説明

生コンクリート製造プラント

【課題】 混和剤計量槽及び水計量槽内での混和剤の泡立ちを極力抑えることができる生コンクリート製造プラントを提供する。
【解決手段】 混和剤計量槽1と水計量槽8内に臨ませて散水ノズル15、16を配設する。また、前記散水ノズル15、16への給水を制御する給水用制御弁20、21と、貯水槽9の水を前記散水ノズル15、16に供給する水供給ポンプ18とを配設する。そして、所定のタイミングで給水用制御弁20、21を開放し、水供給ポンプ18にて加圧しながら水を混和剤計量槽1や水計量槽8内にシャワー状に広範囲に噴射し、混和剤の泡立ちを抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂利、砂、セメント、水、混和剤等の各種材料を混練して生コンクリートを製造する生コンクリート製造プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
生コンクリート製造プラントにて生コンクリートを製造するときには、所望のコンクリートの配合に応じて砂利、砂、セメント、水、混和剤を計量槽にて計量しているが、界面活性剤よりなる混和剤は泡立ち易い性質を有しており、混和剤を混入させる水計量槽や混和剤計量槽の槽内には泡が発生しやすく、ときには泡が槽外にあふれ出て周囲を汚すこともある。そこで、特許文献1(特開2000−301529号公報)では、貯水槽内の水を重力落下によって水計量槽に投入する粗計量用水配管、微計量用水配管のうち、微計量用水配管の先端部に水をシャワー状に放出させる散水ノズルを取付け、水計量槽内での混和剤の泡立ちをシャワー状の散水によって防ぐようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−301529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記のように水を少量ずつ放出する微計量用水配管の先端部に散水ノズルを取り付けて水を重力落下によりシャワー状に放出させる構成では、水計量槽内の泡をそれなりに消すことができるが、放出する水量が少ないのと重力落下であることにより泡消し効果も小さいと予想される。また、水計量槽内の泡を消すようにしているが、混和剤計量槽内に発生する泡を消すことは行われていない。
【0005】
本発明は上記の点に鑑み、混和剤計量槽及び水計量槽内での混和剤の泡立ちを極力抑えることができる生コンクリート製造プラントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る請求項1記載の生コンクリート製造プラントでは、砂利、砂、セメント、水、混和剤の各種材料を計量槽にて計量し、計量した材料をミキサ内で混練して生コンクリートを製造する生コンクリート製造プラントにおいて、混和剤計量槽内に臨ませて配設した散水ノズルと、水計量槽内に臨ませて配設した散水ノズルと、前記各散水ノズルへの給水を制御する給水用制御弁と、貯水槽の水を前記散水ノズルに供給する水供給ポンプとを備えたことを特徴としている。
【0007】
また、請求項2記載の生コンクリート製造プラントでは、混和剤計量槽の散水ノズルの給水用制御弁は、混和剤計量槽からの混和剤放出直前に開放し、混和剤放出完了後に閉塞させて混和剤計量槽内の泡消しと洗浄を行うように制御することを特徴としている。
【0008】
また、請求項3記載の生コンクリート製造プラントでは、水計量槽の散水ノズルの給水用制御弁は、水微計量中に開放して水計量槽内の泡消しを行うように制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る請求項1記載の生コンクリート製造プラントによれば、混和剤計量槽内に臨ませて配設した散水ノズルと、水計量槽内に臨ませて配設した散水ノズルと、前記各散水ノズルへの給水を制御する給水用制御弁と、貯水槽の水を前記散水ノズルに供給する水供給ポンプとを備えたので、供給ポンプにて加圧しながら混和剤計量槽及び水計量槽内に水を噴射することができ、混和剤の泡立ちを抑えることができる。
【0010】
また、請求項2記載の生コンクリート製造プラントによれば、混和剤計量槽の散水ノズルの給水用制御弁は、混和剤計量槽からの混和剤放出直前に開放し、混和剤放出完了後に閉塞させて混和剤計量槽内の泡消しと洗浄を行うように制御するので、混和剤計量槽内の泡消しと洗浄を効果的に行うことができる。
【0011】
また、請求項3記載の生コンクリート製造プラントによれば、水計量槽の散水ノズルの給水用制御弁は、水微計量中に開放して水計量槽内の泡消しを行うように制御するので、水計量槽内の泡消しを効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る生コンクリート製造プラントの一実施例を示す混和剤計量槽及び水計量槽付近の概略説明図である。
【図2】混和剤計量槽の泡消し手順を示すフローチャートである。
【図3】水計量槽の泡消し手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る生コンクリート製造プラントにあっては、混和剤計量槽内に臨ませて散水ノズルを配設すると共に、水計量槽内に臨ませて散水ノズルを配設する一方、前記各散水ノズルへの給水を制御する給水用制御弁と、貯水槽の水を散水ノズルに供給する水供給ポンプとを配設する。
【0014】
混和剤計量槽の散水ノズルの給水用制御弁は、混和剤計量槽からの混和剤放出直前に開放し、混和剤放出完了後に閉塞させるように制御する。また、水計量槽の散水ノズルの給水用制御弁は、水微計量中に水計量槽内の泡消しを行うように開放、閉塞させるように制御する。
【0015】
そして、混和剤計量槽においては、計量した混和剤の放出前に給水用制御弁が開放されると共に水供給ポンプが駆動され、散水ノズルから混和剤計量槽内に向けて水がシャワー状に広範囲に噴射されて槽内の泡消しが行われる。続いて混和剤が放出されると、散水ノズルから引き続き噴射される水によって混和剤が洗い流されて槽内をきれいに洗浄する。
【0016】
また、水計量槽においては、水を多量に投入する水粗計量が完了すると、前記混和剤計量槽から混和剤が放出されて水計量槽に投入されることで槽内が泡立つこととなる。続いて水を少量づつ投入する微計量が開始されると、散水ノズルの給水用制御弁が開放されて水計量槽内に向けて水がシャワー状に広範囲に噴射されて槽内の泡消しが行われる。この散水ノズルからの水噴射は微計量中に停止される。
【0017】
このように、水供給ポンプにて加圧しながら混和剤計量槽及び水計量槽内にタイミング良く水を噴射させることによって、混和剤計量槽及び水計量槽内における混和剤の泡立ちを効果的に抑えることができる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1中の1は生コンクリート製造プラントに備えられる混和剤計量槽であって、ロードセル2にて支持されてAE剤やAE減水剤などの混和剤を計量する。混和剤計量槽1には混和剤の供給配管3を臨ませると共に、該供給配管3の途中には混和剤の供給を制御する制御弁4を配設する一方、シリンダー5によって混和剤計量槽1の放出口を開放、閉塞する放出弁6を備えている。
【0020】
混和剤計量槽1の下位には、ロードセル7にて支持した水計量槽8を配設しており、該水計量槽8には上位の貯水槽9内の水を多量に投入する管径の太い粗計量用水配管10、及び少量ずつの水を投入する管径の細い微計量用水配管11を臨ませると共に、それぞれの水配管10、11には水の供給を制御する制御弁12、13を配設する一方、水計量槽8の下部には水放出用の制御弁14を備えている。
【0021】
また、混和剤計量槽1内に臨ませて散水ノズル15を配設する一方、水計量槽8内に臨ませて散水ノズル16を配設しており、該散水ノズル15、16は配管17によって貯水槽9内の水供給ポンプ18に連結されると共に、配管17途中には圧力及び流量を調節できる水用レギュレータ19、及び散水ノズル15、16への水の供給を制御する給水用制御弁20、21を配設している。なお、散水ノズル15、16は、混和剤計量槽1、水計量槽8の槽内広範囲に散水できるように適宜数取り付けるようにすると良い。
【0022】
前記混和剤計量槽1の散水ノズル15の給水用制御弁20は、混和剤計量槽1からの混和剤放出直前に開放し、混和剤放出完了後に閉塞させるように制御し、また、水計量槽8の散水ノズル16の給水用制御弁21は、水微計量中に水計量槽8内の泡消しを行うように開放、閉塞させるように制御している。なお、水供給ポンプ18は、給水用制御弁20、21のいずれかが開放時には駆動するようにしている。
【0023】
図2及び図3は、混和剤計量槽1及び水計量槽8の泡消しを行うときの手順を示すフローチャートであり、この手順が図示しない制御装置にプログラミングされている。このフローチャートに基づいて泡消し手順を説明する。なお、図中のS1〜S18は各ステップを表している。
【0024】
図2は混和剤計量槽1の泡消し手順であり、混和剤計量槽1にて計量した混和剤の放出時に泡消しを行うようにしている。なお、混和剤放出待ちタイマーと散水ノズル噴射タイマーを備えることで、混和剤の放出タイミングと散水時間を任意に設定可能としている。
【0025】
先ず、混和剤計量槽1にて所定量の混和剤を計量後、混和剤の放出信号が発信されると(S1)、混和剤放出待ちタイマー(例えば2〜3秒)をスタートさせる(S2)と共に、散水ノズル噴射タイマー(例えば10秒)をスタートさせる(S3)。これと同時に、水供給ポンプ18を駆動しながら制御弁20を開放して散水ノズル15より水をシャワー状に噴射して混和剤計量槽1内の泡消しを行う(S4)。
【0026】
そして、混和剤放出待ちタイマーがタイムアップすれば(S5)、混和剤計量槽1の放出弁6を開放して混和剤の放出を開始する(S6)。このとき、散水ノズル15よりの散水が継続しており、混和剤を水計量槽8に流し込むと同時に混和剤計量槽1内の洗浄が行われる。そして、散水ノズル噴射タイマーがタイムアップすれば(S7)、制御弁20を閉塞して散水ノズル15よりの散水を停止し(S8)、混和剤計量槽1内の泡消し・洗浄を完了する。この混和剤計量槽1内の泡消し・洗浄は、混和剤を計量・放出する毎に繰り返し行われる。
【0027】
図3は水計量槽8の泡消し手順であり、水計量槽8にて水計量時に泡消しを行うようにしている。なお、散水ノズル噴射タイマーを備えることで、散水時間を任意に設定可能としている。
【0028】
先ず、水計量槽8にて管径の太い粗計量用水配管10の制御弁12を開放して水の粗計量を開始し(S9)、水の計量値が計量設定値に対して90%に達すれば制御弁12を閉塞して水粗計量を完了し(S10)、続いて前記した混和剤計量槽1から放出された混和剤が水計量槽8内に投入される(S11)。続いて水微計量開始信号を発信し(S12)、管径の細い微計量用水配管11の制御弁13を開放して水の微計量を開始すると共に(S13)、散水ノズル噴射タイマー(例えば2〜3秒)をスタートさせ(S14)、制御弁21を開放して散水ノズル16より散水を開始し、水計量槽8内の泡消しを行う(S15)。
【0029】
そして、散水ノズル噴射タイマーがタイムアップすれば(S16)、制御弁21を閉塞して散水ノズル16よりの散水を停止して泡消しを完了する(S17)。続いて、水の計量値が計量設定値に達すれば微計量用水配管11の制御弁13を閉塞して水微計量停止とし(S18)、水の計量が完了する。この水計量槽8内の泡消しは、水を計量する毎に繰り返し行われる。
【0030】
このように、混和剤計量槽1、水計量槽8では、水供給ポンプ18にて加圧しながら散水ノズル15、16から水をシャワー状に広範囲に噴射することで、槽内での混和剤の泡立ちを抑えることができ、槽外に泡が溢れ出ることもない。
【0031】
また、混和剤計量槽1では散水ノズル15からの散水を混和剤放出直前に開始して混和剤放出完了後に完了させることで、混和剤計量槽1内の泡消しと混和剤放出後の洗浄を効率よく行うことができる。
【0032】
更に、水計量槽8では、水を勢いよく投入する粗計量後に混和剤を投入することで混和剤の泡立ちを極力少なくし、微計量中に散水ノズル16から散水を行うことで、水計量槽8内の泡消しを効率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1…混和剤計量槽 6…放出弁
8…水計量槽 9…貯水槽
10…粗計量用水配管 11…微計量用水配管
15、16…散水ノズル 17…配管
18…水供給ポンプ 19…水用レギュレータ
20、21…給水用制御弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂利、砂、セメント、水、混和剤の各種材料を計量槽にて計量し、計量した材料をミキサ内で混練して生コンクリートを製造する生コンクリート製造プラントにおいて、混和剤計量槽内に臨ませて配設した散水ノズルと、水計量槽内に臨ませて配設した散水ノズルと、前記各散水ノズルへの給水を制御する給水用制御弁と、貯水槽の水を前記散水ノズルに供給する水供給ポンプとを備えたことを特徴とする生コンクリート製造プラント。
【請求項2】
混和剤計量槽の散水ノズルの給水用制御弁は、混和剤計量槽からの混和剤放出直前に開放し、混和剤放出完了後に閉塞させて混和剤計量槽内の泡消しと洗浄を行うように制御することを特徴とする請求項1記載の生コンクリート製造プラント。
【請求項3】
水計量槽の散水ノズルの給水用制御弁は、水微計量中に開放して水計量槽内の泡消しを行うように制御することを特徴とする請求項1または2記載の生コンクリート製造プラント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate