説明

生ごみ処理機

【課題】迅速に効率よく生ごみを排出することができる生ごみ処理機を提供する。
【解決手段】生ごみを収容する処理槽28と、該処理槽28内の生ごみを撹拌し粉砕する撹拌翼33とを備えた生ごみ処理機1において、撹拌翼33を処理槽28の底部に垂直に設けた撹拌軸32に取り付け、処理槽28に排出口35を設け、処理済みの生ごみを撹拌翼33で撹拌して遠心力で排出口35から処理槽28の外部に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生ごみを撹拌しながら乾燥して減量化する生ごみ処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭、飲食店等の厨房で生じる生ごみを処理する生ごみ処理機が種々提案され実用化されている。生ごみ処理機には、処理槽に収容した生ごみを撹拌し粉砕する撹拌手段と、生ごみに温風を供給して生ごみを乾燥させる加熱手段とを備えたものがある。
【0003】
この種の生ごみ処理機では、撹拌と乾燥により減量処理された生ごみは処理が終了する毎に手動で取り出さない限り、処理槽に残ったままとなる。この状態で、新たな生ごみを投入すると、既に減量処理された生ごみは新たな生ごみと共に再度撹拌され加熱されてしまう。これでは、生ごみの撹拌と乾燥の効率が悪く、熱エネルギーの消費量が大きくなる。
【0004】
このため、乾燥減量処理が終了した生ごみはその都度、処理槽の外部に排出する必要がある。しかし、排出作業の煩わしさから、処理槽が一杯になるまで処理済みの生ごみは取り出されないことが多かった。
【0005】
従来、特許文献1に示すように、乾燥減量処理が終了した生ごみを水平な螺旋状の撹拌スクリューにより排出口に押しやり、撹拌スクリューの端に設けた持上部で上方に持ち上げて排出口から機外に排出するものが提案されている。
【0006】
特許文献2には、特許文献1と同様に、乾燥減量処理が終了した生ごみを水平な螺旋状の撹拌スクリューにより下部排出口に押しやり、該下部排出口から垂直な排出スクリューにより上部に搬送して上部排出口から外部に排出するものが提案されている。
【0007】
また、特許文献3には、処理槽を区画板により第1と第2の槽に区画し、これらの槽を横切る水平な撹拌軸に撹拌腕を設けて、処理が終了した生ごみを撹拌腕により第1の槽から区画板を乗り越えて第2の槽に運搬し、第2の槽から排出口を介して外部に排出するものが提案されている。
【0008】
さらに、特許文献4には、処理中は水平な軸の回りに設けた掻上げ羽根を反時計回りに回転させて生ごみを撹拌し、処理後に生ごみを回収する時には、掻上げ羽根を時計回りに回転させてかき上げ羽根のポケット部にて生ごみを掻き上げて回収室に回収し、さらにこの回収室でかき上げ羽根のポケット部にて生ごみを掻き上げて収納袋に収納するものが提案されている。
【特許文献1】特開平10−30881号公報
【特許文献2】特開平9−243261号公報
【特許文献3】特開平8−276172号公報
【特許文献4】特開平6−329203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1,2の生ごみ処理機では、撹拌スクリューで生ごみを水平に押しやる動作と、垂直に持ち上げる動作の2段階の動作が必要であり、排出に時間がかかる。
特許文献3の生ごみ処理機では、水平な撹拌軸に直角に撹拌腕を設けだけの構成であるため、生ごみを効率良く排出できないし、第1の槽から第2の槽へ一旦生ごみを移動する必要があるため、排出に時間がかかる。
特許文献4の生ごみ処理機では、水平な撹拌軸の掻上げ羽根にポケット部を設けているが、処理室から回収室に生ごみを移動してから収納袋に排出するので、排出に時間がかかる。
このように、特許文献1−4のいずれにおいても、生ごみの排出に時間がかかり、効率良く排出できないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は迅速に効率よく生ごみを排出することができる生ごみ処理機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、生ごみを収容する処理槽と、該処理槽内の生ごみを撹拌し粉砕する撹拌翼とを備えた生ごみ処理機において、前記撹拌翼を前記処理槽の底部に垂直に設けた撹拌軸に取り付け、前記処理槽に排出口を設け、処理済みの生ごみを前記撹拌翼で撹拌して遠心力で前記排出口から処理槽の外部に排出するものである。
【0012】
前記処理槽の形状をすり鉢状にすることが好ましい。
【0013】
前記生ごみの排出時の前記撹拌翼の回転速度を生ごみ処理時よりも速くすることが好ましい。
【0014】
前記生ごみの排出時の前記撹拌翼の回転方向を生ごみ処理時と逆に変更することが好ましい。
【0015】
前記撹拌翼は、生ごみ排出時の回転方向の撹拌により生じる遠心力が生ごみ処理時の回転方向の撹拌により生じる遠心力より大きくなるような翼の形状を有することが好ましい。具体的には、生ごみ処理時の回転方向の前方の翼面が外側を向くようにする。
【0016】
前記処理槽をごみ処理機本体から取り外し可能にすることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
前記本発明の構成によれば、処理済みの生ごみを撹拌翼で撹拌して生ごみに遠心力を作用させるので、生ごみを迅速に効率よく排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本願発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0019】
図1,2は本発明に係る生ごみ処理機1を示す。生ごみ処理機1の本体2には、上方に開口した処理槽支持容器3が内部に固定して設けられている。処理槽支持容器3は、すり鉢状の逆円錐部4とこの逆円錐部4の上端に接続された円筒部5とからなっている。処理槽支持容器3の逆円錐部4の底部には、駆動軸6が垂直に貫通して回転可能に設けられている。駆動軸6の上端には下カップリング7が設けられ、下端にはプーリー8が取り付けられている。プーリー8はベルト9を介して主モータ10によって回転駆動されるようになっている。処理槽支持容器3の円筒部5の側面には開口11が設けられている。開口11はカバー12により覆われ、カバー12は本体2内に着脱可能に収容されたごみ容器13に向かって下向きに開口している。カバー12内には、前記開口11の上方に設けたヒンジ軸14の回りに開閉用モータ15により回動可能な排出口蓋16が設けられ。この排出口蓋16は、処理槽支持容器3内に収容される処理槽28の排出口35を開閉するようになっている。
【0020】
本体2内には、ファンモータ17により駆動する循環ファン18が設けられている。循環ファン18の吸込口には吸込管19が接続され、吸込管19は本体2の上端肩部20に形成された接続口21まで延設されている。循環ファン18の吐出口には吐出管22が接続され、該吐出管22はヒータ23を介して本体2の上端肩部20の接続口24まで延設されるとともに、ヒータ23の上流側から分岐する排気管25がフィルタ26を介して本体2の排気口27まで延設されている。
【0021】
処理槽28は、前記処理槽支持容器3に着脱可能に収容されるように、すり鉢状の逆円錐部29とこの逆円錐部29の上端に接続された円筒部30とからなっている。処理槽28の逆円錐部29の底内面には、ボス31が設けられ、このボス31には撹拌軸32が垂直に貫通して回転可能に設けられている。撹拌軸32の上端には撹拌翼33が設けられ、下端には前記駆動軸6の下カップリング7と連結する上カップリング34が設けられている。円筒部29の側面には生ごみの排出口35が形成されている。
【0022】
処理槽28は、処理槽支持容器3に垂直方向に収容し、撹拌軸32の上カップリング34を駆動軸6の下カップリング7に連結することができる。また、処理槽28は、処理槽支持容器3から垂直方向に持ち上げると、上カップリング34と下カップリング7の連結が解除されて、本体2から取り出すことができる。このように、駆動軸6と撹拌軸32が共に垂直方向に設けられ、駆動軸6と撹拌軸32の連結・離脱構造が垂直方向であるために、処理槽28を着脱可能にすることができる。
【0023】
撹拌翼33は、撹拌軸32に固定された基部33aから上方に僅かの傾斜で半径方向に延びる第1傾斜部33bと、該第1傾斜部33bの先端から逆円錐部29の傾斜と平行に半径方向に延びる第2傾斜部33cと、前記基部33aから前記第1傾斜部33b及び第2傾斜部33cと反対側に垂直に下方に延びる垂直部33dと、該垂直部33dの下端から下方に僅かの傾斜で半径方向に延びる第3傾斜部33eと、該第3傾斜部33eの先端から前記逆円錐部29の傾斜と平行に半径方向に延びる第4傾斜部33fとからなっている。
【0024】
図3は、撹拌翼33を上から見た図を示す。撹拌軸32を通るある直線を基準線Sとすると、撹拌翼33の反時計回りの正転方向Rの前縁Eが前記基準線Sに平行であり、反対側の縁Eは撹拌翼33の先端に向かって先細りになるように基準線Sに対して傾斜している。撹拌翼33の先端は基準線Sに直角になっている。したがって、撹拌翼33が正転方向Rに回転したときにその前縁Eに衝突した生ごみの粒子は矢印P方向に押し出され、逆回転方向Rに回転したときにその前縁Eに衝突した生ごみの粒子は矢印P方向、すなわち、矢印P方向よりも遠心力が作用する方向に押し出される。この実施形態では、反時計回りを正転方向としているが、これとは逆に、時計回り方向を正転方向としてもよい。
【0025】
なお、逆転方向Rに回転したときの生ごみの粒子に作用する遠心力を大きくするために、図4に示すように、第2傾斜部33cをねじって、正転方向Rに回転するときには生ごみの粒子を矢印P´方向に処理槽28の内側に引き込み、逆転方向Rに回転したときに処理槽28の内面に向かって生ごみの粒子を矢印P´方向に押し出すようにしてもよい。第4傾斜部33fも同様にねじることができる。
【0026】
本体2の上端には、蓋体36がヒンジ軸36aを介して本体2の処理槽28を開閉可能に取り付けられている。蓋体36には、吸込連絡管37と吐出連絡管38が配設されている。吸込連絡管37は蓋体36を閉じたときに処理槽28に向かって開口する吸気口39と前記吸込管19の接続口21とを連通する。吐出連絡管38は蓋体36を閉じたときに処理槽28の送風口40と前記吐出管22の接続口24とを連通する。
【0027】
以上の構成からなる生ごみ処理機の動作について説明する。
【0028】
まず、図5において、扉体36を開放して処理槽28内に生ごみを投入し、蓋体36を閉じる。電源をオンして主モータ10を正転方向に回転させる。このとき処理槽28の排出口35は排出口蓋16により閉じておく。主モータ10の正転によりベルト9及びプーリー8を介して駆動軸6が回転し、カップリング7,34を介して撹拌軸32に回転力が伝達され、攪拌翼33が回転する。撹拌翼33の回転により、生ごみがスライスされ、撹拌される。生ごみを撹拌すると同時に、循環ファン18を駆動し、ヒータ23をオンする。これにより、処理槽28内部の空気が吸気口39を介して吸引され、吸込連絡管37,吸込管19を通って循環ファン18に吸引される。循環ファン18から吐き出された空気は、ヒータ23により加熱されて温風となり、吐出管22,吐出連絡管38を通って処理槽28内に吐き出され、循環する。この温風により生ごみが乾燥減量化される。
【0029】
温風が生ごみに当てられる際には、生ごみはカッターとして作用する攪拌翼33によってスライスされ、表面積が増加しているので、乾燥しやすい。しかし、攪拌しすぎると、生ごみが粘土状になって乾燥しにくくなるし、攪拌速度が速いと乾燥した生ごみが粉状になり飛散するので、攪拌翼33の回転数は低く抑える必要がある。この実施形態では、回転数は60rpmである。
【0030】
処理槽28から吸引された高湿空気の一部は排気管25からフィルタ26を介して排気口27から外気に放出される。生ごみの乾燥減量化の動作は、種々の運転モードが考えられるが、本発明はこの運転モードを特に限定するものではない。
【0031】
乾燥減量化による生ごみの処理が終了すると、図6に示すように、循環ファン18及びヒータ23をオフし、主モータ10を逆転方向に回転させる。このとき処理槽28の排出口35は開閉用モータ15を駆動して排出口蓋16を開き、排出口35を開放しておく。主モータ10の逆回転により、撹拌翼33が逆回転する。攪拌翼33の回転により、生ごみの粒子は、図3に示す撹拌翼33の前縁E2や、図4に示すねじった第2傾斜部33c,第4傾斜部33fによって、処理槽28の壁面に向かって押し飛ばされて、遠心力で処理槽28のすり鉢状の斜面を旋回しながら上方に移動して排出口35より流出し、ごみ容器13に収納される。
【0032】
生ごみを排出するときは、遠心力を大きくするために、攪拌翼33の回転数を処理時よりも速くし、生ごみを迅速に効率よく排出する必要がある。一方、処理済みの生ごみは、撹拌翼33による遠心力で排出口35を通過できる大きさの塊になっている必要がある。撹拌翼33の回転数があまりに高いと、処理済みの生ごみが粉砕されて粉状になって排出されにくくなる。本実施形態では、攪拌翼33の回転数は処理時よりも速い100〜120rpmである。このように、本実施形態の撹拌翼33は、処理中は生ごみを粉砕するカッターとしての役割を果たし、排出中は処理済みの生ごみをかき混ぜて排出口35から排出できるだけの遠心力を与える役割を果たす。
【0033】
ごみ容器13は、1週間分など一定量の処理済みの生ごみが溜まった時点で、本体2から取り出して処理済みの生ごみを肥料等に利用したり、廃棄処理することができる。
【0034】
また、処理槽28に処理済みの生ごみが排出されずに残っているときは、図1に示すように処理槽28を本体2の処理槽支持容器3から取り外して、手動で空にすることができるので、常に清潔に保つことができる。
【0035】
処理済みの生ごみが排出されると、排出口蓋16を閉じてから、蓋体36を開いて新しい生ごみを処理槽28に投入し、前記同様の手順で処理を再開することができる。このように、処理済みの生ごみと新しい生ごみが混合することがないので、撹拌及び乾燥の効率が低下することがなく、熱エネルギーの消費量は大きくならない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明にかかる生ごみ処理機であって、蓋体を開放し、処理槽を取り出した状態を示す断面図。
【図2】図1の生ごみ処理機の蓋体を外した平面図。
【図3】撹拌翼の拡大平面図。
【図4】撹拌翼の他の実施形態を示す拡大平面図。
【図5】生ごみ処理時の生ごみ処理機の断面図。
【図6】処理済み生ごみ排出時の生ごみ処理機の断面図。
【符号の説明】
【0037】
1 生ごみ処理機
28 処理槽
32 撹拌軸
33 撹拌翼
35 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ごみを収容する処理槽と、該処理槽内の生ごみを撹拌し粉砕する撹拌翼とを備えた生ごみ処理機において、前記撹拌翼を前記処理槽の底部に垂直に設けた撹拌軸に取り付け、前記処理槽に排出口を設け、処理済みの生ごみを前記撹拌翼で撹拌して遠心力で前記排出口から処理槽の外部に排出することを特徴とする生ごみ処理機。
【請求項2】
前記処理槽の形状をすり鉢状にしたことを特徴とする請求項1に記載の生ごみ処理機。
【請求項3】
前記生ごみの排出時の前記撹拌翼の回転速度を生ごみ処理時よりも速くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の生ごみ処理機。
【請求項4】
前記生ごみの排出時の前記撹拌翼の回転方向を生ごみ処理時と逆に変更することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の生ごみ処理機。
【請求項5】
前記撹拌翼は、生ごみ排出時の回転方向の撹拌により生じる遠心力が生ごみ処理時の回転方向の撹拌により生じる遠心力より大きくなるような翼の形状を有することを特徴とする請求項4に記載の生ごみ処理機。
【請求項6】
前記処理槽をごみ処理機本体から取り外し可能にしたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の生ごみ処理機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−11944(P2009−11944A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177275(P2007−177275)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】