説明

生ごみ処理装置

【課題】 処理部での処理作業時に、処理部で処理された処理済み塵埃を、送風手段により処理部に送られて来る風に乗せて、別途設けた回収室まで移送するようにして、処理済み塵埃の回収作業を行い易くした生ごみ処理装置を提供する。
【解決手段】 主として生ごみを処理するための回転処理槽を備えた処理部と、処理部内の生ゴミを加熱するための過熱手段と、処理部で処理された処理済み塵埃の回収室と、処理部への送風手段と、処理部から回収室に至る送風通路と、前記処理部から前記送風通路に風を送るための送風手段とが備えられ、前記処理部で処理された処理済み塵埃を、処理部に送られて来る送風により浮遊させて上流側送風通路から回収室に移送すると共に、前記回収室内の風速を前記送風通路内の風速よりも低下させて、処理済み塵埃を回収室の収容部に回収するようにし、また回収室には処理済み塵埃の収容箱を設けるとともに、この収容箱を回収室からハウジング外に引出し可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として微生物を利用して生ゴミを処理するための生ゴミ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、わが国のごみの年間総排出量は5000万トン以上といわれており、その量は年々増加している。そしてわが国のゴミの年間総排出量に占める生ゴミの割合は約3分の1であって、行政による生ゴミ処理能力も限界に近づいており、生ごみを再利用して資源循環型のリサイクル社会を構築することが急務の課題となっている。
【0003】
そこで近年では、例えば、加熱乾燥による減容方法や粉砕加熱乾燥による減容方法を利用したいわゆる撹拌軸羽根式やドラム式あるいは粉砕加熱乾燥式などの各種の生ごみ処理装置の開発が行なわれている(特許文献1参照)が、従来の生ゴミ処理装置では、処理後の塵埃などが処理部内に累積して、この塵埃等を回収処理するのに手間を要するなどの不具合がある。
【特許文献1】特開2000−61429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上の実情に鑑みて開発したものであって、目的とするところは、処理部での処理作業時に、処理部で処理された処理済み塵埃を、送風手段により処理部に送られて来る風に乗せて、別途設けた回収室まで移送するようにして、処理済み塵埃の回収作業を行い易くした生ごみ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、主として生ごみを処理するための処理部と、処理部内の生ゴミを加熱するための過熱手段と、処理部で処理された処理済み塵埃の回収室と、処理部への送風手段と、処理部から回収室に至る送風通路と、前記処理部から前記送風通路に風を送るための送風手段とが備えられ、前記処理部で処理された処理済み塵埃を、処理部に送られて来る送風により浮遊させて上流側送風通路から回収室に移送すると共に、前記回収室内の風速を前記送風通路内の風速よりも低下させて、処理済み塵埃を回収室の収容部に回収するようにしていることを特徴とするものである。
【0006】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の生ゴミム処理装置において、回収室に処理済み塵埃の収容箱が設けられて、この収容箱は、回収室から装置外に取り出し可能としていることを特徴とするものである。
【0007】
また請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の生ごみ処理装置において、回収室から排気口に至る排気経路が設けられると共に、この排気経路中には、塵埃を除去するためのフィルターが設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
また請求項4に記載の発明は、請求項1、2または3に記載の処理部が回転処理槽から構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、処理部での生ごみの処理に伴い、パウダー状に分解処理された塵埃は、処理部から送風通路を介して回収室に向かって流れる風に乗って回収室に移送されて、回収室にスムーズに回収することが出来るので、処理された塵埃等の除去作業を簡単に行なうことが出来る。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、収容箱を回収室から装置の外に取り出して、収容箱に収容される塵埃をより一層迅速に処理することが出来る。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、回収室の空気に残留する塵埃がフィルターで捕捉することが出来るので、外部に塵埃を撒き散らすようなことがない。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1、2または3に記載の発明の効果に加え、回転処理槽の回転により、生ごみの分解処理を効率よく行なうことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図面は、本発明に係る生ゴミ処理装置の一実施形態を示している。
【0014】
図中、符号1で示すこの生ごみ処理装置は、1日の最大生ゴミ処理量が30Kgの所謂ドラム式のものであって、縦長としたボックス状のハウジング2内には、仕切り壁部21で区画された処理室22が設けられ、この処理室22には、生ごみを処理するための処理部3を構成する回転処理槽31及びこの回転処理槽31を駆動させるための駆動装置32などが設けられている。
【0015】
回転処理槽31は有底円筒状のドラムから構成されて、処理室22内において斜めに傾いた状態に配置され、駆動装置32の駆動により回転するようにしている。
【0016】
回転処理槽31は、生ゴミの1日当たりの処理量などにより、底面の直径、深さ、底面の直径と深さとの比率、傾斜角度などが異なるが、1日当たりの最大処理量に応じて、底面の直径は450mm〜750mm、深さは200mm〜600mm、底面の直径と深さとの比率は1:0.3〜1:0.8、上面蓋部の幅は200mm〜450mm、傾斜角度は5度〜25度が好ましい。
【0017】
回転処理槽31の内周面には、厚さが2mm〜5mm、長さが回転処理槽の深さの3/4〜4/4の内面抵抗板33が複数個取り付けられて、回転時、生ゴミとセラミックスなどの混合物を内面抵抗板33を介して回転処理槽31内の上部に移動させて効率よく混合させるようにしている。
【0018】
また回転処理槽31の内部には、この回転処理槽31の内面に生ゴミなどが付着するのを防止するための掻き落とし板34が設けられているのであって、この掻き落とし板34は、内部仕切り壁部21に固定されている。この掻き落し板34は、厚さが2mm〜5mm、長さが回転処理槽の深さの1/2〜4/4の大きさで、回転処理槽31の内側面から10mm〜20mm離れた位置に配置されるのが好ましい。
【0019】
また更に回転処理槽31の内部には、仕切り壁部21に固定された圧縮板35が配置されて、回転処理槽31の回転に伴い、この圧縮板35により、回転処理槽31内の生ゴミを圧縮するようにしている。
【0020】
この圧縮板35は、厚さが6mm〜15mm、長さが回転処理槽31の深さの1/2〜3/4であって、回転処理槽31の回転中心線より5度〜20度下部方向に向けるのが好ましい。
【0021】
ハウジング2の前壁2aには、生ゴミなどの投入口25と、この投入口25を開閉するための蓋体26とが設けられ、また内部仕切り壁部21には、投入口25から投入される塵埃を回転処理槽31内に導くためのシューター21aが設けられている。
【0022】
またハウジング2内における処理室22の下方には、内部仕切り壁部21により処理室22とは区画された回収室23が設けられ、この回収室23には、回転処理槽31で処理された処理済み塵埃を収容するための収容箱24が設けられている。
【0023】
この収容箱24は、ハウジング2の前壁2aの下部に設けた出入口27を介してハウジング2外に取り出し可能で且つこの収容箱24を回収室23内に収めた時には、この収容箱24の前側壁部で出入口27が閉鎖されるようにしている。
【0024】
また以上の生ごみ処理装置では、ハウジング2内に、外気取り入れ口20を介して外気を回転処理槽31内に送り込むための送風手段としての送風装置4及び送風ダクト40と、回収室23に送り込まれて来る空気を排出するための排気手段としての排気装置5とが設けられ、送風手段を構成する送風ダクト40内には、回転処理槽31内の生ゴミを加熱する手段として、ニクロム線から構成される加熱装置6が設けられて、この加熱装置6により送風装置4を介して送られて来る送風の温度を上昇させた上でその風を回転処理槽21に送り込んで、回転処理槽21内の生ゴミを加熱するようにしている。
【0025】
尚、加熱装置6は、例えば回転処理槽31の外周りにセラミックヒ一夕ーを設置するようにして、回転処理槽31自体を加熱するようにしてもよい。
【0026】
そして以上の生ごみ処理装置1では、ハウジング2の前壁2a内面と内部仕切り壁部21の壁面との間に、回転処理槽31の開口部位から回収室23に至る送風通路7と、回収室23から排気口28に至る排気通路8とが設けられ、排気通路8の出口近くには、排気装置81と、この排気装置81よりも上流側に位置して塵埃を補足するためのフィルター82と脱臭装置83とが設置されている。
【0027】
そして以上の生ごみ処理装置1では、送風装置4により送風ダクト40から回転処理槽31内に送られる風量が回転処理槽31の容積に対して60%/min〜250%/minの比率で、また風速が3.0m/sec〜8.0m/secとして、回転処理槽31内でパウダー状に分解処理された塵埃が、回転処理槽31から送風通路7を介して回収室23に向かって流れる風に乗って回収室23に移送されるようにしている。
【0028】
また回収室23の容積を送風通路7の容積よりも大きくして、送風通路7では1.0m/sec〜1.8m/secの風速で流れる風が、回収室23に入ると0.5m/sec以下の風速となって、送風通路7から回収室23に送られてくる風の風速が低下するようにし、送風通路7を流れる風に乗って回転処理槽31から送られて来るパウダー上の塵埃が回収室23において自然落下するようにしている。
【0029】
また回転処理槽31は、駆動装置32により1分間に3回転(3rpm)させると共に、回転処理槽31内の温度は加熱装置6により40℃に保持されるようにしている。
【0030】
尚、以上の生ゴミ処理装置1では、生ゴミを分解する能力のある菌株を培養し、その培養液をヒノキチップ、硬質多孔質セラミックス、ヒドロキシアパタイトなどに吸着させて菌体を担持した菌床を製造しておき、この菌床と生ゴミを破砕するための超硬質セラミックスと生ごみとを回転処理槽31に収容するようにしている。
【0031】
以上の構成からなる生ごみ処理装置1は、蓋体26を開いて、先ず菌床及び破砕用セラミックスと共に生ごみを投入口25から回転収容層31内に投入した後、処理部3の駆動装置32を駆動して回転処理槽2を回転させると共に、送風装置4及び排気装置5を駆動して、外気を外気取り入れ口20から送風ダクト40を介して回転処理槽31内に順次送り込むのであって、この時、送風ダクト40内に設けた加熱装置6により温風となって、回転処理槽31内で撹拌されている生ごみに作用し、菌床による生ごみの分解が促進されるのである。
【0032】
そして、回転処理槽31内でパウダー状に分解処理された塵埃は、回転処理槽31から 送風通路7を介して回収室23に向かって流れる風に乗って回収室23に移送されるのであるが、回転処理槽31から送風通路7を介して回収室23に流れる風の風速が、回収室23に流入した段階で低下するので、風に乗って移送されてきたパウダー状の塵埃は、回収室23内で自然落下して収容箱24に収容されるのである。
【0033】
そして、回収室23内に送られて来た風は、排気装置5の駆動により更にハウジング2内の排気通路8を介して排気口28から外部に排出されるのであって、また回収室23内を流れる風に残留している塵埃は、排気口28から排出される手前でフィルター82により捕捉されて、外部に排出されるのが抑制される。
【0034】
尚、以上の生ごみ処理装置では、生ごみの処理により生じる処理済み塵挨は、比重が約0.5で、粒子の大きさが2μm〜100μmのパウダー状となるので、この塵埃を例えば植物の肥料として、植物の根元にまいても、植物が枯れないし、塵埃の腐熟化も早く、また悪臭もしないのである。
【0035】
そして生ごみ処理装置1の運転終了後、収容箱24をハウジング2の外に引き出して、収容箱24に収容された塵埃を例えば別の保管容器などに移しかえるのである。
【0036】
斯くして以上の生ごみ処理装置1では、処理によって回転処理槽31内に生じる塵埃の回収処理作業が簡単且つ容易に行なえ、回収した塵埃を肥料などに手軽に利用することが可能となる。
【0037】
また以上の生ゴミ処理装置1では、回転処理槽31が傾斜した状態で回転するようにしているので、微生物を担持した多孔質セラミックスや超硬質セラミックスなどと生ゴミとを混合するときに、空気を巻き込みながら効率よく混合することが出来る。
【0038】
また、混合の効率を高めるために回転処理槽31の内面に内面抵抗板33を設けているので、生ゴミとセラミックスなどの混合物が下部に留まることなく、上部に移動させて効率よく混合することができる。しかも回転処理槽31内に掻き落とし板34を設けているので、回転処理槽31の内面に生ゴミとセラミックスの混合物が付着するのを防止することができ、長時間運転することができる。
【0039】
また以上の生ゴミ処理装置は、回転処理槽31の内部に圧縮板35を設けているので、投入されている超硬質セラミックスで生ゴミを破砕させながら生ゴミを効率良く分解して減容することができる。
【0040】
以上の実施形態では、回転処理槽31が搭載された所謂ドラム式の生ごみ処理装置1に本発明を適用したが、これに限定されるものではなく、例えば回転する撹拌羽根を処理槽内に設けてなる所謂撹拌軸羽根式の生ごみ処理装置に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の生ゴミ処理装置を概念的に示す説明図。
【図2】生ゴミ処理装置の一実施形態を概念的に示す説明図。
【図3】生ゴミ処理装置を一部切り欠いて示す側面図。
【図4】ハウジングの前壁部を省略して示す生ごみ処理装置の正面図。
【図5】回転処理槽の拡大断面図。
【符号の説明】
【0042】
1 生ごみ処理装置
2 ハウジング
21 仕切り壁部
22 処理室
23 回収室
24 収容箱
3 処理部
31 回転処理槽
4 送風装置
40 送風ダクト
5 排気装置
6 加熱装置
7 送風通路
8 排気通路
81 排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として生ごみを処理するための処理部と、処理部内の生ゴミを加熱するための過熱手段と、処理部で処理された処理済み塵埃の回収室と、処理部への送風手段と、処理部から回収室に至る送風通路と、前記処理部から前記送風通路に風を送るための送風手段とが備えられ、前記処理部で処理された処理済み塵埃を、処理部に送られて来る送風により浮遊させて上流側送風通路から回収室に移送すると共に、前記回収室内の風速を前記送風通路内の風速よりも低下させて、処理済み塵埃を回収室の収容部に回収するようにしていることを特徴とする生ごみ処理装置。
【請求項2】
回収室に処理済み塵埃の収容箱が設けられて、この収容箱は、回収室から装置外に取り出し可能としていることを特徴とする請求項1に記載の生ごみ処理装置。
【請求項3】
回収室から排気口に至る排気経路が設けられると共に、この排気経路中には、塵埃を除去するためのフィルターが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の生ごみ処理装置。
【請求項4】
処理部が回転処理槽から構成されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の生ごみ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−218369(P2006−218369A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32785(P2005−32785)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(391059986)桝谷精工株式会社 (4)
【Fターム(参考)】