説明

環状ペプチドおよびその使用

本発明は、免疫調節活性を保有する、交互のD型およびL型アミノ酸を含む環状ペプチドに関する。本発明はまた、該環状ペプチドを含む薬学的組成物および疾患を処置するための方法にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成環状ペプチドに関する。本発明はまた、特にT細胞の活性化または機能の阻害に関連する疾患および/または状態、アレルギー性気道疾患、微生物感染症、および癌を処置するためにこれらのペプチドを用いることにも関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多数の疾患および状態がT細胞の機能または活性化に関連している。よって、T細胞の活性化および/または機能を調節することができる免疫調節活性を有する医療物質の必要性が常に存在している。
【0003】
配列が人工的であるペプチド、またはより大きいポリペプチドの断片を表すペプチドは、治療物質として1つの可能性を提供する。本発明者らは、コアペプチド(CP)と呼ばれる直線状のペプチドが免疫調節物質として作用すること、および抗原認識後のT細胞におけるIL-2産生を阻害することをこれまでに示している(Manolios et. al., 1997)。インビボにおいてCPは、アジュバント誘発関節炎、アレルギー性脳脊髄炎、および遅延型接触過敏症の動物モデルにおいてT細胞媒介炎症を低減させることが示されている。CPは、長さがアミノ酸9個(GLRILLLKV)であり、その配列は、T細胞抗原受容体(TCR-α)膜貫通領域に由来する。
【0004】
しかし、直線状のペプチドを治療的に使用することの難しさは、ペプチドを、分解されることなくまたは他の組織に組み入れられることなく、無傷で生物活性型で所望の作用部位に送達することである。経口ペプチド送達の場合、消化管においていくつかの主要な障害物に遭遇し、これには安定性および生体吸収性に影響を及ぼす分解酵素および極端なpHが含まれる。大半のペプチドは吸収されにくく、酵素およびpH感受性であり、容易に生物分解し、かつ低い溶解度を有する。よって、直線状分子に関連する問題を克服するためにペプチドの送達および安定性を改善することが必要である。
【発明の概要】
【0005】
概要
本明細書において開示されるように、本発明者らは、驚くべきことに交互のD-およびL-アミノ酸を有する様々な合成環状ペプチドが、CPと同じかまたはそれより大きい生物学的効能をもたらし、かつCPと比較して改善された効能および特異性を有することを発見した。環状ペプチドを作製することによって、経口送達およびpH安定性が改善され、酵素による分解が低減され、化合物の有用性が増加する。
【0006】
本発明の第一の局面に従って、免疫調節活性を保有する、交互のD型およびL型アミノ酸を含む環状ペプチドが提供される。
【0007】
免疫調節活性は、T細胞の活性化、増殖、または刺激を阻害する能力を含んでもよい。
【0008】
環状ペプチドはアミノ酸6〜14個を含んでもよい。環状ペプチドは、アミノ酸8〜12個を含んでもよい。第一の局面の1つの態様において、環状ペプチドは、アミノ酸10個を含み、このうちでアミノ酸5個がL型アミノ酸であり、アミノ酸5個がD型アミノ酸である。
【0009】
環状ペプチドは正味の陽電荷を有してもよい。正味の陽電荷は少なくとも+2であってもよい。
【0010】
ペプチドは、1〜5個の疎水性残基によって離れた2つの陽性荷電アミノ酸残基を含んでもよい。陽性荷電残基の少なくとも1つはリジン残基であってもよい。
【0011】
1つの態様において、環状ペプチドは、アミノ酸残基5個のスペーサーによって離れた、リジン残基と第二の陽性荷電残基とを含み、第二の陽性荷電残基はアルギニンまたはリジン残基である。これらのアミノ酸は、D型またはL型アミノ酸であってもよい。アミノ酸5個のスペーサーは、正味の電荷を含まなくてもよく、または正味の陽電荷を含んでもよい。
【0012】
本発明の環状ペプチドは、図1〜4のいずれか1つにおいて示される構造を含んでもよい。
【0013】
本発明の第二の局面に従って、下記式Iの環状ペプチド(C1)が提供される:

【0014】
本発明の第三の局面に従って、下記式IIの環状ペプチドが提供される:

【0015】
本発明の第四の局面に従って、

からなる群より選択される環状ペプチドが提供される。
【0016】
第一、第二、第三、または第四の局面の環状ペプチドは、1つまたは複数の化学部分にコンジュゲートされてもよい。コンジュゲーションは、1つまたは複数のカルボキシル基、ヒドロキシル基、および/またはアミド基での連結によって行われてもよい。化学部分は、ポリペプチド、ペプチド、脂質、糖、または他の化合物であってもよい。化学部分は、担体または治療物質であってもよい。
【0017】
本発明の第五の局面に従って、第一、第二、第三、または第四の局面のいずれか1つのペプチドを含む薬学的組成物が提供される。薬学的組成物には、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、アジュバント、または希釈剤が含まれてもよい。
【0018】
本発明の第六の局面に従って、第一、第二、第三、または第四の局面のいずれか1つの環状ペプチドに選択的に結合する抗体が提供される。
【0019】
第七の局面に従って、本発明は、第一、第二、第三、もしくは第四の局面のいずれか1つのペプチド、または第四の局面の薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、対象における疾患状態を処置または予防するための方法を提供する。典型的に、疾患は自己免疫疾患である。疾患は、神経疾患、内分泌疾患、骨格疾患、皮膚疾患、消化管疾患、心臓疾患、呼吸疾患、血管疾患、免疫系疾患、または移植疾患であってもよい。疾患は、癌であってもよい。疾患は、喘息、慢性好酸球性肺炎、COPD、慢性気管支炎に関連するCOPD、肺気腫、COPDに関連するまたは関連しない呼吸困難、非可逆的な進行性の気道閉塞を特徴とするCOPD、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、他の薬物療法の結果として生じる気道過敏症の悪化、肺高血圧症に関連する気道疾患などの気道の疾患、鼻炎、気管支浮腫、気管支喘息、肺浮腫、アナフィラキシー、または血管浮腫であってもよい。
【0020】
第八の局面に従って、本発明は、第一、第二、第三、もしくは第四の局面のいずれか1つのペプチド、または第四の局面の薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、T細胞の活性化、増殖、または機能の阻害が望ましい対象において疾患状態を処置または予防するための方法を提供する。T細胞の活性化、増殖、または機能の阻害は、T細胞におけるIL-2産生の阻害を伴ってもよい。
【0021】
第九の局面に従って、本発明は、第一、第二、第三、もしくは第四の局面のいずれか1つのペプチド、または第五の局面の薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、対象における微生物感染症を処置または予防するための方法を提供する。
【0022】
1つの態様において、感染症は、ブドウ球菌(Staphylococcus)感染症である。好ましい態様において、ブドウ球菌感染症は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染症であってもよい。もう1つの態様において、微生物感染症はIL-13の増加に関連する。微生物感染症は、寄生虫感染症であってもよい。いくつかの態様において、寄生虫感染症は細胞内寄生虫であってもよい。好ましい態様において、細胞内寄生虫は細菌または原虫であってもよい。細菌は、クラミジア(Chlamydia)、リケッチア(Rickettsia)、コクシエラ(Coxiella)またはマイコバクテリウム(Mycobacterium)を含む群から選択されてもよい。マイコバクテリウムは、らい菌(Mycobacterium leprae)またはヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)であってもよい。原虫は、プラスモディウム種(Plasmodium sp)、リーシュマニア種(Leishmania sp)、トキソプラズマ種(Toxoplasma)またはトリパノソーマ(Trypanosoma)を含む群から選択されてもよい。
【0023】
第十の局面に従って、本発明は、対象における疾患状態を処置または予防するための薬剤を製造するために第一、第二、第三、または第四の局面のいずれか1つのペプチドを用いることを提供する。
【0024】
第十一の局面に従って、本発明は、対象における微生物感染症を処置または予防するための薬剤を製造するために第一、第二、第三、または第四の局面のいずれか1つのペプチドを用いることを提供する。
【0025】
第十二の局面に従って、本発明は、請求項第一、第二、第三、もしくは第四の局面のいずれか1つのペプチド、または第五の局面の薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、血中グルコースレベルの制御が望ましい対象において疾患状態を処置または予防するための方法を提供する。疾患状態は糖尿病であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の態様を添付の図面を参照して、例として記述する。
【図1】ペプチドC1の環状構造。直線状の1文字アミノ酸表記で提供される残基の順序に従って、アミノ酸に1〜10の番号をつける。下付文字Dは、D-アミノ酸を表す。
【図2】ペプチドC2の環状構造。直線状の1文字アミノ酸表記で提供される残基の順序に従って、アミノ酸に1〜10の番号をつける。下付文字Dは、D-アミノ酸を表す。
【図3】ペプチドC3の環状構造。直線状の1文字アミノ酸表記で提供される残基の順序に従って、アミノ酸に1〜10の番号をつける。下付文字Dは、D-アミノ酸を表す。
【図4】ペプチドC4の環状構造。直線状の1文字アミノ酸表記で提供される残基の順序に従って、アミノ酸に1〜10の番号をつける。下付文字Dは、D-アミノ酸を表す。
【図5】抗原提示アッセイ。ペプチドC1〜C4およびC1(C1-L)の直線型の様々な濃度(μM)でT細胞において産生された%IL-2。
【図6】生存率および増殖アッセイ。0.5%DMSOの対照と比較して50μM C1の存在下での2B4細胞の%生存率および増殖。
【図7】抗原提示アッセイ。50μM C1の存在下、様々なT細胞刺激剤の下でDMSO対照(0.5%)と比較して産生された%IL-2。
【図8】全体的な足の腫脹(%)に及ぼすC1、CP、およびシクロスポリンの効果。黒丸、プラセボ処置ラット(n=6);×印、CP処置ラット(n=5);白丸、シクロスポリン処置ラット(n=5);黒三角、C1処置ラット(n=4)。
【図9】DMPC/DMPG脂質二重層(上)におけるC1の31P NMRスペクトル。
【図10】DMPC-d54/DMPG二重層(上)におけるC1の2H NMRスペクトル。
【図11】L1センサーチップ上に固定されたDMPC(A)およびDMPG(B)リポソームに対するペプチドアナログ(50μM)の競合的結合。
【図12】長方形構造を示すC1(水/HCl中100μM)の透過型電子顕微鏡写真。
【図13】C1の存在(1119でピーク)を示す、PyPOBによる環状化後の粗C1の質量分析。
【図14】PyPOBによる環状化後の粗C1の質量分析。保護基を除去する前に保護されたC1を抽出によって精製した。
【図15】C1の存在(1119でピーク)を示す、FDPPによる環状化後の粗C1の質量分析。
【図16】従来のHPLCシステムの模式図である。
【図17】アトカラム(at-column)希釈システムの模式図である。
【図18】C1の質量分析。
【図19】アレルギーマウスにおける気管支肺胞洗浄液(BALF)炎症細胞浸潤物に及ぼす環状C1ペプチド投与の効果:総白血球。データは、史的ナイーブ、PBS/OVAおよびOVA/OVAマウスと比較して1群あたり少なくとも4匹のマウスに関する平均値+SEMを表す。Studentの対応のないt-検定。OVA/OVAと比較して*** P<0.001、** p<0.005、* p<0.05。
【図20】アレルギーマウスにおける気管支肺胞洗浄液(BALF)炎症細胞浸潤物に及ぼすペプチド投与の効果:白血球分画。データは、史的ナイーブ、PBS/OVAおよびOVA/OVAマウスと比較して1群あたり少なくとも4匹のマウスに関する平均値+SEMを表す。Studentの対応のないt-検定。OVA/OVAと比較して*** P<0.001、** p<0.005、* p<0.05。
【図21】アレルギーマウスにおける気管支肺胞洗浄液(BALF)炎症細胞浸潤物に及ぼすペプチド投与の効果:総白血球。データは、1群あたり少なくとも7匹のマウスに関する平均値+SEMを表す。Studentの対応のないt-検定。OVA/OVAと比較して*** P<0.001、** p<0.005、* p<0.05。
【図22】アレルギーマウスにおける気管支肺胞洗浄液(BALF)炎症細胞浸潤物に及ぼすペプチド投与の効果:白血球分画。データは、1群あたり少なくとも6匹のマウスに関する平均値+SEMを表す。Studentの対応のないt-検定。OVA/OVAと比較して*** P<0.001、** p<0.005、* p<0.05。
【図23】脾臓および気管支周囲リンパ節OVA特異的Th2サイトカイン産生に及ぼすペプチド投与の効果。データは、1群あたり少なくとも6匹のマウスに関する平均値+SEMを表す。Studentの対応のないt-検定。OVA/OVAと比較して*** P<0.001、** p<0.005、* p<0.05。
【図24】気道過敏症に及ぼすペプチド投与の効果。気道抵抗(RL)は、コリン作動性刺激の非存在下で生理食塩水に対するベースライン反応性の百分率として表され、1群あたり少なくとも5匹のマウスの平均値+SEMを表す。二元配置ANOVA。OVA/OVAと比較して*** P<0.001、** p<0.005、* p<0.05。
【図25】気道過敏症に及ぼすペプチド投与の効果。動的コンプライアンス(CDyn)は、コリン作動性刺激の非存在下での生理食塩水に対するベースライン反応性の百分率として表され、1群あたり少なくとも5匹のマウスの平均値+SEMを表す。二元配置ANOVA。OVA/OVAと比較して*** P<0.001、** p<0.005、* p<0.05。
【図26】C1の投与後の経時的なNODマウスの血中グルコースレベル。
【図27】水の投与後の経時的なNODマウスの血中グルコースレベル。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
本明細書において用いられる「ペプチド」という用語は、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸で構成されるポリマーを意味する。
【0028】
本明細書においてペプチドに関して用いられる「アナログ」という用語は、ペプチドが本発明の環状ペプチドと実質的に同じ機能を保持するように、1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失、置換を含む、本発明の環状ペプチドの誘導体であるペプチドを意味する。
【0029】
本明細書において用いられる「処置」という用語は、疾患状態もしくは症状を治療する、疾患の確立を予防する、あるいは疾患の進行もしくは他の望ましくない症状を、何であれ何らかの形で防止する、妨害する、後退させる、もしくは逆転させる、任意のおよび全ての用途を指す。
【0030】
本明細書において用いられる「有効量」という用語には、その意味の中に、毒性がなく、かつ望ましい治療効果を提供するのに十分な量の物質または化合物が含まれる。必要とされる正確な量は、処置される種、対象の年齢および全身状態、処置される状態の重症度、投与される具体的な物質、および投与様式等の要因に応じて対象により異なると考えられる。このように、正確な「有効量」を明記することは不可能である。しかし、任意の所与の場合に関して、適切な「有効量」は、慣例的な実験のみを用いて当業者によって決定されうる。
【0031】
本明細書の文脈において、「対象」および「患者」という用語は互換的に用いられ、これには、社会的、経済的、または研究的に重要な任意の種の個体、限定されるわけではないが、ヒト、およびヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ、ネコ、イヌ、霊長類、齧歯類の属のメンバーが含まれる。好ましい態様において、患者は哺乳動物であり、より好ましくは患者はヒトである。
【0032】
本明細書の文脈において、「含む」という用語は、「主に含まれるが必ずしもそれらのみではない」ことを意味する。さらに、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの「含む(comprising)」という言葉の変化形は、対応する変化した意味を有する。
【0033】
詳細な説明
アミノ酸は2つの鏡像型、すなわちL-異性体とD-異性体とをとりうる。哺乳動物のポリペプチドおよびタンパク質において天然に存在するアミノ酸はL-異性体アミノ酸のみを含有する。T細胞抗原受容体(TCR-α)の膜貫通領域に由来するコアペプチド(CP)は、L-異性体アミノ酸9個からなり、インビトロおよびインビボでT細胞抗原特異的活性化の阻害能を有する。
【0034】
Gerber et al. (2005)は、CPの2つの立体異性体、すなわちL-アミノ酸のみからなるCPとD-アミノ酸のみからなるCPの活性を比較した。Gerber et al. は、CPのL型およびD型の両者がインビトロで類似のT細胞増殖阻害活性を保有することを示した。さらに、CPのL型およびD型の両者は、インビボでアジュバント関節炎の軽減において同様に活性であった。
【0035】
本発明者らは、交互のD-およびL-アミノ酸からなる式Iの独特な環状ペプチド

がCPと同じ生物機能を示すことを見いだした。本明細書において開示されるように、インビトロ抗原提示アッセイにおいて、式I(上記)および式IIの環状ペプチド

は各々、IL-2産生によって測定した場合にT細胞活性化を有意に阻害した。
【0036】
式Iの環状ペプチドは、T細胞の活性化の阻害および抗菌活性を含む望ましい生物活性を保有するのみならず、化合物の有用性を増加させる望ましい安定性特徴を保有する。
【0037】
本発明は、式I〜IIによってそれぞれ以下に表される図1〜4にそれぞれ示される環状化構造を有する単離された環状ペプチド(C1〜C4)を提供する。

【0038】
本発明はまた、それぞれ式v〜xxviiによって以下に表される環状化構造も提供する。



【0039】
当業者は、本発明のペプチドに改変を加えてもよく、それらも本発明の範囲に含まれることを容易に認識するであろう。たとえば、D/Lキラリティが維持される限り、D型である特定の残基およびL型である特定の残基を変更してもよい。加えて、疎水性残基を他の疎水性残基に交換してもよい。さらに、ペプチドにおける隣接するアミノ酸のあいだの1つまたは複数のアミド結合に等配電子置換を行ってもよい。
【0040】
ペプチドの長さもまた、変更してもよい。典型的に、本発明のペプチドは、アミノ酸6〜14個、アミノ酸7〜13個、アミノ酸8〜12個、アミノ酸9〜11個、またはより典型的にはアミノ酸10個を含む。
【0041】
本発明はまた、本発明のペプチドが1つまたは複数の追加の化学部分に連結されているペプチドコンジュゲートも企図する。コンジュゲーションは、1つまたは複数のカルボキシル基、ヒドロキシル基、および/またはアミド基での連結によって行われてもよい。例として、化学部分は、ポリペプチド、ペプチド、脂質、糖、または他の化合物であってもよい。化学部分は、ペプチドのインビボ送達を容易にするまたは増強する、および/またはそのペプチドの活性が望まれる領域、組織、または細胞にペプチドを標的化および送達する、担体物質であってもよい。適切な担体分子には、短鎖または長鎖脂肪酸などの脂質が含まれる。または、化学部分は、薬学的化合物などの治療物質であってもよい。
【0042】
環状のD-、L-α-ペプチドはタンパク質分解に対して安定であり、合成が容易で、かつ、広範な潜在的な膜活性配列空間に由来しうる。環状ペプチドの独特の抗生物構造およびその迅速な殺菌作用はまた、細菌による時間的な薬物抵抗性の獲得を制限する可能性がある。ゆえに、本明細書において開示される低分子量のD、L-α-ペプチドは、天然に由来する抗生物質の現在の蓄積に対する魅力的な補充物であり、既存のおよび出現しつつある多様な感染疾患と戦うために多大な可能性を保持する。
【0043】
たとえば、本明細書において開示されるように、式I(C1)の環状ペプチドは、強力な免疫抑制を有する活性生体化合物である。生物物理学研究は、C1が、他の環状および抗菌ペプチドのようにモデル膜の二重層を損傷しないことを示している。環状ペプチドC1は、広いpH範囲(1〜11)に対して、およびトリプシンと共にインキュベートした際に、安定である。C1が免疫反応を阻害できることは、既存の治療に対して新規で刺激的な代替物を提供する。
【0044】
本発明のペプチドはまず、当業者に周知の標準的な液相または固相化学法によって直線状の分子として合成されてもよい。たとえば、そのような分子は、Steward and Young(Steward, J. M. & Young, J. D., Solid Phase Peptide Synthesis. (2nd Edn.)Pierce Chemical Co., Illinois, USA (1984))の固相化学技法に従って合成されてもよい。次に直線状のペプチドを、同様に当業者に周知の技術および技法を用いて環状化させることができる。
【0045】
特定の態様において、本発明の直線状のペプチドは、以下の方法に従って環状化されてもよい。本発明のペプチドのジクロロメタン(DCM;約1 mM)溶液を(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP;4等量)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA;10等量)と共に終夜撹拌してもよい。次に、環状化ペプチドをロータリーエバポレーターにおいて乾燥させた後に、95%トリフルオロ酢酸(TFA):2.5%水:および2.5%トリイソプロピルシラン(TIPSI)の混合物によって脱保護してもよい。粗ペプチドの特徴を、質量分析によって調べてもよい。
【0046】
もう1つの態様において、環状化を上記のように行ってもよいが、保護された環状化ペプチドを最初に水に沈殿させて、沈殿物を0.5 M炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、エーテル、およびアセトニトリルによってそれぞれ洗浄してもよい。次に、保護基をTFA/スカベンジャー混合物において除去してもよい。ペプチドの特徴を、質量分析によって調べてもよい。
【0047】
もう1つの態様において、環状化は無水条件で行われてもよく、ペンタフルオロフェニルジフェニルホスフィネート1.5当量(FDPP;39 mg、0.1 mmol)を直線状の保護されたC1(100 mg、0.007 mmol)のアセトニトリル溶液(14 ml)に加えた後、DIEA 3当量(0.2 mmol)を加えてもよい。反応混合物を室温で終夜撹拌してもよく、その後、溶媒をロータリーエバポレーションによって除去して、質量分析によって特徴を調べてもよい。
【0048】
本発明の環状ペプチドの精製は、HPLCによって行ってもよい。典型的に、本発明の環状化ペプチドの疎水性特性のために、従来のHPLC技術を用いてのペプチドの精製は困難である。本発明者らは、HPLCを用いてペプチドを精製するためにアトカラム希釈(ACD:At-Column Dilution)技術を用いた。この技術は、比較的大量の強い試料希釈剤を注射するために開発された。ACD技術はまた、試料ループまたはカラムそのものにおけるバルク沈殿を防止する。図16および17は、従来のHPLC技術およびACD HPLC技術の模式図である。
【0049】
ACD精製に関して、本発明のペプチドを、アセトニトリルおよそ0.5 ml、10%TFA 200μlに溶解してもよい。次に透明な溶液が得られるまでDMSOを添加してもよい。試料を遠心した後に、c18カラムなどの逆相カラムにローディングするために上清を収集してもよい。標準的なACD技術を用いて試料をローディングしてもよい。本発明のペプチドを、たとえば0.1 ml/分の流速でカラムにローディングしてもよい。同時に、別のポンプを用いて、たとえば流速5 ml/分で移動相をカラムの中にポンプで送ってもよい。カラムから収集した分画中に本発明のペプチドが存在するか否かを、質量分析によって確認してもよい。
【0050】
治療的および予防的適用
本発明のペプチドは、T細胞の機能の阻害が望ましい疾患、特に自己免疫疾患および癌などの多様な疾患および状態の処置または予防において有用である。例として、それに対して本発明の方法および組成物が適用可能である疾患および障害には、多発性硬化症およびギラン・バレー症候群などの神経疾患、糖尿病、橋本病および悪性貧血などの内分泌疾患、関節リウマチ、強直性脊椎炎、反応性関節炎、および全身性紅斑性狼瘡などの骨格疾患、移植片拒絶症候群、蕁麻疹、および薬物アレルギーなどの免疫疾患、天疱瘡、湿疹、接触性皮膚炎、および乾癬などの皮膚疾患、潰瘍性大腸炎およびクローン病などの消化管疾患、喘息および肺炎などの呼吸器疾患、移植疾患、心疾患、血管疾患、ならびに癌が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0051】
インターロイキン-5(IL-5)は、循環中、気道組織、および喀痰中の好酸球の増加を特徴とするアレルギー性鼻炎および喘息が含まれるアレルギー疾患に関連している。インターロイキン13(IL-13)は、気道疾患の誘導に関連しているが、同様に寄生された臓器において生理的変化も誘導し、たとえば腸管において、IL-13は収縮および上皮細胞からの糖タンパク質の過分泌を誘導する。寄生虫感染症によってしばしば、肉芽腫が起こるが、その形成はIL-13によって少なくとも部分的に制御される。肉芽腫によって臓器の損傷が起こり、このように感染症の消散ではなくむしろ深刻なまたは時に致死的な疾患が起こる。IL-13は細胞内感染症を消散させるために必要なTh1応答に拮抗すると考えられている。多数のTh2細胞の動員を特徴とする免疫調節不全のこの状況において、IL-13は、宿主免疫系による細胞内病原体の破壊を阻害する。
【0052】
IL-13はまた、気道の過応答性、杯細胞の異形成、および気道の閉鎖に寄与する粘液過分泌が含まれるアレルギー性肺疾患の特色を誘導する。
【0053】
本発明のペプチドはIL-5およびIL-13レベルを低減させることから(たとえば図23を参照されたい)、本発明のペプチドは、IL-5またはIL-13、またはその双方の増加を特徴とする疾患において、IL-5および/またはIL-13の増加が疾患の病態に寄与する疾患の処置に有用である。本発明のペプチドはまた、CD4の助けを提供するためにT細胞が関係する可能性がある非自己免疫疾患などの多様な疾患および状態を処置または予防するためにT細胞の機能の阻害において有用である。例として、本発明の方法および組成物が適用可能である疾患および障害には、気道疾患、皮膚疾患、骨粗鬆症、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症、および虚血性心疾患が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0054】
特に、気道疾患は、喘息、慢性好酸球性肺炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支炎に関連するCOPD、肺気腫、COPDに関連するまたは関連しない呼吸困難、非可逆性の進行性の気道閉塞を特徴とするCOPD、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、他の薬物療法の結果として生じる気道過敏症の悪化、肺高血圧症に関連する気道疾患、鼻炎、気管支浮腫、気管支喘息、肺浮腫、アナフィラキシー、または血管浮腫などの気道疾患であってもよい。
【0055】
皮膚疾患の例には、白斑、乾癬、湿疹、単純ヘルペス、結節性紅斑、尋常性ざ瘡、紅斑、多形性紅斑、神経皮膚炎、薬疹、蕁麻疹、接触性皮膚炎、皮膚真菌症、および帯状疱疹が含まれる。
【0056】
本発明の方法および組成物はまた、多様な感染疾患および微生物感染症の処置において有用である。そのような感染症は、グラム陰性菌またはグラム陽性菌のいずれかに起因するまたは関連する可能性がある。
【0057】
当業者は、本発明のペプチドが単独でまたは1つもしくは複数の追加の物質と共に投与されてもよいと認識するであろう。たとえば、本発明のペプチドは、T細胞の活性化および/または機能を阻害するために1つまたは複数の物質、たとえばシクロスポリンと共に投与されてもよい。微生物感染症の処置において、本発明のペプチドは1つまたは複数の抗生物質または抗菌剤と共に投与されてもよい。本発明のペプチドと共に用いられてもよい適切な物質は、当業者に公知であろう。
【0058】
そのような併用治療に関して、併用される各々の成分は、所望の効果を提供するために、同時に、または任意の順序で連続的に、または異なる時期に投与されてもよい。個別に投与される場合、成分が同じ投与経路で投与されることが好ましい可能性があるが、これは必ずしもそうである必要はない。または、成分は、併用製品として1つの投与単位で共に製剤化されてもよい。本発明の組成物の併用において用いられてもよい適切な物質は、当業者に公知であろう。
【0059】
本発明の環状ペプチドまたはその抗体は、薬学的組成物の形で治療的または予防的のいずれかで投与されてもよい。治療的応用において、組成物は、疾患およびその合併症を治癒するために、または少なくとも部分的に停止させるために十分な量で、疾患に既に罹っている患者に投与される。組成物は、患者を有効に処置するために十分な活性物質の量を提供する。
【0060】
任意の特定の患者に関する有効用量レベルは、以下を含む多様な要因に依存する:処置される障害および障害の重症度;使用される物質の活性;使用される組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、および食事;投与期間;投与経路;物質の滞留速度;処置の期間;処置と併用してまたは同時に用いられる薬物、ならびに医学的に周知の他の関連する要因。
【0061】
当業者は、慣例的な実験によって、適用可能な疾患を処置するために必要とされる物質の有効な無毒性量を決定することができる。
【0062】
一般的に、有効量は、24時間あたり約0.0001 mg〜約1000 mg/kg体重;典型的に約0.001 mg〜約750 mg/kg体重/24時間;約0.01 mg〜約500 mg/kg体重/24時間;約0.1 mg〜約500 mg/kg体重/24時間;約0.1 mg〜約250 mg/kg体重/24時間;約1.0 mg〜約250 mg /kg体重/24時間の範囲内であると予想される。より典型的には、有効量の範囲は、約1.0 mg〜約200 mg/kg体重/24時間;約1.0mg〜約100 mg/kg体重/24時間;約1.0 mg〜約50 mg/kg体重/24時間;約1.0 mg〜約25 mg/kg体重/24時間;約5.0 mg〜約50 mg/kg体重/24時間;約5.0 mg〜約20 mg/kg体重/24時間;約5.0 mg〜約15 mg/kg体重/24時間、約6.0 mg〜約10 mg/kg体重/24時間、または約1.0 mg〜約6 mg /kg体重/24時間の範囲内であると予想される。
【0063】
または、有効用量は約500 mg/m2までであってもよい。一般的に有効用量は、約25〜約500 mg/m2、好ましくは約25〜約350 mg/m2、より好ましくは約25〜約300 mg/m2、なおより好ましくは約25〜約250 mg/m2、さらにより好ましくは約50〜約250 mg/m2、およびさらになおより好ましくは約75〜約150 mg/m2の範囲であると予想される。
【0064】
典型的に、治療的適用において、疾患状態の期間、処置される。
【0065】
さらに、個々の用量の最適な量および間隔は、処置される疾患状態の性質および程度、投与経路および部位、ならびに処置される特定の個体の性質によって決定されるであろうことは当業者に明らかであろう。同様に、そのような最適な条件は、通常の技術によって決定されうる。
【0066】
同様に、既定の日数のあいだ1日あたりに与えられる組成物の投与回数などの最適な処置工程は、通常の処置工程決定試験を用いて当業者によって確認されうることは、当業者に明らかであろう。
【0067】
一般的に、適切な組成物は、当業者に公知の方法に従って調製されてもよく、よってこれには薬学的に許容可能な担体、希釈剤、および/またはアジュバントが含まれてもよい。
【0068】
これらの組成物は、標準的な経路によって投与されうる。一般的に組成物は、非経口(たとえば、静脈内、動脈内、脊髄内、皮下、または筋肉内)、経口、または局所適用経路によって投与されてもよい。
【0069】
担体、希釈剤、およびアジュバントは、組成物の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに対して有害ではないという点において「許容可能」でなければならない。
【0070】
薬学的に許容可能である担体または希釈剤の例は、脱塩水または蒸留水;生理食塩水溶液;落花生油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、落花生油(arachis oil)、またはココナツ油などの植物性の油;メチルポリシロキサン、フェニルポリシロキサン、およびメチルフェニルポリソルポキサンなどのポリシロキサンが含まれるシリコン油;揮発性シリコン;流動パラフィン、軟パラフィンまたはスクアランなどの鉱油;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;低級アルカノール、たとえばエタノールまたはイソプロパノール;低級アラルカノール;低級ポリアルキレングリコールまたは低級アルキレングリコール、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールまたはグリセリン;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピルまたはオレイン酸エチルなどの脂肪酸エステル;ポリビニルピロリドン;寒天;カラゲニン;トラガカントガムまたはアカシアガム、およびワセリンである。典型的には、担体または複数の担体は、組成物の重量の10%〜99.9%を形成すると考えられる。
【0071】
本発明の組成物は、注射による投与にとって適した形状、経口摂取にとって適した剤形(たとえばカプセル剤、錠剤、カプレット、エリキシル剤などの)、局所適用投与にとって適した軟膏、クリーム、またはローションの剤形、点眼液のような送達にとって適した剤形、鼻腔内吸入または経口吸入などによる吸入による投与にとって適したエアロゾル剤形、非経口投与、すなわち皮下、筋肉内、または静脈内注射にとって適した剤形であってもよい。
【0072】
注射可能な溶液または懸濁液としての投与のために、非毒性の非経口の許容可能な希釈剤または担体には、リンゲル液、等張生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、エタノール、および1,2-プロピレングリコールが含まれうる。
【0073】
経口投与に適した剤形には、錠剤、ロゼンジ、丸剤、カプセル剤、エアロゾル、エリキシル剤、粉剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、およびエマルションが含まれる。経口で用いるのに適した担体、希釈剤、賦形剤、およびアジュバントのいくつかの例には、落花生油、流動パラフィン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アカシアガム、トラガカントガム、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、ゼラチンおよびレシチンが含まれる。加えて、これらの経口製剤は、適切な着香剤および着色剤を含有してもよい。カプセル剤形で用いる場合、カプセル剤を、崩壊を遅らせるモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの化合物によってコーティングしてもよい。
【0074】
アジュバントには典型的に、皮膚軟化剤、乳化剤、濃化剤、保存剤、殺菌剤、および緩衝剤が含まれる。
【0075】
経口投与に適した固体剤形は、ヒトおよび獣医学の薬学の実践において許容可能な結合剤、甘味料、崩壊剤、希釈剤、着香料、コーティング剤、保存剤、潤滑剤、および/または時間遅延剤を含有してもよい。適切な結合剤には、アカシアガム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガカントガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、またはポリエチレングリコールが含まれる。適切な甘味料には、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテーム、またはサッカリンが含まれる。適切な崩壊剤には、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、グアーガム、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸、または寒天が含まれる。適切な希釈剤には、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、カオリン、セルロース、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、またはリン酸二カルシウムが含まれる。適切な着香料には、ペパーミント油、ウィンターグリーン油、サクランボ、オレンジ、またはラズベリー香料が含まれる。適切なコーティング剤には、アクリル酸および/またはメタクリル酸および/またはそのエステルのポリマーまたはコポリマー、ロウ、脂肪アルコール、ゼイン、シェラック、またはグルテンが含まれる。適切な保存剤には、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、α-トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、または亜硫酸水素塩が含まれる。適切な潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、またはタルクが含まれる。適切な時間遅延剤には、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが含まれる。
【0076】
経口投与のための液体剤形は、上記の物質に加えて液体担体を含有してもよい。適切な液体担体には、水、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、ヒマワリ油、サフラワー油、落花生油、ココナツ油などの油、流動パラフィン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、脂肪アルコール、トリグリセリドまたはその混合物が含まれる。
【0077】
経口投与のための懸濁剤はさらに、分散剤および/または懸濁剤を含んでもよい。適切な懸濁剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、またはアセチルアルコールが含まれる。適切な分散剤には、レシチン、ステアリン酸などの脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンソルビトールモノ-またはジ-オレエート、-ステアレート、または-ラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノ-またはジ-オレエート、-ステアレート、または-ラウレート等が含まれる。
【0078】
経口投与のためのエマルションはさらに、1つまたは複数の乳化剤を含んでもよい。適切な乳化剤には、先に例示した分散剤、またはグアーガム、アカシアガム、もしくはトラガカントガムなどの天然ゴムが含まれる。
【0079】
非経口投与可能な組成物を調製するための方法は当業者に明らかであり、たとえば参照により本明細書に組み入れられる、Remington's Pharmaceutical Science, 15th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa.においてより詳細に記述される。
【0080】
本発明に従う局所適用製剤は、1つまたは複数の許容可能な担体と共に活性成分を含み、および他の任意の治療成分を含んでもよい。局所適用投与にとって適した製剤には、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏またはパスタ剤などの、処置が必要である部位に皮膚を通して浸透するために適した液体または半液体調製物、および眼、耳、または鼻への投与にとって適した滴剤が含まれる。
【0081】
本発明に従う滴剤は、滅菌の水性または油性溶液または懸濁液を含んでもよい。これらは、殺菌および/または殺真菌剤および/または他の任意の適切な保存剤の水溶液中に、および任意で界面活性剤が含まれる水溶液中に活性成分を溶解することによって調製されてもよい。得られた溶液を濾過によって透明にしてもよく、適切な容器に移して滅菌してもよい。滅菌はオートクレーヴによって、もしくは90℃〜100℃で半時間維持することによって、または濾過後に無菌的な技術によって容器に移すことによって達成されてもよい。滴剤に含めるために適した殺菌および殺真菌剤の例は、硝酸または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)、および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液を調製するために適した溶媒には、グリセロール、希釈アルコール、およびプロピレングリコールが含まれる。
【0082】
本発明に従うローション剤には、皮膚または眼に適用するために適したローション剤が含まれる。眼科用ローション剤は、任意で殺菌剤を含有する滅菌水溶液を含んでもよく、滴剤の調製に関連して先に記述された方法と類似の方法によって調製されてもよい。皮膚に適用するためのローション剤またはリニメント剤にはまた、アルコールまたはアセトンなどの乾燥を促進して皮膚を冷却するための物質、および/またはグリセロールなどの湿潤剤、またはヒマシ油もしくは落花生油などの油が含まれてもよい。
【0083】
本発明に従うクリーム、軟膏、またはパスタ剤は、外部適用のための活性成分の半固体製剤である。それらは、微粉化または粉末形状の活性成分を、単独でまたは脂肪性もしくは非脂肪性基剤と共に、水性もしくは非水性の液体中での溶液または懸濁液中で混合することによって作製されてもよい。基剤は、硬、軟、もしくは流動パラフィン、グリセロール、蜜ロウ、金属石けんなどの炭化水素;粘滑剤;アーモンド、コーン、落花生、ヒマシ、もしくはオリーブ油などの天然起源の油;羊毛脂もしくはその誘導体、またはプロピレングリコールもしくはマクロゴールなどのアルコールと共にステアリン酸もしくはオレイン酸などの脂肪酸を含んでもよい。
【0084】
組成物は、ソルビタンエステルまたはそのポリオキシエチレン誘導体などの陰イオン性、陽イオン性、または非イオン性界面活性剤などの任意の適切な界面活性剤を組み入れてもよい。天然ゴム、セルロース誘導体、またはケイ質シリカ(silicaceous silica)などの無機材料などの懸濁剤、およびラノリンなどの他の成分も同様に含まれてもよい。
【0085】
組成物はまた、リポソームの剤形で投与されてもよい。リポソームは一般的に、リン脂質または他の脂質物質に由来し、水性媒体に分散されるモノラメラまたはマルチラメラの水和液晶によって形成される。リポソームを形成することができる任意の非毒性で、生理的に許容可能で、代謝可能な脂質を用いることができる。リポソーム剤形の組成物は、安定化剤、保存剤、賦形剤等を含有してもよい。好ましい脂質は、天然および合成の、リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成するための方法は当技術分野において公知であり、その内容が参照により本明細書に組み入れられる、この特異的参考文献に関連してなされる:Prescott, Ed., Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N.Y. (1976), p. 33以下参照。
【0086】
抗体
本発明はまた、本発明の環状ペプチドに選択的に結合する抗体を提供する。適切な抗体には、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化、一本鎖、Fab断片、およびFab発現ライブラリが含まれるがこれらに限定されるわけではない。本発明の抗体は、本発明の環状ペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用してもよい。
【0087】
適切な抗体を生成するための方法は、当業者によって容易に認識されるであろう。たとえば、典型的にFab部分を含有するモノクローナル抗体を、Antibodies-A Laboratory Manual, Harlow and Lane, eds., Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y. (1988)において記述されるハイブリドーマ技術を用いて調製してもよい。
【0088】
本質的に、本発明のペプチドに対するモノクローナル抗体の調製において、培養において連続的な細胞株によって抗体分子の産生を提供する任意の技術を用いてもよい。これらには、Kohler et al., Nature, 256:495-497 (1975)によって最初に開発されたハイブリドーマ技術のみならず、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al., Immunology Today, 4:72 (1983))、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al., in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, pp. 77-96, Alan R. Liss, Inc., (1985))が含まれる。不死の抗体産生細胞株は、腫瘍形成性のDNAによるBリンパ球の直接形質転換、またはエプスタイン-バーウイルスによるトランスフェクションなどの融合以外の技術によって作製されうる。たとえば、M. Schreier et al., "Hybridoma Techniques" (1980);Hammerling et al., "Monoclonal Antibodies and T-cell Hybridomas" (1981);Kennett et al., "Monoclonal Antibodies" (1980)を参照されたい。
【0089】
要約すると、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを産生する手段、骨髄腫または他の自己永続的細胞株を、その認識因子結合部分、認識因子、またはその起源特異的DNA結合部分によって過免疫した哺乳動物の脾臓から得られたリンパ球に融合させる。本発明の実践において有用なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、本発明の認識因子との免疫反応能、および標的細胞における特定の転写活性の阻害能によって同定される。
【0090】
本発明の実践において有用なモノクローナル抗体は、適切な抗原特異性の抗体分子を分泌するハイブリドーマを含有する栄養培地を含むモノクローナルハイブリドーマ培養を開始することによって産生されうる。培養は、ハイブリドーマが抗体分子を培地中に分泌するために十分な条件および期間、維持される。続いて、抗体含有培地を収集する。次に、周知の技術によって抗体分子をさらに単離することができる。
【0091】
同様に、本発明の環状ペプチドに対するポリクローナル抗体を産生するために用いられてもよい当技術分野において公知の様々な技法が存在する。ポリクローナル抗体を産生するために、ウサギ、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ等が含まれるがこれらに限定されるわけではない様々な宿主動物を、環状ペプチドの注射によって免疫することができる。さらに、環状ペプチドを、免疫原性の担体、たとえばウシ血清アルブミン(BSA)、またはキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にコンジュゲートさせることができる。同様に、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲル、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性エマルション、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびにBCG(カルメット・ゲラン桿菌)およびざ瘡菌(Corynebacterium parvum)などの潜在的に有用なヒトアジュバントが含まれるがこれらに限定されるわけではない様々なアジュバントを用いて、免疫応答を増加させてもよい。
【0092】
抗体のスクリーニングはまた、当技術分野において公知の多様な技術によって達成されうる。抗体の免疫特異的結合に関するアッセイには、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素免疫測定法)、サンドイッチイムノアッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、ゲル拡散沈殿反応、免疫拡散アッセイ、インサイチューイムノアッセイ、ウェスタンブロット、沈殿反応、アグルチニンアッセイ、補体固定アッセイ、免疫蛍光アッセイ、プロテインAアッセイ、および免疫電気泳動アッセイ等が含まれてもよいがこれらに限定されるわけではない(たとえば、Ausubel et al., eds, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New Yorkを参照されたい)。抗体結合は、一次抗体上の検出可能な標識によって検出されてもよい。または、抗体は、適切に標識された二次抗体または試薬との結合によって検出されてもよい。イムノアッセイにおいて結合を検出するための多様な方法が当技術分野において公知であり、本発明の範囲に含まれる。
【0093】
本発明の抗体は、当業者にとって周知である診断法およびキットにおいて用いられうる。
【0094】
本発明の環状ペプチドに対する抗体は、環状ペプチドに対して結合親和性を有する。好ましくは、抗体は、約105 M-1より大きい、より好ましくは106 M-1より大きい、より好ましくはさらに約107 M-1より大きい、および最も好ましくは約108 M-1より大きい結合親和性またはアビディティを有する。
【0095】
本発明に従う抗体の適切な量を得るために、無血清培地でのバッチ発酵を用いて抗体を製造してもよい。発酵後、抗体をクロマトグラフィーおよびウイルス不活化/除去段階を組み入れる多段階技法によって精製してもよい。例として、抗体を最初にプロテインAアフィニティクロマトグラフィーによって分離した後、溶媒/洗浄剤によって処置して任意の脂質エンベロープを有するウイルスを不活化してもよい。典型的に陰イオンおよび陽イオン交換クロマトグラフィーによるさらなる精製を用いて、残っているタンパク質、溶媒/洗浄剤、および核酸を除去してもよい。精製抗体をさらに精製して、ゲル濾過カラムを用いて0.9%生理食塩水中で製剤化してもよい。製剤化されたバルク調製物を滅菌してウイルスを濾過し、分配してもよい。
【0096】
以下、特定の実施例を参照して本発明を記述するが、それらは本発明の範囲をいかなるようにも制限すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0097】
一般的材料およびペプチド合成
ジミリストイル-L-α-ホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイル-L-α-ホスファチジル-DL-グリセロール(DMPG)、およびN-オクチル-β-D-ガラクトピラノシドを、Sigma(St. Louis, MO, USA)から購入した。Pioneer Chip L1をBiacore(Uppsala, Sweden)から購入した。
【0098】
ペプチドを、マニュアルモードで側鎖保護Fmoc-コンジュゲートアミノ酸を用いて標準的な固相ペプチド合成法によって合成した。Fmoc-保護アミノ酸は、AuspepまたはNovabiochemから購入した。第一の保護アミノ酸をロードしたトリチルクロリドポリスチレン樹脂(Novabiochem)を用いて、直線状の配列を構築した。その後のアミノ酸の付加は、Fmoc基を最初に脱保護した後に次のアミノ酸をカップリングさせることによって達成された。最後のアミノ酸がカップリングされるまでサイクルを繰り返した後、Fmoc基を50%ピペリジンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液中で除去して、直線状の保護されたペプチドを1%トリフルオロ酢酸(TFA)のジクロロメタン溶液によって樹脂から切断して、ピリジン/メタノール(3/7)混合物を用いて収集した。直線状のペプチドを環状化してHPLCまたはアセトニトリル:水抽出によって精製した。表1は、コアペプチド(CP)、式(I)のペプチドの直線状の配列(C1-L)、環状C1、環状ペプチド2(C2)、環状ペプチド3(C3)、および環状ペプチド4(C4)のペプチド配列の例示を提供する。
【0099】
環状ペプチドC1〜C4の環状化(環)構造をそれぞれ、図1〜4に示す。他の環状ペプチドを表1〜3(下記)に記述する。
【0100】
実施例1:環状化および精製法
方法A(下記)は標準的な方法であり、産物のより大きい収率に関して試験するために方法BおよびC(下記)が開発されている。方法Bにおいて、環状化は、方法Aのとおりに行ったが、保護基を除去する前に精製段階を導入した。方法Cは、Skropeta et al.によって報告されたように異なる環状化試薬を用いる。
【0101】
方法A.PyBOPを用いるC1の環状化
保護されたC1の直線状の配列をAuspepから購入した。直線状のペプチドのジクロロメタン(DCM;〜1 mM)溶液を(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP;4当量)、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA;10当量)と共に終夜撹拌した。環状化ペプチドをロータリーエバポレーターにおいて乾燥させた後、95%トリフルオロ酢酸(TFA):2.5%水:および2.5%トリイソプロピルシラン(TIPSI)の混合物によって脱保護した。粗ペプチドの特徴を質量分析によって調べた(図13)。
【0102】
方法B.PyBOPを用いるC1の環状化および切断前の精製
保護された環状化ペプチドを最初に水に沈殿させた後、沈殿物を0.5 M炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、エーテル、およびアセトニトリルによってそれぞれ洗浄したことを除き、上記と同様に合成を再現した。次に、TFA/スキャベンジャー混合物において先に記述したように保護基を除去して、ペプチドの特徴を質量分析によって調べた(図14)。
【0103】
方法C .FDPPを用いるC1の環状化
無水条件で、ペンタフルオロフェニルジフェニルホスフィネート1.5当量(FDPP;39 mg、0.1 mmol)を、直線状の保護されたC1(100 mg、0.007 mmol)のアセトニトリル(14 ml)溶液に加えた後、DIEA 3当量(0.2 mmol)を添加した。反応混合物を室温で終夜撹拌した後、溶媒をロータリーエバポレーションによって除去し、質量分析によって特徴を調べた(図15)。
【0104】
C1精製のためのHPLC法
アトカラム希釈(ACD)技術は、HPLCを用いてC1ペプチドを精製するために、WATERS(Waters Applications Note 2003 "At-Column Dilution Application Notes" pp22 Library No 7150078010、www.waters.comから入手可能)によって開発された。この技術は、比較的大きい体積の強い試料希釈剤を注入するために開発された。ACD技術はまた、試料ループでのまたはカラムそのものでのバルク沈殿を防止する。図16および17は、従来のHPLCシステムとACDシステムの差を示している。
【0105】
C1を、アセトニトリルおよそ0.5 ml、10%TFA 200μlに溶解した後、透明な溶液が得られるまでDMSOを添加した。試料を遠心した後、C18逆相カラムにローディングするために上清を収集した。試料をACD技術を用いてローディングした。C1をカラムに0.1 ml/分の流速でローディングした。同時に、移動相を別のポンプを用いて流速5 ml/分でカラムの中に送った。保持時間31.8〜32.2分で収集された分画におけるC1の存在を質量分析によって確認した(図18)。
【0106】
実施例2−インビボでのT細胞の刺激
T細胞刺激に及ぼす効果を調べるために抗原提示アッセイにおいて環状ペプチドを試験した。確立されたアッセイ(Manolios et al., 1997)を用いて、抗原に応答して産生されるIL-2を測定することによってT細胞活性化を評価した。簡単に説明すると2B4.11ハイブリドーマ(5×104個)およびLK35.2(5×104個)をハトチトクロームC(50μM)と共に、ペプチド(それぞれ、50、25、および10μM)の存在下および非存在下で96ウェルマイクロタイタープレートにおいて24時間インキュベートした。各上清のアリコート(100μl)を採取して、IL-2を含まない培地を用いて連続2倍希釈液を調製した。希釈した上清を、CTLL細胞(2×104個)と共にマイクロタイタープレートにおいて18時間インキュベートした。[3H]チミジン(0.5μCi)を6時間添加して、セルハーベスタ(TiterTek(商標))を用いてCTLL細胞をガラス繊維濾紙上に採取した。[3H]チミジン取り込みをシンチレーション計数(Hewlett Packard)によって測定して、標準曲線と比較して、産生されたIL-2の量を決定した。ペプチドをまず、保存するために100%DMSO中で10 mM、5 mM、および2 mMの濃度に溶解して、全て0.5%DMSOによってそれぞれ作業濃度50μM、25μM、および10μMの濃度に希釈した。
【0107】
図5に示されるように、各ペプチドは用量の応答性を証明したが、C1およびC2のみが溶媒単独(DMSO)対照と比較してIL-2産生を認識可能に阻害した。50μMでは、C1は、溶媒単独の対照値の7.73%±4.97SDにまでIL-2産生を阻害したが、C1濃度を25μMに低下させると、溶媒単独の対照値の59.69%±23.54SDに減少した。C2は、2番目に活性なペプチドであり、50μMで試験した場合、IL-2産生は対照の24.51%±8.81SDに低下し、25μMで試験した場合では58.74%±7.63SDのIL-2が産生された。C3およびC4は、このアッセイにおいて50μMで極小の活性を示し、それぞれ91.69%±25.86SDおよび74.54%±11.22SDが得られた。比較すると、CPは通常、IL-2産生を当量(50μM)で37.08%±10.49SDまで阻害した。非環状化C1(C1-L)はまた、50μMでごくわずかな活性を示した。
【0108】
(表1)ペプチドの一覧

【0109】
(表2)C2およびC3に基づく環状ペプチド

【0110】
(表3)他の配列

【0111】
本明細書における実施例は、環状ペプチドC1が免疫調節活性を有することを記述している。実施例は、関連する環状ペプチドが類似のそのような活性を保持し、よって治療可能性を提供することを証明している。
【0112】
本明細書において開示される置換試験に基づいて、本発明者らは、好ましい免疫調節活性に関して、環状ペプチドが2位にアルギニンおよび8位にリジンを有してもよいことを示した。活性な環状ペプチドにはまた、RとKのあいだに不定数の疎水性アミノ酸が含まれてもよい。さらにRとKのあいだに荷電アミノ酸の不定数を有する活性な環状ポリペプチドは、KとRのあいだで36〜140°の角度を保持してもよい。
【0113】
実施例3−インビトロでの環状ペプチドC1の活性
第一に、C1の活性が毒性によるものか否かを決定するために、2B4.11 T細胞(1×105)を、50μMのペプチドコンジュゲートの存在下でマイクロタイタープレートにおいて培養した。20時間後、30μLを採取して、細胞をトリパンブルー染色によって生存率に関して評価した。残りの培養物を0.5μCi[3H]チミジンによって5時間パルスした後、採取して、細胞増殖を評価するために[3H]チミジン取り込みに関して定量した。
【0114】
図2に示されるように、50μMでのC1は、細胞増殖の62.56%±14.25SDへの減少を引き起こしたが、細胞の生存率は86.63%±8.14SDまで減少した。このように、C1の免疫調節効果は、C1によって引き起こされた毒性によるものではないと考えられる。
【0115】
T細胞活性化
C1の作用様式を分析するために、2C11-145およびH57-597抗体を用いてT細胞を活性化した。H57-597抗体はTCRβ鎖に対する抗体であり、アクセサリ細胞(LK35.2)と共に最適以下の用量で投与すると、T細胞を活性化することができる。T細胞ハイブリドーマ2B4.11細胞(1×105個)を、96ウェル丸底プレートにおいて、LK細胞(5×104個)、TCRのCD3ε鎖をクロスリンクするための可溶性145-2C11(実験室精製)またはTCRβ鎖をクロスリンクするためのH57-597(Biolab)のいずれかの0.5μg/mlの存在下で培養した。C1を、50μMおよび0.5%DMSOで最終反応容積250μLを生じるように添加した。プレートを37℃で5%CO2で24時間インキュベートした。次に、上清を収集してIL-2含有量に関して分析した。コンジュゲートを全て1試料あたりウェル3個ずつ同時に試験して、各実験を異なる時期に3回行った。C1は、H57-597を用いてIL-2産生を54.02%±9.32SDまで阻害した(図7を参照されたい)。他のペプチドに関する結果を表4に示す。
【0116】
T細胞をまた、TCRのCD3鎖をクロスリンクして、それによってTCRα/βの抗原認識サブユニットを迂回するために、2C11-145抗体を用いて活性化させた。C1の存在下でのCD3クロスリンクによって、50.00%±15.79SDのIL-2産生が起こった(図7を参照されたい)。
【0117】
T細胞をまた、ブドウ球菌エンテロトキシンA(SEA)を用いて活性化した。SEAは、TCRを通してT細胞を活性化することができる。しかし、本発明の系において、マクロファージ(LK35.2)のMHC分子をTCRβサブユニットにクロスリンクさせると、それによってT細胞活性化が起こった。T細胞ハイブリドーマ2B4.11(細胞5×104個)を、100 ng/mL SEA、50μM C1、および0.5%DMSOで等量のマクロファージLK35.2(5×104個)と共に全量250μLでインキュベートした。96ウェル丸底マイクロタイタープレートにおいて37℃/5%CO2で刺激を24時間続けた。上清を収集して、IL-2産生に関して分析した。C1は、T細胞活性化のSEAモデルを用いてIL-2産生を71.42%±14.27SDまで阻害した(図7を参照されたい)。他のペプチドの結果を表4に示す。
【0118】
さらに、T細胞をPMAおよびイオノマイシン刺激を用いて活性化した。T細胞を活性化するために使用される方法は、カルシウムイオノフォアであるイオノマイシンと組み合わせてタンパク質キナーゼC活性化PMAを利用した。併用すると、PMA/イオノマイシンは、TCRの下流のT細胞を有効に活性化する。ホルボル12-ミリステート13-アセテート(PMA)(40 ng/ml)およびイオノマイシン(5μg/mL)を2B4細胞(5×104個)に添加して、96ウェル丸底マイクロタイタープレートにおいて0.5%DMSO中で50μMの各CPコンジュゲートと共に全量250μLで37℃、5%CO2で24時間インキュベートした。次に上清を収集して、IL-2産生に関して分析した。CP-コンジュゲートを全て1試料あたり3個ずつのウェルにおいて同時に試験して、各実験を異なる3回の時期に行った。C1の存在下でのPMA/イオノマイシン活性化によって、DMSO対照と比較して62.83%±17.60SDのIL-2産生が起こった(図7を参照されたい)。他のペプチドに関する結果を表4に示す。
【0119】
細胞生存率および細胞増殖と共に考慮した場合、上記の観察は、関心対象T細胞に対して抗原を提示する「マクロファージ」を必要とする正常な抗原提示系の下で、C1が、非常に感度がよく強力なT細胞活性化阻害剤であることを示している。試験した全ての活性化システムの中で、抗原提示機構は、インビボ環境で実際に起こることを最もよく表している。この点において、C1がIL-2産生を阻害するという事実は、T細胞媒介状態の治療選択肢として用いるためのその可能性を証明している。
【0120】
表4(下記)において、各々のIL-2の欄は、1試料あたり3個ずつ行われた個々の実験を表す。値は、DMSO対照(100%)と比較して産生されたIL-2(%)の代表量を示す。すなわち、値がより小さければ、阻害(有効性)はより大きい。
【0121】
(表4)新規環状ペプチドの抗原提示アッセイの結果

ペプチド濃度、50μM;nd、検出されない
【0122】
実施例4−インビボでの環状ペプチドC1の活性
インビボでのC1の免疫調節効果を、Wistar系ラットのアジュバント誘発関節炎モデルを用いることによって調べた。加熱殺菌ヒト型結核菌[MTB]1 mgをスクアラン(アジュバント)100μL中で、既報のとおり(Manolios et al. 1997)尾の基部に1回皮下注射することによって、ラットにおいて関節炎を誘導した。ラットは一般的に、注射後12〜14日で関節炎を発症する。関節炎の発症時、ラットにC1(6 mg)を4日間毎日注射して、関節炎に及ぼす効果を評価した。0〜28日のあいだの定期的な間隔で、動物の体重を測定して、その関節炎の状態を体重、後足の厚さ、後足の幅、後足首の厚さ(マイクロメートルネジゲージによって)の測定によって評価し、関節炎を起こした関節の数を記録した。
【0123】
インビボでのC1の有効性を市販のシクロスポリンと比較した。皮下に与えたC1は、アジュバント誘発関節炎モデルにおける炎症の低減においてシクロスポリンと同等の効果を有した。これは、CPまたはプラセボ処置ラットと比較するとより有意に好都合であった。C1処置ラットとプラセボ処置ラットのあいだに観察された腫脹の差は、統計学的に有意であったが(P<0.0001)、C1とシクロスポリン処置ラットの差は、統計学的に有意ではなかった。
【0124】
実施例5−環状ペプチドC1を用いる生物物理学研究
固相NMR分光法
25μmolの脂質(DMPC-d54単独またはDMPG/DMPC-d54のいずれかをモル比1:3で)を含有する試料を、メタノール/クロロホルム(1/1 v/v)500μL中で乾燥脂質を溶解した後、トリフルオロエタノール500μL中でペプチドの適切な量を添加することによって調製した。次に、ロータリーエバポレーターにおいて乾燥させた後に高真空下で終夜インキュベートすることによって溶媒を除去した。得られたペプチド/脂質混合被膜を蒸留水150μLによって水和して、得られたマルチラメラ小胞の分散液を、試料が確実に均一になるように10回の凍結融解サイクルに供した。
【0125】
ペプチド-脂質分散液のNMRスペクトルを、5 mm試料コイルによるブロードバンドプローブを用いて、Varian (Palo Alto, CA) Inova 300 wide-bore NMR分光計において34℃で記録した。光子デカップリング31P実験を121.46 MHz(4μs、90°パルス、1.5秒リサイクル時間)で行った。25 kHzの掃引幅および1024個の複合データ点を用いておよそ10,000回のスキャンを獲得した。フーリエ変換の前に、指数乗法を適用したところ、100 Hzのラインブロードニングが得られた。2H NMR測定を、四極子エコーシーケンス(Davis et al., 1976)(8μs、90°パルス、30μsパルス分離)、リサイクル時間0.5秒、および100 kHzのスペクトル幅を用いて、時間領域において4000個の複合データポイントで46.06 MHzで行った。およそ60,000回のスキャンを蓄積した。自由誘導減衰は左にシフトしてエコーの上部で始まり、これに50 Hzのラインブロードニングと同等の指数窓関数を乗じた。スペクトルを全て同じ高さまで拡大した。
【0126】
31Pおよび2H NMR測定を行って、C1ペプチドがモデル膜構造を乱すことができるか否かを調べた。モデル膜が生物学的に関連する液晶(Lα)相に確実に存在するように、34℃の測定温度を用いた。脂質のヘッド基の構築および動態に関する情報を与える31P NMRスペクトル(Seelig, 1978)を、C1の非存在下および存在下でDMPC-d54/DMPG(1:10)の分散液に関して図5に示す。
【0127】
脂質アシル鎖のコンフォメーションを、過重水素化アシル鎖を有する脂質を含有する膜において2H NMR測定によって評価した。ペプチドの非存在下および存在下でのDMPC-d54/DMPGの分散液の2H NMRスペクトルを図6に示す。スペクトルは、ほとんどが、アシル鎖の異なるCD2セグメントに起因する重なり合うダブレット共鳴からなるが、中心の高い強度のダブレットは、末端のCD3部分に対応する。DMPC/DMPG膜における10%濃度のC1に関する上記の固相NMR試験は、ペプチドが、膜貫通方向を示して脂質を整列させると考えられることを示している。これらの観察に基づいて、C1は膜に入って膜貫通方向をとるように思われるが、致命的な孔を形成するようには思われない。
【0128】
表面プラズモン共鳴(SPR)
SPRは、ペプチドの結合およびおそらく膜への付着の試験において有用な方法である。成功した応用には、メリチン、そのアナログ、およびマガイニンなどの抗菌ペプチドおよびその作用様式の研究が含まれ、陰イオンおよび両性イオン脂質を用いる膜活性ペプチドの作用様式の理解が含まれる。SPRの技術は、標識されたペプチドのみならず煩雑な分離技法を用いる必要性がなく、構造/機能の関係を調べる能力を提供する(Salamon et al., 1999を参照されたい)。これは、これらのモデル膜に対するペプチド結合およびそれらからの解離のリアルタイムモニタリングを可能にする。
【0129】
両性イオンおよび陰イオン性リン脂質からなるモデル膜を既報のとおり(Bender et al., 2004)調製した。簡単に説明すると、DMPCおよびDMPGを無水クロロホルムおよびクロロホルム/メタノール(2:1)にそれぞれ溶解して、10 mg/ml溶液を生じた。これらを減圧下で蒸発させて、得られた脂質被膜を真空下で終夜乾燥させた。脂質をN-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液に34℃で60分間浮遊させることによって水和して、リン脂質に関して0.5 mM濃度を得た。溶液を超音波浴において20分間超音波処理した。凍結/融解8サイクルを行った後に、Lipofast装置(Avestin, Ottawa, Canada)を用いて最初に孔径100 nm(21回)、次に50 nm(21回)のポリカーボネートフィルターの中に押し出して、SUVを直ちに用いた。
【0130】
SPRを、Pioneer Sensor Chip L1を用い、泳動緩衝液としてHEPES(HBS-N, Biacore, Upssala, Sweden)を用いて、BIAcore 2000機器において行った。チップ表面を40 mMオクチルグリコシド(30μl、10μl/分)の後にリポソーム(SUV)(100μl、5μl/分)によって清浄にした。10 mM NaOH(40μl、10μl/分)によって、任意のマルチラメラ小胞を表面から除去した後、リポペプチド溶液(100μl、5μl/分)を注入した。解離段階は1200秒であった。センサーチップの再生は、40 mMオクチルグリコシド(30μl、10μl/分)によって達成された。SPR実験は全て25℃で行い、分析は全てBIAevaluationソフトウェア(Biacore, Uppsala, Sweden)を用いて行った。リポペプチド結合は、試料の注入前の時点と解離後の時点でのシグナルの差として表された。
【0131】
実施したSPR試験において、DMPCおよびDMPGリポソームに対する環状ペプチドの結合を調べた。C1は、調べた他のいかなるペプチドよりも双方のモデル膜に対してより強く結合することが見いだされた(図7)。DMPCモデル膜に対するC1の結合親和性は、CPよりおよそ10倍高い。結合は非可逆的であり、化合物は、溶出緩衝液による長時間の洗浄後であっても膜表面から除去できなかった。アナログC3およびC4は、モデル膜のいずれにも全く結合を示さず、非環状化C1(C1-L)はごく限られた結合のみを示した。C2のセンソグラムは、陰イオン性リポソーム(3000 RU)に対する何らかの結合が存在することを示したが、両イオン性リポソームに対してはごく限られた結合のみを示した(データは示していない)。C2を例外として、C1は、調べた他の全てのアナログに対して10倍を超える結合を証明した。本発明者らは、IL-2産生の阻害におけるCPおよびその直線状のアナログの膜結合親和性と機能的活性のあいだに強い相関があることを最近報告した(Bender et al., 2004)。よって、この相関はまた、C1にも当てはまることが示されている。C1は、モデル膜に対してCPより高い結合親和性を有し、かつより強い生物活性を示す。
【0132】
透過型電子顕微鏡法
透過型電子顕微鏡を用いて、C1がナノチューブを形成するか否かを同定した。水、90%アセトニトリル:10%水、メタノール、水/DMSO、および水/HCl中のC1の懸濁液を調製した。これらの懸濁液は、一定範囲の濃度(6μM〜2 mM)で作製された。水/HClを除くいずれの懸濁液も、図12に示されるいかなる管状構造も示さなかった。これらの管状構造がナノチューブであるか否かを評価するために、さらなる分析が現在進行中である。
【0133】
水/HCl試料中のC1を以下のように調製した:C1(1.5 mg)を水100μlおよび10 mM HCl 50μlに懸濁させて、およそ9 mMの保存液を作製した。次に、水を用いて保存液を最終濃度100μMに希釈した。次に、C1の小滴をPioloformコーティング400メッシュCu電子顕微鏡グリッドに1分間適用した。余分な液体をブロッティングによって除去し、グリッドを1%ホスホタングステン酸染色液中に1分間浮遊させた後、余分な液体をブロッティングした。次に、グリッドを1軸傾斜標本ホルダーに載せて、120 kVで操作されるPhilips(Eindhoven, The Netherlands)CM120 Biofilter透過型電子顕微鏡において調べた。デジタル画像をGatan(Pleasanton, USA)モデル690 Slow-scan CCDカメラを用いて獲得した。
【0134】
実施例6−環状ペプチドC1の酵素およびpH安定性
C1およびCPに及ぼすトリプシンの効果を、各ペプチド(1μg/μl)をメタノールおよび重炭酸アンモニウム(0.1 M)中で125 ng/μlトリプシンと共にpH 8で37℃でインキュベートすることによって調べた。CPおよびC1と共にインキュベーションした後のトリプシンの効果を質量分析によって追跡した。予想されたように、CPはトリプシンによって切断されて、分解産物ILLLKを生じたが、C1は同じ期間のインキュベーション後でも無傷のままであった。結果を以下の表2に例示する。
【0135】
pH安定性も同様に調べた。C1(2μg/μl)をpH 3、7、および10で30℃で3日間インキュベートした。試料を毎日採取して質量分析によって分析した。C1は、異なるpH環境でのインキュベーション後でも分解しなかった(表5)。
【0136】
(表5)C1およびCPの酵素およびpH安定性

【0137】
実施例7−環状ペプチドC1の抗菌活性
合成C1ペプチドおよびそのアナログを、黄色ブドウ球菌、大腸菌、および肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)に対して米国臨床検査標準化委員会(NCCLS)による標準的なディスク感受性試験によって試験した。試験した全ての環状ペプチドの中で、C1のみが黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性を示し、MICは100μg/mlであると決定された。結果を表6に示す。
【0138】
(表6)C1およびアナログの抗菌活性

【0139】
実施例8−C1の用量および投与経路
免疫抑制ペプチドの投与がマウスモデルにおいてアレルギー性気道疾患の発症に及ぼす効果を、IVCケージに収容した7週齢の雌性Balb/c WTマウスを用いて決定した。環状C1ペプチドの腹腔内用量400 μgでマウスは死亡することから、環状C1 50、100、または200μg用量を以下に述べる設計に従ってマウスの群に皮下または腹腔内投与した。

【0140】
観察
0日目:環状C1ペプチドの初回の腹腔内注射後、マウスを継続的にモニターした。第3群のマウスは、10〜15分以内にケージの底に横たわり、呼吸数は遅くなった。動物は、マウスが通常行うように動き回らず、グルーミングを行わなかった。これらのマウスの数匹の眼も見えなくなり始めた。第3群ではマウス1匹の尾が青っぽくなり始め、この動物を直ちに安楽死させた。この段階までに(初回注射のおよそ1時間15分後)ほとんどのマウスが苦痛の徴候を示し始めたために群の残り(全部でマウス4匹)も同様に安楽死させた。第1群および第2群のマウスは、最初の60分間にわずかに苦しんでいるように思われた(毛を逆立てて体を丸める)が、第3群で観察されたような苦痛のさらなる徴候を示さなかった。注射後1時間15分までに、第1群および第2群のマウスは改善してきているように思われ(ケージの中を動き回り始める)、2時間以内には正常に行動していた。第4〜6群のマウスは、注射部位での何らかの軽微な刺激(ひっかく)を示したことを除き、いかなる有害効果も示さなかった。
【0141】
1日目:第1群および第2群のマウスは注射後わずかに毛を逆立てて体を丸めるように思われたが、1時間までに完全に回復した。第4〜6群のマウスはいかなる有害効果も示さなかった。
【0142】
2日目:第1群および第2群のマウスは注射後わずかに毛を逆立てて体を丸めるように思われたが、1時間までに完全に回復した。第4〜6群のマウスはいかなる有害効果も示さなかった。
【0143】
3日目:マウスは全て正常であるように見え、有害効果の徴候を示さなかった。
【0144】
4日目:マウスは全て正常であるように見え、有害効果の徴候を示さなかった。
【0145】
5日目:マウスを全て屠殺した。
【0146】
結論
マウスは腹腔内注射によって送達された環状C1 200μgを認容できなかった。皮下注射によって送達された環状C1の200μg用量はいかなる有害効果も引き起こさず、これをさらなる試験において用いた(下記を参照されたい)。
【0147】
実施例9−OVAモデルにおけるC1の皮下投与
実施例8において決定された環状C1ペプチドの200μg用量および皮下投与経路の炎症応答に及ぼす効果をOVA(卵アルブミン)モデル(Temelkovski, et al. (1998);Foster, et al. (2000);Asquith et al (2008))によって以下の試験設計に従って試験した。

【0148】
気管支肺胞洗浄液(BALF)における炎症細胞
エンドポイントにおいて、マウスを安楽死させて、気管にカニューレを挿管して気道にHank's平衡塩類溶液(HBSS)0.8 ml容量2回を流すことによってBALFを得た。回収された細胞を赤血球溶解緩衝液によって処理して、サイトスピンを調製し、メイ・グリュンヴァルト・ギムザによって染色して、形態学的基準に基づいて白血球分類を行った(スライドガラスあたり細胞少なくとも200個を計数)。Studentの対応のないt-検定を用いて統計分析を行った。結果をこれまでのデータと比較した。
【0149】
結果
OVAモデルと組み合わせた皮下注射による環状C1ペプチド200μgの投与は、注射部位での何らかの軽微な刺激(ひっかく)を除き、マウスにいかなる有害反応も引き起こさなかった。環状C1ペプチドは、総炎症細胞の低減によって示されるように、免疫応答を抑制した(図19)。炎症細胞のこの低減は、好酸球の減少およびマクロファージの有意な低減に関連する(図20)。
【0150】
実施例10−アレルギー性気道疾患における免疫抑制ペプチド
アレルギー性気道疾患のマウスモデルのチャレンジ相における免疫抑制ペプチドの投与の効果を、以下の試験設計に従うOVA(卵アルブミン)モデルを用いた環状C1ペプチドの投与によって決定した。

【0151】
この試験のエンドポイントには、気管支肺胞洗浄炎症浸潤物、局所(気管支周囲リンパ節)および全身(脾臓)抗原特異的サイトカイン産生(IL-5およびIL-13)ならびに気道の過敏症が含まれる。
【0152】
気管支肺胞洗浄液(BALF)における炎症細胞
気管にカニューレを挿管して気道にHank's平衡塩類溶液(HBSS)0.8 ml容量2回を流すことによってBALFを得た。回収された細胞を赤血球溶解緩衝液によって処理して、サイトスピンを調製し、メイ・グリュンヴァルト・ギムザによって染色して、形態学的基準に基づいて白血球分類を行った(スライドガラスあたり細胞少なくとも200個を計数)。Studentの対応のないt-検定を用いて統計分析を行った。
【0153】
局所および全身サイトカイン産生
気管支周囲リンパ節(PBLN)および脾臓を70μmナイロンメッシュを通して濾過し、赤血球溶解緩衝液によって処理して、96ウェルプレートにおいて動物細胞培養培地(ACCM;RPMI1640中で0.1 mMピルビン酸ナトリウム、2 mM L-グルタミン、20 mM HEPES、100 U/mlペニシリン/ストレプトマイシン、50μM 2-MEおよび10%FBS)において1×106個/ウェルで37℃、5%CO2で培養した。細胞を刺激しないか(培地のみ)、または抗原刺激(200μg/ml OVA)した。培養物を5日間インキュベートして、上清を分析するまで-70℃で保存した。IL-5(BD Pharmingen)およびIL-13(R&D Systems)濃度を、供給元の推奨に従ってELISAによって無細胞上清において決定した。Studentの対応のないt検定を用いて統計分析を行った。
【0154】
気道過敏症(AHR)の測定
大きい(経肺抵抗、RL)および小さい(動的コンプライアンス、Cdyn)気道を代表する吸入メタコリンに対する気道過敏症を決定した。動物を、ケタミン-キシラジンの腹腔内注射によって麻酔して、気管を開口し、ポリエチレンカニューレ(内径0.813 mm)を挿入した。気管チューブを、プレスチモグラフチャンバー内の換気口に接続して、この口を齧歯類用人工呼吸器(HSE Minivent Type 845, Hugo Sachs Elektronik, Harvard, Germany)に接続した。マウスを拍出容積175μlで1分間に呼吸数170回で人工呼吸した。人工呼吸による胸部膨張による体積の変化をプレスチモグラフフローチャンバーに接続した変換器によって測定した。圧変換器は、気道の直径の関数として気管圧の変化を測定する。安定化した後、マウスに生理食塩水をチャレンジした後、増加濃度のメタコリン(0.625、1.25、2.5、5.0、および10.0 mg/ml)をチャレンジした。超音波ネブライザー(Buxco, Aeroneb Laboratory Nebulizer)によってエアロゾルを生成して、吸入管に送達した。各エアロゾルを5分間送達して、そのあいだに圧および流量データを連続的に記録して、専門的ソフトウェア(BioSystemXA, Buxco Electronics, Inc.)を用いて肺抵抗およびコンプライアンスを計算した。ピーク値を、試験されるメタコリン濃度に対する最大応答として得て、生理食塩水対照に対する百分率の変化として表記した。統計分析を二元配置ANOVAを用いて行った。
【0155】
実施例11−結論
表7は、アレルギー性気道疾患に関連するパラメータのスペクトルに及ぼすペプチド投与の効果の要約である。マウスを、OVAチャレンジの際に、直線状のC1ペプチド、環状C1ペプチド、コアペプチド、またはメチルプレドニゾロンによって皮下処置した。OVA/OVA単独を与えたマウス(「アレルギーマウス」)と比較した統計学的有意差を要約する。
【0156】
(表7)C1投与の効果の要約

* nc:変化なし、↑:増加、↓:減少
【0157】
肺の炎症細胞
アレルギーマウスを直線状C1ペプチド、環状C1ペプチド、コアペプチド、またはメチルプレドニゾロンのいずれかによって処置すると、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の総炎症細胞数が有意に減少した(図21)。BALF中の白血球分類を調べると、直線状のC1ペプチドおよび環状C1ペプチドによる処置後に観察された総細胞数の減少は、好酸球の減少に帰因しうることが明らかである。コアペプチドによる処置後に観察された細胞の総数の減少は、好中球および好酸球の低減に帰因しうる。メチルプレドニゾロン処置について観察された総細胞数の減少は、好中球、好酸球、およびマクロファージの減少に帰因しうる。気道におけるリンパ球数に及ぼすペプチド処置の有意な影響はない(図22)。
【0158】
サイトカイン産生
アレルギーマウスを直線状C1ペプチドによって処置しても、局所で産生された(気管支周囲リンパ節由来)IL-5またはIL-13に対して有意な影響を及ぼさなかった。全身性(脾臓由来)IL-5は有意に減少したが、全身性のIL-13の変化は観察されなかった。環状C1ペプチドによる処置は、IL-5およびIL-13産生を局所的および全身的に有意に減少させた。コアペプチドまたはメチルプレドニゾロンによる処置は、全身性のIL-5およびIL-13の産生を有意に減少させた。コアペプチドによる処置はまた、局所産生されたIL-5も有意に減少させた(図23)。
【0159】
気道の過敏症
アレルギーマウスに直線状C1ペプチドおよび環状C1ペプチドを投与しても、メタコリンチャレンジに応答した気道抵抗(図24)または動的コンプライアンス(図25)に有意な効果を有しなかった。コアペプチドおよびメチルプレドニゾロンによって処置したマウスは、気道抵抗の有意な減少および動的コンプライアンスの有意な減少を示した。
【0160】
概略
アレルギーマウスを直線状C1ペプチド、環状C1ペプチド、コアペプチド、またはメチルプレドニゾロンによって処置すると、気道における総炎症細胞の減少によって示されるように、免疫応答の抑制が起こった。ペプチドによる処置はまた、2つのエフェクターTh2サイトカイン(IL-5およびIL-13)の全身性の減少を示した。環状C1ペプチドによる処置はまた、局所で産生されたIL-5およびIL-13を減少させた。ペプチドによる免疫応答のこの抑制は、気道の過敏症の変化を伴った。コアペプチドおよびメチルプレドニゾロン処置は、アレルギー性気道疾患のこのマウスモデルにおいて通常観察される気道過敏症の増加を有意に抑制した。
【0161】
本明細書において提示される結果は、環状C1および類似のペプチドがT細胞に基づく疾患の改善、免疫応答の抑制、および炎症の減少において有効であり、このように広範囲の疾患に対する治療物質として有用であることを示している。
【0162】
実施例12−C1ペプチドによるNODマウスの処置
NODマウスを少なくとも1.5時間絶食させ、血中グルコースレベル(BGL)測定を行った。朝に、全てのマウスをC1 0.1 mgの腹腔内注射(i.p.)によって処置して、BGLを得た。対照マウスには水0.2 mlを与えた。2日連続して15 mMより高いBGLを示したマウスは糖尿病と見なした。
【0163】
予備的な結果を図26に示し、ここでC1処置マウス7匹中2匹が糖尿病を発症した。マウス3は、処置開始後数日以内に糖尿病を発症した。他のマウス1匹(マウス5)は糖尿病を発症した。対照群(図27)では、マウス21匹中7匹が糖尿病を発症した。
【0164】
図26と27とを比較すると、C1によって処置したマウスの血中グルコースレベルは、対照群より厳密に制御されるように思われ、血液グルコースレベルの制御における本発明の環状ペプチドの役割を示唆している。
【0165】
実施例13−組成物
本発明の分子および物質は、様々な疾患状態および病態の処置または予防のために用いられうる。そのような分子および物質は単独で投与されてもよいが、より典型的には薬学的組成物として投与される。
【0166】
本明細書において提供される本発明を実行するための最善の様式に従って、特異的な例示的組成物を以下に概要する。以下は、組成物の単なる例示として解釈されるべきであり、本発明の範囲をいかなるようにも制限すると解釈されない。
【0167】
実施例13(a)−非経口投与のための組成物
筋肉内注射のための組成物は、滅菌緩衝水1 mlおよび適切な物質または分子1 mgを含有するように調製されうる。
【0168】
同様に、静脈内注入のための組成物は、滅菌リンゲル液250 mlと適切な物質または分子5 mgとを含んでもよい。
【0169】
注射による投与に適した組成物はまた、プロピレングリコール10容量%中の適切な物質または分子1重量%を水と混合することによって調製されてもよい。溶液は濾過により滅菌される。
【0170】
実施例13(b)−カプセル組成物
カプセルの剤形での適切な物質または分子の組成物は、粉末型の物質または分子50 mg、ラクトース100 mg、タルク35 mg、およびステアリン酸マグネシウム10 mgを標準的な2部分からなる硬ゼラチンカプセルに充填することによって調製されてもよい。
【0171】
実施例13(c)−点眼液組成物
点眼液として送達するための典型的な組成物を以下に概要する。
適切な物質または分子 0.3 g
ヒドロキシ安息香酸メチル 0.005 g
ヒドロキシ安息香酸プロピル 0.06 g
精製水によって 約100.00 mlにする
【0172】
ヒドロキシ安息香酸メチルおよびプロピルを、75℃の精製水70 mlに溶解して、得られた溶液を冷却する。適切な物質または分子を加えて、溶液をメンブレンフィルター(孔径0.22μm)を通しての濾過によって滅菌して、滅菌容器に無菌的に充填する。
【0173】
実施例13(d)−吸入投与のための組成物
容量20〜30 mlのエアロゾル容器に関して、適切な物質または化合物10 mgと0.5〜0.8重量%のポリソルベート85またはオレイン酸などの潤滑剤との混合物をFreonなどの噴霧剤中に分散させて、鼻腔内または経口吸入投与のために適切なエアロゾル容器に入れる。
【0174】
実施例13(e)−軟膏組成物
軟膏として送達するための典型的な組成物には、なめらかで均一な産物を生じるように分散させた、白色軟パラフィン100.0 gと共に適切な物質または分子1.0 gが含まれる。
【0175】
実施例13(f)−局所適用クリーム組成物
局所適用クリームとして送達するための局所適用組成物を以下に概要する。
適切な物質または分子 1.0 g
Polawax GP 200 25. 0 g
無水ラノリン 3.0 g
白色蜜ロウ 4.5 g
ヒドロキシ安息香酸メチル 0.1 g
脱イオン水または滅菌水によって100.0 gにする
【0176】
Polawax、蜜ロウ、およびラノリンを共に60℃に加熱して、ヒドロキシ安息香酸メチル溶液を加えて、高速撹拌を用いてホモジナイゼーションを達成する。温度を50℃に低下させる。次に物質または分子を加えて均一に分散させて、低速撹拌によって組成物を冷却させる。
【0177】
参考文献


【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫調節活性を保有する、交互のD型およびL型アミノ酸を含む環状ペプチド。
【請求項2】
免疫調節活性が、T細胞の活性化、増殖、または刺激を阻害する能力を含む、請求項1記載の環状ペプチド。
【請求項3】
アミノ酸6個〜14個を含む、請求項1または2記載の環状ペプチド。
【請求項4】
アミノ酸8〜12個を含む、請求項3記載の環状ペプチド。
【請求項5】
アミノ酸10個を含む、請求項3記載の環状ペプチド。
【請求項6】
アミノ酸5個がL型アミノ酸であり、アミノ酸5個がD型アミノ酸である、請求項5記載の環状ペプチド。
【請求項7】
正味の陽電荷を有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の環状ペプチド。
【請求項8】
正味の陽電荷が少なくとも+2である、請求項7記載の環状ペプチド。
【請求項9】
1〜5個の疎水性残基によって離れた2つの陽性荷電アミノ酸残基を含む、請求項1〜8のいずれか1項記載の環状ペプチド。
【請求項10】
陽性荷電残基の少なくとも1つがリジン残基である、請求項10記載の環状ペプチド。
【請求項11】
アミノ酸残基5個のスペーサーによって離れたリジン残基と第二の陽性荷電残基とを含み、第二の陽性荷電残基がアルギニンまたはリジン残基である、請求項1〜10のいずれか1項記載の環状ペプチド。
【請求項12】
アミノ酸5個のスペーサーが正味の電荷または正味の陽電荷を含まない、請求項11記載の環状ペプチド。
【請求項13】
図1〜4のいずれか1つに示される構造を含む、環状ペプチド。
【請求項14】
下記式Iの環状ペプチド(C1):


【請求項15】
下記式IIの環状ペプチド:


【請求項16】
以下を含む群から選択される環状ペプチド:


【請求項17】
1つまたは複数の化学部分にコンジュゲートされた請求項1〜16のいずれか1項記載の環状ペプチド。
【請求項18】
コンジュゲーションが1つまたは複数のカルボキシル基、ヒドロキシル基、および/またはアミド基での連結によって行われる、請求項17記載の環状ペプチド。
【請求項19】
化学部分が、ポリペプチド、ペプチド、脂質、糖、または他の化合物である、請求項17または18記載の環状ペプチド。
【請求項20】
化学部分が担体または治療物質である、請求項17〜19のいずれか1項記載の環状ペプチド。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1項記載のペプチドを含む薬学的組成物。
【請求項22】
1つまたは複数の薬学的に許容される担体、アジュバント、または希釈剤をさらに含む、請求項21記載の薬学的組成物。
【請求項23】
請求項1〜20のいずれか1項記載のペプチドに選択的に結合する抗体。
【請求項24】
請求項1〜20のいずれか1項記載のペプチド、または請求項21もしくは22に記載の薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、対象における疾患状態を処置または予防するための方法。
【請求項25】
疾患が自己免疫疾患である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
疾患が、神経、内分泌疾患、骨格疾患、皮膚疾患、消化管疾患、心臓疾患、呼吸器疾患、血管疾患、免疫系疾患、または移植疾患である、請求項24または25記載の方法。
【請求項27】
疾患が癌である、請求項24〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項28】
疾患が感染症である、または感染症に起因する、請求項24〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
呼吸器疾患が、喘息、慢性好酸球性肺炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支炎に関連するCOPD、肺気腫、COPDに関連するまたは関連しない呼吸困難、非可逆的な進行性の気道閉塞を特徴とするCOPD、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、薬物療法の結果として生じる気道過敏症の悪化、肺高血圧症に関連する気道疾患、鼻炎、気管支浮腫、気管支喘息、肺浮腫、アナフィラキシー、または血管浮腫からなる群より選択される、請求項24〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
皮膚疾患が、白斑、乾癬、湿疹、単純ヘルペス、結節性紅斑、尋常性ざ瘡、紅斑、多形性紅斑、神経皮膚炎、薬疹、蕁麻疹、接触性皮膚炎、皮膚真菌症、および帯状疱疹からなる群より選択される、請求項24〜26のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
請求項1〜20のいずれか1項記載のペプチドまたは請求項21もしくは22記載の薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、T細胞の活性化、増殖、または機能の阻害が望ましい対象において疾患状態を処置または予防するための方法。
【請求項32】
T細胞の活性化、増殖、または機能の阻害がT細胞におけるIL-2産生の阻害を伴う、請求項28記載の方法。
【請求項33】
請求項1〜20のいずれか1項記載のペプチドまたは請求項21もしくは22記載の薬学的組成物の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、対象における微生物感染症を処置または予防するための方法。
【請求項34】
対象における疾患状態を処置または予防するための薬剤を製造するための、請求項1〜20のいずれか1項記載のペプチドの使用。
【請求項35】
対象における微生物感染症の処置または予防のための薬剤を製造するための請求項1〜20のいずれか1項記載のペプチドの使用。
【請求項36】
請求項1〜20のいずれか1項記載のペプチドまたは請求項21もしくは22記載の薬学的組成物の治療的有効量を対象に投与する段階を含む、血中グルコースレベルの制御が望ましい対象において疾患状態を処置または予防するための方法。
【請求項37】
疾患状態が糖尿病である、請求項36記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公表番号】特表2012−509848(P2012−509848A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536707(P2011−536707)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001530
【国際公開番号】WO2010/057275
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(508153556)
【Fターム(参考)】