説明

生ゴミ分解処理装置

【課題】内部の排気を十分に行える生ゴミ分解処理装置を提供する。
【解決手段】ケーシング1の内部に配置され処理剤と生ゴミを収納する処理槽2と、処理槽2に水を供給する給水機構と、処理槽2に空気を供給する給気部5と、処理槽2の内部に溜まった汚れたガスをケーシング1に形成された排気口12Aを通して外部に排出する排気機構6とを備え、排気機構6を、処理槽2の内部側に向けて設けられた蛇腹状フィルタ60と、蛇腹状フィルタ60を通して処理槽2の内部の汚れたガスを吸引するファン61と、ファン61で吸引された空気から塵を捕捉する集塵フィルタ62と、集塵フィルタ62が着脱自在に取り付けられるフィルタ取付用ブラケット63とを有する。表面が凹凸状の蛇腹状フィルタ60と集塵フィルタ62とで塵等を効率的に捕捉することができるので、目詰まりを起こしたりすることがなく、内部の排気を十分に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ菌を利用して、野菜屑、その他、家庭で発生する調理屑や、ペットの糞、その他の生ゴミを分解処理する生ゴミ分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜屑等の家庭で発生する生ゴミや、ペットの糞を家庭内で処理するために種々の装置が利用されている。
この装置の従来例として、発酵母材及び発酵分解すべき有機廃棄物を収容しうる発酵分解槽と、この発酵分解槽に有機廃棄物等を投入するための投入口扉と、発酵分解槽の下部に設けられたヒータと、発酵母材及び有機廃棄物を攪拌する攪拌羽根と、有機廃棄物の発酵分解に伴い発酵分解槽内に発生するガスを外部へ排出する排気ファンとを備えた恒温発酵分解装置がある(特許文献1)。
この特許文献1の従来例では、排気ファンと発酵分解槽との間には脱臭装置が設けられており、この脱臭装置は、排気通路と、この排気通路に設けられるとともに活性炭からなる脱臭剤を収納する脱臭剤室とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−351337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で示される従来例では、ヒータで加熱された発酵母材及び有機廃棄物が攪拌羽根で攪拌されながら発酵分解されている構成であり、かつ、発酵母材である木質オガ屑は乾燥していると分解性能が落ちるので、水分が不足している場合には、発酵が促進されないだけでなく、有機廃棄物自体が乾燥し、汚れたガスがそのまま外部に排出される恐れがある。この汚れたガスには、乾燥に伴って浮遊した塵等が混在することもある。
特許文献1で示される従来例では、発酵分解槽内で発生したガスは、排気通路及び脱臭剤室を通って排気ファンから外部に排出されものであるため、脱臭剤室に収納された活性炭に塵等が詰まってしまい、十分な排気が行われないという問題がある。十分な排気が行われないと、臭いが発酵分解槽の中に残ってしまい、投入口扉を開けた場合には、臭いが室内に充満する。
【0005】
本発明の目的は内部の排気を十分に行える生ゴミ分解処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の生ゴミ分解処理装置は、バイオ菌を有する処理剤で生ゴミの分解を促進させて処理する生ゴミ分解処理装置であって、ケーシングと、このケーシングの内部に配置され前記処理剤と生ゴミを収納する処理槽と、この処理槽に水を供給する給水機構と、前記処理槽に空気を供給する給気部と、前記処理槽の内部に溜まった汚れたガスを前記ケーシングに形成された排気口を通して外部に排出する排気機構とを備え、この排気機構は、前記処理槽の内部側に向けて設けられた蛇腹状フィルタと、前記ケーシングと前記処理槽との間に配置されるとともに前記蛇腹状フィルタを通して前記処理槽の内部の汚れたガスを吸引するファンと、このファンで吸引された空気から塵を捕捉する集塵フィルタと、この集塵フィルタが着脱自在に取り付けられるとともに前記ケーシングと前記処理槽との間に設けられたフィルタ取付用ブラケットとを有することを特徴とする。
【0007】
この構成の発明では、生ゴミ、例えば、家庭内での調理で発生する野菜屑、残飯、犬猫等のペットの糞尿を処理剤とともに処理槽に投入し、その後、給水機構によって生ゴミに給水する。すると、処理剤のバイオ菌と水の働きによって生ゴミの分解が促進される。バイオ菌を働かせるために必要な空気は吸気部を通じて外部から処理槽の内部に送られ、生ゴミ自体の臭いを含む汚れたガスは排気機構を通じてケーシングの排気口から外部に排出される。
この排出機構では、ファンが作動されることで、処理槽内に溜まった汚れたガスは蛇腹状フィルタ及び集塵フィルタを通って外部に排出される。蛇腹状フィルタは、その形状に起因して表面積が広くかつ表面が凹凸とされているため、ガス中に含まれる塵等を効率的に捕捉することができ、この蛇腹状フィルタを通ったガスに塵等が含まれていても、この塵等を集塵フィルタで捕捉することができる。この集塵フィルタはフィルタ取付用ブラケットに着脱自在に取り付けられているため、捕捉した塵等が溜まった場合には、集塵フィルタを新しいものに交換する。
従って、本発明では、生ゴミに水を供給することで、処理剤のバイオ菌の働きが良くなって生ゴミの分解が促進されるだけでなく、乾燥を抑えることができて塵等の浮遊を少なくすることができる。しかも、排気機構を構成する蛇腹状フィルタと集塵フィルタとで塵等を効率的に捕捉することができるので、目詰まりを起こしたりすることがなく、内部の排気を十分に行うことができる。
【0008】
ここで、本発明は、前記処理槽に設けられるとともに前記生ゴミの水分を検出する水分検出センサと、この水分検出センサで検出された検出データに基づいて前記給水機構を制御する制御基板とを備えた構成が好ましい。
この構成の発明では、制御基板が水分検出センサで検出された検出データに基づいて給水機構を制御するので、処理槽に収納された生ゴミは常時適正な水分を保持することになり、生ゴミの分解を効率的に促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態にかかる生ゴミ分解処理装置の外観を示す斜視図。
【図2】前記生ゴミ分解処理装置の一部を破断した斜視図。
【図3】前記生ゴミ分解処理装置の一部の分解斜視図。
【図4】前記生ゴミ分解処理装置の要部を示す分解斜視図。
【図5】蛇腹状フィルタを保持するホルダを示すもので、(A)は上面図、(B)は正面図。
【図6】蛇腹状フィルタを示すもので、(A)は上面図、(B)は正面図。
【図7】集塵フィルタを保持するダクトの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態にかかる生ゴミ分解処理装置の外観を示す斜視図であり、図2は生ゴミ分解処理装置の一部を破断した斜視図であり、図3は生ゴミ分解処理装置の一部の分解斜視図である。
図1から図3において、生ゴミ分解処理装置は、ケーシング1と、このケーシング1の内部に配置され処理剤と生ゴミとを収納する処理槽2と、この処理槽2を覆う蓋3と、処理槽2に水を供給する給水機構4と、処理槽2に空気を供給する給気部5と、処理槽2の内部に溜まった汚れたガスを外部に排出する排気機構6と、処理槽2に設けられた攪拌機構7と、ケーシング1に設けられた取手8とを備えており、その外観が犬を模した形状とされる。なお、図2において、符号81は電源コードであり、符号82はアース線である。
本実施形態では、処理剤はバイオ菌を有するものであり、木の葉、不要木材の粉末、オガ屑、その他の基材を例示することができる。バイオ菌を有する処理剤で処理される生ゴミには、例えば、家庭内での調理で発生する野菜屑、残飯や、犬猫等のペットの糞尿を例示することができる。
【0011】
ケーシング1は、左右一対の胴部11と、これらの胴部11の上部にそれぞれ形成された開口11Aに着脱自在に取り付けられた耳部12と、胴部11の下部にそれぞれ形成された開口11Bに取り付けられた後足部13と、胴部11の正面側に設けられた正面部14(図3での図示省略)と、底板15と、中間枠板16とを備えている。底板15は鋼板から形成されており、底板15を除くケーシング1を構成する部材は、それぞれ合成樹脂から形成されている。
胴部11は犬の胴体部分を模した形状であり、その正面側の上端部分と背面側とでそれぞれ接合される。
耳部12は犬の耳を模した形状であり、フレーム121にルーバ122が設けられた構造であり、ルーバ122の間の空間から排気口12Aが形成されている。
【0012】
正面部14は、犬の胸部と前足部とを模した形状であり、胸部に相当する部分には円形のネームプレート141が着脱自在に取り付けられ、このネームプレート141には、ペットの名前を記載したり、ペットの写真を貼り付けたりできるようになっている。
中間枠板16は、その平面中央に処理槽2の開口部と略同じ大きさの開口が形成されており、その側面部に取手8の先端部が回動自在に支持されている。
取手8は、略U字状に形成されている。この取手8は、U字状に沿った外縁形状が胴部11の外縁形状と略一致する。
【0013】
処理槽2は、円弧状の底面板部21と、この底面板部21の両端部からそれぞれ上方に延びて形成される側面板部22と、これらの側面板部22及び底面板部21の正面側に設けられる正面板部23と、この正面板部23に対向配置され側面板部22及び底面板部21の背面側に設けられた背面板部24とを備え、これらは、ポリプロピレン等の樹脂から一体に形成されている。処理槽2の上部は平面矩形状の開口が形成されている。
側面板部22及び背面板部24の平面形状は、それぞれ上部が矩形状とされ、下部が半円状とされる。
底面板部21には生ゴミの水分を検出する水分検出センサとしての一対の電極90が設けられている。これらの電極90は底面板部21の最も深い位置より高い位置において互いに所定間隔離れて配置されており、その先端部が処理槽2の内部を臨むようにされている。これらの電極90のうち一方から他方に電気が流れるが、その際の抵抗値から生ゴミ内の水分を検出する。
これらの電極90は制御基板91に接続されている。
【0014】
底面板部21の底板15側には、処理槽2の底部を加熱するヒータ92が設けられ、このヒータ92と底板15との間には断熱マット93が設けられている。
ヒータ92は適宜な構造を採用することができるものであり、例えば、ニクロム線を蛇行配置した構造でもよい。このヒータ92は底面板部21の形状に沿って湾曲して形成されている。ヒータ92は制御基板91に接続されている。
断熱マット93は、ヒータ92で加熱した熱を底面板部21に伝達することを阻止できるものであれば、その具体的な材料は問われない。そして、断熱マット93はヒータ92と同様に湾曲して形成されている。
処理槽2の前面側には鋼板製の防炎カバー94が配置されている。この防炎カバー94は制御基板91に接続されている。制御基板91にはモータ用のコンデンサ95が接続されている。
【0015】
正面板部23は、その中央部に攪拌機構7の一部を構成する回転軸70の一端部70Aを軸支するための孔部23Aが形成され、その上部に給気部5の一部を構成するメッシュフィルタ50が取り付けられている。
背面板部24は、その中央部に回転軸70の他端部を軸支するための孔部(図示せず)が形成され、その上部に排気機構6の一部を構成する蛇腹状フィルタ60が設けられている。背面板部24の槽内部側には生ゴミの収納量を量るための目盛り241が形成されている。
正面板部23と正面部14との間には処理槽2の正面板部23を支持する支持板25が配置されている。同様に、背面板部24と胴部11の背面側との間には処理槽2の正面板部23を支持する支持板26が配置されている。
これらの支持板25,26は、それぞれ鋼板から形成されており、鋼板から形成される底板15に支持固定されている。
【0016】
蓋3は処理槽2側に対向可能とされた平面状の蓋本体31と、外側に面した湾曲したカバー部32とを備えている。
蓋本体31は、処理槽2の上部開口を閉塞する内小型蓋体33と、この内小型蓋体33の外周部分に設けられるパッキン34と、このパッキン34の外周部分に設けられ中間枠板16の上面を覆う内大型蓋体35とを備えている。
カバー部32は、犬の顔を模した形状であり、カバー本体36の所定位置に目37と、鼻38とが設けられており、この目37の中心部と鼻38の先端部とには円形の表示部39がそれぞれ設けられている。鼻38には不用意に子供が蓋3を開放することを防止するロック部381が設けられている。鼻38の先端部は開閉子38Aとされる。
この表示部39は、LED、その他の表示手段から構成され、処理槽2の内部の水分が適正であるか否か、後述する給水機構4のタンク41内の水の有無、バイオ菌の交換時期、モータやファン等の駆動部分の異常を表示するものであり、異常が検知された場合は、アラーム表示がされる。このアラーム表示に伴って音声で異常を知らせるものにしてもよい。さらに、処理槽2の内部の水分が適正値より多い場合には、生ゴミを投入しないように表示するものでもよい。
【0017】
給水機構4は、処理槽2の背面板部24とケーシング1との間に配置されるタンク41と、このタンク41に収納された水を処理槽2の内部に散水するノズル42と、このノズル42とタンク41とを連通する給水管部43と、この給水管部43に設けられタンク41の水をノズル42に送るポンプ44とを備えている。
タンク41は、その開口上部が蓋411で閉塞可能とされ、この蓋411は中間枠板16に形成された開口16Aに着脱自在とされる。蓋3が閉じられた状態では、蓋411は蓋3に覆われた状態となる。タンク41には水の有無を検出する図示しないセンサが取り付けられ、このセンサからの信号は制御基板91に送られる。
ノズル42は処理槽2の開口の一辺に沿うとともに回転軸70と平行に配置された中空長尺状部材であり、その長手方向に沿って複数の噴水孔が形成されている。なお、図では、ノズル42が開口の一辺にのみ配置されているが、当該一辺と対向する辺にも併せて配置してもよい。
ポンプ44は制御基板91と接続されており、制御基板91からの信号を受けて作動される。
【0018】
給気部5は前述のメッシュフィルタ50と、このメッシュフィルタ50とケーシング1の2個の耳部12のうち一方の耳部12に形成された排気口12Aとを連通する吸気用連通路(図示せず)とを備えている。この吸気用連通路は処理槽2とケーシング1との間の空間から構成されている。
メッシュフィルタ50はフレーム501にナイロン繊維のメッシュ布や不織布等からなるフィルタ本体502が設けられた構造である。
攪拌機構7は、前述の回転軸70と、この回転軸70の周面に設けられた複数の羽根部71と、回転軸70の一端部に連結された図示しない駆動機構とを備えている。この駆動機構はモータ及び変速機構を備え、モータは制御基板91に接続されている。ここで、変速機構は種々の構成を採用することができ、例えば、歯車とチェーンの組み合わせ、プーリとベルトの組み合わせ、複数の歯車の組み合わせを採用することができる。
回転軸70は、その両端が側面板部22及び背面板部24の半円状とされた下部の円中心にそれぞれ軸支される。羽根部71は、互いに所定間隔離れており、それぞれ基端部が回転軸70に接続された軸部の先端側に板状部材が接合された構造である。
【0019】
排気機構6の概略構成が図4に示されている。
図2から図4において、排気機構6は、処理槽2の内部側に向けて設けられた平面矩形状の蛇腹状フィルタ60と、ケーシング1と処理槽2との間に配置されるとともに蛇腹状フィルタ60を通して処理槽2の内部の汚れたガスを吸引するファン61と、このファン61で吸引されたガスから塵を捕捉する袋状の集塵フィルタ62と、この集塵フィルタ62が着脱自在に取り付けられるとともにケーシング1と処理槽2との間に設けられたフィルタ取付用ブラケット63と、集塵フィルタ62とケーシング1の2個の耳部12のうち他方の耳部12に形成された排気口12Aとを連通する吸気用連通路(図示せず)と、を備えている。この吸気用連通路は処理槽2とケーシング1との間の空間から構成されている。
ファン61は、ハウジング611と、このハウジング611に設けられたファン本体612とを備え、このファン本体612は制御基板91に接続されている。
ハウジング611は、蛇腹状フィルタ60の背面に対向した側面が給気口とされており、ダクト613側に排出口が形成されている。
【0020】
ダクト613は、集塵フィルタ62が取り付けられたフィルタ取付用ブラケット63を収納するようにされており、排出側開口613Xが耳部12に向けて形成されている。
フィルタ取付用ブラケット63は、ダクト613に支持される支持片631と、この支持片631に一体形成されるとともに集塵フィルタ62の上部開口を保持する筒状保持部632とを備えている。支持片631は、筒状保持部632の内部開口に対応する部分に平面矩形状の開口部631Aが形成されており、ファン61から送り込まれたガスが集塵フィルタ62の内部に送り込まれるようになっている。さらに、支持片631にはダクト613に対してフィルタ取付用ブラケット63を着脱する際の摘み部631Bが形成されている。筒状保持部632は角筒状に形成されており、その中央部近傍で集塵フィルタ62の上部開口が保持される。この集塵フィルタ62は筒状保持部632に輪ゴム、その他の適宜な手段によって着脱自在に取り付けられる。
集塵フィルタ62はナイロン繊維のメッシュ布や不織布から構成される。集塵フィルタ62には防臭対策として活性炭、その他の防臭剤が練り込まれ、あるいは、フィルム状の防臭剤が集塵フィルタ62に貼り合わされている。また、集塵フィルタ62の内部に活性炭、その他の防臭剤を収納するものでもよい。
【0021】
蛇腹状フィルタ60は、ホルダ601に着脱自在に取り付けられ、このホルダ601は処理槽2の背面板部24に処理槽2の内部に向けて取り付けられている。
ホルダ601の具体的な構成が図5に示されている。図5(A)はホルダ601の上面図、図5(B)はホルダ601の正面図である。
図5において、ホルダ601は、底枠6011と、この底枠6011の両端部にそれぞれ接続された側枠6012と、底枠6011及び側枠6012の背面側に一体に形成された背面部6013とを備えている。
底枠6011及び側枠6012は、その内側に向けて蛇腹状フィルタ60の正面側への抜け止めをするためのフランジ部601Aが形成されている。
背面部6013は、中央部に大きな開口601Dを有する板状部材である。背面部6013と底枠6011及び側枠6012のフランジ部601Aとの間に蛇腹状フィルタ60が収納される。収納された蛇腹状フィルタ60は背面部6013の上端縁部に形成された突起部601Cで上方への抜け止めがされている。背面部6013の開口601Dには蛇腹状フィルタ60が下流側に抜けることがないように十字状の支持部が設けられている。
【0022】
図6は蛇腹状フィルタ60を示すもので、図6(A)は蛇腹状フィルタ60の上面図、図6(B)は蛇腹状フィルタ60の正面図である。
図6において、蛇腹状フィルタ60は、ナイロン繊維のメッシュ布や不織布からなるフィルタ本体60Aと、このフィルタ本体60Aの外縁部に設けられた平面矩形状の帯状部60Bとを備えている。フィルタ本体60Aは九十九折りされており、折り曲げられた部分の間隔が接着剤等からなる線状の連結部60Cで保持されている。この蛇腹状フィルタ60は可撓性を有するものであって、ホルダ601に着脱される際には、変形するようになっている。なお、フィルタ本体60Aには防臭対策として活性炭、その他の防臭剤が練り込まれ、あるいは、フィルム状の防臭剤がフィルタ本体60Aに貼り合わされている。
【0023】
図7は集塵フィルタ62を保持するダクト613の正面図である。
図4及び図7において、ダクト613は、ファン61のハウジング611と連通する角筒部613Aと、この角筒部613Aに連通されるとともに排出側開口613Xが側面に形成された箱状部613Bとを備えている。この箱状部613Bは、その互いに対向する側板部に一対の支持片613Cが形成されており、これらの支持片613Cにフィルタ取付用ブラケット63の支持片631が支持される構成である(図7想像線参照)。ここで、ダクト613は、その排出側開口613Xが耳部12と対向するように配置されているため、耳部12を取り外した状態で、集塵フィルタ62を装着したフィルタ取付用ブラケット63をダクト613に押し込めるようになっている。さらに、箱状部613Bは、その下端部が耳部12側に向けて傾斜して形成されている。
【0024】
次に、生ゴミ分解処理装置の動作について説明する。
まず、蓋3を開けて生ゴミを処理槽2の内部に投入するとともに、生ゴミの上から処理剤を撒く。その後、蓋3を閉め、この状態で、図示しないスイッチを入れ、装置を作動させる。
すると、制御基板91からの信号を受けて攪拌機構7が作動する。攪拌機構7の回転軸70が回転され、回転軸70に取り付けられた羽根部71が回転し、生ゴミと処理剤とを攪拌する。生ゴミと処理剤とが攪拌されることで、生ゴミに空気が含まれるとともに、処理剤に含まれるバイオ菌により生ゴミが分解される。
【0025】
生ゴミの分解処理に伴ってガスが発生するが、このガスは排気機構6のファン61が作動されることで、蛇腹状フィルタ60を通過してファン61に吸引され、その後、集塵フィルタ62を通って耳部12の排気口12Aから外部に排出される。ここで、処理槽2で発生したガスに塵等が含まれている場合、蛇腹状フィルタ60で濾過され、蛇腹状フィルタ60を透過した塵は集塵フィルタ62で捕捉される。そして、仮に、ガスに臭いがあったとしても、蛇腹状フィルタ60及び集塵フィルタ62に設けられている活性炭、その他の防臭剤により、その臭いが吸収され、装置外に排出されるガスは臭いのないものとなる。これらの蛇腹状フィルタ60と集塵フィルタ62は必要に応じて交換される。
排気機構6によって処理槽2の内部が強制的に吸引されることで、処理槽2の内部に負圧が生じる。これにより、バイオ菌が必要とされる空気は給気部5を通じて外部から処理槽2の内部に取り入れられる。
【0026】
攪拌機構7で攪拌されている生ゴミの水分は電極90で検出される。これらの電極90で検出された結果、水分が規定量より少ない場合には、電極90から制御基板91に送られる信号によって、制御基板91が給水機構4のポンプ44に作動信号を送る。これにより、給水機構4のポンプ44が作動されることになり、タンク41に予め蓄えられている水はノズル42から処理槽2の生ゴミに向けて満遍なく散布される。これにより、処理剤に含まれるバイオ菌が活性化し生ゴミの分解が促進されるとともに、処理槽2の内部で塵等の発生を抑えることができる。
逆に、水分が多い場合には、その信号が電極90から制御基板91に送られ、この制御基板91から給水機構4のポンプ44に駆動中止の信号が送られる。すると、ポンプ44の駆動が中止されて水分の供給が停止される。さらに、制御基板91からヒータ92に信号が送られ、このヒータ92が作動して処理槽2の底部が加熱されて生ゴミの水分が低下する。
【0027】
従って、本実施形態では次の作用効果を奏することができる。
(1)ケーシング1と、このケーシング1の内部に配置されバイオ菌を含む処理剤と生ゴミを収納する処理槽2と、この処理槽2に水を供給する給水機構4と、処理槽2に空気を供給する給気部5と、処理槽2の内部に溜まった汚れたガスをケーシング1に形成された排気口12Aを通して外部に排出する排気機構6とを備えて生ゴミ分解処理装置を構成したから、生ゴミに水を供給することで、処理剤のバイオ菌の働きが良くなって生ゴミの分解が促進されるだけでなく、乾燥を抑えることができて塵等の浮遊を少なくすることができる。しかも、空気を給気部5から処理槽2の内部に送りこむことができるので、バイオ菌の働きを良好にして生ゴミの分解を促進させることができる。
【0028】
(2)排気機構6を、処理槽2の内部側に向けて設けられた蛇腹状フィルタ60と、ケーシング1と処理槽2との間に配置されるとともに蛇腹状フィルタ60を通して処理槽2の内部の汚れたガスを吸引するファン61と、このファン61で吸引された空気から塵を捕捉する集塵フィルタ62と、この集塵フィルタ62が着脱自在に取り付けられるフィルタ取付用ブラケット63とを有する構成としたから、表面が凹凸状の蛇腹状フィルタ60と集塵フィルタとで塵等を効率的に捕捉することができるので、目詰まりを起こしたりすることがなく、内部の排気を十分に行うことができる。集塵フィルタ62はフィルタ取付用ブラケット63に対して着脱自在とされているので、集塵フィルタ62に大きな塵等が溜まっても、新しいフィルタに交換することで、集塵機能を低下させることがない。
【0029】
(3)集塵フィルタ62を袋状に形成したから、塵等の集積量を大きなものにできるから、この点からも、目詰まりして集塵機能を低下させることがない。
(4)集塵フィルタ62が取り付けられたフィルタ取付用ブラケット63をダクト613で収納し、このダクト613の排出側開口613Xを排気口12Aが形成されたケーシング1の耳部12に向けたから、耳部12を開放することで、集塵フィルタ62のダクト613への装着作業が容易に行える。
【0030】
(5)フィルタ取付用ブラケット63の支持片631が支持される支持片613Cがダクト613の互いに対向する2カ所形成されているので、これらの支持片613Cに沿ってフィルタ取付用ブラケット63を差し込みあるいは抜き出すことで集塵フィルタ62のダクト613への着脱操作がより容易となる。
(6)フィルタ取付用ブラケット63の支持片631にはダクト613に対してフィルタ取付用ブラケット63を着脱する際の摘み部631Bが形成されているから、手を集塵フィルタ62に触れることなく着脱作業を行うことができる。
【0031】
(7)蛇腹状フィルタ60を処理槽2に固定されたホルダ601に着脱自在に設けたから、蓋3を開放した際に、蛇腹状フィルタ60を交換することができる。
(8)ホルダ601を、底枠6011と、この底枠6011の両端部にそれぞれ接続された側枠6012と、底枠6011及び側枠6012の背面側に一体に形成された背面部6013とを備え、底枠6011及び側枠6012に、その内側に向けて蛇腹状フィルタ60の正面側への抜け止めをするためのフランジ部601Aを形成したから、ホルダ601に蛇腹状フィルタ60を確実に装着させることができる。
(9)蛇腹状フィルタ60及び集塵フィルタ62は、それぞれ脱臭機能を持たせるために活性炭等の脱臭剤を含む構成としたので、仮に、処理槽2に収納された生ゴミに異臭があったとしても、これらのフィルタをガスが通過することで異臭が取り除かれる。
【0032】
(10)処理槽2に生ゴミの水分を検出する水分検出センサとして一対の電極90を設け、これらの電極90で検出された検出データに基づいて給水機構4の駆動が制御されるので、処理槽2に収納された生ゴミが常時適正な水分を保持することになり、生ゴミの分解を効率的に促進させることができる。
(11)一対の電極90を、生ゴミの水分が過剰に溜まってしまう底面板部21の最も深い位置ではなく、この最も深い位置より高い位置において互いに所定間隔離れて配置したので、生ゴミの水分を適正に検出することができる。
【0033】
(12)処理槽2に回転軸70と羽根部71とを有する攪拌機構7を設けたから、生ゴミが攪拌機構7で攪拌されて空気が含まれることになり、生ゴミの分解処理が促進する。
(13)処理槽2の下部を半円状に形成し、この円中心に攪拌機構7の回転軸70を設けたから、処理槽2の底面と回転軸70に設けられた羽根部71とが同じ距離となり、処理槽2に収納された生ゴミをむらなく攪拌することができる。
【0034】
(14)給水機構4のノズル42を処理槽2の開口の一辺に沿って長尺状とし、その長手方向に沿って複数の噴水孔を形成したから、処理槽2に収納された生ゴミの上に水を満遍なく散水することができる。
(15)ケーシング1の外観を犬の形状に模して形成したから、生ゴミ分解処理装置が犬の置物や人形と同一視することができる。そのため、家庭内のキッチンやリビングに生ゴミ分解処理装置をおいても、その回りの雰囲気に溶け込むことになる。
(16)取手8をケース1に設けたから、装置の持ち運びが便利となる。しかも、取手8の外形がケーシング1の外周とほぼ一致するので、外観が良好となる。
【0035】
(17)ヒータ92により処理槽2を加熱する構成としたから、処理槽2の内部に収納された生ゴミの水分が多すぎた場合には、ヒータ92で生ゴミを加熱することで、生ゴミの水分を適正な値とすることができる。
(18)ヒータ92とケーシング1の底板15との間に断熱マット93を設けたから、ヒータ92で発生する熱が底板15を伝わって外部に逃げることが少ないので、処理槽2に収納された生ゴミを効率的に加熱することができる。
【0036】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、集塵フィルタ62を袋状に形成したが、本発明では、集塵フィルタ62を蛇腹状に形成するものであってもよい。
攪拌機構7の構成は前記実施形態のように回転軸70と羽根部71とを有するものに限定されるものではなく、例えば、スクリュー形状にするものであってもよい。
【0037】
処理槽2は、下部を半円形としたが、本発明では、下部を矩形状とするものでもよい。
さらに、ヒータ92や断熱マット93は必要に応じて設ければよい。
前記実施形態のケーシング1は犬を模した外観形状としたが、猫やその他のペットを模した外観形状としてもよく、さらには、構成を簡易にするために、箱状の外観としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、バイオ菌を利用して、野菜屑、ペットの糞、その他の生ゴミを分解処理する装置であって、家庭用や業務用の生ゴミ分解装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1…ケーシング、2…処理槽、3…蓋、4…給水機構、5…給気部、6…排気機構、7…攪拌機構、11…胴部、12…耳部、12A…排気口、41…タンク、42…ノズル、44…ポンプ、60…蛇腹状フィルタ、61…ファン、62…集塵フィルタ、63…フィルタ取付用ブラケット、70…回転軸、71…羽根部、92…ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオ菌を有する処理剤で生ゴミの分解を促進させて処理する生ゴミ分解処理装置であって、ケーシングと、このケーシングの内部に配置され前記処理剤と生ゴミを収納する処理槽と、この処理槽に水を供給する給水機構と、前記処理槽に空気を供給する給気部と、前記処理槽の内部に溜まった汚れたガスを前記ケーシングに形成された排気口を通して外部に排出する排気機構とを備え、この排気機構は、前記処理槽の内部側に向けて設けられた蛇腹状フィルタと、前記ケーシングと前記処理槽との間に配置されるとともに前記蛇腹状フィルタを通して前記処理槽の内部の汚れたガスを吸引するファンと、このファンで吸引された空気から塵を捕捉する集塵フィルタと、この集塵フィルタが着脱自在に取り付けられるとともに前記ケーシングと前記処理槽との間に設けられたフィルタ取付用ブラケットとを有することを特徴とする生ゴミ分解処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された生ゴミ分解処理装置において、
前記処理槽に設けられるとともに前記生ゴミの水分を検出する水分検出センサと、この水分検出センサで検出された検出データに基づいて前記給水機構を制御する制御基板とを備えたことを特徴とする生ゴミ分解処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−240610(P2010−240610A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94267(P2009−94267)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(508239791)株式会社東北環境 (1)
【Fターム(参考)】