説明

生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法

【課題】 アジテータ車の運転手がどこに待機していても積込み順位を的確に指示できる生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法を提供する。
【解決手段】 アジテータ車Aの運転手にはメール機能を有する情報端末9を所持させておき、プラント操作盤3には情報端末9への積込み順位/車番情報を無線にて配信する入庫情報配信手段7を備えるとともに、前記情報端末9のメールアドレスを予め登録しておき、アジテータ車Aの積込み順位が近づくとプラント操作盤3の入庫情報配信手段7を介して積込み順位/車番情報に関するメールを運転手の情報端末9に自動配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生コンクリート製造工場において、生コンクリート運搬用のアジテータ車の運転手に生コンクリートの積込み順位を知らせる入庫情報の配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生コンクリート製造工場では、出荷先からの注文に応じて各出荷先の出荷量や搬入時間を基に生コンクリートの出荷計画を作成し、生コンクリートの製造時刻に合わせて適当な台数のアジテータ車を配車している。そして、運転手が積込み順位を確認できるように、出荷計画に基づいて決定した積込み順位/車番を場内の運転手向け車番表示器に表示し、この表示された積込み順位(入庫)情報に基づいて運転手がアジテータ車を生コンクリート製造プラントの積込み位置に移動させると、プラント操作係はプラント操作盤の表示データ中の車番とアジテータ車の車番とが一致することを確認した後、製造した生コンクリートを積込んでいる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平1−294008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記運転手向けに積込み順位/車番を表示する車番表示器は、通常、プラント壁面または運転手待機室に設置されており、運転手がその設置場所まで移動しないと積込み順位を確認することができない。また、屋外設置の場合には太陽の反射光による視認性の確保も問題となっている。
【0004】
本発明は上記の点に鑑み、アジテータ車の運転手がどこに待機していても積込み順位を的確に指示できる生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の課題を解決するために、請求項1記載の生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法では、アジテータ車の運転手にはメール機能付き情報端末を所持させておき、プラント操作盤には前記情報端末へ積込み順位/車番情報を無線にて配信する入庫情報配信手段を備えるとともに、運転手の情報端末のメールアドレスを予め登録しておき、プラント操作盤から積込み順位/車番情報を無線にて運転手の情報端末に配信するようにしたことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2記載の生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法では、アジテータ車への生コンクリート積込みが終了し、プラント操作盤に予約された積込み順位/車番情報/出荷データが繰り上がる度に、積込み順位上位の運転手の情報端末に積込み順位/車番情報を自動配信するようにしたことを特徴としている。
【0007】
また、請求項3記載の生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法では、運転手の所有する情報端末を操作してプラント操作盤にアクセスして積込み順位/車番情報の配信要求を行うと、プラント操作盤に予約されている積込み順位/車番情報が自動配信されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る請求項1記載の生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法によれば、アジテータ車の運転手にはメール機能付き情報端末を所持させておき、プラント操作盤には前記情報端末へ積込み順位/車番情報を無線にて配信する入庫情報配信手段を備えるとともに、運転手の情報端末のメールアドレスを予め登録しておき、プラント操作盤から積込み順位/車番情報を無線にて運転手の情報端末に配信するようにしたので、アジテータ車の運転手がどこにいても情報端末へのメール配信によって積込み順位を的確に指示でき、出荷作業をスムーズに行うことができるとともに、運転者の待機中の負担も軽減できる。
【0009】
また、本発明に係る請求項2記載の生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法によれば、アジテータ車への生コンクリート積込みが終了し、プラント操作盤に予約された積込み順位/車番情報/出荷データが繰り上がる度に、積込み順位上位の運転手の情報端末に積込み順位/車番情報を自動配信するようにしたので、運転手は積込みが近づいて来たことを逐次把握できて積込み準備ができ、出荷作業をスムーズに行える。
【0010】
また、本発明に係る請求項3記載の生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法によれば、運転手の所有する情報端末を操作してプラント操作盤にアクセスして積込み順位/車番情報の配信要求を行うと、プラント操作盤に予約されている積込み順位/車番情報が自動配信されるので、運転者はいつでも積込み順位を確認でき、運転手向け車番表示器を見なくても余裕をもって待機できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法にあっては、アジテータ車の運転手にはメール機能を有する情報端末、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、携帯電話等を所持させておく。また、プラント操作盤には前記情報端末への積込み順位/車番情報を無線(無線LAN、インターネット、移動電話回線網等)にてメール配信する入庫情報配信手段を備えるとともに、情報端末のメールアドレスを予め登録しておく。
【0012】
そして、アジテータ車の積込み順位が近づくと、プラント操作盤の入庫情報配信手段から積込み順位/車番情報を無線にて予め登録された運転手の情報端末に自動にてメールを配信し、着信音又はバイブ機能にて知らせる。そして、情報端末の表示部には、積込み順位/車番情報とともに、例えば、積込み順位が1位であれば「直ちに入庫してださい」、積込み順位が2位であれば「次回入庫のため待機してください」、積込み順位が3位であれば「次々回入庫のため待機してください」などのメッセージが表示される。このメール配信文によって、運転手はアジテータ車を生コンクリート製造プラントの積込み位置に移動したり、移動の準備を行うこととなる。
【0013】
また、運転手は、自ら情報端末を操作してプラント操作盤にアクセスして積込み順位/車番情報の配信要求を行うと、プラント操作盤に予約されている積込み順位/車番情報が入庫情報配信手段を介して運転手の情報端末に自動配信される。これによって、運転手は情報端末のメール内容を見て自らの積込み順位を確認でき、運転手向け車番表示器の設置場所まで行って確認するまでもなく、余裕をもって待機できる。
【0014】
このように、プラント操作盤の入庫情報配信手段から積込み順位/車番情報を無線にてアジテータ車の運転手の情報端末にメール配信するので、運転手がどこにいても積込み順位を的確に指示でき、また運転者にとっては積込み待機中の負担も軽減される。
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法を説明するための概念図であり、図中の1は生コンクリート製造プラントであって、操作室2のプラント操作盤3の操作卓4やモニター画面5をタッチ操作することによって運転している。操作盤3に備えた制御用コンピュータ6には、出荷先からの注文による出荷先データ、出荷時刻データ、出荷品種データ、出荷数量データから予め作成された出荷計画に基づいた出荷データ等を記憶しており、モニター画面5にはプラントの各種設定情報、運転情報、操作スイッチ等が表示されるとともに、予約されたアジテータ車の積込み順位/車番情報/出荷データも表示されており、操作係はそれら画面内容を確認しながら生コンクリート製造プラント1を運転操作して生コンクリートを製造・出荷している。
【0017】
前記プラント操作盤3の制御用コンピュータ6には、アジテータ車の積込み順位/車番情報を無線にて配信する入庫情報配信手段7が格納され、例えば、無線LANのアクセスポイント8を介してアジテータ車Aの運転手の所有する情報端末9に積込み順位/車番情報を自動配信するようにしている。この積込み順位/車番情報を自動配信するタイミングは、アジテータ車への生コンクリート積込みが終了し、プラント操作盤3に予約された積込み順位/車番情報/出荷データが繰り上がる度に、積込み順位上位、例えば、1位から3位の運転手の情報端末に積込み順位/車番情報、並びに必要なメッセージを自動配信すると良い。
【0018】
なお、アジテータ車Aには他のアジテータ車と相互に区別するための車番が付されており、プラント操作盤3の制御用コンピュータ6にはそれぞれのアジテータ車Aの車番、及び運転手が所持する情報端末9のメールアドレスが予め登録されている。
【0019】
前記情報端末9は、PDA、スマートフォン、または携帯電話等が採用され、通信形態としては無線LAN、インターネット、または移動電話回線網が使用される。また、アジテータ車Aの運転手は積込み順位/車番情報を受信するための情報端末9を所有しているが、従来のように運転手向けに積込み順位/車番を表示する車番表示器をプラント壁面または運転手待機室に設置していつでも確認できるようにしておくと良い。
【0020】
また、アジテータ車Aの運転手は、自ら情報端末9を操作してプラント操作盤3にアクセスして積込み順位/車番情報の配信要求を行うことができるようにしておき、この配信要求を行うと、プラント操作盤3に予約されている積込み順位/車番情報が入庫情報配信手段7を介して情報端末9に自動配信されるようにしておく。
【0021】
次に、本発明の生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法について説明する。プラント操作盤3のモニター画面5には出荷予約された積込み順位/車番情報/出荷データが数件表示され、操作係はこの表示に基づいて生コンクリート製造プラント1を運転操作して所定の生コンクリートを順次製造していく。このとき、アジテータ車Aの積込み順位/車番情報は、従来のようにプラント壁面または運転手待機室に設置した運転者向け車番表示器に逐次表示していくと同時に、積込み順位の上位、例えば、第1位から第3位のアジテータ車Aの運転手の情報端末9に対し、プラント操作盤3の入庫情報配信手段7から無線LANのアクセスポイント8を介して積込み順位/車番情報に関するメールを自動配信する。
【0022】
メールを配信された運転手は、情報端末9の着信音又はバイブ機能によって着信を知り、メールを開くと、図2に示すように、積込み順位と車番が表示部に表示される。このとき、メッセージ枠10に「直ちに入庫してださい」、「次回入庫のため待機してください」、「次々回入庫のため待機してください」など、積込み順位に応じたメッセージを表示するとわかりやすい。
【0023】
また、積込み順位の4位以降のアジテータ車Aの運転手も自らの積込み順位が確認したければ、情報端末9を操作してプラント操作盤3に積込み順位/車番情報の配信要求を行うことで、プラント操作盤3に予約されている積込み順位/車番情報が自らの情報端末9に自動配信され、積込み順位を確認できる。
【0024】
そして、積込み順位1位で、「直ちに入庫してださい」とのメッセージを受け取った運転手は、アジテータ車Aを生コンクリート製造プラント1の積込み位置に移動し、操作係が出荷予約された車番とアジテータ車Aの車番との一致を確認すれば、モニター画面5に表示された出荷データに基づいて製造した生コンクリートをアジテータ車Aに積込んでいく。
【0025】
前記積込みが終了すれば、モニター画面5の積込み順位1位の車番と出荷データの表示が消去され、2位以降の車番と出荷データが繰り上がり、これに伴って積込み順位の上位のアジテータ車Aの運転手に対し、プラント操作盤3の入庫情報配信手段7から無線LANのアクセスポイント8を介して積込み順位/車番情報に関するメールが自動配信される。以降、前記処理が繰り返される。
【0026】
このように、プラント操作盤3から積込み順位/車番情報をアジテータ車Aの運転手の所持する情報端末9に配信するので、アジテータ車の運転手がどこにいても積込み順位を的確に指示できて出荷作業をスムーズに行えるとともに、運転手の積込み待ち時の負担も軽減できる。また、運転手は積込み順位の配信要求を行えばいつでも積込み順位の確認ができるので、運転手向け車番表示器の設置場所まで行って確認するまでもなく、余裕をもって待機できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法の一実施例を説明する概念図である。
【図2】情報端末の表示内容を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1…生コンクリート製造プラント 2…操作室
3…プラント操作盤 4…操作卓
5…モニター画面 6…制御用コンピュータ
7…入庫情報配信手段 8…無線LANのアクセスポイント
9…情報端末
A…アジテータ車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリート製造工場において、生コンクリート運搬用のアジテータ車の運転手に積込み順位を知らせる入庫情報配信方法であって、アジテータ車の運転手にはメール機能付き情報端末を所持させておき、プラント操作盤には前記情報端末へ積込み順位/車番情報を無線にて配信する入庫情報配信手段を備えるとともに、運転手の情報端末のメールアドレスを予め登録しておき、プラント操作盤から積込み順位/車番情報を無線にて運転手の情報端末に配信するようにしたことを特徴とする生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法。
【請求項2】
アジテータ車への生コンクリート積込みが終了し、プラント操作盤に予約された積込み順位/車番情報/出荷データが繰り上がる度に、積込み順位上位の運転手の情報端末に積込み順位/車番情報を自動配信するようにしたことを特徴とする請求項1記載の生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法。
【請求項3】
運転手の所有する情報端末を操作してプラント操作盤にアクセスして積込み順位/車番情報の配信要求を行うと、プラント操作盤に予約されている積込み順位/車番情報が自動配信されることを特徴とする請求項1または2記載の生コンクリート製造工場における入庫情報配信方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−1125(P2010−1125A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161091(P2008−161091)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000226482)日工株式会社 (177)
【Fターム(参考)】