説明

生体光計測装置

被検体に照射するピーク波長の異なる複数の波長帯の光の光照射強度比率を制御することにより、生体内部の情報を従来よりも高精度で計測するため、被検体に照射する第一の波長帯の光と、第二の波長帯の光の光照射強度比率を変化させることで、生体情報の計測誤差を制御することが可能となる。また、被検体に対する安全性の観点から光の照射強度が制限される場合には、第一の波長帯の光から被検体に照射される光と、第二の波長帯の光から被検体に照射される光の総照射強度を所定値内に制限し、所定値内において光照射強度比率を変化させることにより、生体情報の計測誤差を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は生体光計測装置に関し、特に生体内部の情報、特に光吸収物質の濃度変化を、光によって計測する生体光計測装置に関する。
【背景技術】
生体に対する透過性が高い可視から近赤外領域に光強度ピーク波長(以下ピーク波長と呼ぶ)を持つ光を用いると、生体内部の情報を無侵襲計測することが可能である。これは、計測される光信号の対数値が光路長と濃度の積に比例することを示したLambert−Beer則に基づく。この法則を発展させ、例えば、生体中の「酸素化ヘモグロビン(Hb)」と「脱酸素化Hb」の相対的濃度変化(以下、濃度変化と呼ぶ)を計測する技術が開発されてきた。Hbは赤血球中にあり酸素を運ぶ重要な物質で、酸素を取り込んだときと放出したときで異なる光吸収スペクトルを示すことを特徴とする(図2)。従って、波長帯の異なる2つの光を用い、各波長帯の光の透過光強度の変化(ΔA(λ1)、ΔA(λ2))を測定することで、式(1)より酸素化および脱酸素化Hbの濃度変化(ΔCoxy、ΔCdeoxy)を算出できる。εoxy,εdeoxyは、各波長帯の酸素化ヘモグロビンの吸光係数,脱酸素化ヘモグロビンの吸光係数を表す。

この酸素化Hbと脱酸素化Hbの濃度変化から生体の酸素状態変化を知ることができるため、Hbは脳内に存在する酸素の指標物質として利用されるのである。このような生体中のHb濃度変化を計測する装置が、例えば特許文献1や特許文献2などに記載されている。また、これらの生体光計測装置の有効性は、例えば、牧敦他により示されている(非特許文献1)。上記文献では、大脳皮質のHb濃度変化を計測することにより、人の脳機能を計測することを開示している。具体的には、人の知覚機能や運動機能の賦活に伴い、その機能を司る大脳皮質領野の血液量が局所的に増加するため、該当部位の酸素化Hbや脱酸素化Hbの濃度変化から、脳の活動状況が評価できる。
【特許文献1】特開平9−149903号公報
【特許文献2】特開平9−98972号公報
【非特許文献1】Medical Physics、22、1997−2005(1995)
【非特許文献2】Medical Physics、28(6)、1108−1114(2001)
【発明の開示】
ピーク波長の異なる複数の波長帯の光で生体内部にある複数の吸光物質(例えば酸素化Hb、脱酸素化Hb)を計測する上記の生体光計測技術において、吸光物質の微小な濃度変化を検出するためには、数回の加算平均を必要とするのが普通である。なぜならば、微弱な透過光(反射光ともいう)を検出するのに増幅器を用いると、計測したい生体信号以外の装置雑音も増大し、計測するHbの濃度変化(ΔCoxy、ΔCdeoxy)に比較的大きな計測誤差が生じるためである。一般に、計測雑音は加算回数の平方根を分母にした割合で低減するため、そのときの信号/雑音比で必要とされる加算回数は決まる。したがって、計測誤差を2分の1にしたい場合、4倍の加算回数が必要となる。
図3に、Deoxy−Hb濃度変化における計測誤差の例を示した。(a)、(b)ともに同じ被検体に対し同じ刺激を与え前頭葉のDeoxy−Hb濃度変化を計測している。(a)の加算回数は4回で(b)の加算回数は16回であるため、(b)の計測誤差は(a)の計測誤差のほぼ半分となっている。例えば、前記脳機能計測においては、信号(脳活動に伴う酸素化Hbおよび脱酸素化Hbの変化)を抽出するために10回程度の加算平均を必要とすることが多い。加算回数が多ければ多いほど計測時間は長くなり被験者への負担が大きくなるため、出来るだけ少ない加算回数で信号を検出できるよう、計測誤差の低減が望まれている。
ここで計測誤差とは、計測されたHbの濃度変化に含まれる装置雑音に起因した雑音であり、以下の2要因により決定される。
一つは、前記の増幅率に依存する装置雑音であり、透過光信号に含まれるため、透過光雑音とも言う。これは、透過光強度を決定する照射強度に依存する。透過光強度が小さい場合、検出の際に増幅率を高くする必要があるため透過光雑音が増大する。従って、出来るだけ強い透過光を得られるよう照射光強度を強くする方が望ましいが、生体に対する安全性を考慮すると無制限に照射強度を強めることは出来ない。
もう一つは、Hb濃度変化の算出式である式(1)に用いる酸素化Hb吸光係数および脱酸素化Hb吸光係数である。これらの吸光係数は波長に依存する。
山下優一らによると、2つの波長帯の光(λ1、λ2にピーク波長を持つ)を用いて、酸素化Hbの濃度変化(ΔCoxy)と脱酸素化Hbの濃度変化(ΔCdeoxy)を計測する場合、各波長帯の光の透過光信号に含まれる装置雑音(透過光雑音:δΔA(λ1)、δΔA(λ2))と、各波長帯の酸素化Hb吸光係数(εoxy(λ1)、εoxy(λ2))および脱酸素化Hb吸光係数(εdeoxy(λ1)、εdeoxy(λ2))の2要因が計測誤差を決定する(非特許文献2)。2つの波長帯を用いたHb濃度変化の計測において、誤差伝播法則から導かれた計測誤差の算出式を式(2)に記す。

上記式(2)によると、各波長帯の光の透過光雑音(δΔA(λ1)、δΔA(λ2))が等しい場合、各波長帯の光のヘモグロビン吸光係数の差が大きくなるにつれて(波長の差が大きくなるにつれて)、計測誤差が小さくなる。その例を図4に示した。図4は各波長帯の光の透過光雑音(δΔA(λ1)、δΔ(λ2))を一定とし、第一の波長帯の光のピーク波長を650nmから800nmまで漸次変化させ、第二の波長帯の光のピーク波長を830nmとし、これらの混合光を被検体に照射した場合の、各Hbの計測誤差の相対値を示している。第二の波長帯の光と組み合わせる第一の波長帯の光の波長が短くなるほど、各波長帯の光のヘモグロビン吸光係数の差が大きくなるため、両Hbの計測誤差は小さくなっている。
しかし実際には透過光雑音の大きさは、被検体や照射光の波長により異なるため、図4の傾向と正確には一致しない。
透過光雑音は、透過光強度(被検体や照射光の波長により異なる)に合わせて調整された増幅器の増幅率(ゲイン値)によって決定される(図5)。図5は増幅器のゲイン値が高くなるほど透過光雑音も比例して増加することを示している。つまり透過光雑音は、被検体と照射光の波長の相互作用により決定される透過光強度に依存するので、個体差の大きい生体を被験体とする場合、単純な変数として表すことは極めて困難である。
透過光雑音を決定する透過光強度(透過率)が被検体および照射光の波長により異なる例として、成人被検体4人の頭部を計測した結果を図6に示した。ここでは、各被検体の3つの部位(後頭部、頭頂部、側頭部)を計測した。従来の装置で多く使われている830nmにピーク波長を持つ光の透過率を1とした場合、782nmにピーク波長を持つ光の透過率は殆ど変わらないが、750、692、678nmとピーク波長が短くなるにつれて透過率が減少する傾向があることが分かる。照射光の波長や計測部位に応じたおおよその傾向はあるものの、被検体によるばらつきもあるため、それらの傾向を一般化することは難しい。つまり被検体に応じて計測誤差を低減するような機構が望まれる。
なお前述したように、透過率が低くなると、透過光信号を検出できるレベルまで増幅器の増幅率を上げざるを得ないため、装置由来の透過光雑音は増加する(図5)。
本願出願人が先に出願した特願2002−198282号に添付した明細書では、計測する生体の部位によって透過率が異なることを見出し、計測部位に応じて照射光の波長を選択する生体光計測装置が記されている。上記先願明細書では、被検体に応じて照射光の波長を変え、計測誤差を低減させることが記載されているが、透過光雑音を統制して計測誤差を低減する方法もあり得る。
つまり透過光強度の減衰に応じて照射光強度を制御し、所望の透過光強度つまり透過光雑音を得ることが出来れば、計測誤差を統制することが出来る。
本発明では、ピーク波長の異なる複数の波長帯の光の照射光強度を制御することにより、生体内部の情報を従来よりも高精度で計測することができる生体光計測装置の提供を目的とする。
本発明者は、ピーク波長の異なる第一、第二の波長帯の光を混合光として被検体に照射した場合、各透過光雑音(第一または第二の波長帯の光の透過光雑音)の透過光雑音の総和(第一、第二の波長帯の光の透過光雑音の総和)に対する比率に依存して、計測対象である生体情報の計測誤差が変化することを見出した。
つまり、前述したように透過光雑音は照射光強度に依存するため、第一の波長帯の光の照射強度と、第二の波長帯の光の照射強度の比率を変化させることで、生体情報の計測誤差を制御することが可能となる。
なお、被検体に対する安全性の観点から光の照射強度が制限される場合には、被検体に光が照射される部位Xでの第一の波長帯の光の照射強度と、第二の波長帯の光の照射強度の和が所定値以下となるように制限し、所定値内において照射光強度の比率を変化させることにより、生体情報の計測誤差を制御することができる。
一般に、異なる波長にピーク波長を持つ二つ光で酸素化Hbおよび脱酸素化Hbの濃度変化を計測する場合、800nm〜900nm間にピーク波長を持つ光と600nm〜800nm間にピーク波長を持つ光の組み合わせが使われる。600nmを下回ると照射光が酸素化および脱酸素化ヘモグロビンに強く吸収され、900nmを超えると照射光が水に強く吸収され十分な透過光強度を得ることが出来ないからである。ここで、酸素化および脱酸素化ヘモグロビンの吸光スペクトルの違いを利用して各ヘモグロビンの濃度変化を計測する生体光計測装置においては、等吸収点である805nm付近を挟んだ2波長にピーク波長を持つ光を用いることにより高精度の計測が可能となる(図2)。
したがって、より長波長にピーク波長を持つ光には810nm〜900nmにピーク波長を持つ光を用いることが望ましい。一方、短波長側の波長の選択にはいくつか考慮すべき点がある。例えば、650nmより短い波長では照射光が酸素化および脱酸素化ヘモグロビンに強く吸収され計測が困難な場合が考えられるが、650nm〜700nmの波長は、適度に2波長間の各ヘモグロビン吸光係数の差が大きくなるため、高精度な計測に適している(透過率を考慮すると特に680nm〜700nmの波長が望ましい)。一方、700nm〜790nmの波長(透過率を考慮すると特に740nm〜790nmの波長が望ましい)は生体に対する透過性が高く、且つもう一方の波長(810nm〜900nm)と近いため、より安定した計測が出来る可能性がある。
従って、より短波長にピーク波長を持つ光には650nm〜800nm、好ましくは700nm〜790nmにピーク波長を持つ光を用いることが望ましい。また計測対象が3以上となる場合は、600nm〜900nm間にある、異なるピーク波長を持つ3以上の光を混合光として照射することもある。
上記の式(2)に示したHb計測誤差の式を用いて、ピーク波長の異なる第一、第二の波長帯の光の光照射強度比率を変えた場合のHb計測誤差の変化を求めた(図7〜図10)。
例えば、782nmにピーク波長をもつ第一の光と、830nmにピーク波長をもつ第二の光を用いて生体中の酸素化および脱酸素化Hb濃度変化を計測すると、酸素化Hbおよび脱酸素化Hb濃度変化の計測誤差の大きさは、各光の照射強度比率に応じて独立に変化する(図7)。この条件下では、第一の光と第二の光の照射強度比率を約0.5:1.5にすると、酸素化Hbの計測誤差が極小となる。また、第一の光と第二の光の照射強度比率を約1.2:0.8にすると、脱酸素化Hbの計測誤差が極小となる。つまり被検体に光が照射される部位Xでの第一の波長帯の光照射強度が、前記部位Xでの第二の波長帯の光照射強度の0.3倍(酸素化Hbの計測に適した光照射強度比率)〜1.5倍(脱酸素化Hbの計測に適した光照射強度比率)となる光照射強度比率で光を照射することで高精度の計測が可能となる。
更に、両方のHbを同時に計測する場合、それぞれの計測誤差レベルを総合した指標を用いて、最適な光照射強度比率を求めることが出来る。図9に、第一の光と第二の光の光照射強度比率の変化に応じて酸素化Hbの計測誤差と脱酸素化Hbの計測誤差の総和が変化する様子を示した(太線)。第一の光と第二の光の光照射強度比率を約0.9:1.1にすると、両Hbの計測誤差の総和は極小になる。また、一般に脱酸素化Hbの変化量(信号強度)は酸素化Hbの信号強度より小さく、高精度化が求められているため、脱酸素化Hbの精度を重視して設定することも可能である。例えば、図9の細線で示したように、酸素化Hbの計測誤差と、脱酸素化Hbの計測誤差を2倍した値を足し、脱酸素化Hbの精度を酸素化Hbの精度の2倍重視した指標を用いることができる。この指標によると、第一の光と第二の光の光照射強度比率を約0.8:1.2に設定した場合、両方のHbを最も効果的に計測できることになる。
同様に、692nmにピーク波長を持つ第一の光と830nmにピーク波長を持つ第二の光を照射した場合も、各光の光照射強度比率に応じて各Hbの計測誤差レベルは独立に変化する(図8)。その傾向は図7の結果とは異なり、第一の光と第二の光の光照射強度比率を約0.5:1.5にすると、酸素化Hbの計測誤差が極小となる。また、第一の光と第二の光の光照射強度比率を約1.9:0.1にすると、脱酸素化Hbの計測誤差が極小となる。つまり被検体に光が照射される部位Xでの第一の波長帯の光照射強度が、前記部位Xでの第二の波長帯の光照射強度の0.3倍(酸素化Hbの計測に適した強度比率)〜19倍(脱酸素化Hbの計測に適した強度比率)となる光照射強度比率で光を照射することで高精度の計測が可能となる。
脱酸素化Hbの計測誤差を最小にすると酸素化Hbの計測誤差が極端に増加してしまうため、両Hbを計測するためには、それぞれの計測誤差レベルを総合した指標を用いて、最適な光照射強度比率を求める方法が有効である。図10に、酸素化Hbの計測誤差と脱酸素化Hbの計測誤差の総和が、各光の光照射強度比率に応じて変化する様子を示した(太線)。第一の光と第二の光の光照射強度比率を約1.6:0.4とすると、両Hbの計測誤差の総和は極小になる。また、図9と同様、脱酸素化Hbの計測誤差低減を重視し、酸素化Hbの計測誤差と、脱酸素化Hbの計測誤差を2倍した値を足した指標を用いた場合を示す(図10、細線)。この場合、第一の光と第二の光の光照射強度比率を約1.2:0.8に設定することにより、両Hbが最も効率よく計測できる。以上のように、照射強度の総和を一定にした場合でも、各光の光照射強度比率を変えることにより、計測対象の生体情報に含まれる計測誤差を、より効果的に低減することが可能となる。
つまり、650nm〜800nmにある第一の波長にピーク波長を持つ第一の波長帯の光と、810nm〜900nmにある第二の波長にピーク波長を持つ第二の波長帯の光からなる混合光を被検体に照射した場合、被検体に光が照射される部位Xでの第一の波長帯の光照射強度が、前記部位Xでの第二の波長帯の光照射強度の0.3倍(酸素化Hbの計測に適した光照射強度比率)〜19倍(脱酸素化Hbの計測に適した光照射強度比率)となる光照射強度比率で光を照射することで高精度の計測が可能となる。
ここで一般的に、前述したように照射光の波長帯を選択し、被検体に照射される部位での第一および第二の波長帯の光の光照射強度比率を1:1からずらすことで計測誤差を低減させることが可能である。よって実質的には、前記部位Xでの第一の波長帯の光照射強度が、前記部位Xでの第二の波長帯の光照射強度の0.3倍〜0.7倍、又は1.3倍〜19倍となる光照射強度比率で光を照射することで高精度で計測が可能になる。
特に、第一の波長帯の光のピーク波長が700nm〜790nmにある場合は、前記部位Xでの第一の波長帯の光照射強度が、前記部位Xでの第二の波長帯の光照射強度の0.3倍〜0.7倍、又は1.3倍〜10倍となる強度比率で光を照射することで高精度で計測が可能になる。
本発明に係る装置は、計測対象とする生体情報の計測誤差を算出する演算部を有することを特徴とする。計測誤差は、例えば、フィッティングにより大きな揺らぎを除いたデータの標準偏差や、フーリエ変換を行い明らかに生体信号ではない高周波数帯域の強度として前記演算部で算出する。
所望の計測誤差を実現するために必要な第一または第二の波長帯の光の光照射強度比率を見積もるには、まず任意の光照射強度比率で第一および第二の波長帯の光を被検体にテスト照射する。そして検出された透過光強度および吸光係数から、式(1)を用いてHb濃度変化を算出する。前記Hb濃度変化から前述したフィッティング等の手法により計測誤差を算出する。このようにしてテスト照射の結果得られた計測誤差を元に、所望の計測誤差を実現するための第一または第二の波長帯の光の光照射強度比率を算出する。
後は、その光照射強度比率になるよう調整する機構があればよい。図15に所望の計測誤差を設定し、本計測に入るまでのフローチャートを示す。
本発明の装置によると、計測対象を酸素化Hbもしくは脱酸素化Hbなど一種類の生体情報に指定した場合、その計測誤差をほぼ最大限に低減させる光照射強度比率を算出することが出来る。従って、その生体情報の計測に適した光照射強度比率になるよう各波長にピーク波長を持つ光の照射強度を調整することで計測精度の向上が実現する。
更に、第一の生体情報および第二の生体情報を共に精度良く計測したい場合、計測する第一の生体情報に含まれる計測誤差がほぼ極小となるような、被検体に照射される部位Xでの前記第一および第二の波長帯の光の光照射強度比率をaとし、計測する第二の生体情報に含まれる計測誤差がほぼ極小となるような、前記部位Xでの前記第一および第二の波長帯の光の光照射強度比率をbとするとき、前記光照射強度比率を経時的にaおよびbの間で切り替えて光を照射することで、全ての生体情報の計測誤差をほぼ最大限に低減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の実施例である光計測装置の構成を示すブロック図である。
図2は酸素化Hbおよび脱酸素化Hbの吸光スペクトルを示す図である。
図3はDeoxy−Hb濃度変化における計測誤差の例を示す図である。
図4は誤差伝播式より求めた酸素化Hbおよび脱酸素化Hbの計測誤差と照射光のピーク波長の関係を示す図である。
図5は増幅器のゲイン値と透過光雑音の関係を示す図である。
図6は光透過率と照射光のピーク波長の関係を示す図である。
図7は782nmにピーク波長を持つ第一の波長帯の光と830nmにピーク波長を持つ第二の波長帯の光を用いた計測における、各波長帯の光の光照射光強度比率と酸素化Hbおよび脱酸素化Hbの計測誤差の関係を示す図である。
図8は692nmにピーク波長を持つ第一の波長帯の光と830nmにピーク波長を持つ第二の波長帯の光を用いた計測における、各波長帯の光の光照射光強度比率と酸素化Hbおよび脱酸素化Hbの計測誤差の関係を示す図である。
図9は782nmにピーク波長を持つ第一の波長帯の光と830nmにピーク波長を持つ第二の波長帯の光を用いた計測における、各波長帯の光の光照射光強度比率と総計測誤差(酸素化Hbの計測誤差と脱酸素化Hbの計測誤差の総和)の関係を示す図である。
図10は692nmにピーク波長を持つ第一の波長帯の光と830nmにピーク波長を持つ第二の波長帯の光を用いた計測における、各波長帯の光の光照射光強度比率と総計測誤差(酸素化Hbの計測誤差と脱酸素化Hbの計測誤差の総和)の関係を示す図である。
図11は第一および第二の波長帯の光の総照射強度を設定する操作画面の一例を示す図である。
図12は計測対象とする生体情報を選択する操作画面の一例を示す図である。
図13は計測対象とする複数の生体情報に関して、計測精度の比率を設定する操作画面の一例を示す図である。
図14は計測中の酸素化Hbおよび脱酸素化Hbの濃度変化を表すグラフと、各Hbの計測誤差を表示し、次処理を選択する操作画面の一例を示す図である。
図15は所望の計測誤差を設定し、本計測に入るまでのフローチャートの一例を示す図である。
図16は被検体の測定部位を格子状に区画して、光照射手段と受光手段とが交互に前記格子の頂点上に在るように配置構成し、前記光照射手段および前記受光手段を、被検体の頭部に装着可能なヘルメット状の固定具に固定した一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施例を以下に記述する。本実施例の形態では、生体中の酸素化Hbおよび脱酸素化Hbの濃度変化計測を目的として、ピーク波長の異なる2つの波長帯の光を用い、光照射位置および光検出位置を各1箇所設定した場合を説明するが、照射光の波長帯の数および光照射位置、光検出位置を増やしても、同様の計測が可能である。
この例として図16に被検体の測定部位を格子状に区画して、光照射手段と受光手段とが交互に前記格子の頂点上に在るように配置構成した実施例を示す。被検体16−4にヘルメット状の固定具16−3を装着し、格子状に配置構成された光照射手段16−1および受光手段16−2となる光ファイバを前記固定具に設けられた孔に固定する。これにより被検体の酸素化Hbおよび脱酸素化Hbの濃度変化を多点で計測することが可能である。
また、被検体に照射する光の波長帯の数を増やすことにより、酸素化Hbおよび脱酸素化Hb濃度の変化に加えて、チトクロームやミオグロビンなど他の吸光物質濃度の変化を計測することもできる。
図1に、本発明による装置構成の例を示す。本実施例の装置は、パーソナルコンピュータやワークステーションに代表される電子計算機から構成される制御装置1−1と、前記制御装置に接続されたディスプレイ2−1と、波長λ1にピーク波長を持つレーザダイオード6−1と波長λ2にピーク波長を持つレーザダイオード6−2と、それぞれに近接して設けられたモニタフォトダイオード7−1、7−2と、前記2つのレーザダイオードを異なった周波数で変調するための信号を生成する発振器3−1および3−2と、発振器信号の振幅ならびに直流バイアスレベルを可変とするための増幅器14−1および14−2と、前記モニタフォトダイオードの信号が前記発振器からの信号と同じになるように、ドライバー回路5−1と5−2を用いて前記レーザダイオードに印加する電流値を制御するためのAPC(オートパワーコントロール,自動光量制御)回路4−1、4−2と、前記ピーク波長の異なる2つの波長帯の光を混合する光混合器8−1と、前記光混合器8−1からの光を光ファイバ経由で被検体10−1の頭皮上に照射する光照射手段9−1と、前記光照射手段から離れた点(本実施例では30mm離れた点)に光検出用光ファイバ先端が位置するよう設けた受光手段9−2と、それぞれの光を検出する光検出器11−1と、前記発振器からの変調周波数が参照信号として入力されたロックインアンプ12−1および12−2と、ロックインアンプの出力である各波長帯の光の透過光信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換するアナログ−デジタル変換器13−1を備える。前記光照射手段9−1と受光手段9−2の略中点を、計測位置とする。
本実施例では、光照射手段と受光手段を各1個ずつ記したが、複数の光照射手段と受光手段を配列することが可能である。例えば、光照射手段と受光手段を交互に配列した場合は、光照射位置と隣り合った受光位置の略中点がそれぞれの計測位置となる。また、本実施例では発振器を用いて複数の光信号を分離しているが、発振器は使わずにパルス光を用いて点灯タイミングで光信号を分離することも可能である。
混合器8−1において混合されたピーク波長の異なる2つの波長帯の光は、光照射手段9−1より所定の光照射位置に照射され、近接する受光位置から受光手段9−2で集光された後、光検出器11−1によって光電変換される。前記光検出器11−1は、被検体内部で反射、散乱して戻ってきた光を検出し電気信号に変換するためのもので、例えばアバランシェフォトダイオードのような光電変換素子を用いる。光検出器11−1で光電変換された透過光信号は、ロックインアンプ12−1、12−2に入力され、ピーク波長の異なる2つの光ごとの透過光信号に分離される。ここでは、各発振器3−1、3−2から変調周波数が参照周波数として入力されたロックインアンプ12−1、12−2によってピーク波長の異なる2つの光の透過光信号を分離するが、ピーク波長の異なる2以上の波長帯の光および複数の照射位置が存在する場合でも、相当数の変調周波数を用いて変調し、それぞれロックインアンプに参照周波数として入力すれば、個々の波長および光源位置に対応した透過光強度を分離することが可能である。ロックインアンプの出力である各波長帯の光の透過光信号は、アナログ−デジタル変換器13−1でアナログ−デジタル変換された後、制御装置1−1に入力される。制御装置1−1で記憶された透過光信号を元に各計測部位におけるヘモグロビンの濃度変化およびその計測誤差を算出する。
前記計測誤差は、生体情報とは無関係に生ずる信号の揺らぎと定義し、例えば、安静時における信号の標準偏差などで表す。生体由来の揺らぎを除去し、装置由来の雑音のみを抽出するためには、バンドパスフィルター等の利用が有効である。
レーザダイオード6−1およびレーザダイオード6−2の照射光強度は以下の手順で制御する。制御装置1−1は、計測者が操作画面上で制御パラメータを設定する機構を有する。本実施例では、制御パラメータとは増幅器14−1と14−2の出力振幅値および直流バイアスレベルであり、制御装置1−1は、測定者により入力された値になるように増幅器14−1と14−2の増幅率と直流バイアスレベルを制御する。
増幅器14−1と14−2の出力振幅が増加すると、APC回路4−1、4−2を通じてレーザダイオード6−1、6−2の出力が増加する。増幅器14−1と14−2の直流バイアスレベルを調整して、同様にレーザダイオード出力の平均レベルを設定する。通常は、光信号の変調度が1となるように直流バイアスレベルを設定すればよく、振幅のみ入力設定すれば自動設定することもできる。ここでAPC回路4−1、4−2は、発振器3−1、3−2の周波数に応答できる帯域を持っている。
制御パラメータとして所望の誤差レベルまたは信号雑音比の値、或いは値の範囲を設定してもよい。この場合は、制御装置1−1を用いて、前述した手順を用いて算出された計測誤差から誤差レベルまたは信号雑音比を導出し、これが設定した所望の値になるように、または所望の値の範囲に入るように、増幅器14−1と14−2の増幅率と直流バイアスレベルを自動設定する。同様に制御パラメータとして生体への照射光強度を入力設定してもよい。
これらの調整は、前記光照射手段9−1や前記光検出手段9−2を被験者10−1に装着する度に行う。勿論、これは測定を始める前に逐次行ってもよい。
本実施例ではAPC制御したレーザダイオードを光源としたが,ACC(オートカレントコントロール、自動駆動電流制御回路)駆動のレーザダイオードを光源とした場合でも、回路構成を変えることにより同様の制御が可能である。
ピーク波長の異なる各波長帯の光の照射光強度の設定方法について、操作画面の例(図11〜図13)を用いて説明する。尚、複数の光照射手段および受光手段を設けて、複数位置を計測する場合、計測点毎に以下の設定を変えることも可能である。
図11は、照射光強度の総和を設定する画面例である。安全面から生体への照射光は一定の強度内に抑えられる必要があるが、被検体によりその基準は異なる場合がある。例えば、被検体が成人である場合と乳幼児である場合とでは、異なる照射光強度を用いる方が効率的に計測できると考えられる。従って、操作者が照射光強度の総和を設定する図11のような画面が有効である。
図12は、本実施例で計測可能な生体内の吸収物質リスト(酸素化Hb、脱酸素化Hb、酸素化Hb+脱酸素化Hb)と、各項目の左に表示されたラジオボタンによって計測対象を選択する画面である。任意の計測対象を選択後、画面右下に表示されたOKボタンを押すことにより選択が決定される。
酸素化Hbもしくは脱酸素化Hbなどの計測対象を単独で設定した場合、計測対象の計測誤差がほぼ極小となるよう、ピーク波長の異なる各波長帯の光の光照射強度比率を自動的に調整する。
一方、酸素化Hb+脱酸素化Hbのように複数の計測対象を選択した場合、図13のように、各計測対象の重視度によって、計測精度の比率を設定する画面が用意される。各Hbを同精度で計測する場合には、図13のスライドバースイッチを中央に合わせることにより、両Hbの計測精度が同レベルになるよう光照射強度比率が調整される(図9および図10の太線を参照)。酸素化Hbより脱酸素化Hbを約2倍精度よく計測したい場合には、図13のスライドバースイッチを約6.7の目盛り(左から約3分の2の位置)に合わせることにより、酸素化Hbの計測精度:脱酸素化の計測Hb精度がおよそ1:2になる光照射強度比率に調整される(図9および図10の細線を参照)。
また、図12で複数の計測対象を選択した場合でも、図13のような画面を表示せず、複数の計測対象の計測誤差を全てほぼ極小とするように計測することも可能である。例えば、782nmにピーク波長をもつ第一の波長帯の光と、830nmにピーク波長をもつ第二の波長帯の光を用いて生体中の酸素化Hbおよび脱酸素化Hb濃度変化を計測した場合を例にとる。第一の波長帯の光と第二の波長帯の光の光照射強度比率を約0.5:1.5にすると酸素化Hbの計測誤差が極小となり、約1.2:0.8にすると脱酸素化Hbの計測誤差が極小となる。従って両Hbを最大限に精度よく計測するためには、第一の波長帯の光と第二の波長帯の光の光照射強度比率を、約0.5:1.5および約1.2:0.8と2通りに設定しなければならない。
1回の試行(脳機能計測にあたり被検体に脳活動を誘発する課題を与える試行)内でも、この2通りの光照射強度比率を経時的に切り替えることによって、両Hbの計測誤差をほぼ最大限に低減できる。例えば、1秒毎に2つの光照射強度比率を切り替えたり、ランダムな期間毎に光照射強度比率を切り替えたりして計測すると、両方のヘモグロビンを計測誤差を最小限に抑えて計測できる。
また、切り替えタイミングは脳活動を誘発する課題のタイミングで行うことも可能である。例えば、10秒の課題が10回繰り返される場合、2つの光照射強度比率を課題毎に切り替えると、両方の光照射強度比率で各5回ずつの活動を計測することが出来る。
本実施例では、照射光に周波数変調された連続光を使用しているが、パルス光を用いた場合も同様に光照射強度比率を切り替える方法は有効である。更にパルス光の場合は、パルス毎に光照射強度比率を切り替える方法もある。
なお複数の光照射強度比率を切り替えることによって、サンプリング間隔が長くなるため時間分解能は低下するが、数回の加算平均によって、ある程度は補うことが出来る。
この方法では、刺激開始時に常に一方の光照射強度比率のみを使用しないよう、光照射強度比率の切り替えタイミングを設定することが重要である。つまり、全サンプリングタイミングで両方の照射強度比率を用いたデータが得られるようにする。このように、刺激呈示タイミングと各光照射強度比率の切り替えタイミングが試行毎に逆転するよう設定すれば、効果的な加算平均が可能となる。
また、所望の計測誤差を実現する光照射強度比率を算出し、光照射強度を調整した後、実際に計測した計測誤差の実測値をグラフあるいは数値などでディスプレイに表示することができる(図14)。計測者は、その波形あるいは数値を見て、設定のやり直し(Cancelボタン)もしくは計測誤差の再計算(再計算ボタン)もしくは計測続行(OKボタン)を選択する。
計測誤差が決定された後、前記設定に応じた照射強度比率となるよう各波長帯の光の照射光強度は調整され、本計測可能の状態となる。
【産業上の利用可能性】
本発明によると、ピーク波長の異なる複数の波長帯の光の光照射強度比率を変化させることにより、計測対象とする生体情報の計測誤差を従来よりも低減させ得る。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の波長に光強度ピークを持つ第一の波長帯の光と、前記第一の波長よりも長波長である第二の波長に光強度ピークを持つ第二の波長帯の光を有する混合光を被検体に照射する光照射手段と、
前記光照射手段から照射され被検体内部を伝播した透過光を検出する受光手段を被検体上に配置し、
前記第一の波長の値は650nm〜800nmであり、前記第二の波長の値は810nm〜900nmであり、
前記受光手段によって検出された透過光信号に基づき、前記光照射手段と前記受光手段の略中点位置を計測点として被験体内部にある吸光物質の濃度もしくは濃度変化の生体情報を測定するよう構成し、
前記被検体に光が照射される部位Xでの前記第一の波長帯の光の光照射強度が、前記部位Xでの前記第二の波長帯の光の光照射強度の0.3倍〜0.7倍、又は1.3倍〜19倍となる光照射強度比率で光を照射するように構成されているか、
又は前記部位Xでの前記第一の波長帯の光の光照射強度が、前記部位Xでの前記第二の波長帯の光の光照射強度の0.3倍〜0.7倍、又は1.3倍〜19倍の少なくとも一方となる範囲内で光照射強度比率を可変とする手段を有することを特徴とする生体光計測装置。
【請求項2】
前記第一の波長の値が700nm〜790nmである場合は、
前記部位Xでの第一の波長帯の光の光照射強度が、前記部位Xでの前記第二の波長帯の光の光照射強度の0.3倍〜0.7倍、又は1.3倍〜10倍となる光照射強度比率で光を照射するように構成されているか、
又は前記部位Xでの第一の波長帯の光の光照射強度が、前記部位Xでの前記第二の波長帯の光の光照射強度の0.3倍〜0.7倍、又は1.3倍〜10倍の少なくとも一方となる範囲内で光照射強度比率を可変とする手段を有することを特徴とする請求項1記載の生体光計測装置。
【請求項3】
測定する生体情報の計測誤差を算出する手段と、前記生体情報の計測誤差を所望の大きさとするために必要な照射光強度の比率を算出する手段と、前記算出結果に基づいて照射光強度を調整する手段を有することを特徴とする請求項1記載の生体光計測装置。
【請求項4】
計測する第一の生体情報に含まれる計測誤差がほぼ極小となるような、前記部位Xでの前記第一および第二の波長帯の光の光照射強度比率をaとし、
計測する第二の生体情報に含まれる計測誤差がほぼ極小となるような、前記部位Xでの前記第一および第二の波長帯の光の光照射強度比率をbとするとき、
前記光照射強度比率を経時的にaおよびbの間で切り替えて光を照射する手段を有する請求項1記載の生体光計測装置。
【請求項5】
前記第一の生体情報は酸素化ヘモグロビンの濃度又は濃度変化に関する情報であり、前記第二の生体情報は脱酸素化ヘモグロビンの濃度又は濃度変化に関する情報であることを特徴とする請求項4記載の生体光計測装置。
【請求項6】
複数の前記光照射手段および前記受光手段を保持して被検体の頭部に装着するため固定具を有し、前記固定具は複数の前記前記光照射手段および前記受光手段となる光ファイバを格子状に交互に配置することが可能な孔が設けられていることを特徴とする請求項1記載の生体光計測装置。
【請求項7】
第一の波長に光強度ピークを持つ第一の波長帯の光と、前記第一の波長よりも長波長である第二の波長に光強度ピークを持つ第二の波長帯の光を有する混合光を被検体に照射する光照射手段と、
前記光照射手段から照射され被検体内部を伝播した透過光を検出する受光手段を被検体上に配置し、
前記第一の波長の値は650nm〜800nmであり、前記第二の波長の値は810nm〜900nmであり、
前記受光手段によって検出された透過光信号に基づき、前記光照射手段と前記受光手段の略中点位置を計測点として被験体内部にある吸光物質の濃度もしくは濃度変化の生体情報を測定するよう構成し、
前記被検体に光が照射される部位Xでの前記第一の波長帯の光の光照射強度と、前記第二の波長帯の光の光照射強度の和が所定値以下となるようにし、かつ、
前記部位Xでの前記第一の波長帯の光の光照射強度が、前記部位Xでの前記第二の波長帯の光の光照射強度の0.3倍〜0.7倍、又は1.3倍〜19倍の少なくとも一方となる範囲内で光照射強度比率を可変とする手段を有することを特徴とする生体光計測装置。
【請求項8】
前記第一の波長の値が700nm〜790nmである場合は、
前記部位Xでの第一の波長帯の光の光照射強度が、前記部位Xでの前記第二の波長帯の光の光照射強度の0.3倍〜0.7倍、又は1.3倍〜10倍の少なくとも一方となる範囲内で光照射強度比率を可変とする手段を有することを特徴とする請求項7記載の生体光計測装置。
【請求項9】
測定する生体情報の計測誤差を算出する手段と、前記生体情報の計測誤差を所望の大きさとするために必要な照射光強度の比率を算出する手段と、前記算出結果に基づいて照射光強度を調整する手段を有することを特徴とする請求項7記載の生体光計測装置。
【請求項10】
計測する第一の生体情報に含まれる計測誤差がほぼ極小となるような、前記部位Xでの前記第一および第二の波長帯の光の光照射強度比率をaとし、
計測する第二の生体情報に含まれる計測誤差がほぼ極小となるような、前記部位Xでの前記第一および第二の波長帯の光の光照射強度比率をbとするとき、
前記光照射強度比率を経時的にaおよびbの間で切り替えて光を照射する手段を有する請求項7記載の生体光計測装置。
【請求項11】
前記第一の生体情報は酸素化ヘモグロビンの濃度又は濃度変化に関する情報であり、前記第二の生体情報は脱酸素化ヘモグロビンの濃度又は濃度変化に関する情報であることを特徴とする請求項10記載の生体光計測装置。
【請求項12】
複数の前記光照射手段および前記受光手段を保持して被検体の頭部に装着するため固定具を有し、前記固定具は複数の前記前記光照射手段および前記受光手段となる光ファイバを格子状に交互に配置することが可能な孔が設けられていることを特徴とする請求項7記載の生体光計測装置。

【国際公開番号】WO2005/041771
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515088(P2005−515088)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009678
【国際出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】