説明

生ゴミ処理装置

【課題】熱効率を向上させ、生ゴミの処理時間を短縮し、悪臭を外へ放出せず、装置全体の小型化と各部材の合理的配置を可能にする。
【解決手段】予め粉砕された生ゴミと水とが混合した混合流動体から固形分を機械的に分離し流体分を排出する固液分離器14と、分離された固形分を攪拌し加熱して水分を蒸発させる処理槽12と、この処理槽で蒸発した水分を含む空気を冷却し水分を凝縮させて排出する結露凝縮器16、18と、処理槽12と結露凝縮器16、18との間で空気を循環させる空気循環路64と、固液分離器14および結露凝縮器16、18で分離された流体分を排出する排液路54と、これらを収容する筐体10と、を備え、結露凝縮器16、18が筐体10の外面に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスポーザなどで細かく粉砕した生ゴミと水とを混合した混合流動体から、固形分を分離し乾燥して、生ゴミを縮容する生ゴミ処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭の台所や食堂などから出る生ゴミを細かく切り刻み、攪拌し乾燥させることによって容積を減らし(縮容あるいは減容し)、有機肥料などとして再利用することが従来より行われている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−96271
【特許文献2】特開2004−261673
【特許文献3】特開2001−70921
【特許文献4】特開平8−243423
【0004】
特許文献1には、生ゴミを攪拌槽(加熱槽)で粉砕・加熱・乾燥し、特許文献2には処理槽で攪拌・乾燥しここで発生する水分を含む空気を凝縮装置(水分除去手段)に循環させることにより結露(凝縮)させて水分を除去するものが示されている。すなわちこれらは生ゴミをそのまま攪拌し乾燥させるものであり、空気は攪拌槽(処理槽)と凝縮装置とをつなぐ閉じた系路に循環させるものである。
【0005】
特許文献3、4はディスポーザで粉砕した生ゴミを処理するものであるが、これらはいずれも生ゴミを乾燥する空気を大気に放出するものである。すなわち特許文献3のものは、ディスポーザ(200)で粉砕した生ゴミと水とが混合した混合流動体から固形分を固液分離器(400)で分離し、固形物処理装置(600)で堆肥化処理を行う一方、分離した排液をエアーポンプによる強制通気を用いることなく、酸素の自然拡散による好気性処理を行うものである。
【0006】
また特許文献4のものは、ディスポーザ(14)で粉砕した生ゴミを攪拌しながらヒータ(40)で加熱し、水分を含む空気を脱臭排気部(44)から外へ排出する。従って特許文献3、4のものはいずれも臭気を含む乾燥用空気を大気中に放出するもの(大気開放型)である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2のものは、生ゴミをそのまま攪拌槽(加熱槽)に入れて攪拌し、大気に開放していない閉じた空気通路に循環させて乾燥させるものであるから、生ゴミの縮容化に時間がかかるという問題がある。すなわち生ゴミを攪拌槽でカットしながら加熱するため、大きい生ゴミや硬い生ゴミの処理に時間がかかり、また水分の多い生ゴミでは水の蒸発に長い時間と多大な熱エネルギーが必要で熱効率が悪いからである。
【0008】
特許文献3のものでは、固液分離器で分離した固形分には水分を多く含んでいるので処理槽で攪拌するだけでは乾燥に時間がかかる。また固形分を大気に開放した処理槽(610)で攪拌して堆肥化するから、臭気が大気に放出されることにもなる。
【0009】
特許文献4のものでは、ディスポーザで粉砕した生ゴミは多量の水を含むから、これを加熱して乾燥するためには多大な熱エネルギーと処理時間が必要である。また乾燥用の空気は大気に放出されるから強い悪臭が出ることにもなる。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、乾燥に要する熱量を少なくして熱効率を向上させ、生ゴミの処理時間を短縮でき、悪臭が外へ放出されることがなく、さらに装置全体の小型化が図れ、各部材の合理的配置が可能になる生ゴミの処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によればこの目的は、生ゴミを乾燥し縮容する生ゴミ処理装置であって、予め粉砕された生ゴミと水とが混合した混合流動体から固形分を機械的に分離し流体分を排出する固液分離器と、分離された固形分を攪拌し加熱して水分を蒸発させる処理槽と、この処理槽で蒸発した水分を含む空気を冷却し水分を凝縮させて排出する結露凝縮器と、前記処理槽と結露凝縮器との間で空気を循環させる空気循環路と、前記固液分離器および結露凝縮器で分離された流体分を排出する排液路と、これらを収容する筐体と、を備え、前記結露凝縮器が前記筐体の外面に配設されていることを特徴とする生ゴミ処理装置、により達成される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、ディスポーザなどで予め粉砕した生ゴミと水が混合したスラリー状の流動体(固定粒子が液体中に混合している流動体であり、以下混合流動体、スラリー状流動体ともいう)から固液分離器で固形分を機械的に分離し、水分を十分に減らした固形分だけを処理槽で乾燥させるので、多量の水分を含む生ゴミを加熱乾燥する場合に比べて水分の蒸発に必要な熱エネルギーが大幅に減少することになる。このため熱効率の向上が図れる。
【0013】
また蒸発させる水分量が少ないので処理時間が短縮できる。ここに処理槽で蒸発した水蒸気を含む空気は結露凝縮器との間をつなぐ閉じた空気流路を循環するから、生ゴミの悪臭が大気に放出されることがない。さらに固液分離器で大量の水分を除去した固形分だけを乾燥させるので乾燥のための処理槽の小型化が図れ、その結果装置全体の小型化が図れる。さらに結露凝縮器は筐体の外面に配設されているので、外気による冷却性が良く、循環空気に含まれる水蒸気を効率良く凝縮させることができ、従って各部材の合理的配置が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
固液分離器に投入する混合流動体は、十分な量の水と共にディスポーザに入れた生ゴミをディスポーザで十分に細かく粉砕したものが望ましい。生ゴミの固形分が十分に細かく粉砕されているので、固形分を処理槽で能率良く攪拌・加熱して処理時間を短縮できるからである。
【0015】
結露凝縮器は筐体の縦の外面(左右側面や背面など)に配設するのがよい(請求項2)。この場合は、筐体の外側の外気により結露凝縮器を効率良く冷却し、水分の凝縮を促進させると共に、凝縮した水を下方へ落下させることができるからである。結露凝縮器は複数に分割してもよい。例えば筐体の背面(後面)や左右面に上下方向に(縦方向に)配置した背面(縦面)凝縮器と、筐体の上面(天井面)に背面に向かって下降するように傾斜した天井凝縮器と、に分割する(請求項3、4)。
【0016】
この場合、天井凝縮器は、さらに空気の往路と復路に分割するのがよい(請求項5)。すなわち処理槽から背面凝縮器に空気を導く往路天井凝縮器と、背面凝縮器から処理槽に導く復路天井凝縮器とに分割するものである。この場合は天井凝縮器の構成が簡単になる。
【0017】
空気循環路は、処理槽の空気を天井凝縮器と背面凝縮器とに並列に循環させるもの(請求項6)、直列に循環させるもの(請求項7)が可能である。前者の並列に循環させるものによれば、循環空気量の変動に対して効率良く対応できる。すなわち天井凝縮器と背面凝縮器の負荷を均等化あるいは適正化できる。また処理槽の処理量や含水量などに応じて循環空気の送風ファンの送風量を自動制御する場合に、送風抵抗の増大に対応し易い。たとえば送風量変化によって各凝縮器への送風量を適切に変化させることが考えられる。後者の直列に循環させるものによれば、空気流路全長を長くして冷却を促進し、水蒸気の除去、空気の乾燥を促進できる。このため処理槽の生ゴミの乾燥を促進できる。
【0018】
処理槽と天井凝縮器との間で、空気循環路の往路および復路には、それぞれ放熱面を持ったダクトを介在させることができる(請求項8)。天井凝縮器と背面凝縮器との間で、空気循環路にダクトを介在させてもよい(請求項9)。これらの場合には、ダクトによって空気を追加的に冷却できることになり、処理槽内の生ゴミの乾燥を一層促進できる。
【0019】
処理槽は筐体内の前下方に配設し、その開閉蓋を筐体の前面に配置し、結露凝縮器を筐体の他の外面に配設すれば、処理槽で乾燥され縮容された固形分を外へ排出するのに作業性が良く、都合が良い(請求項10)。この場合、固液分離器は筐体内の後上方に配置し、ここで分離された固形分を処理槽に最短距離で導く(落下させる)と共に背面凝縮器を背面上部に配設するのがよい。またこの固液分離の流体分と結露凝縮器の流体分(凝縮水)とを排液路で集合して排出するのがよい(請求項11)。
【0020】
このように固液分離器および結露凝縮器から出た流体分(排液、排水)を、排液路で合流させて排出するので、排出口が少なくなり外部の配管を単純化できるからである。この場合、背面凝縮器の排水は一方向弁を介して排液路に導くのがよい。固液分離器の排液(流体分)は混合流動体の投入直後に大量に排出されるため、これが背面凝縮器に逆流するのを防ぐためである。なおこの固液分離器から出る排液は悪臭が強いから、この悪臭が処理槽と結露凝縮器とを循環する空気に混入するのは特に望ましくないからである。
【0021】
また固液分離器に混合流動体を供給する流入口と、排液路の排液口とは、それぞれ筐体の左右両側面に開口しておいて、外部配管に都合の良い方を使い、使用しない方の開口をキャップで閉じておけるのがよい。筐体の設置場所によって、ディスポーザとの接続方向、下水の排水口への接続方向が異なるから、このように筐体の左右どちらにも選択的に接続可能にしておけば筐体の設置場所の選定自由度が大きくなるからである。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の一実施例である生ゴミ処理装置を正面側から見た斜視図、図2は同じく背面側から見た斜視図である。図3は筐体から結露凝縮器を取外した状態を正面側から見た分解斜視図、図4は同じく左前方から見た分解斜視図、図5は同じく左後方から見た分解斜視図、図6は筐体内の部材配置を示すため斜め前方から見た分解斜視図、図7は内部構造を示す左側断面図、図8は空気循環路と排液路を示す概念図である。
【0023】
図1〜8において符号10は略箱状の筐体である。この筐体10の内側の前下方には処理槽12が収容され、筐体10の内側の後上方には固液分離器14が収容されている。また筐体10の上面すなわち天井面は天井凝縮器16で形成され、背面すなわち後面には背面凝縮器18が取付けられている。
【0024】
処理槽12は図6、7に示すように、略楕円筒状のシリンダ20を持つ。このシリンダ20は、楕円の長軸を上下方向とし、楕円の短軸を水平とし、前後方向に長い。そしてこのシリンダ20の後端は後端板20A(図7)で塞がれ、前端は筐体10の前面(正面)に開口し、この開口は蓋板22によって開閉可能である。すなわちこの蓋板22は、筐体10の前面に3個のロック金具24により固定可能である。
【0025】
シリンダ20の後面(後端板20Aの後面)には減速機26および電気モータ28が取付けられている(図7)。モータ28の回転は減速機26で減速されて、シリンダ20内を前後方向に通る回転軸30を回転駆動する。この回転軸30には適宜数の撹拌棒(あるいは撹拌羽根)32が固定されている。このシリンダ20には後記する固液分離器14から生ゴミの固形分が投入され、この固形分はこの撹拌棒32によって攪拌される。またシリンダ20は電気ヒータ34(図7、8)により加熱され、この熱で固形分を加熱する。
【0026】
固液分離器14は筐体10の中の後上方に収容される。すなわち処理槽12の後部上面に取付けられた略巻き貝状のケース36がこの処理槽12のシリンダ20内に開口している。このケース36の内面の一部は略環状の外枠体38となっている。外枠体38の内側には左右方向に水平な回転軸を中心に回転する内側回転体40が収容されている。この内側回転体40は、図7で反時計方向(矢印A方向)に減速機付きモータ42(図3、6)で回転駆動される。
【0027】
内側回転体40は、回転軸方向(左右水平方向)に僅かな間隙をもって積層した多数の環状の薄板で形成される。各薄板は所定間隔ごとに外周方向に突出し、これら薄板を積層した内側回転体40の外周には外枠体38の内周面を摺動する複数の突部44が形成される。
【0028】
図8において46は台所の流し台(シンク)であり、この流し台46にはディスポーザ48が取付けられる。このディスポーザ48には、台所の生ゴミが水道水と共に投入され、ここでディスポーザ48の回転刃(図示せず)により細かく粉砕される。この結果細かい生ゴミと水とが混ざってスラリー状の流動体(混合流動体)となる。このスラリー状の混合流動体は固液分離器14に導かれる。
【0029】
すなわち固液分離器14のケース36には、図7に示すように、内側回転体40の前下方に位置する混合流動体流入口50が開口する。この流入口50からケース36内に入った混合流動体は、内側回転体40の突部44によって外枠体38の内周面に沿って矢印A方向に移送される。この時内側回転体40の薄板間にできた間隙がフィルタとして機能し、混合流動体に含まれた水分や油などの流体分がこの内側回転体40の内側(中心側)に流入する。すなわち混合流動体は内側回転体40によって機械的に能率良く濾過される。
【0030】
ケース36の左側面下部には、内側回転体40の内側(中心側)に開口する流体分排出口52が設けられている(図7)。内側回転体40で濾過された流体分はこの流体分排出口52から排液路となる略U字状の排液管54の一方の分岐路に流出する。
【0031】
固液分離器14のケース36は処理槽12の後上面に上方から開口し、この開口は固形分排出口56となる。ケース36内の上方でこの固形分排出口56に臨む位置にはガイド部材58が取付けられている。このガイド部材58は側面視円弧状の薄板を間隙をあけて積層したものであり、その反矢印A側(内側回転体40の反回転方向)の先端が内側回転体40の薄板の間隙に進入している。このため内側回転体40の回転により、薄板の間隙に入った固形分が、このガイド部材58の外周面により掘り出され、固形分排出口54に導かれる。
【0032】
またこのガイド部材58の外周面にはこのガイド部材58と共に絞り部を形成する絞り部材60が弾接している。この絞り部材60はその反矢印A側が支点62で支持され、矢印A側の先端(可動端)がガイド部材58の外周面にばね(図示せず)により押圧されている。このため内側回転体40により移送されかつ濾過の過程で内外回転体40と外枠体38の間隙に残った固形分は、ガイド部材58の外周面に案内され絞り部材60を押し開きながら固形分排出口56に排出される。固形分はこの時に絞り部材60により水分(流体分)が絞り出され、水分(液分)が一層減った状態で処理槽12に入る。
【0033】
この固形分は処理槽12で攪拌され加熱されるため水分が蒸発する。水蒸気を多く含む空気は、処理槽12と結露凝縮器16、18との間をつなぐ空気循環路64を通って循環する。すなわちこの空気は大気に開かない(閉じた)通路64を循環する。次にこの電気循環路64を説明する。
【0034】
処理槽12のシリンダ20の前部上面には、前方から見て右側に空気出口管66が、左側に空気入口管68が起立している(図3、4、6参照)。空気出口管66には送風ファン70が組込まれている。空気出口管66と空気入口管68の上端は天井凝縮器16の前部下面に接続される。すなわち天井凝縮器16を上方から筐体10に取付ける時に、空気出口管66と空気入口管68の上端がシール材を介して天井凝縮器16の下面に気密に接続される。天井凝縮器16は空気通路が互いに独立している右側の往路天井凝縮器16Aと左側の復路天井凝縮器16Bとを一体に形成したものであり(図8)、例えば樹脂ブロー成形で作ることができる。
【0035】
天井凝縮器16は前部が高く後部が低くなるように(すなわち背面凝縮器18に向かって下降するように)傾斜し、ここで凝縮(結露)した液(凝縮水)が背面凝縮器18に流出し易くしている。天井凝縮器16には、往路および復路天井凝縮器16A、16Bの間に、前記固液分離器14の上部が進入する開口72が設けられ(図3、4、5、7)、この開口72は上面化粧カバー74で塞がれている。天井凝縮器16の前方には前面化粧カバー76が取付けられている。
【0036】
天井凝縮器16A、16Bの後部下面はL型の接続管78(78A、78B)によって背面凝縮器18の上部に接続されている。背面凝縮器18は例えば樹脂ブロー成形で作られ、筐体10の背面となる金属板10A(図2、5)に取付けられている。なお背面凝縮器18には両面に空気通路が形成され、その前面の空気通路は金属板10Aに設けた開口部から筐体10の内側に臨んでいる。
【0037】
背面凝縮器18の下部には排液口18Aが設けられ、ここに一方向弁80が縦向きに接続されている。一方向弁80の下端は前記U字状の排液管54の他方の分岐路に接続されている。このため天井凝縮器16で凝縮した水が背面凝縮器18に入り、背面凝縮器18で新たに凝縮した水と合流して、一方向弁80から排液管54に流入する。ここに排液口18Aは、固液分離器14の流体分排出口52より下方に位置している。
【0038】
排液管54の一方向弁80側の分岐路には、筐体10の左右両側面に開口する管が貫通し、この管の両端がキャップで開閉可能な一対の排液口82(82A、82B)となっている。この排液管54は略U字状であって、固液分離器14の排液(流体分)の悪臭や処理槽12から固液分離器14を通った悪臭が排液口82に流出するのを防ぐトラップとなっている。
【0039】
なお混合流動体の流入口50は、ケース36を筐体10の左右方向に貫通する管の両端に形成され、この管の両端が筐体10の左右側面に開口している。このように流入口50および排液口82を筐体10の左右両側面に開口させ、キャップで塞いで開閉可能としたから、筐体10の設置場所によってディスポーザ48および下水口に配管し易い方の流入口50、排液口82を選択して使用することができる。
【0040】
次にこの生ゴミ処理装置の動作を説明する。ディスポーザ48から出る混合流動体は固液分離器14に入る。混合流動体は外枠体38と内側回転体40の間で突部44により移送され、この間に混合流動体は内側回転体40で濾過される。固形分はさらに移送されてガイド部材58の外周に沿って外側へ送られ、この時絞り部材60との間に挟まれてさらに流体分が絞り出される。流体分は内側回転体40の内側に流入し、さらに流体分排出口52からU字状の排液管54に入る。
【0041】
分離された固形分は固形分排出口56から処理槽12のシリンダ20に入る。ここで固形分は撹拌棒32によって攪拌されつつヒータ34により加熱される。このため固形分に含まれる水分が蒸発する。この蒸気を含む空気は送風ファン70によって空気循環路64に送られ、往路天井凝縮器16A、背面凝縮器18、復路天井凝縮器16Bを通ってシリンダ20に戻るように循環する。この空気は凝縮器16、18で冷却され、その結果水蒸気が凝縮し液体(水)となって背面凝縮器18の下部に集まる。この液体(水)は一方向弁80を通ってU字状排液管54に入る。U字状排液管54に入ったこの液体は、固液分離器14から排出された流体分と共に排液口82から下水道に排出される。
【0042】
処理槽12のシリンダ20内で乾燥した固形分は、適当量がたまったら蓋板22を開き、外へ排出する。この固形分は有機肥料、家畜飼料などとして利用される。
【実施例2】
【0043】
図9は他の実施例を左前方から見た分解斜視図、図10は同じく右前方から見た分解斜視図、図11は同じく右後方から見た分解斜視図、図12は同じく左側面および天井凝縮器を開いて左後方から見た分解斜視図、図13は空気循環路164および排液路54を示す概念図、図14は空気循環路164の説明図である。この実施例は、天井凝縮器116と背面凝縮器118とを並列接続すると共に、背面凝縮器118の空気流入路と空気流出路に、放熱面を持ったダクト190(190A、190B)を介在させたものである。これらの図9〜14では、前記実施例1の図1〜8と同一部分に同一符号を付したのでそれらの説明は繰り返さない。
【0044】
この実施例2において、天井凝縮器116は前部が高く後部が背面凝縮器118に向かって下降するように傾いていると共に、内部には前部が左右に分岐し後部が連通した平面視で略U字形の空気通路が形成されている(図11、13参照)。前記実施例1の天井凝縮器16の空気通路が左右に分割され互いに独立しているのに対し、この実施例2の天井凝縮器116は分割されていない点が異なる。この天井凝縮器116の後部下面には排液管192が接続され、この排液管192は、天井凝縮器116で凝縮した水を一方向弁194を介してU字状の排液管(トラップ)54に導く(図11)。
【0045】
ダクト190A、190Bは表面を放熱面として内側を通る空気を冷却しながら送るものであり、天井凝縮器116の下方に前後方向に長く、左右に並設されている。ダクト190A、190Bの前部にはそれぞれ空気出口管166、空気入口管168が貫通している。空気出口管166、空気入口管168の上端は天井凝縮器116の前部下面に接続されている。これら空気出口管166と空気入口管168には、図9、10、11に示すように周方向に間隔をもって開口166A、168Aが形成されている。これらの開口166A、168Aは、空気出口管166、空気入口管168をダクト190A、190Bに貫挿した状態(図14参照)でダクト190A、190B内に連通する。ダクト190A、190Bの後部は、接続管178(178A、178B)を介して、背面凝縮器18に接続されている。
【0046】
ダクト190A、190Bは筐体10に上方から組付けた状態では、図12に示すように、これらダクト190A、190Bを下方から貫通した空気出口管166、空気入口管168の上端が上方に向かって開口する。これらの開口166B、168Bは天井凝縮器116を上方から筐体10に取付けた時に天井凝縮器116の空気入口および電気出口に押圧されて気密性を保ちつつ接続される。なお空気出口管166、空気入口管168はダクト190A、190Bおよび天井凝縮器116に対して空気の漏出を防止するよう適宜のシール材を介して接続される。図12において筐体10の左右側面は、金属板からなるサイドフレーム10Bと、これに重ねた樹脂製のカバー10Cとで形成される。
【0047】
この実施例2においては、図14に示すように、処理槽12から天井凝縮器116に循環する空気の一部が、空気出口管166、空気入口管168でダクト190A、190Bに分岐されて背面凝縮器118に循環する。すなわち処理槽12の空気は、天井凝縮器116と背面凝縮器118とに並列に循環する。この時空気往路のダクト190Aは、ここを通る空気を冷却するから、背面凝縮器118による水蒸気の凝縮性能を向上させることができる。また復路のダクト190Bは背面凝縮器118を出た空気をさらに冷却して水蒸気の凝縮を促進する。
【0048】
天井凝縮器116で凝縮した水は、排液管192、一方向弁194を流下し、背面凝縮器118から一方向弁80を通った水と合流して、U字状の排液管54に導かれる。またダクト190A、190Bで凝縮した水は、ダクト190A、190Bの傾きによって背面側に流れ、接続管178A、178Bを通って背面凝縮器118に入る。そして背面凝縮器118で凝縮した水と混ざりながら一方向弁80、排液管54に流下する。
【0049】
この実施例によれば、処理槽12の空気を2つの凝縮器116、118に並列的に循環させるから、両凝縮器116、118の負荷を均等化あるいは適正化でき、処理槽12から出る水蒸気量や循環空気流量の変動に対して効率良く対応できる。
【実施例3】
【0050】
図15は他の実施例の空気循環路264の説明図である。この実施例3は、処理槽12から天井凝縮器116を通った空気を、ダクト290Aを通して背面凝縮器118に導き、またこの背面凝縮器118を出た空気を別のダクト290Bを通して処理槽12に導く。すなわち天井凝縮器116と背面凝縮器118とダクト290A、290Bとを直列に接続したものである。
【0051】
この実施例3によれば、空気の流路全長が前記実施例1、2に比べて著しく長くなる。このため空気を十分冷やして水蒸気の凝縮を十分促進させることができる。すなわち処理槽12に戻る空気の水蒸気を減らして乾燥を促進することにより、処理槽12の処理時間(乾燥時間)を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施例を正面側から見た斜視図
【図2】本発明の一実施例を背面側から見た斜視図
【図3】同じく正面側から見た分解斜視図
【図4】同じく左前方から見た分解斜視図
【図5】同じく左後方から見た分解斜視図
【図6】筐体内部の部材配置を示す右前方から見た分解斜視図
【図7】内部構造を示す左側断面図
【図8】空気循環路と排液路を示す概念図
【図9】他の実施例を左前方から見た分解斜視図
【図10】同じく右前方から見た分解斜視図
【図11】同じく右後方から見た分解斜視図
【図12】同じく左側面および天井面を開いて左後方から見た分解斜視図
【図13】空気循環路および排液路を示す概念図
【図14】空気循環路の説明図
【図15】他の実施例の空気循環路の説明図
【符号の説明】
【0053】
10 筐体
12 処理槽
14 固液分離器
16、116 天井凝縮器
16A 往路天井凝縮器
16B 復路天井凝縮器
18、118 背面凝縮器
20 シリンダ
22 蓋板
32 撹拌棒(撹拌羽根)
34 電気ヒータ
38 外枠体
40 内側回転体
44 突部
48 ディスポーザ
50 混合流動体流入口
52 流体分排出口
54、192 排液管(排液路、トラップ)
58 ガイド部材
60 絞り部材
64、164、264 空気循環路
70 送風ファン
80、194 一方向弁
190(190A、190B)、290(290A、290B) ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミを乾燥し縮容する生ゴミ処理装置であって、
予め粉砕された生ゴミと水とが混合した混合流動体から固形分を機械的に分離し流体分を排出する固液分離器と、
分離された固形分を攪拌し加熱して水分を蒸発させる処理槽と、
この処理槽で蒸発した水分を含む空気を冷却し水分を凝縮させて排出する結露凝縮器と、
前記処理槽と結露凝縮器との間で空気を循環させる空気循環路と、
前記固液分離器および結露凝縮器で分離された流体分を排出する排液路と、
これらを収容する筐体と、
を備え、前記結露凝縮器が前記筐体の外面に配設されていることを特徴とする生ゴミ処理装置。
【請求項2】
結露凝縮器は前記筐体の縦の外面に縦方向に配設された縦面凝縮器である請求項1の生ゴミ処理装置。
【請求項3】
結露凝縮器は、筐体の縦の外面に上下方向に配設された縦面凝縮器と、筐体の上面に配設され前記縦面凝縮器に向かって下降するように傾斜した天井凝縮器と、に分割されている請求項1の生ゴミ処理装置。
【請求項4】
縦面凝縮器は筐体の背面に配設された背面凝縮器である請求項2または3の生ゴミ処理装置。
【請求項5】
天井凝縮器は、処理槽から空気を背面凝縮器に導く往路天井凝縮器と、背面凝縮器から空気を処理槽に戻す復路天井凝縮器とで形成される請求項4の生ゴミ処理装置。
【請求項6】
空気循環路は、処理槽の空気を天井凝縮器と背面凝縮器とに並列に循環させる請求項4の生ゴミ処理装置。
【請求項7】
空気循環路は、処理槽の空気を天井凝縮器と背面凝縮器とに直列に循環させる請求項4の生ゴミ処理装置。
【請求項8】
処理槽と天井凝縮器とをつなぐ空気循環路の往路および復路は、それぞれ放熱面を持ったダクトによって背面凝縮器に分岐して接続されている請求項6の生ゴミ処理装置。
【請求項9】
天井凝縮器と背面凝縮器とをつなぐ空気循環路は、それぞれ放熱面を持ったダクトによって形成されている請求項7の生ゴミ処理装置。
【請求項10】
処理槽は筐体内の前下方に配設されると共に、その固形分排出用の開閉可能な蓋板が筐体の前面に位置し、結露凝縮器は筐体の前面以外の外面に配設される請求項1の生ゴミ処理装置。
【請求項11】
固液分離器は筐体内の後上方に配設され、背面凝縮器は筐体の背面上部に配設され、固液分離器で分離された流体分と背面凝縮器で凝縮された流体分とが排液路で集合して排出される請求項4の生ゴミ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−89057(P2010−89057A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264448(P2008−264448)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000148243)株式会社泉精器製作所 (77)
【Fターム(参考)】