説明

環境試験装置

【課題】
環境試験における試験準備等の試験実施時以外における空調を、専用の空調用機器を導入することなく、しかも電力消費量の大なる試験用空調器も駆動させずに行うことができ、設備コストおよびランニングコストの低減を図ることのできる環境試験装置を提供する。
【解決手段】
供試体が収容される試験室6に、吸入ダクト9と送風ダクト5を介して接続された主空調器1を備え、前記吸入ダクト9の途中に、除湿器10からの乾燥空気が供給されるように構成された環境試験装置において、前記除湿器を、プレクーラー付乾式除湿器で構成し、所要の空気条件で行われる本試験以外の状態においては前記主空調器1の冷却運転と、前記除湿器における除湿運転が行われず、前記除湿器のプレクーラー13から供給される冷気によって前記試験室内の空調を行うように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や住宅等の各種製品に対し、種々の温度、湿度等の条件化において耐久性等の各種性能試験を行うための環境試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境試験装置は、自動車等の自走車、住宅等の建築・土木構造物、OA機器等の電子機器、厨房設備等の水周り什器など、各種の製品に対して、様々な環境条件における種々の試験を行うのに利用され、製品の信頼性の向上のための研究開発に重要な設備として位置付けられている。
【0003】
上述のような環境試験装置では、供試体を収容する試験室内を所要の温度条件に正確に設定、維持できなければならず、試験室の温度調節には大型の空調器が用いられる(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
ところで、環境試験を行う際には、供試体を試験室内に収容する前後においても供試体の設置や撤去、試験前における各種のチェックや打ち合わせ等の種々の作業が行われ、この際にも試験室内の空調、主として冷房を要する。
【0005】
試験室の空調は、前記試験用の空調器を利用することもできるが、環境試験用の空調器は規模の大なるものであるから、この空調器を運転すると過大な電力消費がなされ、無駄が多い。
【0006】
そこで従来は、試験室に前記試験用の空調器とは別にパッケージエアコン等の小型の空調装置を設け、試験室において試験以外の各種作業時の空調を行っていたが、小型の空調装置という新たな装置を別途導入する必要があり、設備コストの上昇を招くという問題がある。
【0007】
ところで、従来の環境試験装置には、試験室内の湿度をも正確に制御することを目的として除湿器を備えるものがあるが、この除湿器は除湿のためにしか利用されていないのが現状である。
【特許文献1】特開平9−269281号公報(第1〜3頁、図1〜3)
【特許文献2】特開2000−65690号公報(第1〜1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、環境試験における試験準備等の試験実施時以外における空調を、専用の空調用機器を導入することなく、しかも電力消費量の大なる試験用空調器も駆動させずに行うことができ、設備コストおよびランニングコストの低減を図ることのできる環境試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る環境試験装置は、供試体が収容される試験室に、吸入ダクトと送風ダクトを介して接続された主空調器を備え、前記吸入ダクトの途中に、除湿器からの乾燥空気が供給されるように構成された環境試験装置において、前記除湿器を、プレクーラー付乾式除湿器で構成し、所要の空気条件で行われる本試験以外の状態においては前記主空調器の冷却運転と、前記除湿器における除湿運転が行われず、前記除湿器のプレクーラーから供給される冷気によって前記試験室内の空調を行うように構成したものとしてあり、前記除湿器は、導入空気を外気または試験室からの還気とする構成のものとしてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、除湿器にプレクーラー付のものを使用し、環境試験の実施時以外はこの除湿器のプレクーラーを試験室内の冷房に使用することができるので、別途パッケージエアコン等の試験室用空調装置を導入しなくても、試験用の主空調器の駆動を必要最小限に留めることができ、したがって設備コストおよびランニングコストの低減を期すことのできる環境試験装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る環境試験装置の実施例を添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
主空調器1は、ケーシング2内に外部の大型冷凍機から冷媒が供給される熱交換器3と、送風機4を備え、送出口2bに一端が接続された送風ダクト5の他端が環境試験室6の送気口7に接続され、また環境試験室6の吸気口8に一端が接続された吸入ダクト9の他端が、主空調器1の吸入口2aに接続されている。
【0012】
前記吸入ダクト9の途中には、除湿器10からの送気管11が接続されており、除湿器10は外気を導入して除湿を行い、上記送気管11から吸入ダクト9に乾燥空気を送出する構成となっている。
【0013】
具体的には、前記除湿器10は吸入口12aと送出口12bを有するケーシング12内に、吸入口側から順にプレクーラー13、除湿ロータ14、送風機15を備えており、前記プレクーラー13には冷凍機16からの冷媒が供給される構成となっている。
【0014】
しかして、上述のように構成した本発明の装置においては、環境試験室に供試体が収容され、所要の環境条件下での試験が行われる際には、前記主空調器1および除湿器10の双方が必要に応じて駆動されて試験が行われる。
【0015】
そして、環境試験の準備等の実際の試験を行っていない場合には、主空調器1の駆動を停止し、また除湿器10における除湿機能も停止し、プレクーラー13による冷却および送風機15による吸入ダクト9への冷却空気の供給だけが行われる。
【0016】
より詳しくは、除湿器10における除湿ロータ14における再熱を行わず、除湿ロータではプレクーラーからの冷却空気をそのまま通過させる。
この際、プレクーラー13では一般的に5〜10℃程度の冷却空気が供給されるので、試験室の冷房には十分事が足りる。
【0017】
なお、前記除湿器10からの冷気は、前記吸入ダクト9に送出されてから環境試験室の吸気口8を経て試験室内に供給されるが、送風量が不足するなど必要に応じては主空調器1の送風機4を駆動せしめて、環境試験室の送気口7から冷気を供給する場合もある。
【0018】
上述した実施例のものでは、前記除湿器10を外気導入タイプのものとしてあるが、図2に示すもののように、除湿器10の吸入口12aに一端が接続された吸気管17の他端を吸入ダクト9における前記送気管11よりも上流側に接続し、試験室からの還気を除湿用空気として利用する場合もある。
なお、前記吸気管17の他端を、直接試験室に接続する場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る環境試験装置の実施例を示す構成図。
【図2】本発明に係る環境試験装置の他の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
【0020】
1 主空調器
2 ケーシング
3 熱交換器
4 送風機
5 送風ダクト
6 環境試験室
7 送気口
8 吸気口
9 吸入ダクト
10 除湿器
11 送気管
12 ケーシング
13 プレクーラー
14 除湿ロータ
15 送風機
16 冷凍機
17 吸気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試体が収容される試験室に、吸入ダクトと送風ダクトを介して接続された主空調器を備え、前記吸入ダクトの途中に、除湿器からの乾燥空気が供給されるように構成された環境試験装置において、前記除湿器を、プレクーラー付乾式除湿器で構成し、所要の空気条件で行われる本試験以外の状態においては前記主空調器の冷却運転と、前記除湿器における除湿運転が行われず、前記除湿器のプレクーラーから供給される冷気によって前記試験室内の空調を行うように構成してなる環境試験装置。
【請求項2】
前記除湿器は、導入空気を外気とする請求項1に記載の環境試験装置。
【請求項3】
前記除湿器は、導入空気を試験室からの還気とする請求項1に記載の環境試験装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−343238(P2006−343238A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169925(P2005−169925)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(390026974)株式会社東洋製作所 (132)
【Fターム(参考)】