説明

生ごみの破砕装置

【課題】破砕動作中にマイコンが暴走した場合であっても安全スイッチのオフ動作によって確実に破砕モータを停止させることのできる生ごみの破砕装置を提供する。
【解決手段】複数の安全スイッチ20,22を対応する入力信号線38-1、38-2にてマイコン36に接続し、マイコン36から破砕モータ14の駆動回路42に出力信号線40を通じて信号を供給するとともに、安全スイッチ20と駆動回路42とをバイパス信号線44にてマイコン36を経由せずに直結し、バイパス信号線44からオフ信号が供給されたときに駆動回路42をオフ動作させて駆動モータ14を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、投入口から投入された生ごみを破砕モータにて破砕し、生ごみの処理を行う生ごみの破砕装置に関し、詳しくは複数の安全スイッチを備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ごみの投入口に蓋が正規のセット位置にセットされることによってオン動作する複数の安全スイッチを設け、それら複数の安全スイッチの何れもオン動作することによって、破砕モータを作動させて投入口から投入された生ごみを破砕し、また何れかの安全スイッチがオフ状態となったときに、破砕モータを作動停止させるようになした生ごみの破砕装置が公知である。
【0003】
例えば下記特許文献1にこの種の生ごみの破砕装置が開示されている。
ところでこのように複数の安全スイッチを備えた生ごみの破砕装置において、各安全スイッチの状態をマイコン(マイクロコンピュータ)で判断して破砕モータの作動を制御するようになすことが考えられる。
【0004】
詳しくは、複数の安全スイッチのそれぞれを対応する入力信号線にてマイコンに接続し、各安全スイッチの何れもがオン状態のときにマイコンから出力信号線を通じて破砕モータの駆動回路にオン信号を供給して破砕モータを作動させ、また何れかの安全スイッチがオフ状態のときにオフ信号を駆動回路に供給して破砕モータを作動停止させるようになすことが考えられる。
【0005】
しかしながらこの場合、生ごみの破砕中に即ち破砕モータが作動中に何らかの理由でマイコンが故障したり或いはノイズによって暴走し、命令を受け付けなくなったような場合、安全スイッチがオフ状態となっても破砕モータが停止しなくなってしまうといったことが危惧される。
このようなことは安全上好ましくはない。
【0006】
また破砕モータの駆動回路として、図5に示しているように破砕モータ200に対して電力供給する主回路202上に安全スイッチの数に対応したリレー素子(ここではSSR)204-1,204-2を設け、そして対応する操作回路206-1,206-2上に設けた各対応するスイッチングトランジスタ(半導体スイッチング素子)208-1,208-2のオン・オフによって、リレー素子204-1,204-2をオン・オフ動作させて主回路202を開閉し、破砕モータ200を作動及び作動停止させるものが考えられる。
【0007】
しかしながらこの場合、安全スイッチの数に対応した数だけ高価なリレー素子が必要となり、駆動回路に要するコストが高くなってしまう問題がある。
以上は安全スイッチが、生ごみの投入口に蓋が正規の位置にセットされることによってオン動作する蓋スイッチの場合の例であるが、他の種類,形態の安全スイッチを複数設けた場合においても事情は同様である。
【0008】
【特許文献1】特開平11−57523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は以上のような事情を背景とし、破砕動作中に何らかの原因によってマイコンが故障したり、或いはノイズによって暴走したりした場合であっても、安全スイッチのオフ動作によって確実に破砕モータを停止させることのできる生ごみの破砕装置を提供することを目的としてなされたものである。
また本発明の他の目的は、破砕モータの駆動回路を安価に構成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して請求項1のものは、複数の安全スイッチを設け、それら複数の安全スイッチの何れもオン動作することによって破砕モータを作動させて投入口から投入された生ごみを破砕し、また何れかの安全スイッチがオフ状態となったときに該破砕モータを作動停止させるようになした生ごみの破砕装置において、前記複数の安全スイッチのそれぞれを対応する入力信号線にてマイコンに接続し、各安全スイッチの何れもがオン状態のときに該マイコンから出力信号線を通じて前記破砕モータの駆動回路にオン信号を供給し、また何れかの安全スイッチがオフ状態のときにオフ信号を供給するようになすとともに、前記複数の安全スイッチから選択した特定の安全スイッチと前記駆動回路とをバイパス信号線にて前記マイコンを経由せずに直結し、前記出力信号線及びバイパス信号線の何れからもオン信号が供給されたときに該駆動回路をオン動作させて前記破砕モータを作動させ、また該バイパス信号線からオフ信号が供給されたときに該駆動回路をオフ動作させて該駆動モータを停止させるようになしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2のものは、請求項1において、前記複数の安全スイッチが、前記生ごみの投入口に蓋が正規のセット位置にセットされることによってオン動作する蓋スイッチであることを特徴とする。
【0012】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記破砕モータの駆動回路が、前記破砕モータに電力供給する主回路を開閉して該破砕モータを作動及び作動停止させるリレー素子と、該リレー素子に対して直列に接続された第1及び第2の半導体スイッチング素子とを含んでいて、該第1の半導体スイッチング素子に前記出力信号線が、該第2の半導体スイッチング素子に前記バイパス信号線がそれぞれ接続され、それら信号線からのオン・オフ信号により該第1半導体スイッチング素子と第2半導体スイッチング素子とをオン・オフさせることによって前記リレー素子をオン・オフ動作させるようになしてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0013】
以上のように本発明は、複数の安全スイッチから選択した特定の安全スイッチと破砕モータの駆動回路とをバイパス信号線にてマイコンを経由せずに直結し、マイコンの出力信号線及びそのバイパス信号線の何れからもオン信号が供給されたときに、駆動回路をオン動作させて破砕モータを作動させ、またバイパス信号線からオフ信号が供給されたときに、駆動回路をオフ動作させて駆動モータを停止させるようになしたものである。
【0014】
かかる本願発明によれば、生ごみの破砕中にマイコンが暴走して命令を受け付けないようになった場合であっても、特定の安全スイッチをオフ状態とすることによって、確実に破砕モータを停止させることができ、安全性を高めることができる。
【0015】
本発明においては、上記複数の安全スイッチを、生ごみの投入口に蓋が正規のセット位置にセットされることによってオン動作する蓋スイッチとなしておくことができる(請求項2)。
この場合、生ごみの破砕動作中にマイコンの故障や暴走等によって破砕モータが作動しっ放しになった場合であっても、単に蓋を外すことによって確実に破砕モータを停止させることができる。
【0016】
次に請求項3は、前記破砕モータの駆動回路を、破砕モータに電力供給する主回路を開閉するリレー素子と、そのリレー素子に対して直列に接続された第1及び第2の半導体スイッチング素子とを含んで構成し、そして第1の半導体スイッチング素子に前記マイコンからの出力信号線を、第2の半導体スイッチング素子に上記バイパス信号線を接続して、それら信号線からのオン・オフ信号により各半導体スイッチング素子をオン・オフさせ、以ってリレー素子をオン・オフ動作させるようになしたもので、この請求項3によれば、価格の高いリレー素子が1つですみ、また半導体スイッチング素子は安価であるため破砕モータの駆動回路に要するコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態の生ごみの破砕装置で、12は破砕処理部、14は破砕モータ、16は生ごみの投入口、18はその投入口16にセットされる蓋(安全蓋)である。
20,22はそれぞれ投入口16の近傍において生ごみの破砕装置10に周方向に90°の間隔で配設された安全スイッチとしての機械スイッチ及び磁石スイッチである。
これら機械スイッチ20及び磁石スイッチ22は、それぞれコントローラ24に、詳しくはコントローラ24に内蔵されたマイコン36(図4参照)に接続されている。
【0018】
この蓋18には、機械スイッチ20及び磁石スイッチ22に対応する位置において突起26及びマグネット28が設けられている。
上記機械スイッチ20は、この突起26によって接点が機械的に押えられることによってオン動作する。
また磁石スイッチ22は、マグネット28が近接して位置したときにそのマグネットによってオン動作する。
【0019】
ここで突起26は、図2に示しているように投入口16の下側且つ内部に設けられたスリット32内に入り込んで、機械スイッチ20の接点を押しこれをオン動作させる。
またマグネット28は、図2に示しているように蓋18に設けられた突出部(樹脂製)30の内部に埋設されている。
尚蓋18には図1に示しているように取手34が設けられている。
【0020】
蓋18は、この取手34を持って着脱され、また投入口16に対して蓋18が着脱可能な回転方向位置(図3(A)に示す位置)から図3(B)中右方向に回転操作される。ここにおいて蓋18が正規のセット位置にセットされた状態となる。
この時、蓋18は投入口16から容易に離脱できない状態にロックされ、同時に機械スイッチ20および磁石スイッチ22がオン状態となる。
【0021】
図4に、上記機械スイッチ20及び磁石スイッチ22のオン・オフ信号に基づいて、破砕モータ14を作動及び作動停止させるための回路構成が具体的に示してある。
以下にこれを具体的に説明する。
【0022】
図面中央に配置されているマイコン36の入力側には、安全スイッチとしての機械スイッチ20及び磁石スイッチ22がそれぞれ接続されており、出力側には破砕モータ14の駆動を制御する駆動回路42が接続されている。
機械スイッチ20及び磁石スイッチ22は、それぞれ対応する入力信号線38-1、38-2によりマイコン36に接続されている。
機械スイッチ20はまた、バイパス信号線44にてマイコン36を経由せずに駆動回路42と直結されている。
【0023】
マイコン36は、その出力側において出力信号線40にて駆動回路42と接続されている。
そして入力側に接続された機械スイッチ20及び磁石スイッチ22が何れもオン状態のときに、マイコン36は出力信号線40を通じて駆動回路42にオン信号を供給し、また機械スイッチ20及び磁石スイッチ22の何れかがオフ状態の場合には、駆動回路42にオフ信号を供給する。
【0024】
駆動回路42は、破砕モータ14への電力供給用の主回路46を開閉するリレー素子としてのSSR(ソリッドステートリレー)48と、SSR48に対して直列に接続された第1の半導体スイッチング素子としてのスイッチングトランジスタ50-1及び第2の半導体スイッチング素子としてのスイッチングトランジスタ50-2及び抵抗R3より構成されている。
そしてスイッチングトランジスタ50-1にはマイコン36からの出力信号線40が、スイッチングトランジスタ50-2にはマイコン36を経由しないバイパス信号線44がそれぞれ接続されている。
【0025】
尚、バイパス信号線44上に設けられたトランジスタ54は、スイッチングトランジスタ50-2のスイッチング動作確保のための電位反転用のトランジスタである。
また機械スイッチ20及び磁石スイッチ22側のダイオードD1、D2、D3、D4はノイズ対策のために、また抵抗R1、R2及びコンデンサC1、C2はチャタリング対策の為に設けられたものである。
【0026】
この駆動回路42では、出力信号線40とバイパス信号線44の両方からオン信号が供給されたときに、直列に配置されたスイッチングトランジスタ50-1、50-2が何れもオン状態となり、SSR48内部のフォトダイオードが発光し、主回路46に接続された接点(トライアック)を導通状態として破砕モータ14を作動させる。
一方出力信号線40とバイパス信号線44の何れかからオフ信号が供給されたときにはSSR48はオフ動作し、SSR48の主回路46に接続された接点が非導通状態となって破砕モータ14が作動停止する。
【0027】
つまり蓋18が正規のセット位置にセットされると、機械スイッチ20及び磁石スイッチ22は何れもオン状態となり、入力信号線38-1、38-2を通じてマイコン36にオン信号が供給され、そしてマイコン36は出力信号線40を通じてオン信号を駆動回路42に供給する。このとき機械スイッチ20からのオン信号はバイパス信号線44からも駆動回路42に供給される。
これにより駆動回路42がオン動作し、破砕モータ14を作動させる。
【0028】
一方破砕モータ14の作動中に、マイコン36がノイズにて暴走し、命令を受け付けなくなった場合であっても、蓋18を投入口16から外す等の操作を行って機械スイッチ20をオフ状態にすれば、駆動回路42にはバイパス信号線44を通じてオフ信号が供給されるため、駆動回路42はオフ動作して主回路46を非導通状態とし、破砕モータ14への電力供給を断って、これを作動停止させる。
【0029】
以上のような本実施形態によれば、生ごみの破砕動作中にマイコン36の故障や暴走等によって破砕モータ14が作動しっ放しになった場合であっても、単に蓋18を正規のセット位置から外すことによって確実に破砕モータ14を停止させることができる。
【0030】
また本実施形態によれば、価格の高いリレー素子であるSSR48が1つですみ、またスイッチングトランジスタ50-1、50-2は安価であるため、破砕モータ14の駆動回路42に要するコストを低減することができる。
【0031】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記実施例では機械スイッチ20と駆動回路42とをバイパス信号線44で直結しているが、磁石スイッチ22をバイパス信号線44にて駆動回路42と直結するようになすことも可能であり、或いはまた本発明では蓋スイッチの何れをも機械スイッチとしたり磁石スイッチとしたり、或いはその他の種類のスイッチとするといったことも可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態の生ごみ粉砕装置を示す斜視図である。
【図2】同実施形態の生ごみ粉砕装置の投入口及び蓋を拡大して示す斜視図である。
【図3】同実施形態の蓋を投入口に取り付けた状態を示す図である。
【図4】同実施形態の破砕モータを動作制御するための回路構成を示す図である。
【図5】従来の破砕モータの駆動回路を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 破砕装置
14 破砕モータ
16 投入口
18 蓋(安全蓋)
20 機械スイッチ
22 磁石スイッチ
36 マイコン
38-1、38-2 入力信号
40 出力信号
42 駆動回路
44 バイパス信号線
48 SSR(リレー素子)
50-1、50-2 スイッチングトランジスタ(半導体スイッチング素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の安全スイッチを設け、それら複数の安全スイッチの何れもオン動作することによって破砕モータを作動させて投入口から投入された生ごみを破砕し、また何れかの安全スイッチがオフ状態となったときに該破砕モータを作動停止させるようになした生ごみの破砕装置において
前記複数の安全スイッチのそれぞれを対応する入力信号線にてマイコンに接続し、各安全スイッチの何れもがオン状態のときに該マイコンから出力信号線を通じて前記破砕モータの駆動回路にオン信号を供給し、また何れかの安全スイッチがオフ状態のときにオフ信号を供給するようになすとともに、前記複数の安全スイッチから選択した特定の安全スイッチと前記駆動回路とをバイパス信号線にて前記マイコンを経由せずに直結し、前記出力信号線及びバイパス信号線の何れからもオン信号が供給されたときに該駆動回路をオン動作させて前記破砕モータを作動させ、また該バイパス信号線からオフ信号が供給されたときに該駆動回路をオフ動作させて該駆動モータを停止させるようになしたことを特徴とする生ごみの破砕装置。
【請求項2】
請求項1において、前記複数の安全スイッチが、前記生ごみの投入口に蓋が正規のセット位置にセットされることによってオン動作する蓋スイッチであることを特徴とする生ごみの破砕装置。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記破砕モータの駆動回路が、前記破砕モータに電力供給する主回路を開閉して該破砕モータを作動及び作動停止させるリレー素子と、該リレー素子に対して直列に接続された第1及び第2の半導体スイッチング素子とを含んでいて、該第1の半導体スイッチング素子に前記出力信号線が、該第2の半導体スイッチング素子に前記バイパス信号線がそれぞれ接続され、それら信号線からのオン・オフ信号により該第1半導体スイッチング素子と第2半導体スイッチング素子とをオン・オフさせることによって前記リレー素子をオン・オフ動作させるようになしてあることを特徴とする生ごみの破砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−54724(P2007−54724A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242219(P2005−242219)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】