説明

生ごみ処理機及びその運転方法

【課題】長期間に亘り常に適正に使用することができ、生ごみの高い消滅率と消臭機能を両立させることが可能な、バイオ式生ごみ処理機を提供する。
【解決手段】生ごみをバクテリアで構成された分解処理材Aで処理する分解槽2の内部が閉空間となるように構成し、給気ファン5による前記分解槽2内への給気量よりも排気ファン6による該分解槽2内からの排気量を多くして、該分解槽2内を負圧状態に保持するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バクテリアで構成された分解処理材を使用して生ごみを処理する、いわゆるバイオ式生ごみ処理機とその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の生ごみ処理機は、既に提案され(例えば、特許文献1乃至3参照)、市販されているが、今後その需要は益々増大するものと予想される。
【特許文献1】特許第3310516号公報
【特許文献2】特開平11−262744号公報
【特許文献3】特開2000−343068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の生ごみ処理機における最大の課題は、処理過程で発生する臭気を如何にして消すかという点にある。分解槽内では、有機性ごみの分解反応と共に二酸化炭素、水分、窒素酸化物の他、アンモニア、トリメチルアミン等の臭気成分が発生するが、これらの臭気成分を消臭して外部へ効率良く排出させると共に、処理材の活性を維持させるために、分解槽内へは常に適性量の酸素、水分及び温度を供給することが要請される。
また、分解処理材を構成するバクテリアは、生化学反応に必要な生ごみの投入がないまま活性状態の環境を維持されると、増殖/死滅のバランスが崩れるだけでなく、バクテリアの培養床と保温材となるべき木材チップを栄養源としてしまうため、培養床の消耗に繋がる。そのため、ごみの投入のない時はバクテリアを低活性の休眠状態にする環境を整える必要が生じる。また、バクテリアを低活性状態から活性状態へ復帰させるには、相応の時間を必要とするため、処理機の比較的長期の運転休止後の再使用時には、即使用を可能にするための対処が必要となる。
【0004】
本発明は、上記の如き各種の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長期間に亘り常に適正に使用することができ、生ごみの高い消滅率と消臭機能を両立させることが可能な、バイオ式生ごみ処理機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明による生ごみ処理機は、生ごみをバクテリアで構成された分解処理材で処理する分解槽の内部が閉空間となるように構成し、給気ファンによる前記分解槽内への給気量よりも排気ファンによる該分解槽内からの排気量を多くして、該分解槽内を負圧状態に保持するように構成されている。
【0006】
また、本発明による生ごみ処理機は、前記分解槽内の負圧が維持できなくなる状態での前記排気ファンの回転数の閾値を設定しておき、検出手段を用いて前記排気ファンの回転数を定期的に検出して、該検出時の前記排気ファンの回転数が前記閾値に達しているとき、その事実を警報告知すると共に、前記負圧状態への復帰対処法を告知する表示告知手段を設けている。
【0007】
また、本発明による生ごみ処理機は、前記分解槽内に、前記分解処理材表面へ一定方向の空気流を循環させるように送風方向を設定した複数の内気循環ファンを設け、該内気循環ファンの空気取入れ口を前記排気ファンにより前記分解槽内に形成される排気流路から外れた位置に設けている。
【0008】
また、本発明による生ごみ処理機は、前記排気ファンの下流の排気路中に、排気流の方向に対して所定の角度をなし且つバクテリアで構成された消臭処理材を支持する山形または斜面状のメッシュ状保持部材を含む、消臭装置を設けている。
【0009】
また、本発明による生ごみ処理機は、前記分解槽内での生ごみの分解反応パターンに応じた前記消臭処理材への補水パターンを記憶した記憶手段と、生ごみ投入扉が閉鎖されたとき、前記記憶手段から前記分解槽内での生ごみの分解反応パターンに応じた前記補水パターンを読み出して実行させる制御手段とを設けている。
【0010】
また、本発明による生ごみ処理機は、生ごみを分解し得るバクテリアを含む処理材と前記バクテリアによる前記生ごみの分解条件を整えるための温気、水分及び酸素を分解槽内へ供給する供給手段と、分解槽内の生ごみを前記分解処理材と共に攪拌する攪拌手段と、前記供給手段と前記攪拌手段の運転を制御する制御手段と、該制御手段に設けられたカレンダー装置とを備えていて、該カレンダー装置により前記処理層内への生ごみ投入日を予めセットすることにより、セットされた生ごみ投入日より一定時間前に、前記制御手段を介して前記供給手段と前記攪拌手段を一定間隔で作動させて、前記処理材の再活性化を事前に図るようにしている。
【0011】
また、本発明による生ごみ処理機は、使用者の誤操作等で臭気が発生した場合、分解反応を含む混合型の液体状消臭材を揮発せるか又は噴霧状にする装置を付設して、該装置で生成された前記消臭材を、本体に設けられた排気口付近で臭気を含む排気と混合させ、且つ、前記分解処理材にミネラルと酸素を含有する添加材を添加して、前記分解処理材の分解機能を回復させることにより、消臭を行なうようにしている。
【0012】
また、本発明による生ごみ処理機は、稼動状態を書き込み得るバックアップメモリを付設して、該バックアップメモリに運転中の稼動状態を定期的に書き込むようにし、停電等により運転が停止した後復帰するとき停止時点から処理環境が継続され、分解反応が適切に行なわれるようにしている。
【0013】
本発明のゴミ処理機の運転方法は、ごみ分解槽内へのごみの投入後の一定時間は、好気性バクテリアが主体的に機能し得るように分解処理材の攪拌、給排気、分解槽内気の攪拌、給気の加温を行ない、前記一定時間経過後は、嫌気性バクテリアが主体的に機能し得るように前記分解処理材の攪拌、給排気、分解槽内気の攪拌を間欠的に停止し、運転中、前記分解処理材の水分率を複数回計測して該水分率が所定の閾値以下になる毎に所定量の散水を行ない、所定の時間が経過しても前記ごみ分解槽内へのごみの投入がないときは、前記分解処理材を低活性状態に維持するために前記分解処理材の攪拌、給排気、分解槽内気の攪拌、給気の加温及び補水の動作を所定の時間間隔で停止させるようにしている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、吸気口を有する分解層内を閉空間となるように構成し、排気中に、バクテリアで構成された消臭処理材を支持する山形または斜面状のメッシュ状の保持部材を配置して、高水分率に維持させた上記消臭処理材中に臭気を通すことで消臭を行なうようにし、また、使用者による誤操作等で常態より高い濃度の臭気が発生した場合は、上記分解処理材にミネラルと酵素を含有する添加剤を添加することで分解処理材の分解機能を回復させると共に、回復するまでの間は、排気口外部に付設された液体消臭剤を気体状または噴霧状にする装置を働かして消臭を図ることができるようにしたから、常に高い消臭機能を有する生ごみ処理機を提供することができる。
また、本発明によれば、分解槽内を常に負圧状態に保持し、生ごみと共に攪拌される分解処理材表面に一定方向の空気流を循環させるようにすると共に、分解処理材の処理段階に応じて適性な水分と温気を供給し得るようにしたから、ごみの高い消滅率を実現し得る生ごみ処理機を提供することができる。
また、本発明によれば、分解槽内の負圧を維持できなくなった時その事実と負圧状態への復帰対処法を警報告知し、比較的長期間ごみの投入がない場合には処理材を低活性状態に維持すると共に、再投入の予定時点には該分解処理材が事前に活性状態にあるようにしたから、長期間に亘り高い信頼性を保持し得る生ごみ処理機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図示した実施例に基づき説明する。
図1は本発明に係る生ごみ処理機の概略構成を示す斜視図、図2は図1のII−II線に沿う概略断面図、図3は消臭部の構成を示す概略斜視図、図4は特に排気の流れを示す図1の左側概略端面図、図5は水の供給と回収系路を示す図1の左側概略端面図である。なお、図1及び図2の矢印は空気の流れを、図3における
太い矢印は排気の流れを細い矢印は水の流れを、図4における矢印は排気の流れを、図5における矢印は水の供給と回収径路を、それぞれ示している。
【0016】
図中、1はごみ投入扉1aを開閉可能に取付けたごみ処理機の外装ケース、2は外装ハウジング1内に設けられた実質上閉空間を画成する生ごみ分解槽、3は分解槽2内に横架された回転軸3aと該回転軸に取付けられた複数の攪拌羽根3bとチェーン-プーリを介して回転軸bを回転させる駆動モータ3cとを含む攪拌装置、4は分解槽2内に設けられた補水パイプ、5は分解槽2内に外気を給送するため分解槽の側壁に取付けられた給気ファン、6は分解槽2の給気ファン5が取付けられている側壁と直交する側壁に取付けられていて吸気口に排気フィルター6aを設けた排気ファン、7は排気フィルター6aの目詰まりを掃除するため外部から操作可能のフィルタークリーニング部材、8,9は給気ファン5を挟んで分解槽2の側壁に取付けられていて排気ファン6とは反対の側に吸気口8a,9a(9aは図示されていない)を有する一対の内気循環ファン、10は分解槽2内に設けられた温度・水分検出センサ、11は外装ハウジング1の底部に設けられた外気取入口、12は外気取入口11に隣接配置された外気導入ファン、13は外気取入口11に隣接配置されたヒータ、14は分解槽2の外側低部に設けられた面ヒータ、15はごみ投入扉1aの開閉によりオン-オフされるインターロックスイッチ、16は生ごみ処理機の運転を制御するためのCPUを備えた後述の制御部、Aは分解槽2内に収納された木材チップと多種類のバクテリアとを混合してなる分解処理材である。
【0017】
攪拌羽根3bは、分解槽2内に投入された生ごみと共に分解処理材Aを満遍なく攪拌することが出来るように、形態及び回転軸3aへの取付けが工夫されている。また、内気循環ファン8,9は、矢印で示すように、分解槽2内の空気を、攪拌されている分解処理材Aの表面へ接触させながら一定方向の循環流が形成されるように、吹出口の位置及び形態が選定されている。また、給気ファン5はDCモーターにより、排気ファン6はACモーターによりそれぞれ駆動され、給気ファン5による分解槽2内への給気量よりも排気ファン6による分解槽2内からの排気量の方が多くなるようにるようにして、分解槽2内が常に負圧状態になるように構成されていている。排気フィルター6aの目詰まりは、図2に矢印で示すように、クリーニング部材7を介してその先端に取付けられているブラシ7aを往復動させることにより、取除くことができるようになっている。
【0018】
次に、特に図3~5を参照して、17は排気ファン6の排気口に接続されたトラップ、18はトラップ17に接続された消臭部である。消臭部18は、実質上密閉されたケース状をなしていて、上部には散水パイプ19が、下部には、水の表面張力による水膜の形成で生じる目詰まりを防止するため、排気流の方向に対して所定の角度をなす山形に成形されたメッシュ状保持部材20が設置されている。このメッシュ状保持部材20は、排気流の方向に対して所定の角度をなす単純な斜面状のものでも良く、何れの場合も、その表面上には散水パイプ19との間に適量の消臭処理材Bが充填されている。
【0019】
散水パイプ19へは、ポンプ21と電磁弁22を介して補水タンク23より適量の水が供給されるようになっている。なお、この電磁弁22を介して、分解槽2内の補水パイプ4へも適量の水が供給されるようになっている。また、消臭処理材Bを浸透した散水パイプ19からの水分は、保持部材20を通過し、消臭部18の低部と補水タンク23との間に接続されたパイプを介して、補水タンク23に回収される。
なお、補水タンク23には、タンク内の水位を検出するフロートスイッチが設けられていて、タンク内の水量が所定値より下回ったときは、補水タンク23への給水を告知するようになっている。
【0020】
消臭部18の頂部には、排気口24が設けられていて、消臭部18内を通過した分解槽2からの排気は、外部へ放出される。排気口24の近傍にはオゾン発生器25が設けられていて、排気口24内へオゾンを供給できるようになっている。排気口24の近傍には、更に、分解反応を含む混合型の液体状消臭材を揮発させるか又は噴霧状にする装置26が付設されていて、この装置で生成された液体状消臭材が、排気口24付近で臭気を含む排気と混合されるようになっている。27は外装ケースに取付けつられていて、生ごみ処理機の運転状態を表示したり、必要な運転条件をセットしたりするための表示操作部である。
【0021】
図6は、分解槽2内が負圧状態に維持されているか否かを検出して、警告表示するための模式図である。図に示したように、排気ファン6の駆動モータには回転数検出器6bが付設されていて、処理機の分解処理中及び休眠運転中の区別なく、排気ファン6の駆動モータが駆動されている間、定期的に駆動モータの回転数がカウントされ、そのカウント結果が制御部16で予め設定されている閾値(必要とする排気量が確保できる排気ファン6の駆動モータの回転数)と比較され、カウントされた回転数が上記閾値より少ない場合は、制御部16を介して表示操作部27に設けられたモニターに、排気異常のコードと対処法が表示されると共に、ランプ及びブザーで告知されるようになっている。
【0022】
図7は、分解処理材Aに規定量の水分を供給して最適分解環境を維持させるシステムの模式図である。図に示されるように、処理機の間欠動作時に、水分センサ10により分解処理材A中の水分が計測され、制御部16において、計測された水分値とプログラムされた閾値(分解活性水分の下限値)とが比較され、その水分値が閾値よりも大きい(低湿)時は更に前回の計測値と比較され、これら両計測値が共に上記閾値よりも大きいときは、制御部16からポンプ21に駆動信号が発せられ、次に電磁弁22に信号が発せられて補水パイプ4への流路が所定時間開かれ、分解処理材Aへ向けて規定量の散水が行われるようになっている。
【0023】
図8は、停電等により処理機が停止して或る時間が経過した場合でも、自動的に停止前の状態を復元して分解処理が継続されるようにした、本処理機における処理復帰システム図である。図中、28はカレンダー時計、29はメモリ、30は電源、31はバッテリー、32は電源監視回路である。このシステムは、停電や故意に電源30が遮断されても、バッテリー31でバックアップされたメモリ29に定期的に稼動状態が書き込まれ、電源30が復帰したとき電源30が遮断された以前の状態を、バックアップされているメモリ29から読み出し、自動的に停電前の状態に復元し、分解処理が継続されるようになっている。図9は、図8に示したシステムを用いて、電源復帰から通常処理継続までのプロセスを示すフロー図である。
【0024】
図8に示されたシステムは、また、生ごみ処理データの記録装置しても用いられる。即ち、この装置は、処理中の分解計測データと共に、攪拌、散水、消臭、エラー等の処理機稼動状態を、定期的にメモリ29に記録する。この記録は、カレンダー時計の割り込みにより行なわれる。記録されたデータは、表示操作部27における操作により、日付けと時間を指定して、表示操作部27で見ることができ、トラブル解析、メンテナンス資料、稼動記録に利用することができる。なお、記録されたデータは、バッテリー31でバックアップされているので、停電等により電源が切られても消えることはない。
【0025】
図10は、処理を長期間停止させた後本処理機を再稼動させるのに用いられる装置のシステム図、図11は、図10に示したシステムを用いて再稼動させるプロセスを示すフロー図である。図中、33はスケジュールメモリである。この装置は、正月休や夏休暇のように比較的長期間生ごみの投入が予定されない場合、即ち、処理機を長期間処理を停止させたい場合、処理停止前に予め表示操作部27において、再稼動日をカレンダー機能とリンクしたスケジュールメモリ33に入力しておくと、再稼働日には直ちに生ごみ処理が可能のように分解処理材Aを活性化させるべく、処理機の作動を制御する。この場合の再稼動日機能フローは、図11に示されているとおりである。
【0026】
図12は、予め設定された時間以上にごみ投入扉1aが開いている場合に、これを表示し、警告ランプ及び警告ブザーで告知する作動フローを示している。図13は、ごみ処理機の運転を制御するための各種センサーと制御部16と各駆動要素の信号の入出力関係を示す説明図、図14は、ごみ処理機の処理パターン更新監視ルーチン及び散水監視ルーチンを示すフロー図である。
【0027】
次に、上記生ごみ処理機の作用を説明する。
一般に、生ごみの80%程度は水分で、残りが炭水化物、タンパク質、脂質、極微量の無機質からなる。これらの有機性ごみは、多種類のバクテリアで構成される分解処理材Aで分解されるが、この分解は酸化還元反応からなり、反応過程において酸素の供給が基本となる。また、分解槽2内では、生ごみの分解反応と共に、二酸化炭素、水分、窒素酸化物の他、アンモニア、トリメチルアミン等の臭気成分が発生する。したがって、反応過程の特に好気性を伴う段階では、これらの発生気体を処理槽外へ排出し、酸素と速やかに置換して分解処理材Aによる分解作用を継続させる必要がある。また、発生する臭気成分は処理機内で適確に
消臭する必要がある。
【0028】
上記の要求を満たすため、運転状態において、ごみ投入扉1aを開けて生ごみを投入すれば、その生ごみは分解槽2内で攪拌装置3により分解処理材Aと共に満遍なく攪拌されて分解され、発生した臭気を含む気体は消臭部18で消臭処理されて、排気口24より排出される。この場合、分解槽2内の水分及び温度は、温度-水分センサ10で監視され、所定値よりも水分が不足すれば、制御部16を介し電磁弁22が働き、補水パイプ4に水が供給されて、適量の水分が補給される。また、分解槽2内の温度が規定値よりも低い場合は、ヒータ13及び/又は面ヒータ14が働いて、分解槽2内を分解段階に適した温度まで上昇させる。この間、処理槽2内は負圧状態に保持されているから、給気ファン5により分解槽2内へは新しい外気(酸素)が効率的に導入され、内気循環ファン8,9により、分解処理材Aへ効率的に供給される。なお、ごみ投入扉1aの開閉はインターロックスイッチ15により検知され、開放中はブザーが鳴り続けるから、ごみ投入扉の閉め忘れや不完全な閉鎖状態は防止される。
【0029】
このようにして、生ごみ投入検知後の一定時間は好気性バクテリアが主体的に機能し、その一定時間後からは嫌気性バクテリアが機能するように制御されて、生ごみの分解は効率的に行なわれる。この間、特に嫌気性の環境ではメチルメルカフタンやアンモニア等の悪臭が発生するが、これらの臭気を含む気体は、排気ファン6により、トラップ17を経て消臭部18へ排出される。また、この間、フィルタークリーニング部材7を、必要に応じて図2において矢印方向に往復動させ、ブラシ7aにより排気フィルター6aの目詰まりを防止して、分解槽内を常に負圧状態に保持させる。
【0030】
処理槽2内からの排気は、図3に明示したように、消臭部18の低部に導入され、消臭処理材B内を通過せしめられることにより、消臭される。ここでの消臭は、消臭処理材Bによる臭気の分解反応によって行なうが、散水パイプ19による消臭処理材Bへの水の補給により、排気をこの水に接触溶解させて、反応時間を稼ぐようにしている。この場合、消臭処理材Bは65%程度の高水分率状態に保持される必要があり、そのための補水量は、保持部材20のメッシュに水の表面張力で水膜が形成される量に近似しているが、保持部材20が所定の角度で傾斜して配置されているため、この水膜が形成されることはない。したがって、ここでの目詰まりによる排気量の低下もなくて、分解槽2内の負圧状態を損なうこともなく、常に高い消臭効果を発揮させることができる。
【0031】
上記の場合、制御部16のCPUには、生ごみの分解反応パターンに応じた消臭処理材Bへの補水パターンが記憶されていて、ごみ投入扉1aの開閉によるインターロックスイッチ15からの信号を起点として、上記補水パターンが実行されるようになっているから、臭気濃度の高い時間帯は消臭処理材Bへの補水頻度が高く、分解反応が略終了している時間帯は補水頻度が低くなるように制御される。したがって、補水タンク23の水の過度の消耗は防止される。
【0032】
なお、分解槽2内へ規定量以上の生ごみが投入されたり、補水タンク23の水無し警報が見落されたりして、設定された分解処理材Aの分解能力を超えるか、処理槽内の適性環境が崩れると、分解され難いセロース類や分解処理材Aの死骸残査が蓄積して、強い臭気が発生することがあるが、この場合には、オゾン発生器25と共に装置26を作動させることにより、効果的な消臭を行なうことができる。これにより、比較的小型且つ低コストで臨時的な消臭効果を得ることのできる生ごみ処理機を提供することができる。
【0033】
また、所定の時間が経過してもごみ投入扉1aの開閉がない場合即ち生ごみの投入がないときは、分解処理材Aの攪拌、処理槽内の内気攪拌、給排気、給気の加温、補水の動作が一定間隔で停止させられるようになっているから、分解処理材Aを低活性の休眠状態にすることができ、分解処理材Aの消耗を防ぐことができる。しかしながら、長期の休み明けのように処理機の利用が予め分っているような場合には、生ごみの再投入日を予めセットしておくことにより、指定の再投入日より一定時間前から分解処理材Aの攪拌、処理槽内の内気攪拌、給排気、給気の加温、補水の動作が一定間隔で行なわれて、分解処理材Aを活性状態にして置くことができるから、休み明け後といえども直ちに生ごみ処理を行なうことが可能である。
【0034】
また、使用中停電等により処理機が停止した場合でも、再起動時、実質上停止時点の状態から処理環境が継続されるようになっているから、生ごみ処理や消臭の点で支障を来すようなことはない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る生ごみ処理機の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う概略断面図である。
【図3】消臭部の構成を示す概略斜視図である。
【図4】特に排気の流れを示す図1の左側概略端面図である。
【図5】水の供給と回収系路を示す図1の左側概略端面図である。
【図6】分解槽内が負圧状態に維持されているか否かを検出して、警告表示するための模式図である。
【図7】分解処理材に規定量の水分を供給して最適分解環境を維持させるシステムの模式図である。
【図8】停電等により処理機が停止して或る時間が経過した場合でも、自動的に停止前の状態を復元して分解処理が継続されるようにした、本処理機における処理復帰システム図である。
【図9】図8に示したシステムを用いて、電源復帰から通常処理継続までのプロセスを示すフロー図である。
【図10】処理を長期間停止させた後本処理機を再稼動させるのに用いられる装置のシステム図である。
【図11】図10に示したシステムを用いて再稼動させるプロセスを示すフロー図である。
【図12】予め設定された時間以上にごみ投入扉が開いている場合に、これを表示し、警告ランプ及び警告ブザーで告知する作動フローを示している。
【図13】ごみ処理機の運転を制御するための各種センサーと制御部と各駆動要素の信号の入出力関係を示す説明図である。
【図14】ごみ処理機の処理パターン更新監視ルーチン及び散水監視ルーチンを示すフロー図である。
【符号の説明】
【0036】
1 外装ケース
1a ごみ投入扉
2 分解槽
3 攪拌装置
3a 回転軸
3b 攪拌羽根
3c 駆動モータ
4 補水パイプ
5 給気ファン
6 排気ファン
6a 排気フィルター
6b 回転数検出器
7 フィルタークリーニング部材
7a ブラシ
8、9 内気循環ファン
8a、9a 吸気口
10 温度/水分検出センサ
11 外気取入口
12 外気導入ファン
13 ヒータ
14 面ヒータ
15 インターロックスイッチ
16 制御部
17 トラップ
18 消臭部
19 散水パイプ
20 保持部材
21 ポンプ
22 電磁弁
23 補水タンク
24 排水口
25 オゾン発生器
26 液体消臭材を噴霧状又は揮発させる装置
27 表示操作部
28 カレンダー時計
29 メモリ
30 電源
31 バッテリー
32 電源監視回路
33 スケジュールメモリ
A 分解処理材
B 消臭処理材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみをバクテリアで構成された分解処理材で処理する分解槽の内部が閉空間となるように構成し、給気ファンによる前記分解槽内への給気量よりも排気ファンによる該分解槽内からの排気量を多くして、該分解槽内を負圧状態に保持するようにした生ごみ処理機。
【請求項2】
前記分解槽内の負圧が維持できなくなる状態での前記排気ファンの回転数の閾値を設定しておき、検出手段を用いて前記排気ファンの回転数を定期的に検出して、該検出時の前記排気ファンの回転数が前記閾値に達しているとき、その事実を警報告知すると共に、前記負圧状態への復帰対処法を告知する表示告知手段を設けた請求項1に記載の生ごみ処理機。
【請求項3】
前記分解槽内に、前記分解処理材表面へ一定方向の空気流を循環させるように送風方向を設定した複数の内気循環ファンを設け、該内気循環ファンの空気取入れ口を前記排気ファンにより前記分解槽内に形成される排気流路から外れた位置に設けた請求項1または2に記載の生ごみ処理機。
【請求項4】
前記排気ファンの下流の排気路中に、排気流の方向に対して所定の角度をなし且つバクテリアで構成された消臭処理材を支持する山形または斜面状のメッシュ状保持部材を含む、消臭装置を設けた請求項1乃至3の何れかに記載の生ごみ処理機。
【請求項5】
前記分解槽内での生ごみの分解反応パターンに応じた前記消臭処理材への補水パターンを記憶した記憶手段と、生ごみ投入扉が閉鎖されたとき、前記記憶手段から前記分解槽内での生ごみの分解反応パターンに応じた前記補水パターンを読み出して実行させる制御手段とを設けた請求項4に記載の生ごみ処理機。
【請求項6】
生ごみを分解し得るバクテリアを含む分解処理材と前記バクテリアによる前記生ごみの分解条件を整えるための温気、水分及び酸素を分解槽内へ供給する供給手段と、分解槽内の生ごみを前記分解処理材と共に攪拌する攪拌手段と、前記供給手段と前記攪拌手段の運転を制御する制御手段と、該制御手段に設けられたカレンダー装置とを備えていて、該カレンダー装置により前記処理層内への生ごみ投入日を予めセットすることにより、セットされた生ごみ投入日より一定時間前に、前記制御手段を介して前記供給手段と前記攪拌手段を一定間隔で作動させて、事前に前記分解処理材の再活性化を図るようにした生ごみ処理機。
【請求項7】
分解反応を含む混合型の液体状消臭材を揮発せるか又は噴霧状にする装置を付設して、該装置で生成された前記消臭材を、本体に設けられた排気口付近で臭気を含む排気と混合させ、且つ、前記分解処理材にミネラルと酸素を含有する添加材を添加して、前記分解処理材の分解機能を回復させることにより、消臭を行なうようにした、請求項1乃至6の何れか1項に記載の生ごみ処理機。
【請求項8】
稼動状態を書き込み得るバックアップメモリを付設して、該バックアップメモリに運転中の稼動状態を定期的に書きみ、停電等により運転が停止した後復帰するとき停止時点から処理環境が継続されるようにした、請求項1乃至7の何れか1項に記載の生ごみ処理機。
【請求項9】
ごみ分解槽内へのごみの投入後の一定時間は、好気性バクテリアが主体的に機能し得るように分解処理材の攪拌、給排気、分解槽内気の攪拌、給気の加温を行ない、前記一定時間経過後は、嫌気性バクテリアが主体的に機能し得るように前記分解処理材の攪拌、給排気、分解槽内気の攪拌を間欠的に停止し、運転中、前記分解処理材の水分率を複数回計測して該水分率が所定の閾値以下になる毎に所定量の散水を行ない、所定の時間が経過しても前記ごみ分解槽内へのごみの投入がないときは、前記分解処理材を低活性状態に維持するために前記分解処理材の攪拌、給排気、分解槽内気の攪拌、給気の加温及び補水の動作を所定の時間間隔で停止させるようにした、ゴミ処理機の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−825(P2006−825A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182904(P2004−182904)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000132518)株式会社セコニック (22)
【Fターム(参考)】