上方にはスポットA62およびスポットB63が設置される。
【0113】
図11は、図10に示した環境の上部からの見取り図である。図11に示すように、カメラ31は、モニタ71が設置された壁面の向かい側の壁面(例えば、向かい合わせに立つ建物の壁面など)に、モニタ71に向かって配置される。
【0114】
カメラ31は、図10および図11に示す屋外の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する装置である。なお、本環境制御システムは、モニタ71を目視する通行人などの視野における光環境を制御するためのものであるため、カメラ31の配置位置および配置の向きは、上述した通行人の視野に準ずるものであることが好ましい。また、図10は、カメラ31により取得される輝度画像の画角に対応する屋外の環境の範囲を図示したものである。
【0115】
なお、モニタ71に供給される(降り注ぐ)昼光は、時刻や天候の変化、季節の違いによって、その光量が時々刻々変化する。そのため、カメラ31により取得される輝度画像は刻々と変化する。
【0116】
以上説明した構成の環境制御システムにおいて、CPU14は、第1実施形態の図4に示したフローチャートと同様の処理を行う。
【0117】
ただし、ステップS3においては、図10および図11に示した屋外の建物の外壁に設置されたモニタを含む環境を評価にするのに好適な見え方指標を算出し、ステップS4においては、上述した環境にふさわしい見え方に応じて評価を行えば良い。
【0118】
例えば、屋外環境に設置されたモニタ71では、同じ輝度および色度の表示に対して、昼間はまぶしさや不快さを感じなくても、夜になると、まぶしさや不快さを感じることがある。これは、夜になると昼光(自然光)がなくなり、相対的にモニタ71の表示が明るすぎてしまうためである。また、逆に、昼間に、強い昼光がモニタ71に供給される(降り注ぐ)場合、モニタ71に通常の表示を行っても、表示された内容が全く見えなくなる場合もある。
【0119】
そこで、ステップS3においては、モニタ71の表示面の明るさに関する見え方指標を算出し、ステップS4においては、モニタ71の表示内容が安定的に観察可能な見え方を目標値として評価を行えば良い。
【0120】
以上説明したように、第2実施形態によれば、屋外の環境であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0121】
なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、環境制御システムに、2台以上のカメラを含む構成とし、複数のカメラにより取得した複数の輝度画像に基づいて、総合的な判定を行って光環境を制御しても良い。
【0122】
また、第2実施形態において、第1実施形態と同様に、太陽の日周運動に合わせてカメラ31の向きを変更しても良い。また、カメラ31がズーム機能を備える場合には、輝度画像の画角が適宜変化するように、ズーム処理を行っても良い。
【0123】
また、第2実施形態において、第1実施形態と同様に、図4のフローチャートのステップS2において、明るさ画像以外の見え方画像として、知覚色画像、グレア画像、視認性画像などを生成しても良い。また、見え方画像を生成する際に、明るさ画像、知覚色画像、グレア画像、視認性画像のうち、2種類以上の見え方画像を生成しても良い。
【0124】
また、第2実施形態では、屋外の環境の例として、図10および図11に示した環境を例示して説明を行ったが、本発明はこの例に限定されない。照明装置の組み合わせが異なる屋外の環境であっても良いし、庇などの遮光装置を含む屋外の環境であっても良い。いずれの場合も、図4のフローチャートのステップS3においては、その環境を評価にするのに好適な見え方指標を算出し、ステップS4においては、その環境にふさわしい見え方に応じて評価を行えば良い。
【0125】
また、第2実施形態では、照明装置として、図10および図11において、スポットA62およびスポットB63等を例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されない。照明装置の光源はどのようなものであっても良いし、照明装置の配置位置も、どのような位置であっても良い。
【0126】
また、第2実施形態において、モニタ71は、LEDなどのバックライトによる表示を行う表示装置であっても良いし、電子ペーパーなどの、反射型の表示装置であっても良い。
【0127】
また、第1実施形態では屋内の環境を例示し、第2実施形態では屋外の環境を例示して説明を行ったが、屋内と屋外との両方を含む環境の制御においても、本発明を同様に適用することができる。
【0128】
一般に、住宅の窓を挟んで、室内(屋内)から屋外を見る際の見え方と、屋外から室内を見る際の見え方は全く異なる。例えば、夜に、室内に照明を点けた場合、屋外からは室内の様子がよく見える。しかし、この場合には、室内から屋外はよく見えない。そこで、室内から屋外を見る際の見え方に基づいて光環境を制御する際には、室内から屋外を見る際の見え方画像を生成して評価を行い、屋外から室内を見る際の見え方に基づいて光環境を制御する際には、屋外から室内を見る際の見え方画像を生成して評価を行うことにより、目的に応じた好適な環境制御を行うことができる。
【0129】
また、環境制御プログラムも、本発明の具体的態様として有効である。この環境制御プログラムは、コンピュータにより読み取り可能な媒体に記憶されたものであっても良いし、Web上のサーバなどに記憶され、インターネットを介してコンピュータにダウンロード可能なものであっても良い。上記した各実施形態で説明した照明装置、表示装置、遮光装置などと、各部を制御可能なコンピュータとを接続し、上述した環境制御プログラムをコンピュータにより実行することにより、上記した各実施形態で説明した環境制御システムと同様の処理を実現し、各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0130】
11…コンピュータ、14…CPU、19・71…モニタ、21…見え方画像生成部、22…見え方指標算出部、23…評価部、31…カメラ、41・61…照明部、51…ブラインド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の環境における光環境に影響を与える装置と、前記装置を制御する制御装置とからなる環境制御システムであって、
前記制御装置は、
所定の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する取得手段と、
前記輝度画像に基づいて、前記環境における人の知覚の程度を表す見え方画像を生成する生成手段と、
前記見え方画像に基づいて、前記環境における見え方の適切さを示す指標を算出する算出手段と、
前記指標の値と予め定められた目標値とを比較することにより見え方の適切さ評価を行い、評価結果に基づいて前記装置を制御することにより、前記光環境を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする環境制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の環境制御システムにおいて、
前記光環境に影響を与える前記装置は、
照明の光量と光色との少なくとも一方を変更可能な照明装置と、表示装置と、前記環境への導入光量を変更可能な遮光装置との少なくとも1つを含む
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の環境制御システムにおいて、
前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記照明装置を含み、
前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記照明装置の前記光量と前記光色との少なくとも一方を変更する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項4】
請求項2に記載の環境制御システムにおいて、
前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記表示装置を含み、
前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記表示装置の表示における明るさと色味との少なくとも一方を変更する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項5】
請求項2に記載の環境制御システムにおいて、
前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記遮光装置を含み、
前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記遮光装置による前記導入光量を変更する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項6】
請求項1に記載の環境制御システムにおいて、
前記生成手段は、前記見え方画像として、明るさ画像と、知覚色画像と、グレア画像と、視認性画像との少なくとも1つを生成する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の環境制御システムにおいて、
前記生成手段は、前記輝度画像のウェーブレット分解を行い、J個(Jは2以上の整数)のサブバンド画像を生成し、予め定めた輝度と明るさ感との関係に基づいて、前記サブバンド画像の画素ごとに輝度の値を明るさ感の値に変換し、前記輝度の値が前記明るさ感の値に変換されたK個(Kは2以上の整数;K≦J)のサブバンド画像のウェーブレット合成を行うことにより、前記明るさ画像を生成する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項8】
請求項6に記載の環境制御システムにおいて、
前記生成手段は、心理物理色の分布を表す画像である前記輝度画像に基づいてウェーブレット分解を行い、1段階以上の分解レベルのサブバンド画像を生成し、予め定めた心理物理色と知覚色との関係に基づいて、前記サブバンド画像の各画素の値を心理物理色の値から知覚色の値に変換し、変換後の1段階以上の分解レベルのサブバンド画像に基づいてウェーブレット合成を行うことにより、知覚色の分布を表す画像として前記知覚色画像を生成する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項9】
請求項7に記載の環境制御システムにおいて、
前記生成手段は、前記明るさ画像に視点を設定し、前記明るさ画像のうち前記視点の周囲に位置する画素から前記視点への明るさの寄与に基づいて、前記視点におけるグレア評価値を算出し、算出した前記グレア値に基づいて、前記グレア画像を生成する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項10】
請求項6に記載の環境制御システムにおいて、
前記生成手段は、前記輝度画像に含まれる複数の空間周波数成分を抽出するウェーブレット分解を行い、抽出した前記複数の空間周波数成分各々の各画素における前記空間周波数成分の変化率を示す1次微分量を算出し、前記複数の空間周波数成分各々の前記1次微分量を用いてウェーブレット合成を行うことにより、前記視認性画像を生成する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項11】
請求項1に記載の環境制御システムにおいて、
前記算出手段は、前記見え方画像の全体に基づいて、光の不足感を示す前記指標を算出する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項12】
請求項1に記載の環境制御システムにおいて、
前記算出手段は、前記見え方画像のうち、所定の領域に基づいて、光の不足感を示す前記指標を算出する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項13】
請求項1に記載の環境制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記光環境に影響を与える前記装置として、昼光にかかわる装置と、それ以外の装置とを含む複数の装置を有する場合に、前記昼光を、前記昼光以外の光よりも優先的に前記環境に取り込むように複数の前記装置を制御する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項14】
所定の環境における光環境に影響を与える装置と、前記装置を制御する制御装置とからなる環境制御システムを制御する環境制御プログラムであって、
所定の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する取得手順と、
前記輝度画像に基づいて、前記環境における人の知覚の程度を表す見え方画像を生成する生成手順と、
前記見え方画像に基づいて、前記環境における見え方の適切さを示す指標を算出する算出手順と、
前記指標の値と予め定められた目標値とを比較することにより見え方の適切さ評価を行い、評価結果に基づいて前記装置を制御することにより、前記光環境を制御する制御手順と
をコンピュータに実行させるための環境制御プログラム。
【請求項1】
所定の環境における光環境に影響を与える装置と、前記装置を制御する制御装置とからなる環境制御システムであって、
前記制御装置は、
所定の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する取得手段と、
前記輝度画像に基づいて、前記環境における人の知覚の程度を表す見え方画像を生成する生成手段と、
前記見え方画像に基づいて、前記環境における見え方の適切さを示す指標を算出する算出手段と、
前記指標の値と予め定められた目標値とを比較することにより見え方の適切さ評価を行い、評価結果に基づいて前記装置を制御することにより、前記光環境を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする環境制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の環境制御システムにおいて、
前記光環境に影響を与える前記装置は、
照明の光量と光色との少なくとも一方を変更可能な照明装置と、表示装置と、前記環境への導入光量を変更可能な遮光装置との少なくとも1つを含む
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の環境制御システムにおいて、
前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記照明装置を含み、
前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記照明装置の前記光量と前記光色との少なくとも一方を変更する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項4】
請求項2に記載の環境制御システムにおいて、
前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記表示装置を含み、
前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記表示装置の表示における明るさと色味との少なくとも一方を変更する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項5】
請求項2に記載の環境制御システムにおいて、
前記光環境に影響を与える前記装置は、少なくとも前記遮光装置を含み、
前記制御手段は、前記評価結果に基づいて、前記遮光装置による前記導入光量を変更する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項6】
請求項1に記載の環境制御システムにおいて、
前記生成手段は、前記見え方画像として、明るさ画像と、知覚色画像と、グレア画像と、視認性画像との少なくとも1つを生成する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の環境制御システムにおいて、
前記生成手段は、前記輝度画像のウェーブレット分解を行い、J個(Jは2以上の整数)のサブバンド画像を生成し、予め定めた輝度と明るさ感との関係に基づいて、前記サブバンド画像の画素ごとに輝度の値を明るさ感の値に変換し、前記輝度の値が前記明るさ感の値に変換されたK個(Kは2以上の整数;K≦J)のサブバンド画像のウェーブレット合成を行うことにより、前記明るさ画像を生成する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項8】
請求項6に記載の環境制御システムにおいて、
前記生成手段は、心理物理色の分布を表す画像である前記輝度画像に基づいてウェーブレット分解を行い、1段階以上の分解レベルのサブバンド画像を生成し、予め定めた心理物理色と知覚色との関係に基づいて、前記サブバンド画像の各画素の値を心理物理色の値から知覚色の値に変換し、変換後の1段階以上の分解レベルのサブバンド画像に基づいてウェーブレット合成を行うことにより、知覚色の分布を表す画像として前記知覚色画像を生成する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項9】
請求項7に記載の環境制御システムにおいて、
前記生成手段は、前記明るさ画像に視点を設定し、前記明るさ画像のうち前記視点の周囲に位置する画素から前記視点への明るさの寄与に基づいて、前記視点におけるグレア評価値を算出し、算出した前記グレア値に基づいて、前記グレア画像を生成する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項10】
請求項6に記載の環境制御システムにおいて、
前記生成手段は、前記輝度画像に含まれる複数の空間周波数成分を抽出するウェーブレット分解を行い、抽出した前記複数の空間周波数成分各々の各画素における前記空間周波数成分の変化率を示す1次微分量を算出し、前記複数の空間周波数成分各々の前記1次微分量を用いてウェーブレット合成を行うことにより、前記視認性画像を生成する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項11】
請求項1に記載の環境制御システムにおいて、
前記算出手段は、前記見え方画像の全体に基づいて、光の不足感を示す前記指標を算出する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項12】
請求項1に記載の環境制御システムにおいて、
前記算出手段は、前記見え方画像のうち、所定の領域に基づいて、光の不足感を示す前記指標を算出する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項13】
請求項1に記載の環境制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記光環境に影響を与える前記装置として、昼光にかかわる装置と、それ以外の装置とを含む複数の装置を有する場合に、前記昼光を、前記昼光以外の光よりも優先的に前記環境に取り込むように複数の前記装置を制御する
ことを特徴とする環境制御システム。
【請求項14】
所定の環境における光環境に影響を与える装置と、前記装置を制御する制御装置とからなる環境制御システムを制御する環境制御プログラムであって、
所定の環境における輝度情報に基づいて、輝度画像を取得する取得手順と、
前記輝度画像に基づいて、前記環境における人の知覚の程度を表す見え方画像を生成する生成手順と、
前記見え方画像に基づいて、前記環境における見え方の適切さを示す指標を算出する算出手順と、
前記指標の値と予め定められた目標値とを比較することにより見え方の適切さ評価を行い、評価結果に基づいて前記装置を制御することにより、前記光環境を制御する制御手順と
をコンピュータに実行させるための環境制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−226707(P2012−226707A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96383(P2011−96383)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(507359328)株式会社ビジュアル・テクノロジー研究所 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(507359328)株式会社ビジュアル・テクノロジー研究所 (3)
【Fターム(参考)】
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