説明

生体センサ埋め込み装置

【課題】生体センサを体内に埋め込む際の皮膚の洗浄性を確実にする。
【解決手段】先端部に生体センサ2が取り付けられ、収納位置と、該収納位置よりも先端側に突出し皮膚を穿刺可能な穿刺位置との間で移動可能に設けられた導入針4と、皮膚を消毒する消毒手段5と、該消毒手段5の作動によって、導入針4の穿刺位置への移動を許可する穿刺許可手段とを備える生体センサ埋め込み装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体センサ埋め込み装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血糖値などを測定する生体センサを生体の皮下に埋め込むデバイスが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010−507456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の場合、デバイスを皮下に挿入する際に皮膚表面に雑菌等が付着していると、雑菌等も皮下に移動してしまうという問題がある。特に、患者自身がデバイスを操作して生体センサを埋め込む場合には、皮膚表面の消毒作業が十分に行なわれる保障がなく、デバイス挿入時の皮膚の洗浄性を確実にすることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、生体センサを体内に埋め込む際の皮膚の洗浄性を確実にすることができる生体センサ埋め込み装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、先端部に生体センサが取り付けられ、収納位置と、該収納位置よりも先端側に突出し皮膚を穿刺可能な穿刺位置との間で移動可能に設けられた導入針と、前記皮膚を消毒する消毒手段と、該消毒手段の作動によって、前記導入針の前記穿刺位置への移動を許可する穿刺許可手段とを備える生体センサ埋め込み装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、先端部に生体センサを取り付けた導入針を収納位置から穿刺位置へ移動させて皮膚に穿刺し、生体センサを導入針から取り外してから導入針を体内から引き抜くことにより、生体センサを体内に埋め込むことができる。
この場合に、導入針は、穿刺許可手段によって、消毒手段による皮膚の消毒が行われてから皮膚への穿刺が許可される。したがって、生体センサを体内に埋め込む際の皮膚の洗浄性を確実にすることができる。
【0008】
上記発明においては、前記消毒手段が、消毒液を収容し前記導入針の先端により開裂可能な袋体を備え、前記穿刺許可手段は、前記収納位置に配された前記導入針の先端位置と前記穿刺位置に配された前記導入針の先端位置との間に前記袋体を配置することにより構成されていてもよい。
このようにすることで、導入針が収納位置から穿刺位置へ向かって移動させられたときに、移動の途中において袋体が導入針によって穿刺されて消毒液が皮膚に散布される。これにより、導入針を皮膚に穿刺する操作に伴って皮膚を消毒することができる。
【0009】
また、上記発明においては、前記消毒手段が、消毒液を含有したゲル体であり、前記穿刺許可手段は、前記収納位置に配された前記導入針の先端位置と前記穿刺位置に配された前記導入針の先端位置との間に前記ゲル体を配置することにより構成されていてもよい。
このようにすることで、ゲル体を皮膚上に配置した状態で導入針を収納位置からゲル体に貫通させて穿刺位置へ移動させることにより、簡便な操作で皮膚の消毒と導入針の穿刺とを行うことができ、また、ゲル体内において導入針も消毒することができる。
【0010】
また、上記発明においては、前記導入針を、前記穿刺位置に配されたときに前記先端部をその先端面の開口から出没可能に収納する外套管を備え、前記消毒手段が、前記外套管内において消毒液を吐出させてもよい。
このようにすることで、外套管の先端面を皮膚表面に押し当てた状態で消毒手段によって消毒液を吐出することにより、外套管によって囲まれた領域により確実に消毒液を散布することができる。特に、消毒手段として袋体を採用した場合には、袋体が開裂させられたときに消毒液が意図しない方向に飛散してしまうことを防止することができる。
【0011】
また、上記発明においては、前記外套管の前記先端面が、前記皮膚に押し当てられたときに該皮膚との隙間を密閉可能な形状を有していてもよい。
このようにすることで、外套管を皮膚表面に押し当てた状態で消毒液を吐出させることにより、消毒液が皮膚表面と外套管の内面とにより形成された密閉空間内に貯留させられる。この状態で、皮膚上に貯留した消毒液を通過させて導入針を皮膚に穿刺することにより、導入針も消毒することができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記外套管の外側面に前記先端面よりも突出して配置され弾性を有する吸収体を備えていてもよい。
このようにすることで、外套管の先端面を皮膚に押し当てたときには吸収体が収縮して外套管の先端面が皮膚表面と密着し、外套管の先端面を皮膚表面から離したときには、吸収体が伸縮することにより外套管の先端面と皮膚表面との隙間が吸収体によって塞がれる。これにより、外套管を皮膚から離したときに皮膚上に貯留していた消毒液が吸収体によって吸収され、消毒液が外套管の外側に広がることを防ぐことができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記導入針を前記穿刺位置へ付勢する付勢部材と、該付勢部材による付勢力に抗して前記導入針を前記収納位置に係止する係止位置と、前記導入針の係止を解除する解除位置との間で移動可能に設けられた係止部材を備え、前記穿刺許可手段が、前記消毒手段の作動による前記皮膚の消毒前に前記係止部材による前記導入針の係止状態の解除を禁止する位置に配置され、消毒後に前記係止部材による前記導入針の係止状態を解除可能な位置に移動させられる可動部材を備えていてもよい。
このようにすることで、皮膚の消毒後に係止部材が係止位置から解除位置に移動させられることにより、導入針が付勢部材の付勢によって皮膚に穿刺される。これにより、操作者の導入針の操作条件の違いによらずに、所定の条件で導入針を皮膚に穿刺することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、生体センサを体内に埋め込む際の皮膚の洗浄性を確実にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る生体センサ埋め込み装置の全体構成図である。
【図2】図1の生体センサ埋め込み装置の使用方法を説明する図であり、(a)外套管の先端面を皮膚に押し当てた状態、(b)導入針により袋体を開裂した状態、(c)導入針を穿刺位置に配して皮膚に穿刺した状態、(d)導入針を皮膚から抜き去った状態をそれぞれ示している。
【図3】図1の生体センサ埋め込み装置の変形例であり、導入針を皮膚に穿刺した後に消毒液を吸収する吸収体を備えた構成を示す図である。
【図4】図3の生体センサ埋め込み装置の使用方法を説明する図であり、(a)皮膚に押し当てた導入管内に消毒液を貯留させた状態および(b)皮膚に穿刺した導入管を引き抜く途中の状態をそれぞれ示している。
【図5】図1の生体センサ埋め込み装置のもう1つの変形例であり、外套管の先端面に切り欠き部が形成された構成を示す図である。
【図6】図1の生体センサ埋め込み装置のもう1つの変形例であり、導入針を皮膚に穿刺する前に消毒液を吸収する吸収体を備えた構成を示す図である。
【図7】図1の生体センサ埋め込み装置のもう1つの変形例であり、消毒液を含有したゲル体を備えた構成を示す図である。
【図8】図7の生体センサ埋め込み装置の変形例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る生体センサ埋め込み装置の全体構成図である。
【図10】図9の生体センサ埋め込み装置の使用方法を説明する図であり、(a)外套管を皮膚に押し当てた状態、(b)ボタンを押下して消毒液の一部を押し出した状態、(c)さらにボタンを押下して導入針を穿刺位置に配し皮膚に穿刺した状態をそれぞれ示している。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る生体センサ埋め込み装置の全体構成図である。
【図12】図の生体センサ埋め込み装置の使用方法を説明する図であり、(a)外套管を皮膚に押し当てた状態、(b)スポイトから消毒液を吐出させた状態、(c)ストッパを解除位置へ移動させて導入針を穿刺位置に配し皮膚に穿刺した状態をそれぞれ示している。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る生体センサ埋め込み装置の全体構成図である。
【図14】図の生体センサ埋め込み装置の使用方法を説明する図であり、(a)外套管を皮膚に押し当てた状態、(b)蓋体を押下して消毒液を吐出させた状態、(c)さらに蓋体を押下して導入針を穿刺位置に配し皮膚に穿刺した状態、(d)導入針を皮膚から引き抜いた状態をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1について図1〜図8を参照して説明する。
本実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1により体内に埋め込まれる生体センサ2は、例えば、血糖値などの生体情報を測定するセンサである。皮下に埋め込まれた生体センサ2によって測定された生体情報は、有線または無線によって生体外の装置に送信されるようになっている。
【0017】
本実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1は、図1に示されるように、外套管3と、該外套管3内に収納され生体センサ2を先端部に保持した導入針4と、消毒液Aを収納し外套管3内の先端部に配置された袋体(消毒手段)5とを備えている。
外套管3は、両端が開口した筒状であり、先端面は、皮膚表面に押し当てられたときに該皮膚との隙間を密閉可能な形状、例えば、平坦な形状を有している。
【0018】
導入針4は、外套管3の基端面との間にバネ6を介して配置され、バネ6によって基端方向に付勢されている。これにより、導入針4は、使用者によって操作されない状態においては、先端が外套管3の先端面より内側に収納された図1に示される収納位置に配されている。そして、使用者が、バネ6の付勢力に抗して導入針4の基端を押圧することにより、導入針4は、先端部が外套管3の先端面の開口から出没して皮膚を穿刺可能な穿刺位置に配されるようになっている。
【0019】
生体センサ2は、導入針4の内周面との間の摩擦力によって導入針4の先端部内に保持されている。また、導入針4の内部には、半径方向内方に突出し生体センサ2の基端側の面に突き当てられる突起部4aが設けられており、使用者が導入針4の基端を押圧して導入針4を先端側に移動させたときに生体センサ2も導入針4と一体で移動するようになっている。
【0020】
袋体5は、消毒液Aを収容し、収納位置に配された導入針4の先端と外套管3の先端面との間に配置されている。袋体5は、例えば、バルーンのように、導入針4の先端によって穿刺されることにより容易に開裂され、消毒液Aを漏出させるようになっている。これにより、導入針4は、収納位置から穿刺位置に移動するときに、袋体5を開裂させることにより、穿刺位置への移動が許可されることとなる。すなわち、本実施形態の穿刺許可手段は、収納位置に配された導入針4の先端と、穿刺位置に配された導入針4の先端との間に袋体5が配置されていることにより構成されている。
【0021】
このように構成された生体センサ埋め込み装置1の使用方法および作用について以下に説明する。
本実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1を使用して生体センサ2を生体の皮下に埋め込むには、生体センサ2を埋め込むべき位置の上方の皮膚B表面に外套管3の先端面を押し当て、該先端面と皮膚Bとを十分に密着させる(図2(a)参照。)。この状態で導入針4の基端を押圧する。これにより、導入針4の先端によって袋体5が開裂され、袋体5内から漏出した消毒液Aが皮膚B表面と外套管3の内面とにより形成された空間に貯留する(図2(b)参照。)。これにより、皮膚Bの外套管3により囲まれた領域が消毒される。
【0022】
そして、導入針4をさらに押圧することにより、導入針4を消毒液A内に通過させて導入針4を穿刺位置まで移動させることにより導入針4を皮膚Bに穿刺する(図2(c)参照。)。その後、導入針4を押圧から開放して皮膚Bから引き抜く。このときに、生体センサ2は、皮下の組織間との間で発生する摩擦抵抗力によって、外套管3とともに移動することなく皮下に残される(図2(d)参照。)。
【0023】
このように、本実施形態によれば、導入針4が皮膚Bに穿刺される動作の過程において消毒液Aが皮膚B上に散布される。これにより、導入針4が皮膚Bに穿刺される直前に皮膚Bが消毒液Aによって消毒され、生体センサ2を皮下に埋め込むときの皮膚Bの洗浄性を確実にすることができるという利点がある。また、皮膚Bの消毒と導入針4の皮膚Bへの穿刺の両方が導入針4を押圧するだけの1ステップの操作によって順番に行われるので、患者自身が生体センサ埋め込み装置1を操作する場合でも簡便にかつ確実に皮膚Bおよび導入針4の消毒を行うことができる。
【0024】
なお、本実施形態においては、図3に示されるように、外套管3の先端部に、消毒液Aを吸収する吸収体7を備えていてもよい。吸収体7は、外套管3の先端面よりも突出しつつ、図4(a)に示されるように、外套管3の先端面を皮膚B表面に押し当てたときに先端面と皮膚B表面との密着を妨げないように弾性変形可能な材質からなるもの、例えば、脱脂綿などからなる。このようにすることで、導入針4を皮膚Bに穿刺した後に外套管3の先端面を皮膚B表面から離したときに、図4(b)に示されるように、外套管3の先端面と皮膚B表面との隙間から漏れ出した消毒液Aが吸収体7に吸収される。これにより、消毒液Aが患部の周辺に広がることを防ぐことができる。
【0025】
また、本実施形態においては、皮膚B表面に散布された消毒液Aが外套管3内に貯留せずに除去されるように構成されていてもよい。このようにすることで、導入針4を皮膚Bに穿刺したときに、消毒液Aが皮下に移動することを防ぐことができる。
消毒液Aを外套管3内から除去する構成としては、例えば、図5に示されるように、外套管3の先端面に、壁厚方向に貫通した切り欠き部8が形成されていてもよく、図6に示されるように、外套管3の先端部の外面に吸収体9が設けられていてもよい。
【0026】
図5に示される構成の場合、皮膚B表面に散布された消毒液Aが、切り欠き部8を介して外套管3の外部に漏出することにより、外套管3内から除去される。図6に示される構成の場合、吸収体9は、外套管3の先端面より突出し、外套管3が皮膚Bに押し当てられたときに、使用者による押圧力に抗して外套管3の先端面と皮膚B表面との間に隙間を形成可能な剛性を有する材料からなる。吸収体9の先端面と皮膚B表面とが密着することにより、袋体5から漏出された消毒液Aは、皮膚B上に散布された後、吸収体9によって吸収されることにより外套管3内から除去される。
【0027】
また、本実施形態においては、消毒液Aが袋体5内に保持されることとしたが、これに代えて、図7に示されるように、消毒液Aがゲル体(消毒手段)10に含有されることにより保持されてもよい。
ゲル体10は、外套管3内の先端部に、外套管3の先端面よりも一部が突出して配置され、外套管3を皮膚B表面に押し当てたときにゲル体10が皮膚B表面と接触させられるようになっている。導入針4は、使用者によって押圧されたときに、ゲル体10内を貫通して皮膚Bに穿刺される。このようにしても、導入針4を皮膚Bに穿刺する操作に伴って皮膚B表面および導入針4を確実に消毒することができる。
【0028】
また、ゲル体10によって消毒液Aを保持する場合は、図8に示されるように、外套管3を備えない構成でもよい。消毒液Aをゲル体10に含有させることにより、消毒液Aが漏洩または飛散することなく、導入針4の先端が通過させられる位置に消毒液Aを保持することができる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1について図9および図10を参照して説明する。
なお、本実施形態においては、上述の第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1は、図9に示されるように、導入針4を収納位置に係止する係止部材11と、消毒液を吐出させるボタン12と、該ボタンが押下されることにより係止部材11による導入針の係止を解除させるスイッチ部材12aとを備え、外套管3が導入針4を収納する導入針室3aと消毒液Aを収容する消毒液室3bとを有している。
【0030】
外套管3の導入針室3aと消毒液室3bとは流路3cにより連通し、消毒液Aを消毒液室3bから押し出すボタン12と流路3cを塞ぐフィルム3dとによって外套管3内部が密閉されている。これにより、消毒液Aが導入針室3a内へ移動することなく消毒液室3b内に保持されている。フィルム3dは、所定の大きさ以上の圧力によって押圧されることにより開裂するように構成されており、使用者がボタン12を押下することにより、フィルム3dが消毒液Aからの押圧力によって開裂させられ、消毒液Aが導入針室3aへ流れ出るようになっている。
【0031】
導入針4は、バネ6によって先端側に付勢されている。係止部材11は、バネ13によって導入針4を係止する係止位置に付勢され、バネ13が収縮させられることにより導入針4の係止を解除する解除位置に移動可能に設けられている。係止位置において係止部材11は、導入針4を、バネ6の付勢に抗して導入針室13a内に収納する収納位置(図9に示される位置)に係止し、係止部材11による係止が解除されることにより導入針4は外套管3の先端面の開口から出没し、穿刺位置へ配されるようになっている。
【0032】
係止部材11の、バネ13の反対側にはスイッチ部材(可動部材、穿刺許可手段)12aが隣接して配置されている。スイッチ部材12aは、押下されたボタン12によって、係止部材11をバネ13の付勢に抗して押圧するように構成されている。これにより、使用者がボタン12を十分に押下して消毒液Bを導入針室3a内に吐出させた後に、係止部材11が係止位置から解除位置へ移動させられて導入針4の穿刺位置への移動が許可されるようになっている。
【0033】
このように構成された生体センサ埋め込み装置1の使用方法および作用について以下に説明する。
本実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1を使用して生体センサ2を皮下に埋め込むには、使用者は、外套管3の先端面を皮膚B表面に押し当て(図10(a)参照。)、ボタン12を押下する。これにより、消毒液室3b内から導入針室3a内へ消毒液Aが押し出され、外套管3の内面と皮膚B表面により形成された空間に消毒液Aが貯留する(図10(b)参照。)。
【0034】
さらにボタン12を押下すると、係止部材11による導入針4の係止が解除されて、導入針4が穿刺位置に配され皮膚Bに穿刺される(図10(c)参照。)。その後、導入針4を皮膚Bから引き抜くことにより、生体センサ2を皮下に埋め込むことができる。
【0035】
このように、本実施形態によれば、消毒液Aが皮膚B上に貯留させられた状態で導入針4が皮膚Bに穿刺される。これにより、導入針4と皮膚Bの洗浄性を確実にしながら生体センサ2を皮下に埋め込むことができるという利点がある。また、ボタン12を押下するだけの1ステップの操作で、皮膚Bの消毒と導入針4の皮膚Bへの穿刺とを確実に順番に行うことができるという利点がある。
【0036】
次に、本発明の第3の実施形態について図11および図12を参照して説明する。
本実施形態においても、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1は、図11に示されるように、消毒液Aを収容するスポイト(洗浄手段)14と、バネ6による付勢に抗して導入針4を係止するストッパ(係止部材、穿孔許可手段)15とを備えている。
【0037】
スポイト14は、蛇腹式であり、使用者により蛇腹部14aが収縮させられることにより、外套管3内に挿入された吐出口14bから消毒液Aを吐出させる。
導入針4は、バネ6によって先端側に付勢されている。ストッパ15は、導入針4の側面に形成された凹部4bに引っ掛けられることにより導入針4を収納位置に係止する係止位置と、凹部4bから外れることにより導入針4の係止を解除する解除位置との間で移動可能に設けられている。ストッパ15は、係止位置から解除位置への移動がスポイト14の蛇腹部14aによって制限され、蛇腹部14aが収縮することにより解除位置への移動が可能となる。
【0038】
次に、このように構成された生体センサ埋め込み装置1の使用方法および作用について説明する。
本実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1を使用して生体センサ2を皮下に埋め込むためには、導入管3の先端面を皮膚Bに押し当て(図12(a)参照。)、スポイト14の蛇腹部14aを収縮させることにより消毒液Aを皮膚B表面に貯留させる(図12(b)参照。)。これにより、使用者は、ストッパ15を解除位置に移動させることが可能になる。
【0039】
使用者は、ストッパ15を解除位置に移動させて導入針4の係止を解除することにより、導入針4をバネ6の付勢力によって穿刺位置へ移動させて皮膚Bに穿刺する(図12(c)参照。)。その後、導入針4を皮膚Bから引き抜くことによって、生体センサ2を皮下に埋め込むことができる。
このように、本実施形態によれば、スポイト14により消毒液Aが吐出されることにより導入針4の皮膚Bへの穿刺が許可される。これにより、皮膚Bの洗浄性を確実にしながら生体センサ2を皮下に埋め込むことができるという利点がある。
【0040】
次に、本発明の第4の実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1について図13および図14を参照して説明する。
本実施形態においても、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1は、図13に示されるように、導入針4の外側を覆う熱収縮チューブ16と、導入針4の基端側に設けられ消毒液Aを収容する空間を形成する蓋体(穿孔許可手段)17とを備えている。
【0041】
生体センサ2は、導入針4の外面と熱収縮チューブ16の内面との間に配置されている。生体センサ2が導入針4の半径方向に突出する幅を抑えるために、導入針4の側面に生体センサ2を設置する溝4cが形成されている。
【0042】
導入針4は、基端にフランジ部4dを有し、蓋体17はフランジ部4dとの間に消毒液Aが収容する密閉空間を形成している。蓋体17の内面とフランジ部4dの外周面とは摺動可能であり、蓋体17がフランジ部4dに対して押下されることにより、消毒液Aが導入針4内を通過して導入針4の先端の開口から吐出されるようになっている。さらに蓋体17を押下し続けることにより、蓋体17の天井面がフランジ部4dに突き当たり、バネ6を収縮させられて、導入針4が穿刺位置へ移動させられるようになっている。すなわち、蓋体17が押下されて消毒液Aが外套管3内に吐出されることにより、導入針4の穿刺位置への移動が許可されるようになっている。
【0043】
次に、このように構成された生体センサ埋め込み装置1の使用方法および作用ついて説明する。
本実施形態に係る生体センサ埋め込み装置1を使用して生体センサ2を皮下に埋め込むには、外套管3の先端面を皮膚B表面に押し当て(図14(a)参照。)、蓋体17を押下することにより消毒液Aを吐出させて皮膚B表面と外套管3の内面とにより形成される空間に消毒液Aを貯留させる(図14(b)参照。)。さらに蓋体17を押下することにより、導入針4を穿刺位置へ移動させて皮膚Bに穿刺する(図14(c)参照。)。
【0044】
そして、導入針4を皮膚Bから引き抜くことにより、生体センサ2と熱収縮チューブ16を皮下に埋め込むことができる(図14(d)参照。)。熱収縮チューブ16の内部には、生体センサ2と皮膚Bの外部との経路が確保される。例えば、熱収縮チューブ16内を介して、皮下の生体センサ2と体外の外部装置とを配線で接続することができる。
【0045】
このように、本実施形態によれば、導入針4が皮膚Bに穿刺される動作の過程において、消毒液Aが皮膚Bの表面に散布されることにより導入針4の皮膚Bへの穿刺が可能となるので、生体センサ2を皮下に埋め込む際の皮膚Bの洗浄性を確実にすることができるという利点がある。
【符号の説明】
【0046】
1 生体センサ埋め込み装置
2 生体センサ
3 外套管
3a 導入針室
3b 消毒液室
4 導入針
4a 突起部
4b 凹部
4c 溝
4d フランジ部
5 袋体(消毒手段)
6,13 バネ
7,9 吸収体
8 切り欠き部
10 ゲル体(消毒手段)
11 係止部材
12 ボタン(消毒手段)
12a スイッチ部材(可動部材、穿刺許可手段)
14 スポイト(消毒手段)
14a 蛇腹部(可動部材、穿刺許可手段)
15 ストッパ(係止部材)
16 熱収縮チューブ
A 消毒液
B 皮膚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に生体センサが取り付けられ、収納位置と、該収納位置よりも先端側に突出し皮膚を穿刺可能な穿刺位置との間で移動可能に設けられた導入針と、
前記皮膚を消毒する消毒手段と、
該消毒手段の作動によって、前記導入針の前記穿刺位置への移動を許可する穿刺許可手段とを備える生体センサ埋め込み装置。
【請求項2】
前記消毒手段が、消毒液を収容し前記導入針の先端により開裂可能な袋体を備え、
前記穿刺許可手段は、前記収納位置に配された前記導入針の先端位置と前記穿刺位置に配された前記導入針の先端位置との間に前記袋体を配置することにより構成されている請求項1に記載の生体センサ埋め込み装置。
【請求項3】
前記消毒手段が、消毒液を含有したゲル体であり、
前記穿刺許可手段は、前記収納位置に配された前記導入針の先端位置と前記穿刺位置に配された前記導入針の先端位置との間に前記ゲル体を配置することにより構成されている請求項1に記載の生体センサ埋め込み装置。
【請求項4】
前記導入針を、前記穿刺位置に配されたときに前記先端部をその先端面の開口から出没可能に収納する外套管を備え、
前記消毒手段が、前記外套管内において消毒液を吐出させる請求項1または請求項2に記載の生体センサ埋め込み装置。
【請求項5】
前記外套管の前記先端面が、前記皮膚に押し当てられたときに該皮膚との隙間を密閉可能な形状を有する請求項4に記載の生体センサ埋め込み装置。
【請求項6】
前記外套管の外側面に前記先端面よりも突出して配置され弾性を有する吸収体を備える請求項5に記載の生体センサ埋め込み装置。
【請求項7】
前記導入針を前記穿刺位置へ付勢する付勢部材と、
該付勢部材による付勢力に抗して前記導入針を前記収納位置に係止する係止位置と前記導入針の係止を解除する解除位置との間で移動可能に設けられた係止部材とを備え、
前記穿刺許可手段が、前記消毒手段の作動による前記皮膚の消毒前に前記係止部材による前記導入針の係止状態の解除を禁止する位置に配置され、消毒後に前記係止部材による前記導入針の係止状態を解除可能な位置に移動させられる可動部材を備える請求項1に記載の生体センサ埋め込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−130567(P2012−130567A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286300(P2010−286300)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】